フランスは、 日仏合弁のレアアース「リサイクル工場」をオクシタニー地域圏で建設中だ。欧州初のレアアースリサイクル
事業である。これは、フランス南西部で工場建設している重レアアース精錬(鉱石→分離)とは別ライン の国家戦略である。いずれも、日本の化学的精錬法を採用しており、フランスはレアアース生産に積極的に取組んでいる。中国のレアアース「独占状態」を崩す目的である。
『レコードチャイナ』(5月7日付)は、「中国によるレアアース独占打破へ動くフランス、日本との合弁も―仏メディア」と題する記事を掲載した。
仏『RFI』(5月6日付)は、フランス政府が中国によるレアアース独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。
(1)「フランス政府が、中国によるレアアース(希土類)独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。記事は、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学リスクにより、エネルギーや原材料の自給確保が各国の急務となっている。中国が、独占するレアアースは西側諸国にとって大きな懸念材料であると紹介した。そして、フランスの経済・工業相が5日にオクシタニー地域圏を訪問し、欧州初のレアアースリサイクル拠点となる「カレマグ」工場の建設現場を視察するとともに、国家レアアース計画を発表したと伝えた」
フランス政府は、日本の化学的精錬法を採用して積極的に「技術の伝道師」役を担っている。鉱石からの製錬事業では、世界各地からの「買鉱」も視野に入れている。
(2)「記事は、カレマグ工場がフランスの「カレスター社」と日本の「JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)」による合弁プロジェクトで、2億1600万ユーロ(約400億円)の資金を得て2026年末から27年初頭の稼働を目指していると説明。年間2000トンの永久磁石を回収して、ネオジム等の軽希土類を約800トン、重希土類を約600トン生産する計画である。重希土類の分離生産能力は、世界の約15%に相当すると伝えた」
レアアースのリサイクル工場は、年間2000トンの永久磁石を回収し、軽希土800トン、重希土 600トンを再生産する予定だ。重希土分離能力では、世界シェア15% というから相当の規模であろう。マクロン大統領はしばしば訪中していたが、中国の状況をつぶさに把握していたのだろう。
欧州は、使用済み永久磁石(風力・EV)が大量にある。廃棄磁石のリサイクルは、欧州が最も得意な領域である。日本の化学的精錬法は、リサイクル(二次)と鉱石からの製錬(一次)の両方に使える「二刀流」である。フランスは、日本を「技術の軸」として採用した。化学的精錬法は、世界全体への普及を早めるであろう。
(3)「フランス政府が、税制優遇措置の28年までの延長や、戦略的プロジェクトへの保証条件緩和など、レアアース産業の競争力を高めるための複数の支援策を導入するほか、「欧州製」ラベルを洋上風力発電や自動車製造の分野で推進し、供給網の多様化を証明した企業に「フランス2030計画」に基づく支援を行う方針だと報じている」
ESG基準の欧州ラベルを貼って、中国製品「駆逐」の最前線に立つのであろう。中国製レアアースは、非「ESG基準」である。将来、追放対象にしている。
(4)「記事は、国際・戦略関係研究所(IRIS)のギヨーム・ピトロン副研究員が、過去30年の中国との格差を数年で埋めることは困難であると指摘したことに触れた。その上で、リサイクル技術の向上によって新たな道が開けることにも言及。フランス国立科学研究センター(CNRS)が循環型経済の視点からレアアース使用量を削減する可能性を示しており、産業廃棄物からの抽出など新たな手法の開発も期待されていると伝えた」
サイクルによるレアアース生産では、限度があるとしても、鉱石からの製錬では参加国が増えれば自動的に生産は増えていくはずだ。2030年以降には、中国の「独占」状態が完全に崩されると予測されている。




