勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    テイカカズラ
       

    高市人気の秘密は、どこのあるのか。2カ所での選挙演説をすべてユーチューブで聴いた感想は、言葉に無駄がないことだ。聴衆を聞き飽きさせない「話術」は、歴代首相の中ではピカイチであろう。人気が出るのは自然な感じである。戦後の首相では、石橋湛山の演説も聞く者を引きつけた。夢を語り希望を持たせたからだ。高市人気の秘密は、この「希望」で聴衆に夢を与えているのかも知れない。若い層での人気がトップというのは、こういう背景であろう。

     

    高市人気が、そのまま選挙結果に現れると、自民党単独で過半数超えになる。このことから、連立の組み替え予想が出てきた。参院での過半数維持には、国民民主党を連立に引き入れることが必要という根拠である。さて、どうなるか。

     

    『毎日新聞 電子版』(2月6日付)は、「自民単独過半数なら『高市カラー』加速 連立組み替えも選択肢に」と題する記事を掲載した。

     

    毎日新聞が実施した衆院選(8日投開票)の終盤情勢調査では、自民党が単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢いとなっている。一方、立憲民主党と公明党が結成した新党・中道改革連合は大きく議席を減らす公算が大きい。選挙結果が今後の政権の行方を左右するが、想定される衆院選後の動きをシミュレーションした。

     

    (1)「国旗損壊罪を新設する刑法改正案やスパイ防止法案など与野党対決が想定される法案は、日本維新の会との連立政権合意に盛り込まれていたが、成立の見通しが立っていなかった。だが、自民党が単独で過半数を得て大勝した場合、高市早苗首相(自民総裁)はこうした保守色の強い肝いり政策を推進するとみられる。政権基盤が安定し、強気の政権運営ができるようになれば、維新の存在感が低下する可能性がある」

     

    自民党の過半数超えが実現すれば、強気の政権運営になるのは予想できる。それが、維新の存在感を低下させる。物理現象であろう。

     

    (2)「第2次高市内閣が発足すれば、まずは衆院解散で遅れている2026年度当初予算案の審議を急ぐことになる。予算軽視の「自己都合解散」との批判を避けるため、中道改革連合の枝野幸男氏が就いていた衆院予算委員長ポストを自民が奪還し、「スピード成立」を目指す。それでも、年度内成立は極めて困難だ。4月以降にずれ込めば、成立までの「つなぎ」として必要最小限の経費を計上する「暫定予算案」で対応することになる。予算審議後には、インテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔機能を担う「国家情報局」の設置など「高市カラー」の強い法案の審議が本格化するとみられる。1月段階では政府提出法案のリストで、旧姓の通称使用の法制化法案や、旧宮家出身の男系男子が養子として皇室に入る案を「第一優先」とする皇室典範改正案は「検討中」とされた。選挙結果を「民意」として、法案提出の動きが加速する可能性がある」

     

    保守色の強い法案が、提出されるという。「国家情報局」は、日本がスパイの巣になっている現状を放置するかどうかという視点の問題だ。国家情報局は、戦時中のイメージが暗すぎることからくる反対論もあるであろう。

     

    (3)「日本の国旗を損壊したり汚したりした場合に刑事罰を科す国旗損壊罪の新設は、衆院選の第一声で訴えた。首相は1月27日、東京・秋葉原の街頭演説で、刑法改正案を審議する衆院法務委員長ポストを「最も反対しそうな党(中道)」に握られており、法案提出は「今年の国会では諦めざるを得なかった」と悔しさをにじませた。衆院選で与党の議席数が、委員長ポストを与党が独占できる安定多数(243議席)、さらに全委員会で過半数を得られる絶対安定多数(261議席)を超えれば、法改正の動きが加速する見通しだ」

     

    国旗損壊罪の新設は、どこの国でも行っていることであろう。国旗を大切にすることは、日本人として自然の行為であろう。外国人も同様である。

     

