勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

    a0005_000022_m
       

    世界の人々が、サッカーW杯で燃えている。カリブ海の南端にある島、オランダの自治領キュラソーがワールドカップ(W杯)に初出場した。 人口約15万8000人は、2018年に初出場したアイスランドの約33万人(当時)より少なく、W杯史上最少人口国である。それに比べて、サッカーが大好きという国家主席をいただく中国は、人口14億を上回る「巨大国家」である。その中国が、自国選手を応援できない矛盾とは何か。

     

    『レコードチャイナ』(6月27日付)は、「<サッカー>中国が強くならないのはなぜか仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    仏国際放送局『RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)』(中国語版サイト6月24日付)は、中国サッカーがワールドカップ出場を逃し続ける背景を考察した仏紙『ル・モンド』の評論について報じた。

     

    (1)「記事によると、同紙はワールドカップに世界が注目する中で中国代表は相変わらず不在であり、中国のネットユーザーからは「中国製品の広告や審判、周辺グッズはそろっているのに、唯一、代表チームだけがいない」といった皮肉まで出ていると紹介した上で、なぜ中国サッカーは台頭できないのかについて分析している」

     

    中国代表が、W杯常連国に比べて決定的に足りないのは、「育成・文化・組織・自由度」の4つと指摘されている。 これは、民族や国民性の話ではなく、制度と環境の問題が団体ゲームに向いていない理由となっている。W杯常連国(日本・韓国・欧州・南米)は、10〜15年かけて育成を積み上げる国である。中国はその逆である。育成より「即席の強化」、外国人スターの爆買い、監督を頻繁に交代させる。選手の年齢詐称問題や汚職・買収など、凡そスポーツマンシップに欠けることばかりを行っているからだ。要するに、長期的な育成が成立しない構造である。選手育成の「土台」がない国は、W杯に出られないのである。

     

    (2)「まず、2015年に習近平(シー・ジンピン)国家主席の先導により50項目の施策を含むサッカーの改革発展案が打ち出され、かねてより行われていた実業家の巨額投資による海外クラブ買収やスター選手の「爆買い」に拍車がかかったことに言及。やがてこの「金満サッカー」バブルは崩壊し、自国の若手選手育成の遅れ、不健全な経営基盤、さらには汚職という副作用が今なお残っていることを指摘した」

     

    中国のスポーツ体制は、習近平国家主席の先導により50項目の施策を含むサッカーの改革発展案のように、トップダウンである。こういう、管理型の組織文化は、サッカーと最悪の相性とされている。この意味では、中国は専制主義で「監督の指示絶対、失敗を恐れる文化、個人競技中心の国家管理方式」という最悪な管理型である。

     

    (3)「中国サッカー界にまん延する汚職の一例として、元代表監督の李鉄(リー・ティエ)氏が総額1400万ユーロ(約26億円)に上る贈収賄の罪により懲役20年の判決を受けたことに触れた。また、中国のスポーツ体制が個人競技向けのトップダウン方式に依存しており、団体競技であるサッカーの育成に適していないと分析したほか、中国には深いサッカー文化が欠けており、厳しい進学プレッシャーの中で多くの家庭が子供の趣味を掘り下げることを良しとしない風潮があると分析。代表チームの現状は問題の出発点ではなく、最終的に現れた結果との見方を示している」

     

    汚職・買収・不正は、競技レベルを破壊する。 中国サッカー界は長年、試合の買収、審判買収、選手選考の不正、監督の汚職、クラブ経営の腐敗などが蔓延してきた。W杯常連国ではあり得ない最悪レベルである。不正がある環境では、実力主義が成立しない。これは、中国人民解放軍にも通じている。昇進は「金次第」(贈収賄)という悪例が残っているのだ。

     

    (4)「同紙はさらに、男子代表の不振とは対照的に、貴州省などで村人たちが自発的に組織したアマチュア大会「村超」が爆発的人気を博していると指摘。出場選手が全員アマチュアで賞品が牛1頭といった草の根の活動を通じて、中国の人々がサッカー本来の純粋な喜びを取り戻しつつあるとも紹介した」

