勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: ドイツ経済ニュース

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    ドイツは、中国との経済関係を重視している。中国が、これを利用してドイツ国内でスパイ活動を積極化させている。ドイツ情報機関の連邦憲法擁護庁(BfV)は4月24日、国内企業に対し、中国政府による産業スパイ活動を警戒すべきと伝えた。異例の事態だ。中国は、かねてから産業スパイ活動によって重要技術を窃取していると非難されてきたが、ドイツからも警戒されることになった。 

    『ロイター』(4月25日付)は、「中国の産業スパイ活動に警戒すべき、独情報機関が国内企業に警告」と題する記事を掲載した。 

    ドイツ情報機関の連邦憲法擁護庁(BfV)は24日、国内企業に対し、中国政府による産業スパイ活動を警戒すべきと伝えた。中国に対して甘い考えを持ったり、過度に依存したりしないよう警告した。

     

    (1)「BfV高官は、中国がドイツ企業のセキュリティーに与える影響に関するイベントで、「中国との貿易における過度に楽観的または過度に前向きとみられる姿勢が、これらの企業の事実上の解体につながった例は数多くある」と指摘。問題の1つは、中国企業は完全な民間企業と主張しているものの実際は全て中国政府の影響下にあり、その支援を受けていることだとした。また、中国の最終的な目標は2049年までに世界最大の経済、技術、政治大国になることだと言及。中国が特に関心を持っている分野として航空宇宙技術、ロボット工学、エレクトロモビリティー、省エネ技術、バイオメディカル、情報技術などとした」 

    ドイツ連邦憲法擁護庁も、中国共産党が2049年の建国100年までに世界秩序へ挑戦する計画を把握している。これは、西側諸国共通の認識になっている。中国包囲網が作られているのは、こうした中国による挑戦への抑止を目指したものだ。中国は、下線のような先端技術を窃取しようと狙っていると指摘している。 

    ドイツ連邦憲法擁護庁が、中国スパイへの警戒を呼掛けているのは、中国による相次ぐスパイ事件が摘発された結果である。

     

    『ロイター』(4月23日付)は、「スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕、独検察 中国に情報提供」と題する記事を掲載した。 

    ドイツ連邦検察庁は23日、中国の情報機関のためにスパイ活動を行ったとして、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」所属の欧州議会議員のスタッフを逮捕したと発表した。 

    (2)「逮捕されたのはマクシミリアン・クラー欧州議員のスタッフ。欧州議会の協議と決定に関する情報を中国の情報機関に提供していたという。このスタッフは、ブリュッセルとドイツのドレスデンに在住。検察庁によると、ドイツ国内の反中国派に対するスパイ活動も行っており、22日にドレスデンで逮捕された。検察庁は「外国の情報機関のために働いた特に深刻なケース」としている」 

    EU(欧州連合)議会議員のスタッフが逮捕された。ドイツ検察庁は、「深刻なケース」としている。 

    (3)「フェーザー内相は、事実であれば「欧州の民主主義に対する内部からの攻撃だ」とし「そのようなスタッフを雇った人間にも責任がある」とし、徹底的に調査すると述べた。昨年4月にクラー議員は、このスタッフが中国のためにロビー活動を行っているとの欧州誌「ザ・ヨーロピアン・コンサバティブ」の批判に反論していた。同議員は当時「私に対する新たな中傷記事だ。中国生まれのスタッフに関する記事だが、彼はドイツ市民でAfDの党員である。ドレスデンで学び、流ちょうなドイツ語と英語を話す。うそだらけだ」とXに投稿していた。AfDの報道官は逮捕について「非常に気掛かりだ。捜査を支援するためあらゆることをする」と述べた」 

    AfDは、極右政党である。最近、ドイツ国内では支持率を高めている。移民排斥など過激な発言が人気を高めているもの。中国スパイの事件は、これだけでない。ドイツ人による産業スパイ事件も摘発された。

     

    『ロイター』(4月23日付け)は、「ドイツ、中国に軍事転用技術提供の疑いで3人逮捕 海軍強化の恐れ」と題する記事を掲載した。 

    ドイツ当局は22日、中国の情報機関と連携し軍事転用が可能な技術情報を中国に提供した疑いで、ドイツ人3人を逮捕したと発表した。海軍の強化につながる恐れがあるとしている。 