    (4)「政権内にも慎重論があったスパイ防止法も、検討が進むとみられる。また、首相が「悲願」と言及した飲食料品の「2年間消費税ゼロ」について、首相がどこまで実現に向けた動きを具体化するかも焦点となる。一方、参院では与党が過半数に満たない「衆参ねじれ」の状況が続くため、法案成立には野党との連携が必要となる。もっとも、衆院選で与党が3分の2(310議席)を超えた場合、参院で法案を否決されても、衆院で再可決して成立させることが可能となる。参院で野党の賛同が得られない場合でも、与党が衆院で強引に「数の力」で押し切ることもできる」

     

    2年間消費税ゼロは、財政政策上も止めた方が無難である。低所得者保護という理由だが、富裕者はこれによって大きな利益を得る点で、不平等拡大になる。それよりも、物価引下げ策のほうがどれだけ有益かである。

     

    (5)「自民が政権の足場を固めれば、維新が「連立の絶対条件」としてきた衆院議員定数の削減や、首都機能のバックアップを図る「副首都構想」は実現の機運が弱まる可能性がある。定数削減は昨秋の臨時国会で法案審議に入れず、さらに結論が先送りされれば、維新内で連立離脱論が再燃しかねない。ただし、与党が少数の参院で国民民主会派(25議席)の協力が得られれば、自民会派の101議席と合わせて過半数(125議席)に届く。衆院で自民が多数を確保すれば、連立の組み替えも選択肢に浮上する。組み替えに至らなくとも、自民が政策ごとに維新と国民民主をてんびんにかけ、取り込みを図る戦略を取ることも想定される」

     

    国会の定数削減問題は、自民党が絶対多数を握れば猛反対が出るだろう。幅広い民意を聞くという視点から言えば、本筋論から外れている。少数意見を反映した「少数政党」も必要であるからだ。それが、国民の政治への関心を高める手段になる。

     

     

     

     

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    8日の衆院選は、自民党が圧勝する勢いである。日本初の女性首相という「新鮮さ」も加わり、特に働く女性からの支持が圧倒的という。高市氏が出席する集会は、どこでも超満員だ。高市氏は、握手攻めになって指を痛めたと報じられているが、それほど高い人気を得ている。問題は、「積極的財政政策」が円安の引き金にならないかという、懸念である。そうなると、せっかくの「高市人気」が萎んで批判の対象になる。選挙後の経済政策によって、長期政権かどうかが決まるであろう。

     

    『ロイター』(2月6日付)は、「高市首相人気の要因と課題 選挙後に待つ『ジレンマ』」と題する記事を掲載した。

     

    高市早苗首相(自民党総裁)が8日投開票の衆議院選で大勝する公算が高まっている。報道各社は終盤情勢調査で自民の勢いが維持され、議席を大きく積み増す見通しだと伝えた。一昨年から大型選挙で連敗を喫してきた自民が支持を急回復している最大の要因は高市氏の人気によるものと言えそうだ。複数の関係者への取材から、高市氏が有権者に受け入れられる要因と今後の課題を探った。

     

    (1)「衆院選が公示された1月27日、東京都のJR秋葉原駅前でマイクを握った高市氏の第一声は、「日本列島を強く豊かに」から始まった。奈良県のサラリーマン家庭で育ったこと、地盤や知名度もない中で32年前に国政に打って出たこと、3回目の挑戦でようやく首相の座をつかんだことなど、演説は自身の生い立ちをたどるように続く。歴代首相の訴えに比べれば、個人的な内容が前面に出過ぎていると感じられるかもしれない。

    そこから高市氏は政策を畳みかける。「責任ある積極財政の肝は危機管理投資と成長投資だ」と口火を切り、「完全閉鎖型の植物工場」「次世代革新炉」「フュージョン(核融合)エネルギー」「サイバーセキュリティー」「特定の国に頼らないサプライチェーン(供給網)の構築」など、規模の大小を問わず具体策を列挙した。一国の首相の演説にしては各論に入り過ぎているとも見られかねない」

     

    現場で、高市氏の演説が聞こえるような感じだ。

     

