勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

    あじさいのたまご
       

    韓国ユン政権で、TPP(環太平洋経済連携協定)加入の意味・手続きを理解していない水産部長官(水産大臣)が現れた。無知というか、勉強不足というか、ともかく凄まじい認識不足の長官である。

     

    「TPPへ加盟しても福島産食品の輸入禁止措置を撤廃しない」と力んでいるのだ。TPP加盟は、全加盟国の賛成を条件にしている。日本が、韓国に対して「TPP加入はNO」と言えばそれだけで加入が不可能になる。韓国水産部長官は、こういう手続きの流れを知らないのだろう。何ともお粗末な長官が生まれたものだ。

     

    韓国は、TPP11カ国のうち日本とメキシコを除く9カ国と、すでにFTAを締結している。TPP加入は事実上、日本と追加でFTA協定を結ぶようなものである。日本は自動車と農畜水産物分野で韓国より優位であり、韓国が、日本とFTAを結ぶのはむしろ損害という分析が多かった。韓国が、TPPへ加入しなかった理由は、以上の点にある。

     


    韓国は、放射能を理由に福島県産などの農漁産物の輸入を禁止しているが、本音は競争力の低さを恐れてカムフラージュしているものである。極めて、卑怯な遣り方である。

     

    『中央日報』(5月25日付)は、「韓国海洋水産部長官、『TPP加入しても福島産水産物の輸入認めない』」と題する記事を掲載した。

     

    海洋水産部の趙承煥(チョ・スンファン)長官は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)と関連し、「協定に加入しても国民の健康と安全のため日本の福島産水産物輸入を禁止した既存の立場に変化はない」と明らかにした。

     


    (1)「趙長官は、この日政府世宗(セジョン)庁舎で開かれた担当記者団との昼食懇談会で「TPPは国益のために進まなければならないものという韓国政府の立場は理解する」としながらこのように話した。彼は続けて「福島産水産物輸入に対しては断固として国民の安全・健康が(優先であり)重要だという考え。漁民が受ける被害に対しては十分に補償するだろう」と付け加えた」

     

    TPPへ加盟申請している英国と台湾は、すでに福島産食品の輸入禁止を撤廃した。同様に、TPP加盟を申請している中国は、福島産食品の輸入禁止について、何らの対策も講じていない。多分、中国はTPPへ加盟できないと見込んでおり、福島産食品の輸入禁止に手をつけないと見られる。

     

    韓国が、福島産食品の輸入禁止を撤廃しないでどうやってTPPへ参加する積もりだろうか。本音部分では、TPP参加が難しいと読んでいるのかも知れない。ともかく、福島産食品の輸入禁止を撤廃しない限り、日本は韓国のTPP参加に賛成しない筈だ。よって、韓国はTPPへ参加不可能となろう。

     


    韓国の福島産食品の輸入禁止は、WTOでも具体的な根拠になるデータを提出できなかったのである。そこで考え付いたのが、「風評被害」である。WTOもこの扱いに困って結局、韓国の言分を認めざるを得なかった、TPPでは、風評被害という根拠不明の噂話を通すほど、甘くない。日本政府が、韓国のTPP加盟に当って、「高いレベルを超える自信はあるのか」と皮肉を込めて発言している裏には、こういう日本側の厳しい要求がある。

     

    (2)「現在、韓国の水産業関係者はTTP加入時に漁業関係者に支払われる水産補助金と、輸入水産物に対する関税が廃止されかねないとして反発している。福島原発汚染水放出を控え福島産水産物開放圧力も大きくなると懸念している」

     

    このパラグラフに、韓国が日本とFTAも結ばなかった事情が現れている。韓国漁業者は補助金と高い輸入関税で守られている。もっと、厳密に言えば、「福島産食品の輸入禁止」で守られてきたと言える。噓八百を言い連ねて、自国産海産物を保護しようというのは、道義的にも許してなるまい。 

     

     

    あじさいのたまご
       

    韓国進歩派(民族主義)は、世界でも独特の存在である。進歩派は一般的にリベラル主義だが、韓国は民族主義の集団である。中朝との一体化が、韓国の国益になると信じている集団なのだ。その韓国進歩派は、今回のIPEF(インド太平洋経済枠組)と日米同盟の強化を苦々しい思いで見ていることが分った。

     