    (4)「ドイツ検察当局によると、逮捕されたのはデュッセルドルフで会社を経営する夫婦と、中国の情報機関である国家安全省(MSS)職員のエージェントとされる人物。夫婦は自らが経営する会社を通してドイツの大学と協力協定を締結し、軍艦などの船舶エンジンに使用できる機械部品についてMSS向けの調査を準備するなどした疑いがある。このほか、容疑者らはMSSの代理としてドイツで特殊レーザー装置を購入し、許可なく中国に輸出した疑いが持たれている」 

    中国の情報機関MSSで、エージェントとされる会社経営のドイツ人夫婦が逮捕された。この夫婦は、ビジネスを装って中国スパイになっていた。 

    (5)「検察当局によると、逮捕はドイツの国内情報機関が収集した情報に基づいて行われた。ドイツのブッシュマン法相は、「逮捕時、容疑者らは中国の海上戦闘力の拡大に役立つ可能性がある研究プロジェクトについてさらなる交渉を行っていた」と指摘。フェーザー内相は、中国のスパイ活動によるビジネス、産業、科学に対する重大な脅威を政府は監視していると述べた 

    ドイツ検察当局は、国内情報機関が収集した情報によって逮捕したと、わざわざ言明している。これは常時、米国情報機関とも協力していることを窺わせている。米国は、幅広い情報網で他国のリスク回避にも協力しているからだ。先にロシアで起こったテロ事件も、米国情報機関は事前に情報を把握して、ロシア当局へ連絡した経緯がある。

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    日本・ドイツ・イタリアは、第二次世界大戦を「枢軸国」として戦ったが、共に敗戦の憂き目にあった国々である。いずれも戦争で多くの死傷者を出したので、戦後のベビーブームも同じ様相を呈した。それが今、「団塊の世代」の退職期を迎えている。ドイツでも、ベテラン従業員の後を継ぐ人材不足に直面し「ロボット」が代役を果す時代を迎えている。 

    『ロイター』(11月2日付)は、「『団塊世代』退職で人手不足、ロボット導入急ぐドイツ中小企業」と題する記事を掲載した。 

    機械部品メーカーのS&Dブレヒでは、研削加工部門長が退職の時期を迎えようとしている。深刻な人手不足に悩むドイツでは、こうした熟練を要する一方で危険で手を汚す仕事を引き受ける人はほとんどいない。S&Dブレヒは、このベテラン従業員の後継にロボットを起用する予定だ。

     

    (1)「S&Dブレヒでマネージングディレクターを務めるヘニング・シュレーダー氏は、同社がここ数年自動化とデジタル化を推進している理由として、こうした人手不足の深刻化を挙げた。「特に製造分野や専門技能職において、ただでさえ困難な熟練労働をめぐる状況さらに悪化させる」。新たに研削加工部門のトップを探してくるのは難しい。シュレーダー氏はロイターに対し、「退職者の経験値が高かったからというだけでなく、こういう辛い仕事はもう誰もやりたがらないからだ」と語った。機械による研削加工には高熱と騒音が伴い、飛び散る火花による危険もある」 

    ロボットの能力が高まると同時に、人手不足が重なってロボットはなくてはならない存在である。 

    (2)「ドイツでは、働く女性の増加と移民の急増が近年の人口構成の変化を補ってきた。だが、ベビーブーム世代が引退していく一方で、労働人口に新たに加わる若い世代は出生率の低下によりはるかに少なくなっている。連邦雇用庁では、労働人口は2035年までに700万人減少すると予測している。給与・人事関連サービスをグローバル規模で提供するADPでチーフエコノミストを務めるネラ・リチャードソン氏は、これに似た変化は他の先進諸国にも影響を及ぼしていると指摘し、ロボット工学から人工知能(AI)に至るまで、高度な自動化技術の影響が広がっていくだろうと語る。リチャードソン氏はロイターに対し、「長期的には、こうした技術革新全般が労働の世界におけるゲームチェンジャーになる。あらゆる人の働き方が変わっていく」と述べた」 

    ロボット工学から人工知能(AI)に至るまで、高度な自動化技術の発展が、労働の世界のゲームチェンジャーとして人間の働き方を変える時代になった。

     

