勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    韓国は、日本の輸出規制措置を巡り、その不当性を米国へ訴えている。だが、米国の外交専門家の間では、原因は韓国にあるという見方が多数であり大きな衝撃を受けている。

     

    韓国政府は、複数の人物を米国に送っている。日本が、一方的に韓国に経済制裁を加えているので、仲裁役に入って欲しいという懇願である。だが、問題の発端は韓国がつくったこと。また、米国にとって日韓ともに同盟国である以上、「どちらが正しい」とは言えぬ立場にあるとして、仲裁要請を断る方針のようである。

     

    文大統領は、初の日米韓三カ国首脳会談の際、安倍首相の面前で「韓国は日本と同盟していない」とトランプ発言を遮ったという。そういうツケが、回り回って韓国の頭上にのしかかってきたのだ。この文発言によれば、日本が韓国を「ホワイト国」として厚遇する理由はさらさらないのだ。

     

    『朝鮮日報』(7月12日付)は、「米専門家の間では今回の韓日対立は韓国が始めたとの見方が多数派」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の姜仁仙(カン・インソン)記者である。

     

    マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長は8日、日本の経済報復で悪化の一途をたどっている韓日関係について、「韓日対立が長期化すれば、最大の被害者は韓国になるだろう」と語った。ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に米国家安全保障会議(NSC)アジア担当上級補佐官を務めたグリーン副所長はワシントンを代表する日本専門家で、CSISジャパン・チェアーでもあり、日本の立場や見解を米国に最もうまく説明する専門家だと評価されている。

     


    (1)「グリーン副所長はこの日のインタビューで、「ワシントンでは最近、『韓日関係悪化は北朝鮮にとって有利に作用する可能性があり、中国がアジアの米同盟国同士を引き離すチャンスだとして利用するかもしれない』と深く憂慮している」と語った。また、「ワシントンの専門家たちは、韓日関係に関して原罪は日本にあると考えているが、最近の(日本の経済報復につながった)対立状況は韓国が始めたとの見方が多い」とも言った。グリーン副所長はさらに、「経済的な面では日本が韓国に依存しているというよりも、韓国の方が日本に多く依存しているため、韓国が最大の被害者になる可能性がある」と述べた。そして、「韓日関係が悪くなれば、(韓日それぞれの)米国との同盟関係も悪化するだろう。米国は(もし、そうしなければならなくなったら)日本より韓国から撤退するだろう。今まで日本は在韓米軍の韓半島(朝鮮半島)駐屯の必要性を強く擁護してきた。韓日関係の悪化で日本がそうした役割をやめれば、日本の安全保障にも有害だろうが、最終的に韓国も立場が弱くなる」と予想した」

     

    下線を引いた部分についてコメントしたい。

     

    「最近の(日本の経済報復につながった)対立状況は韓国が始めたとの見方が多い」。徴用工問題の判決が出た以降、韓国政府は「司法の判断優先」を口実に、日本政府との話合いを拒否してきた。これが、日本政府の韓国への信頼感を失わせた。

     

    「経済的な面では日本が韓国に依存しているというよりも、韓国の方が日本に多く依存しているため、韓国が最大の被害者になる可能性がある」。日韓貿易では、韓国が毎年200億ドル以上の貿易赤字である。韓国経済が、深く日本経済に依存している構図だ。その韓国が、「日本品不買」を始めている。話は逆である。日本が韓国へ「不売」する構図である。

     

    「日韓関係が悪くなれば、(日韓それぞれの)米国との同盟関係も悪化するだろう。米国は(もし、そうしなければならなくなったら)日本より韓国から撤退するだろう」。安全保障上での重要性は、日本が韓国をはるかに上回っている。米国は、もしもの事態だが究極的な判断として、日本との同盟を堅持するだろう。

     

    (2)「グリーン副所長は、韓国に対しては「韓日関係改善のための委員会構成などを通じ、『ひとまず立ち止まる』ことが必要だった」と考えている。「妥協のための政治的空間を作るのにはひとまず立ち止まることが必要だが、韓国政府はそうした努力をしなかった」と語った。だがその一方で、「安倍首相は大阪G20サミットで文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談をすべきだった」とも言った」

     

    下線部分は、韓国が日本との交渉を断ったことが痛恨事としている。一方、安倍首相もG20で文大統領と会談すべきであったと指摘した。しかし、安倍氏としてみれば、一切の話合い拒否してきた文氏と会談しても、その準備会合もなかったのだから「無益」と見たのは致し方ないだろう。


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    『ハンギョレ』は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がかつて発刊準備委員をした関係で熱烈支援の論調を張っている。左派メディアは、こういう見方をするのか、と参考までに取り上げてみた。

