勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    中国で、急速に普及する自動運転タクシーの安全性が、問われる事態が起きた。湖北省武漢市で3月31日夜、完全自動運転の無人タクシーが突然、路上で相次いで停車し、渋滞や事故を引き起こした。地元警察は「初期判断では、システム障害が引き起こした」としており、けが人は出ていないという。

     

    武漢で100台以上のロボタクシーが同時に停止し、道路の真ん中で立ち往生した。すべて「システム故障」が原因と警察が説明しているという。乗客は車内に取り残され、数時間動けなかったケースもあった。一部は、高速道路や立体道路上で停止し、交通混乱や軽微な事故も発生した。これは、中国で初めての大規模ロボタクシー停止事故である。

     

    『毎日新聞』(4月2日付)は、「中国 無人タクシーの突然停車が相次ぎ交通混乱 システム障害か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国メディアによると、問題が発生したのは中国IT大手の百度(バイドゥ)が運営する自動運転タクシー「蘿蔔快跑(アポロ・ゴー)」の車両。31日午後9時ごろ、武漢市の路上で停車する事態が多数発生。市内各地で渋滞を引き起こし、後続の車が避けきれずに追突する事故も起きたという。高架道路の複数車線の真ん中で車両が立ち往生し、乗客が降りられなくなったケースもあった。一部メディアは、停車した車両は100台を超えると伝えた。この会社は、武漢市内で1000台以上の無人タクシーを運営しているとされる」

     

    中国では、若者失業者が17%前後と高水準である。仕事がなくて「フード・ディリバリー」で生計を立てている人々が多いのだ。こういう失業社会が、米国と張り合って無人タクシーへ進出すること自体、社会的意味はないであろう。主客転倒である。

     

    ロボタクシーの「一斉停止」は、成熟していないAIシステムの典型的リスクとされている。専門家は、「大規模AIシステムには、新しい種類のリスクがある」と指摘する。つまり、個別の車の故障ではなく、システム全体の同期的エラーが起きたことだ。中国政府が、「実証より実装を優先」しているのは事実だ。中国は、自動運転を国家戦略として推進し、 実証段階を短縮して早期商用化を進めてきた。そのスピードが、今回のような「システム全体の停止」を招いたといえよう。

     

    (2)「国内の交流サイト(SNS)では、「誰が責任を取るのか」、「無人運転はやはり怖い」「便利でも安全性をおろそかにしてはならない」との不安の声が上がった。一方で、「対応が迅速で幸いけが人はなかった。今回を教訓により改善していけばいい」、「理性的かつ我慢強く自動運転サービスを見守るべきだ」との意見もあった」

     

    制度が未整備の国ほど、技術トラブルが社会問題化しやすい波乱の芽を含んでいる。それは、事故時の責任の曖昧さが原因である。AIの誤判断か、センサー故障か、地図データの誤りか、運行管理の不備かなど原因が考えられる。この結果、どこまでがメーカー責任か、運行者責任かが決まっていないのだろう。こうして、社会受容性が問われる事態になる。事故が起きると、まず高齢者・子供の安全確保が課題になる。

     

    (3)「自動運転タクシーは、米国と中国が世界をリードしているが、米国でも最近、無人タクシーが立ち往生するトラブルが起きた。ロイター通信によると、2025年12月、米アルファベット傘下の「ウェイモ」が運行する無人タクシーがカリフォルニア州サンフランシスコ市の交差点で相次いで停車し、渋滞を引き起こした。市内の大規模停電によって信号機が作動しなくなったことが影響した可能性があるという」

     

    中国が、米国と競争していること自体がナンセンスである。中国自体は、「世界最強」と錯覚しているが実態は脆弱そのものである。中国のように、失業率が高い社会の目指すべきことは、雇用吸収力の向上である。無人タクシーは、全くの逆走である。ところが中国政府は、AI、自動運転、ロボタクシー、ロボット化を「国家戦略」として急速に推進している。これは、雇用吸収より「技術覇権」を優先する「メンツ重視」の構図である。言葉が過ぎるかもしれないが、「身丈」に合わない目的を目指しているのだ。 

     

     

     