    日本が、太平洋戦争の謝罪をしていないという前提に立っている。だから、近隣諸国は日本に対して不信の念を持っているというのである。韓国のいう「近隣諸国」とは、韓国進歩派を指している。日本は、アジア諸国に対して太平洋戦争の謝罪と賠償を済ませ、ODA(政府開発援助)による経済支援も行なってきた。世論調査によれば、日本がアジア諸国で6割の支持を得て1位である。米国や中国を寄せ付けない高い支持率だ。韓国進歩派は、こういう都合の悪いデータに目を瞑っている。ひたすら、日本への謝罪と賠償を求める「物乞い」集団である。

     

    『ハンギョレ新聞』(5月24日付)は、「IPEF・米日同盟強化、『秩序大転換』で岐路に立つアジアと題する社説を掲載した。

     

    23日、「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が正式に発足し、日本の軍事力と米日同盟強化のシグナルを明確にした米日首脳会談が開かれた。中国を米国主導の国際秩序に対する挑戦者と規定し、同盟を糾合しこれを遮断しようとする米国のアジア戦略の「中核となる布石」といえる。揺れ動く国際秩序の不確実性に備え、巧みな外交が求められる状況だ。

     

    (1)「この日の米日首脳会談は、米日同盟の抜本的変化を伝えた瞬間として歴史に記録されるだろう。日本は「専守防衛」の役割を越え、米国と並び軍事的な役割を果たしていくという一歩を踏みだした。日本の岸田文雄首相は、「日本の防衛力を抜本的に強化」する決意を明らかにした。日本は国内総生産(GDP)の1%水準である防衛費を2%台へと大幅に増やし、「敵基地攻撃能力」も確保する見込みだ。中国とロシアの挑戦、北朝鮮核開発などで危機に直面した国際秩序を守るという名分だ」

     


    日本の防衛費は、対GDP1%である。中国や韓国が、これまで厳しい注文をつけてきたことへの配慮だ。その中韓が、対GDP防衛費の比率で日本をはるかに上回っている。韓国は2%を超えており、中国も「裏防衛費」を含めれば2%台である。このように、日本の防衛費は、極めて少ないのが現実だ。それを増やすことで、韓国から非難される理由はない。

     

    防衛で専守防衛に固執していれば、侵攻を受けて初めて攻撃に転じる訳で、反撃への立遅れを招く。これは、侵略する側にとってまことに都合のいい原則だ。逆に、日本の「敵基地攻撃」が可能となれば、侵略抑止になって戦争を回避できるであろう。日本への侵攻が、多大の被害を呼ぶことになれば、相手国に対して戦争抑止力として働くはずである。専守防衛には、戦争を招き寄せる危険性がある。

     


    (2)「両首脳はまた、「東・南シナ海における力を背景とした(中国の)現状変更の試み」にともに対応すると述べた。中国が台湾を侵攻した場合、米国は「台湾を防御するために軍事的に関与するのか」という質問を受けたバイデン大統領は、「イエス(Yes)。それが我々の約束だ」と答えた。名分が何であれ、過去の侵略の歴史に対する真の謝罪と反省がない日本の軍事力増強は、韓国をはじめとする近隣諸国から懸念と反発を受けざるをえないことを直視してほしい

     

    下線部は、韓国進歩派だけの口実である。慰安婦や徴用工の問題と同じレベルで、国家の運命を左右する安全保障を議論していることに驚く。余りにも低次元であり、議論する気も失せるほどだ。

     


    (3)「この日正式に発足したIPEFには、韓国、米国、日本、オーストラリア、インド、シンガポール、ベトナムなど13カ国が参加した。安全保障協力体であるクアッド(QUAD)とオーカス(AUKUS)に続く米国の「中国牽制」の枠組みが加わったのだ。「経済・技術協力体」であるIPEFは、実際の稼働に伴い地域の経済秩序を新たに規定しうる。このような流れに対し、中国の王毅外交担当国務委員が「アジア太平洋地域に軍事集団と陣営対決を引き入れようとする試み」だと非難するなど、中国の反発は強まっている。21日の韓米首脳会談で「台湾海峡の平和と安全」が取り上げられたことについても、中国が外交ルートを通じて抗議したことがこの日明らかになった」

     

    ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヶ国中、7ヶ国がIPEFに参加する。この現実をどう読むかである。『ハンギョレ新聞』が主張するように、日本を警戒しているならば、これだけの国々が参加しないであろう。IPEFの実際の「仕切り役」は、米国でなく日本となろう。ASEANから7ヶ国も参加するのは、日本政府による根回しが効いているはずだ。連休中に、岸田首相はASEANを訪問している。逆説的に言えば、韓国が期待するように日本はアジアで「非力」でない。

