勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

    テイカカズラ
       


    軍最高幹部二人の粛清

    焦る習氏が「悪手」へ

    忠誠心競う軍隊の欠陥

    米が見透かす中国の裏

     

    中国経済は、静かに坂を下っている。上り坂の時代は終った。それは、経済成長率が低下するという意味だけでなく、社会全体が萎縮しつつあるからだ。その具体例の一つを示せば、中国の大学ランキングで上位30位内に入っている国立大学が、相次いで芸術系学部を廃止している。卒業生が、不況で就職できない結果だ。

     

    芸術系学部卒業生が就職する先は、広告、映像、舞台、教育、観光、出版などのサービス業である。サービス産業は現在、不況で経営不振に陥っている。これら業種は、社会にとって「感性の受け皿」である。その受け皿へ、新たな血が不況ゆえに入らず消えていくのは、中国にとって感性の泉が枯渇することを意味する。こうして、無味乾燥な社会が広がっていくのだろう。これにより、活力が確実に消えていくことを示す。極めて危険な兆候とみるべきであろう。

     

    政府が、芸術系学部の廃止とAI(人工知能)系学部への転換を指図していることは言うまでもない。国家主席の習近平氏が、「高質量で十分な就職の促進」と発言している。経済停滞と若年層の高失業率を受けて、製造業やIT、医療などの分野の人材育成を強調したものである。だが、15次五カ年計画(2026~30年)では、個人消費増大が経済成長のカギを握る状況になった。過去に例のない時代環境になる。芸術系学部が、これから必要になるのだ。習氏は、時代の先行きを見誤っている。

     

    2025年のGDP統計では、インフラ投資や企業の設備投資の伸び率が軒並みマイナスへ落込んだ。個人消費では、モノの需要よりもサービスの需要が伸びている。この結果、15次五カ年計画では、サービス需要を増やすべきという見方も多い。こうなると、芸術系学部の廃止が極めてチグハグな動きになる。今は、不況でサービス需要が停滞していても、時間を掛ければ増加する。政府が一方的に決める政策が、いかに現実の動きを無視しているかを示す好例が、ここにも現れているのだ。

     

    習近平氏の巨大な権力から言えば、大学の学部の存在を左右することなど「取るに足らない」ことであろう。だが、「蟻の一穴が堤防を崩す」の喩え通り、蟻=芸術系学部廃止=若者の不満増大=社会不安爆発という連鎖になることを知らなければならない。中国は今、そういう危機に向って進んでいる。習氏に特徴的な点は、目先の判断に拘って大計を見誤っているのではという危惧だ。

     

    具体的には、その時の勢いで進み10年先20年先を疎かにしている点だ。「一帯一路」もその好例である。経常収支黒字が豊富であることで有頂天になり、発展途上国へ無秩序に貸し付け「焦げ付け債権」をつくっている。台湾侵攻計画も、勢いに乗ってぶち上げて国家主席3期目を実現したが、現実問題としては極めて危険な案件になっている。習氏の政治生命はもちろん、中国の国家としての将来に大きな禍根を残す時限爆弾的要素を濃くしているのだ。こうして台湾侵攻問題は、習氏を悩ます最大の政治課題になった。

     

    軍最高幹部二人の粛清

    習氏が、中国のみならず世界を驚かせたのは最近、中国人民解放軍の二人の最高幹部を粛清したことだ。中国国防省は、軍制服組トップの張又俠・中央軍事委副主席と劉振立・軍統合参謀部参謀長が、「重大な規律・法律違反」の疑いで調査すると公表した。張氏については、中国の核情報を米国へ手渡したとの米紙報道も出ている。だが、中央軍事委副主席という軍における最高ポストの人物へ、米国のスパイがどうやって接近できるのか。身辺護衛が厳しいはずだ。中国当局の「作り話」の臭いもするのだ。

     

    習氏は、これまでに中央軍事委員7人中(習氏を含む)、5人を規律違反の容疑で追放している。習氏が、これぞと見込んで任命した中央軍事委員5人が、揃って規律違反を犯したとはにわかに信じがたいことである。それは多分、台湾侵攻作戦をめぐる意見の相違であろう。習氏は、軍へ空母3隻も与えたのだから、米軍と十分に対抗できるはず、と侵攻作戦を押しつけているのでなかろうか。習氏は、「功」を焦っている。台湾へ侵攻し統一できれば、習氏の終身国家主席は確実である。こういう幻想に取り憑かれているのだ。

