勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: フランス経済ニュース

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    フランスは、 仏合弁のレアアース「リサイクル工場」をオクシタニー地域圏で建設中だ。欧州初のレアアースリサイクル 事業である。これは、フランス南西部で工場建設している重レアアース精錬(鉱石分離)とは別ライン の国家戦略である。いずれも、日本の化学的精錬法を採用しており、フランスはレアアース生産に積極的に取組んでいる。中国のレアアース「独占状態」を崩す目的である。

     

    『レコードチャイナ』(5月7日付)は、「中国によるレアアース独占打破へ動くフランス、日本との合弁も仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    仏『RFI』(5月6日付)は、フランス政府が中国によるレアアース独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。

     

    (1)「フランス政府が、中国によるレアアース(希土類)独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。記事は、ロシアウクライナ戦争などの地政学リスクにより、エネルギーや原材料の自給確保が各国の急務となっている。中国が、独占するレアアースは西側諸国にとって大きな懸念材料であると紹介した。そして、フランスの経済・工業相が5日にオクシタニー地域圏を訪問し、欧州初のレアアースリサイクル拠点となる「カレマグ」工場の建設現場を視察するとともに、国家レアアース計画を発表したと伝えた」

     

    フランス政府は、日本の化学的精錬法を採用して積極的に「技術の伝道師」役を担っている。鉱石からの製錬事業では、世界各地からの「買鉱」も視野に入れている。

     

    (2)「記事は、カレマグ工場がフランスの「カレスター社」と日本の「JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)」による合弁プロジェクトで、2億1600万ユーロ(約400億円)の資金を得て2026年末から27年初頭の稼働を目指していると説明。年間2000トンの永久磁石を回収して、ネオジム等の軽希土類を約800トン、重希土類を約600トン生産する計画である。重希土類の分離生産能力は、世界の約15%に相当すると伝えた」

     

    レアアースのリサイクル工場は、年間2000トンの永久磁石を回収し、軽希土800トン、重希土 600トンを再生産する予定だ。重希土分離能力では、世界シェア15% というから相当の規模であろう。マクロン大統領はしばしば訪中していたが、中国の状況をつぶさに把握していたのだろう。   

     

    欧州は、使用済み永久磁石(風力・EV)が大量にある。廃棄磁石のリサイクルは、欧州が最も得意な領域である。日本の化学的精錬法は、リサイクル(二次)と鉱石からの製錬(一次)の両方に使える「二刀流」である。フランスは、日本を「技術の軸」として採用した。化学的精錬法は、世界全体への普及を早めるであろう。

     

    (3)「フランス政府が、税制優遇措置の28年までの延長や、戦略的プロジェクトへの保証条件緩和など、レアアース産業の競争力を高めるための複数の支援策を導入するほか、「欧州製」ラベルを洋上風力発電や自動車製造の分野で推進し、供給網の多様化を証明した企業に「フランス2030計画」に基づく支援を行う方針だと報じている」

     

    ESG基準の欧州ラベルを貼って、中国製品「駆逐」の最前線に立つのであろう。中国製レアアースは、非「ESG基準」である。将来、追放対象にしている。

     

    (4)「記事は、国際・戦略関係研究所(IRIS)のギヨーム・ピトロン副研究員が、過去30年の中国との格差を数年で埋めることは困難であると指摘したことに触れた。その上で、リサイクル技術の向上によって新たな道が開けることにも言及。フランス国立科学研究センター(CNRS)が循環型経済の視点からレアアース使用量を削減する可能性を示しており、産業廃棄物からの抽出など新たな手法の開発も期待されていると伝えた」

     

    サイクルによるレアアース生産では、限度があるとしても、鉱石からの製錬では参加国が増えれば自動的に生産は増えていくはずだ。2030年以降には、中国の「独占」状態が完全に崩されると予測されている。

     

     

     

     

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    フランスは今年6月、自国で開催するG7首脳会議に中国を招待しないことを決めた。これは、先に訪日したマクロン大統領が、日本との提携を重視して最終決断した結果とされる。フランスが、日本重視の決定をした背景は、日仏両政府が官民の共同プロジェクトとして、仏南部にレアアース精製工場を建設することもある。