     


    (4)「アジアでよりいっそう激しくなる米中覇権競争は、北朝鮮核問題と分断、「安全保障では米国、経済では中国に近い」韓国のジレンマを悪化させる懸念が強い。韓国は、国際秩序のための役割を果たすと同時に、米国・日本とは違う韓国の現実に悩まざるをえない。政府は各界各層の世論を集め、バランスを失わない外交を慎重に進めていかなければならない」

     

    韓国進歩派は、「米中バランサー外交」という空想的言葉を弄んでいる。韓国に、そのような力はない。「中ロ枢軸」が浮上している現在、韓国が米中間をウロウロしていることは、「中ロ」に利用されるだけである。李朝末期外交の誤りを再現せず、現実外交に目を覚ます時期に来ているのだ。外交に、空理空論は有害である。

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    バイデン米国大統領は、4泊5日の日韓同時訪問とクアッド(日米豪印)会議を終えて24日夕方帰国した。韓国と日本の首脳会談後に発表された共同声明では、韓国の「各論」と日本の「総論」という違いが浮き彫りになった。

     

    米韓共同声明において、「経済安保」が全面に出た。日米共同声明では、対中国問題への対処が色濃く出ている。こうして米国による対日、対韓との関係密度が両共同声明の中にはっきりと見て取れる。韓国とは初歩的、日本とは熟成した関係構築が進んでいることを示しているのだ。韓国は、文政権5年間の混迷外交による後退が響いた。

     


    『中央日報』(5月25日付)は、「バイデン大統領韓日歴訪、韓米と日米どう違うか 『経済安保協力』と『国際規範守護』」と題する記事を掲載した。

     

    5日間にわたる韓日歴訪でバイデン米大統領は所期の成果を達成した。「自由主義対権威主義陣営間の競争」で核心同盟である韓日との連帯を強化することだ。だが、韓国と日本で重点を置いた部分はそれぞれ異なった。2日違いで公開された韓米首脳と日米首脳の共同声明のキーワードを見ると、韓国では「経済安全保障協力」に集中し、日本では「国際規範守護」役割を求めたものと明らかになった。

     

    (1)「韓米首脳と日米首脳の共同声明はそれぞれ21日と23日発表された。バイデン米大統領が韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と、日本の岸田文雄首相を訪ね2日差で対面会談を行った結果だった。まず、米国の経済安全保障政策の核心である「供給網」は韓米の声明では英文基準で10回登場した。日米の声明の5回と比べ2倍だ。技術関連の言及も韓米の声明で14回、日米の声明で7回と、韓米の声明での言及がちょうど2倍だった」


    米韓共同声明では、「供給網」が10回も取り上げられ、日米共同声明の2倍になった。これは、韓国がIPEF(インド太平洋経済枠組)へ参加することを踏まえて取り上げたのであろう。日本もIPEFへ参加するが、改めて強調するまでもないという意味合いである。

     

    韓国が、この種の取り決めに対してこれまで、いかに中国を意識してきたか、その神経過敏ぶりを見せている。現状でも、中国に誤解されたくないという思いが強いのだ。

     

    (2)「米国をはじめとする13カ国が参加した中で、23日に発足したインド太平洋経済枠組み(IPEF)も、韓米と日米の声明ともに明示された。ただ日米声明にはIPEFに対する岸田首相の支持と枠組み発足を歓迎するという内容だけ盛り込まれたのに対し、韓米の声明の関連内容ははるかに具体的だった。まずIPEFの「原則」を「開放性、透明性、包容性」と明らかにし、「優先的に扱う問題」として「デジタル経済、回復力ある供給網、クリーンエネルギー、持続可能な経済成長促進」を挙げた」

     

    IPEFについて、日本ではあっさりと軽く取り上げているのに対して、韓国では、詳細な取り上げ上げ方である。中国への説明と国内の「親中派」への配慮であろう。ユン政権が、このくらい神経を使わなければならないほど、中国と国内野党の存在がうるさいのだ。

     


