勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    国策半導体企業のラピダスは、春にもウエハーから切り出したチップを電子基板に実装する「後工程」の試作ラインを稼働する。経済安全保障の観点からも、後工程の重要性は増している。台湾のTSMCは、これまで後工程(パッケージング)を外部委託(OSAT企業)に出すモデルを基本としてきた。ラピダスは後工程を自社内に取り込み、北海道で一貫生産体制を構築する。これは、TSMCとは真逆の「垂直統合型」モデルだ。

     

    ラピダスは、前工程(ウェハ製造)から後工程(パッケージング)までを一貫して全自動化する「スマートファブ」構想を立てている。ラピダスは、この前工程と後工程の全自動化によって、従来は設計から試作まで半年かかっていた生産工程を、一挙に1ヶ月以内に短縮するという。革命的な生産方法を目指している。

     

    『日本経済新聞』(1月22日付)は、「北海道 ラピダス、春に後工程の試作ライン 最先端半導体、27年度量産へ進展」と題する記事を掲載した。

     

    ラピダスは、2027年度後半に北海道千歳市で最先端半導体の量産を目指すが、26年は将来を占う大きな一年になる。

     

    (1)「ラピダスの小池淳義社長は25年12月、都内で開かれた展示会「セミコン・ジャパン」で、人工知能(AI)半導体向けの配線層「RDLインターポーザー」を披露した。最先端チップを載せる基板の「重要部分が完成した」と語った。配線層は600ミリメートル角のガラス製パネル上でつくった。比較の対象になる直径300ミリメートルの丸形ウエハーよりも大きい。1枚から取れるチップの数が増えるため、安価に効率良く生産できるようになるという」

     

    ラピダスは、あらゆる面で発想の転換を行っている。パネルもガラス製に切替えてコストダウンを実現した。1枚から取れるチップの数が増えるためにコストダウンになる。後発ならではの工夫がされている。

     

    (2)「後工程の試作ラインを設置するのは、建設中のラピダス工場の隣にあるセイコーエプソン千歳事業所になる。ラピダスは同事業所の一部を借り、約9000平方メートルのクリーンルームをもつ研究開発拠点を整備している。試作ラインは3月末までの完成を目指す。半導体の製造は前工程と後工程に分かれる。前工程は材料のシリコンウエハーに電子回路を作り込むまでにあたる。後工程はウエハーからチップを個別に切り出し、樹脂で封止して製品に仕上げる段階を指す。前工程はナノレベルの微細化に限界が見えつつある。後工程はチップの並べ方などで技術革新の余地が残されているとされる。日本における最先端半導体の生産拠点は、前工程ではTSMCの熊本県への進出で可能になった。後工程を請け負う体制はなお乏しい。半導体産業に詳しいデロイトトーマツの鹿山真吾パートナーは、「後工程を制する者がサプライチェーンを握る。北海道でやっていくことに意義がある」と話す」フォームの始まり

     

    今後の半導体の勝負は、後工程とされる。いわゆる「チップレット」と呼ばれるチップの積み上げ技術が競われる。ラピダスは、この難しい後工程の全自動化を目指している。これによって、歩留まり率の飛躍的向上を目指す。

     

    (3)「25年に25は国内の後工程請負会社(OSAT)による業界団体「日本OSAT連合会」が発足した。正会員は直近で29社あり、アムコー・テクノロジー・ジャパンやアオイ電子、新光電気工業などが名を連ねる。生産体制の相互補完や、材料や部品の共同調達を目指す。連合会によると、国内のOSATはほぼ中小企業で、国内生産量は世界シェアの5%程度という。生産量では海外勢に太刀打ちできないが、林力事務局長は「日本は歩留まりや品質で強みがあり、少量多品種の生産に勝機がある」とみる。

     

    ラピダスは、後工程の全自動化を行うが、後工程請負会社をパートナーとして受入れる。ラピダスは、後工程を完全に内製化するのではなく、試作・先端技術の中核部分を自社で担い、量産や周辺工程はパートナーと分担する構想を描いている。「共創」という対等な関係を維持する方針だ。

     

