勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

    あじさいのたまご
       

    韓国の旧徴用工賠償問題は、法的には1965年の日韓基本条約で解決済みである。無償3億ドルの「経済協力金」名目で支払われているからだ。韓国大法院(最高裁)は、「経済協力金」は「賠償金」名目でないから再度、「賠償せよ」という判決だ。日本政府は、こんな「三百代言」的判決を受入れられないとして、拒絶している。

     

    韓国では、すでに政府が旧徴用工賠償金を支払っている。それにも関わらず、今度は日本企業をターゲットにして、さらに高額賠償金を手に入れよう策動しているものだ。一体なぜ、ここまで貪欲に請求してくるのか。それは、韓国の高齢者が経済的に困窮しているからだ。日本企業ならば、金を出すだろうと狙っているものである。

     


    韓国は、高齢者の貧困が深刻である。
    2018年の経済協力開発機構(OECD)調査では、韓国の女性高齢者の貧困率が48.3%で、男性高齢者の貧困率37.1%で、ワースト・ワンとなっている。OECD平均は、男性10.1%、女性15.1%だ。韓国の高齢者貧困率は飛び抜けて高いのだ。

     

    韓国高齢者が、国民年金などの社会保障制度の恩恵を受けていないことが大きく影響している。女性の相当数は、経歴断絶などで国民年金の最小加入期間(10年)を満たせないケースが続出している。昨年時点で、満65歳以上の層において国民年金の受給者割合は、男性が83.4%、女性は35.2%と極端に低いのだ。後は、無年金者である。日本の「皆保険」とは天と地の違いである。

     


    これでは、満足な老後生活を送れるはずはない。新たな「金蔓」(かなづる)として、日本企業への徴用工賠償金請求に発展したことは想像に難くない。韓国政府が、責任を持って解決すべき理由は、ここにある。日本へ新たな負担を及ぼしてはなるまい。

     

    『聯合ニュース』(8月8日付)は、「日本企業の資産売却なら『莫大なビジネスチャンス失う』、駐日韓国大使」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使は8日、日本による植民地時代の徴用被害者の損害賠償訴訟に関連し、日本企業の韓国内資産の売却(現金化)は「凍結すべきだ」として、現金化されれば韓日の国民と企業が「天文学的な被害を受けると憂慮される」と述べた。

     

    (1)「尹氏はこの日、東京の在日韓国大使館で赴任後初めて開かれた韓国メディアとの懇談会で、「現金化されれば韓日関係がどうなるか想像したくないが、おそらく韓国企業と日本企業(の間で)数十兆ウォン、数百兆ウォン(数兆円、数十兆円)に上るビジネスチャンスが吹き飛ぶ可能性がある」と懸念を示した。大法院(最高裁)が賠償を命じた判決を履行するために日本企業の韓国内資産を売却すれば日本が報復に乗り出し、韓日の企業が莫大(ばくだい)な被害を受けるとの説明だ

     

    韓国が、差し押さえている日本企業の商標権や特許権を現金化したならば、「国交断絶級」の報復をすべきだろう。賠償金の「二重取り」は、許せない問題である。韓国が、二度と立ち上がれないほどの強烈な一撃を加えて置かなければ、この種の問題は際限なく出てくるであろう。その根を絶たなければならない。目を覚まさせる目的である。

     


    (2)「尹氏は、日本企業のブランドや特許権などの韓国内資産を売却したとしても「(被害者が)十分に賠償を受けられる資金が準備できるかも疑問だ」として、被害者への補償は微々たるものにならざるを得ないと述べた。また、現金化によって賠償訴訟が終了すれば被害者の尊厳と名誉の回復、心の傷の治癒などのプロセスが省略されるなど「被害当事者が最も大きな被害を受けることになるだろう」と指摘。現金化は被害者団体にとっては「道徳的勝利」かもしれないが「勝者はいない」として、被害者だけでなく韓日の国民、企業全てが大きな被害を受けることになると主張した」

     

    徴用工賠償問題は、すでに韓国政府が賠償金を払っている案件だ。ところが、原告団は矛先を日本企業に向けて二度目の賠償金をもぎ取ろうと狙っている。旧慰安婦賠償金と同じ過程を辿っているのだ。日本政府の賠償金を受取りながら、別の賠償金請求裁判に加わり、「二重取り」が発覚して、裁判長から諫められているほどである。ともかく、「金」の話になると目の色を変える民族である。