     

    習氏にとって「不運」なことは、ロシア軍がウクライナへ侵攻して、すでに4年にもなろうとする「長期戦」であることだ。作戦当初の計画では、たったの「1週間」で決着するはずだった。それが、4年かかっても勝利できないのは、ウクライナ軍が欧米の戦闘形態によって、最前線に指揮命令権を委ねていることだ。ロシア軍は、指揮命令権を後方の司令部が握っている。こうして、ウクライナ軍が最前線の判断で戦いを進めるという優位な立場にある。

     

    中国軍は、ロシア軍同様に後方の司令部が指揮命令権を握っている。米軍や台湾軍の指揮権は、最前線に任せてある。こういう戦闘形態の違いを残したまま、中国軍が台湾侵攻をすればどういう事態になるか。ロシア軍以上の犠牲が出ることは確実である。ならば、中国軍も最前線へ指揮権を移譲すれば、米軍や台湾軍と互角に戦えるのでは、という質問も出て当然であろう。

     

    実は、それが不可能である。辛亥革命(1911年)では、清国軍兵士が孫文の革命軍に買収されて、革命軍に帰順してしまったという苦い経験がある。こういう寝返りを防ぐべく、中国軍は兵士の訓練時間の4分の1を政治教育に当てている。寝返り防止だ。これは、人民解放軍が中国共産党に忠誠を誓う「党軍」であるゆえに起こっている点である。もし、「国軍」へ性格を変えれば、中国共産党へ忠誠を尽くすという大義名分が消える。中国共産党は、人民解放軍を「党軍」のままにしておかなければならない切実な理由がこれだ。(つづく)

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    https://www.mag2.com/m/0001684526



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    習近平国家主席は、中央軍事委員会の張又侠副主席を粛清した。これにより、今後の中国軍は情勢判断で誤判断を招く可能性が大きくなったと指摘されている。習氏は、これまで粛清を繰返しているが、軍内部に「イエスマン」を増やす危険性を高めている。粛清が、習氏の権力強化になるものの、これに比例して人民解放軍は弱体化する。

     

    『中央日報』(1月28日付)は、「元米国防総省局長「『張又侠のいない中国軍は誤った判断するリスク大きくなる』」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省の元中国担当局長が、中国中央軍事委員会の張又侠副主席の失脚により中国軍の誤判断を招く可能性が大きくなったと懸念した。米国防総省で中国・台湾・モンゴル担当局長を務めたドリュー・トンプソン氏は26日、個人チャンネルに「張副主席は別の人民解放軍将軍と明確に違った」として直接会った経験談を公開した。

     

    (1)「トンプソン氏は、「張又侠の参戦経験、自信、知恵、そして一生をかけて中国と共産党を守るという献身が彼を守ると信じた。彼の能力と習近平主席との関係のため一部財政的不正行為は容認されると考えた」とした。彼は、2012年5月に中国の梁光烈国防相(当時)が引率する中国軍代表団の一員として米国を訪問した瀋陽軍区司令官時代の張又侠氏と接触した際の印象を紹介した」

     

    張又侠氏は、習氏よりも3歳年長である。習氏とは、子供の頃からの遊び仲間とされる。張氏は、18歳で人民解放軍へ入隊した。生粋の軍人である。

     

    (2)「トンプソン氏は、「人民解放軍は政治組織であり党の武装能力であるだけで、憲法や国に忠誠をつくす軍隊ではない」と前提。「将校の経歴は政治的信頼度と人脈にかかっており、忠誠度と理念が戦闘能力よりも重要で、批判的思考や独立的思考は資産ではなく負担になる」と診断した。だが張又侠氏はこうした流れとは完全に違ったとトンプソン氏は強調した。「張又侠は実戦経験を通じて謙遜を備え、しっかりと教育を受け、知的で洞察力を持っていた。彼は展示された米軍の装備を見てその重要性と価値を理解し、われわれがなぜこうした武器を見せたかについてもわかっていただろう」と述べた」

     

    人民解放軍将校の経歴をみると、出世は政治的信頼度と人脈にかかっている。忠誠度と理念が、戦闘能力よりも重要視されているのだ。要領の良い兵士が、出世の階段を上るシステムである。張氏は、こうした「人縁」に依存せず、努力による実力で栄進してきた人物である。

