勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 英国経済ニュース

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    「週休3日制」が、英国で試行する動きがはじまった。「最初は在宅勤務だった。今度は週休3日制だ。新型コロナウイルスの感染拡大前にはほとんど想像できなかった働き方が、現実のものとなりつつある」。英紙『フィナンシャル・タイムズ』(1月24日付)はこう報じた。いよいよ、その「想像もできなかった働き方」テストが始まったのだ。

     

    ビジネスマパーソンにとって、良いことかそうでないのか。人によって、受取り方は様々だろう。仕事を持つ「ママさん社員」にとっては、休日が一日増えて助かることは確かだ。その分、日常勤務の密度は上がる。日本でも、週休3日制議論が始まるであろう。

     

    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(6月8日付)は、「週休3日で生産性は変わるか、英で大規模実証実験」と題する記事を掲載した。

     

    英国の多数の企業が給与据え置きのままの週休3日制度を試験導入する。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、経営者が従業員の働き方の見直しを模索しているためだ。

     

    (1)「英企業約70社の労働者3300人以上は、週休3日でも生産性が落ちないかどうかを検証する6カ月の実証実験を始めた。ロンドン証券取引所の新興企業向け市場「AIM」に上場するIT企業「ワンディスコ」や新興デジタル銀行「アトムバンク」などは既に似た制度を導入しており、労働日数を減らすことで就業中の生産性を向上させ、従業員の士気向上にもつなげる狙いがある」

     

    週休3日制のカギは、生産性が上昇するかどうかであろう。生産性が落ちれば、企業は減益要因をつくるようなことになる。社員の士気を高め、生産性が上がる方法を見つけられれば、週休3日制は定着するであろう。

     


    (2)「柔軟な働き方の実験として、過去最大とうたうこのプロジェクトは、非営利組織「4デイ・ウィーク・グローバル」が立ち上げた。英シンクタンクのオートノミーや英ケンブリッジ大、英オックスフォード大、米ボストンカレッジも参画する。実証実験は、一部の経営者からの柔軟な働き方に対する反発に対応するものともなった。ロイター通信によると、米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は5月末、少なくとも週40時間のオフィス勤務を復活させるよう従業員にメールを送った。英官庁街ホワイトホールの公務員も閣僚にオフィス回帰を指示された」

     

    週休3日制が柔軟な働き方改革になれば、在宅勤務と組み合わせて、どういう結果が出るだろうか。テスラのイーロン・マスク氏のように、少なくとも週40時間のオフィス勤務が必要という見方もある。週休3日制が定着すれば、マスク氏も逆らえなくなろう。

     


    (3)「実験に参画する企業は教育、企業コンサルタントから銀行、IT、小売、人材紹介など幅広い分野に及ぶ。各社とも、研究者が生産性、福利厚生、環境や男女格差に与える影響を調査することに同意している。年内には、スコットランドやスペインでも週休3日の試行が始まる予定だ」

     

    実験に参加する業種は、各分野にわたっている。注目すべきは教育である。日本で実施されれば、義務教育に携わる教員の過剰労働は軽減されよう。年内に、英国のほかにスコットランドやスペインでも実施される。

     

    (4)「4デイ・ウィーク・グローバルのジョー・オコナーCEOは、英国は「週休3日を目指す世界的な潮流の最先端にいる」と話す。「競うべき新たな領域は生活の質であり、労働時間の短縮と生産性の向上に焦点を当てた働き方こそが競争力を高める手段となる」と認識する企業が増えているという。実験では休日の増加で労働者がどう変わるかを調べる。調査の要素となるのはストレス、仕事・生活への満足度、健康、睡眠、エネルギー消費や通勤などだ」

     

    週休3日制の狙いは、「競うべき新たな領域は生活の質であり、労働時間の短縮と生産性の向上に焦点を当てた働き方こそが競争力を高める手段」という認識だ。日本のように少子化が進む社会では、女性の負担を軽減する社会改革と同時に行なわれれば、意外に「日本再生」のカギになる可能性を見出すことになろう。

     


    (5)「実験に参加する「チャリティー銀行」のエド・シーゲルCEOは、柔軟な働き方の「ゴールポストをパンデミックが動かしてしまった」と指摘する。「20世紀的な週5日労働は、もはや21世紀の企業に適しているとは言えない。給与や福利厚生を維持した週休3日制は労働者の幸福度を上げ、企業の生産性や顧客体験、企業の社会的使命に等しくプラスの効果を与えるのは間違いない」と指摘」

