勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評


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    韓国政治は、混迷の連続である。経済も外交も合格点を付けられるような業績は皆無だ。経済政策と言えば、理念先行で最低賃金の大幅引上げと週52時間制の強行。副作用が激発しても、全くフォローせず自画自賛するだけだ。

     

    外交と言えば、トップの外交部長官は、国連の女性通訳官であり外交経験はゼロ。そういう人物を外交部トップに据えて、大統領府の「86世代」が裏にまわって振り付けをしている。その結果、日米中三ヶ国とは「不通」状態に落込んだままだ。

     

    この「能天気」政権が、後3年も続く。韓国社会はどうなるのか。国内の不安と不満が高まっている。このままだと「バナナ共和国」に成り下がると危機感を募らせている。「バナナ共和国」とは、第一次産品の輸出で経済を支える政治腐敗国家を指す政治用語である。韓国は、1人当たり国民所得3万ドルを自慢している。だが、いつまで保つかだ。文政権が、韓国経済の成長基盤を徹底的に破壊することは目に見えている。以下に、その理由の一半が示されている。

     

    『中央日報』(6月17日付)は、「大韓民国、このままではバナナ共和国になる」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のチョン・ジェホン論説委員である。

     

    (1)「バナナ共和国で起きるようなことが大韓民国で発生している。鉄鋼メーカーに対する高炉(溶鉱炉)操業停止行政処分が代表的だ。有害物質を排出したという理由で10日間の操業停止とする行政処分を下したり予告した。鉄鋼メーカーが汚染防止装置なく高炉の圧力を抜く役割をする安全バルブ(ブリーダー)を開き大気を汚染させたという環境団体の請願を受け入れたのだ。 高炉を4~5日止めれば溶解した鉄が固まるため高炉に亀裂が発生する。韓国鉄鋼協会は「1基の高炉が10日間停止し復旧に3カ月かかると仮定すると、この期間に約120万トンの製品減産が発生し8000億ウォンの損失が予想される」と明らかにした」

     

    (2)「協会によると、高炉の安全バルブ開放は世界の製鉄所で100年以上使われてきた方式だ。現在の技術では安全バルブを使わずに高炉を稼動する方法がないという。安全バルブを開放した時に排出されるガスは中型乗用車1台が1日8時間ずつ10日間運行して排出する程度というのが協会の説明だ。操業停止処分は一貫製鉄所の閉めろというのも同じだ。鉄鋼生産が中断されれば造船、自動車、家電など主要産業が致命傷を受ける。環境団体と自治体は「環境原理主義」に捕われ操業停止を強行している。ポスコ労組はこれに対し「操業停止処分はポスコと現代製鉄だけでなく、そこで働く労働者を殺す行為」と非難した」

     
    高炉の安全バルブ開放は世界の製鉄所で100年以上使われてきた方式だという。韓国鉄鋼メーカーだけが採用している方式ではない。そういう技術的な理解もなく、高炉に10日間の操業停止を命じている。これは「高炉の死」である。環境団体と自治体は、お構いなく操業停止という制裁を科した。無知故の恐ろしい振る舞いである。

     


    (3)「文在寅(ムン・ジェイン)政権のエネルギー転換(脱原発)政策も理解し難い。原発が韓国の電力供給で占める割合は昨年末基準で30%に達する。韓国政府は2017年基準で24基ある原発を、2031年に18基、2038年に14基に減らす計画だ。代わりに現在7.6%である再生可能エネルギー発電の割合を2040年までに30~35%まで高める方針だ。 専門家らは、「現実を無視した理念政策の標本」と批判する」

     

    (4)「国土が狭く四季が明確な大韓民国で太陽光や風力などの生産は限界がある。再生可能エネルギーは生産原価も高い。1キロワット時当たりの発電単価は昨年末基準で新再生可能エネルギーが173.38ウォンで原子力の60.85ウォンの3倍だ。政府の脱原発政策などにより数兆ウォンの純利益を出した韓国電力は昨年1兆ウォン台の赤字を出したのに続き今年も5000億ウォン以上の赤字が予想される。韓国電力の赤字累積は電気料金引き上げにつながるだろう」