     

    貴州省などでは、村人たちが自発的に組織したアマチュア大会が成功しているという。中国4000年の歴史は賄賂の歴史である。名刺代わりに「現金」を包む。こういう悪弊が一掃されない限り、中国はサッカーW杯出場常連国にはなれないであろう。こんな状態で、世界覇権を握り世界を支配したいという野望に燃えているとは、ビックリ仰天である。オランダの自治領キュラソーやアイスランドへ出向き、まずサッカー文化から学び直さなければならないであろう。

    a0960_008572_m
       

    日本政府は、71日から中国人ビザ(入国査証)発行手数料を従来の5倍に引き上げると発表。これを受けて、多くの日本好き旅行者が値上げ前に駆け込みで申請している。広東省深セン市の複数の旅行会社では、日本行きのビザ申請者が大幅に増加している。

     

    具体的な値上げ(一般的なケース)は、シングルビザ(短期滞在)が約500元前後(約1万2000円)、マルチビザ(数年有効)は約750元前後(約1万8000円)に引上げられる。これは、中国側がすでに行った日本人の中国入国ビザ料金引上げに沿ったものである。

     

    『レコードチャイナ』(6月26日付)は、「日本行きのビザ値上げ前に申請件数が急増、1300件以上でパンク状態中国メディア」と題する記事を掲載した

     

    中国メディア『第一財経』(6月26日付)は、広東省深セン市の複数の旅行会社で日本行きのビザ申請者が大幅に増加していることが分かったと報じた。

     

    (1)「日本政府が71日からビザ(入国査証)発行手数料を従来の5倍に引き上げると発表したことを受け、多くの旅行者が値上げ前に駆け込みで申請しているという。ある旅行会社では、これまで2日に12件程度だった申請件数が、現在では1日10件以上に急増している。また、一部の旅行会社は71日以前の申請書類の受付をすでに停止しているという。広州の旅行会社の担当者・張(ジャン)さんは「日本のビザ申請者が多過ぎてパンク状態だ。毎日300件を超えている」と語った」

     

    中国SNSでの反応(Weibo・小紅書など)では、次のような反応が広がっている模様。「値上げ前に急げ!」という実利派が多いことだ。「今のうちに取らないと損」、「円安のうちに日本へ行きたい」、「旅行会社がパンクしている、早く申請しないと」という駆け込み派が増えている。一方では、「日本は好きだけど高すぎる」という不満派も多い。「5倍はやりすぎ」、「家族4人だとビザ代だけで大金になる」ので、「韓国や東南アジアに行く方が安い」とソロバンを弾いている。「それでも日本に行きたい」という根強い人気派は、「安全・清潔・食事が美味しい」、「子どもを連れて行くなら日本が一番安心」、「医療・美容目的で日本に行く人は減らない」など、不満はあるが人気は依然として強いという構図だ。

     

    (2)「同社ではビザ代行サービスの費用を先月末の400元(約9500円)台から、最近では900元(約2万1000円)台まで引き上げたといい、張さんはその理由を「従業員が毎日残業している。損失を出すわけにいかない」と語った。第一財経の記事は「ビザ料金改定を前にした駆け込み需要が急速に広がっている実態が見えてくる」と伝えている」

     

    日本入国ビザ手数料の5倍引上げが、実際の日本旅行へどう響くか。短期的には減速するが、中長期的には大きく落ち込まないと見られるという。値上げ直後は、「様子見」や「他国へ流れる」という動きが出る可能性が指摘されている。

     

    中期的には、円安や日本人気の回復が見込めるという。中国人旅行者の日本人気は依然として高く、円安、安全性で買い物・医療・美容需要が強いため、需要が戻ると見ている。

     

    長期:富裕層・リピーターはほぼ影響なしとされている。ビザ料金が5倍になっても、富裕層にとっては、医療・美容目的で日本へ旅行する。アニメ・ゲーム聖地巡礼などの層は、熱狂的フアンであるから、ほぼ減らないと予測されている。

