勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    テイカカズラ
       

    韓国は、CPTTP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)との貿易額が、米中との貿易額を上回っていることから、正式加盟問題が議論されている。だが、CPTTP加盟にあたっては、全加盟国の承認が必要であり、最大の関門は日本だ。韓国は、福島原発による被害を「汚水」と呼んで、中国と共に最後まで放水に反対した国だ。CPTTP加盟では当然、福島問題を解決して、福島産水産物の輸入を認めなければならない。メンツ上、これができるのか。大きなハードルである。

     

    『中央日報』(9月1日付)は、「韓国、CPTPPとの貿易額米中より多い『供給網のために加盟急がねば』」と題する記事を掲載した。

     

    世界的に供給網が再編され多国間貿易体制が弱まる中で、韓国が包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を急ぐべきという内外の通商専門家からの提言が出てきた。韓国対外経済政策研究院(KIEP)と韓国経済人協会が開催した国際セミナーでだ。


    (1)「基調演説を務めた米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショート上級研究委員は「昨年韓国とCPTPP加盟国間の貿易額は約3410億ドルで、全商品貿易の25%を占め、中国(2730億ドル、20%)と米国(1960億ドル、15%)を超えた」と指摘した。加盟を先送りするほど貿易競争力低下と通商規範からの疎外は避けられないというのが彼の指摘だ」

     

    TPPは、新たにコスタリカの加盟が決定した。さらに、インドネシア、フィリピン、UAE(アラブ首長国連邦)も加盟交渉が始まっている。日本が、常設事務局に名乗り上げる準備が始まっているように、日本は加盟国を増やす方針である。韓国は、早く加盟したいところであろう。

     

    (2)「彼は、「韓国は12の加盟国のうち10カ国と個別のFTAを結んでいるが、規律範囲がまちまちで、日本とメキシコとは協定がない。重要鉱物や機械類など供給網リスクの緩和と、データ、労働、環境など世界的通商規範主導に向け包括的な枠組みが必要だ」と強調した。ハインリッヒ財団のデボラ・エルムズ貿易政策総括も、「世界化の終末というよりは地域化・分離化された形に転換される時期。韓国のような中堅通商国は特定強大国に便乗するよりCPTPPのような既存の多国間の枠組みを活用する『選択的パートナーシップ』が最も現実的なルート」と診断した」

     

    韓国は、農水産物の競争力が低いとされている。それが、福島問題を誇張して取り上げ、日本水産物輸入禁止へ持ち込んだ。だが、感情論を強く押し出した結果、今や収拾ができなくなっている。感情論を「正論」に偽装したので、「あれは間違っていたので撤回します」とは言えない弱みを抱えている。

     

    (3)「韓国政府も2021年から約5年ぶりに加盟議論を本格化している。ただ実際の加盟までは超えるべき問題が多い。CPTPP加盟に向けては既存の加盟国12カ国すべての同意が必須だが、日本が福島産水産物の輸入再開を前提条件として要求する可能性が議論されている」


    韓国は、「福島問題というメンツを捨てるか、CPTTP加盟国になるか」の選択を迫られている。韓国が、CPTPPに加盟しない場合の経済シナリオは,次のようなものが想定される。様子見は「機会損失」の始まりとなる。CPTPP域内でのルールや原産地累積の恩恵を受けられず、日本・ASEAN・中南米との連結が弱いままになろう。日本は、重要鉱物取引を機縁にASEANや中南米との関係を深めるので、投資・資本ファンドは「日本・インド・豪州」優先を強め、韓国は「サブの選択肢」扱いになろう。福島問題が国内世論の象徴となり、政権は「加盟議論を先送り」して時間だけが過ぎる。

     

    韓国が、CPTPPに入れない場合、韓国は「東アジアの中堅国」から、 日本中心の供給線の「外側にいる国」へと構造的に後退するリスクが高まる。CPTPPが、それだけ大きな力を持つようになるからだ。

     

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    中国ではSNS上で時ならぬ、「対日貿易勝利論」で盛り上がっているという。2000年から現在に至るまで、日本の貿易全体に占める対中貿易割合が、10%から20%へ上昇して日本が中国依存度を深めているとしている。基準年の2000年は、中国がWTO(世界貿易機関)へ加盟した年だ。このゼロ同然の年を尺度に使っている。日本の対中貿易依存度が高まるのはごく自然なことだ。

