勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

    a0960_008532_m
       

    中国で春節(旧正月)の花火や爆竹をめぐる規制緩和が相次いでいる。大気汚染を防ぐために使用を全面禁止していた地方政府が、郊外など一部に限って解禁する動きが目立つ。景気低迷が続く中国では、市民の生活に対する不満が高まる。当局は伝統ある風習の復活による「ガス抜き効果」を狙っているとみられる。

     

    「日本経済新聞」(1月30日付)は、「中国春節、花火・爆竹を容認 景気低迷、市民のガス抜き? 大気汚染防止から一転」と題する記事を掲載した。

     

    春節は旧暦の新年にあたり、2026年は2月中旬に始まる。大きな音を出す花火や爆竹には邪気をはらう効果があると信じられている。春節の街角に響く爆音は中国の風物詩といえる。一方で、国が豊かになって人々が大量の花火や爆竹を買うようになると、大気汚染やケガの発生が社会問題になった。近年は地方政府が販売や使用を厳しく管理している。

     

    (1)「26年の春節は状況が変わりそうだ。25年まで全面禁止していた四川省成都は今年、市内8区域の指定場所で花火や爆竹の利用を認める。大みそかにあたる2月16日、元日にあたる同17日など、4日間について解禁する。内陸部の山西省も昨年末、省内全域を対象としてきた花火や爆竹の全面禁止通告を廃止した。同通告は許可を得た花火大会の運営事業者のみが花火を取り扱えると定めていた。一般の消費者は省内では楽しめなかった」

     

    中国は、賑やさを好む社会である。花火・爆竹は、「生活必需品」とも言える。昔は葬儀も派手にやっていた。その花火・爆竹が、環境への配慮で中止されていた。世の中をぱっと明るくするには、うってつけの手段である。

     

    (2)「解禁済みの都市もある。米アップルの製品をつくる巨大工場があることで知られる河南省鄭州は23年の春節で成都と同様の規制緩和に踏み切った。中国メディアによると遼寧省瀋陽や江蘇省南京も25年までに「全面禁止」を「場所・時間帯による制限」に切り替えた。中国では中央政府が政策の大まかな方向を定め、細かな施策は各地方政府が決める場合が多い」

     

    中国は、中央政府が政策の大まかな方向を定める。これに従って、地方政府が細かな施策を決めるのだ。だが、花火ぐらい、自由にやらせるべきであろうが、一時が万事で、国家統制である。

     

    (3)「花火と爆竹も同じだ。国家レベルでは国務院(政府)が06年、「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」と定めている。いずれも全面禁止は求めてはいない。ただ、中国の地方政府は中央の方針を保守的に解釈し、厳しめの政策を敷く傾向がある。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、18年の段階で全国803の地方政府が花火・爆竹の使用を全面的に禁止した」

     

    箸の上げ下げまで、中央政府が管理している。「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」としている。

     

    (4)「転機となったのが、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の法制工作委員会が23年末に出した報告だ。条例などの適法性を審査する立場から、全面禁止は「花火・爆竹安全管理条例と大気汚染防治法の規定と一致しない」とした。「上位法の趣旨に照らし修正を」と求めた。中国は、不動産不況に端を発する景気低迷の出口が見えない。国家統計局によると若い世代の失業率は2割弱と高い水準が続く。東京財団の柯隆・主席研究員は「社会に閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態にある」と指摘する」

     

    今の中国は、社会の閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態という。せめて花火や爆竹を認めて「ガス抜き」が必要になっている。

     

    (5)「国家安全を最重要視する習近平指導部は、政権に批判の矛先が向かう恐れのある社会不安の封じ込めに重点を置く。李強首相も25年3月の演説文書で「人民大衆の幸福感を不断に高める」と訴えた。花火や爆竹の規制緩和はこの流れに合致する。「もうずいぶん春節のにぎやかな雰囲気を味わえていない。今年は従業員みんなで楽しみたい」。自身の暮らす場所が解禁対象になった、成都市内でレストランを経営する女性(50)は話す」

     

    中国国民は檻の中にいるようなものだ。四六時中、監視カメラと密告制度で取り囲まれている。気の毒なものだ。

     