     

    当局は一度、許可した日本向け団体旅行が、国内の反対論で撤回されるというチグハグな対応をしている。これは、中国国内のSNSで、日本への団体旅行再開に対して「なぜ日本に金を落とすのか」、「日本は中国に非友好的だ」といった批判が一気に噴出したと言われている。中国政府は、国内世論を非常に気にするため、「反日感情の高まり」に押されて方針を撤回したとみられる。

     

    外交専門家の多くは、「中国は日本との関係を完全に悪化させたいわけではない」と分析している。経済面でも観光面でも、日本との交流は中国にとって利益があるため、本音では再開したい というのは確かであろう。

     

    中国政治では、一度出した方針をすぐ撤回することや、相手国に譲歩したように見える行為は「格好が悪い」とされる。今回のように反響が大きいと、「日本に配慮した」と見られることを極端に嫌うため、いったん引き締める方向に戻したと考えられる。だが、ほとぼりの冷めるのを待って再開するであろう。中国政府は、自分で振り上げた拳の始末に困っているのだ。「短期は損気」の適例であろう。

     

     

     

    a0960_008532_m
       


    中国の電気自動車(EV)など新エネルギー車は、2026年の輸出台数が前年比5割増の400万台を超える見通しだ。イラン戦争による原油高騰が、ガソリン車からEV(電気自動車)への乗換えを促進している。だが、中国のEVなど新エネルギー乗用車の平均車齢は、2025年末に1.8年だった。中国汽車工業協会が、調査会社と分析した結果である。車齢は、新車登録後の経過年数を指す。EVは、10年以上の車齢によって、初めて製造時の二酸化炭素を回収するとされている。この「原則」から言えば、中国EVは完全な「ルール違反」の短期乗り捨てになる。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月26日付)は、「中国、新エネルギー車の平均車齢1.8年」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の電気自動車(EV)など新エネルギー乗用車の平均車齢は、2025年末に1.8年だった。中国汽車工業協会が調査会社と分析した結果である。車齢は、新車登録後の経過年数を指す。13年が全体の90%46年が9.%6年より長いものが0.%だった。エンジン車の平均車齢は8.2年だ。新エネ車の性能向上や価格下落などが普及を後押ししている」

     

    中国の平均車齢1.8年は、「新エネルギー車(NEV=EV+PHEV+FCV)」政策の最大の矛盾 を示している。この数字は、世界の常識から見ても異常である。 これでは「脱炭素」どころか、むしろCO₂排出を増やしている。なぜ、こういう異常事態が起こっているのか。これは、政策で無理やりEVを増やした副作用である。中国のNEVの平均車齢が1.8年は、「大量生産大量廃棄大量買い替え というサイクルが起きている証拠である。脱炭素どころか、 環境負荷はむしろ増えている。

     

    (2)「新エネ車を3年保有した後の残価率は約43%で、エンジン車よりもはるかに低いという。車載電池の劣化に対する消費者の懸念が大きい。使用済み電池の性能を正確に判断するための仕組み作りが急務となっている」

     

    こういう事態が、なぜ起きているのか。

    1)EV補助金で買い替えサイクルが異常に短い

    中国は、2015〜2022年まで 世界最大級のEV補助金 を出していた。補助金があるうちに買う。つまり、補助金が切れる前に買い替えている。メーカーも補助金目当てで大量生産に走った。こうして、EVが家電のように短期消費される市場になった


    2)
    低品質EVが大量に出回った

    補助金目当てで、 安価で品質の低いEVが大量に生産された。バッテリー寿命が短い。安全性が低い。修理コストが高いという結果、買い換えるので走行距離が異常に短くなった。こうして、23年で使い捨てられるEVが大量に発生した。

     

    3)バッテリー劣化が早く、修理より買い替えが安くなった

    中国の低価格EVは、 バッテリーの劣化が非常に早い。交換費用が車両価格に近いので、修理よりも買い替えが安くなった。メーカーも、修理より新車販売を優先した結果、EVが短期の消耗品と化している。

