勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    中国は、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は、見いだせるのか。2月8日の衆院選では、自民党「大勝」の予測が増えている。この予測通になれば、中国の経済的威圧は緩むのか。中国は、日中の経済力からみて自国が断然有利であり、「日本威圧」政策を変えないという。傲慢姿勢の継続である。

     

    レアアースをめぐっては、状況が着々と変ってきた。米国の主導する重要鉱物「特恵貿易圏」構想が軌道に乗ると、日本が化学的精錬法を発展途上国へ供与することで、レアアース生産が増えるからだ。このレアアースが、関税無税・最低価格維持である特恵貿易圏へ出荷されて、対中国取引からシフトすることになる。中国は、こうして需要先を失うと同時に市場操作効果が減殺される。結果として、西側諸国はレアアース不足と価格変動に悩まされることから開放されることになろう。要するに、中国のレアアース世界市場支配力が大きく後退するのだ。中国は、こういう日米合体の戦略が進んでいることを知らずに「太平楽」を口にしている。

     

    『毎日新聞 電信版』(2月5日付)は、「日本の『大ばくち』注視する中国 長期戦でも国力差と国際情勢に自信」と題する記事を掲載した。

     

    台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国は強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は見いだせるのか。

     

    (1)「中国外務省の報道官は127日の記者会見で、「日本側の言動は『再軍備化』を推進し、戦後秩序に挑戦しようとする右翼勢力の野心を再度さらけ出すものだ」。前日の民放番組での首相発言を念頭にこう述べた。習近平指導部は、訪日旅行やレアアース(希土類)を武器とする経済的威圧で日本世論を揺さぶり、高市首相を追い詰めようとしてきた。しかし、総選挙で自民党が大勝すれば、強硬姿勢が結果として「裏目」に出ることになりかねない」

     

    中国は、日本が軍備を持たないことを理想的な「平和主義」とみている。中国が、日本を威嚇し放題になるからだ。だが、自衛権は国家固有の権利である。日本は、中国の言いなりになるわけにはいかないのだ。

     

    (2)「中国国内の報道ぶりは、「高市首相の支持率急落」「台湾問題で再び妄言」などと、高市政権の敗北を期待するかのような否定的内容が目立つ。公明党と立憲民主党が結成した新党「中道改革連合」についても、新華社通信は「両党が手を結び、高市政権を『苦境』に追い込めるか」と題する記事を配信した。一方、専門家の間では、高市首相の高い支持率や日本の厳しい対中世論という現実を直視すべきだとする声も上がる」

     

    日本の国民世論が、何を選択するか。中国は、その帰趨に従うべきだろう。

     

    (3)「中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の項昊宇・特任研究員は、中国メディアの取材に「どのような選挙結果であろうと、短期的に日本の対中政策に大きな変化は起こりえない。我々は高い警戒心を保たなければならない」と分析した。ベテラン記者による時事評論コラム「牛弾琴」は、「(高市政権の)惨敗が喜ばしいが、率直に言えばその可能性は最も低い。我々は現実離れした幻想を抱いてはならない」と指摘。そのうえで「例え我々が嫌いでも、日本人の高市支持は高い。それが意味するのは、長期的な闘争になるということだ。我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と強調した」

     

    中国時事評論では、「我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と粋がっている。ならばお尋ねする。最近の、人民解放軍の粛清騒ぎは何を意味するかだ。歴史的に言えば、粛清は、政治的混乱の表れである。清朝末期もそうだった。中国内部は今、腐敗が急速に進行しているのだ。これも、「凶兆」の一つである。

     

    (4)「かつて習指導部は、高市首相と政治信条が近い安倍晋三政権との間で関係改善を果たしたが、その過程には数年を要した。中国からすれば、日中関係の冷え込みが国内経済に悪影響を及ぼす事態は望ましくない。ただ、長期戦になれば、国力で圧倒する自国に有利との計算があるようだ。今や国内総生産(GDP)は日本の約5倍に達し、巨大市場や重要な供給網も掌握している」

     

    日中対立が長期戦になれば、いまの経済威圧の継続であろう。さらに強化すれば、日本も輸出規制で対抗するほかない。これはGDP規模の問題ではなく、日本が中国の必需品を握っていることだ。高速鉄道のベアリングや半導体素材である。

     