    (3)「21日の韓米拡大首脳会談に参加した面々を見ても、経済重視基調は明確だった。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相、李昌洋(イ・チャンヤン)産業通商資源部長官、崔相穆(チェ・サンモク)経済首席秘書官、王允鍾(ワン・ユンジョン)経済安保秘書官など経済官僚が大挙同席した。正統な外交・安全保障ラインで構成するならば拡大会談メンバーに国防部長官が入るところだが、代わりに産業通商資源部長官が入った形だ」

     

    米韓拡大首脳会談では、韓国側から経済関係閣僚などが出席している。これを見ても分る通り、IPEFが大きなテーマであったことを示す。韓国には、幅広く対中安全保障問題を議論する心づもりがなかったことを覗わせている。

     


    (4)「23日にホワイトハウスが公開した日米首脳共同声明の題名には、韓米の声明と違い「自由で開放された国際秩序強化」という副題が付けられた。経済と気候協力関連の詳しい内容はそれぞれ別途のファクトシート(説明資料)で扱い、共同声明そのものはインド太平洋戦略の進展、拡大抑止強化、持続可能で包容的な経済成長など上位概念に焦点を合わせた。特に日米の声明で中国は8回にわたり言及された(南シナ海、東シナ海除く)が、これに先立ち中国を最初から特定して取り上げなかった韓米の声明と対照的だ。ロシアに対する言及も韓米が6回、日米が13回と2倍以上の差を見せた。主にウクライナを侵攻したロシアを糾弾する内容だった。ウクライナに対する言及は韓米が4回、日米が5回だった」

     

    日米共同声明では、中国やロシアについての言及が多くされている。米韓共同声明から見ると、全くの別物と言えよう。韓国が、中ロを相手にしてなお「怯えている」様子が窺えるのだ。

     

    (5)「対北朝鮮原則論を掲げた尹錫悦政権が発足し、韓日米3カ国の対北朝鮮政策の一致性はさらに高まったと分析される。今回の尹錫悦・バイデン両大統領の声明には、昨年5月の文在寅(ムン・ジェイン)・バイデン両大統領の声明と違い北朝鮮のミサイルに対する「糾弾」と北朝鮮の人権状況に対する「重大な懸念」が盛り込まれた。外交部当局者は「(韓米首脳会談で)北朝鮮を含む韓半島(朝鮮半島)問題に対しては順調に疎通し、双方がほぼ全面的に共感した」と話した」

     

    韓国は、北朝鮮に対しては毅然として対応する姿を見せた。文政権時代は、対話先行で北朝鮮の嫌がることを一切せず、ひたする「ご機嫌取り」に終始した。これから見れば、ユン政権は「言うべきことを言う」という姿勢に代わっている。 

     

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    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、就任10日余で大きな外交的決断を迫られた。米国の主導するIPEF(インド太平洋経済枠組)への参加が、中国の反発を招くからだ。また、米韓首脳会談で米韓軍の合同演習の再開を決めたので、北朝鮮の反発を招くことも確実である。

     

    こうした中朝からの逆風を覚悟して、米同盟国という同一価値観に基づいて西側諸国の一員という認識を深めたように見える。だが、韓国進歩派(民族主義)は中朝融和派であるので、韓国政治はせめぎ合いが激しくなろう。

     

    『朝鮮日報』(5月24日付)は、「尹大統領『IPEF参加は国益に合致』」と題する記事を掲載した。

     

    尹錫悦大統領は23日、インド・太平洋経済枠組み(IPEF)の発足首脳会合で「自由民主主義と市場経済体制を基盤に短期間で成長と発展を成し遂げ、IPEFが包括するあらゆる分野でこれらの経験を分かち合いながら協力したい」と述べた。就任から13日で米国主導のインド・太平洋経済枠組みに参加したのだ。文在寅(ムン・ジェイン)前政権で韓国は米国と中国の間で「戦略的あいまい戦略」を取り続けたが、今回は「米国主導のアジア・太平洋秩序に加わる意向を明確にした」と評されている。

     

    (1)「尹大統領はこの日、IPEF参加13カ国のうち5番目に5分間オンラインで演説し「今世界はパンデミック(感染爆発)、サプライチェーン再編、気候変動、食料・エネルギー危機など多様で複合的な危機に直面している」としてIPEF発足の必要性に賛同する考えを示した。「一つの国が独自に解決できる問題ではない」ということだ。尹大統領は「インド・太平洋地域の共同繁栄時代を開くため共に力を合わせよう」と呼び掛けた。尹大統領は大統領就任式の演説と国会での施政方針演説で「自由」「人権」「連帯」を訴えたが、今回経済分野でも自由民主主義勢力と行動を共にする考えを明確にしたのだ」

