勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: フランス経済ニュース

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    中国の「安売り商法」が、花のパリで肘鉄をくれられたも同然の事態が起った。中国発のネット通販大手、SHEIN(シーイン)が、意気揚々と乗り込んだパリで、罰金を課されたり、他の店舗が抗議して撤退するなどの騒ぎを巻き起こし、シーイン自体がやむなく撤退する羽目に陥った。これは、完全に「中国式・薄利多売商法」が、欧米の文明基準(ESG・知財・労働・税制)に「正面から否定された」と言える不名誉な結果に終わった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月17日付)は、「中国SHEIN、薄利多売モデル崩れ多額の罰金 免税撤廃の米欧で赤字」と題する記事を掲載した。

     

    中国発のネット通販大手、SHEIN(シーイン)の成長に陰りが見え始めた。米国や欧州が小口輸入品の免税措置を相次ぎ終了したことで、増収ペースが鈍っている。各国の規制違反で巨額の罰金を科されるリスクもある。

     

    (1)「広東省広州市に中小の縫製工場が密集する地域がある。通称「シーイン村」だ。8月中旬、現場を歩くと厳しい現状を物語る証言が相次いだ。「春節(中国の旧正月)明けまでチームに30人以上いたが、今では半分以下だ」。シーインの下請け工場で働く男性はこう明かす。受注量も単価も減り、多くの同僚が職場を去った。Tシャツ1枚の縫製で得られる報酬は23元(約50〜70円)。昨年より1元下がった」

     

    シーインの製造現場は、Tシャツ1枚の縫製で得られる報酬は23元(約50〜70円)だ。低賃金の見本である。

     

    (2)「シーインは、低価格かつ最新の流行を取り入れたデザインの衣類で、多くの若者をひきつけ世界を席巻した。利用者は世界で2億7000万人に上る。競争力の根幹は中国語で「小単快返(少量生産と迅速な追加生産)」と称されるビジネスモデルだ。7500超の協力工場に製品の仕様や納期などを指示し、完成品を集荷して海外へ輸出する。100〜200着の小ロットから生産し、売れるとみれば最短5日で追加生産する」

     

    少量生産と迅速な追加生産が、シーインの「売り」である。これは、低賃金であるから可能になる。

     

    (3)「ビジネスモデルは、急成長の原動力となる一方、大量の衣類の廃棄や劣悪な労働環境、他社の知的財産の侵害などの批判も招いた。これが同社の成長に影を落とす。フランスは9月にも「超ファストファッション」に対し、商品1点ごとに罰金を科す規制を施行する。米ブルームバーグ通信は13日、シーインが28日めどに香港証券取引所に上場する見通しであると伝えた。ただ7月26日に同社が開示した目論見書には訴訟案件がずらりと並ぶ。米連邦取引委員会(FTC)による調査を受けていることも初めて明かし「多額の罰金支払いを科せられ経営に重大な影響を来す可能性がある」と記載した」

     

    シーインは、大量の衣類の廃棄や劣悪な労働環境、他社の知的財産の侵害などの批判も招いた。これは、欧州の「ESG基準」のE(環境)とS(低賃金)に抵触するもので、罰金の対象になった。

     

    (4)「判明しているだけでも、罰金リスクは計300億円に上る。仏データ保護当局の情報処理・自由全国委員会(CNIL)は2025年9月、不正にウェブサイトの閲覧記録データを集めたとして1億5000万ユーロ(約270億円)を科した。別の仏当局も罰金を科している。シーインは争う構えだが、さらに火種はくすぶる。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会や、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)も別事案で調査を進める」

     

    罰金リスクは、300億円にも達している。フランスは、シーインを「違法企業」として取締り対象にしている。悪いイメージを与えたのだ。

     

    (5)目論見書では極端な薄利多売で成長を遂げたことも明らかになった。25年の売上高営業利益率は4%と、「ZARA(ザラ)」運営のインディテックス(26年1月期、20%)やファーストリテイリング(25年8月期、17%)と比べて大きく劣っている。26年13月期の営業利益率は3%とさらに悪化している。発行済み優先株の評価替えに伴う損失もあり、最終損益は9900万ドル(約157億円)の赤字だった」

     

    25年の売上高営業利益率は4%と、ファーストリテイリングの17%を大きく下回っている。度の過ぎた薄利多売が仇になった。

     