    (3)「自動車メーカーやその他の大手工業企業は、自動化に莫大な投資をしているため、ドイツのロボット市場の規模はすでに世界で4番目、欧州では最大となっている。ロボットの価格が低下し操作も容易になっているため、S&Dブレヒのような製造業からパン製造、クリーニング、スーパーマーケットに至るまで、ドイツ経済の屋台骨であり、家族経営の多い中小企業「ミッテルシュタント」でもロボットの活用が進んでいる。国際ロボット連盟によると、昨年ドイツで導入されたロボットは約2万6000台。過去にこれより大きな数字となったのは2018年だけで、その後はコロナ禍のため、かつての平均年4%という増加ペースは減速していた」 

    ドイツは、家族経営で行う企業比率が高い國だ。それだけに、人手不足に直面するが、その代役をロボットがこなす時代になった。その意味では、ロボットが家族に加わるのだ。 

    (4)「ファナック・ジャーマニーでマネージングディレクターを務めるラルフ・ウィンケルマン氏は、「ロボットは、人手不足で将来を危ぶまれていた企業の生き残りを可能にした」と語る。同社が販売する日本製ロボットの約半分は中小企業向けだ。ラルフ・ハートデーケン氏が経営するコンサルティング会社では、こうしたロボット活用へのシフトについて企業へのアドバイスを提供している。同氏によれば、自動化は進めたいが従業員の解雇はしたくないという企業では、定年退職による従業員減少を機にロボット導入を進める例が増えているという 

    下線部は、ドイツの家族経営の一端をのぞかせている。従業員がいる限りロボット導入を控え、その従業員が退職すればロボットへ切り替える。ドイツ中小企業の雰囲気が伝わる。

     

    (5)「産業用エレクトロニクス機器や制御装置の保護ステムを製造している家族経営のローレックでは、昨年初めてロボットを購入し、夜間も生産を続けられるようになった。すでに2台目のロボットも調達しており、自動化への投資を続ける計画だ。「朝、工場に来て電気をつけると、加工済みの部品が保管コンテナに収まっているというのは素晴らしい」と、マシアス・ローゼ最高経営責任者(CEO)はロイターに語った。自動化が普及する背景には、ロボットの操作が簡単になり、プログラミングのスキルを必要としなくなったことがある」 

    下線部は、微笑ましい雰囲気だ。こういう形で、ロボットがドイツ中小企業へ浸透していくのであろう。 

    (6)「従業員20~100名の企業をターゲットとするスタートアップ、シェルパ・ロボティクスの共同創業者フロリアン・アンドレ氏によると、ほとんどのロボットにはスマートフォンのタッチパネルのようなヒューマン・マシン・インターフェースが備わっているという。かつてはロボット導入による失業を警戒していた労働者や労働組合でさえ、前向きになりつつある。ロボットの国際見本市オートマティカが6月に発表したアンケート結果では、ドイツの労働者の半数近くが、ロボットを人手不足対策に役立つものと見ていると回答した」 

    産業革命(18~19世紀)初期は、労働者が職を奪うとして反対し、「機械打ち壊し」が行われた。現代は、ロボットを敵視せず仲間として受け入れる。高度産業化時代の大きな変化である。AI(人工知能)もチャットGPT(生成AI)も、弊害を抑制しながら活用するのであろう。

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    韓国とドイツは、対中輸出依存度が高いという共通点もあり、景気低迷に直面している。韓国は半導体、ドイツは自動車の輸出で中国依存度が高い。日本も影響を受けているはずだが、大きな問題にはなっていない。この差はどこにあるのか。日本は、中国市場へ輸出製品で特化していないのが難を免れている理由であろう。 

    『中央日報』(9月27日付)は、「好調だった韓国とドイツ、成長率がともに下落…産業集中と中国依存がそっくり」と題する記事を掲載した。 

    韓国経済とドイツ経済が同病相憐れむ状況に陥っている。同様の経済構造のためだ。韓国は半導体、ドイツは自動車の産業集中度が大きい。特定の産業に頼って経済が成長しただけに弱点を露出したという見方が出ている。また、両国とも対中輸出依存度が高い。中国の景気鈍化がそのまま景気低迷につながる。 

    (1)「韓国とドイツは最近経済が力を失っている。経済協力開発機構(OECD)は19日、韓国の今年の経済成長見通しを1.5%と発表した。6月の見通しと同じだ。ドイツは今年の成長率がマイナス0.2%と予想した。米国が1.6%から2.2%に、日本が1.3%から1.8%に成長見通しを引き上げたのと対照的だ。高金利の余波で輸出中心の国は厳しいという評価が出ているが、その理由だけでは説明にならない。同じように輸出中心の経済構造である日本の成長率は今年25年ぶりに韓国を上回る見通しだ」 