     

    週休2日制は、20世紀の産物である。21世紀は、週休3日制によって人間らしい働き方=生き方を模索する時代である。このパラグラフでは、こう指摘している。皆さんの感想はいかがであろうか。 

     

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    ロシアが、ウクライナ侵攻を始めてすでに2ヶ月を経た。ロシア軍は、当初の軍備が25%も損耗していると報じられている。一方のウクライナ軍は、NATO(北大西洋条約機構)から武器弾薬の補充を受けている。ウクライナが、相対的に有利な立場になってきたと伝えられている。

     

    こうした状況を受けて、英国外相はこれまでの慎重論から一歩出て、ウクライナからロシア軍を押し出せとまで発言するようになった。

     


    英『BBC』(4月28日付)は、「トラス英外相、ロシアを『ウクライナ全土から押し出すべき』」と題する記事を掲載した。

     

    イギリスのリズ・トラス外相は4月27日、ロシア軍を「ウクライナ全土から」押し出さなければならないと発言した。

     

    (1)「ロンドン市長の官邸「マンション・ハウス」での基調講演でトラス外相は、ウクライナの勝利は西側諸国にとって「戦略的急務」となっていると語った。イギリスはこれまで、ロシアのプーチン大統領のウクライナ侵攻を「失敗させ、そう見せる必要がある」と述べるにとどまっていた。この日のトラス氏の発言は、ウクライナでの戦争をめぐるイギリスの目標を、これまでで最も明確に示したものといえる」

     

    イギリスは、これまでウクライナ戦争について慎重な見方に立ってきた。それが、ロシア軍をウクライナから押し出せと目標を明確化した。

     


    (2)「トラス外相は、西側の同盟諸国はウクライナへの支援を「倍増」しなくてはならないと強調。「ロシアをウクライナ全土から押し出すために、これまで以上に、より早く行動し続ける」と述べた。これは、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきとの考えを示唆したものとみられる。侵攻開始から1カ月の節目に、ロシアはその目的を「ドンバスの解放」と位置付けた。ここでいうドンバスとは主に、ウクライナのルハンスクとドネツクの両州を指している。これらの地域の3分の1以上はすでに、2014年に始まった紛争で親ロシア派の武装組織が制圧している」

    ロシアが、2014年にクリミアを占領して以来、行なってきたウクライナの領土奪取に対し、すべて取り戻すという目標設定である。英国が、ここまで高い目標を掲げたのは、軍事的に可能という前提があるのだろう。ロシア軍は、それだけ弱体化しているということかも知れない。

     

    西側諸国からの経済制裁で、ロシアは軍需部品が輸入できなくなっている。遅くも来年初めには、ロシアの軍需品生産がストップする見通しという。こういう詳細な情報を積み立てていけば、ウクライナ軍に有利な展開になるのだろう。

     


    (3)「トラス氏の野心的な目標は、全ての西側諸国と共有されているわけではない。武力によってであれ交渉によってであれ、達成は難しいとの懸念があるためだ。フランスやドイツの政府関係者からは、戦争の目的を明確にすればロシアを挑発するリスクがあるという慎重な声も出ている。それらの関係者は、ウクライナ防衛という表現に絡めて話をすることを好んでいる。トラス外相の発言は、目標を高く設定することで、ウクライナが今後、交渉の場に立った際に、政治的和解についてより有利に立てるようにしたいという西側諸国の思いを反映している」

     

    英国が、仏独の慎重な言動に比べて積極的なのは、英国防省が軍事情報を収集している結果であろう。前線の詳細な動きを把握しているのだ。

     


    (4)「トラス外相はまた、西側諸国は「経済的影響力」を使って、ロシアを西側の市場から排除すべきだと述べた。「グローバル経済へのアクセスは、ルールにのっとっているかで決められるべきだ」とトラス氏は指摘した。最大野党・労働党のデイヴィッド・ラミー影の外相は27日、トラス氏の演説は、保守党政府の10年超にわたる防衛・安全保障政策の「失敗を認めたように思える」と指摘した」

     

