勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国は、日本の半導体材料輸出規制に対して混乱している。そのため、実現不可能な「国産化率引き上げ構想」(後述)を打ち上げている。また、WTO(世界貿易機関)へ提訴するとも言っても、これまで、日本の厚意で優遇されていただけ。それを既得権益と勘違いしているに過ぎない。日本が、韓国に規制を掛けた本当の理由は、韓国半導体潰しでなく、半導体素材の横流し防止にあるのでないか。そういう疑惑が浮上した。

     

    日本が、世界の半導体需給を崩すような素材の輸出規制をするはずがない。常識的に考えれば分ること。毎回、輸出手続きをさせる目的は、韓国に輸出された3半導体素材が、横流しされていないかチェックするのだ。韓国は、これを恐れているのだろう。北朝鮮との秘密地下ルートが露見するからだ。

     

    私の書いた記事(韓国、「反日の先鋒」、大統領府が日本の経済制裁に完黙する「理由」)

    に有力なコメントを頂いた。次に、それを全文掲載する(下線は勝又)。

     

    「(半導体3素材は)北朝鮮への横流しが懸念されているし、実際にやっているからだと思いますよ。ウランの濃縮において、ウラン単体で気化させるには3800まで加熱しなければなりませんが、フッ化水素と化合させた六フッ化ウランならたったの56.5す」

     

    「『戦略物資の優遇措置』というのは、具体的には、輸出に関する書類を一度提出すれば、三年は何も届け出ずに輸出を継続できる、といったもので、これが解除されるということは、即ち、どこにどれくらいの量を何の用途に使ってもらうために輸出するのか、というのを毎回役所に届け出て審査を受けなければならない、ということです」

     

    「要するに、フッ化水素等々の使用実態に日本側で紐付けを行うぞ、という意思表示であって、例えば、輸出量に対して工場の稼働実績が異様に少ない、ということがあれば、横流しだとすぐに分かる。何を嫌ってこんなに韓国が反発するかと言えば、半導体企業の活動がストップしてしまうこともありますが、別段、それならそれで審査を経ればいいだけのことで、肝の部分は、日本側からの使用実態把握を恐れてのことだと思います

     

    私が下線を付した部分は、今回の韓国が騒いでいる本質的な問題であろう。的確なコメントをありがとうございます。


     

    冒頭の国産化率引上げは、これまでも何回か言われてきたが、成果が上がらず尻つぼみしてきた歴史である。

     

    『中央日報』(7月5日付)は、「半導体素材の国産化率50% その裏には韓日ノーベル化学賞0:8」と題する記事を掲載した。

     

    過去2年間にサムスン電子とSKハイニックスは半導体のスーパー好況を迎えたが、国内の素材・装備企業の業績はそれほど改善しなかった。ほとんどが中小・中堅企業の素材・装備業界は「政府の対策は数年前にもあったが、施行されたことはない」とし「今回は政府だけでなくサムスン電子とSKハイニックスも共に取り組むべき」と口をそろえる。

    (1)「2017年基準の韓国の半導体素材国産化率は50.3%。国内の分析もほぼ同じだ。韓国半導体協会は「国産化率が素材は48%、装備は18%程度」と分析している。 しかしこれより低いという評価もある。国産化率50%は集積回路(IC)など低価格製品を含む半導体全般の国産化率であり、サムスン電子やSKハイニックスのDRAMやNAND型フラッシュメモリー超微細工程に必要な素材の国産化率はさらに落ちるということだ。IBK経済研究所のチャン・ウエ研究委員は「サムスン電子やSKハイニックスの高仕様半導体に必要な素材と装備の国産化率はさらに低く、日本や米国に大きく依存している」と説明した

     

    (2)「半導体素材で最も多く使用されるのが化学・金属材料だ。韓国半導体協会のアン・キヒョン常務は「日本は基礎化学と金属製錬技術で韓国を大きく上回る」と述べた。基礎化学技術をみても日本は8人のノーベル化学賞受賞者を輩出したが、韓国は一人もいない。また日本には鉱山があるが、韓国は特にない。  韓国より長い日本の半導体史も無視できない。日本は1990年代初期-2000年代後半に世界メモリー半導体市場を掌握した。上位企業10社の半分がNEC・東芝・日立など日本企業だった。今でも東芝などが健在だ」

