韓国は、CPTTP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)との貿易額が、米中との貿易額を上回っていることから、正式加盟問題が議論されている。だが、CPTTP加盟にあたっては、全加盟国の承認が必要であり、最大の関門は日本だ。韓国は、福島原発による被害を「汚水」と呼んで、中国と共に最後まで放水に反対した国だ。CPTTP加盟では当然、福島問題を解決して、福島産水産物の輸入を認めなければならない。メンツ上、これができるのか。大きなハードルである。
『中央日報』(9月1日付)は、「韓国、CPTPPとの貿易額米中より多い…『供給網のために加盟急がねば』」と題する記事を掲載した。
世界的に供給網が再編され多国間貿易体制が弱まる中で、韓国が包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を急ぐべきという内外の通商専門家からの提言が出てきた。韓国対外経済政策研究院(KIEP)と韓国経済人協会が開催した国際セミナーでだ。
(1)「基調演説を務めた米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショート上級研究委員は「昨年韓国とCPTPP加盟国間の貿易額は約3410億ドルで、全商品貿易の25%を占め、中国(2730億ドル、20%)と米国(1960億ドル、15%)を超えた」と指摘した。加盟を先送りするほど貿易競争力低下と通商規範からの疎外は避けられないというのが彼の指摘だ」
TPPは、新たにコスタリカの加盟が決定した。さらに、インドネシア、フィリピン、UAE(アラブ首長国連邦)も加盟交渉が始まっている。日本が、常設事務局に名乗り上げる準備が始まっているように、日本は加盟国を増やす方針である。韓国は、早く加盟したいところであろう。
(2)「彼は、「韓国は12の加盟国のうち10カ国と個別のFTAを結んでいるが、規律範囲がまちまちで、日本とメキシコとは協定がない。重要鉱物や機械類など供給網リスクの緩和と、データ、労働、環境など世界的通商規範主導に向け包括的な枠組みが必要だ」と強調した。ハインリッヒ財団のデボラ・エルムズ貿易政策総括も、「世界化の終末というよりは地域化・分離化された形に転換される時期。韓国のような中堅通商国は特定強大国に便乗するよりCPTPPのような既存の多国間の枠組みを活用する『選択的パートナーシップ』が最も現実的なルート」と診断した」
韓国は、農水産物の競争力が低いとされている。それが、福島問題を誇張して取り上げ、日本水産物輸入禁止へ持ち込んだ。だが、感情論を強く押し出した結果、今や収拾ができなくなっている。感情論を「正論」に偽装したので、「あれは間違っていたので撤回します」とは言えない弱みを抱えている。
(3)「韓国政府も2021年から約5年ぶりに加盟議論を本格化している。ただ実際の加盟までは超えるべき問題が多い。CPTPP加盟に向けては既存の加盟国12カ国すべての同意が必須だが、日本が福島産水産物の輸入再開を前提条件として要求する可能性が議論されている」
韓国は、「福島問題というメンツを捨てるか、CPTTP加盟国になるか」の選択を迫られている。韓国が、CPTPPに加盟しない場合の経済シナリオは,次のようなものが想定される。様子見は「機会損失」の始まりとなる。CPTPP域内でのルールや原産地累積の恩恵を受けられず、日本・ASEAN・中南米との連結が弱いままになろう。日本は、重要鉱物取引を機縁にASEANや中南米との関係を深めるので、投資・資本ファンドは「日本・インド・豪州」優先を強め、韓国は「サブの選択肢」扱いになろう。福島問題が国内世論の象徴となり、政権は「加盟議論を先送り」して時間だけが過ぎる。
韓国が、CPTPPに入れない場合、韓国は「東アジアの中堅国」から、 日本中心の供給線の「外側にいる国」へと構造的に後退するリスクが高まる。CPTPPが、それだけ大きな力を持つようになるからだ。