     

    (3)「彼は、米中軍事関係と台湾海峡の安定に向け張又侠が中央軍事委員会に存在するよう望んだと明らかにした。トンプソン氏は、「張又侠が現役将軍のうち唯一人民解放軍の弱点を含む軍事力と軍事衝突時の人命被害を習近平に最高で最も客観的な助言ができる人物」と評価した。彼は、「張又侠は米国と台湾の軍事能力を客観的に評価でき、習近平に台湾占領作戦が直面する軍事的リスクとコストを説明できる。これに対し参戦経験がない取り巻きはただ聞きたい言葉を言うだけ」とした」

     

    張氏は、人民解放軍の実力を冷静に分析できる人物である。習氏に対して、台湾占領作戦が直面する軍事的リスクとコストを説明できる唯一の人物である。こういう冷静公平な見方ができる人物が粛清させたことで、今後は人民解放軍が間違った判断を下す危険が強まるであろう。

     

    (4)「また、「米国の抑止戦略が効果を発揮するには習近平のそばに客観的助言ができる有能な将軍がいなければならない。張又侠でない別の人が習近平に軍事助言をする結果を心配する。張又侠がいない中央軍事委員会は誤った判断を下す危険が大きくなるだろう」と懸念を示した。一方、2024年に中国を訪問し張副主席と会談したサリバン元大統領補佐官も張副主席粛清を「地震級事件」と評価した。ニューヨーク・タイムズとのインタビューでサリバン元補佐官は、「習主席が長期にわたる関係を結んだ人物を除去した点は驚くことであり多くの疑問を呼び起こす」とした。また、当時1時間ほどの会談で張副主席が中国の全般的な軍事力増強の脈絡で核兵器に言及しただけで、敏感だったり実質的な発言は全くしなかったとし、「核は議論の主要主題ではなかった」とした」

     

    張氏の粛清は、米国にとっても痛手である。冷静に話し合える人材を失ったからだ。今後の人民解放軍はどう動くかだ。近代戦の経験がない人民解放軍は、習氏の過激主義に踊らされると破局を迎えるであろう。

     

     

    あじさいのたまご
       

    日本からパンダが消えた。日本生まれの双子のパンダが、協定によって中国へ返されたからだ。中国は、高市発言に反発して代わりのパンダも送らない。「反高市」を狙っているが、総選挙の結果はどうなるか。中国の意図する結果と異なれば、中国のメンツは丸潰れになる。

     

    日本でのパンダは絶大な人気だが、中国にはそんな雰囲気がなかった。10年以上も昔の話だが、上海の動物園を訪ねた際に覗いたパンダ舎で、観客は私たち日本人以外にゼロ。お世辞にも、きれいとはいえない檻の中で淋しそうにしていた。日本のパンダ人気は異常なものかも知れない。

     

    『レコードチャイナ』(1月28日付)は、「日本は54年ぶりの『パンダ不在』、中国の外交圧力は高市政権に届かず独メディア」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツ国際放送局『ドイチェ・ヴェレ』中国語版サイト(1月26日付)は、日本で54年ぶりに国内からパンダが姿を消すことに触れつつ、中国による外交圧力が絡むこの状況が日本の政局に与える影響について報じた。

     

    (1)「記事はまず、東京・上野動物園で中国返還が目前に迫った双子のジャイアントパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」との別れを惜しむ数千人の市民の様子を紹介。公開終了までの最後の11日間は抽選制となり、1日の当選枠は4800人に制限された上、当選者に許された時間はわずか1分程度であったものの、竹をかじる愛くるしい姿に多くのファンがくぎ付けになったと伝えた」

     

    日本のパンダ人気は、絶大である。あの可愛い表情と悪戯が、日本人のメンタルにピッタリするのだろう。中国は、こういう実情を知っているから「パンダ帰国」をさせたのだ。「反高市ムード」の高まりを期待している。

     

    (2)「今回の返還により、日本の動物園からは54年ぶりにパンダが不在となると指摘。1972年の日中国交正常化時に中国から「友好の象徴」として贈られた歴史を振り返りつつ、当時の田中角栄首相が示した台湾問題への配慮が、現在の高市早苗政権下で大きな転換点を迎えていると論じた。そして、昨年11月に高市首相が「台湾有事」を日本の「存立危機事態」と位置づける国会答弁に対して中国側が「一つの中国」原則の放棄であると猛反発し、パンダの返還を政治的な圧力材料として利用し始めたと分析」

