勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    主要7カ国(G7)などの財務相は12日、ワシントンで会合を開き、中国産レアアース(希土類)への依存を減らす方法について協議した。閣僚らによると、協議の内容には価格の下限設定や、代替供給源を構築するための新たなパートナーシップなどが含まれている。日本は、南鳥島の海底レアアース資源賦存が確認されているが、まだ商業掘削に至っていない。こういう間隙で、中国のレアアース輸出禁止措置に遭遇した。それだけに、今回の国際協調は「時間稼ぎ」という点で大きな力になる。

     

    『ロイター』(1月13日付)は、「G7や豪印など、レアアースの対中依存度引き下げ協議」と題する記事を掲載した。

     

    主要7カ国(G7)などの財務相会合は、ベセント米財務長官が主催。G7に加え、オーストラリア、メキシコ、韓国、インドの財務相も参加した。グリア米通商代表部(USTR)代表や米輸出入銀行、JPモルガンの代表者も出席したが、会合後の共同声明は発表されていない。

     

    (1)「米財務省によると、ベセント氏は「重要鉱物、特にレアアースのサプライチェーンを確保し、多様化するための解決策を議論すること」を求め、各国が中国との「デカップリング(切り離し)」ではなく、慎重な「デリスキング(リスク低減)」を追求することに楽観的な見方を示した。中国はレアアースに対して厳格な輸出管理を課している。片山さつき財務相は記者団に対し、レアアースの中国依存を迅速に低減させる必要性について、幅広い合意が得られたと発言。中国以外からのレアアース供給を強化するため、短期的、中期的、長期的な政策アプローチの概要を説明したという」

     

    現時点では、「中国の対日レアアース輸出規制に対する代替供給の道筋に完全なメドがついたとは言えないが、確実に前進している」というのが実態だ。今回の財政相会合には、G7加え、豪州、インド、韓国、メキシコ、EUなど幅広く参加している。レアース生産国の豪州・インド・メキシコが加わったことで、レアアースの融通問題が議論されていることは十分予想できる。

     

    日本は、最新式のレアアース精錬技術(湿式精錬や溶媒抽出法の高度化)を持っている。既存の物理的精錬法でなく化学的精錬法である。小規模鉱山での低コスト精錬が可能で、環境を破壊しない技術である。この技術を提供すれば、レアアースの生産量が増えるので日本にとっては、技術提供の見返りにレアアースを輸入できるという「バーター方式」が可能になる。

     

    (2)「片山財政相によると、労働条件や人権の尊重といった基準に基づいた市場の創出に加え、公的金融機関による支援、税制・金融上のインセンティブ、貿易・関税措置、検疫措置、最低価格の設定など、幅広い政策ツールの活用が含まれる。こうした措置を確約することの重要性を強調したという。ドイツのクリングバイル財務相によると、会合ではレアアースの中国による市場支配や、供給過剰による価格下落に対抗し、中国以外の生産国が最低限の水準を確保できるよう価格の下限設定について協議した」

     

    片山財政相は、「労働条件や人権の尊重といった基準に基づいた市場の創出」と抽象的発言をしているが、日本の化学的精錬法の提供を申し出たとみられる。レアアース精錬で起こす環境破壊を防げるからだ。つまり、「労働条件や人権の尊重」である。片山氏は、言葉を選んで「本質」を語っている。

     

    (3)「ドイツ財政相クリングバイル氏は、「誰かに対抗するためではなく、パートナー間の協力を強化するための措置」とし、「最低価格を設定することの利点として、市場で予測可能な価格を把握できるようになることのほか、市場価格に影響を及ぼそうとする国の影響力を最小化できることが挙げられる」と語った。ただ、多くの課題は依然として未解決。クリングバイル氏は、「向こう数週間で明確にしなければならない課題が数多く残っている」と述べ、財務相だけでなく、外相やエネルギー担当相の協議も必要になるとの認識を示した」

     

    ドイツ財政相は、中国を刺戟しないように注意深く発言している。レアアース価格の高騰を防ぐシステムづくりが話し合われたのは、需要を満たす方法(レアアースの融通)の進展を示している。