     


    IPEFにはASEANから親中のミャンマー、カンボジア、ラオスを除く7カ国が参加している。これは予想外に多いことで、中国の圧力をはね返して参加したと見られる。IPEF参加国は、
    貿易供給網インフラ・脱炭素税・反汚職――4分野のうち、自国の立場で選択できる仕組みだ。多分、②技術と③インフラの2分野に参加して、IPEFのメリットを目指しているであろう。韓国は、IPEFの4分野すべてに参加して、米韓同盟の絆の強さを証明しなければならない立場だ。

     

    (2)「尹大統領が就任から10日でIPEF参加を正式に決めた背景には「国際経済秩序の急速な変化」という判断があるためだ。米国と中国の覇権争い、そしてそれに続くウクライナ戦争によるサプライチェーンの混乱など、国際経済秩序は急速に変わりつつある。この状況で米国主導のサプライチェーン・ブロックに参加することが国益の次元で必要と判断したのだ。一部では中国の反発を懸念する声もあるが、尹大統領はこの日、記者団の取材に「当然参加すべきであり、そのルール作りのプロセスから外れてしまうと国益にも大きなマイナスになる」との考えを示した」

     

    尹大統領は、積極的に記者団の取材に答えている。これは、前任者の文大統領との大きな違いである。文氏は在任中、数える程度しか記者会見しなかった。尹氏は、自分の考えを述べることで、国民もIPEFの意義を早く理解できるだろう。

     


    (3)「インド・太平洋地域の13カ国が発足メンバーとして参加する一方で、中国を意識して加入をためらうと早期の主導権確保競争で立ち遅れてしまいかねないからだ。尹大統領はこの日放映されたCNNテレビとのインタビューで「中国がこの問題であまりにも神経質な行動を取るのは合理的ではない」「IPEF参加は大韓民国の国益に合致する」と述べた」

     

    韓国は、TPP(環太平洋経済連携協定)で中国への思惑が先行して「原加盟国」にならなかった。その失敗から、IPEFでは「原参加国」として行動する決意をしている。

     

    (4)「尹大統領はこの日、世界で最初に5G(第5世代移動通信)を商用化した韓国の通信技術、さらに原子力、水素、再生可能エネルギーなどの技術分野にも言及し「韓国はデジタル経済への転換と炭素低減インフラの構築に貢献したい」との考えを示した。尹大統領はさらに「世界的サプライチェーンの危機に効果的に対応するには、国際的な協力態勢が非常に重要だ」「半導体・バッテリー・未来の自動車など先端産業の核心力量を持つ韓国は地域の国々と互恵的なサプライチェーンを構築できるだろう」と意欲を示した」

     

    韓国は、半導体、通信技術、原子力、水素、再生可能エネルギーなどの技術分野で貢献する意思である。このことは、中国との関係が希薄になる。中国は、半導体部門が脆弱名だけに、痛手であろう。

     


    尹大統領は北朝鮮問題について23日、米『CNN』テレビ・インタビューで次のように語った。「北朝鮮をなだめる時代は終わった」とし、「南北対話のボールは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の側にある」と指摘した。次のような指摘もあった。

     

    「北朝鮮の挑発の脅威を一時的に避けるための政策を展開するのは、われわれのやることではない」とした。文政権が、任期中ずっと推進した対北融和策は、「5年間の失敗と判明した」と結論づけ、いわゆる「対話のための対話」を繰り返す気はないことをはっきりさせた。以上は、『朝鮮日報』(5月24日付)からの引用である。

     

    文政権は、中朝に対し一貫し「御用聞き」のような振る舞いであった。これが、中朝を増長させたことは疑いない。韓国へ強い態度で出れば、すぐに妥協すると甘く見られてきたのだ。こういう「おべっか外交」から脱皮する。これが、今後の韓国外交方針になるようだ。

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    日米韓三カ国の足並み揃える

    意味深の米韓共同声明を読む

    政権発足10日後で重大決断

    統一地方選で与党勝利の兆し

     

    米国大統領バイデン氏が、5月20~22日まで韓国を訪問した。日本で開催される「クアッド」(日米豪印)4ヶ国首脳会談へ出席するため、日韓同時訪問になった。

     