    (6)「薄利多売の事業モデルが曲がり角を迎えた要因の一つが、小口輸入品の関税を免除する「デミニミス・ルール」だ。シーインは同ルールを活用し、売上高の6割を占める米欧への輸出を増やしてきたが、25年8月以降に相次ぎ撤廃された。打撃は大きく、先行してデミニミス・ルールが終了した米国における25年の売上高は24年比3%減、26年13月は前年同期比14%減だった。関税を商品価格に転嫁せざるを得ず販売が減った」

     

    シーインは、法の裏をかくビジネスで急伸してきた企業である。抜け穴を塞がれると、途端に勢いを失う。中国企業に共通している弱点である。

     

    (7)「25年11月、鳴り物入りで開店したパリの老舗百貨店、BHVの店舗も撤退が決まった。シーインの出店に反発した有力ブランドが相次ぎ撤退し、百貨店の経営が悪化した。BHVの運営会社は営業権を手放した。米欧以外でも低価格が強みの中国系ECへの締め付けが強まる。シーインが、念願の上場を果たしても、成長の持続に向けては難路が待ち構える」

     

    ESG基準違反のシーインが、パリの一等地に出店したのではイメージはガタ落ちである。他の店舗が、シーインと同格に見られことに抗議して撤退するのは当然であろう。中国の欧州における評価は、未だ低いのだ。

     

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    中国の格安ネット通販「SHEIN(シーイン)」は25年11月、パリ市庁舎の目の前に建つBHVへ出店した。BHVは、大衆的な老舗百貨店として長年親しまれていたが、シーインの常設販売コーナーをパリ店に開いたことで物議を醸した。

     

    シーインにとっては、世界初の常設コーナーということもあり、開業時は店の前のリヴォリ通りに約100メートルの行列ができるほどだった。しかし蓋を開けてみると、客からは「品質にがっかり」「思ったより値が高い」と失望の声が広がり、集客にはつながらなかった。こういう経緯で6月16日、BHVがシーインとの提携解消を発表した。ファッションの目が肥えているパリ市民から、集中砲火を浴びる結果になった。

     

    『東洋経済オンライン』(6月26日付)は、「中国シーイン初の実店舗・パリ号店が閉鎖へ…老舗百貨店BHVが提携解消、抗議デモの逆風受け挫折」と題する記事を掲載した。この記事は中国『財新』の転載である。

     

    中国発の格安ファッションEC(電子商取引)業者、SHEIN(シーイン)が鳴り物入りでフランス・パリに開設した同社初の実店舗がわずか1年程度で閉鎖されることになった。6月16日、この実店舗が入居しているパリ中心部の老舗百貨店BHVマレが、シーインとの提携を解消すると発表した。

     

    (1)「仏紙『ル・モンド』によると、2023年からBHVマレを運営してきたフランスの大手百貨店グループ、ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)は、同百貨店をカール=ステファン・コタンダン現CEOを含む経営陣に売却した。コタンダン氏は、今回の取引完了後、SGMのCEOを退任すると表明。「理想的には、シーインはクリスマス前にBHVマレから撤退すべきだ」と述べるとともに、シーインの導入は「戦略的な誤りだった」と率直に認めた」

     

    シーインが持つ「安売り」イメージが、花の街パリに相応しくないという「虐め」である。パリ当局は、由緒正しいBHVマレへ、安売りの「新参者」が進出してきたという反感だ。これは、パリが中国へ抱く反発でもあり、どうにも対応できないであろう。習近平氏が、世界へにこやかな対応して、「好かれる中国」にならなければ解決しないであろう。

     

    (2)「BHVマレに加え、パリ西郊の百貨店、BHVパルリー2も新経営陣の管理下に入る。一方、SGMは残りの7店舗(うち5店舗は今年シーインと提携済み)を引き続き運営する。SGMの共同創業者で会長のフレデリック・メルラン氏は、パリ以外の店舗でのシーインとの契約上の義務は「履行される」としつつも、「長期的な評価(見直し)を実施する」とコメントした。シーイン側は海外での声明で、今回の提携は当初から期間限定の実験的プロジェクトであり、双方が適切な時期に成果を評価することで合意していたと説明。閉店はある程度予想していたことをほのめかしつつも、提携終了については「遺憾」とコメントした」

     