     


    (3)「被害者団体が、日本企業との直接交渉を要求していることについては、朴振(パク・ジン)外交部長官が日本を訪問した際、官民協議会が取りまとめた被害者側の要求事項を日本側に明確に伝達したとしながら、現在のところ日本の立場に変化はないと説明した。日本企業は被害者団体からの交渉の要求に応じていない。尹氏は「(韓日間には)歴史、領土、(国民)感情の問題がある。こうした問題により、戦略的利益と価値観を共有する両国の関係が悪化していることは本当に残念だ」とし、「ただ、戦略的利益と価値観を共有するということ自体は韓日関係の将来を見据えた時に楽観できる要因だ」と述べた」

     

    韓国は、厄介な民族性を抱えている。儒教が背景にあって、朝鮮民族の優越性を理由もなく信じている集団である。やたらと「道徳性」などという言葉を振り回すところが、日本人との異質性を感じさせるのである。道徳は、人に見せびらかすことではない。秘かに徳を積む「陰徳」が、本来の姿であろう。韓国人と日本人とでは、これだけ考え方が違うのだ。

    テイカカズラ
       

    米下院議長ペロシ氏のアジア歴訪は、大きな話題を提供した。訪台では、中国の反発を呼び「台湾封鎖」の大軍事演習をもたらした。韓国では、ユン大統領が休暇を理由にして、ペロシ氏との会談を避けた。中国の怒りを買わないための「自衛」と見られている。これが、米国内で怒りの声になっている。米国を侮辱したものという受取り方だ。「グローバル・コリア」を標榜する韓国としては、外交ミスと言わざるを得まい。

     

    『朝鮮日報』(8月8日付)は、「米政界、尹大統領とペロシ議長の直接会談不発に『韓国は二重のミス』」と題する記事を掲載した。

     

    尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が5日、訪韓したナンシー・ペロシ米下院議長に会わなかったことについて「韓国政府の判断は間違っている」という批判が米国で相次いでいる。

     


    (1)「ミッチェル・リース元米国務省政策企画部長は6日(現地時間)、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「(ペロシ議長が)韓国の指導者(尹大統領)に会えなかったのは非常に懸念される。(韓国政府の)間違いだったと思われる」「(台湾問題に関して)韓国が共同の価値を守らないという信号を世界に送ったものだ」と述べた」

     

    韓国外相は、東南アジア外相+日中米韓ロ外相会談では、「自由で開かれたインド太平洋」「一方的な現状変更に反対」と西側諸国としての「常識発言」をするまでになっている。一方で、韓国大統領が訪韓したペロシ米下院議長と会談しなかったのだ。大きな外交失点である。米下院議長というポストへの配慮が欠けた判断である。中国を慮った結果であることは間違いない。

     

    (2)「さらに、「(尹大統領がペロシ議長に会わなかったのは)韓国大統領室側の『二重のミス』だ。米国を侮辱しただけでなく、(韓国政府が)中国をなだめるつもりだったのなら、成功しないだろう」とも言った。また、「(ペロシ議長の訪韓は)我々が(中国・ロシアなどと)どのような点で違うのか、21世紀をどのように作っていかなければならないと思うのかを示すという点で非常に重要だ」「韓国がどちらの味方なのか、あいまいさをなくすよう望む」とも言った」

     

    米韓同盟国として、韓国外交の原理原則を明らかにする好機を、ペロシ氏と面会しなかったことで失ったのは痛恨事だ。韓国側の言分では、ペロシ氏は米下院議長であるので、韓国国会議長の面会で十分という、妙な「格意識」に災いされた。いかにも儒教国家の認識である。米韓同盟という特別関係にあることの認識が欠如していたのだ。

     


    (3)「ペロシ議長は、訪韓直後に訪れた日本で岸田文雄首相と朝食会談をした。ペロシ議長が韓国に到着した時、韓国政府関係者は出迎えに来ていなかったため、「儀典欠礼」騒動が起こったが、日本では外務副大臣が空港で出迎えた。「なぜ韓国と日本でペロシ議長に対する対応が違ったのか」という質問に、リース元部長は「中国に対する尊重が間違った形で表出されたものだと思う」と話した」

     

