勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    あじさいのたまご
       

    韓国ユン政権で、TPP(環太平洋経済連携協定)加入の意味・手続きを理解していない水産部長官(水産大臣)が現れた。無知というか、勉強不足というか、ともかく凄まじい認識不足の長官である。

     

    「TPPへ加盟しても福島産食品の輸入禁止措置を撤廃しない」と力んでいるのだ。TPP加盟は、全加盟国の賛成を条件にしている。日本が、韓国に対して「TPP加入はNO」と言えばそれだけで加入が不可能になる。韓国水産部長官は、こういう手続きの流れを知らないのだろう。何ともお粗末な長官が生まれたものだ。

     

    韓国は、TPP11カ国のうち日本とメキシコを除く9カ国と、すでにFTAを締結している。TPP加入は事実上、日本と追加でFTA協定を結ぶようなものである。日本は自動車と農畜水産物分野で韓国より優位であり、韓国が、日本とFTAを結ぶのはむしろ損害という分析が多かった。韓国が、TPPへ加入しなかった理由は、以上の点にある。

     


    韓国は、放射能を理由に福島県産などの農漁産物の輸入を禁止しているが、本音は競争力の低さを恐れてカムフラージュしているものである。極めて、卑怯な遣り方である。

     

    『中央日報』(5月25日付)は、「韓国海洋水産部長官、『TPP加入しても福島産水産物の輸入認めない』」と題する記事を掲載した。

     

    海洋水産部の趙承煥(チョ・スンファン)長官は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)と関連し、「協定に加入しても国民の健康と安全のため日本の福島産水産物輸入を禁止した既存の立場に変化はない」と明らかにした。

     


    (1)「趙長官は、この日政府世宗(セジョン)庁舎で開かれた担当記者団との昼食懇談会で「TPPは国益のために進まなければならないものという韓国政府の立場は理解する」としながらこのように話した。彼は続けて「福島産水産物輸入に対しては断固として国民の安全・健康が(優先であり)重要だという考え。漁民が受ける被害に対しては十分に補償するだろう」と付け加えた」

     

    TPPへ加盟申請している英国と台湾は、すでに福島産食品の輸入禁止を撤廃した。同様に、TPP加盟を申請している中国は、福島産食品の輸入禁止について、何らの対策も講じていない。多分、中国はTPPへ加盟できないと見込んでおり、福島産食品の輸入禁止に手をつけないと見られる。

     

    韓国が、福島産食品の輸入禁止を撤廃しないでどうやってTPPへ参加する積もりだろうか。本音部分では、TPP参加が難しいと読んでいるのかも知れない。ともかく、福島産食品の輸入禁止を撤廃しない限り、日本は韓国のTPP参加に賛成しない筈だ。よって、韓国はTPPへ参加不可能となろう。

     


    韓国の福島産食品の輸入禁止は、WTOでも具体的な根拠になるデータを提出できなかったのである。そこで考え付いたのが、「風評被害」である。WTOもこの扱いに困って結局、韓国の言分を認めざるを得なかった、TPPでは、風評被害という根拠不明の噂話を通すほど、甘くない。日本政府が、韓国のTPP加盟に当って、「高いレベルを超える自信はあるのか」と皮肉を込めて発言している裏には、こういう日本側の厳しい要求がある。

     

    (2)「現在、韓国の水産業関係者はTTP加入時に漁業関係者に支払われる水産補助金と、輸入水産物に対する関税が廃止されかねないとして反発している。福島原発汚染水放出を控え福島産水産物開放圧力も大きくなると懸念している」

     

    このパラグラフに、韓国が日本とFTAも結ばなかった事情が現れている。韓国漁業者は補助金と高い輸入関税で守られている。もっと、厳密に言えば、「福島産食品の輸入禁止」で守られてきたと言える。噓八百を言い連ねて、自国産海産物を保護しようというのは、道義的にも許してなるまい。 

     

     

