勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

    あじさいのたまご
       

    中国が、冷静さを失った振舞をしている。台湾問題に関わる「高市発言」への抗議が、常軌を逸した行動になっているからだ。習近平国家主席の怒りを「忖度」する連鎖がみえる。

     

    中国国営中央テレビ(CCTV)は最近、ホームページとソーシャルメディア(SNS)WeChatに「頭にこぶができて医師も治せない」と題した3分弱のアニメを掲載した。アニメは、ペリカンが登場してうるさく騒ぐと、周囲の鳥が逃げる場面で始まる。ペリカンは「私の後ろには鷲の兄がいる」とし「私に触れれば鷲を刺激する」と叫ぶという。ペリカンは高市首相、鷲は米国を指す。小話が好きな中国社会とは言え、品格を失っている。

     

    中国機による自衛隊機へレーダー照射は、攻撃するという前兆である。自衛隊機の反撃を誘う危険行為だ。中国は、日本を「侵略者」呼ばわりしているが、中国こそ「侵略軍」そのものの振舞をしている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月7日付)は、「中国の軍事的挑発は断じて許されない」と題する社説を掲載した。

     

    中国軍の戦闘機が6日、沖縄本島南東の公海上空で自衛隊の戦闘機にレーダーを照射した。一線を越えた、極めて危険な挑発行為である。断じて許されず、中国に自制と再発防止を強く求めたい。

     

    (1)「防衛省によると、中国海軍の空母から発艦したJ15戦闘機が航空自衛隊のF15戦闘機に断続的に照射した。自衛隊機は対領空侵犯措置をとり警戒監視に当たっていた。自衛隊機と隊員に被害はない。レーダーは相手を捜索したり攻撃したりするときに使われる。中国軍による自衛隊へのレーダー照射の事例としては、2013年に中国海軍の艦船が火器管制レーダーを海上自衛隊の護衛艦に照射したことがある。照射された側は威嚇を感じ、衝突につながりかねない極めて危険な行為だ。高市早苗首相は記者団に、中国に強く抗議したと明かし「冷静かつ毅然と対応する」と述べた。政府の抗議は当然である。中国海軍の報道官は訓練中に自衛隊機が妨害行為をしたと主張したが、照射を正当化する理由にはならない」

     

    中国は、何を目的にこういう危険行為をするのか。「俺たちは強いぞ」という威嚇であろうが、こんな卑劣行為に日本は怯まない。中国の意図を明確に把握しているからだ。日清戦争(1894~95年)以来、中国軍の「虚勢」を知り抜いている。これが、墓穴を掘る結果になった。

     

    (2)「首相が、台湾有事は存立危機事態になり得ると国会で答弁してから1カ月がたつ。中国が相次いで打ち出す対日威圧が経済や人的交流の分野だけでなく軍事にも及んできた格好だ。日中の対立がさらに深刻になる事態を憂慮する。日本政府としては、中国側の挑発に乗らず、冷静に対応して状況をエスカレートさせないことが重要になる。米国をはじめとする同盟国・同志国の支持を得ながら、国際社会に日本の立場を説明していく努力も欠かせない」

     

    中国は、ここまでエスカレートさせているが、どういう形で終息させる積もりであろうか。結末を考えない、衝動的な行動である。こういう品格を落とす行動は、中国の信頼度を落とすだけである。東南アジアでは、日本が最高の信頼度を得ている。中国は,乱暴な振舞が多く低評価だ。日中は、対照的な評価になっている。今回の行動で、中国の評価はさらに低下するに違いない。

     

    (3)「防衛省の発表は発生から10時間足らずだった。迅速な情報公開は適切である。小泉進次郎防衛相が記者団に明らかにしたのは7日午前2時ごろで異例の時間帯となった。中国の問題ある行動を国際社会に早く伝え、中国の世論戦に対抗する狙いもあるだろう。今回の事案について詳しい説明を中国に求めるとともに習近平指導部の意図を慎重に見極めたい。偶発的な衝突が引き金になって隣国どうしが紛争に進むケースは、歴史を振り返れば多い。日中間には自衛隊と中国軍が意思疎通する「海空連絡メカニズム」がある。2023年に専用回線で連絡を取り合うホットラインを設置したはずだ。ホットラインを遣い、危機管理の仕組みをきちんと運用するよう中国に求めたい」

     

