勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国は、家計や企業の民間部門が不振を極めている。今年6月末の民間部門の債務残高は、対GDP比で2.2倍という異常に高い債務残高を抱えていることが分った。現在のウォン相場急落とからめ、為替投機筋に売り材料として狙われるであろう。

     

    こういう事態が起こった背景には、過去5年の文政権による経済無策が影響を及ぼしている。強引な最低賃金引上げによる失業者増加と、住宅対策失敗による価格高騰のもたらしたローン増加が、民間債務を膨らませたものだ。韓国は、昨年から人口減社会に突入している。この状況下での債務残高急増は、潜在成長率を一段と低下させるであろう。膨らむ借金と低下する成長率。韓国経済は、急速に「伸び代」を失っている。

     


    韓国『東亞日報』(9月24日付)は、「家計と企業の借金がGDPの2.2倍、これ以上の不良融資の『爆弾回し』はダメだ」と題する社説を掲載した。

     

    韓国の家計と企業が、今年6月末現在抱えている借金の合計額は4345兆ウォンで、史上最大だという韓国銀行の報告書が出た。名目国内総生産(GDP)の2.2倍で、先進国の中では最高水準だ。借金が多いだけではなく、急激な利上げの影響で利払いの負担まで急速に増大している。適切に制御できなければ、金融システムの不良化につながり、韓国経済を脅かす潜在的な爆弾だ。

     

    (1)「6月末の家計負債は1869兆ウォンで、1年前に比べて3.2%増加し、企業負債は2476兆ウォンで10.8%増えた。不動産市場の低迷と取引の崖で、家計負債の増加傾向はやや鈍化しているが、原材料価格や人件費、電気料金などすべての生産コストが同時に高騰したため、企業の負債増加速度は速くなっている。利払いの負担がさらに大きくなれば、資金難のために融資を増やした企業の中では、稼いだ金で利子も返済できない限界企業が増加せざるを得ない」

     


    6月末の家計負債は、1年と比べて3.2%増。企業負債は、同10.8%増である。企業負債の増加ぶりが大きい。輸入物価上昇の影響を大きく受けていることは間違いない。韓国は、もともと支払い利息を営業利益で払えない「ゾンビ企業」が増えている。それだけに、この状況はゾンビ状態を一段と悪化させていることを覗わせている。

     

    (2)「その中でも、1年前より15.8%急増した994兆2000億ウォンの自営業者向け融資は、深刻な危険要因だ。社会的距離確保は解除されたものの、景気回復は遅い状態で、高金利による衝撃が追加で迫ったためだ。金融当局が、自営業者・小規模事業者に対する融資の満期、元利金の返済猶予措置を引き続き延長したため、問題はまだ起きていないが、内部では深く病んでいる。20代や30代の青年層の過度な借金も、遠からず社会問題へと飛び火する可能性が高い。借金をして投資したが、株式や仮想通貨価格の暴落で損害を被った青年たちが、突然、会社や学校に出ず、周辺と連絡が途絶えることも少なくないという」

     

    6月の自営業者の債務残高は、1年前より15.8%である。最低賃金大幅引き上げの後遺症とパンデミックの被害が重なっているのであろう。韓国は、自営業者比率(24.64%:2019年)が8位と高い国である。韓国よりも上位にある国は、トルコやメキシコなどだ。自称「先進国」の韓国としては、雇用構造の前近代性を改革しなければならない。

     


    韓国で自営業者比率が高いのは、中途退社するものの他企業に転職できない結果、自営業に転じることを意味している。「喧嘩早い」国民性ゆえに、些細なことで退職しても、転職の受け皿が少ないことで、こういう結末になっている。

     

    (3)「米国主導の利上げは、少なくとも来年まで、グローバル景気低迷はさらに長引く見通しだ。新型コロナの発生後、2年半以上累積した家計や企業負債を減らすために、出口戦略を実行に移さなければならない時だ。にもかかわらず、政府は自営業者などに融資満期は3年間、元利金返済猶予は1年間ずつさらに伸ばす一括措置を検討しているという」

     