    ロシアが、再び周辺国を侵略しないようにするには、長期にわたり経済制裁を続けることだ。軍需生産の息を止めなければ、安全保障面で周辺国は安心できないだろう。

     


    (5)「トラス氏は演説の中で、西側諸国はロシアのさらなる侵攻を防ぐための対策を講じるべきだと訴えた。これには防衛費の増額も含まれるとし、北大西洋条約機構(NATO)が各国の拠出目標として設定している国内総生産(GDP)2%という数値は「上限ではなく下限と見るべきだ」と述べた。さらに、ロシアから脅威を受けている国々に対する武器供与にも積極的な姿勢を示した。「ウクライナだけでなく、西バルカン諸国やモルドヴァ、ジョージアといった国々が、主権と自由を維持する耐久力と能力を持てるようにするべきだ」

     

    NATO諸国が、国防費を増額することも大事である。だが、根本的にはロシアの軍需産業を復活させないことだ。ロシアは、世界45ヶ国へ武器輸出している。中国はその第二位である。日本の安全保障面からも、ロシアの武器輸出を止めなければならない。

     


    (6)「スウェーデンやフィンランドがNATO加盟を選んだ場合には「迅速に統合させることが必要だ」と述べた。「ウクライナの戦争は我々の戦争、全員の戦争だ。ウクライナの勝利は、我々全員の戦略的急務になっているからだ」、「重火器、戦車、戦闘機……倉庫の奥まで探し回って、生産能力を高める必要がある。そのすべてをする必要がある」、「私たちは慢心できない。ウクライナの運命はまだ拮抗(きっこう)している。はっきりさせておきたいのは、もしプーチン大統領が成功すれば欧州全体に甚大な悲劇が起こり、世界中に恐ろしい影響が出るということだ」と指摘した」

     

    スウェーデンやフィンランドがNATOへ加盟するとなれば、ロシアがウクライナ侵攻した意味がゼロになる。21世紀の現在、ロシアのように周辺国を侵略することは、これを以て最後にすべきだ。

     

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    日本政府は2月18日、TPP(環太平洋経済連携協定)への加盟を希望する英国の審査でルール分野の協議をほぼ終えたと発表した。データ流通や知的財産で、高いルール水準を堅持し、英国がこれをクリアしたという意味だ。今後は、最後の関税率引下げ交渉に入る。

     

    TPPへ加盟申請している中国にとって、良い知らせではない。英国が現行TPP規定をパスした以上、中国だけに規定緩和が許されないからだ。すでに、林芳正外相は2月12日、訪問先のオーストラリアで豪州のペイン外相と会談した。中国が加盟申請するTPPについて「基本的価値を守る」ことで一致した。これは、中国が国有企業の優遇などでTPPの基準を満たしていないことを指している。日豪は、TPP加盟基準を下げないと確認したのだ。

     


    『日本経済新聞』(2月19日付)は、「
    TPP ルール水準堅持 英加盟で協議 中国けん制」と題する記事を掲載した。

     

    政府は18日、TPPへの加盟を希望する英国の審査でルール分野の協議をほぼ終えたと発表した。今後、関税交渉に入る。同日、TPP加盟国の交渉官らがオンライン形式の会合で合意した。

     

    (1)「英国のトレベリアン国際貿易相は、「力強いTPPに加わるための画期的な節目だ。交渉のフィニッシュラインも見えてきた」とコメントした。英政府はトレベリアン氏が21日の週に日本やシンガポールなどを訪問すると発表した。市場アクセスといったTPPの残りの課題などについて話し合う見通しだ。作業部会の議長国である日本は、30日以内に関税撤廃率など市場アクセスの条件を提示するよう求めた。英国がいまの加盟国並みに高い水準の撤廃率を示せるかが焦点だ」

     

    英国は、TPPのハイレベルの諸規定にパスしたので、後は関税撤廃率などについて30日以内に高い撤廃率を提示できれば最終合格となろう。英国がここまでこぎつけてきて、関税率撤廃で立ち往生することにはなるまい。すでに、国内で調整済と思われる。

     


    (2)「TPPが定めるルール水準は、日中韓など15カ国が参加する東アジアの地域的な包括的経済連携よりも厳しい。中国のTPP加入を巡って、加盟国側は英国の適合審査を通じ、高いルール水準を堅持する姿勢を示した。山際大志郎経済財政・再生相は18日の記者会見で「例外なくハイスタンダードなレベルでなければ交渉は先に進まない」と強調した」

