勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    韓国が、アジア大会で苦杯を喫し続けている。6大会連続総合2位達成を目標にしていたが、「ジャカルタ・ショック」に襲われている。中国の圧倒的な総合1位に手が届くはずもないが、しばらく韓国を下回っていた日本が健闘しているからだ。日本が、韓国のお株を奪って2位になりそうである、韓国は、こうしていっそうの危機感を強めている。

     

    韓国では、「学校体育」が未発達のようである。韓国の一流選手は、農村や漁村の出身者が、一攫千金的な夢を抱いて伸びてくるケースが多いという。日本のように小学校からの体育授業で、スポーツを楽しむ雰囲気がない。この日韓の差が、韓国の少子化の進行で韓国スポーツを弱体化させる。そういう危惧の声が出てきた。

     

    『朝鮮日報』(8月25日付)は、「選手がいない!!! 韓国スポーツ界に押し寄せる少子化の波」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今月18日にインドネシアで開幕したアジア大会を観戦している韓国のスポーツファンたちは、大会序盤でサッカーやバドミントンなど韓国が得意なはずの種目で苦戦している様子を苦々しく思っている。一部では韓国のいわゆる『エリートスポーツ』が崩壊する前兆との見方も出始めている。振り返ると、このような見方は実は20年前からあった。当時、記者は韓国が世界に誇っていたハンドボールとバドミントンのコーチや選手たちを取材したことがある。その時から、協会の関係者は、口を開くたびに『つらい思いをしてまでスポーツを続けたいという選手はほとんどいないし、メダルを取りさえすれば多くの恩恵が受けられた制度も見直されつつある』『われわれはそのうち間違いなく没落していくだろう』と嘆いていた」

     

    韓国では、スポーツの練習が辛いこと、と捉えている。今回のアジア大会で、水泳6冠に輝いた池江璃花子選手は、インタビューで「練習が楽しいから続けられる」と言った。この日韓の差は、学校スポーツが充実しているか否かにかかっているようだ。韓国は、儒教の国家である。暗記科目を強要しており、スポーツに割く時間を削っているのだろう。

     

    (2)「今、わが国の存立を根本から脅かす人口減少の波が、スポーツ界にも押し寄せ始めている。韓国における新生児の数は1971年に1024773人を頂点に減少を続け、昨年は新生児数が357700人にまで減った。とりわけ、2000年におよそ63万人だった新生児数は、02年に49万人とわずか2年で14万人も減った。それから4年後、満20歳を迎えて韓国代表になる若い選手の数が一気に減ったのだ」

     

    韓国の出生率低下は深刻である。今年に入って、韓国政府は合計特殊出生率が1.0を割り込む見込みと発表した。世界最低記録である。ここまで出生率が低下して、学校スポーツが低調とすれば、韓国スポーツ界は消滅の危機である。日韓戦となれば、異常な盛り上がりを見せるが、いずれそれも消えてしまうのだろう。

     

    韓国は、合計特殊出生率の低下が経済面でも大きな問題になっている。潜在成長率低下という形で表面化するのだ。政府は、出産対策で財政資金を投じているが、効果はさっぱりである。就職問題がネックになっており、結婚―出産という好循環の輪が結べないのだ。こうみると、根本は経済問題=就職向上の一点に帰着する。

     


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    「5G」という言葉が最近、頻繁に登場してくる。第5世代移動通信システムの意味だ。爆発的に増えている通信需要を賄うには、5Gが不可欠となっている。中国が巨額の研究資金を投じて、この分野の覇権を握る動きを見せていた。中国製の5Gが世界の主流になると、情報が全て中国へ筒抜けになり、安全保障上で最大の脅威になると警戒されている。

     

    こうしたリスクを避けるべく米英豪の3ヶ国は、すでに中国通信機会社の5G導入を禁止した。日本もこれにならい、同様の決定を下した模様だ。自由主義諸国にとって、中国の存在が極めて危険であることを改めて示している。

     