    日本は、中国の蛮行を7日午前2時ごろに発表した。中国が、受けるダメージは大きい。これで,評価はさらに低下するに違いない。 

     

     

     

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    中国軍が、日本を巻き込む意図で自衛隊機へ挑発行為を行った。日本を侵略国家と騒ぐ中国が,逆に侵略を意図する行為に出始めた。中国軍機が6日午後、自衛隊の戦闘機にレーダーを2回にわたって照射した。いずれも沖縄本島南東の公海上で、自衛隊機は中国海軍の空母から発艦した戦闘機に対領空侵犯措置をしていた。

     

    小泉進次郎防衛相は7日午前、マールズ豪国防相と都内で会談し、前日起きた中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について説明した。小泉氏は「このような中国の行動に毅然かつ冷静に地域の平和と安定に対応する」と語った。マールズ氏は、「憂慮すべき事態と考えている」と応じ、「日本と一緒に力を合わせて行動していく」と述べた。『ロイター』(12月7日付)が報じた。

     

    『ブルームバーグ』(12月7日付)は、「中国軍戦闘機、自衛隊機にレーダー照射-小泉防衛相『強く抗議』」と題する記事を掲載した。

     

    沖縄本島南東の公海の上空で6日午後、中国軍のJ15戦闘機が航空自衛隊のF15戦闘機に対し、2度にわたってレーダーを照射した。自衛隊機及び隊員に被害はないという。今回のレーダー照射について防衛省は、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為だと指摘。中国側に再発防止を強く申し入れたとしている。

     

    (1)「小泉進次郎防衛相は7日未明に臨時記者会見を開き、「このような事案が発生したことは極めて遺憾だ」と述べるとともに、中国側に強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れたと明らかにした。防衛省によると、中国海軍の空母「遼寧」から発艦したJ15戦闘機が、対領空侵犯措置を実施していた自衛隊のF15に対してレーダー照射を断続的に行った」

     

    公海上とはいえ沖縄近海で行うことで、日本に「いつでも軍事的圧力を加えられる」というメッセージを送っている。これは単なる演習ではなく、政治的シグナルだ。清国時代の「砲艦外交」や威圧的行動を連想させる面もあり、現代版の「力による現状変更」の試みと見ることができる。清国時代の日本への威圧は、日清戦争を引き起して自滅したが、中国には歴史的に、こういう無鉄砲さがある。

     

    (2)「台湾有事は、「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の先月の国会答弁以降、日中関係は悪化している。中国は日本への渡航自粛呼び掛けや水産物の輸入停止などの措置に動いている。日本側はさまざまなレベルで対話を続け理解を求める考えだが、打開のめどは立っていない。高市氏は今月3日の国会で、「台湾に関する政府の基本的立場は1972年の日中共同声明の通りであり、この立場に一切の変更はない」と述べ、台湾を巡る中国の見解を日本が理解し尊重するという従来の立場を改めて示した」

     

    完全な地政学的対立である。短期で決着がつく問題ではない。中国は、日本に対して力ずくで対応するという「暴力的体質」を丸出しにしてきた。明らかな挑発である。愚かなことを始めている。

     

    (3)「一方、中国側はその後も反発を続けている。中国国営の新華社通信は、この発言を批判する論評を掲載。日本が中国と安定した関係を維持したいと真に望むなら、中国に対する政治的な約束を具体的な行動で示すべきだと論じた。日中関係悪化の発端となったのは、117日の衆院予算委員会での高市首相の答弁だ。台湾有事への対応を問われ、戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースだと考えると発言した。中国側は高市氏の発言の撤回を求めているが、日本側は政府の立場は一貫していると繰り返し述べ、撤回には応じていない」

     

    中国は、遅れてきた最後の「帝国主義国家」である。領土拡大に執着している姿は、100年も遅れている行動である。その意味で、中国もロシアも変らないのだ。

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    中国は、「新質生産力」の名のもとにAI(人工知能)、ロボットなどに力を入れている。27~28年に自給自足化を目標としているが、素材や製造装置では圧倒的に海外へ依存している。その意味では、半導体の自給自足化は遠い先の話だ。

     

    問題は、成熟半導体ですら自給自足できない段階で、AI半導体の完全自給自足は飛躍した目標である。成熟半導体の自給自足に失敗している要因は、「製造装置依存」「材料依存」「設計力不足」の三重苦の結果である。この段階で、AI半導体の完全自給を目指すのは飛躍的過ぎ、失敗する確率の方が極めて高いと指摘されている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月6日付)は、「中国AI半導体『自立自強』への道 材料や装置は苦戦」と題する記事を掲載した。