     

    TPP加盟国側は、英国審査に当たり中国の加盟申請の扱いが頭にあったはず。仮に、中国を加盟させたい国があったとすれば、対英国の審査でも条件緩和を提案した筈だ。それがなかったことは、中国加盟を暗黙裏に「否定」していると見られる。

     

    当の英国はTPPへ正式加盟後、中国の加盟審査を行なう側になる。その英国は、中国のTPP加盟阻止を旗印にしている。

     


    『日本経済新聞』(21年6月29日付)は、「『中国の途上国扱い是正を』 英貿易相インタビュー要旨」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国は不透明な政府補助金や進出企業に対する強制的な技術移転政策、強制労働などの問題がある。TPPの取り決めはWTO(世界貿易機関)のルールよりも透明性の基準が高い水準にある。(TPP参加には)中国はもっと努力し、WTOルールを守る必要がある」

     

    英国が上げる中国のTPP加盟を困難視する理由。

    1)不透明な政府補助金=輸出を支援している

    2)進出企業に対する強制的な技術移転政策=違法な技術窃取

    3)強制労働=新疆ウイグル族への強制収容に伴う強制労働

     

    前記の3点は、致命的な問題である。中国が、これらを是正すると約束すれば、中国経済はもとより国家としての中国が成り立たなくなろう。新疆ウイグル族問題は、他の少数民族弾圧とも絡んでいるからだ。

     


    (4)「WTOの途上国の地位は、貿易を通じて人々を貧困から救い出すために支援を必要とする国にだけ活用されるべきだ。その点で中国は明らかに途上国ではない。WTOが創設された1995年時点では中国経済は米国の1割の規模だったが、今は状況が全く異なる」

     

    WTOの地位で、中国が自主申告によって、途上国に止まるのは不合理としている。中国は、TPP加盟交渉の際に、このWTOにおける「途上国枠」を利用し加盟条件の引下げを要請するに違いない。英国は、この中国式策略を見抜いて、「反対」姿勢を打ち出しているのであろう。英国は、香港問題で中国から「一国二制度」を破棄された苦い経験がある。「江戸の仇は長崎で討つ」で、TPP加盟阻止に全力を挙げるはず。そのように広言しているのだ。



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    英国と中国の関係が先鋭化している。英議会議長は、中国の鄭沢光駐英大の議会への出入りを禁止する方針を示した。鄭大使は15日、英議会内で開かれる親中派の超党派グループによる会合に出席する予定だったが、一部議員から抗議の声が上がったため、上下両院の議長が同決定を下した。

     

    こういう英中関係悪化の中で、英国が誇るケンブリッジ大学研究所が、中国のファーウェイと親密な関係にあることが発覚して、騒ぎが広がっている。英国の頭脳流出という危険性が唱えられているのだ。

    『大紀元』(9月16日付)は、「英ケンブリッジ大研究センター、中国ファーウェイと緊密な関係 議員らが調査呼びかける」と題する記事を掲載した。

     

    英ケンブリッジ大学の研究センター「ケンブリッジ中国管理センター(CCCM)」に所属する複数の研究者が、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)とつながりを持っていることがわかった。英議員らは政府に対し、大学などの中国資金への依存について直ちに調査を行うよう要請した。英紙『タイムズ(The Times)』が13日に報じた。

     


    (1)「同紙によると、2018年に深圳市で立ち上げられたCCCMの胡平代表は、ファーウェイの元上級副社長で、中国国務院の特別手当の支給対象者でもあるという。同特別手当は中国政府が高く評価する専門家に支給されている。CCCMは、胡氏がケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクールやCCCMに対して、今までいかなるサービスも提供したことがないとタイムズ紙に回答した。しかし、CCCMのウェブサイトには胡氏が代表者だと記載されていた。CCCMはタイムズ紙からの問い合わせを受けた後、胡氏の情報をウェブサイトから削除した」

     

    2018年に深圳市で立ち上げられたCCCMは、代表者が胡平氏である。ファーウェイの元上級副社長で、中国国務院の特別手当の支給対象者でもある。ここまで、はっきりした中国政府の紐付き人物が、代表者であるCCCMは英国として見逃せないはずだ。

