中国は、西側諸国による一方的な制裁を長年批判してきた。その口が乾かぬうちに、同じことを日本に対して行っている。中国は、領有権を巡る主張やその他の政治的要求に関して他国に圧力をかける際に恣意的な策に出る。2016年には韓国、2020年には豪州に対して行った。そして、今度は日本だ。明時代の外交感覚丸出しの「俺が帝王だ」という振舞である。自己嫌悪に陥らないのだろうか。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月2日付)は、「中国『日本いじめ』の教訓」と題する社説を掲載した。
中国共産党は日本に圧力をかけ、真実を語った新首相を罰しようとしている。11月7日に行われた国会での質疑で答弁した高市早苗首相は、中国が台湾を攻撃すれば、日本にとって「存立危機事態」になり得ると説明し、軍事的な対応を引き起こす可能性があると述べた。すると、数週間にわたる憤りと威圧のキャンペーンが始まった。それはまるで、現状を壊そうと脅しているのが中国の習近平国家主席ではなく、高市氏だと言わんばかりの対応だ。
(1)「中国は、日本と領有権を争う島々や係争中でない島々の周辺にさえも船舶やドローンを派遣し、緊張をあおることで反撃を開始した。中国の外交官らは日本を激しく非難し、そのうちの1人は「勝手に突っ込んできたその汚い首は斬ってやるしかない」と脅した。中国政府は「戦狼外交」から経済制裁へと対応をエスカレートさせた。制裁は今のところ非公式なものにとどまっているが、影響を受けた日本の産業にとっては何の慰めにもならない」
中国は、自国へ跳ね返りが最も少ない方法で、日本を威圧している。かつて、日本のODA(政府開発援助)によって、インフラ投資を支援して貰った中国が、支援国日本へ刃を突きつけている。この逆転の構図に、日本がどんな感情を持っているか、全く理解していないのだ。
(2)「中国は、自国民に日本へのあらゆる渡航を控えるよう求め、日本の観光業に急激かつ大幅な落ち込みをもたらした。ある推計によると、数日間で中国から日本への航空券50万枚がキャンセルされたという。日本産水産物の輸入禁止も突然、再発動された。今回も核汚染に関する偽の懸念が理由だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によれば、中国の習主席は先週、ドナルド・トランプ米大統領と行った1時間の電話会談のうち、その半分を日本と台湾に関する不満の表明に費やした。より懸念されるのは、その後すぐにトランプ氏が高市首相に電話し、台湾に関して中国を挑発しないよう告げたと報じられていることだ」
トランプ氏は、自国ディール第一に考えている。「自分の任期中は台湾を攻撃しない」と、習氏はトランプ氏に語ったという。本当は、攻撃できないのだ。トランプ氏にとって、鼻高々の話になっているが、中国の経済実態は重症である。経済的に、台湾侵攻ができない事態にまで追い込まれている以上、習氏はこれに代る手段を探さなければならない。それが「戦狼外交」と経済的な威圧である。日本虐めは、「最適手段」なのだろう。中国国民に見せつける演技である。「強い習近平」を演じているのだ。
(3)「誰も台湾を巡る対立を引き起こしたいとは思っていない。だが、挑発しているのは誰なのか。侵攻にどう対応する可能性があるかを説明している指導者か、それとも、その侵攻に向けて計画・準備し、実行をちらつかせている指導者か。日本は、核武装した超大国である中国との軍事衝突を望んでいない。日本がそこまで追い込まれる可能性があるのは、中国の攻撃によってそれ以外の選択肢がなくなった場合だけだ」
中国の空騒ぎで日本を非難しているが、問題の本質は台湾侵攻の機会を狙う中国にある。日本は、それに伴う被害国になりそうだから、それを避ける必要があるのだ。台湾侵攻は、中国の権利ではない。侵略行為である。
(4)「中国による台湾侵攻が、日本を深刻な危険にさらすという高市氏の主張は正しい。台湾が陥落すれば、日本に防衛上の奥行きを与えている第1列島線が破られる。その防衛線が中国の橋頭堡になれば、日本にとって重要な航路が混乱や封鎖に見舞われやすくなる。日本は食料やエネルギーの多くを輸入するためにこれらの航路に依存している。太平洋における開かれた海上交通路と同盟ネットワークを活用する米国の戦略は崩壊するだろう」
米国が覇権国であり続けるには、太平洋の権益を守ることが不可欠である。それが、単独で難しいとなれば、どこの国へ協力を求めるのか。日本の国益は、米国の覇権維持によって守られている。となれば、日米が協力するのは自然の構図である。
(5)「中国が、現在行使している経済的威圧は、同国が周辺アジア海域の支配権を握った際に起きることの前触れだ。今回の日本に対する措置や、それ以前のオーストラリアに対する措置で十分明らかになったように、中国は経済力によって近隣諸国を威圧することをいとわない。はるか遠くの国でも対象になる。リトアニアは数年前、中国が同国とのモノの貿易を実質的に全て禁止した時、それを痛感した」
中国が、日本を目の上の「タンコブ」に見立てているのは、自らの欲望達成目標がなせる業である。中華に時代にして、世界を支配するという習近平氏の夢は、余りにも単純である。価値観の一致がなければ、不可能である。儒教倫理が、世界普遍の真理と考える狭量さが、習氏の前途を阻むであろう。
(6)「台湾を巡る紛争を回避するためには、外交的配慮が常に必要だった。しかし、いま本当に危険なのは日本の首相が現実を語ったことではない。本当に危険なのは、中国が軍事的・経済的圧力を強めて台湾の民主主義を脅かしていることだ。トランプ氏は中国の最悪の野望を阻止するために日本の協力を必要とするだろう」
中国の軍事的・経済的な圧力は、今がピークであろう。日本への威圧にも「綻び」がみえるからだ。2010~12年の頃にみせた対日威圧とは、「圧力」が落ちている。中国経済の疲弊がもたらしたものである。威圧度が低下している。「竹光」という感じである。