     

    レアアース精製工場は、2026年末に稼働予定で、電気自動車のモーターの永久磁石などに使用される重レアアースを生産する。日本の経済産業省によると、将来の日本の需要の2割に当たる供給を受ける長期契約を結んでいる。日仏両政府は、このプロジェクトで使われる原材料のレアアースを共同調達することで一致。アジアや南米などに調達先を広げ、供給網を多角化する。新たな重要鉱物の共同投資プロジェクトについても検討し、両国で会合を開催する。このように、フランスは日仏新時代へ向けて舵を切っただけに、日本重視へ踏み切ったのであろう。

     

    『レコードチャイナ』(4月6日付)は、「マクロン仏大統領が中国へのG7招待を見送り、理由は日本との提携か―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『看看新聞網』はこのほど、フランスのマクロン大統領が前言を翻して、6月中旬に議長国として自国で開催するG7首脳会議に中国を招待しないことを決めた理由は、対米対策を含めて日本との提携を望んでいると論じる記事を掲載した。

     

    (1)「マクロン大統領は、2025年12月に中国を訪問した時期を中心に、G7首脳会議に中国を招待することを検討し、ドイツなどとも相談していたとされる。多くの人が、このことで中仏、ひいては中国と欧州関係が好転する見込みがあると考えた。しかし日本は「中国はG7が提唱する自由、民主、法の支配などの価値観を共有していない」ことを理由に、フランスに対して中国招待に対する懸念を示した。マクロン大統領は3月31日から4月2日まで日本を訪問した。フランス大統領府は4月1日までに、中国をG7首脳会議に招待しないことを明らかにした」

     

    マクロン氏は、先の訪日を機会にフランスで開催するG7首脳会議で中国を招待しないことに決めた。日本の意向を汲んだ結果とされる。

     

    (2)「マクロン大統領は、訪中時に中国招待について言及したが、フランスはマクロン大統領の3月末の訪日前に、G7拡大会合の招待名簿を発表した。中国社会科学院欧州研究所の趙晨研究員は、「インド、ブラジル、ケニア、韓国が含まれ、中国は含まれていなかった」と説明した。マクロン大統領が訪日時にG7首脳会談への態度を表明したのは、流れに順応し、日本側に好意を示し、中国側の会議参加を阻もうとする日本側の意図に応えた側面が大きい。フランス側は実際にはすでに中国側と事前に、G7への招待が難しいことを連絡しており、双方は意思疎通をした上で、それぞれがどう動くかを選択していたはずだ」

     

    マクロン氏は、中国のG7出席に反対する日本の意図に応えたとしている。中国が最近、日本を「軍国主義」呼ばわりしていることへの痛烈なしっぺ返しだ。日本を侮った報いが出た形である。「江戸の敵を長崎で討つ」の現代版であろう。

     

    (3)「マクロン大統領は、日本の次に韓国を訪問した。フランスのフィガロ紙は4月1日付の記事で、「フランスは日本と韓国に戦略的支点を構築することを目指しており、中国と米国の間で中間の道を探求している」と評した。マクロン大統領の立場は微妙だった。ホルムズ海峡の情勢は、仏日関係を緊密にする契機を提供したが、日本は依然としてフランスが6月に開催されるG7サミットに中国側を招待するのではないかと懸念していた。マクロン大統領は一方で、中国に自分が完全に日本側に傾いたと思わせるのを避けたいと希望していた」

     

    フランスが、日中の間で揺れていたとしている。日本の意思を無視できなかったのであろう。中国経済は、明らかに長期停滞局面へ入り込んでいる。片や日本は、技術開発面で著しい成果を上げている。レアアースの化学的精錬法を武器に、世界の鉱山国を日本へ引き寄せる動きを強めている。曲がる電池ペロブスカイトは、世界を席巻する技術だ。この日本と手を握ることが、フランスの利益になるのは確実である。

     