     


    (2)「CCCMのウェブサイトで経営陣として紹介されている4人のうち、3人がファーウェイと密接な関係を持つとされる人物だった。ファーウェイの創業者で、最高経営責任者(CEO))の任正非氏の側近である田濤氏の名前もあった。CCCMの名誉研究員であるDavid De Cremer氏は、田氏と共同でファーウェイを賛美する書籍を執筆し、イギリスや中国での講演でファーウェイの携帯電話を勧めていた。また、CCCMのディレクターの1人である尹一丁氏も、田氏と共にファーウェイを宣伝する記事を執筆した。同紙は昨年、CCCMは中国政府から20万ポンド(約3000万円)、ファーウェイから15万5000ポンド(約2345万円)の資金提供を受け取ったと報じていた」

     

    このパラグラフによれば、CCCMは完全に中国の虜になっており「PR」機関である。ますます、英国として放置できないであろう。

     


    (3)「英 NGO「香港監察」の政策責任者、ジョニー・パターソン(Johnny Patterson)氏は、「ファーウェイと中国政府の関係は、もはや秘密ではない」と指摘した。両者の密接な関係は国家安全保障に重大な影響を与えるとし、ケンブリッジ大学は調査を行うべきだと述べた。いっぽう、ファーウェイは、「これらの疑惑は、学術界とビジネス界のパートナー関係に対する根本的な誤解を反映している」と反論した」

     

    ファーウェイは、米国の大学でも同じ手口を使って、研究成果を盗み出している。ケンブリッジ大学は、余りにも金銭に目が眩んでしまったのだろう。

     


    (4)「英国のトップ20の大学は近年、ファーウェイや中国の国営企業から4000万ポンド(約60億円)以上の資金提供を受けていると言われている。2018年、オックスフォード大学は今後、ファーウェイからの資金提供を受けないと発表した。イアン・ダンカンスミス(Iain Duncan Smith)元英保守党党首は12日、「英国の大学は近年、中国からの資金に依存しすぎている」と危機感を示し、政府は機関や企業の中国への依存度を緊急に調査すべきだと述べた。「ケンブリッジ大学のケースは特に最悪だ」と付け加えた」

     

    英国トップ20の大学が、約60億円以上の資金提供受けていることは危険である。研究成果を奪取されるのは目に見えている。余りにも、迂闊過ぎる話だ。

     

    (5)「英国下院外交委員会の委員長で、中国研究グループの会長を務めるトム・トゥーゲンドハット(Tom Tugendhat)議員も、「学術的影響力は明らかに問題だ」と指摘した。「大学が喫煙と癌の関連性を調査するのに、タバコ会社から資金を決して受け取らないのと同じように、各機構は自分たちの資金の源について細心の注意を払う必要がある」と述べた」

     

    どこの大学でも研究費獲得が大きな課題である。ファーウェイや中国国有企業は、そこに目を付けて研究成果奪取を目論んでいるもの。危ない話である。

     

     

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    英国は、EUを脱退した後、アジアへ経済・安保の面で接近している。EU脱退理由が、EUの発展性に限界を感じた結果であるからだ。日本やASEAN(東南アジア諸国連合)との関係を強化して、「準アジア的」存在を目指している。この外交戦略は、着々と効果を上げ初めている。

     

    英政府は8月5日、ASEANが英国を経済や安全保障などで協力を強化する国・地域と定める「対話国」に認定したと発表。経済担当の閣僚や外相による毎年の協議を通じて、両者の関係強化を目指す。英政府によると11番目のASEAN対話国・地域となる。英国は2020年1月末にEUを離脱したため、同6月にASEANに「対話国」となる申請をしていた。ASEAN「対話国」には、すでにEUのほか日本や米国、中国、韓国、ロシアなどが名を連ねている。

     


    英国は、既述の通りASEANが経済的に大きな発展可能性を持っていることに着目している。EUを脱退してまで、アジアの潜在的な可能性に賭けたものだ。この可能性を現実化させるには、中国のASEANへの軍事的脅威を防ぐ役割も果たさなければならない。この安保面での協力が、英国とASEANの絆を深めるきっかけになると見ていることは間違いない。

     