    米国は、強い姿勢でインフレ抑制に臨んでいる。来年も利上げ続行姿勢だ。韓国は、米国に追随して利上げしない限り、資金流出が起こるリスクを抱える。となれば、韓国の利上げは今後も続くであろう。その分、債務者の金利負担が大きくなる。

     


    (4)「このような状況が続けば、健全な企業に投入されるべき資源が、再生可能性のないゾンビ企業に使われ、金融不安だけが大きくなる。庶民や青年などの脆弱階層のための負債調整プログラムを、早く施行するものの、自営業者を含む企業負債に対しては、金融会社に裁量権を与え、玉石を選別できるようにしなければならない。爆弾回しのように、不良企業への融資を延長することは自制しなければならない」

     

    韓国政府は、すでに金融弱者の救済策を発表しており、利払い期間の延長などに取り組むことになっている。早く、これらの「重篤債務者」を別枠で処理しないと、金融全体の流れが滞ると指摘しているものだ。韓国では、こういう扱いが常態的に行なわれている。「金融規律」が弛緩している結果だ。

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    岸田首相が22日(現地時間)、ニューヨークで10月11日から外国人旅行客の受入れを全面解禁すると発表した。この報道を最も歓迎しているのが韓国である。「反日メディア」で知られる『ハンギョレ新聞』までが大きく報じる騒ぎだ。

     

    韓国では、これだけ日本旅行のリピーターが多いことを示している。23日の格安航空券予約は普段の3倍に跳ね上がっているという。2019年に韓国で起こった「反日不買運動」以来の「日本旅行ブーム」になりそうだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月24日付)は、「扉を開く日本…ノービザに円安も重なり『観光特需』なるか」と題する記事を掲載した。

     

    日本の岸田文雄首相は、来月11日からビザなしでの外国人の日本入国を再開すると発表した。岸田首相は22日(現地時間)に米ニューヨークで行われた記者会見で、「入国者数についての上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁」を行うと述べた。日本の首相官邸が明らかにした。

     

    (1)「日本政府は新型コロナウイルスの世界的な拡散を受け、2020年春にすべての国を対象とした新規入国禁止措置を取った。その後はビジネス目的の入国の受け入れ、団体観光の再開と、徐々に規制を緩和してきた。これまでは1日の入国者数の上限を定めて規制しており、外国人観光客のビザなし入国および個人旅行は認めていなかった。しかし、コロナ感染者が次第に減っている中、円安による観光特需を期待する声の高まりを受け、突如として門戸を開いた」

     

    日本国内では、円安を歎いているだけでなく、逆に円安を武器に海外旅行客を全面受け入れするほうがプラス、という認識が高まっていた。韓国では、日本旅行が「近い・安全」という条件を揃えていることから、最も人気の海外旅行先になっていた。それが、復活するということだ。

     


    (2)「日本円は1ドル=140円台にまで円安が進み、ここ24年で最低水準を記録しており、日本銀行が約24年ぶりに円買いドル売りの為替介入に踏み切ったほどだ。韓国からの観光客は、コロナ禍に伴う2020年の規制前まではビザなしで日本に最長90日滞在できたため、今回の観光客の無ビザ入国再開で、韓日の往来がより容易になるとみられる。岸田首相は記者会見で、自国民の国内旅行やイベントの支援政策なども来月11日から開始すると明らかにした。「コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援していきたい」と語った。

     

    韓国人にとって、円安のメリットは大きい。これまで訪日できなかった「モヤモヤ」を一気に張らすような雰囲気を感じる。すでに、知日派メディア『朝鮮日報』の論説委員は、日本旅行の楽しみをコラムで掲載するほど。この論説委員は、これまでに富士登山4回、全都道府県を取材で回ったというほど。だが、韓国の日本リピーターは、日本人の行かないような孤島まで足を延ばしていると指摘。韓国人の日本への関心の高さに脱帽している記事であった。

     