     

     (3)「半導体素材・装備の韓日間の格差は企業の規模でも確認できる。ソウル大半導体共同研究所のイ・ジョンホ所長は「日本の素材企業は大企業である半面、韓国はほとんどが中小・中堅企業である点も国産化が低い原因」と指摘した。住友、信越、JSRなどは年間売上高が数兆ウォン、研究開発費だけで数百億-数千億ウォンにのぼる。ある装備企業の関係者は「韓国の大手装備企業は年間売上高が2000億-3000億ウォン」とし「素材企業は売上高が数百億ウォン台に達する企業もわずかしかない」と伝えた」。

    以上の下線をつけた部分を読んでいただいただけで、韓国の半導体素材国産化率引き上げが困難であることがわかる。基礎的学問のレベルと素材開発企業規模の2点からだけでも、日本に追いつくのは不可能である。韓国の国産化率引き上げが困難となれば、日本の輸出規制で横流しがチェックされるはずだ。韓国大統領府は、こうした事情で大騒ぎをしているのかもしれない。


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    韓国の文政権は、空理空論の政治を行い満足している。「親日排除」という空論が、日本企業の対韓投資へ大きなブレーキになってきた。「戦犯企業」とか「徴用工賠償」と聞くと、今後の在韓日本企業も同じ運命を背負わされるのでないか。日本企業は、そういう本能的な危機感を韓国に対して持つようになってきた。

     

    『朝鮮日報』(7月4日付)は、「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国が、数年間にわたり誘致を働きかけていた日本の機械部品メーカーだった。工場予定地を何度も一緒に見学し、自治体の各種支援策も提示して「韓国が投資先候補1位」という回答ももらっていた状態だった。ところが、日本企業関係者はこの日、「韓国の投資計画はやめて、台湾に行くことにした」と伝えてきた。そして、「韓国の反日感情のために日本の社員の家族たちが反対している」と説明した。「夫が韓国に行って石を投げつけられたらどうするの」と抗議する日本人社員の妻もいたという」

     

    韓国が、数年にわたり日本企業誘致に努力してきたが、土壇場で台湾へ投資先を奪われてしまった。理由は、「反日感情」である。社員の家族が、韓国へ進出すると聞き反対する時代になっている。

     

    (2)「本紙は、日本企業誘致に積極的な大邱・慶尚北道・釜山など4つの自治体・投資庁の外資誘致担当者から、最近の雰囲気を直接聞いた。彼らは「日本企業は韓国との交流そのものを嫌がっており、両国の経済関係は根底から揺らいでいる」と指摘した。日本企業の反韓感情は投資縮小に現れている。日本の今年の韓国投資は合計56件で、昨年13月期に比べ40%減少した。2009年以降で見ても13月期基準で最低値だ。最近は最低賃金引き上げなどで主要国の韓国投資が減っているが、日本の減少幅は中国(19%)、米国(16%)などに比べ際立つ」

     

    文政権登場以来の反日行動が、日本企業に対して根本的な「韓国恐怖症」を生んでいる。「戦犯企業」などと言うレッテルを貼られてまで、韓国へ進出する必要はない。

     


    (3)「慶尚南道に進出した日本企業は昨年黒字だったことから、今年工場増設を本社に要請した。だが、日本の本社は直ちに拒絶した。「大金を投資しても『戦犯企業』にされて韓国で訴訟を起こされるかもしれない」というのが理由だった。昨年10月、韓国大法院(最高裁判所)が強制徴用被害者に対する日本企業の賠償責任を認めて以降、日本の戦犯企業の国内資産差し押さえや強制処分手続きが進められている」

     

    平和な時代になって70年余、未だに過去の怨念から逃れられない韓国に対して、日本企業が違和感どころか恐怖感すら持ち始めている。韓国は、この現実を知るべきだ。

     

    (4)「こうした状況を受けて、来月開かれる予定だった韓日自治体・経済団体の経済交流行事「韓国・北陸(日本)経済交流会議」も中止された。2000年から韓国産業通商資源部(省に相当)と日本の中部経済産業局が共催してきたが、今年は両国関係悪化のため中止されたという。