     

    米国によるハイテク分野の対中輸出規制の影響で、中国は現在、半導体の国産化を急いでいる。国策銘柄との位置づけから株式市場では半導体関連への期待が高まっているが、各社の業績に目を向けると、国産化の道のりは分野によって進捗度に差が出ているのが実情だ。

     

    (1)中国当局は「自立自強」を加速する方針を打ち出し、米国に依存しないサプライチェーン(供給網)の構築を進める。国産人工知能(AI)半導体の本丸となる華為技術(ファーウェイ)は9月、2028年までにAI半導体4製品を投入するロードマップを公開した。中国新興AI・DeepSeek(ディープシーク)は8月にリリースした新型の大規模言語モデル(LLM)について、「次世代の国産チップ向けに設計」すると明言した。中国の信達証券は「中国のAI計算がソフト・ハード両面で国産化に向けて協調し始めていることを意味し、海外への依存を減らす効果がある」と期待する」

     

    成熟半導体ですら自給できない段階で、AI半導体に巨額投資を行えば、成果が限定的となり「投資効率の悪化」が避けられない。国家資金が研究開発に集中することで、他の産業への投資が不足し、経済全体のバランスを崩すリスクが高まる。

     

    AI半導体へウエイトを移しすぎると、成熟半導体の生産不足が続き、自動車・家電・産業機械など基盤産業が打撃を受ける恐れが強まる。結局、AI半導体に偏重することで「基盤産業の弱体化」と「ハイテク分野の過剰投資」が同時に進むという矛盾が起こる。このほか、中国のスパイ行為などが国際的に注目されることで、国家としての信頼性欠如が起っている。この結果、中国製AI半導体は国際市場で採用されにくいリスクを抱えるであろう。こうした事情によって、中国AI半導体は「国内限定技術」となり、輸出市場を失い外貨獲得が難しくなる危険性と隣あわせである。

     

    (2)「中国版エヌビディアとも呼ばれる中科寒武紀科技(カンブリコン)の2025年1〜9月の売上高は前年同期比14.9倍の46億元、最終損益は16億元の黒字(前年同期は7億2400万元の赤字)となった。79月期でみても売上高は14倍と、業績は飛躍的な伸びが続いている」

     

    カンブリコンの業績は、飛躍的な伸びが続いている。ただ、国家としての信頼性低下から、国内限定製品に終るリスクを負っている。

     

    (3)材料分野はまだ国産化が進んでいるとはいいづらく、海外製に頼らざるをえない面が多い。日本が強みを持つ半導体の回路形成に使うフォトレジスト(感光材)の分野では、日本企業が対中輸出を停止したとする韓国メディアの報道もあった。木原稔官房長官は報道を受けて「変更は行っていない」と発言したものの、中国勢にとっては外部依存リスクが懸念される分野だ」

     

    このパラグラフは、中国半導体の弱点を表わしている。半導体素材では、日本へ大きく依存しているからだ。

     

    (4)「仏調査会社ヨールは、2027〜28年に中国の半導体製造は自給自足を達成すると見込む。製造装置の国産化については「進展しているものの限定的」とし、2030年に52%に達する可能性があるとしている。先端半導体の製造に不可欠な露光装置についても、非上場の上海微電子装備集団(SMEE)などが技術向上に取り組んでいるものの、AI半導体サプライチェーンのボトルネックになっている状況だ。中国半導体チェーンは一定の成果が見え始めてきたものの、なおも変化のまっただ中にある」

     

    技術的な弱点を多く抱えているだけに、余りにも自給自足に拘っていると大きな失敗が起きる懸念を抱えている。

     

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    中国の戦狼外交が、世界的な話題になっている。日本を「侵略者」呼ばわりするほど、エスカレートしているが、当の日本は冷静な対応をしており注目されている。ドイツでは、この日本の対応ぶりに改めて注目している。日本は、すでに10年以上も前から、「脱中国」によって距離を置き、経済安全保障の確立を目指してきたことが、中国へ余裕を示せる理由としているのだ。

     

    『レコードチャイナ』(12月6日付)は、「中国との向き合い方は日本に学ぶべき独メディア」と題する記事を掲載した。

     