    中国は5G技術の主導権を握ることで、米国に肩を並べる世界経済大国への野望を強めている。5Gに基づく人工知能、ロボット技術、車の自動運転などハイテク分野において支配的な地位を狙おうというもの。このため、中国当局は、5G技術を「中国製造2025」計画で最重要分野として位置付けてきた。自由主義諸国にとって危険なのは、中国政府が5Gを遠隔操作して、自由自在に操られることになれば、完全に「占領」されたのも同然の事態を招くのだ。

     

    『産経新聞』(8月26日付)は、「中国通信機器2社を入札から除外、日本政府方針、安全保障で米豪などと足並み」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「政府が、安全保障上の観点から米国やオーストラリアが問題視する中国通信機器大手2社について、情報システム導入時の入札から除外する方針を固めたことが25日、分かった。機密情報漏洩(ろうえい)やサイバー攻撃への対策に関し、各国と足並みをそろえる狙いがある。対象となるのは、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)。両社に対しては、米政府が全政府機関での製品使用を禁じているほか、オーストラリア政府が第5世代(5G)移動通信整備事業への参入を禁止するなど、除外する動きが広がっている。背景にあるのは安全保障上の根深い危機感だ。米下院情報特別委員会は2012年の報告書で、両社が中国共産党や人民解放軍と密接につながり、スパイ工作にもかかわると指摘した」

     

    日本政府の決定は、安全保障上の理由から見て当然であろう。米英豪の3ヶ国に続いて日本が、中国製の5G導入を禁止したことで中国は窮地に立たされた。他の自由主義諸国でも同様の禁止措置に踏み切ると見られる。

     

    『大紀元』(8月25日付)は、「『中国製造2025』に打撃、豪政府がファーウェイの5G関与を禁止」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「ファーウェイなどの中国通信企業は近年、中国当局の支援を受けて、5Gの技術開発と国際規格標準化の主導権をめぐって欧米の同業大手と競争してきた。ロイターは、豪政府の決定が、中国当局が掲げる製造業振興『中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)に大きな打撃を与えたとの見方を示した)」

     

    (3)「英市場調査大手IHS Markitの調査では、超高速5Gネットワークの普及で、2035年まで世界経済に約123000億ドルの経済効果をもたらすと示されている。英BBCによると、米国が20104Gネットワークの採用と普及を主導したことで、米通信産業による国内総生産(GDP)への貢献が毎年4750億ドルで、2016年米GDP2.6%に相当し、470万人の雇用機会を創出した」

     

    Gの覇権を中国に握られることは、安保上の理由以外に経済的な利益が中国に転がり込むことである。こうなると、自由主義諸国は二重の意味で打撃を受けるわけで、今回の禁止措置が「水際作戦」であったことを示唆している。「中国製造2025」が5Gと結びつけば、中国が一気に浮上する機会でもあった。それを未然に防いだと言える。中国は、こういう野望を持っていたならば、外交戦術で居丈高になって先進国を刺激したミスが大きい。習氏の大失敗である。調子に乗りすぎて足下を払われた感じである。



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    韓国がまた衝撃を受けている。米国が、これまで「門外不出」としてきたステルス型戦闘機F22改良型計画への参加を、日本企業に認めたことだ。しかも、2030年をメドに、日本の開発・生産の分担比率50%以上にするという提案に、さらに驚いている。

     

    F22の性能については、世界最強の戦闘機とされている。その特色は、ステルス性能と超音速巡航速度にある。敵に見つかる前に敵を発見・攻撃・破壊という三拍子が揃ったもの。この米空軍の「虎の子」技術を日本に公開し、改良型の共同開発を認めたことは、日米同盟が新段階へ進む意味である。

     

    中国が猛烈な勢いで軍拡に進んでいる現在、これを食い止めて確実な安全保障体制を確立するには、最新鋭戦闘機で防衛する以外にない。米国が、アジアの安保体制において日本を「同等」の国として信頼を持つにいたった表れである。このほか、日米貿易赤字解消という狙いも込められている。

     