    ペロシ氏は、アジア歴訪を総括する記者会見で、各国の印象を述べている。その中で、韓国については、韓国駐留の米兵とその家族に感謝したとだけと発言した。日本では、岸田首相と「友情」を語ったと日韓で全く違う内容であった。韓国大統領とは、電話会談に止まったので、それだけ印象も薄いのだろう。

     


    (4)「マーク・フィッツパトリック元国務次官補代理(核不拡散担当)もVOAとのインタビューで「中国に対し、『韓国には圧力を加えることができ、韓国は中国の意志に屈服する』という認識を与えるだろう」と述べた。その上で、「韓国は、熱望しているほど国際的役割を担う水準にまだ到達していない。中国の考えを見極め、何度も振り返って安全に行こうとばかり考えている」と語った」

     

    韓国大統領は、韓国の元首である。その大統領が、安全保障上も最大の依存国である米下院議長が訪韓しても会談しなかったことは、取り返しの付かない失態だ。ユン大統領は、下の者の意見を容れたのだろうが、怒れる中国の顔が目に浮かんで無難な道を選んだ。これは、新たに米国の怒りを買う事態になった。二股外交はあり得ないのである。韓国には、その認識がないのだ。

     


    (5)「さらに、「韓国は再び中国と米国の間でバランスを取ろうとしていると思うか」との質問には、「『何とかバランスを取らなければならない』という韓国の外交政策の長年の執着」「いくらバランスを取ろうとしても韓国は結局、米国側につくことになるだろう」と言った。米外交問題評議会(CFR)のスコット・スナイダー韓米政策局長も、「尹大統領がペロシ議長に会わないと決めた理由が夏休みのためだったならいいが、中国の顔色をうかがったためなら『ミス』だ」と言った」

     

    韓国に、米中のバランサー役が務まるはずがない。韓国は、二股外交をバランサー外交と称している。文政権は、民主主義の国と独裁主義国家の間でバランサーになると言っていた。あり得ない「妄想」である。

    ムシトリナデシコ
       

    4日(現地時間)、カンボジア・プノンペンで開かれた東南アジア諸国連合(ASE)+3(韓日中)外相会議でのことだ。中国外相は、ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る問題で、日本がG7外相として中国批判の声明を出したことを理由に、日本外相との現地会談を予定時間の2時間前に拒否した。一方、韓国外相とは予定通りの会談をしたことで、韓国メディアは得意げだ。「日本を断って韓国とは会った」というのだ。

     

    韓国にとっての中国は旧宗主国である。何とも幼稚なことで喜んでいると呆れる。これが、韓国人の真相心理なのだろう。中国外相は、日本外相と会っても利益にならないが、韓国外相とは状況が違うのだ。中国は、韓国を米国政府の主導する「チップ4」(半導体同盟)へ参加させたくないと手練手管を使っているに過ぎない。韓国を利用しようとしているのだ。

     


    『中央日報』(8月5日付)は、「『ペロシ訪台飛び火』で日中会談が終盤で中止、韓日外交トップは会った」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「約1年9カ月ぶりの日中外相会談は、対面会談の直前に中止となった。今年は、日本と中国の国交正常化50周年を迎える年ということで、今回の両国外交トップの会談は、多くの期待を集めていた。林外相が、王毅外交部長に会うことになれば、岸田政権発足後初めての両国会談になる予定だった。当初、約束された両国外相の会談時間は1時間だったと伝えられた。朝日新聞は「『建設的かつ安定的な関係』の構築を目指すとの方針では一致しており、会談でもその糸口を探る予定だったが、ペロシ米下院議長の台湾訪問に中国が反発」と報じた。中国がこの日台湾海峡で軍事訓練を開始した点にも言及した。産経新聞は今回の外相会談が不発になった理由に対し、外務省関係者発言を引用して「中国側から会談を断った」と報じた。台湾情勢が影響を及ぼした可能性が高いという分析も加えた」

     

    今年は、日中国交正常化50年になる。何らかのイベントを行なわなければならないが、日本には「お祝いムード」はゼロ。習氏の国賓待遇の日本訪問も、もはやウヤムヤになった感じだ。中国側が、日中外相会談を断ってきたのだからやむを得ない。「あ、そうですか」と受け流すほかない。

     