    あじさいのたまご
       

    中国は四六時中、日本の基地へ向けてミサイルの照準を合わせている。攻撃目標にされている日本が、「反撃用ミサイル」を設置したことを批判。「自衛や専守防衛の範囲をはるかに超える。極めて危険だ」と非難した。日本は、反撃用ミサイルである。中国が、日本を攻撃しなければ発射しないという「受け身」である。中国の要求は、日本の「丸裸」を要求するとんでもない発想だ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(4月1日付)は、「中国外務省は1日、陸上自衛隊による長射程ミサイルの配備を非難した。毛寧報道局長が記者会見で「自衛や専守防衛の範囲をはるかに超える。極めて危険だ」と述べ、深刻な懸念を表明した。

     

    (1)「毛氏は、高市早苗政権を念頭に「日本の右翼勢力が安全保障政策を攻撃的な方向へ進めている」と主張した。「日本の新型軍国主義は地域の平和と安定を脅かしている。国際社会は高度に警戒すべきだ」と唱えた。陸自は3月31日、相手の攻撃拠点をたたく「反撃能力」を担う長射程ミサイルを熊本県と静岡県の駐屯地にそれぞれ配備した。いずれも国産で、相手の攻撃範囲外から拠点を破壊できる「スタンド・オフ防衛能力」を備える」

     

    中国の「日本の右翼勢力」とは、随分と人を食った発言である。ならば、お返しは「中国の極左勢力」と呼んででもおかしくない。中国外務省は、まず言葉から慎むべきである。

     

    日本が、反撃能力を持つことが恐ろしいのであろう。正確に命中するからだ。中国ミサイルは、十分な演習を積まず実験室で確認しているだけとされている。これでは、的に命中しないであろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月2日付)は、「日本で進む南西諸島の要塞化 中国台頭に対抗で」と題する記事を掲載した。

     

    日本の防衛当局は長年、中国の台頭を警戒してきた。軍事基地やミサイル兵器といった中国政府の「力」は、日本の先島・沖縄諸島や奄美群島など、南西地域から見れば特に脅威に映る。

     

    (2)「日本は戦略的な「南西シフト」を加速させている。米軍と自衛隊は長らく沖縄本島を拠点にしていた。だが日本は10年ほど前まで、南西諸島の他の島々には防衛網をほぼ敷いておらず、台湾からわずか100キロ余りに位置する最西端の与那国島には、2016年まで駐留部隊を置いていなかった。これらの島々は非常に無防備なうえ、台湾に近すぎると、青山学院大学の松田拓也助教は述べた。2022年に中国が台湾周辺で軍事演習を実施した際には、複数のミサイルが与那国島近くの海域に着弾した。もし中国政府が台湾侵攻を決断すれば、中国は台湾防衛のために米国が介入してくるのを防ぐため、日本の南西地域やそれ以遠にある米軍基地や部隊に打撃を与えようとする可能性がある」

     

    日本は2016年前まで、台湾からわずか100キロ余りに位置する最西端の与那国島に、駐留部隊を置いていなかった。尖閣諸島が毎日、中国によって領海侵犯されながら悠長に構えていた。中国は、こういう日本が理想型なのだ。

     

    (4)「日本が「要塞化」を進めるのは攻撃に対して脆弱な島嶼部を守るためだが、さらなる利点もある。それによって中国の作戦行動の自由な動きを妨げることだ。松田氏はそう指摘する。中国軍の作戦立案者は封鎖を実施する時、米軍を近づけないために台湾の北側や東側に艦船を派遣する。その際、台湾や米国の対艦兵器ばかりか、日本の対艦兵器も考慮に入れる必要が出てくる」

     

    中国軍は現在、台湾の北側や東側に艦船を配置して台湾を威嚇している。しかし、与那国島にある日本の対艦兵器も考慮に入れる必要が出てきた。中国外務省は、これを取り上げて日本を非難しているのだ。

     

    (5)「日本が台湾有事の際、関与するのかどうか、それはどの程度なのかは、厄介な法的・政治的な検討事項に左右されるものであり、その一部は日米安全保障条約に起因する。だがこの疑問は日本国内でより明確な形で問われている。高市早苗首相は昨年、中国が台湾を武力で奪おうとすれば、日本も巻き込まれる可能性があると述べた。松田氏は、日本が台湾有事は日本の有事だと言うとき、それは実際に台湾海峡に行って台湾を助けることではなく、台湾を巡る武力紛争は日本の領土防衛と不可分だということを指すと述べた。それが結果的に台湾を助けることになるという」