    同じパリ市内でも、繁華街でなければ目立たず反発も受けないであろう。シーインの残りの7店舗は、営業継続という。

     

    (3)「シーインとSGMは、2025年10月1日に協力協定を締結した。1856年に設立されたBHVマレは近年経営不振に陥っており、一方でシーインはフランス国内での販売が好調だった。フランス国立ファッション学院(IFM)のデータによると、2025年の上半期、フランスのファッション小売業者ランキングでシーインは第5位にランクインした。SGMは当初、シーインとの提携により「より若くてつながりのある顧客層を惹きつける」との期待を表明していた」

     

    パリ中心部では、ユニクロのオペラ店が観光名所級になっている。シーインも、これを見倣ったのであろうが、大きな「格差」があった。この背景には、パリ市民の抱く国家イメージが、日本と中国では「月とスッポン」の違いであろう。パリではつい最近、大相撲が2日間の興業を31年ぶりに行い、サッカーW杯期間中にも拘わらず3万人の観衆を集めた。根強い「日本人気」を裏付けている。

     

    (4)「しかし、BHVマレでのシーイン開店の初週に、当時のパリ市長、アンヌ・イダルゴ氏は、シーインを「ファストファッションの象徴」として批判し、BHVへの出店に反対を表明した。10月10日には、主要5労働組合の呼びかけで、BHVの従業員がシーイン出店に抗議するデモを実施している。過去1年間、シーインはフランスで厳しい規制に直面してきた。2025年11月初め、シーインが児童の姿を模した成人用玩具販売の疑いを報じられ、フランス政府や税関当局がシーインに対し一連の規制措置を取る事態になった経緯がある」

     

    シーインは、当時のパリ市長から「目の敵」にされた。主要5労働組合もシーインへ出店抗議デモをする騒ぎになった。これでは、ファッション企業にとって致命傷であろう。客が逃げて当然だ。

     

    (5)「さらに今年63日にはフランスの消費者保護当局が、返品・交換制度、製品情報開示、発注確認手続きなどの面での違反行為を理由に、シーインに対し合計約2249万7700ユーロ(約41億7000万円)の罰金処分を発表、逆風は一段と強まっていた」

     

    6月には、フランスの消費者保護当局から返品・交換制度、製品情報開示、発注確認手続などの瑕疵に対して、約41億7000万円もの罰金を科した。当局が、言外に撤退せよと迫っているようなものであろう。シーイン=中国は、ここまで嫌われているのだ。

     

     

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    フランスは、 仏合弁のレアアース「リサイクル工場」をオクシタニー地域圏で建設中だ。欧州初のレアアースリサイクル 事業である。これは、フランス南西部で工場建設している重レアアース精錬(鉱石分離)とは別ライン の国家戦略である。いずれも、日本の化学的精錬法を採用しており、フランスはレアアース生産に積極的に取組んでいる。中国のレアアース「独占状態」を崩す目的である。

     

    『レコードチャイナ』(5月7日付)は、「中国によるレアアース独占打破へ動くフランス、日本との合弁も仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    仏『RFI』(5月6日付)は、フランス政府が中国によるレアアース独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。

     

    (1)「フランス政府が、中国によるレアアース(希土類)独占への依存を低減するため、日仏合弁のリサイクル工場を核とした国家戦略を推進していると報じた。記事は、ロシアウクライナ戦争などの地政学リスクにより、エネルギーや原材料の自給確保が各国の急務となっている。中国が、独占するレアアースは西側諸国にとって大きな懸念材料であると紹介した。そして、フランスの経済・工業相が5日にオクシタニー地域圏を訪問し、欧州初のレアアースリサイクル拠点となる「カレマグ」工場の建設現場を視察するとともに、国家レアアース計画を発表したと伝えた」

     

    フランス政府は、日本の化学的精錬法を採用して積極的に「技術の伝道師」役を担っている。鉱石からの製錬事業では、世界各地からの「買鉱」も視野に入れている。

     

    (2)「記事は、カレマグ工場がフランスの「カレスター社」と日本の「JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)」による合弁プロジェクトで、2億1600万ユーロ(約400億円)の資金を得て2026年末から27年初頭の稼働を目指していると説明。年間2000トンの永久磁石を回収して、ネオジム等の軽希土類を約800トン、重希土類を約600トン生産する計画である。重希土類の分離生産能力は、世界の約15%に相当すると伝えた」