    最近の中国は、世界中に「毒」をばらまいている。発展途上国への「債務漬け」は、その最たるものだ。親切を装って、相手国が返済しきれないほどの債務漬けにし、返済できなければ担保を取り上げるという「国際高利貸し」に身を落とした中国だ。中国とお近づきになれなくても問題はない。困るのは中国である。

     

    (2)「ロイター通信もこの日、中国外交部報道官が「台湾海峡情勢を巡る主要7カ国(G7)の声明に強い不快感を表明した」としてこのような解釈に力をのせた。これに先立ち、G7外相は3日、中国が台湾海峡で行う軍事訓練は正当化することはできないとし、平和的に解決するよう呼びかける声明を出した。一方、松野博一官房長官は前日に続き4日午前の記者会見でも中国の台湾海峡軍事訓練に再度懸念を表わした。中国の軍事訓練地域に日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれたという理由からだ。松野官房長官は「わが国の近海に訓練区域が設定されており、仮にそのような場所で実弾演習を行うのであれば、わが国や国民の安全保障に影響し得る」とし「防衛省・自衛隊が日本周辺の海空域における中国の動向について注視していく」と明らかにした」

     

    中国は、日本のEEZへミサイルを落下させている。日本が、G7外相と一緒に非難声明を出すのは当然だ。中国は、それを恨んで外相会談を断ったのである。本末転倒だ。こういう中国の振る舞いは、「成上がり者特有」の現象である。「オレ様」意識である。

     


    韓国は、こういう中国に対して「ペコペコ」している。だが、東南アジア諸国連合(ASE)+3(韓日中)外相会議では、中国やロシアの国名を出さなかったが、「一方的な現状変更に反対」と演説した。中国にとっては、この程度の演説であれば「OK」だが、国名を出した非難声明は「御法度」の模様である。

     

    韓国は、米国の主導する「チップ4」(日米台韓)に加わるように要請されている。中国は、必死になってこれを食止めたいのだ。日本は、いち早く賛成した。中国は、韓国を引留めようとしているだけだ。しかし、韓国は中国の圧力に屈して「チップ4」に参加しなければ、日米台の強力半導体ラインから弾き飛ばされるのは確実。中国の脅しに乗せられれば、後になって目が覚めるであろう。そのときは遅いのだ。

     

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    ユン政権は、文政権の残した外交問題の処理で困惑している。対日問題では、旧慰安婦と旧徴用工問題である。中国に対しては、韓国国防政策の根幹である「3不政策」を提示したことで、その後始末に悩んでいる。

     

    「3不政策」とは、次のようなものだ。

    1)THAAD(超高高度ミサイル網)を追加配備せず

    2)米ミサイル防衛(MD)システムに参加せず

    3)韓米日3国軍事同盟を結ばない

     

    いずれも、韓国安全保障の根幹に関わる問題である。中国は、韓国が約束したと主張。韓国は、ただその場の発言に過ぎないとしている。現に、文書は存在しないので、中国が「約束」と捉えるのは行き過ぎであろう。ただ、韓国が暴力団のごとき中国へ、こういう不用意な発言をした軽率さは、いくら責められても弁解はできまい。不覚であった。

     


    『朝鮮日報』(8月6日付)は、「駐中韓国大使館『THAAD3不”合意でも約束でもない』中国の主張に反論」と題する記事を掲載した。

     

    いわゆる「THAAD(高高度ミサイル防衛システム)3不」について、駐中韓国大使館の高官が5日「前政権が『合意でも約束でもない』と既に表明した」とし、「新政権が気にすべき古い帳簿(昔の借金という意味)があるのか疑問だ」と発言した。

     

    (1)「『THAAD3不』とは、文在寅(ムン・ジェイン)政権が2017年10月、中国のTHAAD報復をなだめるため「米国のMD(ミサイル防衛)参加、THAADの追加配備、韓米日軍事同盟を行わない」という立場を表明したものだ。韓国外交部(省に相当)の朴振(パク・チン)長官は7月25日、国会の対政府質問で「中国が韓国と(THAAD3不を)約束したのだから守れというのは受け入れ難い」とし、「中国が、3不政策を主張するのではなく、北朝鮮の非核化のために建設的な役割を果たすことの方が重要」と発言した」

     

    中国外交を見ていると、秦の始皇帝もこういう「言いがかり」を付けて相手国を支配したのであろうと思わせる。それほど、狡猾な遣り方である。相手をのっぴきならぬ局面へ追詰めた「言わせた一言」を盾に取る。野蛮そのものだ。文政権もこういう中国の手法を知りつつ、「出任せ」を言ってしまったのだ。どっちもどっち、というのが実感だ。