    日本は、対GDPの輸出依存度は17.89%(2022年)で、ドイツ(同39.92%)や韓国(同41.45%)に比べてはるかに低い。中国不況の影響は、こういう輸出依存度の多寡にある。

     

    (2)「韓国経済研究院によると、2021年にドイツの総付加価値で製造業が占める割合は20.8%で、G7平均の14.1%より高く、米国の10.7%、英国の9.8%の2倍水準だ。自動車など製造業への依存度がそれだけ高いという意味だ。高金利と緊縮による需要減少は製造業製品購入余力を落としてしまう。また、ドルの価値が上がっただけに原材料輸入による費用負担も大きくなる構造だ」 

    ドイツは、製造業のウエイトが高いことで分るように輸出依存度を高めている。ドイツの今年のGDPがマイナス成長になる理由の一つはエネルギー高も響いている。 

    (3)「特に特定品目への依存度が高い。韓国貿易協会によると、昨年のドイツの輸出額のうち自動車が占める割合は10.6%に達した。部品まで含めば15%に迫るという分析が出ている。自動車販売不振が景気鈍化に直結する構造だ。ドイツはエンジン車に集中したため先端技術だけでなく電気自動車産業でも遅れをとった。市場調査機関SNEリサーチによると1~6月の電気自動車シェアは中国BYDが20.9%、米テスラが14.4%。中国上海自動車が7.5%の順だ。ドイツのフォルクスワーゲンは6.7%で4位だ」 

    ドイツの自動車輸出は、エンジン車である。中国はEV(電気自動車)が大きく伸びているので、このEVブームに乗れなかった。

     

    (4)「欧州が最近中国の電気自動車補助金調査を始めたのも危機感を見せる。貿易協会のチャン・サンシク動向分析室長は「ドイツ最大の黒字品目だった自動車が最大赤字品目に変わるという見通しまで出ている。EUの対中電気自動車輸入の割合は5%程度だが2030年には20%まで上がるという予想も出ている。ドイツの製造業競争力が落ちた状況でシェアまで押されかねない状況」と話した」 

    ドイツ最大の輸出での稼ぎ手であった自動車が、逆転して赤字になることで経済成長に響いている。 

    (5)「経済構造がドイツと似た韓国には他人事でない。韓国の製造業の割合は2021年に27.9%でドイツより高かった。半導体という特定産業への依存度が高い点でも似ていた。総輸出で半導体が占める割合は2020年に19.4%、2021年に19.9%に達した。半導体の好況は貿易収支黒字につながった。だが今年1~8月の半導体輸出が全体で占める割合は14%水準に減った。月間輸出が昨年10月から11カ月連続で減少しているのはこのためだ。延世(ヨンセ)大学経済学部のキム・ジョンシク名誉教授は「半導体のほかにバッテリーやバイオなど今後韓国の輸出を分散し責任を持つ産業を育成しなければならない」と話した」 

    韓国は、半導体輸出で稼いできた。それが、ドイツの自動車と同様に落ち込んでいる。特定品目に依存する危険性が良く表れている。

     

    (6)「中国依存度が高い点でも似ている。国連国際貿易統計によるとドイツの昨年の輸出額のうち中国が占める割合は6.7%で、3番目に高かった。韓国は昨年の輸出で中国が占める割合が22.8%に達した。2位である米国の16.1%とも格差が大きかった。今年1~8月には19.7%に減ったが、輸出多角化ではなく中国の景気が振るわない影響が大きく作用した。梨花(イファ)女子大学経済学科のソク・ビョンフン教授は「中国の景気が予想より振るわないため依存度が高い韓国とドイツとも経済に直撃弾を受けたもの。中国ではなく東南アジアや中東など輸出できる国を多角化しなければならない」と話した」 

    輸出市場の多角化は、「言うは安く行うは難し」である。短期間に市場を変えることは、ライバル国がすでに基盤を築いているだけに困難である。韓国の場合は、個人消費の対GDP比が46.14%(21年)であるから、引上げに努力することが早道であろう。ドイツ(同49.25%)も同様だ。日本はそれほど自慢もできないが、53.83%(21年)で韓国やドイツよりも高い。

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    半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、欧州初となる工場をドイツに建設する方向で最終調整に入っている模様だ。ドイツのシュタルクワツィンガー教育・研究相が21日、台湾を訪問した。

