勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議へ招待され初の出席をした。尹氏は、世界の普遍的価値観を守った外交方針を宣言した。要するに、これまでの韓国外交の「二股主義」をもはや踏襲できないことを自覚したものだ。

     

    だが、韓国メディアでは保守系ですら、中国の怒りを買うのでないかと恐れている社説が登場している。中国が、経済的制裁を加えるのでないかというもの。韓国が、こういう恐怖心を持っている限り、中国からの威嚇によ外交的餌食にされるのだ。主権国家として、毅然として対応することを忘れている。

     


    『中央日報』(7月1日付)は、「韓中関係を徹底管理して国益損傷を防ぐべき」と題する社説を掲載した。

     

    尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任後初めての多国間外交舞台だった北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を終えた。今回のNATO首脳会議は、国際秩序と安保地形が米国を中心とする自由民主陣営と中国・ロシアなど権威主義勢力の対立に急速に再編されていることを見せる会議だった。

     

    (1)「NATOが12年ぶりに採択した「戦略概念2022」は、ロシアの脅威に加えて中国を「構造的挑戦」と表現した。旧ソ連に対抗する軍事同盟として発足してから73年、中国を戦略的牽制対象として明記したのだ。フィンランドとスウェーデンが長い中立路線を捨てて今回NATOの枠に入った事実も、国際秩序の再編を象徴的に見せている」

     

    NATOの新戦略概念では、中国に対して10回ほど言及し、「中国の野望と強圧的な政策は、NATOの利益と安全保障、価値に対する挑戦」と明確にしている。さらに、「中国は我々の価値を共有せず、ロシアと同じく国際社会の規則を基盤とする秩序を損なおうとする」と述べている。

     


    NATOは、中ロを一体化し「ならず者国家」というイメージで捉えている。韓国は、NATOによるこういう対中国認識を共有するのか。それが今、問われているのだ。韓国は、世界の普遍的価値観を守ると宣言した。これは、NATOと同じ認識なのだ。それなりの覚悟を決めるべきであろう。

     

    (2)「グローバル中枢国家を標ぼうする韓国も、国際秩序の変化に能動的に対応していく必要がある。域外パートナーの資格で今回の会議に招待された尹大統領が、「自由と平和は国際社会の連帯によってのみ保障される」と呼応したのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の戦略的あいまい性から抜け出して韓国の戦略的選択をより明確にしたといえる。韓国とNATOの協力強化は実利的にも役立つ

     

    下線部では、NATOと協力関係を強めることが利益になると強調している。

     


    (3)「韓国政府の計画の通り、NATOとグローバルパートナーシップを締結すれば、直接的には韓国企業が欧州防衛産業市場に進出しやすくなる。半導体・原発など韓国の比較優位分野でも効果を期待できる。これは数日前に崔相穆(チェ・サンモク)大統領経済首席秘書官が述べたように、中国に対する経済的依存度を減らしていくという戦略を実践につながる」

     

    下線部では、具体的な事項を上げて韓国の利益を数え上げている。実現する可能性は高いだろう。

     

    (4)「すべてのことには光と影がある。NATOとの協力強化は、韓国の外交が新たに試されるということだ。当面の憂慮は、中国との関係だ。中国は尹大統領のNATO出席に対する不満を直接的な言葉で表出している。中国は貿易規模の面で米国・日本・欧州よりも多く、北朝鮮の非核化など安全保障に関する事案でも緊密に協力しなければならない国だ。韓国が、その中国に背を向けて対中包囲網に率先するような姿として映るのは決して望ましくない。韓中関係のリスクをまともに管理できなければ、むしろ国益に損傷を受ける」

     

    下線部は一転して、北朝鮮問題で中国の協力を必要とすると怯んでいる。これまで、中国は

    北朝鮮に対して影響力を発揮したことはあったか。現実は、「中朝ロ」が一体化している。

     