     

    54年ぶりに、パンダが日本から姿を消す。これが、中国にとって政治的な効果を持つだろうか。そういう議論は聞いたこともないし、想像もできないことだ。

     

    (3)「今回は、次期パンダの貸与計画が示されておらず、中国共産党機関紙の環球時報が高市首相らを右翼勢力として批判し、中国外交部の報道官も「中国に見に来てほしい」と新たな貸与を否定するような発言を行ったことを紹介している」

     

    中国は、パンダを紛争の道具に使ったという逆の評価もできるだろう。

     

    (4)「その一方で、日本国内ではパンダとの別れを惜しむ声が高まるも、世論調査では高市内閣の支持率が70%以上を維持しており、台湾への軍事支援を容認する声も賛成が反対を上回るという「中国側の期待に反する」結果になったと指摘。高市首相は1月23日に衆議院を解散し、2月8日の総選挙に備えるなど一層強気な姿勢を示していると伝えた」

     

    パンダ帰国が、今度の総選挙に響くかどうか。野党の選挙演説で、「パンダ論」が出るようなことがあれば、SNSで格好の話題になろう。

     

    (5)「記事は、中国による経済制裁の効果についても疑問を提起。水産物の禁輸や訪日客の40%削減、軍民両用製品の輸出制限などが実施されたものの、外国人観光客総数は前年比で増加しており、多くの日本人がむしろオーバーツーリズムの解消を歓迎している側面があると報じた。さらに、輸出関連措置も現時点で経済的影響は限定的であり、これらが総選挙にマイナスの影響を与えることはないと予測した。そして、仮に高市首相が選挙で圧勝すれば、中国側が威嚇政策の修正を余儀なくされ「再び、パンダが関係改善の使命を担って来日する可能性がある」と結んでいる」

     

    総選挙の争点は、国内問題に集中するであろう。物価問題、外国人問題、社会保険料問題、消費税減税問題などだ。中国は、自国の存在を過大視して、影響力があると誤解しているようだ。

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    中国は2023年以来、合計特殊出生率(一人の女性が出産する子供の数)の発表を取り止めている。実態が、予想以上に悪化している結果だ。こうした状態を受けて、専門家から25年の合計特殊出生率が1を割り込んだという推定値が出された。 中国の人口学者である梁中堂氏は、台湾『中央通信』に対し、中国の合計特殊出生率が2024年の段階で既に0.7以下に低下したとの見方を示した。それは、日本(1.15)や韓国(0.75)をも下回る水準と指摘した。

     

    『朝鮮日報』(1月27日付)は、「中国の人口学者『中国の2024年合計特殊出生率は0.7以下』『実際の人口は14億人を割り込む』」と題する記事を掲載した。

     

    一国の人口を維持するために必要な合計特殊出生率は2.1であり、それを下回れば人口が減少することになる。1971年に5.5だった中国の合計特殊出生率は20年後に2.1まで下低下。さらに、2022年には1.07まで落ち込んだ。

     

    (1)「これに先立ち、中国国家統計局が今月19日発表したデータによれば、昨年の中国の総人口は前年比339万人減の14億489万人で、2022年以降で最大の減少幅となった。人口1000人当たりの出生数を示す粗出生率も5.63で、1949年の中華人民共和国建国以来最低を記録した。中国は、2023年以降、合計特殊出生率を公表していないが、既に1を割り込んでいると分析されている」

     

    人口1000人当たりの出生数(粗出生率)は、5.63と1949年の建国以来最低を記録した。合計特殊出生率もこれに見合って当然、減っているはずだが隠蔽されている。

     

    (2)「梁氏は、「国勢調査データで計算した中国女性の合計特殊出生率は1982年には2.64だったが、90年に2.14、2000年に1.30、2010年に1.18、2020年に1.30と低下した」とし、「2000年と2020年の数値が同じだということは、社会が大きく変わった20年間で出生率が全く変わらなかったことになるが、それは信じ難い」と指摘した。そして、「2010年の合計特殊出生率は1.18、2020年が1.30だとすれば、10年間で0.12上昇したことになるが、それも合理的ではない。この10年間、中国の新生児数は平均的にほぼ毎年100万人に近い幅で減少してきた」と述べた」

     