    英国は最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を、日本へ9月到着予定で出港させている。中国と東南アジア諸国数ヵ国が、領有権を争う南シナ海を経由して日本に向かうもの。同空母打撃群は、英国海軍の駆逐艦2隻、フリゲート2隻、支援艦2隻の他、米国海軍とオランダ海軍の艦船が同行している。インド、シンガポール、韓国にも寄港する予定だ。今回の英国のASEAN「対話国」決定と合せ考えると、英国は絶妙なタイミングで動いていることが分かる。

     

    英国だけが、アジアへ傾斜しているのではない。ドイツやフランスも同様に熱い視線を注いでいる。

     


    『日本経済新聞』(8月6日付)は、「
    英仏独、南シナ海に艦船 大規模訓練も」と題する記事を掲載した。

     

    英国やフランスが今年に入り、中国が実効支配を強める南シナ海に空母など軍艦を相次ぎ派遣している。中国の軍事拠点化の阻止を目指すバイデン米政権と歩調を合わせる狙い。中国がこうした動きに反発の姿勢を強めるなか、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は緊張の高まりを懸念する。

     

    (1)「英海軍の空母クイーン・エリザベスを中核とする空母打撃群は5月に英国を出発、7月中旬にインド洋に到着しインド海軍などと共同訓練を行った。その後、7月最終週に南シナ海に入り数日かけて同海域を航行後、81日ごろに台湾の南のルソン海峡を経由してフィリピン海に到達したもようだ。フィリピン海では米国や日本、オーストラリア、フランス、韓国、ニュージーランドの空軍や海軍と大規模な合同演習を実施する。日本の防衛省関係者は「英空母を交えた訓練は異例だ」とこの合同演習の重要さを強調する。打撃群は9月には日本に到着する予定だ」

     

    英国が、打撃群を引き連れた「クイーン・エリザベス」をアジアへ航行させている裏には、歴史的な痛い経験がある。英国は、ナチス・ドイツが弱小周辺国を侵略して行く過程で当初、宥和政策をとっていたことだ。それが、ドイツを図に乗らせてポーランド侵攻へ走らせ、英国は堪りかねて対独宣戦布告し、第一次世界大戦が勃発したという経緯だ。

     


    習近平は、ナチスと同様の行動を始めている。手始めは、南シナ海への侵攻である。先進国はこれを傍観していた。中国は、これに勢いづき香港を飲み込み、台湾と尖閣諸島へ軍事的圧力をかけ始めている。英国が、神経過敏になっている歴史的背景を見落としてはならない。習近平の「サラミ戦術」は、ヒトラー直伝であるからだ。

     

    (2)「フランスも5月末、攻撃艦とフリゲート艦1隻に中国が軍事拠点化を進める南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺を航行させた。年初にすでに攻撃型原子力潜水艦を南シナ海に派遣しており、月内に仏空軍の戦闘機や輸送機がオーストラリアからインドまでに至る東南アジアの空域で大規模な訓練を実施する。ドイツも7月2日に230人を乗せたフリゲート艦「バイエルン」が独北西部からインド太平洋地域に向けて出発。独外務省は同艦が南シナ海を横断すると明らかにした」

     

    フランスもドイツも、英国に負けじと軍艦をアジアへ派遣している。英国が、空母と打撃群という実戦体制で臨んでいるから見劣りするものの、「気迫」だけはアジアへ示さなければならず競演状態と言える。

     


    (3)「中国は英仏の動きに神経をとがらせている。共産党系メディアの環球時報(英語版)は7月29日、クイーン・エリザベスの打撃群が南シナ海に入ったことを受けて「英国が地域で存在感を示そうとする努力だ」と指摘し「中国は南シナ海で軍備を増強してきた。極端な軍事衝突の際にこうした空母は非常に脆弱になる」などと威嚇した。中国人民解放軍は8月6~10日に南シナ海で軍事訓練を実施する」

     

    中国をけん制することは必要である。中国は、軍事的に「空白地帯」と見れば、すかさず手を延ばすからだ。南シナ海での島嶼窃取は、米軍がフィリピンを撤退した「空白期」を狙ったものである。中国は、相手国が弱いと見ればすぐに軍隊を動かす国である。ヒトラーと酷似しているのだ。独裁国特有の動きである。

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