     

    一方、この間の中国における対日貿易依存度は、17.5%から現在では5%に低下している。この結果、中国は日本への依存度が下がったので、日本が危険な状態だと結論づけ、ネット民は大喝采しているのだ。これは、中国が、国内で代替生産して結果である。それでも、5%は日本から輸入しなければならい製品である。例えば、半導体の素材である。日本が供給ストップすれば、中国の半導体生産が止るのだ。高速鉄道車両のベアリングも不可欠である。5%は、中国の「死命」を制する物ばかりだ。

     

    日本が、中国から輸入している物は、国内で生産するより「安価」であるからだ。レアアースも中国からの輸入から他国へ切替えたり、国内のリサイクルや精錬でカバーしている。仮に、日中が「真剣勝負」に出て日本が対中輸出をすべて止めたら、中国半導体は「即死状態」になる。貿易の問題は、量でなく質が勝負なのだ。ネット民は、こういう理窟が分からないのであろう。

     

    中国ネット民は、日中貿易構造など知る由もない。だから、ブロガーによって簡単に扇動されている。この状態は、ちょうど100年前、魯迅が書いた小説である『阿Q正伝』を彷彿とさせる。事情を知らない阿Qが、「精神的勝利」を唱えるのと寸分違わない状況である。中国の若者は、こういう「阿Q二世」と大学(短大を含む)卒で知識を治めた層の二つに分かれている。後者の人達が、リピーターになって日本を頻繁に訪れているグループである。

     

    『レコードチャイナ』(9月1日付)は、「日中貿易データから『日本は危険な状況』と指摘=中国ネット『日本の製造業が崩壊すれば』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「SNS『微博』(ウェイボー)で120万超のフォロワーを持つブロガーは8月30日、「日本側から見ると、2000年から現在に至るまで、貿易全体に占める対中貿易の割合は10%から上昇を続けて20%にまで達している。日中関係はあまり良くないものの、日本の対外貿易において中国は存在感を高め続けており、日本にとって最大の貿易相手国となっている」と指摘した。一方で、「中国側から見ると、日本との貿易額が中国の貿易全体に占める割合は(2000年の)17.5%から低下を続けて(現在では)5%にまで落ち込んでいる。また、ASEANの貿易に占める日本の割合も下落している」とし、「これだけを見ても、日本が現在どれほど危険な状況に置かれているのかが分かる」と論じた」

     

    ASEANは、日本企業が現地生産に切替えているから、日本からの輸出はそれだけ減少している。ただ、それだけの話だ。

     

    (2)「この投稿に、中国のネットユーザーからは「これは先日訪中した日本の超党派議員団のメンバーも言っていた。『今は日本にとって中国は重要だが、中国にとって日本はそれほど重要ではない』ってね」「さらに恐ろしいのは、この傾向には止まる兆しが見られないこと。日本人は本当に自分をだますのが得意だとしか言いようがない」「以前は苦しかった。中国の貿易が拡大すればするほど、日本のサプライヤーから購入する部品も増えていた。しかし今は国産代替が進んでいる」といった声が上がった」

     

    日本の対中輸出が減ったのは、中国が強引に日本企業へ技術開示させて「内製化」して面も大きい。改革開放後、日本技術が移植されたことを忘れているのだ。

     

    (3)「また、「日中関係は悪いが日本企業はなお、中国市場に投資をしている」「円が暴落し、ホルムズ海峡の封鎖によってエネルギー危機が生じ、貿易や輸出も全面的に低迷・縮小。こうした重圧が日本を息もできないほど苦しめている。ただ、私は喜んでそれを見ているけどね」「日本の製造業が崩壊すれば、残るのは木材の販売とサービス業くらい。しかし、少子化がこれほど深刻な状況では、将来的にはサービス業も東南アジアに負けるだろう」といったコメントも寄せられた」だ。

     

    100年前の阿Qが言いそうな発言が、オンパレードである。いわゆる、「精神的勝利法」という中国人独特の振る舞いだ。これが、中国大衆の素顔である。

     

