勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    尹大統領は6月30日(以下、日本時間)、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議への招待を契機に外交舵を西側諸国へと明確に切った。文政権では、絶えず中国の鼻息を覗って様子見に徹してきたが、尹政権では「右顧左眄」から脱して、「右側通行」を宣言した形である。

     

    今回のNATO首脳会議では、オブザーバーとして、日本、韓国、豪州、NZ(ニュージーランド)の4首脳が招待された。日豪は、対中姿勢ではこれまで旗幟を鮮明にしてきたが、韓国、NZは曖昧であった。ただ、NZは中国が南太平洋島嶼国へ勢力圏を広げる動きをしたことから、「反中姿勢」に転じた。韓国も新政権によって、その立ち位置が明確になった。

     


    『中央日報』(7月1日付)は、「韓日米共助も復元『グローバル中枢国家』尹外交の方向性を決めた」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議に参加するためにスペイン・マドリードを訪問し、16件の外交日程をこなした。そのたびに、「国際安保秩序において、ある地域の問題はその地域の問題だけにとどまらない。他の地域に広がってグローバル社会の共通課題となり、共同で対処してこそ解決することができる。韓国の国際的な寄与と協力を強化する」と強調した。要するに、「グローバル中枢国家」というビジョンを掲げたものだ。価値と規範の連帯を基に、国際社会で韓国の役割を拡大していくと公言した。

    (1)「尹大統領は4年9カ月ぶりの韓日米首脳会談を通じて3角共助の枠組みも復元した。尹大統領と岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン米国大統領は「地域およびグローバル問題の解決のために3国協力が重要だ」と同じ声を出し、北朝鮮の核・ミサイルに対する厳しい対応も再確認した」

     

    文政権時代は、日米韓三ヶ国による防衛協議に消極的であった。中国へ「三ヶ国の軍事同盟を結ばない」と約束する文書まで出した結果だ。こういう国家主権を中国へ売り渡すような非常識な政権であった。尹政権は、そういうくびきを取り払って、国際情勢急変にあわせた動きを見せている。

     


    (2)「これに関連し、米国が北朝鮮の核・ミサイルの資金源を遮断するために北朝鮮の個人と機関に対する制裁拡大を準備している中で、韓国ともこの法案について協議中だ。大統領室関係者は、「韓米日首脳会談では制裁方案について話し合うことはなかったが、『北朝鮮の個人と機関に対する制裁を拡大する』というプランが準備されているようだ」とし「残りの追加制裁は軍事事項も多く、さまざまな保安事項なので、韓米間で協議はしたものの、今は申し上げられない」と伝えた」

     

    米韓の間で、具体的な北朝鮮対策が用意されている模様。経済制裁強化である。

    (3)「大統領室関係者は「今回の会談の最も大きな意味は、韓米日安保協力が復元されたこと」としながら、「米ホワイトハウスでも『歴史的で、非常に成功的だった会談』という評価を伝えてきた」と話した」

     

    米韓は、三ヶ国首脳会談を共に非常な成功としている。約5年ぶりの会談であるから、米国が一番ホットしたであろう。



    (4)「尹大統領は特に、岸田首相との3回の対話を通じて複雑に絡み合っている韓日関係のもつれをほぐす契機を用意した。岸田首相について「両国関係を発展させるパートナーになれると確信した」と述べた尹大統領の認識通り、両国は今月10日の日本参議院選挙が終わり次第、関係復元に向けた実務作業に着手する予定だ」

     

    日韓は会談でなく「対話」形式になった。それでも3回の対話というから、互いにフランクに意見を出し合ったに違いない。参院選終了後に日韓の実務作業開始で合意した。

     

    (5)「大統領室関係者は「日本の首相に直接会ったが、かなり開放的で韓国に対する期待が大きく、うまくやっていこうとする熱意が感じられた」とし「ボトムアップではなくトップダウンの雰囲気が形成され、首脳間で関係を改善しようとする準備ができているようだ」と述べた」

     

    韓国大統領室関係者は、岸田首相が開放的であったという。拒絶姿勢でなかったことに安堵した様子である。この辺りに、韓国の日韓関係に賭ける期待の大きさが窺える。中ロ朝が、一体化しているだけに、韓国は日本へ期待を寄せているのであろう。

     