    今回のバイデン氏による日韓訪問は、対中戦略の基礎固めをする上で大きな意義を持っている。具体的には、次の点である。

    1)日米韓三カ国の足並みを揃えて、対中朝戦略を構築する。

    2)経済と安保を一体化する「インド太平洋経済枠組」(IPEF)をスタートさせる。

    3)クアッド4ヶ国の結束を固める。

     


    日米韓三カ国の足並み揃える

    バイデン氏は、前記の3点について韓国の同意ないし関心表明を取りつけた。これは、今後の日韓関係についても「対立」から「調和」へと大きく舵を切ることを意味する。韓国の前政権は、ことごとく「反日姿勢」を貫き、国内政治に利用してきた。新政権によって、「反日」から脱する機会が生まれようとしている。

     

    韓国は、日韓融和の利益が韓国へ多くもたらされることを認識している。「反日」が、韓国に不利益をもたらしたからだ。このことを、文政権5年間の愚行で骨の髄まで叩き込まれたであろう。具体的には、日本が輸出面の手続きで、韓国を「ホワイト国」から除外したのがそれだ。韓国が、「親日国」でないと見限ったのである。

     

    大学生の就職先では、日本企業が人気を得ている。文政権は、それを快く思わず日本企業による単独の就職説明会の開催を認めず、アジア企業全体の開催の一つとして許可する嫌がらせもした。まさに、幼児レベルであった。これによる損害は、韓国の就活生が被った。その文政権がようやく幕を閉じたのだ。保守系政権に移ったメリットが、これから韓国に反映されるはずである。

     


    韓国の国民レベルで言えば、日中両国を比較した場合、どちらが韓国で不人気な国なのか。韓国世論で、圧倒的支持を得ている国が米国である。事実上、2位3位の国は存在しないほどだ。代わって「好ましくない国」では、北朝鮮・中国・日本の順序になっている。日本は嫌われ国で3番目である。文政権が、歴史問題を持ち出し謝罪と賠償を求めるムードが拡散された影響だ。学校教育でも、「反日」一本槍である。こうなれば、日本への好感度は上がるはずがない。

     

    だが、感情論は別としても経済・安保で日本の重要性がしっかりと認識されている。とりわけ、韓国経済界は日本との融和を強く望んでいる。経済界は決して、中国指向でないのだ。中国進出の韓国企業は、中国政府から何かに付けて虐められてきた。

     

    韓国の反日構造は、文政権が代わっただけで好転する可能性を持っている。日本の「嫌韓」も、突き詰めれば「文在寅」の振る舞いに反感を募らせていたはずである。その文政権が消えたのだから、日韓関係は振り出しに戻れる可能性もあるだろう。

     


    今回のロシアのウクライナ侵攻は、「中ロ枢軸」という印象を世界的に広めることになった。日本が安全保障上の仲間として、嫌いな韓国を入れないというのも一つの選択であろう。ただ、仮に韓国が「中朝ロ」によって攻め込まれる状況を想定すれば、日本にとっても憂慮すべき事態が起こる。韓国で発生する大量の難民は、隣国の日本が引き受けなければならないのだ。ウクライナの難民が、隣国ポーランドへ殺到したケースを見れば分るであろう。

     

    意味深の米韓共同声明を読む

    ここで、5月21日に発表された米韓首脳会談の共同声明の主要部分を見ておきたい。尹(ユン)政権がいかなる外交安保政策を持っているかが分るのだ。

     

    1)「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を認め、相互協力の強化に同意する。韓国独自のインド太平洋戦略枠組みを策定するという尹錫悦大統領の構想をバイデン大統領は支持する。「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を通じ、緊密に協力すると約束する。

     

    IPEFは、「経済と安保」を一体化する経済的な枠組である。韓国は、これまで「安全保障は米国、経済は中国」という外交政策であった。これについて、「バランス外交」と称し、米中対立のバランサーになると言ってきた。米中バランス外交の歴史は長い。2003年に発足した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代から米中バランス外交が唱えられ、その後の政権はすべてこれを踏襲した。中国経済の急成長時期と重なっている。


    GDP10位の韓国が、GDP1位と2位の米中対立を仲介できるはずがない。中国は、韓国の外交政策を上手く利用して、米韓同盟に軋轢が生じるように仕向けてきた。韓国は、それとも知らず中国に接近して北朝鮮の軍事暴走を食止めたいと努力した。その効果は、全くなかったのだ。核とミサイルの開発時間を与えた結果に終わった。(つづく)


     

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