    今回、北欧のフィンランドとスウェーデンが中立の立場を捨てて、NATOへ加盟するのは「安全保障第一」という選択の結果だ。韓国もNATO首脳会議へ出席したのは、「安全保障第一」という政策選択によるものだろう。このように、いったん外交基軸が定まったならば、右顧左眄するのは逆効果になる。それを肝に銘じるべきだ。

     

    (5)「米国主導の新しい秩序の構築に引き込まれるのではなく、韓国自らが定めた原則と規範に基づいて事案別に精密に対処する必要がある。中国にもこれを十分に説明し、不必要な敵対関係を形成しないよう努力しなければならず、我々が定めた原則に合わない米国の要求には堂々と立場を説明することが求められる。原則を守りながら実利を得る外交が韓国の進むべき唯一の道となる。決して容易でない挑戦だ。尹錫悦政権が賢明で精巧な戦略を立てて新しい国際秩序に対応していくことを望む

     

    韓国は、同盟という意味を取り違えている。文政権が二股外交でフラフラしたのも、同盟解釈が自分勝手である結果である。

     

    同盟は、NATOが典型的なように一致結束して行動するものである。自国の都合ばかりを主張して協調しなければ、同盟は成り立たない。NATOが、フィンランドとスウェーデンを加盟国に迎え入れることは一見、それだけ侵攻リスクの高まりを意味する。だが、同じ価値観の国々を守るという連帯感が、共同防衛によって侵攻リスクを低くする。韓国は、こういう同盟国の意味を理解することだ。良いとこ取りはあり得ない。自ら負担する部分も増えるが、それに見合って安全保障の利益が増えるのである。

     

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    尹大統領は6月30日(以下、日本時間)、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議への招待を契機に外交舵を西側諸国へと明確に切った。文政権では、絶えず中国の鼻息を覗って様子見に徹してきたが、尹政権では「右顧左眄」から脱して、「右側通行」を宣言した形である。

     

    今回のNATO首脳会議では、オブザーバーとして、日本、韓国、豪州、NZ(ニュージーランド)の4首脳が招待された。日豪は、対中姿勢ではこれまで旗幟を鮮明にしてきたが、韓国、NZは曖昧であった。ただ、NZは中国が南太平洋島嶼国へ勢力圏を広げる動きをしたことから、「反中姿勢」に転じた。韓国も新政権によって、その立ち位置が明確になった。

     


    『中央日報』(7月1日付)は、「韓日米共助も復元『グローバル中枢国家』尹外交の方向性を決めた」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議に参加するためにスペイン・マドリードを訪問し、16件の外交日程をこなした。そのたびに、「国際安保秩序において、ある地域の問題はその地域の問題だけにとどまらない。他の地域に広がってグローバル社会の共通課題となり、共同で対処してこそ解決することができる。韓国の国際的な寄与と協力を強化する」と強調した。要するに、「グローバル中枢国家」というビジョンを掲げたものだ。価値と規範の連帯を基に、国際社会で韓国の役割を拡大していくと公言した。

    (1)「尹大統領は4年9カ月ぶりの韓日米首脳会談を通じて3角共助の枠組みも復元した。尹大統領と岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン米国大統領は「地域およびグローバル問題の解決のために3国協力が重要だ」と同じ声を出し、北朝鮮の核・ミサイルに対する厳しい対応も再確認した」

     

    文政権時代は、日米韓三ヶ国による防衛協議に消極的であった。中国へ「三ヶ国の軍事同盟を結ばない」と約束する文書まで出した結果だ。こういう国家主権を中国へ売り渡すような非常識な政権であった。尹政権は、そういうくびきを取り払って、国際情勢急変にあわせた動きを見せている。

     


    (2)「これに関連し、米国が北朝鮮の核・ミサイルの資金源を遮断するために北朝鮮の個人と機関に対する制裁拡大を準備している中で、韓国ともこの法案について協議中だ。大統領室関係者は、「韓米日首脳会談では制裁方案について話し合うことはなかったが、『北朝鮮の個人と機関に対する制裁を拡大する』というプランが準備されているようだ」とし「残りの追加制裁は軍事事項も多く、さまざまな保安事項なので、韓米間で協議はしたものの、今は申し上げられない」と伝えた」

