中国で春節(旧正月)の花火や爆竹をめぐる規制緩和が相次いでいる。大気汚染を防ぐために使用を全面禁止していた地方政府が、郊外など一部に限って解禁する動きが目立つ。景気低迷が続く中国では、市民の生活に対する不満が高まる。当局は伝統ある風習の復活による「ガス抜き効果」を狙っているとみられる。
「日本経済新聞」(1月30日付)は、「中国春節、花火・爆竹を容認 景気低迷、市民のガス抜き? 大気汚染防止から一転」と題する記事を掲載した。
春節は旧暦の新年にあたり、2026年は2月中旬に始まる。大きな音を出す花火や爆竹には邪気をはらう効果があると信じられている。春節の街角に響く爆音は中国の風物詩といえる。一方で、国が豊かになって人々が大量の花火や爆竹を買うようになると、大気汚染やケガの発生が社会問題になった。近年は地方政府が販売や使用を厳しく管理している。
(1)「26年の春節は状況が変わりそうだ。25年まで全面禁止していた四川省成都は今年、市内8区域の指定場所で花火や爆竹の利用を認める。大みそかにあたる2月16日、元日にあたる同17日など、4日間について解禁する。内陸部の山西省も昨年末、省内全域を対象としてきた花火や爆竹の全面禁止通告を廃止した。同通告は許可を得た花火大会の運営事業者のみが花火を取り扱えると定めていた。一般の消費者は省内では楽しめなかった」
中国は、賑やさを好む社会である。花火・爆竹は、「生活必需品」とも言える。昔は葬儀も派手にやっていた。その花火・爆竹が、環境への配慮で中止されていた。世の中をぱっと明るくするには、うってつけの手段である。
(2)「解禁済みの都市もある。米アップルの製品をつくる巨大工場があることで知られる河南省鄭州は23年の春節で成都と同様の規制緩和に踏み切った。中国メディアによると遼寧省瀋陽や江蘇省南京も25年までに「全面禁止」を「場所・時間帯による制限」に切り替えた。中国では中央政府が政策の大まかな方向を定め、細かな施策は各地方政府が決める場合が多い」
中国は、中央政府が政策の大まかな方向を定める。これに従って、地方政府が細かな施策を決めるのだ。だが、花火ぐらい、自由にやらせるべきであろうが、一時が万事で、国家統制である。
(3)「花火と爆竹も同じだ。国家レベルでは国務院(政府)が06年、「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」と定めている。いずれも全面禁止は求めてはいない。ただ、中国の地方政府は中央の方針を保守的に解釈し、厳しめの政策を敷く傾向がある。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、18年の段階で全国803の地方政府が花火・爆竹の使用を全面的に禁止した」
箸の上げ下げまで、中央政府が管理している。「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」としている。
(4)「転機となったのが、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の法制工作委員会が23年末に出した報告だ。条例などの適法性を審査する立場から、全面禁止は「花火・爆竹安全管理条例と大気汚染防治法の規定と一致しない」とした。「上位法の趣旨に照らし修正を」と求めた。中国は、不動産不況に端を発する景気低迷の出口が見えない。国家統計局によると若い世代の失業率は2割弱と高い水準が続く。東京財団の柯隆・主席研究員は「社会に閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態にある」と指摘する」
今の中国は、社会の閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態という。せめて花火や爆竹を認めて「ガス抜き」が必要になっている。
(5)「国家安全を最重要視する習近平指導部は、政権に批判の矛先が向かう恐れのある社会不安の封じ込めに重点を置く。李強首相も25年3月の演説文書で「人民大衆の幸福感を不断に高める」と訴えた。花火や爆竹の規制緩和はこの流れに合致する。「もうずいぶん春節のにぎやかな雰囲気を味わえていない。今年は従業員みんなで楽しみたい」。自身の暮らす場所が解禁対象になった、成都市内でレストランを経営する女性(50)は話す」
中国国民は檻の中にいるようなものだ。四六時中、監視カメラと密告制度で取り囲まれている。気の毒なものだ。
(6)「世界生産の9割を占める花火大国の中国にとっては、貿易摩擦の高まりを背景とする輸出の伸び悩みを補う効果にも期待がかかる。中国税関総署によると、中国の花火・爆竹の輸出額は25年に11億3913万ドル(約1750億円)で、前年より2%減った。かつて過半を占めたこともある米国向けの減少が一因だ。貿易摩擦の行方は見通しにくい。国内需要の回復は産地にとって死活問題といえる」
中国は、世界生産の9割を占める花火生産大国である。対米輸出が落込んでいるので、国内需要でカバーするほかない。