    (5)「中国にとっては、最大のライバルである米国と「休戦」に持ち込んでいることが何より大きい。4月の訪中を成功させたいトランプ氏は、習氏を刺激する言動を避けている。米国防総省が1月に公表した国家防衛戦略(NDS)は「台湾」に直接言及しなかった。トランプ政権が対中取引(ディール)に前のめりになり、主要な先進国が「中国詣で」をする状況は、習指導部に外交的余裕を生んでいる。日中関係筋は「日本以外の西側との関係が安定しているだけに、日本との関係を動かす必要性を感じていないのではないか」と警戒心を示した」

     

    米中「休戦」は、表面的なことだ。米国は、着々と中国勢力駆逐策を取っている。米国の対中戦略の「凄さ」は、黙って実行していることだ。他国との間では「舌戦」を展開しているが、「口先」だけである。収まる所へ収まっている。舌戦は国内向けの政治ショーである。対中政策だけは全く異なる。沈黙を守りつつ要所、要所を締付けている。ベネズエラ急襲は、中国への見せしめである。台湾侵攻作戦をすれば、こうなるという事例である。


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    半導体世界最大手のTSMCは5日、熊本県内の第2工場で人工知能(AI)向けの半導体生産を検討すると表明した。従来の計画を変更し、回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先端品をつくる。世界で争奪戦となっているAI半導体の国内安定供給へつながる見通しだ。一方、台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCが、地政学的配慮をした結果であろう。

     

    『ブルームバーグ』(2月5日付)は、「TSMCが熊本での3ナノ半導体生産計画前倒し、2028年まで-関係者」と題する記事を掲載した。

     

    TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が5日、都内での高市早苗首相との面談で直接伝えた。魏会長は、「日本政府の揺るぎない支援に感謝」するとした上で、「この工場は地域経済の成長にさらに貢献し、最も重要なこととして日本のAI(人工知能)ビジネスの基盤を形成するものと確信している」と述べた。

     

    (1)「高市首相は、TSMCの熊本工場は大きな経済効果を生んでいて3ナノ生産は経済安全保障の観点からも大きな意味があるとし、「ウィンウィンの連携を一層強化していきたい」と話した。赤沢亮正経済産業相は同日午後記者団に対し、3ナノ半導体はAIロボティクスなどに使われ、AIの社会実装を進める高市内閣の戦略に「完全に合致するものだ」と述べた」

     

    TSMCが、建設中の熊本第2工場で3ナノという最先端半導体生産へ切替えることで、日本経済にもプラスだ。今後、AIロボティクスなど「フィジカルAI」需要が増える見通しにだけに合致している。

     

    (2)「TSMCは、熊本県内で建設する第2工場で、現時点で可能な最先端半導体技術を導入すると決めたと、関係者らが明らかにした。当初は27年末までに7ナノ半導体の生産を計画していたが技術レベルが引き上げられたという。ただ関係者によれば、日本での計画は協議の初期段階にあり、変更の可能性もあるという。TSMCの日本における生産増強は、高市首相が推進する国内での半導体製造能力強化構想を後押しする見込みだ。高市首相はこれまでの政権からの政策を継承し、経済産業省は来年度予算で先端半導体やAIへの支援額を約1兆2300億円と、現在の約4倍に増額する方針だ」

    TSMCの日本における生産増強は、国内での半導体製造能力強化構想を後押しする。米国のTSMC工場は、4ナノ生産を始めており2ナノ生産計画を推進中だ。日本で3ナノを生産することは、TSMCの長期戦略によるものであろう。

     

    (3)「米調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、熊本第2工場で元々計画されていた7ナノなどはTSMCにとってはもう市場が見込めない製品となった一方、AI関係で想定より早く3ナノや2ナノといった最先端品に需要がシフトしており、「台湾有事のリスクが高まっている環境もあり、決断したと思われる」とコメントした。さらに最先端工場が近くにできるというのは装置メーカーや部材会社を含む日本の半導体業界にとって、「間違いなくプラス」とした上で、今後3ナノを超える先端品を日本で生産する流れにつながる可能性もあるとも述べた」

     

    TSMCは、中国の台湾統一への強硬姿勢から地政学的配慮をして、ユーザーへの安心感を与える必要もある。その点で、日本であれば安心できる。

     

    (4)「台湾当局とTSMCは、最先端の半導体について台湾内での開発・維持を掲げている。台湾内で土地や電力供給の問題が深刻化している中で、より成熟した世代の製品については海外で生産能力を増強する動きを進めている。こうした動きは中国が自国領土と主張し、将来的な併合も視野に入れている台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCによる熊本での3ナノ半導体量産の設備投資の規模は170億ドル(約2兆6000億円)に増やす計画」