     

    米韓の間で、具体的な北朝鮮対策が用意されている模様。経済制裁強化である。

    (3)「大統領室関係者は「今回の会談の最も大きな意味は、韓米日安保協力が復元されたこと」としながら、「米ホワイトハウスでも『歴史的で、非常に成功的だった会談』という評価を伝えてきた」と話した」

     

    米韓は、三ヶ国首脳会談を共に非常な成功としている。約5年ぶりの会談であるから、米国が一番ホットしたであろう。



    (4)「尹大統領は特に、岸田首相との3回の対話を通じて複雑に絡み合っている韓日関係のもつれをほぐす契機を用意した。岸田首相について「両国関係を発展させるパートナーになれると確信した」と述べた尹大統領の認識通り、両国は今月10日の日本参議院選挙が終わり次第、関係復元に向けた実務作業に着手する予定だ」

     

    日韓は会談でなく「対話」形式になった。それでも3回の対話というから、互いにフランクに意見を出し合ったに違いない。参院選終了後に日韓の実務作業開始で合意した。

     

    (5)「大統領室関係者は「日本の首相に直接会ったが、かなり開放的で韓国に対する期待が大きく、うまくやっていこうとする熱意が感じられた」とし「ボトムアップではなくトップダウンの雰囲気が形成され、首脳間で関係を改善しようとする準備ができているようだ」と述べた」

     

    韓国大統領室関係者は、岸田首相が開放的であったという。拒絶姿勢でなかったことに安堵した様子である。この辺りに、韓国の日韓関係に賭ける期待の大きさが窺える。中ロ朝が、一体化しているだけに、韓国は日本へ期待を寄せているのであろう。

     


    (6)「尹大統領は、今回の外交活動を通じて少なくない成果を上げたが、韓日米共助の回復と西側との密着により、反対給付として中国との関係再設定という難題も抱え込むことになった。中国は、韓国のNATO首脳会議出席について不快な表情を露骨ににじませた。尹大統領はNATO同盟国・パートナー国全体会議で「新しい競争と葛藤構図が形成されつつある中で、我々が守ってきた普遍的価値が否定される動きも確認されている」と演説の中で述べた。これはウクライナ戦争の状況に言及したものだと分析されているが、自由・民主主義・人権・法治に基づいた価値連帯を強調したのは権威主義国家である中国を不快にさせかねない」

     

    韓国にとって厄介な問題は、中国の反応である。文政権が中国へ傾斜していただけに、余計にその反動が気になっているのだ。だが、もはや「二股外交」は不可能な国際環境だけに、割り切るほかない。

     

    (7)「大統領室関係者は、「韓米日首脳会談を含めてNATO同盟国のすべての演説には『国際社会の普遍妥当な価値と規範、合意を尊重する中で国際関係が構築されるべき』という言葉が含まれている」とし「反中路線というよりは、すべての国がルールと法治に逆らわないでこそ、基本的な協力関係が作られるという共感がある」と述べた」

     

    韓国は、「普遍妥当な価値と規範、合意の尊重」を旗印に掲げた。中国が、いくら文句を付けても、この外交路線で押し切る意向のようだ。



     

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    儒教社会に人権はない

    北朝鮮がナンバーワン

    国連も乗り出す事件へ

    根深い女性蔑視の社会

     

    立つ鳥跡を濁さず、という。韓国前大統領の文在寅氏は退任後、世間から忘れられたいと言っていたが、どうも希望通りになりそうもない雲行きだ。在任中に、韓国公務員が北朝鮮軍により射殺された事件が蒸し返され、責任を追及されているからだ。射殺された遺族は、文氏を訴えると発言しており、事件の行方が注目されるにいたった。

     

    この問題は、文政権が北朝鮮とのいざこざを恐れて「不問」に付した疑惑が持たれている。韓国公務員は、北朝鮮領海を漂流して生存していることを確認されながら、韓国政府が直ぐに救助の要請をせず3時間後に北朝鮮軍により射殺・焼却されたという衝撃的事件である。この事件の顛末が、韓国新政権で明らかになった。政権交代がなければ、隠蔽されたままで葬り去られたであろう。