    (4)「マクロン大統領と米国のトランプ大統領の関係も微妙だ。マクロン大統領は、日本であるビジネスフォーラムに出席した際に「私も、欧州は時に行動が遅いことが分かっている。しかし予測可能性にはそれ自体の価値がある。我々は常にあなた方が期待する位置にいる、現在のこの時代において、これはすでに実に得難いことだ」と述べ、さらに「事前の警告なしにあなた方を怒らせる可能性のある決定を下す人々」などの表現で、トランプ大統領を暗に批判した。この発言は、日本に対するある種の示唆だった。日本は中東での戦事が引き起こしたエネルギー危機の大きな打撃を受けており、同時にトランプ大統領から圧力を受けているからだ」

     

    マクロン氏は、日本と提携してトランプ氏へのブレーキ役を期待している。米国が聞く耳を持つのは、日本だけになったからだ。米国も日本の技術に脱帽している。

     

    (5)「マクロン大統領は日本側に対して、「全く新しい視点」でフランスを見て、共同で「独立国家連合」を構築し、中国、そして特に現在「米国優先」の信条を奉じるトランプ政権に対処するよう促した。マクロン大統領は「我々は、我々を属国化し、我々と無関係な地政学的な計画に奉仕させようと企てる大国に依存したくはない」とも発言した」

     

    マクロン氏の米国への焦りは、トランプ氏が「独走」しているからだ。だが、今年11月の米中間選挙で共和党が敗北すれば、トランプ氏の姿勢は変わらざるを得ないだろう。

     

     

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    フランスの株式市場では18日、仏自動車大手ルノーの株価が一時前日比7%高と急騰した。同社が株式を保有する日産自動車がホンダと経営統合に向けた協議に入るとの報道を好感したもの。ルノーは、ホンダと日産の経営統合に前向きのようだ。米ブルームバーグ通信は18日、ルノー関係者の話として「日産に資金支援をするつもりはなく、経営強化の手段を日産自身に見つけてほしいと考えている」と伝えた。また関係者は、日産の経営判断には大株主のルノーの合意が必要だと指摘したという。『日本経済新聞 電子版』(12月19日付)が報じた。

    ルノーは、日産株の43%を保有する筆頭株主だったが、2023年11月に資本関係を見直し、15%ずつの相互出資で合意した。現在は日産への出資比率を引き下げる途上で、35.7%を保有する。ルノー所有の日産株売却先は、日産が決定権を持っている。

    『日本経済新聞 電子版』(12月21日付)は、「ルノーが選んだ独自路線、ソフト開発強化 陰る日仏連合」と題する記事を掲載した。

    四半世紀前、経営危機の日産自動車へ手を差し伸べたのがルノーだった。日産への支配力を強めようとしたこともあるが、ホンダと日産の経営統合に向けた協議が明らかになった今は影を潜めている。日仏連合の結束が弱まった背景には、ソフトウエア開発などを進めたルノーの独自路線があった。

    (1)「ルノーは、日産へ出資するとともにカルロス・ゴーン氏を最高執行責任者(COO)として送り込んだ。大規模な合理化策で日産を再生させ、日仏連合は車メーカーの協業の成功例とも評された。その後、フランス政府の意向も受けてルノーは日産への支配力を強めようとした。背景にあったのは、規模が一定の正義とされる車産業の考え方だ。規模を拡大してブランド力を高め、車両設計などの標準化を通じたコスト削減を進めるには日産を取り込む必要があった」

    ルノーは日産を取り込んで、世界規模の自動車メーカーを目指した時期がある。現在は、「量より質」の経営へ転換している。台数を追わない経営である。

    (2)「ゴーン氏が2018年に逮捕され、ルノーが新たな経営体制になると風向きは変わる。きっかけの一つが、ルカ・デメオ氏が20年に最高経営責任者(CEO)に就任したことだ。独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車も渡り歩いたデメオ氏はイタリア人で、仏企業のルノーにとって初の外国人CEOだ。100年に1度といわれる自動車業界の大転換に、電気自動車(EV)新会社のアンペアを設立するなどルノーを動かした。デメオ氏は経営幹部を入れ替え、規模にとらわれない戦略を相次ぎ打ち出す。ひとつが異業種連携だ。ここ数年でルノーが打ち出した協業先には、米グーグルや半導体大手の米クアルコム、欧州のソフトウエア関連企業など車メーカー以外の名前が並ぶ」