     

    日本では、台湾を巡る武力紛争が、日本の領土防衛と不可分という認識である。中国軍による台湾海峡封鎖は、国際法的に言えば「戦闘行為」である。日本の自衛権の侵害なるのだ。中国は、台湾は自国領と決めつけており、「煮て食おうと焼いて食おうと自由」という200年前に通じた専制社会の理屈を言い募っている。こういう独善的な屁理屈で、日本を非難しているのだ。

     

    (6)「元防衛相の河野太郎氏は、海上保安庁の船が毎日、尖閣諸島で中国の小型砲艦を追い払っていると述べた。河野氏は、中国軍は増強を続けており、空母を配置し、戦闘機や潜水艦の数を増やしていると指摘。日本はもっと早く動くべきだったが、後れを取ったと述べた。16年、陸上自衛隊は与那国島に「沿岸監視隊」を創設し、恒久的なプレゼンスが実現した。19年には近くの2島に駐屯地を開設、23年には別の島にも駐屯地が置かれ、連続した防衛拠点が築かれた。現在、地上配備型長距離防空システム「パトリオット」などのミサイルを運用する一連の部隊が配備されている。固定式・車載式・航空機搭載式のレーダー設備がアップグレードされ、脅威を追跡している」

     

    16年、陸上自衛隊は与那国島に地上配備型長距離防空システム「パトリオット」などを配置した。迎撃用である。中国が攻撃しない限り迎撃はない。立派な専守防衛である。

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    米国の仕掛けたイラン戦争で、中国はプラスかマイナスかの評論が出ている。3月中頃までは、中国が安いイラン産石油に依存してきただけに、大きな打撃を受けるとされてきた。だが最近は、事態が長期化すれば安保・経済の分野でむしろ有利という分析が散見される。本当はどうなのか。

     

    結論を先取りすれば、プラスではない。原油高が、国内物価を押し上げてコストプッシュを招くので、「スタッグフレーション」のリスクが高まるのだ。それは、国内の不満を招くので習政権にマイナスとなろう。対外的には、世界の肥料輸出2位の中国が、イラン戦争を機に肥料輸出を止めて途上国から不満を買っている。これもマイナス要因である。

     

    『中央日報』(4月2日付)は、「『イラン戦争は中国に大きな打撃』…この予測が完全に覆った理由」と題する記事を掲載した。

     

    米国・イスラエルとイランの戦争が地上戦に拡大する可能性が高まる状況で中国が漁夫の利を得るという予測が続いている。戦争初期には安いイラン産石油に依存してきた中国が大きな打撃を受けるという見方が大半だったが、事態が長期化し、中国が安保・経済分野でむしろ利益を得るという分析だ。

     

    (1)「『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は29日(現地時間)、「イラン戦争は中国の超強大国の地位を強める」と題したコラムで「中国は覇権競争でこの紛争を有利に活用するはず」と予想した。米シンクタンクのワシントン近東政策研究所も「現在として北京は失うものがほとんどない」と説明した。主要海外メディアがこのように予測する最大の理由は安保的側面にある。米国は2011年、外交・軍事政策の中心を中東からアジア・太平洋地域に転換するとして「アジア回帰」を宣言したが、また中東に引き込まれる姿だ」

     

    トランプ米大統領は、4月1日に「2~3週間でイラン撤退」と米国民に向け演説した。これは公約である。ドロ沼の陸上戦にならない以上、短期決戦で終わる。

     

    (2)「実際、東アジアの米安保資産の一部が中東に向かう状況で戦争が長期化すれば、台湾海峡と南シナ海で中国の戦略空間は広がる。国立外交院の印南植(イン・ナムシク)教授は「西太平洋への進出を望む中国を米国が防いできたが、米戦略資産が(中東に)移動し、中国は安保戦略レベルで非常に気持ちが楽になったはず」と説明した。ブルームバーグ通信も「現在、中国が台湾との緊張を高めているわけではないが、台湾は不安を感じている」と指摘した。米国のミサイル在庫回復に数年かかるという点が(米国の)台湾防御などに深刻な影響を及ぼすと伝えながらだ。軍事戦略では実質的利益を得ることができる。地政学専門メディアのモダンディプロマシーは「中国がその間、イランに提供した空中探知レーダーなど各種軍事技術・装備の実戦性能を試す機会」と報じた。また、イラン戦争は中国が米軍戦略を学習する機会でもある」