     

    中国のNEV政策は、CO削減どころか、CO増加政策になっている可能性が高い。そういえば、中国政府は25年の二酸化炭素排出量を改ざんして発表した。こうした経緯から、EVは過渡期の自動車であり、本命は「合成燃料+ハイブリッド(HV)」という日本が提案している方向へ向うであろう。

     

    合成燃料は、大気中の二酸化炭素を吸収して原料とし、これに水素を混ぜるので新規の二酸化炭素は一切、発生しない仕組みになっている。ガソリンに代るのが、合成燃料である。2030年頃にはガソリン価格並みに生産コストが切下げられる見通しだ。合成ガソリンとHVを組み合わせたエネルギー車が、EVに代って登場する可能性が出てきた。日本が、世界の牽引役になる。日本自動車業界に新たな夢が登場してきた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月10日付)は、「中国、26年新エネ車輸出5割増の400万台へ 原油高騰でEV好調」と題する記事を掲載した。

     

    中国汽車工業協会は6月10日、中国の電気自動車(EV)など新エネルギー車の2026年の輸出台数が前年比5割増の400万台を超える見通しだと明らかにした。原油高を受けて、海外市場で中国のEVなどへの関心が高まっていることが背景にある。

     

    (3)「5月の新エネ車輸出台数は前年同月比2.1倍の44万6000台だった。15月累計では前年同期比2.1倍の183万3000台で、輸出全体に占める新エネ車の比率は約45%と11ポイント弱上昇した。中東情勢の緊迫に伴う原油価格の高騰でガソリンなど交通燃料の価格が上昇しており、ガソリンが少なくて済むプラグインハイブリッド車(PHV)や、ガソリンを使わないEVを選ぶ消費者が増えている」

     

    使い捨てEVが、大量に輸出されている。輸出先でどういう乗り方をされるのか気懸かりである。輸出先では、中国のような「補助金漬け」はないであろうから、車齢1.8年という超短命にはならないとしても、劣化の早い電池が問題を引き起すであろう。

     

    a0005_000022_m
       


    中国の格安ネット通販「SHEIN(シーイン)」は25年11月、パリ市庁舎の目の前に建つBHVへ出店した。BHVは、大衆的な老舗百貨店として長年親しまれていたが、シーインの常設販売コーナーをパリ店に開いたことで物議を醸した。

     

    シーインにとっては、世界初の常設コーナーということもあり、開業時は店の前のリヴォリ通りに約100メートルの行列ができるほどだった。しかし蓋を開けてみると、客からは「品質にがっかり」「思ったより値が高い」と失望の声が広がり、集客にはつながらなかった。こういう経緯で6月16日、BHVがシーインとの提携解消を発表した。ファッションの目が肥えているパリ市民から、集中砲火を浴びる結果になった。

     

    『東洋経済オンライン』(6月26日付)は、「中国シーイン初の実店舗・パリ号店が閉鎖へ…老舗百貨店BHVが提携解消、抗議デモの逆風受け挫折」と題する記事を掲載した。この記事は中国『財新』の転載である。

     

    中国発の格安ファッションEC(電子商取引)業者、SHEIN(シーイン)が鳴り物入りでフランス・パリに開設した同社初の実店舗がわずか1年程度で閉鎖されることになった。6月16日、この実店舗が入居しているパリ中心部の老舗百貨店BHVマレが、シーインとの提携を解消すると発表した。

     

    (1)「仏紙『ル・モンド』によると、2023年からBHVマレを運営してきたフランスの大手百貨店グループ、ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)は、同百貨店をカール=ステファン・コタンダン現CEOを含む経営陣に売却した。コタンダン氏は、今回の取引完了後、SGMのCEOを退任すると表明。「理想的には、シーインはクリスマス前にBHVマレから撤退すべきだ」と述べるとともに、シーインの導入は「戦略的な誤りだった」と率直に認めた」

     