    (6)「世界生産の9割を占める花火大国の中国にとっては、貿易摩擦の高まりを背景とする輸出の伸び悩みを補う効果にも期待がかかる。中国税関総署によると、中国の花火・爆竹の輸出額は25年に11億3913万ドル(約1750億円)で、前年より2%減った。かつて過半を占めたこともある米国向けの減少が一因だ。貿易摩擦の行方は見通しにくい。国内需要の回復は産地にとって死活問題といえる」

     

    中国は、世界生産の9割を占める花火生産大国である。対米輸出が落込んでいるので、国内需要でカバーするほかない。

     

    a0070_000030_m
       

    トヨタ自動車が、29日発表した2025年の世界販売台数(レクサス含む)は、前年比4%増の1053万6807台と、過去最高を更新した。ハイブリッド車(HV)が米国などで好調だった。ダイハツ工業、日野自動車含むグループ世界販売も5%増の1132万2575台で最高だった。6年連続で世界首位となった。

     

    『ロイター』(1月29日付)は、「トヨタの25年世界販売、6年連続の首位 北米好調で過去最高」と題する記事を掲載した。

     

    トヨタ自動車が29日発表したグループ(日野自動車とダイハツ工業含む)の2025年の世界販売は、前年比4.6%増の1132万2575台で過去最高を更新した。2位の独フォルクスワーゲン(VW)グループに233万台以上の差をつけて6年連続で世界首位を堅持した。

     

    (1)「これまでのトヨタの世界販売の最高は、23年の1123万3039台だった。25年のグループ海外販売は同3.1%増の925万1321台、国内販売は11.9%増の207万1254台だった。トヨタ単体(高級ブランド車「レクサス」を含む)の世界販売は3.7%増の1053万6807台、海外販売は3.6%増の903万5544台で、世界・海外ともに過去最高だった。世界生産は、グループでは5.7%増の1122万1960台、トヨタ単体では4.5%増の995万0904台だった。VWグループの昨年の世界販売は前年比0.5%減の898万3900台。トヨタとは対照的に北米が10%超落ち込み、中国も8%減だった」

     

    トヨタ単体の世界販売は、3.7%増の1053万6807台。グループ全体の世界販売が、5%増の1132万2575台。VWグループの昨年の世界販売は、前年比0.5%減の898万3900台にとどまった。こうして、トヨタグループとVWグループの世界販売台数の差は、233万8000台余となった。VWグループは、トヨタグループに対して79.3%に過ぎず、「トヨタ独走」というイメージである。

     

    (2)「海外の好調をけん引した北米での販売は7.3%増の292万9660台。このうちHVは2割増の約126万台で、米国のみのHV販売も2割増の約111万台だった。スポーツ多目的車(SUV)「RAV4」などが好調だった。中国では0.2%増の約178万台だった。電気自動車(EV)の「bz3X」や「bz5」、HVの売れ行きがよく、販促策も奏功した。国内販売は150万1263台と4.1%伸びた。24年の認証問題などの影響から回復したほか、EV「bz4X」も好調だった」

     

    トヨタは、世界各国において万遍なく強みを発揮していることだ。特に、北米市場ではHVが順調である。中国市場もEVの現地化生産が軌道に乗ってきた。これにより、今後も一段と競争力を強める見通しである。

     

    (3)「電動車全体の世界販売は10.2%増の499万4894台で500万台近くとなった。このうちHVは7.0%増の443万3503台、EVは42.4%増の19万9137台だった。併せて発表した25年12月の実績は、トヨタ単体の世界販売は前年同月比2.8%増の93万0459台、世界生産は同0.5%減の76万7085台だった」

     

    HVとEVを合せた電動車全体では、499万4894台で500万台近くなった。HVは、開発コストをすでに回収済みで、売れれば売れるほど利益率が高まるという好循環過程へ入っている。トヨタの先見の明を立証した形だ。

     

    世界販売では、スズキが1%増の329万5013台だった。年間比較が可能な05年以降で初めて日産(4%減の320万2137台)を抜いた。スズキは、インド政府が25年9月に消費税にあたる「物品・サービス税(GST)」を引き下げたことが販売を後押しした。米国や中国から撤退しており、関税リスクなども乏しい。日産は、米国が前年並みだったものの、日本や中国、欧州などが不調だった。日本車2位は、ホンダで8%減の352万1905台だった。半導体不足の影響を受けた。