    (4)「ラピダスは、半導体を前工程から後工程まで一気通貫で生産する体制を整えようとしている。計画通りに後工程の試作ラインが稼働すれば、関連する材料や装置のメーカー、テストや解析を手がける企業の集積が進む可能性がある。後工程が比較的盛んな九州地方では、アムコーなどのOSATや検査大手のアドバンテスト、米テラダインが拠点を置く。チップの接続に用いる金属フレームやパッケージングに使う樹脂、金型といった材料のメーカーも集まる」

     

    TSMCは、後工程を完全に下請けに出しているが、ラピダスはあくまでも自社も関わりながら専門企業を育成する方針である。

     

    (5)「千歳市によるとラピダスの進出以降、市内に45の関連企業が拠点を設けた。このほか83社が市内への立地を検討中で、後工程のサプライヤーや検査会社も含まれているという。市が約4000社にアンケート調査を行い、約200社に聞き取ったうえで集計した。ラピダスは25年7月、回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体の試作品を初公開した。試作品の披露により、市の次世代半導体拠点推進室の塚田啓介総務課長は「企業の温度感は変わってきた」と話す。拠点進出に前向きになる会社の増加に期待する」

     

    ラピダスとのビジネスを求めて、関連企業が千歳市へ進出している。まだ、製品出荷は始まっていないが、25年7月に半導体試作品を初公開以降、熱気が高まっている。

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    今年は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が、会談する機会がいくつかある。11月に中間選挙を控えるトランプ氏が、貿易合意で成果をあげる見返りに、習氏に台湾問題で妥協するのではないかという懸念が一部に出ているという。実態はどうか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「トランプ氏は台湾で譲歩せず ケネス・ワインスタイン氏 米ハドソン研究所 日本部長」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ氏が、中国へ妥協するという見方は誤りで、彼はいかなる大きな譲歩もしないだろう。トランプ氏は、台湾の現状維持を望んでいる。台湾への武器売却を承認し、米台交流を強化する法律にも署名した。台湾が奪われれば、習氏に勝利を与えることになり、米国の威信が失墜すると彼はよく分かっている。

     

    (1)「中国経済は弱々しく、不動産部門は不振に陥ったままだ。習氏は部下の多くを粛清している。これは強力な指導者の姿とはいえず、見かけより弱い立場にあるのではないかとすら推察する。中国と緊密な関係にあるベネズエラへの米国の攻撃でも、中国は大きな打撃を受けた。マドゥロ政権に提供していた借款は返済されることはなくなり、中国製の防空システムは役に立たないことがわかった。ベネズエラにとっての主要な貿易相手であり、中国との関係も良好なキューバやイランへの圧力も増すことになる。中国にしてみれば、ベネズエラは重要な資産からお荷物になったといえる」

     

    米国のベネズエラ急襲は、諸々の意味で中国の弱さを露呈した。防空網の弱さや、ベネズエラへの貸付が焦げ付きになる懸念も強まった。キューバやイランとの関係も弱くなりかねない。

     

    (2)「私たちは、中国を強気にさせてはならない。米国はレアアース(希土類)で中国への依存を減らす取り組みも含め、日本、韓国、フィリピンとの協力を深めつつある。できればインドネシアとも同じような関係を築きたい。(高市早苗首相の台湾有事発言を機に)中国は日本に多大な圧力をかけている。中国の立場からすると、公明党の連立離脱で日本政府に影響を及ぼすルートがなくなった。どう対処するかは、日本の国益に基づいて判断すべきではあるが、中国の挑発をエスカレートさせないよう細心の注意を払わなければならない」

     

    米国は、レアアースで中国の攻撃的姿勢に対抗しなければならない。日本、韓国、フィリピンとの協力を深めている。日本は直接、中国のレアアース攻撃を受けているが、協力関係強化で乗切るほかない。

     

    (3)「米国と北朝鮮が、日本にとって不利な合意をするという見方についても心配は無用だ。現時点で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、米朝首脳会談に意欲を示しているようにはみえない。北朝鮮を取り巻く環境は、第1次政権の時から激変した。バイデン前政権下で北朝鮮はロシアと関係を深めた。ウクライナ戦争でロシアへ兵器を供給する見返りに、技術や石油、外貨を得ている。「米大統領との合意」という名声以外に、米国が彼らに何を提供できるのか思いあたらない」

