中国は、外交官や記者の名目で大量の人員を米国へ派遣している。目的は、正常な業務遂行でなくスパイ活動とみられてきた。米国の技術情報などの収集目的である。米国政府は、こういう実態を阻止すべく、広く留学生や記者の滞在ビザの期間を短縮すると発表した。とりわけ、中国人記者の滞在を90日に限定した。これに中国が猛反発しており、中国外務省は「対抗措置を取る」としている。今回の記者ビザ短縮が、痛手であることを「言わず語り」で証明している。
『ロイター』(7月17日付)は、「米、学生・報道関係者のビザ滞在期間を短縮へ 『入国者急増』に対応」と題する記事を掲載した。
トランプ米政権は16日、外国メディアの記者のほか、外国人留学生や文化交流プログラムの参加者に対するビザ(査証)の有効期間を短縮する方針を打ち出した。政権が移民の取り締まりを強化する中、国土安全保障省(DHS)は学生ビザなどを利用した入国者の大幅増を理由として挙げている。
(1)「政府の告示によると、留学生と交流訪問者向けのビザの期間を最長4年とする。また、現在は数年間有効とされている記者向けビザの期限を最長240日とし、申請者が中国籍の場合は最長90日とする。認められた期間を超えて滞在を希望する場合は、DHSに延長を申請するか、いったん米国から出国した上で再入国し、改めて入国許可を得る必要がある。新規則は議会による審査を経て、連邦官報への掲載から60日後に発効する。DHSは厳格化の理由として、こうしたビザを利用した入国者数が大幅に増加していることを挙げ、「監視と管理に課題をもたらしている」と指摘。学生ビザや交流ビザを利用して数十年にわたり米国に滞在し続けている事例も数多くあるとしている」
米国は、中国の情報収集・影響工作・技術窃取を抑制するための安全保障措置 として導入したものだ。中国は長年、留学生ビザを通じた研究情報の吸い上げ、記者ビザを使った情報収集を行ってきた。米国は、文化交流名目の政治工作
として問題視してきたもの。米国は 「制度を悪用されてきたので、構造的リスクを減らす」 という判断をしたのだ。
(2)「DHSによると、2024年の学生ビザによる入国件数は180万件を超え、前年から11%以上増加。24会計年度(23年10月1日開始)は、交流訪問者向けビザが50万件超、報道関係者向けビザが3万7300件発給された。トランプ大統領は2期目就任以降、広範な移民取り締まり策を実施すると同時に、合法的な移民に対する審査も強化。思想や信条を理由に学生ビザや永住権(グリーンカード)が取り消されたり、多くの移民の合法的な滞在資格が剥奪されたりしている」
米国が、世界最大の経済規模や世界最高水準の科学研究センターであることから、世界中から移民や学生などの入国ビザ発給が増えている。この制度が悪用されているので、米国が厳格化するとしている。中国が、その最大の「恩恵」を受けてきたのであろう。それだけに、制限されることに反発しているのだ。
『ロイター』(7月17日付)は、「米のビザ短縮『差別的』と中国、対抗措置警告」と題する記事を掲載した。
中国外務省は17日、米国の新たな「差別的」なビザ(査証)規定の撤回を求め、中国は同等の対抗措置を取る権利を有すると主張した。
(3)「外務省の林剣報道官は定例記者会見で、米国の決定は誰の利益にもならないとし、受け入れられないと述べた。トランプ米政権は16日、外国メディアの記者、外国人留学生や文化交流プログラムの参加者に対するビザ(査証)の有効期間を短縮する措置を発表した。留学生のビザの期間は最長4年、記者向けビザは最長240日で、申請者が中国籍の場合は最長90日とした」
中国が、強く反発する理由は実際に「痛手」であるからだ。中国外務省は「差別的」「受け入れられない」と反発し、 「同等の対抗措置を取る権利がある」と威嚇している。この反応は、
中国が実際に不利益を受けるからこそ出ている反応 である。中国が、不利益を受ける理由は、ビザ制度を戦略的に利用してきたからだ。現実には、次のように利用してきた。
留学生を通じた技術・研究情報の吸収については、米国がこれを「技術流出の最大ルート」として警戒している。
記者ビザを使った情報収集も行われている。中国の国営メディアは「報道機関」というより 国家の情報機関的役割を担うことが多いからだ。全て、中国の世界覇権目的に利用されている。
長期滞在を利用したネットワーク構築も行われている。研究者・学生・記者が長期滞在することで、 米国内に影響力ネットワークを形成できるからだ。米国はこれらを「構造的リスク」と判断し、
滞在期間を短くすることで「活動の余地」を削る 戦略を取った。だから、中国は「自らの目的遂行を妨害する」として怒るのだ。