     

    左派メディアを除いた韓国世論は、ほぼ今回の日本による輸出手続き強化が文政権の外交政策のミスによって引き起こされたとしている。これは、文政権にとってきわめて重荷であることを窺わせている。韓国でも、大法院による徴用工判決が双手を挙げて受け入れられていないことを示している。文政権にとっては、徴用工問題とそれがもたらした日本の輸出規制が、命取りになるリスクを孕んでいる。

     

    『ハンギョレ』(7月6日付)は、「日本の報復が『韓国政府の責任』というとんでもない主張」と題する社説を掲載した。

     

    呆れて開いた口がふさがらないほどだ。一部のマスコミと自由韓国党が、安倍政権の経済報復を韓国政府のせいにしているからだ。政府の安易な対処や誤った対応があるなら、それを批判し、覚醒を促さなければならない。しかし、韓国政府が経済報復を自ら招いたという主張は、事実関係に合わないだけでなく、政治目的経済報復をする安倍政権を助けることになる。

     

    (1)「強制徴用被害の賠償は、韓国政府の決定ではなく、韓国最高裁(大法院)の判決だ。経済と無関係な最高裁の判決を理由に、(日本が)経済報復を行うのは常識に反するもので、これが今回の事態の核心だ。日本メディアも、安倍政権が今月21日の参議院選挙で保守層を結集し、改憲を発議できる3分の2以上の議席を確保するため、韓国バッシングをしていると批判している」

     

    日本メディアの論調は当初、「自由貿易擁護論」の立場であった。だが、時間の経過と共に、韓国の戦略物資管理がずさんであることから、慎重な立場になっており、野党代表すら政府決断容認に傾いている。

     

    私は一貫して今回の政府決定を支持してきた。理由は、「ホワイト国」の恩典を外すことが、輸出規制を意味しないという点だ。恩典を与えられた韓国は、あたかも既得権益と錯覚している。非「ホワイト国」が、日本へ苦情を申し立てていない以上、韓国も日本政府の決定に従うべきである。韓国が、騒ぎ立てるのは日本への甘えである。この甘えを一掃して、日韓関係は、他人同士であることを再確認して、一定の距離を置いた冷めた関係に立ち戻すべきなのだ。

     


    (2)「『朝鮮日報』は4日付の社説で、日本政府の貿易報復を批判しながらも、「今回の事態は強制徴用者賠償をめぐる外交的軋轢のために起こった政府発の爆弾だ」と主張した。韓国政府の対日外交が貿易報復を招いたと、強引な主張を展開している。これに先立ち、2日付の社説では、「日本が韓国の技術弱点を狙って報復を加え、全世界が科学技術の開発に総力戦を繰り広げているが、私たちは(52時間労働制のために)研究・開発者たちが働きたくても働けない呆れた国になった」と主張した。安倍政権の経済報復と週52時間労働制を結び付けて、韓国政府を攻撃する想像力は実に驚くべきだ。『韓国経済』は3日付の社説で「韓国をこのように甘く見る日本の非常識と無礼を、韓国が自ら招いた側面が大きい」としており、『文化日報』も2日付の社説で「文政権が慰安婦合意と最高裁判所関連判決の遅延を積弊とみなし、処断を下したことも影響を及ぼしたと思われる」とし、「文大統領は、自分の過ちは自分で解決する覚悟で、安倍首相と交渉に乗り出さなければならない」と主張した。表向きでは日本を批判しているようだが、実は韓国政府に責任を転嫁している」

     

    韓国最大の発行部数を誇る『朝鮮日報』は、文政権に対峙する報道姿勢を取っている。やりたい放題の文政権の「監視役」として貴重な存在だ。『韓国経済新聞』は、韓国メディアでは、知日派として公正な分析を行っている。

     

    これまでの韓国では、日本側に立つ報道は御法度であった。それが、日本による「ホワイト国」外しの現実に直面して、文政権の滅茶苦茶な対日政策が改めて反省するきっかけになっているようだ。

     

    (2)「自由韓国党も連日政府攻撃に乗り出している。今月2日、「日本貿易報復措置、輸出7カ月連続マイナス、『経済破綻』は文在寅(ムン・ジェイン)政権自らが招いた」というタイトルの論評を出したのに続き、ナ・ギョンウォン院内代表は4日、国会演説で「感傷的民族主義、閉ざされた民族主義に浸って、感情外交、軋轢外交で韓日関係を破綻させた」と主張した。キム・ムソン議員は3日、国会外交統一委員会で、文在寅政権が朴槿恵(パク・クネ)政権の「慰安婦合意」を覆したことで、日本との信頼が崩れ、国民が被害を受けていると強弁した」