     

    北朝鮮が、米国との首脳会談を急ごうという理由がないので、米朝接近は見込み薄である。

     

    (4)「北朝鮮が、非核化に関心がないのは、破談に終わった(2019年2月開催の)2回目の米朝首脳会談をみれば明らかだ。いまのところ、彼らが米朝合意に動く理由が見当たらない。中国や北朝鮮の動きを踏まえれば、日本は防衛費を増やさざるを得ない。北大西洋条約機構(NATO)加盟国と同じ国内総生産(GDP)比5%の水準をめざすことが必要だ。インフラやサイバーといった防衛関連費も含めれば、(NATOと同じ期限である2035年に)達成するのが不可能とは思わない」

     

    中朝の攻撃的姿勢からみると、日本は防衛費をGDPの5%水準が必要になろう。2035年ごろが目標達成時期としている。

     

    (5)「問題は、35年ごろの安保環境がどうなっているかだ。5%はあくまで目安に過ぎない。ますます攻撃的になっている中国やロシア、核を持つ北朝鮮に囲まれた日本がどのような地政学的な状況にあるのか。そこから必要な数字が決まってくる。日本は安全保障関連3文書の改定にあたり、あらゆることを徹底的に考え抜く必要がある。核抑止の議論はその一つだ。核保有について日本で健全な議論が起こりつつあるのは歓迎する。しかし、拙速に結論を出そうとするのは誤りだ。多大な議論と国民的な合意が欠かせない」

     

    2035年ころには、アジア版NATOも結成されている。その頃の中国経済の潜在成長率は、OECD(経済協力開発機構)予測によれば、2030年代に2%台から1%台へ低下する悲惨な状況に追い込まれている。近隣国を軍事挑発する力は相当、低下していると見られるが。

     

     

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    日本は、中国による対日レアアース輸出規制へ対抗し、あらゆる手を打っている。南鳥島のレアアース採掘という「世紀の大事業」は別格として、化学的精錬の普及や調達先の拡大。さらにはレアアースそのものを使わない製品開発や、資源循環などと総力戦を展開している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「レアアースの中国依存軽減 日本企業、調達先確保や技術革新に動く」と題する記事を掲載した。

     

    日本企業がレアアース(希土類)の確保に向けて様々な備えを進めている。2010年、尖閣諸島問題を巡り中国が輸出を規制したことをきっかけに取組みが加速した。JX金属や大手商社などは中国以外の海外からの調達ルート確保に動く。プロテリアル(旧日立金属)などはレアアースを使わない技術の開発に力を注ぐ。

     

    (1)「JX金属の林陽一社長は、「南米とオセアニア、南アフリカに資源担当者を配置し、開発できるような場所がないか常にウオッチしている」と、レアアースの確保に向けた取り組みをこう話す。JX金属は25年6月、オーストラリアのレアメタル(希少金属)やレアアースの鉱床に5%出資すると発表した。追加出資も検討している。同じ鉱床には丸紅も同年11月に出資すると表明し、日本勢の比率が高まる」

     

    JX金属や丸紅は、海外鉱山へ出資して権益を確保している。

     

    (2)「JX金属の林氏は、豪州に続くレアアース権益の確保についても「当然探っている」と語る。同社は半導体の材料にレアアースを使っており、調達先には中国も含まれる。安定的に必要な量を確保するのは喫緊の課題となっている。国内商社もレアアースの確保に動く。双日は25年10月、希少性の高い「重希土類」のレアアースを豪州から初めて輸入した。25年にはエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と岩谷産業の共同出資会社もレアアース精錬を手掛けるフランス企業に出資した。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている」

     

    双日は、豪州で積極的にレアアース確保へ動いている。23年、豪州大手レアアース企業ライナスに約2億豪ドル(180億円)を出資し、同社が生産するジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本に供給する契約を結んでいる。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている。

     

