(4)「ICCは近年、ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領、パレスチナ自治区ガザを過剰攻撃したイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出した。トランプ氏は、対テロ作戦を巡る米軍兵士への捜査や関係が親密なネタニヤフ氏への訴追を批判してきたが、ICCを敵視する理由はそれだけか。トランプ政権は、ベネズエラやイランで国際法違反の疑いが濃い軍事行動を重ねた。ICC解体を主張する背景に大統領や側近が訴追を免れたい保身が見え隠れする。身勝手と言わざるを得ない」
ICC解体を主張する背景には、米大統領や側近が訴追を免れたい保身が指摘されている。
(5)「ICCは、各国の司法機関の上位にはない。戦争犯罪を起こした個人は本来、当該国家が裁くべきで、その能力や意思を欠く場合に代わって正義を守る存在がICCだ。米国がICCを過度に恐れるなら、それは法治国家としての機能不全を宣言しているに等しい。ロシアは、プーチン氏訴追への報復として赤根氏らを指名手配し、8日にはオランダ政府に身柄引き渡しを要求した。イスラエルは米国の制裁強化に強く賛同した。これらはICCに未加盟だが、憂慮すべきは同調する加盟国が出ていることだ。ロシアと関係が深いアフリカのマリやニジェール、米国の要請を受けたチャドやベネズエラなどが脱退を表明した」
第二次世界大戦も80年を過ぎると、過去の忌まわしい記憶が風化してしまうのだろう。このためにもICCは守らなければならない。
(6)「日本は、07年にICCに加盟して以来、最大の資金拠出国として赤根氏ら裁判官を絶えず輩出してきた。高市早苗首相は9日、米国の追加制裁について「日本の立場と相いれるものではなく深く懸念している」とSNSへ投稿し、ICCへの支持継続を強調した。25年にトランプ氏がICC制裁の大統領令に署名した際、欧州など約80カ国が連名でICC支持の声明を出したものの、対米配慮から日本は加わらなかった経緯がある。今回、8カ国外相の共同声明に名を連ねたのは半歩前進だ」
日本は、ICC最大の資金拠出国である。太平洋戦争開戦の責任を負うべき立場の国家として、戦争犯罪には厳しく立ち向かう義務を負っている。
(7)「米国は、制裁措置の適用開始まで180日間の猶予を与えるとし、外交的な対話の余地も示唆した。米国とICCの立場の違いを埋めるのは容易ではないが、法の支配を訴えてきた日本は他の加盟国と連携し、ICCの機能と独立性を守る外交の先頭に立つべきだ。戦争犯罪を国際法で裁くという考え方は、80年前にナチスドイツの戦犯の罪を追及したニュルンベルク裁判にさかのぼる。世界が問われているのは、戦後積み上げてきた法の支配を放棄し、力の支配への逆戻りを許すか否かだ。それを是としない国々の結束がいまほど必要なときはない」
戦争犯罪を国際法で裁くという考え方は、日本が「新軍国主義」呼ばわりされている現在、汚名を晴らす意味からもICCを守る義務がある。