     

    自由韓国党は、朴槿惠(パク・クネ)政権の与党である。朴大統領の弾劾で党勢は大きく傾いていたが、文政権の失政とともに支持率を回復させている。次期大統領選では、十分に復権できるところまできている。今回の輸出規制問題は、文政権と与党にとって大きな打撃になろう。

     

    (3)「一部マスコミと自由韓国党はとんでもない主張をやめるべきだ。政府の対応に誤りがあったとしても、事態悪化の根源である安倍政権の政略を越えるものではない。いくら現政権が嫌でも、このように事態をごまかすのは、国と国民いずれにも被害を与えかねない」

     

    このパラグラフに、『ハンギョレ紙』の本音が出ている。下線の部分で、文政権の外交ミスを認めているのだ。文政権応援団も、内心は気が気でない様子だ。


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    韓国では、すぐに反日=不買へ結びつく。それで日本製品が大きなダメージを受けたかと言えば、そうではないらしいのだ。笑うに笑えぬ話も残っている。

     

    光復(解放=日本敗戦)50周年を迎えた1995年、韓国では日本製品不買運動が全国的に広がった。ソウル鍾路区(チョンノグ)や釜山龍頭山(ヨンドゥサン)公園などで、日本のたばこ「マイルドセブン」の火刑式などが行われたほど。しかし、年末まで集計されたマイルドセブンの販売は逆に増えていたのである。

     

    日本品不買運動が、逆効果になって売上を増やすことになった理由は、テレビで「マイルドセブン」が大々的に取り上げられ、宣伝効果をもたらしたのであろう。

     

    先にソウルで行われた「日本品踏みつけ」パフォーマンスは、逆効果で売上増加につながっていくこともあり得るのだ。

     

    世論調査専門会社リアルメーターが10日、全国19歳以上の501人を対象に日本製品の不買運動実態を調査した結果、「現在参加している」という回答が48%となった。「現在参加していない」という回答は45.6%だった。「今後参加する」と答えたのは66.8%であり、「今後参加しない」と答えた人は26.8%だった。以上は、『中央日報』(711日付)が報じた。

     

    「今後参加しない」という硬派が、3割弱もいる点に注目したい。多分、文政権への批判派であろう。今回の輸出規制の原因をつくったのは、文政権という認識が保守派を中心に広がっている。事実、文大統領への支持率が10日現在、.7%落ち47.6%となった。韓国国民は、意外と真相がどこにあるのか、見極めようとしているようだ。

     


    『中央日報』(7月8日付)は、「日本製品不買運動が見落としているもの」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本製品を使わないという実践は果たしてどこまで可能だろうか。これは思っているより難しい。まるで外来語を使わない会話に挑戦することと似ている。何より長く続けることが難しい。それだけ韓国と日本は経済・産業的に密接に関連している。製品名が日本語になっている製品を国産に変えるだけでは不買運動が期待した効果を得にくい。日本メーカーが独占している半導体核心材料を日本政府が政治的道具で活用しようとしたのが今回の葛藤の実体だ。言葉を変えると、日本が供給する材料なくして韓国の代表商品である半導体を作ることができないのが現実だということだ。使用中のスマートフォンとノートブックを今すぐ取り出して捨てることなどできないではないか」

    サムスン製のスマホにも沢山の日本製の部品が使われている。100%韓国製でない以上、厳密な意味での不買運動の線引きはきわめて難しくなる。グローバル経済下では、不買運動が思わぬところへ飛び火し、被害を与えかねない時代である。それを認識すべきなのだ。


    (2)「ユニクロ不買運動は日本ユニクロに向かう刃になるかもしれない。しかしこの過程で韓国もけがをする。ユニクロが韓国で昨年上げた売り上げ約1兆3000億ウォン(約1200億円)の相当部分は韓国約180カ所の店舗運営費と雇用職員の給与などへの支出だ。すぐにそうなるとは思えないが、もし韓国ユニクロの売り上げが急減して韓国で潰れていけば、一緒に被害をかぶることになる」
     

    ユニクロは確かに日本企業である。だが、韓国ユニクロは韓国資本が入っているかもしれないし、従業員は韓国人である。仮に韓国ユニクロが不買によって従業員解雇が起こるような事態になれば、韓国人の「同士討ち」という悲劇になる。

     