    韓国は地形から言って、自然エネルギー適地がない。それでも強行する結果、発電コストは、原発の3倍にもなる。韓国電力公社はこの結果、この1~3月期に営業利益が赤字に転落した。いずれ電力料金は値上げだ。政府のポピュリズム政治は、電力料金の引下げを提案しているほど。どこまでも現実に背を向けたら満足するのか。典型的な「おバカさん」政治を行っている。バナナ共和国そのものだ。


     
    (5)「 理念に偏って現実から目を背けた最低賃金引き上げと週52時間制は経済に途轍もない負担になっている。「このまま行けば国が大変なことになる」という声があちこちから出ている。孔子は「誤りがあるならば改めることをはばかるな(過則勿憚改)」と話した。韓国がバナナ共和国に転落しないようにするには失敗した政策に固執せず、事実に基づいて真実を求めなければならない」

    1980年代の学生時代に描いた夢を、学生運動家上がりの政権がしたり顔して実施している。どうにもならないアマチュア政権なのだ。韓国最大の不幸をもたらす政権になる。


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    好況を謳歌した半導体市況が落込んでいる。ファーウェイ問題が、市況回復の大きな重石になってきた。過去の半導体市況も変動が激しく、韓国のような財閥企業が株主の存在を無視した大型投資で生き延びてきた独特の産業構造を形成している。その盟主になったサムスン電子の今年の営業利益は、昨年比で半減見通しが強まってきた。韓国の法人税に穴があくだろう。文政権にとって、頭の痛い問題が発生してきた

     

    『韓国経済新聞』(6月17日付け)は、「サムスン電子、今年の営業利益半減か」と題する記事を掲載した。

     

    サムスン電子の業績を支える半導体とスマートフォン事業の競争力が揺らいでいる。米中貿易紛争の余波などによりスマートフォンとメモリー半導体の需要が減り、今年のサムスン電子の営業利益は昨年の58兆8900億ウォンの半分にも満たないとの見通しが出ている。半導体不況は来年まで長期化する可能性まで提起されている。

    (1)「サムスン電子高位関係者は16日、「4-6月期に入り半導体事業をめぐる外部環境が急速に悪化している。会社内部でもメモリー半導体の業況が年末まで回復しないだろうとの意見が多数」と話した。彼は「今年と来年の半導体事業戦略をすべて組み直している」と付け加えた。サムスンはこうした内部見通しを来月の4-6月期業績発表会の際に株主と投資家に説明する計画だという。サムスン電子は4月末の1-3月期業績発表会当時だけでも「4-6月期には需要の段階的な回復傾向を期待する」(メモリー事業部チョン・セウォン副社長)としていた」

    当初の楽観的な見通しは、完全に狂った。今年4月からの回復を見込んでいたのだから落胆ぶりは大きい。世界経済の伸び鈍化予想から見れば、来年の回復も困難であろう。米中貿易戦争の帰趨がカギを握る。中国の動き次第となろう。

     

    (2)「市場でも楽観論は見つけるのが難しい。グローバル市場調査会社のDRAMエクスチェンジは7日、当初前四半期比10%と予想した7-9月期のDRAM平均販売価格(ASP)下落幅を10~15%に修正した。10-12月期もこれまでの下落幅予想値の2~5%より大きい10%の下落を予想する。PC業界を中心に取引されるDRAM固定価格(DDR4・8Gb基準)は5カ月連続で大幅に下がり最近は4ドルを割り込んだ」

    DRAM市況は、4月から急速に悪化している。7月以降、前期比予想の下落幅は鋭角的な落込みとなってきた。警戒が必要だ。

     