    『朝鮮日報』(8月24日付)は、「韓国に技術移転しない米国、日本と新型ステルス機を共同開発へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国政府は、F22の技術移転はもちろん完成機の販売すら禁じていた。今回、日本に対しては鍵を開けてやったのだ。米国は、韓国はもちろん盟邦たる英国やイスラエルにも、F35ステルス戦闘機は売ったもののF22は売らなかった。韓国軍のある消息筋は『韓国空軍の一部ではF22の配備を希望していたが、米国法で2018年まで海外販売が禁じられており、価格の高さなどのため実際にはその気になれなかった事案』と語った」

     

    米国が、これまで英国やイスラエルにさえ販売しなかったF22の改良型の共同開発を日本に認めたのは、「超破格」というべき措置である。この裏には、①日本の機密保護法が情報漏洩を防ぐこと、②中国軍の現実的脅威が迫っていること、③日本がアジア安保体制を米国と担うこと、などの諸点を意味するであろう。機密保護法については、日本国内で大変な騒動を巻き起こしたが、国民の知る権利を侵さない限り、役立つ法律であろう。

     

    (2)「日本経済新聞は、改良型F22が配備された場合、日本全域の防衛が一層強化されるだろうという見方を示した。専門家らは特に、日本の次世代戦闘機が、既存のF22やF35を上回る世界最強の戦闘機になるかもしれない、という点に注目している」

     

    朝鮮日報記事では、「F22の改良型が世界最強の戦闘機になるかも知れない」というが、F22がすでに世界最強の位置にある以上、さらにその上を行く「絶対的戦闘機」として、日本とアジアの安保体制に寄与する。

     


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    次世代の自動車とされるEV(電気自動車)は、各国がしのぎを削って開発競争を演じている。ただ、電気自動車の普及上で最大の問題は、充電時間の長さと言われてきた。急速充電が可能になれば、ガソリンエンジンとの差を縮められる。

     

    これまで、日中が技術開発面で競い合ってきたが一転、共同開発で合意したという。この合意から韓国が外れていることに、ショックを受けている。韓国の現代自は急速に経営が悪化している。ここで、日中が手を組みEV充電器の世界規格をリードすれば、決定的に立ち後れると懸念しているのだ。

     

    『韓国経済新聞』(8月23日付)は、「日本、中国と電気自動車充電器同盟、韓国は仲間はずれ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本と中国が電気自動車(EV)用急速充電器の次世代規格を統一することで合意した。世界の自動車充電器市場の90%以上を掌握している両国が充電器規格を統一する場合、国際標準も両国が作った規格に従う可能性が高い。日中は2020年を目標に、10分以内に車両充電が可能な機器を共同開発することにした」

     

    EVの普及では、中国が世界一である。深刻な大気汚染対策と同時に、EVで世界一を目指すというもの。これは、例の「中国製造2025」の一環である。これに日本が協力するのか、という疑問を持たれるだろうが、安全保障に関わる問題ではない。それよりも、日本技術が中国を引き込む形になるので、「一歩下がって勝利を得る」形と思われる。

     

     

    (2)「これまで電気自動車用バッテリー充電器は日本と中国、欧州連合(EU)が標準規格の取りに向け競争してきた。今年までに設置された世界の電気自動車急速充電器は中国のGB/T方式が22万台、日本のCHAdeMO方式が1万8000台ほどだ。欧州のコンボ方式の充電器は7000台ほどが供給されたと推定される」

     

    いままでに設置された世界の電気自動車急速充電器では、中国がトップの22万台。日本はその9%ほど。戦略としては、「小が大を飲む」形である。日本には、相当の知恵者がいたので、こういう日中共同開発に持ち込んだと見られる。後のパラグラフにあるように、「日本は中国側に急速充電技術と安全管理方法を伝授し、中国は円滑な部品供給を担当する」という点に現れている。日本の技術が世界標準になるのだ。


    (3)「中国と日本が作った統一規格が国際標準になれば日本の自動車メーカーの電気自動車輸出と中国市場進出に弾みがつくと予想される。両国は今後出力500キロワット級の製品を実用化し、充電時間を現在の30分程度から10分以下に短縮するという目標を立てた。日本は中国側に急速充電技術と安全管理方法を伝授し、中国は円滑な部品供給を担当する方針だ」