     

    (4)「クリングバイル氏によると、中国は今回の会合について今のところ反応していない。同氏は、レアアースと重要鉱物の供給が、今年のG7議長国であるフランスのもとで中心的な議題になるだろうと述べた。ただ、同氏は対中包囲網の形成には警鐘を鳴らし、欧州は重要な原材料の供給源を独自に開発するため、より迅速に動く必要があると強調した。「私にとって非常に重要なのは、欧州が傍観しないことだ」とし、「われわれは行動を起こさなければならない」と述べた」

     

    EUは、日本の都市鉱山技術(化学的精錬法)を取り入れる方針であろう。

    (5)「同氏はまた、ドイツの新しい原材料基金を例に挙げ、欧州連合(EU)レベルでさらなる資金調達が必要だと発言。EUがリサイクルについても早急に動く必要があるとし、依存度の低減と供給の拡大で「大きな潜在力」があるとした」

     

    EUは、日本のレアアース技術と在庫積増し方式に学ぶ方針である。


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    米国は、自らの覇権維持に強い執着を持っている。自国経済に迫る「ナンバー2国家」の存在に過剰な警戒心をみせるのだ。1980年代後半、米国は異常なまでの日本叩きを行った。日本製TVや自動車をたたき壊すという「ショー」を行ったのだ。

     

    現在の米国は、中国へ異常な警戒である。中国が、人口14億の国だけにその「潜在力」に不安を覚えるのであろう。この中国は、「張り子の虎」である。急速に軍事力を蓄えているが、今回の米軍によるベネズエラ急襲で、中国製防空網は無力であった。これは、中国の偽らざる実力が、露呈されたのだ。

     

    米軍の装備は、実戦を通して検証された武器である。中国の装備は、実験室で性能をチェックした程度であり、実際の戦場に投入すると問題が多いとされる。米軍は、武器の欠陥を見いだすことを出発点とするが、中国は美しいデータを上部に提出することを出発点とする。この差は、極めて大きいのだ。つまり、準備過程が米中では全く異なるのである。

     

    一事が万事で、「精巧」な米国と「粗雑」な中国では、レベルが異なる。それにもかかわらず、米国は「14億の人口」で中国を過大評価している結果、自虐論に陥り「ドンロー主義」を唱えるという事態になった。ドンロー主義とは、19世紀の「モンロー主義」にトランプ氏の名前「ドナルド」を組み合わせた造語である。モンロー主義(米孤立主義)の現代版と位置づけられている。

     

    米国が、危惧する中国の中南米進出は、米国の膝元を脅かす力まで成長するのか。中国は、中南米の資源確保が目的である。同時に、台湾と国交を結ぶ国々を減らすという目的も含められている。中国は、国力衰退危機に直面している。米国を凌ぐような実力を持てる国になるとは、想像を超えた話であろう。米国は、自虐論に陥っているとみるほかない。中国を過大評価しているのだ。

     

    ユーラシアグループが発表した26年「世界の10大リスク」では、第3位に「ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)」を取り上げた。

     

    米トランプ政権は、西半球への支配権を主張するために、モンロー主義の論理を復活させ、 再解釈している。19 世紀のモンロー主義が域外勢力によるアメリカ大陸への介入を警告したのに対し、ドンロー主義はその概念を広げている。西半球における中国、ロシア、イラン の影響力を抑え込むだけでなく、軍事的圧力、経済的強要、選別的な同盟構築、そして積極的に米国の優位性を主張しようとしている

     

    (1)「そのパターンは2025年に明確化した。麻薬船とされる船舶への攻撃、コロンビアとメキシ コへの軍事行動の威嚇、コロンビア大統領やブラジル連邦最高裁判事への制裁、運河管理を めぐるパナマへの圧力、ニカラグアへの新たな制裁とキューバへの規制強化、不法移民の国 外退去協力と引き換えのエルサルバドルのナジブ・ブケレ政権との関係強化、ハビエル・ミ レイ大統領の政治的追い風となるようタイミングを合わせたアルゼンチンへの 200 億ドル の救済、そして米裁判所で麻薬密売の有罪判決を受けた前ホンジュラス大統領への恩赦で ある」

