内閣府・JAMSTECが7月、南鳥島沖の海底レアアースの種類などを発表しましたが、地味な内容でした。「失敗ではない」と言った消極的なものが報道されました。実は最近、その中味が、「異常に高位」であることが分かりました。回収した泥の約54%が中重レアアースース(イットリウム、ガドリニウム、ジスプロシウムなど)でした。
これは、半導体・EV・防衛産業に不可欠な戦略物資なのです。
今回の試験で回収された泥は、約50トンでした。その中に、つぎのような貴重な「中重レアアース」が圧倒的に多く含有されていました。中重レアアースとは、「重レアアース」の中でも特に重要な元素群をまとめてこう呼びます。軽レアアースは比較的多いのですが、中重レアアースは地球上では極端に少ない存在とされています。それが、南鳥島沖で「中重レアアース54%」とは、異常な高い数値であり、日本は「宝の大山」に当たったと言えます。乾杯ものです。
今回の分析では、次のような結果が出ました。
イットリウム 29.9%
ガドリニウム 4.9%
ジスプロシウム 4.6%
中重レアアース合計 54%
つまり、泥の約54%が中重レアアースでした。これは、世界の陸上鉱床(中国内陸部)と比較すると10〜30倍の含有率に相当します。これまで、「中国の20倍」と言われてきましたが、今回のデータでそれ以上であることが裏づけられました。世界最高品位であったのです。なぜか、この「高品位」という事実に焦点が当てられず、「深海過ぎる」「コストが掛りすぎる」など否定的なニュアンスの報道のされ方をしています。政府が「控えめ目に報道してください」という依頼でもしたのでしょう。
地球上の陸上鉱床の品位の常識は、次のようになっています。
中重レアアース比率 1〜5%
ネオジム 10%前後
イットリウム 数%
こういう地球上のレアアース分布の常識からみると、南鳥島沖の品位はこれまでの常識を完全に覆す「異常高レベル」となります。こうなると、「宝の山」という表現が控えめに感じるほどの異常値です。産業的評価は、日本の未来産業を100年支えるだけの価値を持っているのです。
1)イットリウム(Y)
半導体製造装置のコーティング、医療レーザー、ジェットエンジン、燃料電池など、日本の基幹産業のど真ん中を支えます。
2)ネオジム(Nd)
EVモーター、風力発電など脱炭素の心臓部に役立ちます。
3)ジスプロシウム(Dy)
高温でも磁力が落ちない機能でEV・防衛・宇宙の必須材料です。
レアアースは、中国が世界供給の約60〜70%を握り、特に中重レアアースは中国依存度が90%以上になります。これに対して、南鳥島の含有比率は、この中国依存構造を日本単独で逆転できるレベルに達しています。総括すると、次のようになるでしょう。
1)半導体:ラピダス・TSMC熊本の材料供給が安定する。
2)EV・電池:トヨタ・ホンダ・日産のサプライチェーンが強化される。
3)防衛:レーダー、ミサイル誘導、電磁波戦、無人機群のすべてにレアアースが必須。南鳥島は、日本の防衛力を「資源面から」支える唯一の拠点になる可能性があります。
南鳥島沖は、産業と防衛の面で日本の100年を支える基盤としての役割を果すことになります。これらが、日本EEZ内で、しかも世界最高濃度で採取できるという事実は、日本の産業構造を根本から変える可能性があります。また、安全保障的評価として、日本の「戦略的自立」が可能になるのです。