     

    台湾での半導体生産は、土地や電力供給でしだいに限界をみせつつある。日本は、そういう制約条件がないので将来、第4工場まで建設計画が取り沙汰されている。

     

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    最先端半導体の国産化を目指すラピダスが、民間からの出資額が2025年度の計画を上回る1600億円超となる見込みとなった。ソフトバンクとソニーグループが、それぞれ210億円を出資して最大の株主となる。米IBMも、米当局の審査を経て出資する。政府は、2.9兆円の支援を決めたが、企業の間でも日本の半導体産業の復権を支援する機運が高まっている。これまで、大手メディアを中心に「ラピダス失敗論」が流布されたが、ようやく「認知される」形になった。

     

    『日本経済新聞』(2月5日付)は、「ラピダスへの民間出資、想定上回る1600億円超に 米IBMも検討」と題する記事を掲載した。

     

    株主は現在の8社から30社以上に増える。企業の多くは1月末までにラピダスと合意し年度内に出資を完了する。2月中にラピダスが取りまとめて公表する。25年度は民間から1300億円規模を調達する計画だった。それが計画を上回って1600億円へ拡大した。企業別では富士通も200億円を出資する。既存株主のNTTは100億円、トヨタ自動車は40億円を追加出資する。

     

    (1)「民間最大の株主となるソフトバンクは、24年末に高性能メモリーを開発する新会社「SAIMEMORY(サイメモリ)」を設立した。将来的には、ラピダスで製造した人工知能(AI)半導体にサイメモリのメモリーを搭載することも想定している。NTTは次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を開発している。IOWNの電気信号を光に置き換える技術を半導体の内部に搭載すれば、消費電力を大幅に抑えられる」

     

    ソフトバンクやNTTは、ラピダスで半導体製造を委託する意向である。株主として詳細な技術情報を得ての決定であろう。

     

    (2)「IBMは、ラピダスに出資する初の外国企業となる見通しだ。IBMは、ラピダスに技術を供与している。資本面でも支援することで確実な量産につなげ、半導体の受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)への依存を下げる狙いもあるとみられる。ラピダスは31年度までに7兆円超の資金が必要と試算しており、このうち民間出資は1兆円規模を目指している」

     

    IBMは、ラピダスへ2ナノ技術を提供した関係で出資する。自社技術が製品化される以上、出資は自然な流れであろう。

     

    (3)「資本調達額が想定より増えたのは、ラピダスが技術的な成果を示してきたことが大きい。25年7月には回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)の半導体素子の動作を初めて確認し、12月にはAI半導体を効率良くつなぐための配線層を試作し公表した。主要企業との交渉では、経済産業省の担当者が同席するなどして説得にあたった。最先端半導体を直接必要としない企業でも「国家事業に協力しないわけにはいかない」(出資企業の幹部)との意識が働いたようだ。政府は、2ナノの最先端半導体の国産化を経済安全保障上の重要なマイルストーンと位置づける。ラピダスは、官民から調達した資金で27年度に北海道の工場で目指す2ナノ品の量産に備える」

     

    資本調達額が想定より増えたのは、ラピダスの技術が確実に進んでいる結果だ。製品もできていない企業への出資には抵抗もあったが、ようやく納得が得られたのであろう。

     

    (4)「今回の各社の出資額は、最大が200億円規模なのに対し、最も少ない企業は5億円程度だ。半導体メモリーを手掛けるキオクシアは、追加出資額を10億円にとどめる。同じく設立直後から出資するNECも追加出資を10億円以下としたもようだ。ラピダスは、これまで政府が特別待遇で支援したことで、会社設立から3年足らずで試作にこぎつけた。社員数は25年末までに1000人を超えた。ただ、量産に向けては生産規模の拡大や歩留まり(良品率)改善、顧客開拓など越えるべきハードルは多い。民間からの出資の目標とする1兆円にはまだ遠く、今後も着実に成果を見せていく必要がある」

     

    未だ製品が出ていない企業への出資であるから、懸念を言い出せばいくらでもあろう。だが、経済安全保障やフィジカルAIの切り札として大きな期待が掛っている企業だ。暖かい目で支援する度量も必要だろう。 

     

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    日本は、東京から1800キロ余り離れた南鳥島海底6000メートルで、レアアース(希土類)を含む泥の試験掘削に成功した。埋蔵量1600万トンで世界3位の規模であるが、韓国は否定的ニュアンスで報じている。商業生産が始まれば、その恩恵を受けるはずである。だが、羨望が先立っているようだ。中国は、商業生産困難と「完全否定」の報道である。中韓2国が、それぞれ複雑な表情をみせている。