     

    すでにこの1月、ショルツ連立政権の一角である自由民主党(FDP)の議員団が訪台している。FDP所属のシュタルクワツィンガー氏は、台湾の国家科学及び技術委員会の呉政忠主任委員と臨んだ技術協力協定調印式で、「同じ考えを持つパートナーとの協力を促進することは、私の省と私にとって非常に重要だ」と述べている。

     

    ドイツのショルツ政権は最近、日本政府と「合同会議」を開催して、「脱中国」政策を模索している。TSMCが、ドイツを欧州最初の工場立地として選ぼうとしている背景には、ドイツの「脱中国」政策との関連性があろう。

     

    『ロイター』(3月21日付)は、「ドイツ教育相が訪台、『尊敬するパートナー』と賞賛 中国は抗議」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ドイツのシュタルクワツィンガー教育・研究相が21日、台湾を訪問した。「尊敬するパートナー」である台湾を訪問できたことを光栄に思うと述べる一方、自身の訪問はドイツ政府の中国戦略とは無関係とも強調した。中国は同氏の訪台を「卑劣な行為」と呼び、独政府に抗議した。中国は台湾を自国の領土とみなし、軍事的、政治的、経済的圧力を強めている。ドイツ政府は現在、これまで緊密だった中国との関係を見直している」

     

    ドイツの教育・研究相が訪台したことは、通常ではごく稀なケースであろう。わざわざ、教育・研究相が訪台したのは、TSMCの工場建設や技術の保護などの打合せと見られる。

     

    (2)「北京では、中国外務省報道官が、シュタルクワツィンガー氏の「卑劣な行為」についてドイツ政府に強い抗議を行ったと述べた。記者会見で、ドイツは「台湾独立分離主義勢力との付き合いや交流、台湾独立分離主義勢力に誤ったシグナルを送ることを直ちにやめよ。台湾問題を利用して中国の内政に干渉することも、直ちにやめるべきだ」とした」

     

    中国は、ドイツを初めとして外交関係を結んでいる国が、台湾訪問することに極めて警戒的姿勢を見せている。「一つの中国」という原則に反するという理由だ。だが、台湾にも主権がある。国民を統治しているからだ。中国は、こういう現実を無視した主張を繰り広げている。ドイツのTSMCによる半導体工場建設問題は、どのようになっているのか。

     

    『日本経済新聞』(22年12月23日付け)は、「台湾TSMC、欧州初の半導体工場 ドイツに建設検討」と題する記事を掲載した。

     

    半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、欧州初となる工場をドイツに建設する方向で最終調整に入ったことが、12月23日分かった。年明けに経営幹部が現地入りし、地元政府による支援内容などについて最終協議する。早ければ2024年に工場建設を始める。投資額は数十億ドルに達する見通しだ。

     

    (3)「計画は、複数のサプライヤーの経営幹部が明らかにした。ドイツ東部のザクセン州ドレスデン市に工場を建設する予定だという。TSMCの広報担当者は日本経済新聞の取材に対し、「(工場建設について)いかなる可能性も排除しない」と述べた。工場建設が正式に決まれば、欧州連合(EU)にとって大きな追い風となる。欧州は、これまで半導体の多くを台湾などアジアから調達してきた。危機感を持つ欧州は域内での半導体生産の拡大に向け、「欧州半導体法」で官民が30年までに430億ユーロ(約6兆円)を投じる計画などを持つ。TSMCが予定する生産品目は、主にスマートフォンなどに搭載される「先端品」ではなく、「成熟品」といわれる「22~28ナノ品」になる見通し。自動車や家電製品などへの採用が想定される」

     

    ドイツのドレスデン市が、工場建設候補地という。生産品種は、中級品の「22~28ナノ品」でスマホなどに搭載されるという。

     

    (4)「関係者によると、TSMCは21年、顧客から欧州進出の要請を受けたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて検討を中止した。その後、欧州の大手自動車メーカーの間で、現地での半導体製造への需要が高まり、改めて工場建設を検討することになったという。あるサプライヤーの経営幹部は、新工場建設について「我々は顧客(TSMC)をサポートしたい」とした上で、「(実現には補助金などの)公的支援が必要になる」との見方を示した。欧州への進出にあたっては、人材の確保も課題となりそうだ。TSMCは米アリゾナ州に先端品の新工場を建設中で、数百人規模の技術者を派遣している。日本の熊本県にも500~600人の技術者を派遣する必要があるという」

