欧州自動車大手6社の2026年1~6月期決算が出そろいました。中国市場への依存度の高い(販売台数の2割強を依存)ドイツ勢は、VWなど3社が最終減益となりました。長年、ドイツ車は中国市場で利益を上げてきましたが、補助金縮小の影響を受けて大きく後退しました。
ドイツ車は、中国市場に依存しすぎていたため、補助金縮小によって一気に「中国依存」が崩れたのです。ドイツ車の中国依存度は、VWが24%、BMWは20%超、メルセデスも20%超と2割台となっています。この依存度の高さは「リスクを高め」ており、補助金縮小で利益が蒸発することになったのです。ドイツ車が、ここまで深く中国市場へ依存度を高めたのは、メルケル元首相の「親中国」ぶりがもたらしたものでした。メルケル氏は、旧東独出身であるだけに、共産主義への親和性が強く、中国市場へすいよせられました。
中国の高級車市場は、今や「中国ブランド」が支配しています。Zeekr(吉利)、理想汽車(Li Auto)などが、高級車領域でドイツ車を圧迫しているのです。つまり、
中国の高級EV市場は、すでに中国ブランドが支配しています。こうなると、ドイツ車の出番が減ります。ここへ、中国の消費者向け補助金が減らされたので、ドイツ車も窮地に立たされる結果となりました。
ドイツ車が、苦境に陥ったのは前述の通り、消費者向け補助金削減ですが、これは中国車にとっても同様に厳しい条件となりました。中国車は、この危機突破策として逆に欧州で足場を固める戦略に出ています。こうなるとドイツ車は二重の負担を背負い込みます。中国での競争が、欧州へ持ち込まれる事態になるからです。中国は、消費者向け補助金は削減され始めましたが、中国車メーカー自体へはまだ補助金が出ているのです。欧州では、これを問題にして、高い関税で防波堤にしようとしています。
欧州での中国車は、EV(電気自動車)で勝負を挑んでいます。中国EVは、もともと価格競争力が高いのです。ドイツ車は、すでに高い中国依存が裏目に出て収益的に疲弊しています。ここへ、高い補助金に守られている中国EVが本格進出すると、ドイツ車はコスト的に中国EVとの競争が重荷となります。この欧州EV構造の脆弱性が、中国EVを欧州へ呼び込むことになりかねません。
ドイツ車には、不運が重なっています。中国EV市場が飽和化して利益が出なくなっていること。中国EVメーカーも同じ苦境に苦しみ、逆に欧州市場へ「逃げ場」を探し始めていることです。こうなると、これまでの中国市場での競争が、欧州へ舞台を移すことになります。ドイツは、国を挙げて中国車の欧州進出に神経を尖らせ始めています。
中国で競争している、日本車の立場はどうか。幸いと言うべきか、ドイツ車が占める中国のシェアに比べると、日本車の中国依存度ははるかに低いのです。日本車は、「中国依存モデル」ではなく、「世界分散モデル」なので、ドイツ車のような崩壊が起りません。むしろ中国市場での消費者向け補助金削減は、日本車にとって競争条件がプラスに働く可能性が高いのです。補助金が薄まれば、車の「質」で勝負できるからです。
ここで、日本車の中国シェアをみておきましょう。トヨタ自動車約10%、ホンダ約15%、日産約20%となっています。日本車共通の強みは、世界で市場が分散していることです。仮に、中国でシェアが落ちても他の地域で挽回できる強みがあります。
トヨタを例に取ると、次のようになっています。中国約10%、北米約30%、欧州約7%、ASEAN約20% 中東・アフリカなどで世界販売1100万台を実現しています。ドイツ車の場合、中国市場と欧州市場が利益の源です。普通ならば、「金城湯池」であるはずの中国と欧州の両市場が、ドイツ車と中国車が食い合うという皮肉な結果となりました。