    あじさいのたまご
       

    韓国進歩派(民族主義)は、世界でも独特の存在である。進歩派は一般的にリベラル主義だが、韓国は民族主義の集団である。中朝との一体化が、韓国の国益になると信じている集団なのだ。その韓国進歩派は、今回のIPEF(インド太平洋経済枠組)と日米同盟の強化を苦々しい思いで見ていることが分った。

     

    日本が、太平洋戦争の謝罪をしていないという前提に立っている。だから、近隣諸国は日本に対して不信の念を持っているというのである。韓国のいう「近隣諸国」とは、韓国進歩派を指している。日本は、アジア諸国に対して太平洋戦争の謝罪と賠償を済ませ、ODA(政府開発援助)による経済支援も行なってきた。世論調査によれば、日本がアジア諸国で6割の支持を得て1位である。米国や中国を寄せ付けない高い支持率だ。韓国進歩派は、こういう都合の悪いデータに目を瞑っている。ひたすら、日本への謝罪と賠償を求める「物乞い」集団である。

     

    『ハンギョレ新聞』(5月24日付)は、「IPEF・米日同盟強化、『秩序大転換』で岐路に立つアジアと題する社説を掲載した。

     

    23日、「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が正式に発足し、日本の軍事力と米日同盟強化のシグナルを明確にした米日首脳会談が開かれた。中国を米国主導の国際秩序に対する挑戦者と規定し、同盟を糾合しこれを遮断しようとする米国のアジア戦略の「中核となる布石」といえる。揺れ動く国際秩序の不確実性に備え、巧みな外交が求められる状況だ。

     

    (1)「この日の米日首脳会談は、米日同盟の抜本的変化を伝えた瞬間として歴史に記録されるだろう。日本は「専守防衛」の役割を越え、米国と並び軍事的な役割を果たしていくという一歩を踏みだした。日本の岸田文雄首相は、「日本の防衛力を抜本的に強化」する決意を明らかにした。日本は国内総生産(GDP)の1%水準である防衛費を2%台へと大幅に増やし、「敵基地攻撃能力」も確保する見込みだ。中国とロシアの挑戦、北朝鮮核開発などで危機に直面した国際秩序を守るという名分だ」

     


    日本の防衛費は、対GDP1%である。中国や韓国が、これまで厳しい注文をつけてきたことへの配慮だ。その中韓が、対GDP防衛費の比率で日本をはるかに上回っている。韓国は2%を超えており、中国も「裏防衛費」を含めれば2%台である。このように、日本の防衛費は、極めて少ないのが現実だ。それを増やすことで、韓国から非難される理由はない。

     

    防衛で専守防衛に固執していれば、侵攻を受けて初めて攻撃に転じる訳で、反撃への立遅れを招く。これは、侵略する側にとってまことに都合のいい原則だ。逆に、日本の「敵基地攻撃」が可能となれば、侵略抑止になって戦争を回避できるであろう。日本への侵攻が、多大の被害を呼ぶことになれば、相手国に対して戦争抑止力として働くはずである。専守防衛には、戦争を招き寄せる危険性がある。

     


    (2)「両首脳はまた、「東・南シナ海における力を背景とした(中国の)現状変更の試み」にともに対応すると述べた。中国が台湾を侵攻した場合、米国は「台湾を防御するために軍事的に関与するのか」という質問を受けたバイデン大統領は、「イエス(Yes)。それが我々の約束だ」と答えた。名分が何であれ、過去の侵略の歴史に対する真の謝罪と反省がない日本の軍事力増強は、韓国をはじめとする近隣諸国から懸念と反発を受けざるをえないことを直視してほしい

     

    下線部は、韓国進歩派だけの口実である。慰安婦や徴用工の問題と同じレベルで、国家の運命を左右する安全保障を議論していることに驚く。余りにも低次元であり、議論する気も失せるほどだ。

     