     

    TSMCは、熊本で第二工場建設計画を発表している。これとの兼ね合いもあり、ドイツ工場建設計画は未だ発表されていない。中国にとっては、正式発表を受けてショックとなろう。

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    トヨタ自動車は、22年も3年連続で世界1の販売台数を達成した。EV(電気自動車)で出遅れていると指摘されながら、トヨタの強みは盤石という。S&Pの推計によれば、2030年も2位VW(ドイツ)に198万台の差をつけて、世界1位の座を守るという。

     

    『ブルームバーグ』(1月30日付)は、「トヨタが世界販売3年連続首位、当面盤石かー2位独VWとの差は拡大」と題する記事を掲載した。

     

    トヨタ自動車が、2022年の世界販売台数で3年連続で世界首位となった。世界的な半導体不足などによる生産制約はあったものの、中南米やアジアで販売を伸ばしたことが奏功した。独フォルクスワーゲン(VW)との差は拡大しており、市場ではトヨタの世界首位は当面揺るがないとの声も出ている。

     

    (1)「トヨタの30日の発表によると、子会社のダイハツ工業や日野自動車を含めたグループ全体の昨年の世界販売は前年比0.1%減の1048万3024台だった。VWは今月、22年の世界販売が同約7%減の826万2800台だったと発表していた。トヨタの主力市場である北米では、部品供給不足の影響を受けたほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響が薄れた21年前半が好調だったことの反動が出て、トヨタ・レクサスブランドは前年比8.8%減の244万5125台となった。一方で、アジア地域ではコロナ禍からの経済回復や各国の経済刺激策などにより同6%増の332万4735台となったほか、中南米でも2割超の販売増となった」

     

    トヨタは、アジア・中南米・中東・アフリカで販売台数を伸している。地球規模的な強みを発揮している。

     

    (2)「VWは、16年に世界販売台数でトヨタを抜いて世界首位に立ってから4年連続でその座を維持していたが、コロナ禍で地盤とする欧州の販売が落ち込んだことなどで20年にトヨタにタイトルを奪還された。その後、両社の販売台数の差はさらに拡大しており、トヨタの世界首位は当面揺るがない可能性がある。S&Pグローバル・モビリティーの川野義昭アナリストは、「両社とも生産制約の影響は徐々に緩和傾向になり、全般的には緩やかな回復・成長となると中長期では見込まれる」と指摘」

     

    トヨタの世界首位は、当面揺るがない可能性があると指摘されている。

     

    (3)「トヨタは、インドなど南アジア地域の市場成長や中東・アフリカや南米などの地域での牽引が下支えするのに対し、「VWはロシアや欧州地域での市場自体の不透明性が残り、かつ欧州地域での電動車の拡大により新たにテスラや中華系OEMのプレイヤーの需要の高まりなどを受ける」とみているという」

     

    トヨタは、インドなど南アジア地域の市場成長や、中東・アフリカや南米などの地域での牽引が下支えする。各国の映像を見ていると、トヨタ・マークが頻繁に出てくる。強い販売網が構築されていることを示している。

     

    (4)「トヨタは、16日に23年のトヨタ・レクサス車の世界生産について1060万台を上限として取り組むと発表。ただ、1割程度下振れするリスクもあるとしており、車載半導体を中心とした部品不足や新型コロナウイルス感染拡大など不確定要因が依然多く、安定的に生産ができるようになるまではまだ時間がかかる見通しだとしている。22年の世界生産は902万6713台だった。また、世界景気見通しの悪化に伴う自動車需要の鈍化に対する懸念もある。VWのアルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)は昨年12月のインタビューで、23年は前年よりも「さらに厳しい」年になるとし、自動車業界の成長は1桁になるとの見通しを示した

     

    VWは、欧州地域の販売で力強さを欠く。23年は、前年よりも厳しいと見込んでいる。

     

    (5)「S&Pの予測によると、トヨタの23年ライトビークル(乗用車と小型商用車)の販売見通しは約1039万4800台で、VWは約799万4800台。トヨタの販売台数は、30年時点でもVWを約198万台上回ることが見込まれるという」

     

    S&Pの予測では、トヨタが2030年でも2位のVWに対して、約200万台の差をつけるという。トヨタが盤石の強みを発揮する見通しだ。

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