     

    『朝鮮日報』(2月4日付)は、「中国の輸出規制に対抗する日本、海底5700メートルで『レアアース泥』採取に成功」と題する記事を掲載した。

     

    日本政府が、日本列島南東にある南鳥島周辺の深海からレアアースを含む泥の試験採取に成功した。読売新聞が2日に報じた。同紙は「中国はレアアースの輸出規制強化を他国に外交的・政治的な圧力をかけるカードとしている」とした上で「今回の成功は(レアアース)国産化に向けた大きな一歩」と評した。

     

    (1)「日本の内閣府が、2010年から推進してきた「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」が16年掛けて目に見える成果を出した形だ。2010年に尖閣諸島の領有権を巡って中国がレアアースの輸出規制に乗り出したことを受け、日本はこれを安全保障上のリスクと認識しレアアース採掘事業を進めてきた」

     

    南鳥島のレアアース採掘は、2010年から16年という長い歳月を準備期間に当ててきた。6000メートルのパイプは、日鉄の高張力鋼である。世界一の高品質の折り紙が付いている。深海で600気圧に耐えたのは、日本技術の成果である。

     

    (2)「およそ400億円を投入して泥を破砕する「採鉱装置」と回収用の特殊パイプを開発し、2022年に水深2400メートルの茨城県沖合で泥の吸入に成功した。今回はその2倍以上に達する深海で極度に高い水圧の中でもこれらの装置が正常に作動することを確認した。読売新聞によると、石油や天然ガスの採掘技術を応用し、堆積物を探査船で引き上げるのは世界初の試みだという。2013年に東京大学の研究グループはこの海域で高濃度のレアアースが含まれた泥を発見した。その埋蔵量は少なくとも1600万トンに達するとも試算されている。これは埋蔵量としては中国とブラジルに続く世界第3位で、この試算が公表されてから同海域は日本の経済安全保障上の最前線と見なされるようになった」

     

    日本は、これまで2022年に水深2400メートルの茨城県沖合で泥の吸入に成功するなど、手堅い準備を重ねてきた。

     

    (3)「採算性が立証されれば、南鳥島沖合のレアアースは中国と日本の関係のゲームチェンジャーになるとみられる。ただし日本政府は28日に衆議院選挙の投開票を控えており、その結果が出る前から「日本産レアアース」への期待を膨らませているとの見方もある。中国との関係悪化で日本経済への悪影響に対する懸念が浮上したため、中国への依存度が低いサプライチェーン構築が可能との希望を示す狙いということだ。また強い日本を掲げる高市政権には中国に強硬な対応を示すことが選挙にプラスになるとの判断もあるようだ」

     

    世界は、6000メートルの深海からの吸い上げという難事業だけに「高コスト」という先入観で判断している。だが、方法はいたってシンプルである。吸い上げパイプが、600気圧に耐えられるかが勝負だ。その点で、日本の世界最高の製鉄技術が、この壁を乗り越えたのだ。

     

    選挙目当てという評価は、技術評価に対する見識のなさを示している。今年初めの採掘作業スケージュールは、前々から決定済みである。選挙日程に合わせて大急ぎで試掘するような作業レベルではない。

     

    『中央日報』(2月2日付)は、「日本、海底レアアースの試験掘削に成功…東京大『1600万トンと推計、埋蔵量世界3位』」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「日本のレアアース独自確保の試みが成功するには、難関も少なくないとの指摘も出ている。米国地質調査所(USGS)によると、ブラジル(2100万トン)のレアアース埋蔵量は中国の半分程度だが、実際の生産量は年間1万トン未満で、年間20万トン以上を生産する中国の10%にも満たない。埋蔵量6位の豪州(340万トン)が生産する年間1万8000〜2万4000トンよりも少ない。それだけレアアースの採掘のみならず、精錬インフラを整えることが容易ではないということだ」

     

    ブラジルや豪州の生産レベルが低いのは、精錬過程における環境破壊という問題が起るからだ。その点で、日本が開発した「化学的精錬法」は、常温・常圧で作業が可能。しかも低コストである。現在、インドで試験しており28年に成果が出る見込みだ。これを機に、他国へ広げる計画だ。

     