     

    中南米は、米国に取って麻薬持ち込みなど厄介な存在だが、米国移民という大きなプールでもある。先進国がこれから労働力不足に直面する中で唯一、米国だけがこれを免れるという幸運な立場にあるのだ。いくら政治は反米でも、中ロへ移民したい人たちがいるはずもない。

     

    (2)「中心となるのはベネズエラだ。高リスクの賭けはすでにトランプに大きな勝利をもたらし た。数カ月にわたる圧力のエスカレーション――制裁の拡大、ニコラス・マドゥロ大統領へ の5000万ドルの懸賞金、ここ数十年で最大規模となったカリブ海での海軍部隊展開、ベネ ズエラ領空の閉鎖、石油タンカーの臨検・拿捕、ベネズエラのタンカー航行の全面的な封鎖――の後、米特殊部隊が急襲に成功し、マドゥロは米国に連行され、刑事訴追された。ベネ ズエラには対応する能力がなく、地域内外のいかなる国も実質的な行動を取らなかった。ト ランプは、独裁者を排除し、彼を裁きにかけた功績を主張するだろう。しかも、彼が一貫し て掲げてきたレッドライン――地上部隊の持続的な派遣はしない――を破らずにそれを行 った」

     

    ベネズエラへの一件は、米国の「予防戦争」の一種であろう。陸上兵力を送ることは先ずあるまい。それは、米国自体がドロ沼にはまることだ。「百罰一戒」の類いであろう。他の中南米「反米国」へ与えた衝撃は大きかった。中ロの受けた衝撃も同様だ。

     

    (3)「困難なのはこの後だ。ベネズエラの 体制は大部分が無傷のままだ。内相ディオスダド・カベージョ、国防相ブラディミル・パド リノ・ロペス、副大統領デルシー・ロドリゲスとその兄であるホルヘ・ロドリゲス国民議会 議長――チャベス派の権力装置全体が、この急襲を生き延びたように見える。マドゥロの後 継者は体制内部の人物となり、正統性はすべて持つが銃は一つも持たない民主的野党では ないだろう。野党主導の民主的な政府への道は紛糾するだろう。現在この国を動かし、体制 の犯罪に加担している軍高官らとの恩赦交渉が必要になるが、彼らは改革よりも自らの生 存と利権を優先するだろう」

     

    米国の目的は、反米政権への戒めを与えることであったとみられる。これで、外交的効果は十分であろう。世界一の米軍事力に敵う国はないからだ。ベネズエラ急襲は、「反米」国には悪夢となろう。

     

     

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    中国にとっては手痛い打撃となった。ベネズエラ大統領が、中国特使と会談した数時間後に米軍の急襲を受けて身柄を拘束されたからだ。中国は、事前に何らの兆候も掴めず、まんまと米国の術中に嵌まった。しかも、中ロの防空網がベネズエラ大統領を守っているはずが、何らの役割を果さなかった点で、二重の衝撃を受けている。

     

    『レコードチャイナ』(1月7日付)は、「米国のベネズエラ『急襲』が中国に与えた5つの教訓―独メディア」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツ国際放送局『ドイチェ・ヴェレ』中国語版サイト(1月7日付)は、米国によるベネズエラへの軍事行動が、中国に「5つの教訓」を与えたとする、ドイツ紙ハンデルスブラットの報道を紹介した。

     

    紹介されたのは、独経済紙『ハンデルスブラット』が掲載したマーティン・ベニングホフ氏による寄稿記事。ベニングホフ氏は、ベネズエラが中国にとってラテンアメリカにおける戦略的パートナーであり、長年にわたり経済的影響力と人民元国際化を行使するための実験場でもあったとした上で、マドゥロ大統領を拘束した米国の軍事行動が、中国の外交政策と世界的な覇権戦略に深く長期的な影響を与える可能性があると指摘している。

     