    (4)「このほか、「中国のさまざまな産業チェーンが高度化するにつれ、世界のその他の工業国は中国企業との直接的な競争に直面している」「日本の貿易の主要相手国はすでに米国に変わりつつある。企業の利益も完全に米国頼み」「日本が没落すればASEANのシェアもわれわれが食える」「問題は(量ではなく)中国が日本から買っているものの代替が可能なのかということ」といった意見も見られた」

     

    中国は現在、深刻な外貨事情の悪化に悩んでいる。中国企業が、輸入に当たって開設する「信用状」(LC)は、海外の金融機関から引き受けを忌避されている。これは、表面的な外貨準備高でなく、中国が自由に使える「実質外貨」が、対名目GDP比で5%を割っているからだ。この事態は、24年末か25年初めに陥っておりその後、改善されないままである。最近、中国の原油輸入量が急減した理由は、海外金融機関からLC開設が認められなかった結果である。こういう重大事態を知らずに、ネット民ははしゃいでいる。「火口のダンス」に等しい振る舞いである。「阿Q二世」は、今も後を絶たないのだ。

     

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    日本政府は、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の常設事務局を誘致する方針である。11月の関係閣僚会合をにらんで提起する構えだ。加盟申請が相次ぐ状況で、日本が主導して審査を円滑にし、枠組みの拡大をめざすもの。日本の常設事務局案が力である理由は、次の点にある。

     

    CPTPPの「事実上の議長国」は日本である。英国加盟を主導したことや、新規加盟審査の枠組みを設計したのも日本である。こういう事情で、ASEAN諸国からの信頼が厚い結果である。裏で、非加盟国の米国が日本主導を支持していることもある。米同盟国が多数、CPTPPへ加盟しているので、米国はいつか自らも加盟時期が来るという「可能性」を残しておきたいのであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月31日付)は、「日本にCPTPP常設事務局、政府提案へ 枠組み拡大の主導狙う」と題する記事を掲載した。

     

    CPTPPの加盟12カ国は、11月にベトナムで関係閣僚会合を開く。早ければ常設事務局の設置やその役割を決める可能性がある。事務局の構想は2024年ごろに持ち上がり、25年の閣僚会合で「支援ユニット」を設けることで大筋合意した。

     

    (1)「日本は、この時期を捉えて日本への事務局誘致を提起する方針だ。経済産業省や外務省などは27年度予算の概算要求に関連経費を盛り込んだ。同年度からオフィスを借りるといった用途の資金確保を想定している。高市早苗首相は5月、ハノイで講演し「CPTPPの拡充を推進する」と言明した。トランプ米政権が多国間の貿易枠組みに背を向けるものの、日本はCPTPPを通商政策の柱にしている。自由貿易圏の拡大、強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)づくりなどの協力を主導する意図がある。常設事務局を国内に誘致できれば意思疎通や人材交流を円滑に進めやすい」

     

    日本が事務局を置くことは、「アジア太平洋経済の制度設計者」になるという意味である。

    新規加盟審査・ルール改定・紛争処理・基準設定などすべてを日本が握ることになる。つまり、日本がアジアの「ゲートキーパー」であり、日本がアジアの「ルールメーカー」になり、日本がアジア経済の「制度の中心」になることだ。中国が、最も嫌がる構造であるが、制度は一度できると覆せないものだ。こうして、中国はアジア経済において「部外者」の位置に置かれる。

     

    (2)「CPTPPの拡充には主に3つの軸があり、日本政府は事務局の機能が重要になるとみる。一つは加盟国の早期拡大だ。加盟申請が相次ぎ、各国・地域の貿易慣行がCPTPPの原則と一致するかといった調整が増える公算が大きい。CPTPPは24年に英国が加わり、12カ国になった。英国との交渉は日本が主導した。5月にはペルー政府がコスタリカの加盟に大筋で合意したと発表した」

     

    加盟国数は、間もなくコスタリカが加わって13ヶ国になる。さらに、インドネシア、フィリピン、UAE(アラブ首長国連邦)との交渉が始まる。常設事務局が必要になる背景だ。

     

    (3)「足元で6月にインドネシア、フィリピン、アラブ首長国連邦(UAE)と「予備的議論」を始めると決まった。カンボジアやアルゼンチンなど新たに加盟申請する国もあり、韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権も関心を示す。加盟をめざす国ごとに交渉の窓口役となる国を決めている。特に新興国が交渉の窓口になる場合、交渉のノウハウや人手の面でサポートが必要との指摘がある。事務局があれば包括的に支援しながら、加盟国内の意見集約もしやすい」