    (6)「尹大統領は、今回の外交活動を通じて少なくない成果を上げたが、韓日米共助の回復と西側との密着により、反対給付として中国との関係再設定という難題も抱え込むことになった。中国は、韓国のNATO首脳会議出席について不快な表情を露骨ににじませた。尹大統領はNATO同盟国・パートナー国全体会議で「新しい競争と葛藤構図が形成されつつある中で、我々が守ってきた普遍的価値が否定される動きも確認されている」と演説の中で述べた。これはウクライナ戦争の状況に言及したものだと分析されているが、自由・民主主義・人権・法治に基づいた価値連帯を強調したのは権威主義国家である中国を不快にさせかねない」

     

    韓国にとって厄介な問題は、中国の反応である。文政権が中国へ傾斜していただけに、余計にその反動が気になっているのだ。だが、もはや「二股外交」は不可能な国際環境だけに、割り切るほかない。

     

    (7)「大統領室関係者は、「韓米日首脳会談を含めてNATO同盟国のすべての演説には『国際社会の普遍妥当な価値と規範、合意を尊重する中で国際関係が構築されるべき』という言葉が含まれている」とし「反中路線というよりは、すべての国がルールと法治に逆らわないでこそ、基本的な協力関係が作られるという共感がある」と述べた」

     

    韓国は、「普遍妥当な価値と規範、合意の尊重」を旗印に掲げた。中国が、いくら文句を付けても、この外交路線で押し切る意向のようだ。



     

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    日本は2019年7月、韓国への半導体主要3素材の輸出手続きで規制強化した。これに韓国が反発し、大掛かりな反日不買運動を始めた。あれから間もなく3年経つ。日本は、輸出手続き規制を行なっただけで輸出を規制した訳でない。韓国は、激昂してWTO(世界貿易機関)へ提訴する騒ぎになった。後に撤回している。

     

    日本は、韓国に対して「ホワイト国」として輸出手続きを一括で済ませ優遇措置をしてきた。だが、度の過ぎた反日運動に手を焼いた日本が、報復の意味で「ホワイト国」待遇を撤廃し、個別輸出手続きに切り変えただけの話だ。韓国は、日本から丁重に扱われるのが当然と思い込んできたところへ「冷や水」をかけられたのである。反日をやれば、報復されるという単純な理屈である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月27日付)は、「韓国半導体素材、国産化足踏み 日本の輸出管理措置3年」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の半導体素材や製造装置の国産化が足踏みしている。2019年7月に日本政府が韓国への輸出手続きを一部品目で厳格化して以降、韓国は関連品目の国産化を進めてきた。ただ、足元では日本からの輸入額が増加に転じるなど揺り戻しが見られる。日本の措置からまもなく3年になるが、日韓の半導体関連の供給網はなお命脈を保っている。

     

    (1)「59日の大統領任期最終日。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は最後の演説でこう述べた。「日本の不当な輸出規制による危機を、全国民が団結し克服したことが忘れられません」。任期を総括した10分ほどの退任演説で早々にあらわにしたのは、日本の措置への反発だった。19年7月に当時の安倍政権は「両国間の信頼関係が著しく損なわれた」として、軍事転用リスクのある素材を韓国に輸出する際の優遇策を見直した。半導体生産に不可欠な「フッ化水素」や「EUV用フォトレジスト(感光剤)」、有機ELパネルの保護部材に使う「フッ化ポリイミド」の3品目で輸出案件ごとに個別審査を求めるとした」

     

    従来は、「政経分離」で日韓関係がもつれても経済に波及させなかった。韓国は、これによって「日本与しやすし」と誤解して過激な反日運動に走った。輸出手続き規制は、日本が「政経不分離」で政治的軋轢を経済へ波及させる最初のケースである。不条理な反日を止めるには、「政経不分離」もやむを得ない措置である。韓国に実損はなく、手続き規制だけである。これで、韓国を「教育」したことは間違いない。不条理な反日運動止めるには、致し方ないことだ。

     

    (2)「経済産業省は、「本来必要な手続きを実施するだけ」と説明した。一方の韓国政府は18年10月に韓国最高裁が日本企業への賠償を命じた元徴用工判決を念頭に「経済報復だ」と激しく反発した。韓国では日本製品の不買運動にまで発展し、日韓関係は戦後最悪といわれるほどに悪化した。文氏は率先して国内の半導体部材メーカーの拠点を訪問し、国産化の推進を鼓舞してきた。年間2兆ウォン(約2100億円)規模の研究開発支援の予算を投じ、「危機を機会に変えた」と成果を誇ってみせた」