    『中央日報』(9月24日付)は、「韓国、日本ビザ免除発表日に航空券販売300%急増」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「ハナツアーは、今月1~22日の海外旅行予約は前月同期比173.7%増えたが、日本は同じ期間に776.6%増加したと明らかにした。9月の予約のうち日本が占める比率は36.1%にのぼる。チャムチョウン旅行も今月の日本商品の販売が前月比で500%増え、53件の日本旅行商品を販売中だと明らかにした。同社の関係者は「2019年7月に韓日関係が悪化してから3年以上、日本旅行商品の販売はほとんどゼロに近かった」とし「ビザ免除決定で2019年7月以前の水準を回復すると期待している」と述べた」

     

    九州は、観光旅行客で最も潤っていた地域である。団体旅行でゴルフをして楽しむ客が多かったからだ。個人旅行では、関西へ集まりそうだ。韓国人にはなぜか、関西の雰囲気が好みらしい。

     


    (4)「日本パッケージ旅行、航空券と宿舎だけの商品は9月に入って人気が高まった。一方、旅行会社を通さず航空券と宿舎を直接予約する個別旅行は再開時期が明確でなく、旅行者は状況を眺めていた。22日に岸田首相の発表が出ると、航空会社、ホテル予約サイトを通じて10月11日以降の予約が急増した。旅行コミュニティーサイトも各種旅行情報や質問などで久しぶりに活気を帯びている。LCCの日本往復航空券販売量も急増している。エアソウルは今月23日、11・12月出発の「アーリーバード」航空券販売を始めたが、同日午前の日本路線販売量は前日の同じ時間帯より300%増加した。エアソウルの関係者は「東京、大阪、福岡の順で航空券がよく売れた」とし「高松、米子などコロナ以前に運航した小都市も同期に再就航する計画」と伝えた」

     

    LCC(格安航空券)の予約が、300%増という人気ぶりである。円安も加わって、格安航空を運行する企業は久しぶりの「春」になりそう。「反日不買運動」直前には、日本向けLCCを目的に設立した航空企業が2社も出るほど。それほどの加熱ぶりを見せていたのである。そういう時代に戻るかどうか。

    テイカカズラ
       


    韓国は、米国が主導する半導体の「チップ4」(米国・日本・韓国・台湾)へ参加するかどうかで苦悩している。中国が、韓国を引留めているからだ。中国にとって韓国は、半導体製品供給で最後の「頼み綱」である。

     

    中国のケイ海明・駐韓大使が9月20日、韓国与党・国民の力で半導体特別委員長を務め、現在は無所属の梁香子(ヤン・ヒャンジャ)国会議員を訪ねて、「中国も参加するチップ5に拡大してはどうか」などと発言したとされる。率直な口調で、チップ4に不快感を表明したものだ。このように、中国は韓国引留めに必死である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(9月23日付)は、「韓国半導体に『踏み絵』、米国が供給網連合に参加要請」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府と企業が半導体を巡る米中対立に苦悩を深めている。米国は新たな半導体供給網の枠組みに韓国を引き入れようとし、中国は韓国の米国傾斜を強くけん制する。韓国は半導体輸出の6割を中国向けが占め、サムスン電子は中国に半導体工場を持つ。米中双方に配慮しバランス外交を続けてきた韓国に米国が踏み絵を迫る構図だ。

     

    (1)「米政府は半導体のサプライチェーン(供給網)を安定させる枠組みづくりのため準備会合を調整している。招かれるのは製造装置や材料技術で蓄積のある日本と、最先端品の生産でリードする台湾、そして台湾に次ぐ生産能力を持つ韓国だ。4つの国・地域の枠組みで、韓国では「チップ4」と呼ばれる。新たな連合体の詳細は決まっていないが、半導体技術の確立を急ぐ中国を供給網から排除しようとする意図は明確だ。米国はトランプ前政権時代から中国のハイテク企業への規制を続けてきた」

     

    半導体は、戦略物資である。ロシアが現在、ウクライナ侵攻で戦局不利になっている最大の理由は、半導体不足にある。中国が、ロシアの二の舞いならぬように、深刻になっている背景はこれだ。

     