    トヨタと日産は、中国でそれぞれ1000億円ほどを投資し、電気自動車を含め車両生産を20~30%増やす計画を発表した。主力はEVであろう。日本メーカーの躍進の土台作りに、今回の日中共同開発計画が寄与するものと思われる。その意味で、韓国は出遅れる。

     


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    韓国で最大部数を誇る『朝鮮日報』が、これほど日本を褒めて報道してくれたことはない。いつも政治がらみで、「チクり」と刺す記事は見られるが、純粋に日本人の心を捉えた記事に出会うと、読む側もうれしくなるから不思議だ。

     

    『朝鮮日報』は、8月9日付と22日付の2回にわたり取り上げている。

     

    夏の甲子園100年 冷めない熱気に見る日本社会の縮図」(8月9日付)

    「甲子園に旋風巻き起こした農業高校の生徒たち」(8月22日付)

     

    まず、8月9日付を紹介したい。

     

    (1)「今年で100回目を迎えた夏の高校野球に日本全体が注目している。開会式には来春天皇に即位する皇太子も出席した。今大会には全56チームが出場している。NHKの番組はニュースの時間も移動させ、全試合を生中継する。毎日新聞や朝日新聞などの大手日刊紙は毎日紙面を34面割いてこの大会を報道する」

     

    (2)「韓国ではプロ野球に押されて高校野球の人気が下火になっているが、日本では「高校野球シーズン」になると今も全国各地で熱い応援が繰り広げられる。高校野球開催期間中は全国各地から100万人以上が西宮市内に集まってくる。今年は日中の気温が35度前後に達するほどひどい暑さだが、甲子園球場の48000席は連日満員だ。同球場を本拠地とする日本のプロ野球チーム・阪神タイガースもこの時期になると、アウエーの試合ばかりになる」

     

    (3)「高校野球が純粋さや闘志で伝説を作ってきたのも甲子園人気に貢献している。このため、高校野球は『日本社会の縮図』という声もある。愛郷心・成長ストーリー・伝説など日本人が好きな要素がすべて含まれているということだ」。

     

    高校野球には、愛郷心・成長ストーリー・伝説など日本人が好きな要素がすべて含まれていると指摘している。そう言われれば、その通りだろう。

     

    次は、8月22日付である。

     

    (4)「第100回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦で、大阪府の野球名門校・大阪桐蔭高校が秋田県の金足農業高校を132で下し、通算5度目の優勝を飾った。しかし、観客48000人とテレビ中継陣、選手たちの視線は、涙をこぼす金足農の背番号1番の選手に注がれていた。3年生投手の吉田輝星(17)。予選5試合と本選の初戦から準決勝戦までの全10試合で1395球を投げて完投勝利を収め、チームを決勝戦まで導いた第一功労者だ。決勝戦にも先発登板し、同大会初の「先発6試合で全勝」という大記録を立てるかと思われた。ところがこの日は肩の疲れを隠せず、5回までで12失点して崩れた」

     

    (5)「金足農は地方の農業学校。選手全員が秋田県出身で普段は稲作や豚の飼育法などを学んでいる。大都市に人口が流出し、生徒数が減っているため部員集めも容易でない。金足農の監督が決勝までの毎試合で吉田を先発させ、主力メンバー9人を一度も変えなかったのは、選手層が非常に薄いためだ。満塁の場面でもスクイズなしでは得点できないほど貧弱な攻撃力だったが、根性一つで決勝まで勝ち上がってきた。秋田県の高校が決勝戦に進出したのは、第1回大会(1915年)以来、103年ぶりでもある」

     

    (6)「(金足農の)吉田とチームメートたちは昨年の秋田予選決勝で40とリードしていながら終盤で逆転負けを喫して甲子園に来られなかった。そのため、今年の冬は雪が1メートルも積もっている山道を走って体力を鍛え、ついに3781校が参加した今大会の「最高のスター」として注目を浴びた。選手9人が甲子園で奮闘している間に同校の農場では子豚が9頭生まれた。甲子園球場の100回目の夏が終わった」

     

    この記事に何も付け加えうることはない。いい試合でした。


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