    (3)「レアアースは、1980年代まで米国などが主な生産地だった。その後中国で鉱山開発企業が乱立し、低価格での輸出が広がった。当時の中国は環境規制がゆるかった。採掘や精錬の過程で生じる放射性廃棄物や、レアアース抽出に使う酸性液の処理が不十分でも許された。中国は環境対策費用が安い分、生産コストを米国などに比べて圧倒的に下げられる「メリット」を生かした。結果、中国の生産量は伸びレアアース大国となった。仮に日本企業が権益を確保しても、コスト面で圧倒する中国にどう対抗するかという課題は残る」

     

    日本が開発したレアアースの化学的精錬法は、常温・常圧の精錬が可能で放射性物質も出ないという環境親和的である。モジュール型の小型設備で移転も可能である。当然、コストは安くなる。小鉱山で、これまで開発を見捨てられているレアアース鉱石に焦点が当る。

     

    (4)レアアースの必要性を技術革新で乗り越える取り組みも進む。プロテリアルは電気自動車(EV)の駆動用モーター向けに、重希土類のレアアースを使わない磁石を開発した。2025年4月に米国の相互関税への報復の一環で中国政府が7種類のレアアースの輸出規制に踏み切った際には、日本の自動車大手が生産の一時停止に追い込まれた。重希土類なしでEVモーターにも使える磁石が実現すれば、こうした供給不安を軽減できる」

     

    レアアースを使わない磁石も開発されている。科学の進歩が、「省レアアース」へ向わせている。

     

    (5)「リサイクルの技術開発も進む。ネオジム磁石大手の信越化学工業は、日本とベトナムにリサイクルの拠点を持つ。使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させる。トヨタ自動車と組み、ハイブリッド車(HV)のモーターに使われる資源の再利用もしている。日本企業は過去の教訓を生かし、省レアアースのネオジム磁石や代替技術の開発、リサイクルなどに取り組んできた。ただ安い中国製ネオジム磁石の優位を崩すまでには至らず、導入は広がっていない。レアアースの安定確保という世界的な課題の解決に寄与するため、これまでの取り組みをどう生かすか。官民が連携し知恵を絞る必要がある」

     

    信越化学工業は、使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させている。資源が乏しければ、それに応じた経済行動が取られるのだ。

     

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    立憲民主党と公明党が、新党「中道改革連合」(中道)を結成する。この中道が、中国に対して「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦うことになった。「対中国」は、間違いなく今回の衆院選の大きなテーマだ。与野党ともに中国へ厳しい姿勢である。習政権は、高市非難によって日本世論へ働きかけ、「政権崩壊」を狙ってきた。この目論見は、完全に外れた。総選挙期間中、日本全土で「反中」が連呼される事態になりかねないからだ

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「『反・高市』中国に再び誤算、政局第2の大波 中道に苦虫かみつぶす」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙編集委員の中沢克二氏である。

     

    中国・習近平政権が、日本の野党内で立ち上がったばかりの新党、中道改革連合(中道)について公式報道する際、なぜか迷いが見られる。本来なら、202511月から執拗に攻撃してきた日本の首相、高市早苗に対抗する大きな塊の登場は、中国にとって大歓迎すべき動きだ。ところが事態は極めて複雑である。

     

    (1)「中国にとっての複雑さは19日午後、明確になった。「中国に対する懸念への毅然とした対応……」。驚くことに、これは衆院解散・総選挙、真冬の28日投開票を宣言した高市の発言ではない。その直前、中道が発表した基本政策の文言である。立憲民主党と公明党によって野党内で出来上がったばかりの有力勢力まで、中国に対する「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦う。しかも与野党ともに中国に厳しい。これには習政権も苦虫をかみつぶさざるをえない。世論工作などで相手勢力内の分断を図りつつ、味方を増やしていく。中国共産党が得意とするこんな「統一戦線工作」は、いまのところ奏功していない」

     

    中道が発表した基本政策の文言には、中国に対する「毅然とした対応」をうたっている。これは、中国にとって大変な目論見違いとなった。

     