    (2)「米政府は8月に計527億ドル(約7.5兆円)の補助金を投じ半導体の国内生産を立て直す新法を成立させた。自国企業だけでなく、当面は半導体技術を持つ台湾や韓国、日本と連携し米国内に生産基盤を築く考えだ。アジア勢とともに中国への技術流出の抜け道をふさぐ狙いもある。この呼びかけに戸惑うのが韓国だ。長く経済面で中国との関係を重視し、安全保障面では米国に頼る「経中安米」を基本方針としてきた。米韓同盟を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が参加意欲を示すなか、中国が揺さぶりをかける。8月の中韓外相会談で中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は韓国の朴振(パク・ジン)外相に「中韓両国は独立自主を堅持し、外部の障害と影響を受けてはならない」とクギを刺した」

     

    中国は、なり振り構わずに韓国へ圧力を掛けているのだろう。だからこそ、中国を振り切るべきだ。中国が半導体で弱体化すれば、それだけアジアは平和が続くことを意味する。台湾侵攻を遅らせることが可能だ。

     


    (3)「韓国にとって中国は2021年の輸出入の24%を占める最大の貿易相手国で、稼ぎ頭の半導体の輸出の60%に当たる768億ドルが中国向けだ。化学品や機械など主要産業の輸出先としても中国が高いシェアを持つ。仮に中国が関税引き上げなどの制裁を科した場合、韓国の基幹産業がダメージを受ける可能性が高い」

     

    韓国は、恒常的に対中輸出で黒字を出していたが、この5月から連続赤字に陥っている。中国経済の急減速が理由である。中国は、不動産バブル崩壊の後遺症とゼロコロナによって窒息状態である。回復には、かなりの時間がかかるだろう。

     


    (4)「企業も口をつぐむ。サムスン電子は半導体メモリーの生産量の2割を西安工場(陝西省)が担う。SKハイニックスは無錫工場(江蘇省)に加え、21年には米インテルの大連工場(遼寧省)を買収。今や半導体生産の4割を中国工場が占める。韓国財界からは「もはや企業が対処できる問題ではない」との声も漏れる。SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長は7月に米ワシントンを訪問してバイデン米大統領に現状を説明。韓国企業は米韓政府に企業活動への影響を軽減するよう要望を繰り返している」

     

    将来、米中戦争が起こって韓国が米国側につけば、韓国の中国工場は接収される運命だ。半導体高級品製造はリスクを伴うから、接収されてもいい程度の投資に抑えておくべきだろう。

     


    (5)「尹大統領の米国重視の姿勢は揺らぐ。8月には訪韓したペロシ米下院議長との対面会談を休暇中との理由で断った。ソウル市内にいた尹氏が電話会談にとどめたのは中国に配慮したためと受け止められている。韓国政府は保守・革新問わず、米中双方の顔色をうかがう外交姿勢を徹底してきた。文在寅(ムン・ジェイン)前政権は北朝鮮との融和を重視するため中国寄りの姿勢を強めたが、米国への配慮も欠かさなかった。米中対立の先鋭化で韓国の「米中バランス外交」は大きな転換点を迎えた。半導体を巡る米主導の新たな枠組みに飛び込むかどうか。尹政権は韓国経済の未来を左右する決断を迫られている」

     

    韓国は、現実化する米中冷戦のリスクを避ける工夫が不可欠である。もはや、二股外交は不可能である。甘い夢を捨てて、厳しい現実に向かい合うべきである。米韓同盟の精神に従うことだ。

    テイカカズラ
       

    韓国経済を揺るがすウォン相場は22日、ついに1ドル=1400ウォン割れに落込んだ。当局の必死の介入で1300台を維持してきたが、米国の利上げに抗すべくもなく1400ウォンとなった。オフショア市場では、9月22日22時17分に1402.36ウォンである。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月22日付)は、「韓国ウォン、為替レート『年末に1500か』 外貨確保額は余裕あるが『超緊張』」と題する記事を掲載した。

     

    ウォン-ドル為替レートが心理的抵抗線とされてきた1400ウォン台を結局突き抜けて、今は年末に1500ウォンを超える可能性まで市場から出ている。

     


    (1)「22日、ソウル外国為替市場でウォン-ドル為替レートは前取引日より15.50ウォン下落し、終値は1409.7ウォンとなった。これまでに1400ウォンを割込んだのは、1997年の「自由変動相場制」導入以後、外国為替危機(1997~1998年)とグローバル金融危機(2008~2009年)2回。最近、当局は市中銀行にドル注文量をリアルタイムで報告するよう指示するなど介入に乗り出したが、市場の強力な1400ウォン割込みを防ぎきれなかった」