    (3)「この日正式に発足したIPEFには、韓国、米国、日本、オーストラリア、インド、シンガポール、ベトナムなど13カ国が参加した。安全保障協力体であるクアッド(QUAD)とオーカス(AUKUS)に続く米国の「中国牽制」の枠組みが加わったのだ。「経済・技術協力体」であるIPEFは、実際の稼働に伴い地域の経済秩序を新たに規定しうる。このような流れに対し、中国の王毅外交担当国務委員が「アジア太平洋地域に軍事集団と陣営対決を引き入れようとする試み」だと非難するなど、中国の反発は強まっている。21日の韓米首脳会談で「台湾海峡の平和と安全」が取り上げられたことについても、中国が外交ルートを通じて抗議したことがこの日明らかになった」

     

    ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヶ国中、7ヶ国がIPEFに参加する。この現実をどう読むかである。『ハンギョレ新聞』が主張するように、日本を警戒しているならば、これだけの国々が参加しないであろう。IPEFの実際の「仕切り役」は、米国でなく日本となろう。ASEANから7ヶ国も参加するのは、日本政府による根回しが効いているはずだ。連休中に、岸田首相はASEANを訪問している。逆説的に言えば、韓国が期待するように日本はアジアで「非力」でない。

     


    (4)「アジアでよりいっそう激しくなる米中覇権競争は、北朝鮮核問題と分断、「安全保障では米国、経済では中国に近い」韓国のジレンマを悪化させる懸念が強い。韓国は、国際秩序のための役割を果たすと同時に、米国・日本とは違う韓国の現実に悩まざるをえない。政府は各界各層の世論を集め、バランスを失わない外交を慎重に進めていかなければならない」

     

    韓国進歩派は、「米中バランサー外交」という空想的言葉を弄んでいる。韓国に、そのような力はない。「中ロ枢軸」が浮上している現在、韓国が米中間をウロウロしていることは、「中ロ」に利用されるだけである。李朝末期外交の誤りを再現せず、現実外交に目を覚ます時期に来ているのだ。外交に、空理空論は有害である。

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    日米韓三カ国の足並み揃える

    意味深の米韓共同声明を読む

    政権発足10日後で重大決断

    統一地方選で与党勝利の兆し

     

    米国大統領バイデン氏が、5月20~22日まで韓国を訪問した。日本で開催される「クアッド」(日米豪印)4ヶ国首脳会談へ出席するため、日韓同時訪問になった。

     

    今回のバイデン氏による日韓訪問は、対中戦略の基礎固めをする上で大きな意義を持っている。具体的には、次の点である。

    1)日米韓三カ国の足並みを揃えて、対中朝戦略を構築する。

    2)経済と安保を一体化する「インド太平洋経済枠組」(IPEF)をスタートさせる。

    3)クアッド4ヶ国の結束を固める。

     


    日米韓三カ国の足並み揃える

    バイデン氏は、前記の3点について韓国の同意ないし関心表明を取りつけた。これは、今後の日韓関係についても「対立」から「調和」へと大きく舵を切ることを意味する。韓国の前政権は、ことごとく「反日姿勢」を貫き、国内政治に利用してきた。新政権によって、「反日」から脱する機会が生まれようとしている。

     

    韓国は、日韓融和の利益が韓国へ多くもたらされることを認識している。「反日」が、韓国に不利益をもたらしたからだ。このことを、文政権5年間の愚行で骨の髄まで叩き込まれたであろう。具体的には、日本が輸出面の手続きで、韓国を「ホワイト国」から除外したのがそれだ。韓国が、「親日国」でないと見限ったのである。

     

    大学生の就職先では、日本企業が人気を得ている。文政権は、それを快く思わず日本企業による単独の就職説明会の開催を認めず、アジア企業全体の開催の一つとして許可する嫌がらせもした。まさに、幼児レベルであった。これによる損害は、韓国の就活生が被った。その文政権がようやく幕を閉じたのだ。保守系政権に移ったメリットが、これから韓国に反映されるはずである。

     