     


    儒教社会に人権はない

    事件の詳細は後で触れるが、文氏は「人権派弁護士」として名前を売ってきた人物だ。これを足がかりにして大統領まで上り詰めた。文氏は、果たして人権派であったか。そういう疑問の声が最近、米議会からも上がっている。文氏が、北朝鮮外交重視の結果、最も大事な人権問題を棚上げするご都合主義者になったと批判されているのだ。韓国にとっても、極めて由々しい批判である。

     

    この人権問題と関係あるのが、大統領夫人への嫌悪感である。大統領夫人は、「私人」であって批判対象になるべき存在でない。ところが、韓国では大統領夫人を「公人」扱いし、批判対象にしているのだ。「出しゃばり」とか、「目立ちたがり屋」とまで批判される始末だ。極めつけは、尹大統領が愛妻家で食事の支度をしていたことを、進歩派メディアまで批判していることだ。これは、夫人が「良妻賢母」という儒教社会のイメージとかけ離れていることを指摘しているのであろう。

     


    韓国は朝鮮李朝以来、儒教が国教になったことから、無意識のうちに儒教倫理で社会を規制している。儒教の基盤である宗族社会では、個人の認識はなく集団の認識が先行している。「私」という概念は邪悪なものとされており、「私たち」が優先概念である。ここには、個人の「人権重視」という概念は、口先では存在しても、心の奥まで響かない曖昧な概念になっているのだ。この事実に注目すべきであろう。

     

    儒教倫理では、男女平等という認識もない。女性蔑視を意味する、「男女七歳にして席を同じうせず」という言葉通りに男尊女卑社会が形成された。韓国で、大統領夫人への批判が絶えないのは、伝統的に根付いている儒教の男尊女卑の認識が無意識に働いている結果だ。韓国が、真に近代社会へ脱皮するには、こういう儒教倫理の残滓を一掃することであろう。

     


    北朝鮮がナンバーワン

    冒頭から、儒教倫理などと「小難しい」ことを持出したのは、理由あってのことである。それは、前記二つの「人権」と「女性蔑視」の問題を何の脈絡もなく取り上げると、「三文記事」に堕する危険性があるからだ。韓国社会が、いかに儒教に毒されているかを検証するには、まずその検証ツールを明らかにしておかなければならない。こういう私の流儀をご理解いただきたい。

     

    まず、「人権問題」に該当する事件からとり上げたい。

     

    2020年9月22日、北朝鮮軍の銃撃を受け遺体を燃やされて死亡した韓国海洋水産部の公務員、故イ・デジュンさんの事件に関する事件だ。韓国政府は、故イさんが多額の債務を抱えており、勤務中の水産部調査船から姿をくらました、という説明をした。自分の意思で北朝鮮領海へ泳いで行き、北朝鮮軍から「不審者」として射殺された、という説明で事件の幕引きとした。

     


    政権が代わって大逆転が起こった。海洋警察庁の丁奉勳(チョン・ボンフン)庁長が6月22日、「多くの誤解をもたらした」として、国民と遺族に向け謝罪したのだ。

     

    海洋警察は同事件を巡って、男性が行方不明になった8日後に中間捜査結果を発表。軍当局と情報当局が傍受した北朝鮮の通信内容や本人の債務などを根拠に、「男性が自ら北朝鮮に渡ろうとした」との判断を示した。国防部と海洋警察庁が今年6月16日、「自ら北に向かったという証拠はない」とし、文在寅政権当時の立場を覆したことから、海洋警察庁トップが謝罪会見に追い込まれたものだ。

     

    文前大統領は、事件の報告を受けてから3時間後に、公務員は北朝鮮軍による銃撃で死亡した。その3時間に文氏がどのような対応したかが問われている。遺族側の弁護士は、文氏が何ら救命指示を出さなかったならば、職務放棄罪で告発。事態を放置するよう指示したのであれば、職権乱用罪で文氏を告発すると強い姿勢である。(つづく) 