     

    中国の台湾侵攻計画は、米海軍の潜水艦部隊が台湾海峡で阻止する。爆撃部隊も待機している。米軍の中東移動でもアジアに空白は起こらないのだ。中国が、イランへ提供した空中探知レーダーは、米軍とイスラエル軍によって簡単に破壊されている。実戦性能は落第であったことが証明された。

     

    (3)「経済的な側面でも中国は大きな心配はない。ホルムズ海峡封鎖で世界経済が動揺しているが、中国は数年間にわたり原油備蓄量を攻撃的に増やしてきたため衝撃が少ない方だ。原油備蓄量が世界最大規模で12~14億バレルにのぼり、4カ月間ほど持ちこたえることができる。ロシア産原油を低価格で長期契約した影響も大きい。FTは「(相対的な原油価格安定などで)中国輸出業者の競争力が当分は高まる」と予想した。いくつか変数があるが、ホルムズ海峡で通行料を受けるというイランが人民元で積極的に取引する場合、中国の長い念願事業「ペトロ人民元(石油の人民元決済)」が制限的ではあるものの土台を築くことができる」

     

    中国の原油備蓄量は、国家と商業合わせて13億~15億バレルで、90~120日分に過ぎない。日本の240日分の備蓄からみれば、最大限で半分のレベルである。中国が、日本の半分しか備蓄していないのは、財政負担が大きく断念した結果である。イランが、ホルムズ海峡で通行料徴収などあり得ないことだ。公海通過で通行料とは前代未聞である。


    (4)「イラン戦争で原油価格が上昇すると、エコエネルギーに対する関心が世界的に強まり、中国が関連産業(グリーンテック)を掌握するという見方が出ている。中国企業が太陽光パネル、バッテリーなどエコエネルギー設備のグローバル製造能力の約70%を握っているからだ。FTは「最近、中国主要バッテリー企業3社の時価総額が700億ドル以上増えた」と伝えた。今回の戦争で淡水化・製油施設などインフラが破壊されたガルフ国が今後再建に入る場合、中国が先導する確率が高いという分析(欧州シンクタンクの欧州外交協会)もある。


    淡水化は、日本の技術が先行している。ガルフ国(湾岸諸国)は、イランと密接な中国へ距離を置き、米国へ接近している。UAE(アラブ首長国連邦)は、日本と密接になっている。オマーン湾のフジャイラ港から、インド洋沖で積み替えた約180万バレルの原油が、日本へ向っている。4月中旬に到着する。日本が、中国よりも選ばれているのだ。



     

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    中国の越境EC(通販)商品が、EU(欧州連合)において危険で超安値販売により問題を引き起している。背景は、中国の長引く不況を反映して、業者が違法ビジネスに走っている結果だ。しかも、超安値であることでEU産業へ深刻な打撃を与えており、EU議員団は、8年ぶりに訪中して事態の解決を迫っている。

     

    日本でも、中国EC(特にTemu・SHEIN)による問題は確実に起きているただしEUほど大規模な政治問題にまだなっていない。理由は、日本では規制が緩く、監視体制が弱いためだ。消費者の被害が、個別のトラブルとして処理され、EUのように「産業保護」「安全保障」と結びつけて議論されていないためだ。事態は、猶予ならないほど差し迫っている。韓国でも、詐欺まがいの深刻な状況を迎えている。

     

    『ロイター』(4月1日付)は、「EU議員団が訪中、中国製品の安全性と市場開放で圧力」と題する記事を掲載した。

     

    欧州連合(EU)の議員団は、中国製の危険な製品の流入や市場アクセスの不足を巡り、中国側に懸念を伝えた。EU議会による中国訪問は8年ぶりとなる。

     

    (1)「今回の訪問は3月31日に始まり、EUが関税制度の見直しで合意した直後のタイミングとなった。主に中国の電子商取引(EC)プラットフォームを対象に、違法または安全基準を満たさない製品の流入に対する取り締まりを強化し、違反時には罰金を科す可能性がある」

     

    EU議員団は、中国に対し製品安全性の欠如や市場開放の不公平を強く警告している。背景には、中国製品の大量流入による欧州産業の空洞化。それと安価なEC商品の品質問題である。安全基準を満たさない玩具・電気製品の流入が問題を引き起している。これらの問題に対して、EUはすでに反補助金調査、反ダンピング、外国補助金規制、デリスキング政策などを発動している。中国ECは、安全保障問題として扱われているのだ。