    (3)「残念なことに、感情だけが先走りする不買運動は退行的だ。政治と外交が異常作動する時、企業と消費者の被害は予想できなかったところに拡散するという点だけは確かだ。淑明(スンミョン)女子大学経営学科のソ・ヨング教授は「韓日経済関係は切り離すことができない状況にある」とし「政治論理によって経済論理を無視すれば、双方に打撃を与えることになる」と話した


    韓国人の日本への国民感情は良くない。だが、経済関係では日本への依存性が高まっている。韓国側にして見れば、日本製品の品質が良いゆえに購入しているはずだ。感情的に日本が嫌いでも、日本製品を買わざるを得ないとすれば、不買運動は長続きしまい。冒頭に挙げた「マイルドセブン」が、韓国不買運動の典型的な例となる。日本人は嫌いだから、簡単に不買運動を引き起こす。だが、日本製品の優秀さが不買運動の火を消すのであろう。


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    ロイター通信と言えば、世界を代表する通信社の一つだ。そこが配信したコラムに驚いた。日韓の経済紛争が、日韓経済を共倒れに導くというのだ。もっとも、コラムは記者の個人的見解と断っているが、ロイターの看板を背負った記事だ。事情を知らない読者が読めば、額面通りに受け取りかねない「危ない記事」である。

     

    『ロイター』)(7月11日付)は、「日韓の無謀な貿易戦争、行き着く先は共倒れ」と題するコラムを掲載した。

     

    日本と韓国の政府間対立は、「相互確証」的な痛手をもたらすだろう。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本側が韓国の基幹産業である半導体企業を標的に導入した輸出制限に対抗し、日本の機械や設備、製品を標的にする可能性がある。韓国は日本への報復を検討している。

     

    (1)「二国間の緊張は昨年、元徴用工を巡って韓国最高裁が日本企業2社に対し賠償を命じたことで高まった。日本側は、この問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みだとして判決に反発。明らかに憤慨した安倍晋三首相は、特定の半導体材料を韓国に輸出する際は契約ごとに審査・許可することを義務付けることで反撃した。文大統領の報復手段は限られている。ただでさえ両国経済がそれぞれ大きな圧力にさらされているこの時に、850億ドル(約9兆2000億円)規模の二国間貿易に暗い影を落とすことになる

     

    文大統領は極力、報復手段は取りたくないとしている。あくまでも、外交手段での解決を望んでいる。日本への有効な報復手段がないことの裏返しである。日本が、資本財や中間財など他国製品で代替不可能な高級品を生産していることでもある。このコラムを書いた記者は、担当間もないのか実態把握が不十分で執筆したのだろう。ロイター通信東京で取材すべきだった。

     


    (2)「時価総額2550億ドルのサムスン電子など韓国企業は、日本製の機械や素材、化学製品に大きく依存しているが、それに比べて日本への輸出量ははるかに少ない。この不均衡により、韓国は対日貿易赤字をずっと抱えており、昨年の額は240億ドル超に上った。そのため、いかなる措置も韓国国内の半導体やテクノロジー産業にダメージを与えるリスクがある。また、世界貿易機関(WTO)から反感を買う可能性もある。それでも韓国政府の決意は固い。文大統領は10日、大手財閥30社の首脳級を集め、部品や材料の調達支援を大幅に強化すると述べた」

     

    ビール、たばこ、衣類などの消費財は他国製品に代替可能である。だが、日本の核心部品素材なくしてスマートフォン、自動車、精密化学など韓国の産業は回らないのが実態だ。病院の超音波CTなどは日本製が大半で、放送も日本製装備がなければ撮影や送出は難しいというのが現状である。文大統領はこの実情を認めて、他国からの購入を諦め、自国で生産せざるをないと言ったのだ。 

    (3)「その詳細は不明だが、世界最大の半導体・スマートフォンメーカーであるサムスンのような企業が調達先を変更すれば、長期的には既存のサプライヤーが市場シェアを失うことになりかねない。税関データによると、日本は2018年に240億ドル相当の資本財を韓国に輸出している。 対立のいかなる激化も、経済への圧力を増すだけだ。両国経済は、ともに世界的な需要の減速や米中貿易戦争の対応に追われている」

     

    既述の通り、技術的に見て日本製品から他国への乗り換えが困難である。だから、韓国はWTOや米国に訴えて、韓国が正しく日本が間違えているので、輸出規制を撤廃させようとしている。

     

    日本は、輸出手続きを厳しくすると言っているだけで、「輸出禁止」ではない。それ故、輸出手続きが終わるまで時間はかかるが、輸出そのものは継続する。韓国の生産を止めれば、世界のサプライチェーンに影響が出る。それは、回避するだろう。

     