    韓国の国民レベルで言えば、日中両国を比較した場合、どちらが韓国で不人気な国なのか。韓国世論で、圧倒的支持を得ている国が米国である。事実上、2位3位の国は存在しないほどだ。代わって「好ましくない国」では、北朝鮮・中国・日本の順序になっている。日本は嫌われ国で3番目である。文政権が、歴史問題を持ち出し謝罪と賠償を求めるムードが拡散された影響だ。学校教育でも、「反日」一本槍である。こうなれば、日本への好感度は上がるはずがない。

     

    だが、感情論は別としても経済・安保で日本の重要性がしっかりと認識されている。とりわけ、韓国経済界は日本との融和を強く望んでいる。経済界は決して、中国指向でないのだ。中国進出の韓国企業は、中国政府から何かに付けて虐められてきた。

     

    韓国の反日構造は、文政権が代わっただけで好転する可能性を持っている。日本の「嫌韓」も、突き詰めれば「文在寅」の振る舞いに反感を募らせていたはずである。その文政権が消えたのだから、日韓関係は振り出しに戻れる可能性もあるだろう。

     


    今回のロシアのウクライナ侵攻は、「中ロ枢軸」という印象を世界的に広めることになった。日本が安全保障上の仲間として、嫌いな韓国を入れないというのも一つの選択であろう。ただ、仮に韓国が「中朝ロ」によって攻め込まれる状況を想定すれば、日本にとっても憂慮すべき事態が起こる。韓国で発生する大量の難民は、隣国の日本が引き受けなければならないのだ。ウクライナの難民が、隣国ポーランドへ殺到したケースを見れば分るであろう。

     

    意味深の米韓共同声明を読む

    ここで、5月21日に発表された米韓首脳会談の共同声明の主要部分を見ておきたい。尹(ユン)政権がいかなる外交安保政策を持っているかが分るのだ。

     

    1)「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を認め、相互協力の強化に同意する。韓国独自のインド太平洋戦略枠組みを策定するという尹錫悦大統領の構想をバイデン大統領は支持する。「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を通じ、緊密に協力すると約束する。

     

    IPEFは、「経済と安保」を一体化する経済的な枠組である。韓国は、これまで「安全保障は米国、経済は中国」という外交政策であった。これについて、「バランス外交」と称し、米中対立のバランサーになると言ってきた。米中バランス外交の歴史は長い。2003年に発足した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代から米中バランス外交が唱えられ、その後の政権はすべてこれを踏襲した。中国経済の急成長時期と重なっている。


    GDP10位の韓国が、GDP1位と2位の米中対立を仲介できるはずがない。中国は、韓国の外交政策を上手く利用して、米韓同盟に軋轢が生じるように仕向けてきた。韓国は、それとも知らず中国に接近して北朝鮮の軍事暴走を食止めたいと努力した。その効果は、全くなかったのだ。核とミサイルの開発時間を与えた結果に終わった。(つづく)


     

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    思いもよらなかった円安で、国内物価が上昇している。日銀の消費者物価2%目標に届きそうだが、問題はそれを上回る賃上げ実現である。内需を拡大して賃上げを実現には、現在の円安を利用することだ。円安による輸出増が期待薄になっている以上、海外観光客を呼び戻せば、目的を達成できる。

     

    ただ、海外から持込まれるコロナ感染症への懸念がつきまとう。それは、無条件の受入でない。ワクチン接種3回以上と入国時の検査で陰性であれば、日本国内を自由に観光して貰う。このようにすれば良いわけで、すでに5月17日から実施している。

     

    『ロイター』(5月17日付)は、「インバウンド解禁、内需拡大と円安抑制の一石二鳥」と題するコラムを掲載した。筆者は、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏である。

     

    インバウンド(観光目的の外国人)全面解禁すれば、外国人は日本全国に散らばり、消費・投資をしてくれるだろう。拡張財政に依存した「GO TO政策」よりも、よほど健全に飲食・宿泊・旅行業界をバックアップする効果が見込めるであろうし、それ自体が地方活性化策にもなるはずだ。所得分配政策に関心を抱く岸田政権にとって悪い話ではないと思われる。