    (1)「記事によると、同氏が最初に挙げた1つ目の教訓は「中国の懐柔政策が米国の武力による脅威から相手国を保護できない」ことだ。中国側がマドゥロ政権に対して実施した総額600億ドル(約9兆4000億円)の融資返済の一環として、ベネズエラの石油が大量に中国へ輸出されているとした上で、政権崩壊は債務返済を危うくし、現地の石油産業が米国に掌握されれば中国の石油供給に影響が出るとの見方を示した」

     

    中国は、自らの勢力圏(一帯一路)広げる手段として、米国へ対抗する軍備を与えるから大丈夫、といった「セールストーク」してきたであろう。それが、ベネズエラ急襲で「真っ赤な嘘」であることが証明された。中国の衝撃が、どれだけ大きかったかわかるのだ。

     

    (2)「2つ目の教訓は、「人民元の国際化が挫折する可能性」。ベネズエラ政府が8年前から石油価格等を人民元で公表し、「ドルの暴政」からの脱却を掲げていたことに触れ、米国が決済ルートの遮断に成功すれば中国の通貨外交が挫折し、中南米における中国の影響力封じ込めという目標に近づくことになるとした」

     

    人民元は、未だに資本自由化を怠っている通貨である。そんな通貨が、基軸通貨になれるはずがない。「ままごと」の世界である。

     

    (3)「3つ目の教訓は、「中国が遠隔地における軍事的劣勢を認識した」ことだ。米国の軍事専門家ティモシー・ヒース氏が、「中国の沿岸水域を除けば、人民解放軍が世界の大半の地域で米軍に対抗することは困難」と語ったことを挙げ、経済や貿易の分野以外では中国の影響力が依然としてラテンアメリカに及びにくいと指摘した」

     

    人民解放軍は、中国の沿岸水域を除けば、世界の大半の地域で米軍に対抗することは困難というレッテルを貼られた。ベネズエラ防空網の脆弱性が波及しているのであろう。

     

    (4)「4つ目の教訓は、「台湾政策への影響」だ。台湾問題とベネズエラの状況は比較できないとしつつも、中国国内では今回の襲撃を米国の実力行使と見なし、中国軍指導部が、空中戦、ドローン、サイバー戦の体系的な結合や、敵の防御システムに対する欺瞞工作などを注視していると解説した」

     

    中国製のベネズエラ防空網が、簡単に機能停止させられたのは、屈辱以外の何物でもない。中国はこれまで、他国へ防空網を売り込んできただけに面目丸潰れであろう。一帯一路へも響くであろう。

     

    (5)「5つ目の教訓は、「秩序維持者としての中国の大国イメージ」だ。同氏は、中国がアジア以外の地域で自国の利益を貫徹するには依然として困難が伴い、必要な政治的・軍事的な実力が欠けていると分析。中国は今後、ラテンアメリカへの関与を単なる融資や商品取引から、より強力な政治的関与や空母建設の推進による軍事投影能力の強化へと転換する可能性があるものの、米国の強硬姿勢を鑑みればその実現は困難であり、別のアジアやアフリカなどの影響力圏内に注力するという選択肢もあり得ると分析した」

     

    カニは甲羅に似せた穴を掘るという。「発展途上国」の特権を使っている中国が、中米まで出しゃばって米国の覇権へ挑戦するという破天荒なことをし続けてきた。それが、今回の米国によるベネズエラ急襲で、中国の弱体ぶりまで証明してしまった。今後は、アジアやアフリカなどの中国の影響力圏内に引き戻される可能性を指摘している。

     

     

    あじさいのたまご
       

    中国の2025年の出生数は2年ぶりに減少に転じ、初めて900万人を割り込むとの予測が出てきた。若者の結婚が、就職難や先行き不安を強め減ったのが主因だ。26年1月で「一人っ子政策」の廃止から10年を迎えたなか、政府は結婚の奨励や養育費の軽減など矢継ぎ早の対策を繰り出すが、財源の裏づけがない。25年合計特殊出生率は、0.90程度と1を割るであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月11日付)は、「中国出生数、25年900万人割れ公算 「一人っ子政策」廃止10年」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の出生数は、22年に956万人となり、1949年の建国以来初めて1000万人を割り込んだ。23年は過去最少の902万人まで減った。一方、24年の出生数は954万人と前年比6%増えた」

