韓国半導体は、メモリ半導体市況の高騰で1人当たりボーナスが5000万円台と「大盤振る舞い」である。政府までが、これにあやかった半導体依存の経済成長計画を発表した。李大統領は、「潜在成長率3%、世界貿易4強、国民所得5万ドル」というのだ。具体的な目標達成時期は示されていない。多分に、政治スローガンの色彩が濃く、実現性は困難とみられる。日本意識したものであろう。
韓国の潜在成長率は、2020年代にはいって、2% →1.5% →1%台へ低下している。これを3%へ引き挙げるには、産業組織の改善から行わなければならない。大企業優先を改めて中小企業活性化が必要である。
『中央日報』(7月14日付)は、「韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は14日、「今年が潜在成長率3%、世界貿易4強、国民所得5万ドルという『代替不可能な大韓民国』へ飛躍する元年として記憶されるよう力を合わせてほしい」と呼びかけた。
(1)「李大統領はこの日午前、青瓦台(チョンワデ、大統領府)で主宰した国務会議の冒頭発言で、「今年下半期にどのような成果を生み出すかによって、大韓民国の今後30年が左右される」と述べた。李大統領は「今年上半期の輸出は5000億ドル(約81兆1400億円)に迫る勢いで急増している。半導体が成長を牽引(けんいん)する中、他の品目の輸出も前年より16%増加した結果」とし、「世界貿易4強入りももはや不可能な目標ではなくなった」と評価した」
韓国は、少子化が世界最悪(合計特殊出生率0.7)常態である。労働人口が急減しており、高齢化の速度が日本より速いという悩みを抱えている。設備投資は、半導体依存であり、TFP(全要素生産性)は伸び悩むという構造問題を抱えている。
潜在成長率を3%へ引き上げるには、「国家構造」そのものを作り替える必要があるほど。具体的には、医師や公務員志望という偏った就職パターンの改革が不可欠だ。これが、人材の偏りを生んでいる。儒教500年の痕跡が、近代化志向を阻んでいる。
国民所得5万ドル目標は、非現実的である。韓国の1人当たり国民所得は、2023年に3.2万ドルで、24〜25年は、円安効果で日本を上回ったが、鈍い伸びである。5万ドルへ到達するには、高成長(3〜4%)を10年以上継続し、通貨価値の安定と高付加価値産業の拡大
が必要である。韓国は、半導体依存で輸出集中度が高いという悩みを抱えている。景気変動が激しい ため、持続的な高成長は困難である。
世界貿易4強入りは、数字上は可能性もある。韓国は半導体、自動車、石油化学、船舶
などで強い競争力を持っているが、世界貿易4強(米・中・独・日本の領域)に入るには、輸出総額で日本を抜く。半導体以外の柱を増やす必要がある。韓国の輸出は、半導体一本足打法であり、構造的リスクが大きい。
(2)「また、「こうした目覚ましい輸出実績と設備投資の増加を背景に、今年の実質成長率は3%に達するとの見通しも相次いでいる」とし、「人工知能(AI)革命が引き起こした世界的な産業再編が、われわれに新たな機会の窓を開いている」と述べた。さらに、「下半期には本格化する経済の大転換を一層加速させ、『代替不可能な大韓民国』への道をさらに広げなければならない」とし、「そのためには国民の生活に直結する物価と不動産の安定に全力を尽くすとともに、超格差・超革新の成長エンジンを育成し、潜在成長率を段階的に3%まで引き上げていかなければならない」と述べた。
韓国半導体は、メモリ半導体である。世界半導体の「王者」は、ロジック半導体である。メモリ半導体は、ロジック半導体の下位にある。日本のラピダス半導体(ロジック半導体)が、本格操業に入ると韓国は日本の下請けの関係になる。これは、韓国としてプライドに大きな傷を受ける事態だ。
(3)「特に、「その中核と言える3つのメガプロジェクトの早期実現に向け、中央政府と地方政府、企業が一体となって一生懸命取り組まなければならない」とし、「今1日短縮すれば、将来10日、あるいは100日を稼ぐことができるという姿勢で、あらゆる関連手続きを可能な限り迅速に進めてほしい」と指示した」
韓国が、前記3大目標を実現するには、大統領による発言で済むことではない。政府全体が取組むべきテーマである。言いっ放し聞きっぱなしに終わる危険性が大きい。
(4)「また、「持続可能な成長エンジンを稼働させる一方、社会の構造的問題の解決にも力を注がなければならない」とし、「共同体の未来である若者に対し、雇用・住宅・資産形成・能力開発など多層的な成長のはしごを提供するとともに、労働市場の格差緩和や公共機関の財政・規制分野でのイノベーションも加速させる必要がある」と求めた」
韓国は、財閥制度へメスを加えなければならない。これが、強い労働組合(貴族労働組合)という揶揄を生む遠因であろう。労使が仕切り直ししない限り、「経済の民主化」は進まない。