     

    テイカカズラ
       


    軍最高幹部二人の粛清

    焦る習氏が「悪手」へ

    忠誠心競う軍隊の欠陥

    米が見透かす中国の裏

     

    中国経済は、静かに坂を下っている。上り坂の時代は終った。それは、経済成長率が低下するという意味だけでなく、社会全体が萎縮しつつあるからだ。その具体例の一つを示せば、中国の大学ランキングで上位30位内に入っている国立大学が、相次いで芸術系学部を廃止している。卒業生が、不況で就職できない結果だ。

     

    芸術系学部卒業生が就職する先は、広告、映像、舞台、教育、観光、出版などのサービス業である。サービス産業は現在、不況で経営不振に陥っている。これら業種は、社会にとって「感性の受け皿」である。その受け皿へ、新たな血が不況ゆえに入らず消えていくのは、中国にとって感性の泉が枯渇することを意味する。こうして、無味乾燥な社会が広がっていくのだろう。これにより、活力が確実に消えていくことを示す。極めて危険な兆候とみるべきであろう。

     

    政府が、芸術系学部の廃止とAI(人工知能)系学部への転換を指図していることは言うまでもない。国家主席の習近平氏が、「高質量で十分な就職の促進」と発言している。経済停滞と若年層の高失業率を受けて、製造業やIT、医療などの分野の人材育成を強調したものである。だが、15次五カ年計画(2026~30年)では、個人消費増大が経済成長のカギを握る状況になった。過去に例のない時代環境になる。芸術系学部が、これから必要になるのだ。習氏は、時代の先行きを見誤っている。

     

    2025年のGDP統計では、インフラ投資や企業の設備投資の伸び率が軒並みマイナスへ落込んだ。個人消費では、モノの需要よりもサービスの需要が伸びている。この結果、15次五カ年計画では、サービス需要を増やすべきという見方も多い。こうなると、芸術系学部の廃止が極めてチグハグな動きになる。今は、不況でサービス需要が停滞していても、時間を掛ければ増加する。政府が一方的に決める政策が、いかに現実の動きを無視しているかを示す好例が、ここにも現れているのだ。

     

    習近平氏の巨大な権力から言えば、大学の学部の存在を左右することなど「取るに足らない」ことであろう。だが、「蟻の一穴が堤防を崩す」の喩え通り、蟻=芸術系学部廃止=若者の不満増大=社会不安爆発という連鎖になることを知らなければならない。中国は今、そういう危機に向って進んでいる。習氏に特徴的な点は、目先の判断に拘って大計を見誤っているのではという危惧だ。

     

    具体的には、その時の勢いで進み10年先20年先を疎かにしている点だ。「一帯一路」もその好例である。経常収支黒字が豊富であることで有頂天になり、発展途上国へ無秩序に貸し付け「焦げ付け債権」をつくっている。台湾侵攻計画も、勢いに乗ってぶち上げて国家主席3期目を実現したが、現実問題としては極めて危険な案件になっている。習氏の政治生命はもちろん、中国の国家としての将来に大きな禍根を残す時限爆弾的要素を濃くしているのだ。こうして台湾侵攻問題は、習氏を悩ます最大の政治課題になった。

     

    軍最高幹部二人の粛清

    習氏が、中国のみならず世界を驚かせたのは最近、中国人民解放軍の二人の最高幹部を粛清したことだ。中国国防省は、軍制服組トップの張又俠・中央軍事委副主席と劉振立・軍統合参謀部参謀長が、「重大な規律・法律違反」の疑いで調査すると公表した。張氏については、中国の核情報を米国へ手渡したとの米紙報道も出ている。だが、中央軍事委副主席という軍における最高ポストの人物へ、米国のスパイがどうやって接近できるのか。身辺護衛が厳しいはずだ。中国当局の「作り話」の臭いもするのだ。

     