     

    下線部の日本側説明は正しい。韓国は、出鱈目な統計を持ちだして、「国産化成功」としてきたがすべてウソであった。短期間に国産化できるはずもなく、ましてや、ユーザーが国産品切り変えに極めて慎重であるからだ。半導体の歩留まりに大きな影響を与えるのだ。文政権は、こういった微妙な点を理解しなかった。

     


    (3)「ただ、韓国貿易協会の統計を見る限り、文政権が主張するほどに「脱日本」は進んでいない。日本が輸出手続きを厳格化した半導体関連素材3品目のうち、フッ化水素の対日輸入額は19年7月を境に急減し、20年は18年比で86%減となった。それでも21年は前年比で34%増と反発し、22年1~4月も前年同期比で30%増と回復傾向が続く。残りの2品目でも、フォトレジストは前年比で2ケタの伸びが続き、フッ化ポリイミドは微減にとどまる」

     

    フッ化水素は、日本企業の海外工場から「迂回輸入」へ切り変えただけである。日本からの輸出は減るが、トータルでは変化はなかった。最近、日本からの輸出が増えたのは、日本からの直輸出に戻したに過ぎない。騙されてはいけないのだ。

     

    (4)「日系材料メーカーの関係者は、「フッ化水素を除けば、特段の影響はなかった」と声をそろえる。さらに韓国が日本から輸入する品目で金額が最も大きい半導体製造装置の21年輸入額は前年比44%増の63億ドル(約8500億円)となり、全品目での対日貿易赤字も拡大傾向が続く。IBK投資証券で素材業界を担当する李建宰(イ・ゴンジェ)アナリストは「代替材料を導入するためには半導体の生産ラインを止める必要があり、メーカー側も国産品の追加導入には慎重」とみる」

     

    半導体生産は、素材との「相性」が極めて微妙だという。同じ成分でも日本製と他国製では異なるという。製造工程が、日本型素材になれている結果と説明されている。

     

    (5)「国産化の足踏みは、韓国企業の株価にも反映される。フッ化水素の国産化で知名度を高めたソウルブレーンは19年7月以降に株価が急騰し、持ち株会社株は一時7万ウォンを付けた。しかし直近で2万ウォンを割り込み、6年ぶりの安値圏に沈む。一方で、日本政府の措置が韓国企業に無用な不信感を生んだのも事実だ。半導体大手のサムスン電子やSKハイニックスは工場停止のリスクを痛感した。結果的に日本製の部材を代替できるサプライヤーを育成するための資金支援や技術供与につながった」

     

    半導体は、製造機械から素材まですべて日本製の場合、そこに言葉では説明できないような微妙な「相性」が成立しているという。これが、製品の歩留まり率に影響するのだ。

     


    (6)「今後の焦点は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の出方だ。16日に発表した経済政策方針では、「脱日本」「国産化」といった文言は盛り込まれなかった。対日関係改善を掲げる尹政権が日本を刺激する文言を控えた可能性がある。ただ、前政権の手厚い支援で動き始めた半導体関連の素材や装置の国産化をあえて中断する理由もない。尹政権内では「経済安保の観点からも部材国産化は必要」との声も聞かれる」

     

    日本製部品の強みは、価格・品質・納期の3拍子が揃っていることである。この一つでも欠ければ、優位性を失う。韓国メーカーは、これら3点を守って日本との競争に挑むべきだ。

     

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    韓国文政権は、寝た子を起すに等しい外交惨事を引き起し、解決もできずに退任した。日韓慰安婦合意問題である。文氏の前政権へダメージを与えるという「私憤」が招いた事件である。こういう出鱈目なことが起こったのは、韓国政治の未熟性を示しており、日本としては許しがたい気持ちになって当然であろう。

     

    韓国では、政権が進歩派(民族主義)から保守派(リベラル)へ移った。新たな視点で、この難問に取り組まざるを得まい。一義的に、韓国国内の問題であるのだ。これが実現すれば、日韓関係も解決の方向へ動き出すであろう。