    (2)「ただ、この演説に聴衆は熱狂した。「挑戦しない国に未来はありません」「皆様と一緒に未来をつくります。どうか力を貸してください。一緒に戦ってください」。高市氏が叫ぶと、演説会場は拍手に包まれた。「前回の衆院選と聴衆の反応が全然違う」と声を弾ませた候補者もいた。高市氏の政策に精通する政権幹部の一人は、「演説ではストーリーを伝えることを非常に重視している」と明かす。自身の政治家としての原点や抱いた問題意識を紹介した上で、自らの政策を実現するため挑戦を重ねて首相になり、議会で多数を獲得するため党幹部にも相談せず解散総選挙に打って出た「強い思い」につなげる。このストーリーが高市氏の演説に一貫して裏打ちされている。わかりやすいストーリーと、将来への希望を抱かせる言い回しが有権者に響いているという」

     

    高石市は、聴衆の反応を得るツボを心得ている。元ニュースキャスターの経験が生きているのであろう。

     

    (3)「ソーシャルメディア(SNS)での発信も力の源泉の一つになっているようだ。高市氏によるXでの配信の特徴は、その文面の長さにある。候補者の応援演説を紹介する投稿にも、細かい政策を長文で書き加える。最初は文章が長すぎて本当に読まれるのかと思ったが、これが若者を中心に響いている」と、前出の政権幹部は手ごたえをつかむ。政治家本人による発信に重きが置かれる時代背景もあり、「有権者はテレビや新聞ではなくSNSで情報を得る。国民民主党の玉木雄一郎代表も自身で政策を発信して支持を拡大した。高市氏も同じ手法だ」と指摘する」

     

    SNSで、若者の心を掴んでいる。新しい時代の選挙戦術を身につけている。

     

    (4)「実際、NHKの年代別政党支持率でも自民は全世代で1位を獲得し、1829歳の31.8%、30代の32.5%が支持している。こうした若者層はこれまで国民民主や参政党を支持していた層とも重なる。政府関係者は「高市氏が自身を前面に出し『私でいいのかを決める選挙』にしたことで自民党から離れた保守層と現役世代を中心とした無党派層の支持が一気に集まった」と解説した」

     

    高市氏は、自民党から離れた人たちを引き戻している。多党化といわれ始めた世評を覆している。

     

    (5)「ただ、高市氏の本当の戦いはむしろ選挙後に始まるのかもしれない。自民が大勝すれば高市氏が掲げる政策への期待感はより高まることになる。実際、高市氏が消費減税を選挙公約に掲げたことをきっかけに、財政見通しへの懸念から円安・債券安が続いている。こうした地合いが長期化し、物価高や金利上昇による生活への悪影響がさらに深刻化すれば、有権者の熱狂に冷や水を浴びせかねない」

     

    金融市場が、積極的財政政策をどう評価するかがポイントである。円安へシフトすれば、物価高へ拍車を掛けるからだ。

     

    (6)「自民にとっては、「高市人気」を背景に選挙で大勝することは吉報だろう。ただ、政策実現への期待が高まれば高まるほど、高市氏は市場と米国のプレッシャーをより強く受けることになる、と前出の政府関係者は語った。「選挙後、高市氏は壮大なジレンマと戦うことになるだろう」と危惧する」

     

    このまま円安が進めば、米国との間で摩擦が起る。高市氏は、米国との関係も目配りせざるをえなくなろう。高市氏の鬼門は、金融市場にありそうだ。

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    中国は、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は、見いだせるのか。2月8日の衆院選では、自民党「大勝」の予測が増えている。この予測通になれば、中国の経済的威圧は緩むのか。中国は、日中の経済力からみて自国が断然有利であり、「日本威圧」政策を変えないという。傲慢姿勢の継続である。

     

    レアアースをめぐっては、状況が着々と変ってきた。米国の主導する重要鉱物「特恵貿易圏」構想が軌道に乗ると、日本が化学的精錬法を発展途上国へ供与することで、レアアース生産が増えるからだ。このレアアースが、関税無税・最低価格維持である特恵貿易圏へ出荷されて、対中国取引からシフトすることになる。中国は、こうして需要先を失うと同時に市場操作効果が減殺される。結果として、西側諸国はレアアース不足と価格変動に悩まされることから開放されることになろう。要するに、中国のレアアース世界市場支配力が大きく後退するのだ。中国は、こういう日米合体の戦略が進んでいることを知らずに「太平楽」を口にしている。