    習氏は、これまでに中央軍事委員7人中(習氏を含む)、5人を規律違反の容疑で追放している。習氏が、これぞと見込んで任命した中央軍事委員5人が、揃って規律違反を犯したとはにわかに信じがたいことである。それは多分、台湾侵攻作戦をめぐる意見の相違であろう。習氏は、軍へ空母3隻も与えたのだから、米軍と十分に対抗できるはず、と侵攻作戦を押しつけているのでなかろうか。習氏は、「功」を焦っている。台湾へ侵攻し統一できれば、習氏の終身国家主席は確実である。こういう幻想に取り憑かれているのだ。

     

    習氏にとって「不運」なことは、ロシア軍がウクライナへ侵攻して、すでに4年にもなろうとする「長期戦」であることだ。作戦当初の計画では、たったの「1週間」で決着するはずだった。それが、4年かかっても勝利できないのは、ウクライナ軍が欧米の戦闘形態によって、最前線に指揮命令権を委ねていることだ。ロシア軍は、指揮命令権を後方の司令部が握っている。こうして、ウクライナ軍が最前線の判断で戦いを進めるという優位な立場にある。

     

    中国軍は、ロシア軍同様に後方の司令部が指揮命令権を握っている。米軍や台湾軍の指揮権は、最前線に任せてある。こういう戦闘形態の違いを残したまま、中国軍が台湾侵攻をすればどういう事態になるか。ロシア軍以上の犠牲が出ることは確実である。ならば、中国軍も最前線へ指揮権を移譲すれば、米軍や台湾軍と互角に戦えるのでは、という質問も出て当然であろう。

     

    実は、それが不可能である。辛亥革命(1911年)では、清国軍兵士が孫文の革命軍に買収されて、革命軍に帰順してしまったという苦い経験がある。こういう寝返りを防ぐべく、中国軍は兵士の訓練時間の4分の1を政治教育に当てている。寝返り防止だ。これは、人民解放軍が中国共産党に忠誠を誓う「党軍」であるゆえに起こっている点である。もし、「国軍」へ性格を変えれば、中国共産党へ忠誠を尽くすという大義名分が消える。中国共産党は、人民解放軍を「党軍」のままにしておかなければならない切実な理由がこれだ。(つづく)

    この続きは有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』に登録するとお読みいただけます。ご登録月は初月無料です。

    https://www.mag2.com/m/0001684526



    a0005_000022_m
       


    習近平国家主席は、中央軍事委員会の張又侠副主席を粛清した。これにより、今後の中国軍は情勢判断で誤判断を招く可能性が大きくなったと指摘されている。習氏は、これまで粛清を繰返しているが、軍内部に「イエスマン」を増やす危険性を高めている。粛清が、習氏の権力強化になるものの、これに比例して人民解放軍は弱体化する。

     

    『中央日報』(1月28日付)は、「元米国防総省局長「『張又侠のいない中国軍は誤った判断するリスク大きくなる』」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省の元中国担当局長が、中国中央軍事委員会の張又侠副主席の失脚により中国軍の誤判断を招く可能性が大きくなったと懸念した。米国防総省で中国・台湾・モンゴル担当局長を務めたドリュー・トンプソン氏は26日、個人チャンネルに「張副主席は別の人民解放軍将軍と明確に違った」として直接会った経験談を公開した。

     

    (1)「トンプソン氏は、「張又侠の参戦経験、自信、知恵、そして一生をかけて中国と共産党を守るという献身が彼を守ると信じた。彼の能力と習近平主席との関係のため一部財政的不正行為は容認されると考えた」とした。彼は、2012年5月に中国の梁光烈国防相(当時)が引率する中国軍代表団の一員として米国を訪問した瀋陽軍区司令官時代の張又侠氏と接触した際の印象を紹介した」

     

    張又侠氏は、習氏よりも3歳年長である。習氏とは、子供の頃からの遊び仲間とされる。張氏は、18歳で人民解放軍へ入隊した。生粋の軍人である。

     

    (2)「トンプソン氏は、「人民解放軍は政治組織であり党の武装能力であるだけで、憲法や国に忠誠をつくす軍隊ではない」と前提。「将校の経歴は政治的信頼度と人脈にかかっており、忠誠度と理念が戦闘能力よりも重要で、批判的思考や独立的思考は資産ではなく負担になる」と診断した。だが張又侠氏はこうした流れとは完全に違ったとトンプソン氏は強調した。「張又侠は実戦経験を通じて謙遜を備え、しっかりと教育を受け、知的で洞察力を持っていた。彼は展示された米軍の装備を見てその重要性と価値を理解し、われわれがなぜこうした武器を見せたかについてもわかっていただろう」と述べた」