    シーインが持つ「安売り」イメージが、花の街パリに相応しくないという「虐め」である。パリ当局は、由緒正しいBHVマレへ、安売りの「新参者」が進出してきたという反感だ。これは、パリが中国へ抱く反発でもあり、どうにも対応できないであろう。習近平氏が、世界へにこやかな対応して、「好かれる中国」にならなければ解決しないであろう。

     

    (2)「BHVマレに加え、パリ西郊の百貨店、BHVパルリー2も新経営陣の管理下に入る。一方、SGMは残りの7店舗(うち5店舗は今年シーインと提携済み)を引き続き運営する。SGMの共同創業者で会長のフレデリック・メルラン氏は、パリ以外の店舗でのシーインとの契約上の義務は「履行される」としつつも、「長期的な評価(見直し)を実施する」とコメントした。シーイン側は海外での声明で、今回の提携は当初から期間限定の実験的プロジェクトであり、双方が適切な時期に成果を評価することで合意していたと説明。閉店はある程度予想していたことをほのめかしつつも、提携終了については「遺憾」とコメントした」

     

    同じパリ市内でも、繁華街でなければ目立たず反発も受けないであろう。シーインの残りの7店舗は、営業継続という。

     

    (3)「シーインとSGMは、2025年10月1日に協力協定を締結した。1856年に設立されたBHVマレは近年経営不振に陥っており、一方でシーインはフランス国内での販売が好調だった。フランス国立ファッション学院(IFM)のデータによると、2025年の上半期、フランスのファッション小売業者ランキングでシーインは第5位にランクインした。SGMは当初、シーインとの提携により「より若くてつながりのある顧客層を惹きつける」との期待を表明していた」

     

    パリ中心部では、ユニクロのオペラ店が観光名所級になっている。シーインも、これを見倣ったのであろうが、大きな「格差」があった。この背景には、パリ市民の抱く国家イメージが、日本と中国では「月とスッポン」の違いであろう。パリではつい最近、大相撲が2日間の興業を31年ぶりに行い、サッカーW杯期間中にも拘わらず3万人の観衆を集めた。根強い「日本人気」を裏付けている。

     

    (4)「しかし、BHVマレでのシーイン開店の初週に、当時のパリ市長、アンヌ・イダルゴ氏は、シーインを「ファストファッションの象徴」として批判し、BHVへの出店に反対を表明した。10月10日には、主要5労働組合の呼びかけで、BHVの従業員がシーイン出店に抗議するデモを実施している。過去1年間、シーインはフランスで厳しい規制に直面してきた。2025年11月初め、シーインが児童の姿を模した成人用玩具販売の疑いを報じられ、フランス政府や税関当局がシーインに対し一連の規制措置を取る事態になった経緯がある」

     

    シーインは、当時のパリ市長から「目の敵」にされた。主要5労働組合もシーインへ出店抗議デモをする騒ぎになった。これでは、ファッション企業にとって致命傷であろう。客が逃げて当然だ。

     

    (5)「さらに今年63日にはフランスの消費者保護当局が、返品・交換制度、製品情報開示、発注確認手続きなどの面での違反行為を理由に、シーインに対し合計約2249万7700ユーロ(約41億7000万円)の罰金処分を発表、逆風は一段と強まっていた」

     

    6月には、フランスの消費者保護当局から返品・交換制度、製品情報開示、発注確認手続などの瑕疵に対して、約41億7000万円もの罰金を科した。当局が、言外に撤退せよと迫っているようなものであろう。シーイン=中国は、ここまで嫌われているのだ。

     

     

    a1320_000159_m
       

    ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が、世界で最大10万人規模の人員削減を検討していることが26日、分かった。独経済誌『マネジャー・マガジン』が伝えた。ドイツ国内の4工場の閉鎖も視野に入れる。VWは18日、2030年までに年間60億ユーロ(約1兆1000億円)以上のコストを削減する方針を明らかにしていた。30年の売上高営業利益率は8〜10%と、25年(2.%)比で大幅に引き上げる。この経営改革には、世界で最大10万人規模の人員削減が不可欠としている。