     

    (1)「インバウンド全面解禁に伴い最も期待されるのは、円安抑制と景気浮揚に関する効果であろう。この点は議論の余地がない。仮に円安による輸入物価上昇(それに伴う実質所得環境の悪化)を食い止めたいのならば、インバウンド全面解除に伴う旅行収支黒字の復活は王道である。国内生産拠点が失われ円安でも「財の輸出」が増えなくなった日本が、「サービスの輸出」である旅行収支(の受け取り)で外貨を稼ごうとする展開は誰しもが理解するところだろう」

     


    インバウンドの全面解禁(条件付き)になれば、円安抑制と内需刺激の効果が期待される。円安抑制とは、日本で外貨を円に交換するので円の需要が増えることだ。その円が、日本全国の旅行で使われるので、消費を刺激する。一銭も財政資金を使わずに、国内消費を促進できるのだ。

     

    (2)「通貨安には、当該国の競争力を相対的に改善させることで外貨獲得の機会が増えるというメリットがある。一方、輸入財の価格が上昇し購買力が低下するというデメリットがある。円安のメリットは鎖国政策で自ら打ち消し、そのデメリットだけが残る現状に対し「悪い円安」と呼ぶ世間の胸中も理解できる。日本の旅行収支黒字は2015年に約1.1兆円と暦年ベースでは初の黒字に転じ、その4年後の2019年には約2.7兆円と3倍弱まで膨らんでいる。当時の勢いを考えれば、パンデミックさえなければ過去最高の黒字を更新していたはずである。その点で2020年に東京五輪が通常開催されなかったことが悔やまれる」

     

    原則的に言えば、円安によって輸出が増えるというメリットがある。現状は、そうなっていないのだ。日本企業が生産基地を海外に移しており、現地で生産・販売するケースが増えている。日本企業の多国籍化が進んでいる結果である。こうなると、円安メリットよりもデメリット(国内物価上昇)が起こって、「悪い円安」という大合唱を招く背景である。

     


    この「悪い円安」を「良い円安」に変えるには、インバウンドを大量に受入れることだ。これによって、国内消費が刺激される。同時に、円安抑制(円需要の増加)が期待できるであろう。

     

    (3)「より具体的な数字を見よう。2021年の経常黒字は約15.5兆円とコロナ直前の5年平均(2014~2019)の約19.9兆円と比較すれば4~5兆円ほど下振れている。恐らく2022年はもっと小さくなる。下振れの原因は、貿易赤字の拡大である。実際に、円売りフローが増えたことを意味している。過去の実績を踏まえる限り、旅行収支黒字(2019年で約2.7兆円)はその貿易赤字により増えた円売りの小さくない部分を吸収するイメージになる。需給が円売り超過に傾斜していることが、円安相場の背景と言われている以上、一定の歯止めとしては期待できる」

     

    国際商品価格の上昇で、日本は貿易赤字に陥っている。4月の貿易収支が8392億円の赤字だった。原油をはじめとする資源価格の高騰で、輸入額は過去最高を更新した。貿易赤字は9カ月連続である。この貿易赤字を消すには、インバウンドによる旅行収支の黒字を増やすことである。貿易収支が赤字でも旅行収支で稼ぐ。そういう商魂逞しさを持たなければ駄目なのだ。

     


    (4)「円安抑止と同時に、景気浮揚効果も当然ながら期待できる。観光庁が発表した訪日外国人消費額は2019年時点で約4.8兆円と7年連続で過去最高を更新していた。実質実効ベースで半世紀ぶりの円安になっているということは、インバウンドにとってそれだけ日本の物価が「お得」に映っているはずなので、消費額はさらに増える可能性がある。パンデミックを経てインバウンドが日本で発揮する購買力は、アップしていることも加味したい。もちろん、そうしたインバウンド絡みの消費・投資だけで日本全体の雇用・賃金情勢ひいては物価情勢が押し上げられるほど大げさな話にはならないだろう」