     

    人民解放軍将校の経歴をみると、出世は政治的信頼度と人脈にかかっている。忠誠度と理念が、戦闘能力よりも重要視されているのだ。要領の良い兵士が、出世の階段を上るシステムである。張氏は、こうした「人縁」に依存せず、努力による実力で栄進してきた人物である。

     

    (3)「彼は、米中軍事関係と台湾海峡の安定に向け張又侠が中央軍事委員会に存在するよう望んだと明らかにした。トンプソン氏は、「張又侠が現役将軍のうち唯一人民解放軍の弱点を含む軍事力と軍事衝突時の人命被害を習近平に最高で最も客観的な助言ができる人物」と評価した。彼は、「張又侠は米国と台湾の軍事能力を客観的に評価でき、習近平に台湾占領作戦が直面する軍事的リスクとコストを説明できる。これに対し参戦経験がない取り巻きはただ聞きたい言葉を言うだけ」とした」

     

    張氏は、人民解放軍の実力を冷静に分析できる人物である。習氏に対して、台湾占領作戦が直面する軍事的リスクとコストを説明できる唯一の人物である。こういう冷静公平な見方ができる人物が粛清させたことで、今後は人民解放軍が間違った判断を下す危険が強まるであろう。

     

    (4)「また、「米国の抑止戦略が効果を発揮するには習近平のそばに客観的助言ができる有能な将軍がいなければならない。張又侠でない別の人が習近平に軍事助言をする結果を心配する。張又侠がいない中央軍事委員会は誤った判断を下す危険が大きくなるだろう」と懸念を示した。一方、2024年に中国を訪問し張副主席と会談したサリバン元大統領補佐官も張副主席粛清を「地震級事件」と評価した。ニューヨーク・タイムズとのインタビューでサリバン元補佐官は、「習主席が長期にわたる関係を結んだ人物を除去した点は驚くことであり多くの疑問を呼び起こす」とした。また、当時1時間ほどの会談で張副主席が中国の全般的な軍事力増強の脈絡で核兵器に言及しただけで、敏感だったり実質的な発言は全くしなかったとし、「核は議論の主要主題ではなかった」とした」

     

    張氏の粛清は、米国にとっても痛手である。冷静に話し合える人材を失ったからだ。今後の人民解放軍はどう動くかだ。近代戦の経験がない人民解放軍は、習氏の過激主義に踊らされると破局を迎えるであろう。

     

     

    a0960_008532_m
       

    NY市場のドル円相場は、28日午前1時過ぎ(日本時間)152円台に下落した。日本時間0時に公表された1月調査の米消費者信頼感指数が、予想を大きく下回ったことでドル売りを誘発したもの。3年余りにわたり行き過ぎた円安に苦しんできた日本政府が、ようやく米国との協調対応を通じて打開策を模索し始めた可能性がある。

     

    複数の報道によると、ニューヨーク連銀は先週、米財務省の代理として円安阻止に向けたレートチェックを実施したとされる。円安が、政治問題へと発展している現在、日米当局の連携があったとしても不思議はない状況だ。

     

    一方、円相場には「5年周期説」という経験則がある。年間の騰落で見た場合、上昇・下落が4~5年おきに入れ替わるというものだ。例えば2016~20年は5年連続上げた後、21~24年は4年連続で下げた。相場は45年かけてトレンドが続き、行き過ぎたところで反転する――。円相場を俯瞰すると、大きく蛇行している。25年は5年ぶりに上昇した。経験則を踏まえると、25年から5年程度の円高局面が始まったのでないか、という見方もある。

     

    『ブルームバーグ』(1月27日付)は、「円安対応で新時代の幕開け、ようやく創造的になった日本」と題する記事を掲載した。

     

    日本が少なくともメッセージの発信において、円高誘導のために米国と政策協調を図っているとすれば、より創造的な新時代の幕開けと言える。長年、全ての責任は日本銀行にあるかのように扱われてきた。