     


    『朝鮮日報』(6月26日付)は、「韓日慰安婦合意は本当に『屈辱』だったか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイム・ミンヒョク記者である。

     

    来週のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の舞台から、韓日関係の突破口を探るための外交的努力が始まる。展望は明るいだけではない。「未来志向」の意思は十分でも、現実的な過去史の壁はあまりにも高いからだ。強制徴用と共に過去史問題の一つの軸となっている慰安婦問題に関連して、最近公開された「外交部(省に相当)-尹美香(ユン・ミヒャン)面談」文書は、数年にわたって傾けられた努力が一瞬で水泡に帰する過程の一断面を見せてくれる。同じミスを繰り返さないためにも、何があったのか振り返ってみる必要がある。

     

    (1)「慰安婦問題で韓国政府が、数十年にわたり日本政府に要求してきた核心は、「謝罪と責任認定、それに伴う賠償」だった。その水準についてはいろいろな意見があったが、最も重要なのは被害者が受け入れるかどうかだった。2015年の韓日慰安婦合意の交渉を行った当局者は、ばかではない。彼らは、合意後に被害者が反対したら自分たちが「売国奴」として追われるであろうことを誰よりもよく理解していた。だから合意前に10回以上も被害者側と接触し、意見交換を行ったのだ。当時、正義連の代表だった尹美香氏は「私を(被害者側の)窓口にしてほしい」と言ったという」

     

    慰安婦問題の真相は不明である。自主的に慰安婦になった人たちが圧倒的であるからだ。韓国が、日本追及手段にこれを利用したこと。米国も真相を知らないで「人権問題」として一括りにしたことなど、日韓慰安婦合意の裏には日本の不満が鬱積していた。日本は、それにも関わらず「政治解決」したものである。韓国は、こういう日本側の事情を無視して居丈高になったので、日本が反発して泥沼に陥ったのだ。

     

    (2)「韓国外交部の文書によると、合意発表前日に交渉団は尹氏に「安倍首相の直接謝罪・反省表明」「日本政府の予算10億円拠出」など、中心的な骨子を事前に伝えた。そのいずれも、被害者の「恨」(ハン。晴らせない無念の思い)を100%解くことはできないが、「日本政府の予算拠出+首相の謝罪」は日本の責任を明らかにするもので、その意味は小さくなかった。尹氏も前向きな反応を示したといわれている。交渉家らは「被害者の同意を得た」と考えただろう」

     

    文在寅氏は、「日本は加害者、韓国は被害者」という立場を一貫させた。だから、韓国が無理な要求を出しても、日本はすべて飲むべきという一方的な姿勢であった。文氏は、弁護士出身である以上、係争事件の落としどころを知っている筈である。そのブレーキまで外して、日本へ対抗した。愚かな「弁護士」であった。

     


    (3)「ところが尹氏は、韓国側の措置、すなわち「日本大使館前少女像問題の解決の努力」「国際社会での非難・批判の自粛」「最終的・不可逆的解決の確認」と言う部分は聞かなかったという点を問題にしている。「政府が屈辱合意を隠した」と非難した。この部分は確かめてみるべきだ。少女像や国際社会での批判は、それ自体が目的ではない。責任認定、反省に背を向ける日本を圧迫するための手段だった」

     

    尹美香氏は、慰安婦問題で金儲けを企んでいた。現在、寄付金横領で裁判中の身であることが証明している。尹氏は、日韓慰安婦合意でこの問題が落着すると以後、募金活動ができなくなるので、文在寅氏へ協力して破棄へ持込んだのが真相だ。要するに、文氏と尹氏による「共謀事件」である。

     


    (4)「納得できるだけの謝罪と反省を得られたなら、ことさら国際法的論争を引き起こしながら外国公館前に少女像を置いておく必要はない。少女像を撤去するのでもなく、別の意味ある空間へ移そうというものだった。また、謝罪・賠償を受けたら韓国が国際社会で日本をののしる理由もなくなる。こうなれば、自然と最終的・不可逆的に問題は解決する。もし日本が合意を守らず、とんでもないことを言い出したら、そのときはまた少女像、国際社会での批判を動員すればいい。これをもって、合意自体に「屈辱」のレッテルを張るのは正しいことか」

     