     

    米国の0.75%の利上げには抵抗できなかった。韓国の政策金利は、2.50%である。米国は、3.00~3.25%へ引上げたので金利差が大きく開いている。これでは、ウォン急落は避けられなかった。

     


    (2)「米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、年末から来年にかけて政策金利をより早く大幅に上げると予告した。連準委員らは、今後到達する政策金利目標で今年末に年4.4%(中間値)、来年末の金利を年4.6%(中間値)と見通した。前回6月の金利見通しの中間値は、今年末が3.4、来年末は3.8%で、3カ月で約1ポイントも高まった。FRBは今年、米国経済の成長率も過去の展望値(1.7%)を大きく下方調整した0.2%と提示した」

     

    FRBでは、今後の政策金利目標をさらに引上げる示唆をしている。今年末は、年4.4%(中間値)、来年末の金利が年4.6%(中間値)となっている。来年も引上げる可能性を秘めている。これは、ウォン相場にとってマイナス材料である。

     


    (3)「市場では、FRBの積極的緊縮と米国の景気鈍化可能性により、安全資産であるドルの価値がさらに高まり、ウォン相場は急速に下落した。こうした状況で貿易収支の赤字転換、半導体輸出鈍化の可能性、韓国国内居住者の海外投資増加などの国内要因までがウォンの価値をさらに引き下げている。ウォン相場を転換させる変数はまったくなく、年末には1500ウォン割れとの声も出ている。NH先物研究院のキム・スンヒョク研究員はこの日、「今年第3四半期をウォン安の頂点と見たが、この日1400ウォンを割込んだだけに来年初めまでウォン相場はさらに下がりうる」とし、「ウォンレートの安値を1500ウォン水準に修正する」と明らかにした」

     

    ウォン相場急落局面を変える要因はゼロである。年末には、1500ウォンへ続落すると悲観論である。

     

    (4)「ウォン相場が過去の経済危機を想起させる水準まで下落し、危機感も高まっている。ウォン下落は輸入製品価格を引上げ、消費者物価上昇率をさらに煽りかねない。ただし歴代の経済危機と比較して現在は、国内のドル調達状況はまだ余裕がある。専門家は、外国為替市場とドル資金を借り貸しする外貨資金市場の両方を一緒に注視している。外国為替危機は、企業や金融機関のドル調達が難しくなり、ドルの流動性に問題が生じたときに発生する。外貨資金市場の側で、資金繰りどれだけうまくいくかが重要な理由だ」

     

    韓国は当面、ウォン急落はあってもドル資金繰りに破綻はなさそう。FRBが2020年、米国債相場の下落を防ぐ目的で考案した制度(FIMAレポファシリティ)があるからだ。海外中央銀行が、保有する米国債をFRBへ担保として提供し、ドルを借りる方式である。韓国銀行も昨年、上限600億ドル(調達金利年0.25%)で契約を締結した。米国債保有限度で自動的にドル資金を借り出させるのだ。韓国は、この制度があるにも関わらず「通貨スワップ協定」締結を持出し騒いでいる。

     


    (5)「韓国銀行は、この日の「金融安定状況」報告書で、グローバル金融危機と同様の水準で韓国国内の銀行および外国銀行の韓国支店から外貨資金が流出しても、銀行全体の外貨資金確保額に対する流出額の割合は56.4%に過ぎないと分析した。現在、銀行圏が衝撃に対応する外貨資金は十分に確保しているという意味だ。チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は「過去の金融危機などに比べて現在の韓国の対外健全性指標は良好な状況だ」と話した」

     

    前記の「FIMAレポファシリティ」を計算に入れて、ドルの資金繰りを計算していると見られる。ただ、想定を超えたウォン大投機が起これば、対応不可能になる。

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    韓国の対ドル・ウォン相場が、1400ウォン割れ寸前でもみ合っている。当局のドル売り介入によって1400ウォン割れを防いでいる結果だ。この「防衛線」が崩れれば、ウォンは一気に「50ウォン」単位で下落するのでないかという恐怖感が漂っている。