     

    レアアースのリサイクル工場は、年間2000トンの永久磁石を回収し、軽希土800トン、重希土 600トンを再生産する予定だ。重希土分離能力では、世界シェア15% というから相当の規模であろう。マクロン大統領はしばしば訪中していたが、中国の状況をつぶさに把握していたのだろう。   

     

    欧州は、使用済み永久磁石(風力・EV)が大量にある。廃棄磁石のリサイクルは、欧州が最も得意な領域である。日本の化学的精錬法は、リサイクル(二次)と鉱石からの製錬(一次)の両方に使える「二刀流」である。フランスは、日本を「技術の軸」として採用した。化学的精錬法は、世界全体への普及を早めるであろう。

     

    (3)「フランス政府が、税制優遇措置の28年までの延長や、戦略的プロジェクトへの保証条件緩和など、レアアース産業の競争力を高めるための複数の支援策を導入するほか、「欧州製」ラベルを洋上風力発電や自動車製造の分野で推進し、供給網の多様化を証明した企業に「フランス2030計画」に基づく支援を行う方針だと報じている」

     

    ESG基準の欧州ラベルを貼って、中国製品「駆逐」の最前線に立つのであろう。中国製レアアースは、非「ESG基準」である。将来、追放対象にしている。

     

    (4)「記事は、国際・戦略関係研究所(IRIS)のギヨーム・ピトロン副研究員が、過去30年の中国との格差を数年で埋めることは困難であると指摘したことに触れた。その上で、リサイクル技術の向上によって新たな道が開けることにも言及。フランス国立科学研究センター(CNRS)が循環型経済の視点からレアアース使用量を削減する可能性を示しており、産業廃棄物からの抽出など新たな手法の開発も期待されていると伝えた」

     

    サイクルによるレアアース生産では、限度があるとしても、鉱石からの製錬では参加国が増えれば自動的に生産は増えていくはずだ。2030年以降には、中国の「独占」状態が完全に崩されると予測されている。

     

     

     

     

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    フランスは今年6月、自国で開催するG7首脳会議に中国を招待しないことを決めた。これは、先に訪日したマクロン大統領が、日本との提携を重視して最終決断した結果とされる。フランスが、日本重視の決定をした背景は、日仏両政府が官民の共同プロジェクトとして、仏南部にレアアース精製工場を建設することもある。

     

    レアアース精製工場は、2026年末に稼働予定で、電気自動車のモーターの永久磁石などに使用される重レアアースを生産する。日本の経済産業省によると、将来の日本の需要の2割に当たる供給を受ける長期契約を結んでいる。日仏両政府は、このプロジェクトで使われる原材料のレアアースを共同調達することで一致。アジアや南米などに調達先を広げ、供給網を多角化する。新たな重要鉱物の共同投資プロジェクトについても検討し、両国で会合を開催する。このように、フランスは日仏新時代へ向けて舵を切っただけに、日本重視へ踏み切ったのであろう。

     

    『レコードチャイナ』(4月6日付)は、「マクロン仏大統領が中国へのG7招待を見送り、理由は日本との提携か―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『看看新聞網』はこのほど、フランスのマクロン大統領が前言を翻して、6月中旬に議長国として自国で開催するG7首脳会議に中国を招待しないことを決めた理由は、対米対策を含めて日本との提携を望んでいると論じる記事を掲載した。

     

    (1)「マクロン大統領は、2025年12月に中国を訪問した時期を中心に、G7首脳会議に中国を招待することを検討し、ドイツなどとも相談していたとされる。多くの人が、このことで中仏、ひいては中国と欧州関係が好転する見込みがあると考えた。しかし日本は「中国はG7が提唱する自由、民主、法の支配などの価値観を共有していない」ことを理由に、フランスに対して中国招待に対する懸念を示した。マクロン大統領は3月31日から4月2日まで日本を訪問した。フランス大統領府は4月1日までに、中国をG7首脳会議に招待しないことを明らかにした」

     

    マクロン氏は、先の訪日を機会にフランスで開催するG7首脳会議で中国を招待しないことに決めた。日本の意向を汲んだ結果とされる。

     