     

    『毎日新聞 電信版』(2月5日付)は、「日本の『大ばくち』注視する中国 長期戦でも国力差と国際情勢に自信」と題する記事を掲載した。

     

    台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国は強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は見いだせるのか。

     

    (1)「中国外務省の報道官は127日の記者会見で、「日本側の言動は『再軍備化』を推進し、戦後秩序に挑戦しようとする右翼勢力の野心を再度さらけ出すものだ」。前日の民放番組での首相発言を念頭にこう述べた。習近平指導部は、訪日旅行やレアアース(希土類)を武器とする経済的威圧で日本世論を揺さぶり、高市首相を追い詰めようとしてきた。しかし、総選挙で自民党が大勝すれば、強硬姿勢が結果として「裏目」に出ることになりかねない」

     

    中国は、日本が軍備を持たないことを理想的な「平和主義」とみている。中国が、日本を威嚇し放題になるからだ。だが、自衛権は国家固有の権利である。日本は、中国の言いなりになるわけにはいかないのだ。

     

    (2)「中国国内の報道ぶりは、「高市首相の支持率急落」「台湾問題で再び妄言」などと、高市政権の敗北を期待するかのような否定的内容が目立つ。公明党と立憲民主党が結成した新党「中道改革連合」についても、新華社通信は「両党が手を結び、高市政権を『苦境』に追い込めるか」と題する記事を配信した。一方、専門家の間では、高市首相の高い支持率や日本の厳しい対中世論という現実を直視すべきだとする声も上がる」

     

    日本の国民世論が、何を選択するか。中国は、その帰趨に従うべきだろう。

     

    (3)「中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の項昊宇・特任研究員は、中国メディアの取材に「どのような選挙結果であろうと、短期的に日本の対中政策に大きな変化は起こりえない。我々は高い警戒心を保たなければならない」と分析した。ベテラン記者による時事評論コラム「牛弾琴」は、「(高市政権の)惨敗が喜ばしいが、率直に言えばその可能性は最も低い。我々は現実離れした幻想を抱いてはならない」と指摘。そのうえで「例え我々が嫌いでも、日本人の高市支持は高い。それが意味するのは、長期的な闘争になるということだ。我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と強調した」

     

    中国時事評論では、「我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と粋がっている。ならばお尋ねする。最近の、人民解放軍の粛清騒ぎは何を意味するかだ。歴史的に言えば、粛清は、政治的混乱の表れである。清朝末期もそうだった。中国内部は今、腐敗が急速に進行しているのだ。これも、「凶兆」の一つである。

     

    (4)「かつて習指導部は、高市首相と政治信条が近い安倍晋三政権との間で関係改善を果たしたが、その過程には数年を要した。中国からすれば、日中関係の冷え込みが国内経済に悪影響を及ぼす事態は望ましくない。ただ、長期戦になれば、国力で圧倒する自国に有利との計算があるようだ。今や国内総生産(GDP)は日本の約5倍に達し、巨大市場や重要な供給網も掌握している」

     

    日中対立が長期戦になれば、いまの経済威圧の継続であろう。さらに強化すれば、日本も輸出規制で対抗するほかない。これはGDP規模の問題ではなく、日本が中国の必需品を握っていることだ。高速鉄道のベアリングや半導体素材である。

     

    (5)「中国にとっては、最大のライバルである米国と「休戦」に持ち込んでいることが何より大きい。4月の訪中を成功させたいトランプ氏は、習氏を刺激する言動を避けている。米国防総省が1月に公表した国家防衛戦略(NDS)は「台湾」に直接言及しなかった。トランプ政権が対中取引(ディール)に前のめりになり、主要な先進国が「中国詣で」をする状況は、習指導部に外交的余裕を生んでいる。日中関係筋は「日本以外の西側との関係が安定しているだけに、日本との関係を動かす必要性を感じていないのではないか」と警戒心を示した」

     