     

    (5)「日本企業の中には、韓国との接触そのものを嫌がるところもある。本紙が接触した京畿道・釜山市・大邱市・慶尚北道・セマングム開発庁の4カ所は昨年上半期、日本で11回にわたり投資説明会を開いた。しかし、今年はこれまでわずか4回にとどまっている。ある日本関連の経済団体関係者は「日本の企業関係者は表向きには投資提案を丁重に断ってくるが、裏では『韓国はどの面下げて日本に投資を期待してくるのか』と露骨に批判するのを聞いた」と話した

     

    文政権は、得意絶頂で「親日積弊一掃」を叫んでいる。これを聞かされる日本国民は心底、韓国の存在を「唾棄」(だき)すべきものと見始めているのだ。韓国は、こういう日本の変化を見落としている。


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    3~4年前の朝鮮日報の論調は、相当の「反日」であった。私のブログでは、しばしば批判の対象になったものだ。現在のような、是々非々に変わったのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権登場以降である。私も共感して引用頻度がぐんと上がってきた。その中で、これから取り上げる社説は、4割が賛成であり、6割方は反対せざるをえない内容である。どこが反対か。事実誤認があるようだから、率直に指摘したい。

     

    『朝鮮日報』(7月4日付)は、「経済報復、日本は中国と同じレベルの国なのか」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「日本による貿易報復に対し、米国や英国など海外のメディアは懸念を示している。例えばウォールストリート・ジャーナル誌は「日本は自らの足元に火を付ける結果になる恐れも」と指摘し、フィナンシャル・タイムズ誌は「最終的には全世界の消費者が被害を受ける」などと報じた。日本の読売新聞も「自由貿易に逆行する措置であり、結果的に逆風を受けるだろう」などと批判したことから、日本メディアの中にも同じような見方があることが分かる」

     

    ここに登場する内外の有力メディアは、私が毎日執筆する上での有力情報源である。そこへ批判の矢を向けるのは気が重い。日本政府の今回の措置は「ホワイト国」(27ヶ国)から韓国を外して、他国同様の輸出手続きを行うというもの。「ホワイト国」から外されている他国が、日本から輸出で大きな不利益を受けている訳でない。

     

    「ホワイト国」は、韓国を除外したので26ヶ国になるが、いずれも日本と伝統的に友好国であり、韓国のごとく「反日」を国是にするような国は一ヶ国もない。煩雑になるが、その国々を掲示する。

     

    アルゼンチン、オーストラリア・オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国

     

    日本の皇室が安心して旅行できるような「親日国」でばかりである。この「ホワイト国」に「反日国」の韓国が入っていること自体が異質にみえるほどだ。韓国は、ことごとく日本に対決する国である。その国へ、輸出手続きで恩典を与える意味があるだろうか。日本政府が、除外しても不思議はない。

     

    もう一点、韓国が外された理由で、気になるものがある。詳しいことは不明だが、北朝鮮へ流れた製品に、日本の素材が加工されてものが含まれているという疑いが持たれている。これは、韓国当局が調査すれば分ることだ。

     


    (2)「日本政府は今回の措置に乗り出した理由について「韓国との信頼関係が崩れたため」と説明している。強制徴用判決を巡る韓日間の外交対立が原因であることを認めた形だ。自由貿易を原則とする国際通商規範は、政治が貿易に介入することに反対している。経済以外の理由で貿易を差別化するとか、規制するなどあってはならないということだ

     

    下線を引いた部分は、原則であり正論である。しかし、例外も認められている。安全保障面で障害になれば許されるのだ。現に、中国のファーウェイ(華為技術)は、安全保障を理由にして、米国が輸出規制を掛けている。韓国から北朝鮮へ半導体が流出しているという疑惑があれば、日本が韓国を「ホワイト国」から外しても問題はない。

     