    (2)「マクロン大統領は、訪中時に中国招待について言及したが、フランスはマクロン大統領の3月末の訪日前に、G7拡大会合の招待名簿を発表した。中国社会科学院欧州研究所の趙晨研究員は、「インド、ブラジル、ケニア、韓国が含まれ、中国は含まれていなかった」と説明した。マクロン大統領が訪日時にG7首脳会談への態度を表明したのは、流れに順応し、日本側に好意を示し、中国側の会議参加を阻もうとする日本側の意図に応えた側面が大きい。フランス側は実際にはすでに中国側と事前に、G7への招待が難しいことを連絡しており、双方は意思疎通をした上で、それぞれがどう動くかを選択していたはずだ」

     

    マクロン氏は、中国のG7出席に反対する日本の意図に応えたとしている。中国が最近、日本を「軍国主義」呼ばわりしていることへの痛烈なしっぺ返しだ。日本を侮った報いが出た形である。「江戸の敵を長崎で討つ」の現代版であろう。

     

    (3)「マクロン大統領は、日本の次に韓国を訪問した。フランスのフィガロ紙は4月1日付の記事で、「フランスは日本と韓国に戦略的支点を構築することを目指しており、中国と米国の間で中間の道を探求している」と評した。マクロン大統領の立場は微妙だった。ホルムズ海峡の情勢は、仏日関係を緊密にする契機を提供したが、日本は依然としてフランスが6月に開催されるG7サミットに中国側を招待するのではないかと懸念していた。マクロン大統領は一方で、中国に自分が完全に日本側に傾いたと思わせるのを避けたいと希望していた」

     

    フランスが、日中の間で揺れていたとしている。日本の意思を無視できなかったのであろう。中国経済は、明らかに長期停滞局面へ入り込んでいる。片や日本は、技術開発面で著しい成果を上げている。レアアースの化学的精錬法を武器に、世界の鉱山国を日本へ引き寄せる動きを強めている。曲がる電池ペロブスカイトは、世界を席巻する技術だ。この日本と手を握ることが、フランスの利益になるのは確実である。

     

    (4)「マクロン大統領と米国のトランプ大統領の関係も微妙だ。マクロン大統領は、日本であるビジネスフォーラムに出席した際に「私も、欧州は時に行動が遅いことが分かっている。しかし予測可能性にはそれ自体の価値がある。我々は常にあなた方が期待する位置にいる、現在のこの時代において、これはすでに実に得難いことだ」と述べ、さらに「事前の警告なしにあなた方を怒らせる可能性のある決定を下す人々」などの表現で、トランプ大統領を暗に批判した。この発言は、日本に対するある種の示唆だった。日本は中東での戦事が引き起こしたエネルギー危機の大きな打撃を受けており、同時にトランプ大統領から圧力を受けているからだ」

     

    マクロン氏は、日本と提携してトランプ氏へのブレーキ役を期待している。米国が聞く耳を持つのは、日本だけになったからだ。米国も日本の技術に脱帽している。

     

    (5)「マクロン大統領は日本側に対して、「全く新しい視点」でフランスを見て、共同で「独立国家連合」を構築し、中国、そして特に現在「米国優先」の信条を奉じるトランプ政権に対処するよう促した。マクロン大統領は「我々は、我々を属国化し、我々と無関係な地政学的な計画に奉仕させようと企てる大国に依存したくはない」とも発言した」

     

    マクロン氏の米国への焦りは、トランプ氏が「独走」しているからだ。だが、今年11月の米中間選挙で共和党が敗北すれば、トランプ氏の姿勢は変わらざるを得ないだろう。

     

     

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    フランスの株式市場では18日、仏自動車大手ルノーの株価が一時前日比7%高と急騰した。同社が株式を保有する日産自動車がホンダと経営統合に向けた協議に入るとの報道を好感したもの。ルノーは、ホンダと日産の経営統合に前向きのようだ。米ブルームバーグ通信は18日、ルノー関係者の話として「日産に資金支援をするつもりはなく、経営強化の手段を日産自身に見つけてほしいと考えている」と伝えた。また関係者は、日産の経営判断には大株主のルノーの合意が必要だと指摘したという。『日本経済新聞 電子版』(12月19日付)が報じた。

    ルノーは、日産株の43%を保有する筆頭株主だったが、2023年11月に資本関係を見直し、15%ずつの相互出資で合意した。現在は日産への出資比率を引き下げる途上で、35.7%を保有する。ルノー所有の日産株売却先は、日産が決定権を持っている。