    日本政府は、今回の一件を外交手段に使うもので、韓国経済を混乱させる目的でない。ここを誤解しているから騒ぐに過ぎない。日本は、外交的に韓国を引きつける目的である。相撲で言えば、相手の回しを掴んで動きを封じることだ。


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    日本による対韓輸出規制の理由について、韓国は当初、その事実を否定していた。だが、すべて正しいことが判明。韓国政府は、苦境に立たされている。明らかににされてきた事実は、これが政府部門の仕事かと目を疑わせるほどだ。

     

    『朝鮮日報』(7月11日付)は、「戦略物資管理も弁明もでたらめな韓国産業部」と題する記事を掲載した。

     

    韓日間の経済確執局面で、通商分野の韓国側主務部処(省庁)である産業通商資源部(省に相当、以下、韓国産業部)が連日、ずさんな対応で日本に攻撃の口実を与えている。戦略物資の不正輸出をきちんと管理してこなかった実態が日本の報道機関で報道され、「韓国による戦略物資流出」を経済報復の名分にしようという日本の立場を有利にさせてしまっているだけでなく、この3年間にわたり韓日当局間の戦略物資関連会議が開催されていないことについて、基本的な事実確認もできておらず、「でたらめな弁明」をして大恥をかいた。

     

    (1)「日本のフジテレビをキー局とするフジニュースネットワーク(FNN)は、2015年から今年3月まで韓国政府が摘発した戦略物資不正輸出件数が合計156件にのぼると10日、報じた。韓国産業部はこの前日、日本の疑惑提起に対して「根拠がない」と反論していた。FNNは「密輸案件の中には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺時に使用された神経ガスVXの原料がマレーシアに不正輸出され、今回の輸出制限措置に含まれているフッ化水素(エッチングガス)がアラブ首長国連邦(UAE)に持ち出された件などが含まれている」と主張した」

     

    FNNの報道が大筋正しかったことが判明した。韓国政府は否定していたが、戦略物資に対する管理がデタラメであるとは驚くほかない。

     

    (2)「日本の報道機関が疑惑として提起しているVXに使用される可能性のある化学物質はシアン化ナトリウムとフッ化水素だ。韓国産業部によると、201712月にベトナム向け、今年1月にアラブ首長国連邦向けのフッ化水素酸(フッ化水素水溶液)の不正輸出が摘発された。韓国産業部関係者は「摘発されたフッ化水素の原産地は日本ではなく韓国や中国だ」として、「最近、日本製フッ化水素が韓国を経て不正輸出されたことはない」と弁明した。同部高官は「2015年以降、156件の違反を摘発したのは、それだけ韓国の戦略物資輸出統制システムがきちんと機能していることを示している。日本は摘発件数も公表せずに代表的な事例だけを明らかにしているが、この中には北朝鮮に不正輸出されたケースもあった」と語った」

     

    管理の責任は韓国にある。その事実を忘れたように日本を批判する。責任感の欠如が鮮明である。

     


    (3)「
    日本が輸出規制品目に盛り込んだフッ化水素の不正輸出を韓国政府がきちんと防げなかったことも問題だが、日本が不正輸出問題について攻勢をかけ始めた時点で、「日本から輸入された戦略物資」だけでなく、戦略物資の全般的な管理実態を明確に公表し、疑惑提起を事前に防ぐべきだったという批判の声もある。これだけではない。「韓日戦略物資会議は韓国側の拒否によりこの3年間開かれていない」という日本の主張に対しても、基本的な事実認識とは異なる説明をして反撃された」

     

    政府部門の仕事とは思えないルーズさに呆れるが、官僚機構の前近代性を証明している。先進国官僚機構に見られる「近代官僚制」とは異質の「家産官僚制」である。実態は、朝鮮李朝の残滓を抱えたままだ。

     

    (4)「今月8日、日本の西村康稔官房副長官が「戦略物資会議が開かれていないのは韓国のせいだ」という趣旨の発言をすると、韓国産業部関係者はすぐに「2018年に戦略物資会議が開かれなかったのは、当時の日本側担当局長の座が空席だったからだ」と反論した。すると9日、世耕弘成経済産業相はツイッターで「(日本側担当局長の座が空席だったという)韓国政府の説明は明白な事実誤認だ」と指摘した。経済産業省の石川正樹貿易経済協力局長は2017年から今月5日まで在職していたからだ。韓国産業部は「勘違いだった」と釈明した。日本が問題提起した会議は両国間の局長級実務会議で、通常2年ごとに開催されていたが、2016年以降は開催されていない」

     

    官僚機構にも、「反日」がはびこっているのだろう。こういう国家に対して、日本は「ホワイト国」扱いの優遇を与えるべきでない。


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