    (3)「半導体業界は今後景気見通しが不透明になれば昨年の半導体スーパー好況を牽引したサーバー顧客も今年計画した投資を先送りする可能性があるとみている。米中貿易紛争の余波により中国でアップルのiPhone販売が減る点も負担だ。 ファーウェイ問題で利益が予想されたスマートフォン事業も期待ほどの成果を出せないという観測が提起されている。スマートフォン市場全体で成長が鈍化している中でトップ企業間の価格競争が激しくなり収益性が急落するとみられる」

    ファーウェイ問題の「反射利益」は見込み薄という。業界全体が沈没すれば、パイの奪い合いどころの話でなくなるからだ。需要が上り坂であれば「反射利益」も期待できるが、そのような状況ではなくなってきた。ただ、中長期的には、ファーウェイ問題は、サムスンの利益になる。

     

     


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    韓国の文大統領は、北朝鮮の「チュチェ思想」の共鳴者といわれている。先頃、韓国プロテスタント教会の会長が、これを理由にして文大統領の年内辞任要求を突付けた。38度線で対峙している「敵方思想」に染まっているのでは、韓国の安全保障が著しく不安定にならざるを得ない。

     

    文大統領が、「チュチェ思想」に染まったのは学生運動に熱を入れていた時期とみられる。当時の学生運動仲間が現在、大量に大統領府の秘書官として乗り込んでいる。大統領府は、北朝鮮と精神的につながっている連中で構成されているのだ。

     

    これを見た元・現の国防部長官が、にわかに「左傾グループ」に接近し始めて問題になっている。「敵」に理解を示す韓国軍トップでは、万が一有事が起こったとき、どのような指揮をするのか不安になる。北朝鮮へ通じて寝返るということもないではない。実に厄介な国防部長官が現れたものだ。

     

    『朝鮮日報』(6月16日付け)は、「あなたは韓国軍の恥だ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の世論読者部=張一鉉(チャン・イルヒョン)次長である。

     

    (1)「宋永武(ソン・ヨンム)元韓国国防部(省に相当)長官が先月のセミナーで、「(北朝鮮・朝鮮労働党の)金正恩(キム・ジョンウン)委員長は自由民主思想に近づいている状態だ」と言った時、韓国軍やその周辺からは衝撃のあまり怒りが噴出した。わずか70年前にここで戦争を起こし、世界最悪の独裁制を維持し、今も韓国の自由民主主義を破壊しようと「すき」を狙っている政権の最高権力者なのに、そういう人物に向かって韓国の元国防長官が言ったとは到底信じられない修辞だった。軍関係者らは「言葉もない」と言った。海軍士官学校で宋永武元長官の2年先輩であるキム・ヒョクス初代海軍潜水艦船団長(予備役准将)はフェイスブックに「私は海軍士官学校の自慢にはなれていない。だが、宋永武、お前は海軍士官学校の恥であり、同門でもない」と書き込んだ」。

     

    軍人が立身出世を夢見て、政治家に魂を売るようでは世も末である。韓国大統領府の雰囲気は、北朝鮮一辺倒になっているのだろう。国防部長官という「武人」までが、魂を差し出して陽の当る場所を求める。さらなる出世を夢見る猟官運動の一種であろう。

     

    北朝鮮は韓国への侵略軍である。現在はさらに核武装まで始めた相手である。それに対して、「金正恩委員長は自由民主思想に近づいている」とは寝言である。観国軍兵士は、何のために訓練に励んでいるか分らなくなる話だ。

     


    (2)「それから2週間後にシンガポールで行われたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)。今回は現職の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官が軍の存在を辱めた。同長官は先月、北朝鮮のミサイル発射について、「対話で解決しようとの明確な考えを持っているというのが隠された意味だ」と述べた。ある予備役将校は「鄭景斗長官は神なのか? 一体、北朝鮮の意図が何であるかがどうして分かるというのか。あの人は本当に元軍人なのか」と言った。このような雰囲気になっているのは、元国防部長官や現国防長官の発言・発想が軍人には容認できず、踏み入ってはならない一線を越えているためだ1人の発言ならば「不純な個人の動機」と片付けることもできる。しかし、元国防部長官と現国防長官の2人ならば、「これは統治権者または執権勢力が韓国軍の準備態勢を崩そうとしているものだ」との批判は免れない」