    独メディア『ドイチェ・ヴェレ(中国語版)』(12月5日付)は、「中国との向き合い方は日本に学ぶべき」との独紙ハンデルスブラットの報道を紹介した。

     

    (1)「ドイチェ・ヴェレの記事は、ハンデルスブラットが「日本の(高市早苗)首相が台湾に関する発言を行って以来、中国政府は経済面と外交面で日本に対して激しい攻勢を仕掛けてきた。しかし、中国からの威圧に対し日本はあまり動じていない。というのも、日本はすでに10年前から『脱中国依存』戦略を進めてきたからである」と報じたことを挙げ、ドイツのヴァーデフール外相も先ごろ「日本は経済安全保障の道を、私たちより10年早く歩み始めていた」と述べていたことを紹介した」

     

    日本は、中国に関して世界で一番詳しく研究している国だ。中国は自国が、他国よりも経済的に優位に立ったとみたとき、最も傲慢な振舞をする国である。今、その醜い側面が「満開」状態だ。中国が、こういう特性を持っている以上、いつ、「牙」を剥くか分らないゆえに、日本は「脱中国」の準備を進めてきた。重要鉱物資源の在庫保有もその一環である。

     

    (2)「その上で、「ドイツは(日本と)同じ道をどのように歩み始めるべきか」とし、元駐豪日本国大使の山上信吾氏がハンデルスブラットのインタビューで「中国は今や大国としての野心を隠さなくなった。相手として認めているのは米国だけで、日本やドイツはすでに眼中にない。こうした状況においては強固な同盟関係を築くべき」との見方を示したことを伝えた」

     

    ドイツは、遅ればせながら日本に倣って「脱中国」への準備を始めるべき、としている。中国は、相手国が同盟を結んで協調することをもっとも嫌う国である。この特性を生かして、団結することが中国へ打ち勝つ方法である。「合従連衡」という言葉の意味は、現代にも生きているのだ。

     

    (3)「ドイチェ・ヴェレは日中関係悪化の発端となった高市首相の「台湾有事」をめぐる発言について、「これまで台湾問題を公に論じるのは、退任後(在任中ではない)の日本の政治家に限られてきた。この(高市氏の)言葉は、必要な場合には日本が軍事支援を行う可能性を示すシグナルとして解釈できる」と評した。そして、「台湾への攻撃は、日本の領土や島嶼にある米軍基地に波及する可能性があるほか、日本政府は中国が台湾を掌握した場合、周辺の重要な海上交通路が遮断される恐れがあると懸念している」と説明した」

     

    日本にとっての台湾は、中国からの支配を免れることが経済安全保障上、不可欠である。価値観の全く異なることが、中国を忌避する理由である。

     

    (4)「そして、ハンデルスブラットのインタビューを受けた山上氏が、中国側の一連の強硬姿勢について「驚きはない。中国は経済面で優位に立つと、他国に服従を求め、従わなければ圧力を加えるという手法をこれまでも取ってきた。かつての豪州、そして現在の欧州も中国による経済的威圧を受けている」とし、中国に対しては、毅然と対応すること、個々ではなく同盟を結んで対応すること、台湾問題で西側諸国が共通の立場を明確にして中国に対して「台湾に武力行使をすれば『一つの中国』政策は終わる」ということを示すことなどを挙げたことを伝えた」

     

    明時代の中国は、「朝貢貿易」によって周辺国を支配していた。このときの「傲慢」さが、今も残っているのだ。中国社会は、相手が自分よりも経済的に上と見れば服従するが、逆の場合は居丈高に振る舞う。こういう経済を尺度として、相手を判断する現実を忘れてはならない。

     

     

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    中国は、東南アジアでの覇権意識をギラつかせて周辺国を威圧している。これが、裏目に出ており信頼度が低下している。シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所がまとめた25年東南アジア情勢調査で明らかになった。逆に、日本は7年連続で「最も信頼される国」の座を維持している。中国には、反省の機会となろう。次に、信頼度のデータを示す。

     

        24年    25年

    中国  38.9%        36.6%

    日本  58.9%  66.8%

     

    このデータは、中国の強硬な外交姿勢や南シナ海での行動が、ASEAN諸国の警戒感を高めていることを示唆している。 一方で日本は、制度的信頼・国際法の尊重・経済協力の安定性といった点が、評価を高めている。