    人口統計は、将来の国力推定において大きな役割を担っている。中国は、悪化する合計特殊出生率を隠す姿勢に転じている。現実に、悪いデータが出ているのだ。

     

    (3)「梁氏は、中国の実際の人口が14億人に満たないとの認識も示した。梁氏は「2000年前後に既に人口増加が鈍ったが、統計当局はそれが以前の数値と合わず、予想にも一致しないと判断し、データを調整した」とし、「急激に低下した出生率を住民の届け出漏れなどと見なし、国勢調査を含む人口調査で『毎年1000万人以上の純増』という基準で人口データを調整している」との分析を示した。梁氏は「そうやって数十年間運用された結果、中国の人口データは深刻に過大評価されている。対外的に公開されたことはないが、中国の人口研究者の多くはそうした状況を知っている」と話した」

     

    中国の人口データは、「毎年1000万人以上の出生届けなし」という前提の架空数字が加えられているという。人口統計自体がデタラメである。

     

    (4)「中国の25年の合計特殊出生率が、1を下回ったと分析した学者は梁氏だけではない。 米ウィスコンシン大マディソン校産婦人科研究員である人口学者の易富賢氏は昨年、中国の合計特殊出生率が0.97~0.98だったと推定した。易氏は、「昨年の新生児数は清代の1739年の水準だ。これは100年ぶりに起きた大きな変化で、建国以前に戻るどころか、清代の康熙帝から乾隆(けんりゅう)帝にかけての時代に逆戻りしたものだ」と語った。中国人口学会副会長の陸傑華・中国人民大人口·健康学部教授も「韓国よりはやや高い可能性があるが、シンガポール(0.97人)とはさほど差がないだろう」と話した」

     

    25年の合計特殊出生率が、1を下回ったと分析する専門家が増えているという。0.97~0.98とする数値も公表されている。

     

    (5)「人口減少は、中国政府も認識している問題だ。中国国務院発展研究センターは2024年の報告書で、過去数十年間の高度成長と家族計画政策による二重の影響で人口が減少しているとし、婚姻年齢の上昇と出産意欲の低下、妊娠可能年齢(15~49歳)の女性減少、不妊比率の増加など4つの要因で中国の出生率が今後も引き続き低い水準にとどまる可能性があると予測した。報告書は、今後15年間、妊娠可能年齢の女性が毎年286万人減り、実質的な妊娠可能年齢である20~40歳の女性は年平均191万人減ると試算した」

     

    今後15年間、妊娠可能年齢の女性が毎年286万人減り、実質的な妊娠可能年齢である20~40歳の女性は年平均191万人も減るという。中国の合計特殊出生率は、これから「釣瓶落とし」の事態を迎える。世界ワーストワンは、韓国でなく中国が取って変わったとみられる。

     

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    米国トランプ大統領は、自由奔放な発言をして相手を攪乱させる手法をとっている。「G2」発言もその一つである。これまでの歴代米国大統領は、G2が意味する「米中二大国論」を否定してきた。だが、トランプ氏はいとも簡単にこれを口にした。これを受けて早速、米国は二大国で世界を共同管理するつもりという議論が登場した。「米国は、中国を倒すのではなく協力することで強くなる」とする見方が出てきたのだ。

     

    だが、トランプ氏の「ドンロー主義」は、米中協力論と真反対な「中国弱体化」が狙いという見解が強まっている。それは、今回発表された国防総省の「国家防衛戦略(NDS)」において明確に打出された。米国は、中国と対峙するのでなく抑止力として立ち向かうとしているからだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月27日付)は、「トランプ氏の『ドンロー主義』、真の狙いは中国弱体化 周囲で構想浮上」と題する記事を掲載した。

    トランプ米大統領が2026年から始めた対外政策は、中国の弱体化を狙いにするとの構想がトランプ氏の周囲で浮上した。ベネズエラやデンマーク領グリーンランド、イラン、キューバなどに力の行使を振りかざすのは中国の力を封じ込め、米国が優位な立場にたつためだとする。

     

    (1)「トランプ氏は自身の名前の「ドナルド」と南北アメリカ大陸を含む西半球から敵対勢力を排除する19世紀のモンロー主義を掛け合わせて「ドンロー・ドクトリン(ドンロー主義)」を提唱する。25年末に国家安全保障戦略(NSS)で、この概念を公表した。26年から、ベネズエラ攻撃やキューバなどへの積極的な介入姿勢で具体的な行動に移している。トランプ氏は22日、「ドンロー・ドクトリン、稼働」と題するリポートを自身のSNSから投稿した。このリポートは、3日のベネズエラ攻撃の直後、政権と密接な関係にある保守系シンクタンク、クレアモントのホームページで掲載されたものだ」