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    韓国は、去年から人口減になった。日本の人口減入りが2010年である。韓国はあらゆる経済データが、日本と約30年のタイムラグがある。このパターンから言えば、韓国は2040年に人口減入りしても不思議でなかった。それが、2021年の人口減だ。19年も前倒しである。ちなみに、中国は今年から人口減入りが確実である。

     

    中韓に見られる、大幅前倒しで人口減入りする原因は、「合計特殊出生率」の急低下にある。韓国は、人口横ばいに必要な合計特殊出生率「2.08」を大きく下回って、「0.84」と世界最低記録を更新中だ。

     

    この背景には、儒教特有の「男尊女卑」がある。韓国の若者社会では、男性と女性の意識が鋭く対立している。若い女性が、結婚・出産に乗り気でない理由の一つに、夫の育児協力のなさを上げている。女性は、職業と育児の両立は不可能としており、韓国の「男尊女卑社会」の悪弊が改まらない限り、出生率はさらに低下する運命のようだ。

     


    米ノースウェスタン大学経済学科のマティアス・ドゥプケ教授の研究チームが5月、全米経済研究所(NBER)を通じて公開した「出産の経済学:新しい時代」と題する報告書が注目されている。OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心に約40カ国が調査対象だ。

     

    それによると、女性の経済活動が活発な国で出生率が高いこと。また、男性が育児と家事にあまり積極的ではない国で出生率が低い傾向が見られた。男性の家事や育児への貢献度の高いスウェーデン、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、米国の上位5カ国は、いずれも合計特殊出生率が1.8人を超えた。寄与度の低い下位5カ国は1.5人未満だった。チェコ、日本、韓国、ポーランド、スロバキアがこれに属した。日本にとっても耳の痛いデータだ。

     

    『中央日報』(6月28日付)は、「『韓国』が絶滅する?」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・チャンギュ経済エディターである。

     

    テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先月、韓国の人口減少に言及した。日本の人口が11年連続で減少していることについて「出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と警告した後だ。マスクCEOはツイッターで「韓国と香港は最も速いペースの人口崩壊に直面している」とし、世界銀行の2020年国別出生率の順位表も共有した。

     

    (1)「これによると韓国の出生率は0.84人で、200カ国のうち最も低い。世界で人口が最も急速に減少している国が韓国だ。香港は0.87人で199位、日本は186位(1.34人)だった。マスクCEOは「韓国の出生率が変わらなければ3世代のうちに韓国の人口は現在の6%以下に減少するだろう」とコメントした」

     

    欧州の出生率も、ゆっくりと下がっている。男女同権が地に着いているので、夫の育児協力は当たり前のことだ。それでも低下しているのは、女性の高学歴化と社会進出によるもの。韓国では、男性は女性より「偉い」という根拠なき優越感に浸って、夫「風」を吹かせているようだ。日本もその嫌いはあるが、韓国はより鮮明に出ている。儒教の悪しき弊害であろう。

     


    (2)「最近の韓国経済は風前の灯火のようだ。原油価格が上昇し、サプライチェーン問題で世界はインフレーションの恐怖に包まれている。今回の景気沈滞は、韓国にとって時期的に良くない。韓国は2020年(注:正しくは2021年)から人口の減少が始まった。初めて死亡者数(31万人)が出生数(27万人)より多い「デッドクロス」が発生した。人口の減少は成長潜在力を低下させる。統計庁の将来人口推計によると、総人口は2020年の5184万人から2030年に5120万人、2040年に5019万人、2050年に4736万人に減少する。30年間に釜山の人口(336万人)の1.3倍ほどの448万人(8.6%)が消える」

     

    景気が悪いことは、出生率低下に拍車をかける。雇用不安を抱えていたのでは、結婚・出産を諦めるからだ。韓国で、今年1月から4月までに全国産婦人科など医療機関で新生児を分べんした産婦は8万1454人。過去最低で、今年は年間で25万人程度と最悪予想が出ている。「韓国絶滅」は、冗談として聞き逃せなくなった。