    日韓慰安婦合意によって、すべての紛議を終わらせる。それが、政治的決着の意味である。韓国は、この意味するところを実行せず、少女像を日本大使館正面に置くだけでなく、世界中にばらまくことを止めなかった。いかにも朝鮮民族らしい振る舞いと言うほかない。恥を世界に吹聴して歩くからだ。朝鮮時代の夫婦喧嘩は、わざわざ外でやるという話を聞いた。少女像の海外配置はこの類いである。

     


    (5)「責任認定、賠償の部分に問題があるのなら、尹氏は事前説明を聞いた際に被害者と共有し、「絶対駄目」とブレーキをかけるべきだった。だが慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ(おばあさん)などは、「尹美香は合意の内容を知らせてくれなかった」と語った。合意の発表後、世論では少女像ばかりを浮き彫りにし、「尻尾が胴を振り回す」格好になった」

     

    民事事件において一件落着後は、一切これに触れないという条項がある。少女像は、明文化していなくても、合意後は自粛するのが韓国政府に義務であろう。それを放棄した。

     

    (6)「一度もつれた結び目は、余計に絡む。文在寅(ムン・ジェイン)政権は慰安婦合意を、前政権を攻撃する手段として活用し、外交部は前後の脈絡をきちんと知っていながら「大変な欠陥」があったとして、事実上合意を破棄した。そのせいで、加害者である日本が「韓国は国家間合意も守らない」と大声を上げる状況になると、文在寅大統領は後になって「両国間の公式合意であることは間違いない」と言った。慰安婦合意が「粥でも飯でもない」中途半端な状態になってから5年間、被害者のための措置は一歩も前に進まなかった。その間に、35人いた生存者のうち24人が世を去った」

     

    旧慰安婦とされた人々の大半は、日本の提供した10億円の中から資金が渡されている。それにも関わらず、韓国で別の慰謝料請求裁判の原告になった者まで表われた。韓国地裁は、この事実を指摘して、「一度受領した者に請求権はない」と諭される始末だ。名誉回復が目的でなく、金儲けが絡んでいる。

     

    (7)「ただでさえ難題の韓日問題に、国内政治、陣営の論理、世論の追い立てが絡むと、このような悲劇が起きる。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が反面教師にすべき理由がここにある」

     

    尹政権は、こういう文政権の不始末をどのようにして解決するのか。旧徴用工問題も同じだ。文氏は、民衆を煽っておきながら解決もしないで退任した。無責任な大統領であった。

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    韓国の文前政権は、検察制度をヤリ玉に上げて骨抜きにしてしまった。検察が、政治家の犯罪を捜査しにくい状況に持込んだのである。韓国検察が、捜査と起訴の両権力を持つことを恐れたのだ。実は、韓国の検察制度は日本から導入したもの。さらに遡れば、明治新政府がフランス検察制度を採用したという歴史である。韓国検察制度の淵源は、フランスまで行き着き、韓国の政治家だけに特別厳しいものでない。文氏は、自らが捜査対象になることを回避すべく、検察制度をメチャクチャにした。

     

    韓国新大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は検察育ちである。それだけに、日本へ親しみを持っていると言われる。これが、どのように日韓関係打開に役立つのか関心が集まる。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月25日付)は、「『検事・尹錫悦』の日韓関係」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の尹錫悦大統領の執務机には〝The buck stops here!(責任は私が取る)〟と書かれた木製のプレートが置かれている。米国のトルーマン元大統領が好んだ言葉だ。5月に訪韓したバイデン大統領が尹氏に贈った。

     

    (1)「5月の就任から1カ月半がたち、尹氏はプレートの言葉通りに強力なリーダーシップを意識している。反対を気にせず、わずか2カ月で大統領府を青瓦台から国防省庁舎に移転させたのは最たる例だ。国防省は混乱に包まれながらも、命令通り突貫工事で期日に間に合わせた。政権の人事では野党やメディアから「検察共和国」と皮肉られるほど、自分がよく知る検事や官僚を多く起用した。信頼できる人物を要の場所に据え、自らの指示を各組織に行き渡らせる狙いのようだ」

     