    韓国海軍艦艇が、海上自衛隊哨戒機にレーダー照射した一件もウヤムヤにされている。友軍である日本の哨戒機に行うことではない。安全保障上の重大問題に当る。韓国が、日本の旭日旗を排除するのも友軍としてあり得ない行為である。こうして日本は、安全保障のパートナーとして、韓国を従来の2位から5位に引下げた。韓国が、日本の安全保障において占める位置が大幅に下がったことを意味する。これも、『ホワイト国』から外す要因になる。

     

    (3)「世界での好感度調査で日本は常にトップ近くを維持する国だ。これほどの高い評価を受ける理由は、ルールを守る国民と、その国民性によって形成された国と考えられてきたからだ。しかし今回の貿易報復を見ると、日本も結局は無道な経済報復を平気で行う中国と何も変わらないレベルにあることが分かった。過去の韓日請求権協定に「両国間の請求権問題は完全、最終的に解決されたことを確認する」と明記されているのは事実だ。韓国がこの協定を破ったとして、日本が怒るのも当然理解できる。しかしそれを外交的な方法ではなく、経済報復という暴力的で野蛮な手段を持ち出してよいのだろうか。両国関係の未来を考えると実に嘆かわしいことだ」

     

    下線をつけた部分は、日本が中国のような振る舞いをするなと言う「忠告」である。ありがたく聞きたいと思う。ただ、現状は「ホワイト国」から韓国を外したことで、韓国の反応を見ている段階である。中国のような道理に反することを行えば、世界の半導体需給に大混乱を及ぼし、日本も深傷を負う。はっきり言えば、韓国との外交折衝の糸口に始めたのが今回の動きと見るべきだ。韓国が感情的になって対抗手段を取ると、泥沼に入り込み望まぬ方向へ行くだろう。


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    血の気の多い韓国市民が、日本品不買運動のサイトに「賛同」のコメントを100以上付け始めた。この動きが広がれば、日本へ飛び火して「韓国品不買」が始りまねない危険性を帯びている。文政権は省庁任せにせず、大統領府自らが日本政府と話合う局面だ。

     

    『聯合ニュース』(7月3日付)は、「韓国で日本製品不買運動の動き、対韓輸出規制に反発」と題する記事を掲載した。

     

    日本政府が半導体製造に必要な材料3品目の韓国向け輸出規制の強化を打ち出したことを受け、韓国で日本製品の不買運動が広がる兆しをみせている。

     

    (1)「韓国のあるコミュニティーサイトで3日、「日本企業の製品の不買運動に参加しましょう」と題された文章が対象企業のリストとともに掲載され、最も優れた掲示物に選ばれた。同掲示物には内容に同意する100以上のコメントが付けられた。リストにはトヨタ、ホンダなどの自動車メーカー、ソニー、パナソニック、キヤノンなどの電子機器メーカー、デサント、ユニクロなどの衣料品メーカー、アサヒ、キリン、サッポロなど酒類メーカーなどが含まれている」

     

    気楽な韓国市民である。日本品不買を訴えられる経済的なゆとりがある層だろう。就職を控えた学生は、日本企業への就職を夢見て頑張っているのだ。これらの不買対象の企業は、皮肉にも、韓国学生が憧れている就職先である。

     


    (2)「ポータルサイトに掲載された関連記事には不買運動への参加を呼びかけるコメントが多く付けられた。輸出規制の強化を報じるニュースには「しばらくの間だけでも日本製品を使わず、日本旅行に行くのもやめよう」、「できるだけ韓国製品を使おう」などのコメントが付き、数千の「いいね」が付いた。オフラインでも日本政府に抗議する市民の動きが出ている。韓国の大学生の団体「キョレハナ」はこの日午前11時から1時間、日本大使館が入るビルの前や光化門交差点、光化門のユニクロ前などソウル市内の5カ所で、会員が1人ずつ立って日本政府に抗議する1人デモを行った。同団体は「日本政府は強制動員の賠償を命じた大法院の判決を履行するどころか、わが政府を『経済報復措置』で脅している」「日本政府は強制動員被害者に一言の謝罪もしなかった」などと怒りを噴出させた」

     

    韓国の不買運動が拡大すれば、日本側が黙ってはいまい。韓国商品の不買運動に火をつけるであろう。そうなれば、韓国商品が不買対象になるだけでなく、在日の人たちの仕事に大きな支障が出る。文大統領は、先の大阪G20サミット出席の際、在日の人々の生活が苦しくなっているという訴えを聞いたばかりだ。文氏は、さらに苦しい立場に追い込まれる。