     


    (4)「人口が減れば創業する人が減り、雇用も減少する。こうなると成長が鈍って所得が減る。収入が減れば若者が結婚を避け、子どもを持とうとしない。結局は「人口減少→成長率低下→所得減少→人口減少」の悪循環に入る。英国の人口学者ポール・ウォーレス氏は人口減少が大地震に劣らずマイナスの影響を与えるとし、これを「
    人口地震」と表現した。状況がこれほど深刻であるにもかかわらず、政府も民間も総体的な対応をしない。政策決定権者が主に暮らす大都市では人口減少を肌で感じることができないからだ」

     

    文政権は、出生率低下に対して冷淡であった。北朝鮮と統一すれば、全体の人口が増えると言った感覚であったのだろう。新政権では深刻に捉えている。

     


    (5)「2005年に低出産高齢社会委員会が発足してから15年間、220兆ウォン(約23兆円)以上の資金を少子化対策に投入した。それでも人口問題は悪化していった。最悪の状況になればその時には打つ手がない。いま韓国は、徐々に温まっていく水の中のカエルと同じだ。新政権も24日、人口危機対応TFを設置した。過去の前轍を踏まないためには国を救うという使命感を持って取り組む必要がある。韓国という国を存続させるために」

    韓国に巣食う儒教倫理の男尊女卑社会を改めなければならない。「社会改造」する気迫で取り組まなければ、韓国は消える運命だ。

     

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    日本は2019年7月、韓国への半導体主要3素材の輸出手続きで規制強化した。これに韓国が反発し、大掛かりな反日不買運動を始めた。あれから間もなく3年経つ。日本は、輸出手続き規制を行なっただけで輸出を規制した訳でない。韓国は、激昂してWTO(世界貿易機関)へ提訴する騒ぎになった。後に撤回している。

     

    日本は、韓国に対して「ホワイト国」として輸出手続きを一括で済ませ優遇措置をしてきた。だが、度の過ぎた反日運動に手を焼いた日本が、報復の意味で「ホワイト国」待遇を撤廃し、個別輸出手続きに切り変えただけの話だ。韓国は、日本から丁重に扱われるのが当然と思い込んできたところへ「冷や水」をかけられたのである。反日をやれば、報復されるという単純な理屈である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月27日付)は、「韓国半導体素材、国産化足踏み 日本の輸出管理措置3年」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の半導体素材や製造装置の国産化が足踏みしている。2019年7月に日本政府が韓国への輸出手続きを一部品目で厳格化して以降、韓国は関連品目の国産化を進めてきた。ただ、足元では日本からの輸入額が増加に転じるなど揺り戻しが見られる。日本の措置からまもなく3年になるが、日韓の半導体関連の供給網はなお命脈を保っている。

     

    (1)「59日の大統領任期最終日。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は最後の演説でこう述べた。「日本の不当な輸出規制による危機を、全国民が団結し克服したことが忘れられません」。任期を総括した10分ほどの退任演説で早々にあらわにしたのは、日本の措置への反発だった。19年7月に当時の安倍政権は「両国間の信頼関係が著しく損なわれた」として、軍事転用リスクのある素材を韓国に輸出する際の優遇策を見直した。半導体生産に不可欠な「フッ化水素」や「EUV用フォトレジスト(感光剤)」、有機ELパネルの保護部材に使う「フッ化ポリイミド」の3品目で輸出案件ごとに個別審査を求めるとした」

     

    従来は、「政経分離」で日韓関係がもつれても経済に波及させなかった。韓国は、これによって「日本与しやすし」と誤解して過激な反日運動に走った。輸出手続き規制は、日本が「政経不分離」で政治的軋轢を経済へ波及させる最初のケースである。不条理な反日を止めるには、「政経不分離」もやむを得ない措置である。韓国に実損はなく、手続き規制だけである。これで、韓国を「教育」したことは間違いない。不条理な反日運動止めるには、致し方ないことだ。