    進歩派メディア『ハンギョレ新聞』は連日、尹政権批判を繰り広げている。大統領夫人まで批判が及んでいるのだ。夫人が私人資格で、大統領経験者の夫人を訪問の際、友人を同伴したと取り上げ騒ぎ立てるぐ始末だ。私人の資格で訪問している以上、許されると思うのだが、夫人も「公人」として批判する。保守派が大統領になって、「癪だ」ということらしい。韓国政治の後進性を如実に示している。

     


    (2)「強力なトップダウンの統治スタイルは、「長年身を置いた韓国検察の特捜部で培われた」との見方がある。浮上した疑惑から事件の構図を描き、時には強引にも映る捜査手法もいとわないのが特捜部だ。検察総長の時は、検察改革に踏み入った文在寅(ムン・ジェイン)政権の疑惑捜査を指揮し、真っ向から対峙した。「韓日関係はうまくいく」と断言する尹氏の日本観も、特捜検事という経歴と無縁ではない。日韓の検察当局が深めてきた交流の歴史が背景にある。尹氏は5月10日の就任式に、日本から一人の検事を招待した。青森地検で三席検事を務めている小池忠太氏だ。ソウルの日本大使館で1等書記官として勤務していた頃、検察幹部だった尹氏と何度も焼酎の杯を交わした」

     

    検察総長を務めた人物である。リーダーシップは申し分ないであろう。性格的には、田中角栄に似ているようだ。友情を大事にするタイプだ。青森地検の検事は、韓国大使館へ出向中に意気投合して、「兄弟」のような付き合いだったと韓国メディアが紹介している。

     

    (3)「韓国の元検事によると、「韓国の特捜部は東京地検特捜部をベンチマークにしてきた」のだという。東京地検が政界の疑獄に切り込んだロッキード事件やリクルート事件は、韓国の検事にも刺激を与えた。別の元特捜検事は「検察内と韓国社会一般の対日観はやや異なる。検事が『日本通』であることは、決して否定的な意味を持っていない」と話す」

     

    日韓の検察制度が同じ系譜である以上、交流は盛んであるに違いない。韓国検察は、日本に対して先入観を持っていない。文在寅氏とは、大きな違いだ。

     


    (4)「尹氏が、検事出身ながら外交と安全保障への理解と関心が深いという点で、周囲の評は一致する。外国首脳との会談に陪席した政府高官は、自然体で誰とでも打ち解ける尹氏を見て「大統領の社交的で明るい性格は、周辺国外交に大きく寄与するはずだ」と期待を込める。一方で日本との関係は大統領の意思とトップダウンだけでは突破できないほど複雑にこじれてしまった。韓国の裁判所が日本側の責任を問い、賠償命令を下した元徴用工や慰安婦の問題を解決するには、法律が必要だ」

     

    文氏は、根っからの「反日」であった。尹氏がそうでないとすれば、話の理解度は早いはずである。日韓関係は、これ以上の悪化はないのだから、時間をかけて行けば、日本の納得する回答を持ってくるであろう。

     

    (5)「韓国側は民間交流の再開を先行し、(日韓関係の)改善の雰囲気を醸成したいと考えている。岸田文雄首相と尹氏は、スペインで今月末に開く北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加する。日韓首脳会談の開催を巡っては双方に温度差がある。韓国側は意欲的だが、参院選の投開票を控えた日本は、懸案の解決策が見えないため慎重だ」

     

    文氏によって、日本の韓国嫌いは激増した。この状況が改善されるには、どれだけの時間がかかるのか。予測は難しい。

     

     

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    日韓関係の漂流は、いったんこじれた外交関係の回復がいかに難しいかを示す典型例である。韓国で、日韓関係をぶち壊したのは進歩派の文政権である。すでに、保守派の尹政権に代わったと言っても、懸案事項が解決しない限り話合いのテーブルには着けないのだ。

     

    NATO(北大西洋条約機構)首脳会議が、今月29~30日にスペインで開催される。日本、韓国、豪州、NZ(ニュージーランド)首脳も招待されている。韓国は、この機会を利用して日韓首脳会談を実現させたい意向だ。韓国側の報道によれば、日韓首脳が顔合わせする機会は3回あるという。そのうちの1回でも利用して会談したいとしている。

     

    日本側の報道では、「立ち話程度」という懇談形式を韓国側に伝えている。正式の両国の国旗を立てた「会談」ではない。

     