     

    中国ECが、これほど多岐にわたる問題を提起しているのは、不動産バブル崩壊の後遺症が、徹底的に弱小企業の経営基盤を潰した結果だ。具体的には、消費不振がノンモラルな商品を販売するほど窮迫させている。

     

    (2)「現在、EUは150ユーロ(約173.42ドル)未満の小口貨物に関税を課していない。この免税措置により、SHEIN(シーイン)やTemu(テム)、アリエクスプレスといった中国発EC企業が、消費者向け商品を直接発送する形で急成長してきた。議員団は、欧州議会の域内市場・消費者保護委員長であるアンナ・カバツィーニ氏が率い、中国の市場監督当局や全人代の関係者と北京で会談した」

     

    中国ECビジネスは、EUの小口貨物関税の免税措置によって、EU市場へ食い込んでいる。米国は、すでにこの制度を中国製品関しては取り止めている。制度を「悪用」しているからだ。

     

    (3)「EU側は会談で、製品安全や消費者保護、強制労働、未成年のオンライン保護、EU企業の中国市場へのアクセスなど、幅広い課題を提起した。中国の国家市場監督管理総局との会合では、「中国から大量に流入する危険で規格に適合しない製品」への懸念を伝え、オンライン市場の責任や公正競争の確保についても協議した」

     

    次のような問題が引き起されている。安全基準を満たさない電気製品の流入。模倣品・偽ブランド品の大量販売。化学物質規制を満たさない子供用品販売。返品不可・連絡不能などの消費者トラブルの発生などだ。日本の場合、これらは 「個別の消費者トラブル」として扱われ、国家レベルの産業政策・安全保障問題として扱われていないのが、EUとの大きな違いでる。日本は、問題を中国のEC制度として取り上げていない結果であろう。

     

    (4)「EUは、急増する低価格EC貨物への対応に苦慮している。25年には流入件数が58億個に達し、その9割以上が中国からと推計されている。域内では関税徴収と安全検査の一体的な運用を目指している。議員団は訪問中、SHEINやアリババ、Temuの関係者とも面会する見通し。SHEINについては、2月に児童を想起させる性的玩具の販売を巡り調査が行われており、その対応も議題となる見込みだ」

     

    中国は、「貧すれば鈍する」という最悪事態を迎えている。中国経済モデルが、「消費軽視」という悪弊を生んでおり、これがビジネス・モラルを堕落させている大きな要因であろう。

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    台湾海峡閉鎖は戦争行為

    海自潜水艦は世界一水準

    海の静かなる忍者の素顔

    米軍諜報力で事前に捕捉

     

    日中関係は、「冷戦」そのものという厳しい事態である。中国当局が、意識的に「日本締出し」へ動いているからだ。日本企業が、最も進出している先の一つ無錫市(むしゃくし 江蘇省南部)は、有名な観光スポットでもある。日本では、「無錫旅情」という唄まであったほどの人気だ。その無錫市で、3月25日に開催された桜の植樹行事に、日本側の関係者は一人も招待されなかった。

     

    1988年に始まったこの行事で、日本側の関係者が出席しなかったのは新型コロナ時期以外で初めてである。この街で賑わっていた日本式の看板や装飾物の多くが、すでに撤去されるという徹底ぶりである。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というこのやり方に、唖然とさせられるのだ。

     

    中国が、ここまで日本を「敵視」している裏には、例の高市首相発言がある。「台湾に対して戦艦による武力行使を行った場合、それは明らかに日本の存立危機事態になり得る」(2025年10月)という主旨である。いわゆる、「台湾有事は日本有事」とされる内容が、この高市発言には凝縮されている。

     

    中国は、日本の「存立危機事態」という立法精神が何を意味するか、すでに認識しているはずだ。だが、高市首相発言は、中国の台湾侵攻(戦艦による武力行使)によって、日本の存立危機事態を招くので、集団自衛権の発動(武力行使)に踏み切るという示唆である。中国は、これを重大視して「冷戦」状態へ持ち込んだ。

     

