日産自動車が、苦境に立たされている。社内の予測で、自動車製造部門の余剰資金が今期(26年3月期)中にほぼ底を突くという。この予測は、米国関税が維持され事業への資金注入がない前提に基づいているが、資金的に綱渡りを強いられている。そこで、横浜市の本社ビルを売却しテリースバック方式で賃貸する案なども検討するほか、英国政府系の機関である英国輸出信用保証局から保証が付いた10億ポンド(約1900億円)のシンジゲートローンも受けることも視野に入れるほどだ。
『ブルームバーグ』(5月28日付)は、「日産が1兆円規模資金調達計画、英政府保証付き融資も視野―関係者」と題する記事を掲載した。
経営が悪化し、社債の償還期限の問題に直面している日産自動車は借り入れやさらなる資産売却を通じて1兆円規模の資金調達を検討している。
(1)「ブルームバーグが確認した文書によると、高利回りのドルやユーロ建てを含む最大6300億円の転換社債や普通社債を発行する。また、英国政府系の機関である英国輸出信用保証局から保証が付いた10億ポンド(約1900億円)のシンジゲートローンも受けることも視野に入れる。日産はまた、保有する仏ルノーや電池メーカーのAESCグループの株式、南アフリカとメキシコの工場を売却する計画。さらに、横浜市の本社と米国にある不動産も売却してリースバックすることも検討している。英国輸出信用保証局の広報担当者、アンディ・アストン氏は特定の取引に関する臆測についてはコメントしないと述べた」
日産は、現金化できる資産はすべて売却するという危機に立っている。英国政府機関からの融資まで受ける話まで進めているとなると、ただ事でないという印象だ。
(2)「事情に詳しい複数の関係者によると、4月に就任したイバン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO)は、今月に入って取締役会にこの計画を提示した。資金の一部は4~6月期(第1四半期)中に調達する方針だが、承認は得ておらず実現するかどうかは不透明という。新たな資金調達は既存の社債の借り換え分も含んでいる。報道を受け、午後の取引再開直後から日産株は上昇幅を拡大」
エスピノーサ氏の提案した資金調達計画は、まだ役員会で承認されていないという。
(3)「日産とその関連会社は2025年に総額16億ドル(約2300億円)、26年に同56億ドル近くの社債が償還期限を迎え、今後の資金繰りが正念場を迎える。日産が資金調達を急ぐ背景には、社内の予測で自動車製造部門の余剰資金が今期(26年3月期)中にほぼ底を突くとの見通しが示されたことがある。この予測は米国関税が維持され、事業への資金注入がない前提に基づいている。エスピノーサ氏は、15日のインタビューで、日産は約2兆2000億円の手元資金に加え、未使用のコミットメントラインもあり「流動性の面では堅固な基盤を築いている」として、今後12~18カ月間は何もせずとも事業継続が可能だと話していた」
日産が、資金調達を急ぐ背景には、自動車製造部門の余剰資金が今期(26年3月期)中にほぼ底を突くとの見通しがあるからだ。
(4)「文書によると、米国の関税が維持された場合、今期の営業損失は最大で4500億円に達する。関税が撤廃された場合でも3000億円と予測されており、過去最大の営業赤字となる見込みだ。同社は13日に公表した決算資料で今期の利益予想を未定としたが、関税影響を除いた今期の営業利益については収支とんとんを見込んでいるとしていた。日産は、英国のサンダーランド工場でのEV生産拡大のため、20億ポンドの投資を公表している。英国政府は欧州連合(EU)離脱後の不確実性が続く中、このプロジェクトを歓迎している。関税に関して米国と英国は貿易協定に合意していることから、英国から米国への輸出によってメリットを享受できる可能性もある」
今期の営業損失は、最大で4500億円に達するという。これは、大変な事態である。13日に公表した決算資料では、今期の利益予想を未定としていた。実態は、これだけの赤字予想である。
(5)「4月1日にCEOへ就任したエスピノーサ氏は、北九州市で予定していた電池工場の建設計画の撤回したほか、今月には2万人の人員削減と、世界17工場のうち7工場の閉鎖を計画すると発表。急ピッチでリストラを加速している。ただ、読売新聞などの報道によると日産は国内の追浜工場(神奈川県横須賀市)と日産車体の湘南工場(同平塚市)も閉鎖する方向で調整しており、他国の政府系機関の保証付きの融資を受けることは議論を呼ぶ可能性もある」
日産はここまで追い込まれているが、退職役員に約5億円の退職金を支払うという。不思議な感じがする。