    現在のルノーCEOであるデメオ氏は、同業よりも異業種連携へ舵を切っている。米グーグルや半導体大手の米クアルコムなどだ。

    (3)「デメオ氏の就任前後、赤字だったルノーの最終損益は、ロシアからの撤退があった22年12月期を除くと上昇傾向にある。23年の最終損益は21億ユーロの黒字(約3400億円)と、18年以来の高水準を記録した。直近2年で、同社の株価は約4割上昇した。日産はこの間、ほぼ横ばいだ。中国勢の台頭などで逆風が吹く足元も大崩れはしていない。路線転換の道筋を付けたデメオ氏には昨年、業界紙の米オートモーティブニュースから車業界で最も影響力のあるリーダーに与えられる賞が授与された」

    デメオ氏の戦略転換は、見事に的中した。23年の最終損益は約3400億円で、18年以来の最高益である。

    (4)「ある日産幹部は、「長年連れ添った配偶者が自分だけの新居を求め始めた」と表現する。日仏連合に依存しないというルノーのスタンスは、出資の対等な関係への修正を目指していた日産にとっては好都合でもあり、23年に両社は出資比率を15%ずつにすることで合意した。ただ、新技術を中心に独自の道を歩み、ヒット車も投入するルノーと日産の差は開き続けた。22年に発売した軽EV「サクラ」以降売れ筋の車がない日産は、全従業員の7%に相当する9000人を削減するなど大規模リストラに追い込まれた。今回、救いの手を差し伸べたのはルノーではなくホンダだった」

    ルノーは、日産依存経営から脱皮している。それが、今回の日産・ホンダの統合報道に冷静に対応し、「賛意」を示しているのであろう。

    (5)「今なおルノーは、日産の筆頭株主だ。保有する日産株の一部を段階的に放出するため、日産株の22.8%(9月時点)を信託銀行に置いている。日産とホンダの統合が実現すれば、世界の車産業の競争構図を大きく変える可能性がある。同時に、長年の「盟友」だった日産とルノーの距離が、さらに広がる契機にもなりえる」

    ルノー所有の日産株は、売却先決定について日産の意向に従う条件になっている。それでも、なお15%所有の大株主である。日産が、ホンダと統合する場合、ルノーの意向を聞くのは常識であろう。

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    フランスで極右の首相が登場するのか危惧されてきた下院選は、最新の世論調査の結果、過半数に達しない見通しとなった。ただ、マクロン大統領の基盤である与党は3位に沈む公算が強まっている。マクロン氏の強行した下院解散戦略は、完全に目論見を外れた形だ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月4日付)は、「仏下院選、極右は過半数に届かない見通し 世論調査」と題する記事を掲載した。

     

    調査会社ハリス・インタラクティブの世論調査によると、フランスの国民議会(下院、定数577)選挙で極右の国民連合(RN)は単独過半数に届かない見通しとなり、議会は大きく分裂した状態に戻りそうだ。7日に行われる決選投票で(どの政党も過半数に届かない)ハングパーラメントに陥るとの予測が現実になれば、フランスはいずれの会派も政権樹立に必要な議席を確保できず混迷期に入ることになる。

     

    (1)「ハリスの世論調査(7月2~3日実施)は、複数の仏メディアの依頼を受けて実施された。これによると、RNと共闘勢力は190〜220議席を確保する見通しだ。だが、首相を指名する議会多数派を握るには過半数の289議席が必要で、それには遠く及ばない。新たに設立された左派連合の新人民戦線(NFP)は、159〜183議席を確保して2位に付けるとみられている。マクロン大統領率いる中道の与党連合は135議席にも届かず、解散前の半分またはそれ以上に減る見通しだ。解散総選挙に打って出るというマクロン氏の決断が間違いだったことが鮮明になった」

     

    極右のRNは、最大限220議席で、過半数の289議席へ遠く及ばないことが分った。左派連合の新人民戦線(NFP)は、最大限183議席。マクロン大統領率いる中道の与党連合は、135議席と3位である。

     