     

    (2)「経済産業省は、「本来必要な手続きを実施するだけ」と説明した。一方の韓国政府は18年10月に韓国最高裁が日本企業への賠償を命じた元徴用工判決を念頭に「経済報復だ」と激しく反発した。韓国では日本製品の不買運動にまで発展し、日韓関係は戦後最悪といわれるほどに悪化した。文氏は率先して国内の半導体部材メーカーの拠点を訪問し、国産化の推進を鼓舞してきた。年間2兆ウォン(約2100億円)規模の研究開発支援の予算を投じ、「危機を機会に変えた」と成果を誇ってみせた」

     

    下線部の日本側説明は正しい。韓国は、出鱈目な統計を持ちだして、「国産化成功」としてきたがすべてウソであった。短期間に国産化できるはずもなく、ましてや、ユーザーが国産品切り変えに極めて慎重であるからだ。半導体の歩留まりに大きな影響を与えるのだ。文政権は、こういった微妙な点を理解しなかった。

     


    (3)「ただ、韓国貿易協会の統計を見る限り、文政権が主張するほどに「脱日本」は進んでいない。日本が輸出手続きを厳格化した半導体関連素材3品目のうち、フッ化水素の対日輸入額は19年7月を境に急減し、20年は18年比で86%減となった。それでも21年は前年比で34%増と反発し、22年1~4月も前年同期比で30%増と回復傾向が続く。残りの2品目でも、フォトレジストは前年比で2ケタの伸びが続き、フッ化ポリイミドは微減にとどまる」

     

    フッ化水素は、日本企業の海外工場から「迂回輸入」へ切り変えただけである。日本からの輸出は減るが、トータルでは変化はなかった。最近、日本からの輸出が増えたのは、日本からの直輸出に戻したに過ぎない。騙されてはいけないのだ。

     

    (4)「日系材料メーカーの関係者は、「フッ化水素を除けば、特段の影響はなかった」と声をそろえる。さらに韓国が日本から輸入する品目で金額が最も大きい半導体製造装置の21年輸入額は前年比44%増の63億ドル(約8500億円)となり、全品目での対日貿易赤字も拡大傾向が続く。IBK投資証券で素材業界を担当する李建宰(イ・ゴンジェ)アナリストは「代替材料を導入するためには半導体の生産ラインを止める必要があり、メーカー側も国産品の追加導入には慎重」とみる」

     

    半導体生産は、素材との「相性」が極めて微妙だという。同じ成分でも日本製と他国製では異なるという。製造工程が、日本型素材になれている結果と説明されている。

     

    (5)「国産化の足踏みは、韓国企業の株価にも反映される。フッ化水素の国産化で知名度を高めたソウルブレーンは19年7月以降に株価が急騰し、持ち株会社株は一時7万ウォンを付けた。しかし直近で2万ウォンを割り込み、6年ぶりの安値圏に沈む。一方で、日本政府の措置が韓国企業に無用な不信感を生んだのも事実だ。半導体大手のサムスン電子やSKハイニックスは工場停止のリスクを痛感した。結果的に日本製の部材を代替できるサプライヤーを育成するための資金支援や技術供与につながった」

     

    半導体は、製造機械から素材まですべて日本製の場合、そこに言葉では説明できないような微妙な「相性」が成立しているという。これが、製品の歩留まり率に影響するのだ。

     


    (6)「今後の焦点は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の出方だ。16日に発表した経済政策方針では、「脱日本」「国産化」といった文言は盛り込まれなかった。対日関係改善を掲げる尹政権が日本を刺激する文言を控えた可能性がある。ただ、前政権の手厚い支援で動き始めた半導体関連の素材や装置の国産化をあえて中断する理由もない。尹政権内では「経済安保の観点からも部材国産化は必要」との声も聞かれる」

     

    日本製部品の強みは、価格・品質・納期の3拍子が揃っていることである。この一つでも欠ければ、優位性を失う。韓国メーカーは、これら3点を守って日本との競争に挑むべきだ。

     

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