     

    日本の観光価値は、他国にひけをとらない。治安・食べ物・サービス・景色など万全である。そろそろパンデミックから頭を切換え、前へ進むべき段階である。

     


    (6)「以上見るだけでも、インバウンド全面解禁には次のようなメリットがある。

    1)防疫政策の正常化

    2)分配の強化

    3)円安抑止と景気浮揚

    こういった3つのメリットが予測できる」

     

    1)防疫面では、マスク着用で一部緩和策が取られるが、国際水準に合わせるべきだ。

    2)インバウンド増加で消費が増えれば、地元経済が潤い末端所得が増える。

    3)インバウンド増加が、「悪い円安」を防ぐと同時に、景気に活気が出てくる。一銭の財政支出にも依存しない点が魅力的である。

     

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    韓国の「反日不買運動」が始まったのは、2019年の7月からだ。すでに、満3年近くなる。「2年も経てば鎮まる」という見方の通り、昨年から韓国の怒りは収まって「日本旅行」ムードが高まっている。

     

    京畿道(キョンギド)東豆川の旧米軍訓練場跡に作られた日本風の娯楽施設(飲食や宿泊)が、昨年9月にオープンして東豆川最大の人気場所になっている。多いときには週末一日に2000人近い人々が訪れる。そのほとんどが、20~30代の若者たちという。「日帰り日本旅行」というキャッチフレーズである。

     

    こうした日本への渇望が、現実化するタイミングとなった。日本入国規制が大幅に撤廃され、3回のコロナワクチン接種と入国時に陰性であれば、自由に日本を旅行できることになった。



    『中央日報』(5月19日付)は、「韓国で日本行き航空券の予約急増、隔離免除効果」と題する記事を掲載した。

     

    日本政府が韓国から日本への入国者に対する隔離措置をなくしたことで航空券予約が急増したことがわかった。

     

    (1)「日本外務省は、韓国から日本への入国者に対してこれまで適用していた3日間の指定施設での待機を17日午前0時からなくすと発表した。3回目のワクチン接種完了者は、日本到着後に検疫当局の検査で陰性判定を受ければ隔離を免除される」

     

    この17日から事実上、コロナ防疫条件をパスした人々の入国が可能になった。韓国新政権が、日本へ出した要望が即刻実現することになった。

     


    (2)「こうした話が伝えられると日本行き航空券の予約率と検索件数が最大5倍以上増加したことがわかった。あるオンライン旅行会社の16日の予約現況を見ると、1週間前と比較して関西行き航空券は400%、成田行き航空券は88%予約が増えた。旅行業界では今後ノービザ入国が認められれば、実質的な日本旅行需要が爆発すると予想している」

     

    1週間前と比較して関西行き航空券は400%、成田行き航空券は88%も予約が増えたという。韓国人の関西好きが反映している。今年の夏休みには、相当の韓国観光客が日本へ来そうだという。

     

    『中央日報』(21年12月23日付)は、「『2万ウォンで日本旅行』 韓国若者世代が集まるソウル郊外の奇妙な場所」と題する記事を掲載した。

     

    韓国で「日本旅行ごっこ」の人気がかなり高い。別名「東豆川(トンドゥチョン)日本村」と呼ばれている「ニジモリスタジオ」。京畿道(キョンギド)東豆川の旧米軍訓練場跡に作られた日本風のオープンセット場でありテーマパークだ。今年9月に一般公開して東豆川最大のホットプレイスに浮上した。

     