     

    現在の苦境を招いた最大の要因は、EV(電気自動車)の販売が「谷」(キャズム)へ陥っている結果だ。大型耐久財は、一直線に販売が伸びず普及率15%見当で落込むものだ。EVでも、これが起っている。ただし、3~4年でこの期間は終わるとされている。VWは、2030年頃を回復のメドにしている。トヨタは、EVのキャズムを想定しており、EV一本槍で進まずに来た。HV(ハイブリッド車)に賭けて成功した。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月26日付)は、「VWが経営不振で最大10万人削減 ドイツ4工場閉鎖も視野、独誌報道」と題する記事を掲載した。

     

    報道によると、VWのオリバー・ブルーメ社長が経営再建策を取締役会に提示した。VWは世界で65万7000人の従業員を抱えており、実施されれば全従業員の約15%に相当する10万人を削減する。

     

    (1)「同社は3月、2030年までにグループで5万人を削減する方針を表明している。VW本体で3万5000人を減らすほか、傘下のアウディやポルシェ、ソフトウエア開発子会社のカリアドなども対象とする。今後さらなる対象の拡大が想定される。ドイツ国内の工場が閉鎖される可能性もある。北部のエムデンやハノーバー、東部ツヴィカウのほか、南西部ネッカーズルムにあるアウディの拠点を含む、稼働が低迷するグループの4工場が対象。具体的な時期は決まっていないもようだ」

     

    VWは、グループ全体で10万人もの人員削減を計画している。ドイツでは、自動車産業が最大の雇用受け皿だけに、ドイツ経済全体が大きなショックを受ける。

     

    (2)「VWの経営環境は厳しい。米関税政策の影響で北米向けの販売が低迷しているほか、中国市場では現地ブランドとの競争が激化している。電気自動車(EV)は投資を先行させたものの、普及が遅れており投資回収ができていない。地盤とする欧州においても比亜迪(BYD)など中国勢が低価格攻勢を仕掛ける。足元で販売を上向かせる抜本的な要素が見当たらず、当面はリストラによるコスト削減を急ぐ。ドイツや中国を中心に過剰生産能力を削減し、現在1000万台規模の世界生産能力を900万台にまで引き下げる」

     

    VWは、中国市場への依存度が大きいだけに、激しい競争で販売が落込んでいる。ドイツや中国を中心に過剰生産能力を削減し、現在1000万台規模の世界生産能力を900万台にまで引下げる。トヨタは、1000万台体制を維持しているので、トヨタとの差が開きそうだ。トヨタの世界首位は、不動のものになろう。

     

    (3)「販売車種の絞り込みやプラットホーム(車台)数の削減も進める。調達や生産、販売などは社長直轄で意思決定を速める。27年に生産停止する独北西部オスナブリュックの工場では、防衛装備品の部品製造でイスラエル企業と協業する案が浮上している。24日には船舶用エンジンなどを手掛ける子会社エバーレンスの株式51%を米投資ファンドのベイン・キャピタルに74億ユーロ(約1兆4000億円)で売却すると発表した。海運や産業機器向けの製品を手掛けるエバーレンスはVWにとって非中核事業とみなされ、売却が検討されてきた」

     

    VWは、27年に生産停止する独北西部の工場を防衛装備品の部品製造へ転換させる案も浮上している。自動車産業は、兵器産業への転換が可能という柔軟性を持っている。

     

    (4)「VWは、人員削減や非中核事業の切り離しを通じて経営再建を急ぐ。30年までに年間60億ユーロ以上のコストを削減する方針で、30年の売上高営業利益率を8〜10%と25年の2.%から改善させる計画だ」

     

    30年の売上高営業利益率は、8〜10%へ回復させる予定だ。自動車産業の売上高営業利益5%割れは、新車開発が不可能になるとされている。25年の状況は、レッドラインを大きく割込んでいた。人員削減の裏には、こういう切羽詰まった事態が起こっていた。

     

     

    このページのトップヘ