     

    現職の鄭景斗国防部長官が軍の存在を辱めたという。同長官は先月、北朝鮮のミサイル発射について、「対話で解決しようとの明確な考えを持っているというのが隠された意味だ」と言った。これも、とんでもない発言である。国防部長官が、北朝鮮のミサイル発射をこういう認識で捉えていたとすれば、先ず初動態勢で敗北である。ピンボケな評論家レベル以下という存在である。前のパラグラフで指摘したように、大統領府がこういうだらけきった雰囲気なのだろう。これでは、金正恩氏に馬鹿にされるわけだ。


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    米国は、韓国が中国ファーウェイの「5G」を採用ならば、米国の最高機密情報を教えないと通告した。韓国大統領府が、米中の間に入って逡巡していることに業を煮やしたもの。米韓同盟を結びながら、中国に配慮するという「二股外交」の典型例を見せている。

     

    これは、韓国の安全保障が米国との同盟によって維持されている。そういう基本認識の欠如の結果だ。米国が苛立つのは当然である。米国はNATO(北大西洋条約機構)加盟のドイツに対しても、同様の警告を発している。ファーウェイ5Gを導入すれば、機密情報を共有しないと宣告した。

     

    『中央日報』(6月15日付)は、「米国、韓国がファーウェイ装備使用なら情報共有しない」と題する記事を掲載した。

     

     トランプ米大統領の今月末の訪韓を控え、米国政府のファーウェイ(華為技術)通信装備使用中断圧力が強まっている。米国務省は13日(現地時間) 「韓国が第5世代(5G)ネットワークにファーウェイの通信装備を使用する場合、敏感な情報を露出しない」と明らかにした。中央日報の質問に対して国務省報道官が答弁した。

    (1)「これに関連しハリー・ハリス駐韓米国大使も7日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長と非公開で会ってファーウェイ問題を議論し、この席で「韓国がファーウェイ通信装備を使用する場合、米国政府は敏感な情報の共有を避けるしかない」と、米国務省と同じ立場を明らかにしたことが確認された。ポンペオ米国務長官が12日、「国家安全保障に対する中国企業の脅威に関連して韓国と日本の警戒態勢が異なる」と述べたのに続き、軍事・安全保障情報の共有中断を示唆し、韓国のファーウェイ装備使用中止を直接的に要求してきたのだ」

     

    (2)「米国務省はこの日のポンペオ長官の発言について「米国は韓国政府がファーウェイ通信装備購買を中断することを希望していて、それが米国政府の公式立場なのか」という中央日報の質問に対し、「容認できないレベルの危険に我々の敏感な情報は露出しない」と答えた。米国務省は「同盟国や友好国のネットワークに信頼できない供給者の装備が含まれる場合、我々はどう情報を共有するかを見直すという意味」と説明した。続いて「我々が相互連結して相互依存する程度を考慮すると、同盟国のネットワークが弱まれば、そのような脆弱性は直ちに米国に安全保障に脅威となる」と強調した」

     

    (3)「 韓米は在韓米軍を媒介に軍事情報を日常的に交わしている。両国情報当局も安全保障関連情報を共有している。米国務省はこの日の答弁で「敏感な情報」が何かについては具体的に言及しなかった。とはいえ「情報共有の見直し」を明示したという点で、韓国の5Gネットワークにファーウェイ装備が含まれる場合は米国の軍事・安全保障情報の提供を中断する可能性があることを明確にしたと分析される」

     