    (2)「中道は、基本政策の第4の柱として「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しをあえて立てた。その詳細で「中国に対する懸念への毅然とした対応と、国益確保を両立させる中長期的視点に立った戦略的互恵関係の構築」を明記している。

    明らかに今後、政権与党になった際の外交・安全保障政策の継続性を考慮した現実的な選択だ。中国に習政権が登場する前から続く日中関係に関する「戦略的互恵関係」というスローガンをわざわざ入れたのも同じ趣旨である」

     

    中道は、「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しまで掲げている。高市政権の基本姿勢を容認している。中国にとっては、「青天の霹靂」であろう。

     

    (3)「中国は軍民両用品の対日輸出規制の強化を発表。レアアース(希土類)の対日供給にも支障が出かねない厳しい状況になっている。この局面で新党の基本政策で「中国に甘い」「中国への譲歩」と見られかねない表現をとれば、目前に迫る衆院選の短期決戦を戦えないのは明らかだった。中道の共同代表である野田佳彦は、12年に沖縄県の尖閣諸島を国有化した際の首相である。中国での激しい反日デモ、日系企業への破壊行為のすさまじさは身をもって感じている。その当事者として、中国による威圧への対処がいかに重要なのかを知らないはずはない」

     

    中国は、「威圧」によって日本政治へ影響を与えられるとみてきた。それが、とんでもない逆の事態へ動いている。日本を甘くみてきた代償の大きさを知ったであろう。

     

    (4)「中道を巡って、さらに注目すべきなのは、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態への態度だ。基本政策では「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。かつて立憲民主党が主張してきた内容と比べ、相当、現実主義に傾いている。安保法制は15年に自民・公明両党による安倍晋三政権下で成立した。中道の安保政策は、安倍政権での基本方針から大きく乖離していないのだ。ここも習政権にとって大きな悩みどころである。なぜなら、中国が高市を個人攻撃してきた理由が、25年11月7日の台湾有事に絡む存立危機事態を巡る国会答弁内容だったからである」

     

    中道は、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態で、「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。台湾有事を存立危機事態として捉えている点で、高市政権と違いはない。中国にとっては、これも大変な誤算になった。

     

    (5)「中国共産党総書記で国家主席の習の体面、メンツを考えられないほど重視するのが今の中国だ。その命令一下、安倍路線の継承、進化を掲げる高市への攻撃を続けているのに、対抗勢力の中道まで中国への毅然とした対応をうたい、問題としてきた安保法制を巡っても現実路線に動いてしまった」

     

    中国の高市非難が、ついに中道までを「高市擁護」へ追いやってしまった。日本社会の実態を全く理解していない証拠であろう。辱めを受けないという日本古来の「武士道精神」が、中道にまで及んだと言うべきであろう。

     

    (6)「今回、高市が急きょ決断した衆院解散は、強硬・中国が触発した側面があった。あまりに偏った対日強硬策をとる習政権が、図らずも高市内閣の超高支持率を演出したからである。これが「対中国」が絡む日本政局の第1の大波だ。これは思わぬ急展開につながる。高市・自民党と、これを支える日本維新の会による与党が急速に保守化しているととらえ、対抗軸として「中道」に活路を見いだそうとするのが、立憲民主党と公明党による新党の立ち上げだった。流転する日本政局の第2の大波だ」

     

    中国の対日外交は、完全に失敗した。脅せば屈すると見た日本が、敢然と「ノー」を突きつけた。「文明力」で中国をはるかに上回る日本が、習氏の威圧をはねのけた形だ。

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    外交戦において、資源カードを切った瞬間に、その効果は落ちるとされている。相手国が、代替手段を模索して、カードを切った国に依存しなくなるからだ。日本は、中国からレアアース輸出規制を告げられた以降、G7(主要国首脳会議)の財政相会合で広範囲な対策を打っている。これこそ、資源カードを切った瞬間にその効果は落ちる、という典型例である。中国は、こういう素早い日本の動きを警戒して、対日レアアース輸出規制を長く続けられないという見方が出てきた。

     

    『ロイター』(1月20日付)は、「中国の対日レアアース規制、長期化の可能性低い=日本総研・三浦氏」と題する記事を掲載した。

     