    (2)「現時点では、獲得議席数を正確に予想することは難しいとアナリストは指摘する。だが、RNが実際に単独過半数を獲得できないとすれば、対抗勢力が連携して「共和戦線」を張った戦略が奏功したと言えるだろう。RNが大差で得票率首位を獲得した6月30日の1回目の投票後、中道派と左派勢力は選挙協力で合意し200人前後の出馬を取り下げた。ルペン氏が主導する極右勢力の政権獲得を阻止するために連携する戦法だ」

     

    中道派と左派勢力は、選挙協力で合意し200人前後の出馬を取り下げた。この協力関係から言えば、新たな下院でも協力すれば、合計議席は最大限318議席で過半数を上回る計算になる。

     

    (3)「決選投票で候補者を絞れば、左派と中道派の支持者は通常なら支持しない政党に投票をせざるをえない。とにもかくにもRNが次期議会に送り込む議員を減らすためだ。仏内務省の集計によると、候補者3人で争う選挙区は306区から89区に減った。有権者が政党首脳の思惑通りに投票するかどうかは不透明だ。初回投票で投票率が高水準に達しただけに、決選投票でも投票率がカギを握る。夏季休暇や投票したい候補者が出馬を取り下げたいら立ちから、投票率が下がるのではないかと懸念する政党幹部もいる。RNにとっては、単独過半数を獲得する可能性が後退しても支持者を投票所に向かわせることができるかどうかが重要になる」

     

    決選投票では、候補者3人で争う選挙区は306区から89区に減った。候補者2人では、極右は不利になろう。フランス国民も、極右を選ぶことに戸惑いが出るという前提である。

     

    (4)「ユーロ圏2位の経済規模を持つフランスは、政治で行き詰まり成長が鈍化すれば、仏国債の約半分を保有する外国人投資家にとってフランスの長期的な魅力が薄れかねない。議会が3分裂しそうな公算が大きくなるなか、各党首脳は他党との連携の可能性を探る意向を示し始めた。マクロン氏が首相に任命したアタル氏は、中道派で単独過半数は取れないと認めたものの、個別の政策ごとに協力余地がある政党と連携する「多元的な議会」の構築を呼びかけた」

     

    フランスは、政治状況が混迷すれば経済政策の一貫性が損なわれる懸念も生じよう。仏国債の約半分を保有する外国人投資家にとって、フランスの長期的な魅力が薄れかねない事態を迎えようとしている。

     

    (5)「アタル氏は、公共ラジオ局フランス・アンテルで3日、「中道連合で最大限の議席を獲得したい。そうすれば、(法案ごとに)合意を取り付けて前に進むことができる」と述べた。そうした動きに先鞭をつけたのはヨーロッパエコロジー・緑の党のトンドリエ事務局長だが、同氏は中道派と連携する場合でもマクロン氏やアタル氏の提示条件ではなく、左派の提示する条件で行うとクギを刺した。「この国で前例のないことに踏み出さなければならないのは間違いない」。同氏は仏テレビTF1のニュース専門局でこう語った」

     

    アタル首相は、極右を除いた中道連合を構想している。法案ごとに、合意を取り付けるというもの。この狙いがうまく行くかどうか。

     

     

    あじさいのたまご
       

    中国は、強烈な国である。一帯一路では途上国を「債務漬け」にした。外交では、フランスのマクロン大統領に対して4月6~7日、習近平国家主席が二度もマクロン氏と会食すると厚遇ぶりを見せた。一度は北京で、もう一度は広州だ。習氏が、北京を離れて外国の賓客を持てなすのは異例とされる。それだけ、米国包囲網の中で突破口を探そうという現れであろう。これからは、「外交漬け」を目指すのであろう。 

    マクロン氏は、この厚遇に応えて「台湾情勢の急変は欧州諸国にとって利益にならない」と指摘した上で、「最悪なのは、欧州がこの問題で米国のペースや中国の過剰反応に追随しなければならないと考えることだ」とも主張した。つまり、欧州は台湾問題では中立であるとまで言ってのけた。大変な「リップサービス」をしたものだ。

     

    『ロイター』(4月10日付)は、「中国がマクロン氏異例の厚遇 米の包囲網に手札」と題する記事を掲載した。

    中国の習近平国家主席は、4月6~7日に国賓としてフランスのマクロン大統領を招待、異例なほどの好遇でもてなした。米国に対抗しようとしている中国が、欧州連合(EU)内に重要な連携相手を確保するため外交攻勢を強めていることの表れだ、と複数の専門家はみている。 