     

    中国では、24年の  干支が「辰年」であった。中国では、「龍(辰)」は非常に縁起の良い動物とされ、特に「龍の子どもを持つ」ことが幸運とされる。  甲辰(きのえ・たつ)年は、60年に一度で陽の気が強く、繁栄や発展を象徴する年とされた。出産は、「縁起担ぎ」で前倒しする家庭が増えた。25年の出生数は、この反動で大きく減るであろうと予測されていた。

     

    (2)「25年の出生数が、専門家の予測通り900万人を下回れば、過去最少を更新することになる。中国メディアによると、シンクタンクの育媧人口研究の専門家である何亜福氏は25年の出生数について「900万人を割るのはほぼ間違いない」との見方を示す。米ウィスコンシン大学の易富賢氏は800万人を下回り、730万人ほどに落ち込むとみる」

     

    25年の出生数が、900万人割れは確実とされている。これを元に推計すると、合計特殊出生率は、0.90程度まで下落する。

     

    (3)「多くの専門家が、出生減の要因に挙げるのが24年の婚姻数の減少だ。中国は、日本と同様に婚外子が少なく、結婚の数が出生数に直結する。24年の結婚届け出件数は610万組と前年より2割少なかった。10年前と比べると半分以下に減った。中国で結婚を届け出る男女の8割は、20〜30代が占めているため、若者による結婚離れが加速する。結婚する時に男性が用意する住宅や結納金が経済的負担になっている。景気停滞による雇用の悪化や将来への不安も結婚などを遠ざけている」

     

    24年の結婚届け出件数は、610万組と前年より2割少なかった。24年が、60年に一度の「甲辰」と縁起が良かったが婚姻数の増加には結びつかなかったのだ。24年の出産は増えたが、婚姻増にならなかったところに「景気の悪化」を象徴している。

     

    (4)「出産に対する意識には、1980年ごろから続いてきた一人っ子政策の影響もあるとみられる。政府は2016年に2人目、21年には3人目の出産を認め、産児制限を事実上廃止した。それから10年がたっても「子は1人で十分」と考える家庭は多い。長年の制限によって出産適齢期の女性人口も減少している。養育費の高さも出産をためらう一因だ。育媧人口研究が24年に発表した調査によると、子どもが高校を卒業するまでにかかる費用は全国平均で約1100万円かかる。北京や上海では2000万円以上かかる。成人するまでにかかる費用は1人当たり国内総生産(GDP)の6.3倍だ。米欧アジアなど14カ国の中では7.8倍の韓国に次ぐ高さとなる」

     

    子どもが、高校を卒業するまでにかかる費用は全国平均で約1100万円かかる。北京や上海では2000万円以上かかるという。中国の義務教育は無料であるが、高校以上は授業料がかかる。大変は教育費が掛るだけに、不況は出生減に結びつき易い。

     

    (5)「少子化が進めば、中長期的な労働力不足に陥る。消費の担い手も減るため地域経済の衰退という悪循環に陥る恐れもある。そこで中国政府は結婚や出産に関する奨励策を相次ぎ打ち出している。中国政府は26年にも、保険適用の範囲内での分娩について自己負担をゼロにする方針だ。妊娠から出産までの費用は通常1万元(約23万円)ほどかかる。出産後についても3歳までの子に対し、1人当たり年3600元の育児手当を25年から全国で支給している」

     

    人口減は、経済衰退の大きな要因になる。政府は、25年から分娩について自己負担をゼロとか、3歳までの子に対し、1人当たり年3600元の育児手当を支給することになった。問題は、財源である。地方政府の財政難により、一部の園が補助金を受け取れないなど、すでに問題が生じている。今年から実施予定の分娩費の支援について、財源がまだ示されていないのだ。年900万人の出生数で単純計算すると、2兆円ほどの財源が必要になる。

     