    中国は、台湾侵攻で米軍の介入を既定事実として受け取っている。そこへ、自衛隊が存立危機事態で参戦すると、人民解放軍は二重の負担を強いられて、継戦能力に重大障害が起こると認識している。具体的には、海上自衛隊の潜水艦部隊の投入だ。さらに、豪州海軍の潜水艦も加わるであろう。中国が、最も厄介な相手としているのは、海上自衛隊潜水艦の存在である。海自の潜水艦は、米海軍から「サイレント忍者」と評価を受けるほど敏捷である。気付いたら、日本の潜水艦が現れていたという意味だ。実戦では敗北必至である。

     

    海自潜水艦は、米海軍も舌を巻く高い「静謐性」(せいひつせい)を保持している。海中で、ほとんど音を出さないのだ。これは、日本造船技術の高さと乗員の高度の操作技術の結果と評価されている。有名な話として、海自潜水艦の真上に中国潜水艦がいたという事実がある。中国潜水艦は、自らの発する騒音で海自潜水艦の存在を把握できなかったという失態を演じた。

     

    実は、中国による台湾侵攻作戦のカギを海自潜水艦が握っている。中国輸送船が、台湾海峡横断中に遭遇する最大の難所は、世界一の評価を得ている海自潜水艦の待ち伏せ攻撃とされている。実戦能力で、中国潜水艦部隊をはるかに凌いでいるのだ。中国は、こうした現実を突きつけられている以上、高市発言によって台湾侵攻を不可能にさせる「絶望感」を抱いているに違いない。現状は、「破れかぶれ」の精神状態になっているのであろう。

     

    台湾海峡閉鎖は戦争行為

    中国は現在、あらゆる手段によって日本を威圧し、存立危機事態を発動させまいと行動している。イラン戦争によるホルムズ海峡閉鎖が、原油輸送を止めていることからも分かるように、台湾海峡閉鎖の事態になれば、台湾海峡は公海である以上、国際法に従って実力排除の権利を与えられる。台湾海峡閉鎖は、戦争行為とみなされるからだ。中国は、台湾海峡を公海として認めないという「暴言」を吐いている。最も狭い部分で130キロメートルに及ぶ海峡が、公海でないとの主張は不可能である。

     

    公海の封鎖は、「武力攻撃」に当る。国連憲章51条は、武力攻撃を受けた国に「自衛権」発動を認めている。海上封鎖による被害国は、これによって自衛権の発動が可能になるのだ。これが、法的な枠組みである。こうした経緯から言えば、高市発言は何ら国際法を逸脱したものでなく、各国共通の認識を得られる内容である。

     

    このような客観的事実を踏まえると、中国にとって高市発言は、絶対に受入れられないという追詰められた状況になろう。習近平氏は、台湾侵攻を前提に憲法を改正させてまで国家主席2期限度を撤廃させた。その「目玉目標」の台湾侵攻が、高市発言による海自潜水艦出動で不可能になる。こういう事態の想定は、習氏にとって切歯扼腕(せっしやくわん)せざるを得ず、日本へあらゆる威圧を掛けて他国の「見せしめ」にしようとするほかない。当面は、韓国がその目標である。中国へ軍事力を使わせないように仕向けたいのだ。

     

    日本は戦後一貫して、尖閣諸島の問題を除けば、中国に対して反撃しない、争わないという「静観」姿勢を取ってきた。中国は、これを利用している。日本は「安全な敵」と位置づけてきたのだ。それ故、経済報復しやすい国になっている。「叩いても反撃されない国」扱いである。だが、中国は高市発言について日本の政界や産業界から、誰一人も中国へ「説明=仲介」に立たない点を見落としている。それは、高市発言が国際法に則っている結果である。中国の淋しい「独り芝居」に終っているのだ。

     

    海自潜水艦は世界一水準

    日本防衛の最大の「武器」の一つは、前述の潜水艦部隊の強化であろう。日本の潜水艦は、サイレント忍者と呼ばれるほど、海中での敵殲滅能力が高いという評価である。中国海軍は、海上自衛隊の潜水艦部隊が台湾海峡に潜んでいるだけで、慎重な行動が要求されるのだ。習氏が、日本へ可能な限りの威圧を続けざるを得ないのは、この「恐怖感」とみられる。海自潜水艦の高能力は、ひとえに造船技術の高さにある。海中では、騒音を無限に出さない「神がかり的な技能」が要求される。中国は、日本の真似ができないのだ。(つづく)

     

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