    (1)「習氏とマクロン氏は4月7日、中国有数の商業都市、広東省広州を訪れ、習氏の父親が省トップ時代に使っていた公邸で茶会を開いた。複数の外交官は、習氏が中国に対する「全方位の封じ込めと抑圧」と呼ぶ米国の動きに反対する際に支持してくれる国を探す中で、EUの主要メンバーであるフランスとの関係を重視している姿勢が浮き彫りになったとの見方を示した。米デンバー大学のチャオ・スイシェン教授(中国問題・外交政策)は「中国が積極的な外交を展開する裏には、全て米中関係が絡んでいる。だから特に中堅国やフランスのような大国への働きかけは、米国に対する何らかの反撃という意味合いがある」と指摘する」

     

    EU(欧州連合)の加盟国は、すべて対等な関係である。中国が、フランス一国を厚遇しても、他国の中国批判が沈静しなければ限界があるのだ。中国は、権威主義国家であるから、こういう微妙な点を理解できないのだろう。 

    (2)「ロジウム・グループのアナリスト、ノア・バーキン氏は、中国の主たる目的は欧州が米国とより緊密に足並みをそろえる行動をするのを防ぐことだと分析。「その意味で、マクロン氏は恐らく中国政府にとって欧州で最も大事なパートナーになる」と述べた。外交界でも、マクロン氏はEUの重要政策を主導する人物の1人との認識がおなじみになっている。今回マクロン氏は、EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長とともに中国を訪れ、2人はいずれもウクライナ問題で習氏から従来の立場を軌道修正するという公的な言質を得ることはできなかったが、それでもマクロン氏は下にも置かない扱いを受けた」 

    ロシアのウクライナ侵攻が続き、中国のロシア支援が変わらない限り、EUは中国への警戒心を解かないだろう。中国は、こういう微妙な心理が分からないのだ。

     

    (3)「訪中前に中国を「抑圧的」と批判したフォンデアライエン氏は、空港での出迎えもおざなりで、見方によっては独りぼっちで悄然としている印象を残すことになった。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は6日の論説記事で、「米国の戦略上の走狗であり続ければ行き詰まるということは誰の目にも明らかだ。中仏関係を中国と欧州の協力体制への架け橋とするのは、両国と世界のどちらにも有益だ」と主張した」 

    中国のこういう驕り高ぶった発言が、EUの加盟国を刺激しているはずだ。中国が、「井の中の蛙」という印象を強めるだけである。マクロン氏は、欧州の本音をプーチン氏と習氏に伝えたいとして意欲的とされる。そのためには、相手の心を開かせるべく、少しは「お世辞」も言ったのだろう。

     

    (4)「米政府内では、中国によるフランスとの外交関係強化の取り組みが本格化するかどうか疑わしい面があるとみられている。ウクライナ問題が決着した後なら、中国は対米関係悪化の埋め合わせとして欧州との経済的な接近につながるような外交戦略の再編に動くだろうが、現時点ではその公算は乏しい、と米政府の考えに詳しい複数の関係者は話す。同関係者らによると、ウクライナ問題について欧州が中国に関与することには米政府は静観姿勢を貫いている」 

    マクロン氏は、訪中前に米国のバイデン大統領と事前の打ち合わせをしている。米国が、マクロン氏の発言を静観している理由だ。

     

    (5)「もっともロジウム・グループのバーキン氏は、マクロン氏は今回の訪中で大した成果は得られなかったようだとの見方を示した。「マクロン氏はウクライナ戦争における習氏の姿勢を変えさせることができると信じていたようだ。彼は習氏にデカップリング非難、大規模なビジネス代表団の同伴、中国の戦略的独立性支持の再確認といった一連の贈り物をした。それに対する大きな見返りはほとんどなしだ」という」 

    中国は、マクロン氏から「快い発言」を引き出して満足しているかもしれない。これで安心して台湾侵攻へ踏み切れば、事態は一変する。米欧日の対中経済制裁の発動である。EUが、ロシアへ経済制裁して、中国を見逃すことなどあり得ないからだ。

     

     

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