韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相が25日、「日本政府に言う」とし「事態をこれ以上悪化させず、外交的協議を通じて解決策を見いだそう」と呼びかけた。 ここまでこじれた現在、一片の呼びかけで解決するはずがない。
李首相が、渾身の力を振り絞って日本へ「休戦」を呼びかけているのは理由がある。ボルトン米国大統領補佐官が24日訪韓したが、日韓問題について介入姿勢を全く見せなかったからだ。韓国側はかなり期待していただけに、肩すかしを食った形である。
ボルトン氏は、日韓問題について次のように語っただけである。
「青瓦台関係者は、「韓日関係も話し合われた」と言ったが、高ミン廷報道官の書面発表文には日本あるいは韓日関係という表現はなかった。政府消息筋は、「我々側の仲裁要請に、ボルトン補佐官は『韓米日安保協力のためには両国の確執が解決されなければならない」という原則的な見解を明らかにしたと聞いている」と言った。1泊2日の日程で訪韓したボルトン補佐官は、鄭義溶室長に続いて鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官に相次いで会ったが、韓日の確執に関しては言葉少なだった。その代わり対話を通じた外交的解決や、「韓日、韓米日安保協力」の重要性などという程度での言及はあった」(『中央日報』7月25日付)
下線をつけた部分が、日韓関係である。ボルトン氏は、日米韓の安保協力のためには、日韓の確執解決が前提と発言しただけだ。ボルトン氏は訪韓前に、河野外相と会談したが、日韓問題に深入りしないことで了解ができていた。多分、日本が仲介に「待った」を掛けたと見られる。日本は現在、「韓国追撃」の仕掛け(「ホワイト国」除外)をつくっている最中である。韓国を封じ込める体制が出来上がる前に、韓国と話合うことは不利である。
日本は、韓国を封じ込める体制を全てつくったあと、その運用を弾力化させて韓国経済に実損を与えないような運用をするのでないかと想像する。この場合、日本は絶えず韓国に「恩を売る」立場になるので、これまでのような韓国による条約破棄で、一方的損害を予防できるからだ。日本は、何らかの「手綱」を持たなければ、韓国に振り回され続けるリスクを背負い続ける。
李首相は、韓国政府でほぼ唯一の知日派の実力者とされる。新聞社の東京特派員3年に韓日議員連盟副会長も務めた。一昨年の人事聴聞会時は、「知日を超え日本をとても好きな好日ではないか」という指摘も聞かれた。李氏は、2000年から2007年まで85回海外出張を経験した。そのうち、73%の62回が日本行きだった(『中央日報』7月9日付コラム「日本の報復、李洛淵首相が乗り出せ」)と言われるほど。
この李首相が、なぜここまで日韓関係が悪化するまで放置してきたのか。今になって、「日本政府に言う。事態をこれ以上悪化させず、外交的協議を通じて解決策を見いだそう」と呼びかけても証文の出し遅れである。
李首相は、安倍首相と旧知の仲である。戦前の韓国人のハンセン病患者被害補償で、安倍首相が李氏の希望を入れて救済するなど「ツーカー」の関係にある。また、福田康夫元首相、小此木政夫慶応大学教授、舛添要一元東京都知事らとも親交があるという。日本にこれだけの人脈がありながら、李氏はこれまで膠着する日韓問題に動こうとしなかった。次期大統領候補に名前が出るようになった、からだという見方もあるほど。
一説では、李首相は徴用工問題で解決案を模索していたが、文大統領の一声で中止したとも、報じられたことがある。文氏は筋金入りの「反日」である。首相といえども、大統領の発言には逆らえない。だが、事態をここまで悪化させた点で、大統領と首相は共同責任である。