     

    加盟希望国との交渉窓口は、そのたびごとに変るので、サポート役として常設事務局の支援が必要となる。事務手続き上の問題解決である。

     

    (4)「2つ目の軸には、CPTPP協定の改定を調整する役割がある。25年にオーストラリアで開いた関係閣僚会合で強靱な供給網づくりを改定対象にすると決めた。重要物資の供給が止まるケースなどを想定して協力体制を整える方針だ。加盟国のカナダや豪州、チリなどは重要鉱物やエネルギーの生産国で、協力を進められれば有事に対応しやすい。中国からのレアアース(希土類)の調達などで供給網に不安を抱える日本は早期の協力に期待する。協定改定の対象としては電子商取引(EC)、税関や貿易の円滑化なども視野に入れる」

     

    今後は、レアアースや越境EC問題で共同歩調を取る必要性も出てくるだろう。こうした場合、常設事務局があれば意見の集約化がスムーズに進むであろう。


    (5)「3つ目はほかの多国間枠組みとの対話だ。CPTPPは25年に欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)と初の対話を開いた。自由貿易の拡大や供給網の構築で米国に依存しない協力を進める」

     

    CPTPPは今後、EUやASEANとの定期的協議も必要となろう。常設事務局が、こうした問題に対応可能になる。

     

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    中国の政府系メディアが、日本に対して「レアアース覇権」を強調する記事を掲載した。一方で、日本の脱中国化は進んでいることを認め「弱気」も見せている。ただ、「重レアアースは中国が支配している」と強調するが、日本の対抗策は着々と進んでいる。具体的には、次のような手段である。

     

    米国は、重レアアースの分離設備を増強中である。豪州が、重レアアース分離ラインを建設している。日本は、国内でリサイクル技術で重レアアース回収を拡大している。フランスは、日本技術支援で精錬とリサイクル事業が26年末に稼働させ、対日輸出する手はずが整っている。つまり、中国の「最後の牙」が抜かれつつある。こういう、中国にとって不都合な事実は伏せられた「大本営発表」記事である。

     

    情報源の『観察者網』は民間を装っているが、実態は中国の対外宣伝機関の「準公式メディア」である。特徴は、日本・米国に対して「弱体化」「失敗」を強調する。中国の「長期的優位」を誇示。国内向けに「中国は強い」「日本は困っている」という物語を掲載している。実務的な数字は曖昧で、都合の良い部分だけを強調する。今回の記事は、その典型である。

     

    『レコードチャイナ』(8月31日付)は、「日本のレアアース代替計画、十数年の努力が無駄に?―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国のニュースサイト『観察者網』(8月28日付)は、「数十年が無駄に?日本のレアアース代替計画はなぜ『お流れ』になったのか」との記事が掲載された。

     

    記事は、中国が日本へのレアアース輸出規制を始めてからすでに8カ月が経過したと言及。「2026年1~6月に日本が輸入したジスプロシウムはわずか13トンで、規制前の24年同期から82%も激減した。酸化イットリウムも204トンと74%減少している」とし、「日本製造業の首にかかった『ひも』は、徐々に締まっているようだ」と指摘した。

     

    (1)「その上で、「日本は2010年のレアアース供給危機をきっかけに『脱中国化』を進め、政府は1000億円の追加予算を投入。海外鉱山への投資、戦略備蓄、リサイクル、使用量削減、代替材料の開発という5つの対策を打ち出した。豪州のライナスへの巨額投資や、ベトナム、インドとの協力などを進め、対中依存度を90%から60%程度まで低下させた」とした」

     

    日本のレアアース対策が、効果を発揮し始めている。8月から55ヶ国が参加する「重要鉱物特恵市場」が稼働しているが、参加国の具体名は伏せられている。中国の妨害を阻止するためだ。中南米鉱山国が、一括して日本の化学的精錬法を導入して精錬を開始する方向である。米州開発銀行が仲介しており、26~27年に正式決定の見込みだ。要するに、化学的精錬法によって、雪崩を打つように「脱中国化」が始まっている。

     