    (4)「 また米国務省は、「5Gは今後の数十年間、我々の経済と安全保障に影響を及ぼす重大なインフラであるだけに、購買を決める前に、外国政府の不法で牽制のない強要に従属したファーウェイのような販売企業のリスクを徹底的に考慮する必要がある」とし「こうした深刻な国家安全保障の懸念を解消するために我々は同盟国と友好国の協力を歓迎する」と明らかにした。カナダ・豪州・日本に続いて韓国もファーウェイ5G装備購買および使用中断を宣言するよう要求したのだ」

    韓国大統領府は、米中双方に「いい顔」をしたいという曖昧姿勢で通そうとしている。それは不可能だ。安全保障における「中立」ほど、危険なことはない。韓国が、米韓同盟を結びながら、中国へも秋波を送っているのは醜悪の限りである。韓国の底に潜んでいる「事大主義」が頭を持ち上げている証拠だ。この「事大主義」を一掃しない限り、韓国の自律は絵に描いた餅に終わる。


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    文政権の「反企業」は、韓国企業の対外直接投資に拍車をかけている。最低賃金の大幅引上げで過去2年間に約30%もの賃上げである。また、週休52時間制厳守で、破った経営者は刑務所行きというもの。こういうがんじがらめの政策を嫌い、韓国企業は国内投資を抑え、その分を海外投資に振り向けている。

     

    『中央日報』(6月15日付)は、「韓国の1~3月期の海外投資 前年比44.9%増 国内設備投資は17%減」と題する記事を掲載した。 

     

     (1)「韓国企画財政部が14日に発表した「1-3月期の海外直接投資動向」によると、今年1-3月期の海外直接投資額は141億1000万ドルと、前年同期比44.9%増加した。 四半期別の投資額では1981年に統計を出し始めて以降最も多く、増加率では2017年1-3月期(62.9%)以後2年ぶりの最高水準。同じ期間、国内設備投資は17%以上も減少した。 海外直接投資は2017年10-12月期と昨年1-3月期に減少したが、昨年4-6月期から4期連続で増加している」

     

    前記記事を要約すると、1~3月期は次のようになった。

     

        海外直接投資額は、前年同期比44.9%増加。

        増加率は2017年1-3月期(62.9%)以後2年ぶりの最高水準。

        国内設備投資は17.4%も減少した。

     

    韓国企業の対外直接投資は、1~3月期に44.9%も増加の反面、国内投資は17.4%の減少である。設備投資は今年1~3月期に前年同期比17.4%減少し、昨年4~6月期から4四半期連続で減少傾向が続いている。

     


    このように韓国企業は、国内の投資を抑えて対外直接投資に力点を置いていることは文政権の反企業主義が大きな影響を与えている。国内に抱える世界最強労働組合の存在を考えれば、致し方ない選択であろう。自動車産業を例にその実態を見ておきたい。

     

    現代自の平均年収は9200万ウォンで、トヨタ(8344万ウォン)、フォルクスワーゲン(8487万ウォン)をはるかに上回る。賃金は世界最高なのだが生産性は低い。車1台の生産に投入される労働時間が現代自動車蔚山工場は26.8時間に達し、トヨタ(24.1時間)、フォルクスワーゲン(23.4時間)よりも長い。こうした高コスト・低生産性の構造で企業が維持されていること自体が奇跡とされている。以上は、『朝鮮日報』4月22日付社説「大企業の賃金は日本の1.5倍 韓国の経済成長は持続可能か」から引用した。

       

    国内の設備投資が減っている理由には、 Uターン企業が毎年減っているという事情もある。2014年に22社だったUターン企業数は17年が4社、18年が8社にとどまった。韓国政府が、Uターン企業に支援した金額は総額271億8800万ウォンを支出しながら効果を上げていないのは、政府のチグハグナ政策がある。Uターン企業は、労働力難が激しい地方よりも首都圏復帰を望んでいる。政府は、首都圏Uターン企業に税制支援をないという、現実無視の政策が壁になっている。


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