     

    トランプ氏の基本的外交政策は、ロシアを取込むことにある。米ロで中国へ対抗するというものだ。米国にとって、最終的な標的が中国であることは間違いない。

     

    (2)「ベネズエラ攻撃は、イラン、キューバとドミノ倒しのように反米国家を親米に塗り替えて、中国の世界戦略を切り崩す号砲との位置づけにあると説明する。「トランプ氏がその場しのぎではない戦略に基づいて動いていると、時がたてば明らかになる」と書いた。中国の原油輸入に占めるベネズエラとイランの割合は偽装船籍も含めると3割あると推計し、中東諸国と合計すると7割に達するとみる。トランプ氏が関係強化に動く中東諸国も含めて、中国の急所を押さえる青写真だという」

     

    米国が、ベネズエラを急襲したことは、中国の勢力を追い払うことにあった。ベネズエラの急襲に成功したことは、米国に自信を与えている。中国が、何らの反応もみせなかったからだ。「中国弱し」と踏んでいる。

     

    (3)「第1次政権で首席戦略官を務め、今でもトランプ氏と関係が近いスティーブ・バノン氏も17日、ドンロー主義は対中戦略が真の狙いとの解説を披露した。北極圏は米中が争う重要な軍事的要衝と指摘し、グリーンランドを含めた西半球から中国を排除して、中国の力を弱める重要性を説いた」

     

    習近平氏は、中国人民解放軍幹部の粛清に躍起となっている。現状では、米国と戦える状況にないのだ。米国は、これを好機とみて矢継ぎ早に中国勢力のそぎ落としにかかっている。

     

    (4)「『ドンロー・ドクトリン、稼働』のリポートを執筆した軍事専門家、マイケル・ウォーラー氏は、日本経済新聞の取材に「トランプ氏が描く国家安全保障戦略は、本質的には共産主義・中国の世界支配を封じ込めることを目的としている」と語った。「『トランプ氏が中国やロシアと世界の勢力圏を分割する構想を持っている』と誤って想定している人がいるが、実際のトランプ氏の構想とは違う」と唱えた」

     

    トランプ氏が発言した「G2論」は、中国をおだてた外交辞令と読むべきだ。本心は、中国に経済的な対抗策を打出させないための煙幕であろう。

     

    (5)「また、「欧州の同盟国には欧州での責任を、アジアの同盟国にはアジアの責任を主に負ってもらう。米国は主に米州での責任を担うが、自国防衛にあたる同盟国への支援は継続する」と話した。政権内にはルビオ米国務長官ら、もともとは筋金入りの対中強硬派と目されてきた人物がいる。中国との良好な関係を重視すべきだとの勢力もいるが、ベネズエラ攻撃を主導して成功させたルビオ氏のホワイトハウスでの影響力が強まっている可能性もある」

     

    トランプ氏は、自ら手を下さないでも中国やロシアを封じ込めるために、EU(欧州連合)を対ロシアへ。中国へは、米国・日本・豪州などで対抗する陣形を整えている。米国の対中戦略は、中国への抑止力を働かせて中国の台湾侵攻を思いとどまらせることにある。

     

    (5)「トランプ氏本人は、中国への批判をかたくなに避けている。今年、習近平国家主席と少なくとも2度の会談に臨む予定で、トランプ氏は経済的なディール取引)の実現に強い関心があるとみられる。米ジョンズ・ホプキンス大のハル・ブランズ教授は「政権内に米中が戦略的競争関係にあり、戦略的な勝利を追求すべきだと考える人がいるのは確かだが、トランプ氏がそうした観点で考えているとは私には思えない」と指摘した。「今年は、米中関係を安定した基調で保ち、レアアース(希土類)を巡る経済的な脆弱性に対処し、中国との交渉での多くの材料を構築することに注力するだろう」と分析する」

     

    トランプ氏本人が、中国への批判をしないのは戦略である。中国が、レアアースなどで輸出禁止策に出ないように注意している結果だ。まさに、ビジネス出身政治家の典型例であろう。

     

     

     

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