     

    韓国政府はこの日、日本の対韓輸出規制を世界貿易機関(WTO)に提訴する方向で本格的な法律の検討に着手したと明らかにした。

     


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    今日から韓国へ輸出される半導体材料の3種類が、一括審査から個別審査へ移行する。今朝のTVや新聞は、この問題で持ちきりである。前記3種類の輸出が、すべて止るというような騒ぎだが、常識的に考えてもあり得ないことだ。

     

    この問題の本質は、日本が対韓輸出をテコに使い、徴用工問題の合法的解決で、韓国政府を話合いのテーブルに着かせることにある。高度の政治的テクニックである。常時、日韓問題を観察してきた者から見れば、日本政府が放ったクリーンヒットと呼ぶべきもの。日韓交渉リード権を日本が握った訳で、「魔法の杖」(輸出審査権)を乱用せずに、日本が持っているだけで効果は抜群。「この紋所が見えないのか」という水戸黄門ドラマのシーンを思い出していただきたい。

     

    『朝鮮日報』(7月4日付)は、「韓国大統領府の『戦略的沈黙』は無能と無責任の言い換えにすぎない」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「今回の事態は強制徴用被害者への賠償を巡る外交面での対立が火種となった、いわば政府が原因の爆弾だ。外国政府の動向を把握し、企業にその情報を提供すべきはずの政府が、逆に企業側に対し「なぜ情報を把握できなかったのか」などと問い詰めるのであれば、それならなぜ海外に大使館があり、外交官が存在するのだろうか。もっと言えば政府は何のために存在するのか一度聞いてみたいものだ」

     

    韓国政府と言うよりも、全権を欲しいままに握っている韓国大統領府の「86世代」には、手に負えない外交問題である。学生運動家上がりの連中に解けるはずがない。彼らは「反日」一本でのしあがってきただけだ。巧妙な外交折衝のテクニックがあるはずはない。日本の思わぬ反撃に驚いて、一目散に逃げ出しただけである。

     

    (2)「日本における尋常でない兆候は以前から何度も感知されていた。昨年11月にも日本政府が3日間にわたりフッ化水素(エッチングガス)の輸出を中断し、半導体やディスプレイ業界が大騒ぎになったことがある。その当時、産業通商資源部(省に相当)が招集した対策会議で、企業は「日本が輸出規制に乗り出した場合、深刻な打撃を受ける素材や製造設備」について報告したが、今回日本政府が報復に乗り出した3素材は全てこの報告で取り上げられていた」

     

    昨年11月にも日本政府が3日間にわたりフッ化水素(エッチングガス)の輸出を中断した。その時、敏感な外交センスがあれば日本政府の意図を探るべきだった。今回の輸出審査の変更は、韓国経済を痛めつけることに目的があるのでなく、日本との協議に応じろ、というシグナルである。この点が分らずに「対症療法」では、事態は悪化するだけだ。

     

    (3)「政府が提示した対策は何だったか。「世界貿易機関(WTO)への提訴」「輸入先の多角化」「年間1兆ウォン(約920億円)を投資して国産化」が全てだった。日本が世界市場を席巻している品目の輸入先をどうやって多角化するのか。国産化が簡単に実現するならなぜ今までやってこなかったのか。要するにどれも現状には役に立たない対策ばかりということだ。大統領府は産業通商資源部に責任と対応を押し付け、産業通商資源部は企業などを責め立てている。日本に対して強硬外交一辺倒だった大統領府はまともなコメント一つ出していない。これは「戦略的沈黙」というそうだが、実際は問題解決能力のない無能と無責任にすぎない。

     

    下線を引いた部分は、対症療法で効果はすぐに出ないし、永遠に出ないものもある。日本との化学技術の遅れは、100年はあると指摘されている。この問題は、外交ルートしかない。産業通商資源部の担当で済ませば、泥沼に入ってゆくだろう。大統領府が対日政策を変えて、日本と真摯に話合うことが問題解決の最短ルートなのだ。


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