    高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を背景に、中国の対日レアアース(希土類)規制の強化が伝わってから2週間が経過した。輸出制限措置の行方について、日本総研の三浦有史・主席研究員に聞いた。日本貿易振興会(現日本貿易振興機構=ジェトロ)出身の三浦氏は中国経済を専門とし、『脱「中国依存」は可能か』などの著書を持つ。

     

    三浦氏は、「あえて規制の運用をあいまいにし、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」と指摘した上で、「全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が進み、レアアース分野でのシェア低下を招きかねない。対日規制が長期化する可能性は低く、中国側も早晩落としどころを探ってくるだろう」と話した。

     

    (1)「1月6日に軍民両用品目における対日輸出管理の強化が発表されたが、詳細な内容はまだ明らかになっていない。中国当局が(レアアースの用途や最終販売先などに関する)書類の審査を厳格化しているとの報道があったが、もし全面的な輸出規制なら、様々な業界から悲鳴が上がっているはずだ。現時点では、物流を一部で停滞させている段階にとどまっているとみられる。中国側の狙いは明白だ。台湾問題という『核心中の核心』に触れた首相発言を巡り、産業界を通じて日本政府に揺さぶりをかけることにある。対米関税交渉でレアアースを外交カードに使った際、一定の対話を引き出せた成功体験もある。今回は供給を完全に断つのではなく、あえて規制の運用をあいまいにすることで、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」

     

    中国は、対日「口撃」を主として行い、レアアースの輸出規制に本腰を入れていないという。仮に、対日輸出が減らされれば、日本の産業界から悲鳴が上がるはずとみている。中国は、高市首相の支持率を落とす目的で、騒ぎを広げている。

     

    (2)「採掘による生産工程において、中国の世界シェアは徐々に低下している。それでも今なお約7割を占めるなど圧倒的な存在感だ。より顕著なのは精製工程で、国際エネルギー機関(IEA)によれば、中国のシェアは9割超に達する。レアアース鉱石の多くは精製時に大量の放射性廃棄物を出すが、中国は人件費が安く環境規制も緩いことから処理コストが低く済むため、各国が依存している。(かつてレアアース大国だった)米国も現在はわずか1%のシェアしか持たない」

     

    日本の化学的精錬法が普及すれば、世界の小規模鉱山のレアアース精錬が可能になる。日本は、この技術をODA(政府開発援助)の資金でインドなどへ移転している。28年頃には成果が出ると期待される。中国の牙城崩しが始まっているのだ。

     

    (3)「強力な支配力を持つとはいえ、対日規制が長期化する可能性は低いとみている。中国が全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が世界的に進み、長期的に中国のシェア低下を招くためだ。レアアース分野での影響力を維持するには、物資を安価に提供し続ける必要がある。また、中国ではレアアースの密輸が以前から問題視されており、輸出規制によって一段と深刻化する恐れがある。実際、レアメタル(希少金属)のアンチモンの対米輸出を禁止した際は、タイなどの第三国を通じた迂回取引が活発になった」

     

    日本は、着々と化学的精錬法の世界普及に乗り出している。中国はいずれ、対日虐めを悔いる時期が来るはずだ。南鳥島のレアアース採掘も、28年に商業生産へ入る。

     

    (4)「レアアースの調達を巡っては、中国自身の状況も実は盤石ではない。特に(自動車用モーターなどに使われる)重レアアースに限っては、国内の電気自動車(EV)産業の拡大に伴って、輸入量が輸出量を上回る『純輸入国』に転じている。安定的な貿易体制を望んでいるのは彼らも同じだ。昨年春に米国による半導体規制への対抗措置としてのレアアースを活用した際も、実際に輸出量を大幅に減らしたのは3か月程度だった。早晩、日本政府に何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくると予想する。中国の立場や戦略をふまえれば、日本にとって、備蓄の積み増しといった対策が有効だろう」

     

    米国へのレアアース輸出規制は、3ヶ月程度であった。日本へも、何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくるという。日本は、毅然と対応することだ。あれだけ、悪口雑言を並べた中国である。日本こそ一札取っておきたいほどだ。

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