    (1)「多いときには週末一日に2000人近い人々が訪れる。そのほとんどが20~30代の若者たちだ。インスタグラムにも関連の掲示物が1万件を超える。「日帰り日本旅行」「2万ウォン(約2000円、入場料)内で海外旅行中」「車に乗って日本に来た」「東豆川で日本がなぜ出てくるの」「今日だけイエスジャパン」のようなさまざまなコメントと写真を見ることができる。セット場は東豆川七峰山(チルボンサン、506メートル)の麓にある。森で囲まれた湖を中心に、大小の日本伝統式木造建築が所狭しと集まっている。全体面積は3万183平方メートル(約1万2000坪)。30分あればすべて見て回ることができるほどの広さだが、あちこちに面白いものが多い」

     

    反日の韓国で、よくこうしたアミューズメント施設ができたものと感心する。採算見通しがあったからこそ、ビジネス化したのであろう。ということは、韓国国民の心底に日本を懐かしむ気持ちもあると思われる。

     

    (2)「内部は、どのような雰囲気だろうか。まず真っ赤な鳥居を通過すると、日本語の看板や日本式の提灯、祭壇、ポストなどに囲まれた通りが目の前に広がる。飲食店・本屋・カフェ・旅館・LPバー・雑貨ショップなどが列をなしているが、店員も日本風の衣装を来て客を迎えた。韓国語はほぼ目にすることはできなかった。通りにはクリスマスキャロルではなく、『となりのトトロ』『ハウルの動く城』のような日本アニメの音楽がずっと流れていた」

     

    「日本村」が、出来上がっている。20~30代の若者には、こういう日本の生活様式が再現され、興味を持っていると思われる。若者には、日本文化を拒否するのでなく、新鮮に映って「旅行気分」を味わえるに違いない。

     

    昨年、他の地区で「中国文化」紹介施設の建設案が持ち上がって、大変な反対運動が起こったケースがある。この計画は白紙撤回されたが、東豆川の「日本村」では反対運動は起こらなかったのか。

     

    (3)「ここで遊ぶ方法は簡単だ。衣装室で着物を借りて着て、日本商店街を散策し、祭壇や鳥居などを背景に写真を撮る。今月10日の氷点下8度という厳しい寒さにも、着物姿の旅行者を多数目撃した。商店街の衣装室には、華やかな色感の着物が一式用意されていた。着物や頭飾りをペアにした基本衣装セットを一日借りる費用が3万ウォンだった。鎧と呼ばれる防具衣装(一日10万ウォン)もあった」

     

    日本の着物を貸してくれるので、「日本人」になりきった気分になれるのか。あの「NO JAPAN」とは、異質の光景である。

     

    (4)「すし・ラーメン・うどん・串ものなどの飲食店の食べ物もすべて日本式だ。コンビニでは日本酒やラーメン、菓子などを販売している。旅館(宿泊施設)もあるが価格はかなり高い。一泊50万ウォン(約5万円)となっている。それさえも週末には空室を探すのは難しいという。天然温泉ではないが、12個の客室すべて畳とヒノキ浴槽で構成されていて、旅館風情を十分に感じることができる」

     

    一泊5万円の旅館で、畳とヒノキ風呂を楽しむ。これで、日本旅行をする気分になれるのだろう。食事はむろん、日本食の筈だ。仁川から福岡まで、空路で1時間半である。飛行機は最高の高度に達した後、間もなく着陸態勢にはいる。それほど,時間距離は短いのだ。

     

    (5)「このセット場は19禁(注:未成年者入場禁止)施設だ。本屋をはじめ、スタジオのあちこちで顔が赤くなるような本や小道具に出会う。「なぜ韓国にまで日本建物を?」「米軍供与地にやっと作ったのが日本建物とは」のように、インターネットには反日感情をあらわにする人々も依然と多い。ニジモリスタジオのチェ・スジャ代表は、「反日現象に対する恐れはあったが、実際に訪問客から抗議を受けたことはない」としながら「海外旅行に対する渇望がMZ世代をここに呼び込んだ」と語った」

     

    この施設がオープン後、反日の嫌がらせはないという。「反日不買運動」から2年も経てば(現在は3年目)、気持ちも収まったのであろう。

     

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