    米中「休戦」は、表面的なことだ。米国は、着々と中国勢力駆逐策を取っている。米国の対中戦略の「凄さ」は、黙って実行していることだ。他国との間では「舌戦」を展開しているが、「口先」だけである。収まる所へ収まっている。舌戦は国内向けの政治ショーである。対中政策だけは全く異なる。沈黙を守りつつ要所、要所を締付けている。ベネズエラ急襲は、中国への見せしめである。台湾侵攻作戦をすれば、こうなるという事例である。


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    半導体世界最大手のTSMCは5日、熊本県内の第2工場で人工知能(AI)向けの半導体生産を検討すると表明した。従来の計画を変更し、回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先端品をつくる。世界で争奪戦となっているAI半導体の国内安定供給へつながる見通しだ。一方、台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCが、地政学的配慮をした結果であろう。

     

    『ブルームバーグ』(2月5日付)は、「TSMCが熊本での3ナノ半導体生産計画前倒し、2028年まで-関係者」と題する記事を掲載した。

     

    TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が5日、都内での高市早苗首相との面談で直接伝えた。魏会長は、「日本政府の揺るぎない支援に感謝」するとした上で、「この工場は地域経済の成長にさらに貢献し、最も重要なこととして日本のAI(人工知能)ビジネスの基盤を形成するものと確信している」と述べた。

     

    (1)「高市首相は、TSMCの熊本工場は大きな経済効果を生んでいて3ナノ生産は経済安全保障の観点からも大きな意味があるとし、「ウィンウィンの連携を一層強化していきたい」と話した。赤沢亮正経済産業相は同日午後記者団に対し、3ナノ半導体はAIロボティクスなどに使われ、AIの社会実装を進める高市内閣の戦略に「完全に合致するものだ」と述べた」

     

    TSMCが、建設中の熊本第2工場で3ナノという最先端半導体生産へ切替えることで、日本経済にもプラスだ。今後、AIロボティクスなど「フィジカルAI」需要が増える見通しにだけに合致している。

     

    (2)「TSMCは、熊本県内で建設する第2工場で、現時点で可能な最先端半導体技術を導入すると決めたと、関係者らが明らかにした。当初は27年末までに7ナノ半導体の生産を計画していたが技術レベルが引き上げられたという。ただ関係者によれば、日本での計画は協議の初期段階にあり、変更の可能性もあるという。TSMCの日本における生産増強は、高市首相が推進する国内での半導体製造能力強化構想を後押しする見込みだ。高市首相はこれまでの政権からの政策を継承し、経済産業省は来年度予算で先端半導体やAIへの支援額を約1兆2300億円と、現在の約4倍に増額する方針だ」

    TSMCの日本における生産増強は、国内での半導体製造能力強化構想を後押しする。米国のTSMC工場は、4ナノ生産を始めており2ナノ生産計画を推進中だ。日本で3ナノを生産することは、TSMCの長期戦略によるものであろう。

     

    (3)「米調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、熊本第2工場で元々計画されていた7ナノなどはTSMCにとってはもう市場が見込めない製品となった一方、AI関係で想定より早く3ナノや2ナノといった最先端品に需要がシフトしており、「台湾有事のリスクが高まっている環境もあり、決断したと思われる」とコメントした。さらに最先端工場が近くにできるというのは装置メーカーや部材会社を含む日本の半導体業界にとって、「間違いなくプラス」とした上で、今後3ナノを超える先端品を日本で生産する流れにつながる可能性もあるとも述べた」

     

    TSMCは、中国の台湾統一への強硬姿勢から地政学的配慮をして、ユーザーへの安心感を与える必要もある。その点で、日本であれば安心できる。

     

    (4)「台湾当局とTSMCは、最先端の半導体について台湾内での開発・維持を掲げている。台湾内で土地や電力供給の問題が深刻化している中で、より成熟した世代の製品については海外で生産能力を増強する動きを進めている。こうした動きは中国が自国領土と主張し、将来的な併合も視野に入れている台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCによる熊本での3ナノ半導体量産の設備投資の規模は170億ドル(約2兆6000億円)に増やす計画」

     