    『日本経済新聞 電子版』(12月21日付)は、「ルノーが選んだ独自路線、ソフト開発強化 陰る日仏連合」と題する記事を掲載した。

    四半世紀前、経営危機の日産自動車へ手を差し伸べたのがルノーだった。日産への支配力を強めようとしたこともあるが、ホンダと日産の経営統合に向けた協議が明らかになった今は影を潜めている。日仏連合の結束が弱まった背景には、ソフトウエア開発などを進めたルノーの独自路線があった。

    (1)「ルノーは、日産へ出資するとともにカルロス・ゴーン氏を最高執行責任者(COO)として送り込んだ。大規模な合理化策で日産を再生させ、日仏連合は車メーカーの協業の成功例とも評された。その後、フランス政府の意向も受けてルノーは日産への支配力を強めようとした。背景にあったのは、規模が一定の正義とされる車産業の考え方だ。規模を拡大してブランド力を高め、車両設計などの標準化を通じたコスト削減を進めるには日産を取り込む必要があった」

    ルノーは日産を取り込んで、世界規模の自動車メーカーを目指した時期がある。現在は、「量より質」の経営へ転換している。台数を追わない経営である。

    (2)「ゴーン氏が2018年に逮捕され、ルノーが新たな経営体制になると風向きは変わる。きっかけの一つが、ルカ・デメオ氏が20年に最高経営責任者(CEO)に就任したことだ。独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車も渡り歩いたデメオ氏はイタリア人で、仏企業のルノーにとって初の外国人CEOだ。100年に1度といわれる自動車業界の大転換に、電気自動車(EV)新会社のアンペアを設立するなどルノーを動かした。デメオ氏は経営幹部を入れ替え、規模にとらわれない戦略を相次ぎ打ち出す。ひとつが異業種連携だ。ここ数年でルノーが打ち出した協業先には、米グーグルや半導体大手の米クアルコム、欧州のソフトウエア関連企業など車メーカー以外の名前が並ぶ」

    現在のルノーCEOであるデメオ氏は、同業よりも異業種連携へ舵を切っている。米グーグルや半導体大手の米クアルコムなどだ。

    (3)「デメオ氏の就任前後、赤字だったルノーの最終損益は、ロシアからの撤退があった22年12月期を除くと上昇傾向にある。23年の最終損益は21億ユーロの黒字(約3400億円)と、18年以来の高水準を記録した。直近2年で、同社の株価は約4割上昇した。日産はこの間、ほぼ横ばいだ。中国勢の台頭などで逆風が吹く足元も大崩れはしていない。路線転換の道筋を付けたデメオ氏には昨年、業界紙の米オートモーティブニュースから車業界で最も影響力のあるリーダーに与えられる賞が授与された」

    デメオ氏の戦略転換は、見事に的中した。23年の最終損益は約3400億円で、18年以来の最高益である。

    (4)「ある日産幹部は、「長年連れ添った配偶者が自分だけの新居を求め始めた」と表現する。日仏連合に依存しないというルノーのスタンスは、出資の対等な関係への修正を目指していた日産にとっては好都合でもあり、23年に両社は出資比率を15%ずつにすることで合意した。ただ、新技術を中心に独自の道を歩み、ヒット車も投入するルノーと日産の差は開き続けた。22年に発売した軽EV「サクラ」以降売れ筋の車がない日産は、全従業員の7%に相当する9000人を削減するなど大規模リストラに追い込まれた。今回、救いの手を差し伸べたのはルノーではなくホンダだった」

    ルノーは、日産依存経営から脱皮している。それが、今回の日産・ホンダの統合報道に冷静に対応し、「賛意」を示しているのであろう。

    (5)「今なおルノーは、日産の筆頭株主だ。保有する日産株の一部を段階的に放出するため、日産株の22.8%(9月時点)を信託銀行に置いている。日産とホンダの統合が実現すれば、世界の車産業の競争構図を大きく変える可能性がある。同時に、長年の「盟友」だった日産とルノーの距離が、さらに広がる契機にもなりえる」

    ルノー所有の日産株は、売却先決定について日産の意向に従う条件になっている。それでも、なお15%所有の大株主である。日産が、ホンダと統合する場合、ルノーの意向を聞くのは常識であろう。

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