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    トヨタ自動車など日本車3社は9日、2025年の中国新車販売台数をそれぞれ発表した。トヨタは24年比微増で、4年ぶりに増加した。日産自動車は6%減、ホンダ2割減だった。ホンダは、日産を下回り日系で3位に転落した。日本勢の中国販売は減少傾向だったが、電気自動車(EV)などを拡充し一部で下げ止まりつつある。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月9日付)は、「25年の中国新車販売、トヨタ4年ぶり増 ホンダは2割減で日産を下回る」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「25年のトヨタは0.%増の178万400台だった。高級車ブランド「レクサス」は0.7%増の18万2000台だった。「(EVなど)新エネルギー車へのシフトや価格競争など厳しい環境が継続する中、新型車の話題喚起などが奏功した」(同社)という。日産は6%減の65万3024台。7年連続で減少したものの、下げ幅は24年の12%より縮小した。ホンダは24%減の64万5345台で、5年連続の減少となった」

     

    トヨタが、中国で「現地路線」へ切替えたので4年ぶりに微増に転じた。日本の「職人気質」のクルマづくりは、中国では時流に合わないのだ。「チャラチャラ」した車が好まれる点で、世界の潮流とは全く異なる。

     

    (2)「中国では新エネ車の需要が旺盛で、比亜迪(BYD)などの国内大手が販売を伸ばしている。ただ日本車はガソリン車が主体だったため新エネ車への対応が遅れた。乗用車市場での中国ブランドのシェアは、20年の38%から25年1〜11月に70%に上昇した一方、日本ブランドは23%から10%に低下した。25年以降は日系3社も新エネ車のモデル拡充に力を入れており、徐々に盛り返している」

     

    中国は、輸出も狙って新エネ車の販売促進で補助金を付けてきた。これが、効果を表わして新エネ車が大きく伸びている。日本車は、この流れに乗れなかった。低価格路線への切り替えがうまくいかなかったのである。今や、「郷に入っては郷に従う」で、柔軟路線へ転換している。

     

    (3)「トヨタは、25年3月に現地合弁会社「広汽トヨタ」からEVの多目的スポーツ車(SUV)「bZ3X」を発売した。10万9800元(約250万円)からという低価格が支持され、売れ行きは好調だ。25年のEV販売は前年比86%増の10万9300台と大きく伸びた。26年春には同社からセダン「bZ7」も発売する予定だ。日産も25年4月にEVセダン「N7」、同12月にはプラグインハイブリッド車(PHV)のセダン「N6」を発売した。N6は発売から10日で1万台を受注した。26年上半期にはSUV「NX8」を発売する予定だ。EVと、EVに発電用の小型エンジンを積んで航続距離を伸ばすレンジエクステンダーEV(EREV)をそろえ、幅広い選択肢を提供する」

     

    トヨタは、日本国内のEVで一部改良したEV「bZ4X」の受注が好調だ。航続距離を25%増の最大746キロメートルまで伸ばしたことが消費者から評価されている。新型の受注台数は、3ヶ月で1万台超に達し、国内EV販売でも四半期首位に立った。

     

    トヨタが中国で発売したEVは、「bZ3X」である。中国限定のEVで全部品が中国製という。「bZ4X」は、日本国内販売であるから全部品が日本製である。トヨタは、このように従来の全車種の全部品はすべて日本製という方式を棚上げしている。「地産地消」スタイルに変えて,コストダウンを図っている。

     

    (4)「2社に比べると、ホンダは新エネ車の販売が伸び悩む。現地合弁会社を通じて253月にEVブランド「燁(イエ)」のSUV「S7」、同4月にはSUV「P7」を発売したが、一部を値引きしている。26年に新型EVを発売する計画も明らかになっていない。「26年も厳しい環境が続きそうだ」(取引先の部品メーカー)という声もある。中国では乗用車販売に占める新エネ車の比率が25年に初めて5割を超えた見通し。新エネ車の分野では動力源の多様化に加え、EV充電の効率化や自動運転など新たな技術の開発が進む。こうした技術開発や市場ニーズの変化に迅速に対応できるかが、中国市場での日本車の生き残りを占うことになる」

     

    中国自動車市場で生き残るには、良い意味での「粗製乱造」で低コストであることだ。日本の消費者を想定した「高品質・高価格」では通用しない世界である。日本が、スマホで負けたのは低価格路線を追求しなかった結果であろう。

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