    台湾での半導体生産は、土地や電力供給でしだいに限界をみせつつある。日本は、そういう制約条件がないので将来、第4工場まで建設計画が取り沙汰されている。

     

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    最先端半導体の国産化を目指すラピダスが、民間からの出資額が2025年度の計画を上回る1600億円超となる見込みとなった。ソフトバンクとソニーグループが、それぞれ210億円を出資して最大の株主となる。米IBMも、米当局の審査を経て出資する。政府は、2.9兆円の支援を決めたが、企業の間でも日本の半導体産業の復権を支援する機運が高まっている。これまで、大手メディアを中心に「ラピダス失敗論」が流布されたが、ようやく「認知される」形になった。

     

    『日本経済新聞』(2月5日付)は、「ラピダスへの民間出資、想定上回る1600億円超に 米IBMも検討」と題する記事を掲載した。

     

    株主は現在の8社から30社以上に増える。企業の多くは1月末までにラピダスと合意し年度内に出資を完了する。2月中にラピダスが取りまとめて公表する。25年度は民間から1300億円規模を調達する計画だった。それが計画を上回って1600億円へ拡大した。企業別では富士通も200億円を出資する。既存株主のNTTは100億円、トヨタ自動車は40億円を追加出資する。

     

    (1)「民間最大の株主となるソフトバンクは、24年末に高性能メモリーを開発する新会社「SAIMEMORY(サイメモリ)」を設立した。将来的には、ラピダスで製造した人工知能(AI)半導体にサイメモリのメモリーを搭載することも想定している。NTTは次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を開発している。IOWNの電気信号を光に置き換える技術を半導体の内部に搭載すれば、消費電力を大幅に抑えられる」

     

    ソフトバンクやNTTは、ラピダスで半導体製造を委託する意向である。株主として詳細な技術情報を得ての決定であろう。

     

    (2)「IBMは、ラピダスに出資する初の外国企業となる見通しだ。IBMは、ラピダスに技術を供与している。資本面でも支援することで確実な量産につなげ、半導体の受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)への依存を下げる狙いもあるとみられる。ラピダスは31年度までに7兆円超の資金が必要と試算しており、このうち民間出資は1兆円規模を目指している」

     

    IBMは、ラピダスへ2ナノ技術を提供した関係で出資する。自社技術が製品化される以上、出資は自然な流れであろう。

     

    (3)「資本調達額が想定より増えたのは、ラピダスが技術的な成果を示してきたことが大きい。25年7月には回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)の半導体素子の動作を初めて確認し、12月にはAI半導体を効率良くつなぐための配線層を試作し公表した。主要企業との交渉では、経済産業省の担当者が同席するなどして説得にあたった。最先端半導体を直接必要としない企業でも「国家事業に協力しないわけにはいかない」(出資企業の幹部)との意識が働いたようだ。政府は、2ナノの最先端半導体の国産化を経済安全保障上の重要なマイルストーンと位置づける。ラピダスは、官民から調達した資金で27年度に北海道の工場で目指す2ナノ品の量産に備える」

     

    資本調達額が想定より増えたのは、ラピダスの技術が確実に進んでいる結果だ。製品もできていない企業への出資には抵抗もあったが、ようやく納得が得られたのであろう。

     

    (4)「今回の各社の出資額は、最大が200億円規模なのに対し、最も少ない企業は5億円程度だ。半導体メモリーを手掛けるキオクシアは、追加出資額を10億円にとどめる。同じく設立直後から出資するNECも追加出資を10億円以下としたもようだ。ラピダスは、これまで政府が特別待遇で支援したことで、会社設立から3年足らずで試作にこぎつけた。社員数は25年末までに1000人を超えた。ただ、量産に向けては生産規模の拡大や歩留まり(良品率)改善、顧客開拓など越えるべきハードルは多い。民間からの出資の目標とする1兆円にはまだ遠く、今後も着実に成果を見せていく必要がある」

     

    未だ製品が出ていない企業への出資であるから、懸念を言い出せばいくらでもあろう。だが、経済安全保障やフィジカルAIの切り札として大きな期待が掛っている企業だ。暖かい目で支援する度量も必要だろう。 

     

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