     

    『ブルームバーグ』(12月5日付)は、「日本の信頼アップ、東南アジアで中国の言動裏目」と題する記事を掲載した。

     

    アジアの安全保障地図を塗り替えようとしている中国だが、新しい地図は意図した形にはならないもようだ。南シナ海での放水銃による威嚇から台湾を巡る強硬な言動といった中国の振る舞いが、かつては想像できなかった安全保障環境を生み出している。アジアの周辺国が歓迎しているのは、地域の安定に寄与する役割を高めつつある日本だ。

     

    (1)「中国の経済的影響力が強まってきた地域で、しかも中国が自国の「勢力圏」と見なす国々で、微妙ながらも大きな意味を持つ変化が進んでいる。東南アジアは、歴史的なライバルである日中が競い合う新たな舞台になりつつある。中国のネットユーザーやコメンテーターから最近、シンガポールのローレンス・ウォン首相に対し、日本の側に立ったと非難する声がオンライン上に広がった。ウォン氏は、多くのシンガポール人と同じく中国系だが、同氏を批判する勢力には、香港メディアや上海拠点の極端なナショナリスト系サイトも加わった」

     

    シンガポールのローレンス・ウォン首相は中国系だが、日本の過去の過ちよりも現在の誠実な姿勢を高く評価する発言をした。これが、中国系の人たちから不評を買っている。

     

    (2)「ウォン氏に対する反発のきっかけは、11月19日の「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」での何の問題もないような発言だった。台湾を巡る日中間の緊張について問われたウォン氏は、両国が対立を解消する道を見いだすことを望むとした上で、「歴史は脇に置いた。われわれは前に進んでいる」と述べた。同氏の言う歴史とは、1941~45年にかけての旧日本軍による広範な東南アジア占領で、苛烈な残虐行為があった時代だ。ウォン氏の発言は、日本と東南アジアの変化の大きさを映し出している。同氏は安定を担保する存在である日本がより大きな役割を果たすことを、シンガポールを含む東南アジア諸国が支持すべきだと語った」

     

    ウォン氏は、日本が安定を担保する存在あることに対して、シンガポールを含む東南アジア諸国が支持すべきだと語った。この発言が、中国系から批判されている。

     

    (3)「この一件から分かるのは、台湾有事を巡る高市早苗首相の発言への激しい批判といった中国の強硬姿勢は、裏目に出ているということだ。中国とは対照的に、日本政府は冷静を保つよう促し、落ち着いた外交を展開している。米国が国内対応や欧州・中東の危機で手一杯となる中、日本は政府安全保障能力強化支援(0SA)を通じて「同志国」を支援する形で自らの役割を強めている。2023年には東南アジア諸国連合(ASEAN)と海洋安全保障でより緊密に協力すると約束したが、これは南シナ海の領有権問題を巡り中国との緊張が高まる中での対策だと、広く受け止められている」

     

    中国は、高市発言に対して強硬姿勢であるが、日本は落ち着いた外交を展開している。これが、東南アジアで評価さらに高める要因になっているという。日本外交は、売り言葉に買い言葉でないことが信頼度を高めている。

     

    (4)「戦争は忘れられたわけではない。だが、人々はウォン氏の言う通り前に進んでいる。第2次世界大戦で敗戦国となった日本は、専守防衛を除き武力行使を禁じる平和憲法を採用した。15年の安全保障法制整備で防衛の枠組みが広がり、密接な関係にある国やその国民の安全を守るため日本が支援に動くことが可能になった。現在、日本は東南アジアで最も信頼される大国として一貫して上位に位置している」

     

    過去を背負った日本が現在、東南アジアで最も信頼される大国として一貫して上位に位置している。痛切な反省に基づく行為である。

     

    (5)「日本は、長年にわたる安定した開発支援と予測可能な外交が奏功し、中国経済台頭のはるか以前から信頼できるパートナーだった。中国は、2010年に日本を抜いて世界2位の経済大国になってより複雑な感情が向けられている。同調査では、中国に不信感を抱くとの回答が41.%に上った。経済力や軍事力を用いて、回答者が住む国の主権を脅かしかねないとの懸念が多く挙げられた」

     

    中国に不信感を抱くとの回答が41.%にも上った。信頼度を上回る。中国の大国的振舞が、東南アジアで批判の対象になっているのだ。 

     

     

     

     

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