    (2)「一方で、「今回の中国による輸出規制でその実態が露呈することとなった」とし、「豪州やベトナムなどが供給できるのは主に軽レアアースで、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなどの重レアアースは依然として中国への依存度が高い。輸入量全体で見れば中国の比率は下がっていても、重要な重レアアースでは中国が圧倒的な支配力を持っている。つまり、統計上の『60%』にはカラクリがあったというわけだ」と主張した」

     

    中国は、日本国内のレアアースリサイクルと国内精錬を見落している。化学精錬法によって、無公害精錬法が実現した。中国は、公害垂れ流しである。日本の無公害・高品質な精錬法が、「垂涎の的」である。輸入統計に出ないレアアース製品が、日本国内で増えているのだ。

     

    (3)「また、「問題は採掘だけではない」とし、「中国は重レアアースの分離・精製能力でも圧倒的な地位を占めている。レアアースは分離・精製が非常に難しく、中国が1970年代から技術開発を進め、現在では関連特許も世界の81%を占めるとされる。海外で鉱石を採掘できても精製できなければ、それは『使えない石』にすぎないのである」と論じた」

     

    日本の化学的精錬法について、全くの無知をさらけ出した記事である。

     

    (4)「さらに、「日本は海底のレアアースにも期待を寄せ、南鳥島周辺の海底に大量の資源が眠っているとして、2027年2月から大規模な採掘試験を始める計画を掲げている」と紹介しつつ、「しかし6000メートル級の深海で大規模商業採掘を成功させた例はなく、コストも陸上採掘の数倍に達する。その上、日本には重レアアースの精製能力がなく、完全な国産化には少なくとも10年が必要とされる」と指摘した」

     

    試験的採掘が、27年から連続的に行われる。すでに今年に技術的採掘法を確認している。南鳥島から日本へ運び化学的精錬法で行う手はずである。高品位で、中国陸上採掘の20倍とされている。それだけ、生産コストが切下げられる。日本政府は、7000億円の予算を計上して商品化への意気込みを見せている。

     

    (5)「記事は、「結局、日本の脱中国対策で最も現実的だったのは『とにかく備蓄する』ことだった。日本は戦略的な備蓄を60日分から180日分へ増やしており、こうした備蓄が日本の製造業を現在まで『延命』させている。それでも、9割以上の日本製造企業が少なくとも1種類のレアアース関連材料で十分な供給を確保できておらず、平均調達充足率は68%にとどまる」と述べた」

     

    この記事は、全く根拠のないものだ。国内のリサイクルと精錬を見落している。化学的精錬法は、中国と違って無公害であるのでどこでも精錬可能である。

     

    (6)「そして、「『残念』なのは時間が日本の味方ではないことだ」とし、「在庫がどれだけ多くても、海底の泥がレアアースに変わるまで持ちこたえることはできない」と指摘。「中国はじっくり待てる。1年でだめなら2年、2年でだめなら3年。日本の戦略的備蓄はいつか必ず使い果たす日が来る。その時、また会おうではないか」と皮肉を込めて記した」

     

    2030年に、中国のレアアース覇権は終わる。外交威圧には、使えなくなる。「その時、また会おうではないか」は、日本が言う台詞である。

     

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    日本発の科学技術力が冴え渡っている。NTTの開発した、次世代通信網「6G」の中軸技術である光電融合通信「IWON」(アイオン)が、自衛隊で導入されることになった。IOWNは、光技術を活用して大容量・低遅延・低消費電力を実現する次世代情報通信基盤である。データ転送容量は、現在の125倍、伝送遅延は200分の1、消費電力が100分の1程度になる「夢の技術」で、昨年の大阪万博で展示された技術である。

     

    自衛隊は、IOWN導入で上記の「性能」を利用して、次のような優位性が得られる。

     

    1)敵の攻撃を「ほぼリアルタイム」で把握

    レーダー・衛星・無人機・センサーの膨大なデータは、遅延ゼロに近い速度で中央AIへ集約分析部隊へ返送される。中国軍の通信網(電子戦・衛星網)は、遅延・輻輳・電磁妨害に弱いため、この「時間差」だけで勝負が決まる。

     

    2)ミサイル防衛の命中率が跳ね上がる

    迎撃は「数秒の判断」が命。遅延が200分の1になれば、中国の極超音速兵器の軌道変化にも追従可能になる。

     

