韓国の民主主義が、文字通りの危機に直面している。大統領選に立候補している「共に民主党」候補の李在明氏は、自らの選挙違反事件で下された高裁再審判決(事実上の有罪)を不満として、「最高裁をクリーンにする」と威嚇している。あってはならない発言を行い、司法府の独立性を脅かしている。李氏が大統領に当選すれば、最高裁人事は「左派」で占められよう。これで、韓国の民主主義が消える。
『中央日報』(5月16日付)は、「共に民主党の李在明候補『法廷はクリーンであるべき』…司法府激浪を予告」と題する記事を掲載した。
これまで司法府に対する党内の強硬論と距離を置いた共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補が15日、最前線に立った。李候補はこの日、慶尚南道河東郡(ハドングン)での演説で「司法府の最高責任は大法院(最高裁)にある」とし「きれいな手で(判決)しなければいけない」と述べた。前日の演説でも「内乱首魁だけでなく2、3次内乱を起こそうとする者をすべて捜し出して法廷に立たせるべきだ。法廷はクリーンでなければいけない」と話していた。
(1)「李候補の発言は、当選すれば司法府を全面的な改革対象にするという意志が込められている。民主党が言う司法府大改造の内容は、これまで民主党がしてきた「司法府圧力」法案に反映されている。民主党は前日、国会法制司法委員会全体会議で虚偽事実公表罪の構成要件から「行為」を削除する選挙法改正案を通過させた。改正案が発効すれば李候補を選挙法で処罰する法条項自体が消える。法制司法委員会は7日には、大統領に当選した被告人の刑事裁判公判手続きを任期中に停止する内容の刑事訴訟法改正案も通過させた」
最大野党が委員会で、大統領に当選した被告人の刑事裁判公判手続きを任期中に停止する内容の刑事訴訟法改正案も通過させた。李候補は、大統領に当選すれば、ひとまず「安泰」だ。
(2)「政界では、李候補が大統領選挙で勝利する場合、民主党が直ちに国会本会議でこの2つの改正案から強行処理するという見方が出ている。民主党の関係者は「国民が結局、李候補に軍配を上げたことになり、法案処理の名分になる」と述べた。李候補の破棄差し戻し審裁判所は民主党の「裁判官弾劾」圧力の中、当初15日に予定していた最初の選挙法公判期日を大統領選挙後の6月18日に延期した。改正案が本会議を通過すれば李候補は「免訴(法条項廃止で処罰できない)」判決を受ける道が開かれる」
李候補の当選後、国会はすぐに「李在明免訴」の法案を成立させる見通しだ。軍事政権並みの権力行使である。
(3)「法制司法委員会に14日に上程された法案は、次の通りだ。▼大法院長含む計14人の最高裁判事数を最大100人まで増やす裁判所組織法改正案▼大法院の判決を憲法訴訟対象に新たに含める憲法裁判所法改正案▼曹喜大大法院長を捜査する「特別検査法」は「大統領退任後に再開される李候補の司法リスクまでも防ぐ法案」(法律家出身の元非李在明派議員)という評価を受ける」
国会の法制司法委員会は、最高裁判事数を現在の14人から最大100人まで増やすとしている。登用される判事はすべて左派系になるはず。「お手盛り」裁判官に、左派に有利な判決を出させる準備だ。李氏の選挙違反事件で高裁差戻し判決を出した最高裁長官は、「特別検査法」で捜査するとしている。司法の独立性が、土足で踏みにじられる暴挙であり、韓国の民主主義は「死」を迎えるであろう。
(4)「最高裁の判事数を最大100人まで増やす場合、親民主党性向の最高裁判事を多数任命して退任後の無罪の可能性を高めることができる。それでも有罪が確定する場合、その3審判決に対して「李在明政権」で進歩優位に再編される憲法裁判所でもう一度判断を受けようという「4審制」を意図したのが憲法裁法改正案という解釈だ。「曹喜大特検法」は13日、金容民(キム・ヨンミン)院内政策首席副代表が発議した「法歪曲罪」とも結びつく。改正案は、判事が法理を歪曲して誤った判決をする場合10年以下の懲役とする」
「共に民主党」は、民主主義の殻を残しながら左派独裁政権を築こうという野心に燃えている。民主国の裁判は、「3審制」(地裁・高裁・最高裁)だが、韓国は「4審制」にして左派の無罪を勝ち取る体制を目指している。判事が誤った判決をする場合、10年以下の懲役にするという「脅し」まで付けている。ここまで来ると、韓国は完全な「左派独裁」に陥る。
(5)「国民の力は激しく批判した。国民の力の金文洙(キム・ムンス)大統領候補はこの日、緊急記者会見を開き、民主党の司法府圧力法案を「李在明セルフ免罪5大悪法」とし「世界史上このような独裁者がいただろうか。法を変えて生きるという、世界で唯一の人物が李在明」と述べた」
少数与党「国民の力」は、危機感を募らせている。国民が、これをどう受止めるかだ。これでも李氏が大統領に当選するならば、韓国は政治も経済も「死」を迎えるであろう。それほど危険は内容である。
(6)「民主党の一部からも慎重論が提起された。李明博(イ・ミョンバク)政権で法制処長を務めた李石淵(イ・ソクヨン)民主党共同選挙対策委員長は、ラジオ番組で「私は大法院長に対する特検法、弾劾、聴聞会は一つの政治攻勢とみて、党内からこうした主張は出てこないと思った」と話した。柳寅泰(ユ・インテ)元国会事務総長もラジオ番組で「司法府に対する圧力がむしろ票を減らしていると考える」と述べた」
民主党内部からも異論が出ている。李在明氏の側近たちには、こういう「正論」が響かないであろう。