     

    韓国銀行は20日、今年8月末現在の外貨預金残高が882億7000万ドルとなり、前月末に比べ21億1000万ドル減少したと発表した。この減少幅の大きさが警戒感を強めている。現在の、ウォン相場は1ドル=1394ウォン(21日12時08分)で踏ん張っている。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月21日付)は、「
    投資家の韓国離れ加速 アジア通貨危機の再来懸念」と題する記事を掲載した。

     

    米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを受けドルが上昇を続ける中、韓国ウォンは金融危機以来の安値に沈んでいる。一部のアナリストや投資家は、強いドルが一因となり、韓国などの国から資金が流出し市場が不安定化した1997~98年のアジア通貨危機と類似しているとして懸念を示している。

     

    (1)「ハンファ投資証券のチーフエコノミスト、キム・イルク氏は、韓国にとって「資金流出は深刻な問題だ」と指摘。さらに流出が続けば通貨や株式、また債券に新たな圧力がかかることになる。そうなれば、コモディティー(商品)の輸入コストはウォンベースで上昇し、企業にとっては資金調達の負担も高まることになると述べた」

     

    ウォンの対ドル相場は16日、取引時間中に1ドル=1399ウォンを付け、1400ウォン割れが迫り、韓国の通貨当局は対応に追われた。外国為替市場では、心理的抵抗線とされる1400ウォンを割り込めば、不安感が一段と高まりかねないと懸念されている。実際に1400ウォン割れとなれば、ウォン安が加速し、企業だけでなく、個人の間でも恐怖心理が広がりかねないからだ。

     

    通貨当局は1400ウォン割れを阻止するために総力戦を展開している。16日から通貨当局は都市銀行と国策銀行にドルの取引状況を1時間単位で報告するよう求めた。通常外国為替取扱銀行は午前10時、午後1時、午後5時の3回、ドル取引状況を報告するが、1時間単位でリアルタイムに報告するよう要求する「実力行使」に出た。市中銀行関係者は「顧客のドル需要を満たす程度のドル資金だけを確保し、銀行が為替差益を得ようとするドル買い入れを行ってはならないという圧力だ」と話した。『朝鮮日報』(9月19日付)が伝えている。

     


    (2)「ドルは19日の時点でウォンに対し、年初来で17%上昇。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数の約13%上昇を上回るペースとなっている。韓国はウォン安がさらに歓迎されない独自の問題も複数抱えている。同国は家計や企業の債務が多いため、中央銀行がインフレ抑制や通貨を支えるため積極的に政策を引き締めることができない状況となっている。同国はまた、特に最大の貿易相手国である中国などとの輸出に大きく依存するなど、より長期にわたる課題も抱えている

     

    下線のように、韓国は固有の問題点を抱えている。家計や企業の債務が多いことだ。家計債務の対GDP比は100%を上回り、OECD(経済協力開発機構)の中で最悪である。韓国が、外貨流出を抑制すべく金利を急速に引き上げれば、家計の破綻リスクを誘発する。企業も、金利を営業利益で支払えない「死に体」が増えている。こうして、民間部門が高金利に耐えられない脆弱な構造になっている。

     

    中国経済の不振も痛手だ。中国は、韓国輸出の4分の1(香港を含めれば3割)を占めている。その中国経済が不振である。対中貿易は、これまで恒常的に黒字であったが、すでに5ヶ月赤字に落込んでいる。この対中赤字が、韓国貿易収支構造を大きくマイナスへ引き寄せている。

     

    以上のような固有の問題点を抱える韓国経済が、3度目の通貨危機に陥らないという保証はないのだ。むしろ、今回は中国経済不振という、これまでになかったマイナス材料が出ている。為替投機筋の狙い目はここであろう。

     

    対ドルで1400ウォンを割込めば即、米国からドル資金を借入れて対応せざるを得まい。韓国では、これを「通貨スワップ」としているが、正式には「ドル借入れ」である。韓国は体裁を付けて「通貨スワップ」と称しているだけだ。

     

     

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