    (5)「海底6000メートルから引き上げるという高難度の作業が要求される日本のレアアースが、商業性や競争力を備えるのは難しいという指摘もある。中国の環球時報は1月11日、「商業的な成功の可能性が低いプロジェクト」と切り捨てた。その上で、レアアース産業の専門家の言葉を引用し、「日本は中国への依存度を下げようとしているが、技術的難関と費用の問題から、短期間で代替供給網を構築するのは難しいだろう」と見通した」

     

    中国は、南鳥島のレアアースが商業生産に入れば、ゲームチェンジャーが現れることになるので神経質になっている。南鳥島のレアアースの品位は、中国鉱山の20倍以上とされる。この高品位が武器であり、コスト的に十分に対抗可能とされている。化学的精錬法は、中国の物理的精錬法に比べ、環境破壊にならない強みも持っている。中国には「脅威」となるはずだ。

     

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    日本が深海のレアアース泥の試掘に成功したことが、中国のSNS上でも話題になっている。今回の成功により、来年2月にはさらに大規模な試掘を行う計画で、28年から本格操業が見込まれている。中国政府は、こうした日本の動きをじっと見つめているはずだ。どの時期から本格的にレアアース輸出を止めるかが、中国の狙いどころであろう。だが、中国自身の景気がフラついている状況では、対日輸出規制を強化して「反撃」を食らえば元も子もなくなる。こういう「様子見」があるというのだが。

     

    『日本経済新聞』(2月4日付)は、「中国、レアアース規制は本気? 景気回復なら強気も」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は1月、軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制を厳しくすると発表した。レアアース(希土類)が対象に含まれるとの見方があり、輸出が滞れば日本のハイテク産業への影響は避けられない。中国は本気で輸出を止めるつもりなのか。

     

    (1)「中国当局は3つの領域への輸出を禁止するとしている。1)日本の軍事ユーザーへの輸出、2)軍事目的での輸出、3)日本の軍事力強化につながる輸出――の3領域だ。日本の外務省がとりわけ警戒するのが3)についてだ。中国側は民生品の輸出への影響はないとするが、人工知能(AI)や無人機など軍事と民生品の切り分けが曖昧な製品は多い。完全な民生品であっても「日本の軍事力強化につながる」と恣意的に判断し、輸出を止めることもできてしまう」

     

    中国は、ルールがあってないような国である。極めて恣意的である。民主主義国とは、その点で根本的に異なる。

     

    (2)「みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では、仮にレアアースの輸入が1年止まった場合、日本の国内総生産(GDP)を0.%押し下げる。2010年に日中関係の悪化でレアアースの輸入が2カ月ほど大幅に減少した際は、10年のGDPを0.25%下押ししたという。中国の軍民両用品の規制強化は、台湾有事に関し踏み込んだ答弁をする高市早苗首相に圧力をかける意味合いがあるとみられる。経済的威圧の典型例といえる。日本の外務省は中国の措置の不当性を第三国との外交の場で訴え、理解を求める情報戦に力を注いでいる」

    実際に企業活動への影響は出始めている」

     

    レアアースの輸入が1年止まった場合、日本のGDPを0.%押し下げるという試算なナンセンスである。在庫もあるし、西側諸国が今週中にワシントンで「西側レアアース市場」設置の会合を開く。

    (3)「レアアース磁石を利用したモーターを必要とする自動車メーカーなどの間で、在庫が消失した後の生産体制への懸念が広がる。中国が25年12月に日本に輸出したレアアース磁石は前月比で8%減った。輸出許可に時間がかかっているとみられる。ジスプロシウムなど重希土類を使う高性能製品を中心に、申請の半分ほどしか許可が下りない状況が続いているという。中国に進出する日本企業でつくる中国日本商会は1月、デュアルユース品目の対日輸出規制をめぐって中国の商務省に要望書を出した。民生品に影響しないとする同省の方針について周知徹底を求めた」

     

    レアアースは政府備蓄もある。企業も三菱電機のように1年分の在庫を保持している企業もあるのだ。日本企業は、中国が2010年に行ったレアアース輸出禁止で懲りている。備えはしているはず。備えをしていない方が不注意企業である。

     

    (4)「中国政府がレアアース規制を本格化するかどうかは、中国の経済状況次第との見方もある。中国では不動産不況が長引き景気減退が続く。米国との関係改善や欧州などとの接近で中国経済が回復するようなことがあれば、日本に対し規制を強める可能性もある。

    日本としてはこれを機に、代替手段の確保を急ぐべきだ」

     

    中国は、日本が完全に沈黙していることが「不気味」なのだろう。不況が続いている中で、日本が「一撃」を加えたらどうなるか。それを懸念しているとみられる。


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