     


    日本は、胡錦濤政権時に日中中間線での石油共同開発の協定調印直前に騒ぎを起され、そのままになっている件がある。中国の身勝手さは証明ずみだ。韓国は、こういう中国へ真面目に対応する必要はない。適当に、あしらっておけば良いのだ。ただし、日韓問題は法律がからむから、真面目に対応して貰わなければならない。

     

    (2)「すると中国外交部の趙立堅報道官は、二日後のブリーフィングで「新たな官吏(指導部)が過去の帳簿(昔の借金という意味)から目を背けることはできない。隣国の安全保障に関連する重大かつデリケートな問題について、韓国は引き続き慎重に行動すべき」と発言した。その後、劉暁明・中国外交部韓半島事務特別代表、国営メディア『環球時報』なども韓国に対し「文在寅政権時代に表明したTHAADを巡る立場を維持せよ」と主張した」。

     

    中国の言っていることは、感情論である。外交文書になっていない以上、韓国は中国へ低姿勢になる必要はない。

     


    (3)「5日の「新政権が気にすべき古い帳簿があるのか」という高官発言は、こうした一連の主張に対する反論になるわけだ。この高官は「前政権でも3不は国家間の合意や約束ではないと言っていた」と述べた。中国との3不合意を主導した南官杓(ナム・グァンピョ)元国家安保室次長は、日本大使時代の2020年10月21日、国会の国政監査で「中国に対して当時言及した3事項は約束でも合意でもない」とし、これにとらわれる必要はないとの立場を表明した。当時の張夏成(チャン・ハソン)駐中韓国大使も同日「(韓中間の)約束や合意とはみていない」と発言した」

     

    「3不政策」は、主権国家の韓国が安全保障上の基本権を中国へ白紙委任で任せるに等しいことだ。韓国が、同盟国でない中国へそのような「約束」などあり得ない。中国は、昔の感覚で韓国を見下して脅迫しているのだ。

     

    (4)「また、「3不が韓中間の対立を暫定的に縫合させたのではないか」という意見に対し、この高官は「(韓中は)2017年10月31日、協議の結果について解決されたとした。その後、韓国側がない発言をした裏にある。米韓同盟が存在しながら、とんでもない発言をしたのは理解し難いことだ。受け取ったものはないのに、縫合と呼べるだろうか」とし、さらに「(3不のように)自国の安全保障について第三国に『将来なになにをしない』と約束するのは合理的なのかと考えてみてほしい」と語った」

     

    文政権は、民族主義集団であり中朝へ格別の親近感を持っていた。それが、「3不政策」というあり得

    ない発言をした裏にある。米韓同盟が存在しながら、とんでもない発言をしたのは理解し難いことだ。


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    韓国は、何ごとによらず日本と比較したがる国だ。潜在的な劣等感を持っている証拠である。最近は日韓の輸出規模を比較し、韓国が日本の95%水準に達したと喜んでいる。貿易は、最終的に収支尻で競争力の有無が分る。韓国は、日韓貿易では万年赤字を続けている。日本には勝てないのだ。

     

    韓国は、日本から原材料・中間品などを輸入して加工する、「加工型貿易」で生きている経済である。その素材供給源の日本と比較した議論は、そもそも間違えているのだ。問屋が日本であれば、韓国は小売商の関係にある。この関係を見落としては困る。

     

    対GDPの輸出依存度は、韓国31.69%(2020年)、日本12.66%(同)である。日本経済に占める輸出依存度は、韓国に比べてはるかに低いのである。日本は、韓国が貿易赤字で騒ぐ状況と異なることを知って欲しいものだ。

     


    次の記事は数字が多いので、コメントだけ読んでいただければ、実態を把握可能と思われる。

     

    『ハンギョレ新聞』(8月4日付)は、「韓国の輸出規模『日本の95%水準』、対日貿易は赤字続く」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の輸出規模が、今年に入って日本の95%水準に達したことが分かった。1980年にはこの数値が10%余りだった。

     