    3)無人機・艦艇・戦闘機の統合運用が別次元

    IOWNは、「全軍の脳」を作る技術である。中国軍は未だに「分散した脳」で戦っている。この集中と分散の差は大きい。

     

    中国は、なぜ追いつけないのか。これは、半導体「1.4ナノ」の世界になるからだ。ラピダスが目下、1.4ナノを開発中である。中国は、「7ナノ」が製造の限界である。中国が、絶対に到達できない理由は、次の点にある。

     

    1)光デバイスの製造精度が不足(1.4ナノ領域は日本・米国のみ)

    2)光ファイバー網の品質が低く、長距離で損失が大きい

    3)軍の通信網が「電磁波依存」で、光通信への全面移行が不可能

    4)AI処理を支えるデータセンターの冷却・電力効率が低い

    5)サイバー攻撃に弱く、光ネットワークの「閉域網化」ができない

     

    中国にとって、IOWNは「技術の壁」でなく「文明の壁」である。中国が、構造的に越えられない高い壁だ。

     

    『日本経済新聞』(8月30日付)は、「自衛隊基盤にIOWN AI活用へ大容量通信」と題する記事を掲載した。

     

    防衛省は自衛隊の部隊や全国の基地をつなぐ通信網にNTTの次世代光通信基盤「IOWN(アイオン)」の中核技術を導入する。大量のデータをすばやく共有できる通信環境を整え、人工知能(AI)を本格活用する「新しい戦い方」に備える。

     

    (1)「装備品などの導入予定を定める次期防衛力整備計画に明記する。2027年度予算案に関連費を盛り込み、28年度以降の本格運用に向けて準備を進める。IOWNは、光技術を活用して大容量・低遅延・低消費電力を実現する次世代情報通信基盤構想だ。防衛省は同構想の中核を担う光通信技術「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」を採用する。NTTは、APN技術に関し30年をめどにデータ転送容量を現在の125倍、伝送遅延を200分の1、消費電力を100分の1程度にする目標を掲げる」

     

    1)日本(IOWN)と中国の速度差は、100〜200倍に開く。電子戦の勝敗は、「情報速度」で決まるため、致命的な差になる。

     

    2)指揮統制、日本はリアルタイム統合AIとなる。中国は、遅延+分断+人間依存であるので戦闘の意思決定速度で10倍以上の差になる。

     

    3)ミサイル防衛は、日本が軌道変化を追従可能である。中国は乱射による飽和攻撃頼みで、命中率で2〜3倍の差になる。

     

    4)電子妨害耐性は、日本が光通信で電磁妨害の影響ゼロ。中国は電磁波依存で日本が圧倒的優位に立つ。

     

    5)総合評価は、日本の優位性確立で相手と「戦争を成立させないレベル」の差をつける。こうして、IOWNを採用した自衛隊は、中国軍に「戦争を不能にさせる」ほどの優位性を持つことになる。

     

    (2)「防衛省は現在、10ギガbps級の基幹通信網を運用する。家庭向け光回線にも使われる高速通信技術だ。高画質動画などを遅延なく送受信できるものの、AIの活用拡大に伴って大幅に増える通信量には対応が難しくなる恐れがあった。情報共有に遅れが生じれば、敵情把握や迎撃などの対応が遅れる可能性もある」

     

    こうした懸念は、100%払拭される。

     

    (3)「新システムではレーダーやセンサー、無人機などで集めた情報をAPNで高速で送り、指揮所やデータセンターでAIが分析する。分析結果を各部隊にすばやく戻すことで、ミサイル防衛や航空・海上作戦での判断を早める。レーダーなどで得た情報を迅速に共有できれば、迎撃ミサイルの運用や戦闘機、艦艇の作戦行動も円滑になる。戦況が変わる前線の様子を画像や映像で伝える場合などは、大容量データを安定的に送受信できる能力が欠かせない。サイバー攻撃の脅威に備え、AIの計算処理を行うデータセンターを増やす計画もある。APN技術を活用すれば通信遅延などのリスクが最小限に抑えられるとみる」

     

    このパラグラフでの課題は、すべてIWONが解決する。この技術は、米国やNATO(北大西洋条約機構)も活用するであろう。西側諸国には、鉄壁の防衛線が敷かれる。日本は、「戦わずして相手を制する」抑止力を確立した。

     

     

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