    『中央日報』(6月23日付)は、「NATO会議で3回会う韓日首脳、関係改善の契機に」と題する社説を掲載した。

     

    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が29~30日にスペイン・マドリードで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に韓国大統領として初めて出席する。尹大統領のNATO首脳会議出席は就任後初の海外訪問、初めての多国間首脳外交という点を越えて、国際秩序の激変期に韓国の外交地平を大きく拡大するという点で意味が大きい。

     

    (1)「金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長は、昨日のブリーフィングで「NATO同盟30カ国は自由民主主義・法治・人権など普遍的価値と規範を共有する伝統友好国で、彼らと価値連帯を強化していきたい」とした。「北核問題に対する韓国の立場を説明して参加国の支持を確保する」とし、特に「予測不可能な国際情勢の中におけるNATO同盟との包括的安保基盤構築」という意味を強調した」

     

    下線部が、韓国の本音であろう。予測不可能な国際情勢の変化に対応するには、安全保障の網(同盟)を広く張っておくことである。韓国が、このことに気付いたのだ。文政権であれば、参加しないだろう。

     


    (2)「ロシアのウクライナ侵攻以降、国際社会が民主自由陣営と中国・ロシアなど権威主義国家間の対立構図に固定化している現実で韓半島(朝鮮半島)安保のための選択という意味に聞こえる。韓国政府はこの際、NATO本部があるベルギー・ブリュッセルに在NATO代表部も新設すると話した。外交地平拡張の物的基盤を用意する時期適切な措置だ」

     

    韓国も、NATO代表部も新設することになった。日本は、安倍政権時代にNATO代表部を設置した。

     

    (3)「尹大統領のNATO首脳会議出席は、韓国がこれまで米・中の間で取ってきた「戦略的曖昧性」から抜け出す歩みと見ることができる。それでも、反中国基調ではないことは明確にしなければならない。安保室関係者も「招待を受けただけで(NATOの)集団防衛実践とは関係がない」「(ウクライナ戦争は)平和と自由に対する脅威だが、協力して対処することが反中というのは論理の飛躍」と説明した。その通りだ。命を捧げて自由を守ったおかげで今日の大韓民国がある。グローバル中枢国家として、その役割を堂々と果たす時が来た。ただし慎重に、精巧に取り組んでいかなければなければならない」

     

    韓国は、相変わらず中国の鼻息を覗っている。これで、独立国家と言えるだろうかという気配りである。精神的に、中国から独立していない証拠である。かつての宗主国を恐れているのだ。

     


    (4)「NATO会議で韓日首脳会談は、今のところ日程が決まっていないという。その代わり韓日米首脳会談と韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド4カ国首脳会談などで尹錫悦大統領と岸田文雄首相が3回顔を合わせる機会がある。韓国と日本の官民で両国関係を復元しなければならないだけに、これを機に関係復元の出口を開くことができればと願うばかりだ。日韓議員連盟の武田良太幹事長は一昨日の中央日報とのインタビューで韓国大法院(最高裁)の徴用者賠償判決などに関連し、韓国が解決アイディアを出して日本がこれを受けてボールを投げ、韓国がボールを投げ返すといういわゆる「キャッチボール」論を提起した」

     

    韓国はなぜ、これほど日韓関係復元に執心しているのか。経済情勢の悪化が最大の理由であろう。文氏は日本へ悪態をついたが、最後に頼りにしなければならないのは日本である。悪口雑言を吐いた側は忘れていても、言われた側は覚えているもの。外交的にも、感情にまかせた言動をしてならないのだ。韓国に、これをしっかりと記憶させなければならない。

     


    (5)「韓国と日本の官民で両国関係を復元しなければならないという雰囲気は熟した。ちょうどコロナ事態で閉じられた金浦(キンポ)-羽田の「空の道」も2年3カ月ぶりに開かれるという便りも入ってきた。2002年ワールドカップ(W杯)共同開催をベースに開かれた韓日人的交流の象徴的な路線だ。韓日懸案を議論する機構も検討中だという。透明に、そして落ち着いて世論を集めていきながら関係改善の突破口を探すことを希望する」

     

    民間の交流が、日韓関係改善の第一歩である。韓国は、二度と再び「感情外交」と「反日運動」をしないと心で決められるだろうか。それが、日本側へ伝わるまで時間もかかるだろう。

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