    (1)「産業通商資源部の資料によると、今年に入って5月までの韓国の累積輸出額は2929億ドルで、同期間の日本の輸出額3091億ドルの94.%に達した。日本に比べた韓国の輸出規模は、1980年には13.%にすぎなかった。この数値は2000年に35.%、2010年に60.%、2021年に85.%と着実に高まり、今年に入っては90%を上回っている。韓日の輸出額の差が縮まったにもかかわらず、総合的な経済力における両国間の格差は依然として大きいと分析される」

     

    日韓の輸出規模が接近しているという主旨だ。ニュアンスとしては、韓国経済の成長の結果という意味づけをしている。問題は、貿易収支である。いくら輸出額が増えても、それ以上に輸入額が増えて赤字になれば、経済政策として失敗である。その輸出入バランスをどう取るかが、ポイントである。新興国は、これに失敗している。

     


    (2)「産業研究院(KIET)海外産業室のサゴン・モク研究委員は、「日本企業は韓国よりはるかに早く海外に進出しており、現地に直接投資をした事例が多く、貿易収支で赤字を出しても経常収支では黒字を記録している」とし、「貿易赤字による(日本)経済全般に対する衝撃は大きくないだろう」と予想した。韓国に比べて内需市場が大きく、輸出が全体経済で占める比重がはるかに小さいという説明だ」

     

    日本企業は、1980年代の異常円高時代に中小企業を含めて、海外(特に東南アジア)進出を済ませている。円相場動向に振り回されない経営を目指したのだ。これにより輸出は減ったが、直接投資による配当金などが増えている。輸出額が減っても、大幅な所得収支の黒字に置き換わったのだ。国際収支の中身を良く見て貰えれば、「日本経済健在なり」である。

     

    (3)「両国間の輸出額の差が急速に減少する中でも、韓国の対日貿易赤字の流れはそのまま続いている。今年に入ってから6月までで、日本に対する韓国の輸出は160億ドル、輸入は282億ドルで、122億ドルの赤字を記録した。同期間、韓国の全体貿易赤字103億ドルを上回る水準だ。2020年に209億ドル、2021年に245億ドルの赤字だった時と類似した流れだ。過去最大の対日赤字を記録した2010年の361億ドルに比べれば、改善した状態だ」

     

    日韓は地理的に近い。人口5000万人規模の韓国市場では、日本企業の直接投資に向かないのであろう。それゆえ、韓国への直接投資を控え輸出体制を維持していると見られる。これが、韓国の対日貿易赤字が劇的に減らない理由だ。

     


    (4)「材料・部品・装備分野における日本への依存度は少しずつ下がっている。日本の対韓国輸出規制後、サプライチェーンで一部多角化が行われたことによる影響とみられる。産業部の「材料・部品総合情報網」によると、今年6月までの韓国の材料・部品・装備の全体輸入額は1300億6700万ドルであり、このうち日本産は200億7200万ドルで15.4%を占めた。日本の輸出規制初年度である2019年にはこの割合が17.%、翌年は17.%、2021年には15.%だった」

     

    韓国への半導体3素材に関する輸出手続き規制は、量的制限を課しているものでない。韓国が、量的制限と誤解しているだけだ。そこで、日本企業の海外工場から迂回輸入しており、名目上の「日本輸入」が減っているだけである。長年の間、日本製の素材・中間品を使い馴れているので、他国製へ切り変えるのは困難とされている。

     


    (5)「日本は、韓国に対しては貿易黒字を記録しているが、全体的には赤字に陥っている。今年6月まで、11カ月連続で赤字を記録した。韓国やドイツのようにエネルギー輸入依存度が高く、ウクライナ事態にともなうエネルギー価格の急騰の直撃を受けたとみられる。サゴン・モク委員は、「日本は人口高齢化によって経済全般で活力を失っていることは明らかだが、依然として経済大国」だとし、「輸出で比較した差の意味は限定的」だと指摘した。サゴン委員は「日本経済の根本的な宿題に挙げられる高齢化問題は、韓国も抱えており(韓国は)むしろさらに深刻な流れに乗っているという点で警戒心を持たなければならない」と付け加えた」

     

    国際収支は、最終的に経常収支の収支尻に現れる。これが黒字であれば、一国経済は、貯蓄超過で健全と理解されている。経常収支は、貿易収支+所得収支+サービス収支の合計である。日本は、一時的に貿易収支で赤字が出ても、大幅な所得収支黒字でカバーできるのだ。日本経済の厚みが、ここに表われている。

     

     

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