     

    (1)「景気全体への影響を度外視してでも、円を上昇軌道に乗せるためには利上げが必要だという論理だった。しかし現実には、円は日本の金利がマイナスだったころよりも弱く、一連の利上げも効果を発揮していない。日米金利差と為替の相関は、一時的な現象に過ぎなかったようだ。一方、単独介入は効果的ではあるものの、限界のある手段だ。急激な変動に歯止めをかける一定の役割は果たすが、恒久的な流れの転換には新たなストーリーが必要となる。米国との協調対応はその契機となり得るが、それ以外に日本が円高を実現する方法はあるのだろうか」

     

    日米金利差と為替の関係は、日本の実質金利がマイナス状況で、円相場への利上げ効果は無視されている。こうなると、米国との協調対応が神通力を発揮することになるが、それ以外に、日本が円高を実現する方法を模索しなければならない。

     

    (2)「明白な選択肢の一つは、かつて円安を招いた手法を巻き戻すことだ。巨大な年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2010年代に進めた海外資産へのシフトは、日銀の大規模緩和とともに円安を加速させた。高市早苗首相は、長期国債利回りが魅力を増している現状を踏まえ、GPIFが国内投資を拡大すべきだと示唆することもできるだろう。他の年金基金や投資家はGPIFに追随する傾向があり、そのような示唆だけでも円高要因となり得る」

     

    日本の年金資産の海外運用から、日本へ戻すことも有力な手段だ。首相が、その旨を語るだけで投機筋を震え上がらせるからだ。

     

    (3)「あるいは、日本の債務削減という手もある。米財務省の元エコノミストで、現在は米外交問題評議会(CFR)のシニアフェロー(国際経済政策担当)であるブラッド・セッツァー氏は、日本が外貨準備のドルを一部売却することで利益を確定し、その資金で割安な超長期国債を買い戻すというを提示している(ただし米国は、自国の長期金利上昇につながりかねないこの動きを警戒するだろう)。企業が多額の海外収益を本国に還流させるための一時的な税制優遇措置はどうだろうか。その資金が賃上げや国内投資に充てられることを条件とすれば、なおさら効果的だ」

     

    日本が外貨準備のドルを一部売却して、その資金で割安な超長期国債を買い戻すも投機筋を追詰める手段になる。円安は、日本の富を海外へ垂れ流しているに等しいからだ。正確に言えば、交易条件悪化による実質所得の海外流出である。円安歓迎論者は、ある意味「肩身が狭い」はずだ。

     

    (4)「サプライズの要素も強力な武器となる。今年まで日本の介入示唆は慎重で予告的なものだった。しかし、1998年に円の防衛に米国の力を貸した当時のルービン米財務長官は、衝撃の価値を重視していた。同氏は、この介入を成功と評価したが、それは日本経済や銀行危機への対応が一夜にして変わったからではなく、シグナルの効果によるものだった。2003年の著書『ルービン回顧録(原題:不確実な世界の中で)』で同氏は、「外国為替市場の心理は明らかに影響を受けた。この種の行動を成功させるには、市場を驚かせることが鍵となり得る」と記している」

     

    投機集団を懲らしめるには、驚かすことだ。今の日銀には、そういう芸当ができないのだ。総裁の記者会見は、余りにも学会発表のトーンであり、「海千山千」の投機筋につけ込まれている。惜しいことだ。

     

    (5)「トレーダーらが一国の見通しを根本から見直すと期待されているわけではない。しかし当局は、彼らの思考様式を変えることならできるかもしれない。日本がもはや単独で行動していないという見通しは、市場心理の転換に影響を与え得る。米国の関与をちらつかせるだけで、当局は目的を達成した可能性もある。本稿執筆時点の東京時間26日、トレーダーらは円売りに慎重な姿勢を見せていた。サプライズ効果は功を奏したのかもしれない。しかし、今後さらに創造的な解決策が求められる局面が訪れる可能性は十分にある」

     

    これだけ、円安相場に手こずっているのは、先に掲げた円相場「5年周期説」が、いよいよ始まる前の投機筋の「抵抗」とも読めるのだ。慣性の法則で、「円安が当然」という思い込みに陥っているのであろう。

     

    このページのトップヘ