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豪州と中国の関係は、悪化したままだ。中国は豪州へ経済制裁を行っており、豪州炭の輸入を全面禁止しているほど。中国では、無計画な豪州炭輸入禁止措置によって、石炭不足を招いて電力不足。漫画のような事態を招いている。

 

その豪州が、中国へ一矢報いることになった。豪州政府が来月、ビクトリア州の結んだ「一帯一路」協定を破棄させることになった。モーリス首相によれば、一帯一路協定を提携しても何のメリットも得られないことが理由である。

 

一帯一路を巡っては、欧州でも評価が落ちている。中国政府の触れ込みによる投資計画は、空手形に終わっているからだ。当初は大風呂敷を広げたが、実績は微々たるものというのだ。中国と中東欧17カ国は2月9日、経済協力を話し合う首脳会議「17+1」をオンラインで開いた。だが、エストニアとリトアニアは、首脳会議を欠席した。

 


中国は、中東欧を広域経済圏構想「一帯一路」の欧州側の玄関口と位置づけ、影響力拡大を目指してきた。道路や港湾、鉄道網の整備など中国による大規模なインフラ投資計画を打ち出していた。実際の計画は、資金不足で思惑通り進んでいないのだエストニアやリトアニアが欠席したのは、中国の「約束違反」を批判するためだ。

 

『大紀元』(2月15日付)は、「豪、来月にもビクトリア州の『一帯一路』協定を破棄、モリソン首相『何のメリットもない』」と題する記事を掲載した。

 

オーストラリア政府は来月にも、同国ビクトリア州政府が中国と締結した「一帯一路」の覚書を廃止する予定だ。同国のモリソン首相はこのほど、同国のヘラルドサン紙に対して、「一帯一路」協定がオーストラリアにもたらすメリットはないと述べた。ビクトリア州労働党政権は2018年10月、連邦政府と「事前の相談なし」に単独で、中国との間で「一帯一路」に参画する覚書を交わしたが、この動きは連邦政府から激しく批判されてきた。

 

(1)「昨年12月、連邦政府は「外交関係法」を導入した。地方政府と大学が外国政府と締結した協定が「国益に反している」と判断した場合、政府はそれを破棄する権限を持つ。「外交関係法」によると、州政府は3月10日までに、連邦政府へ外国政府と締結したすべての協定を提出する義務がある。モリソン氏はヘラルドサン紙に対し、「(一帯一路による)メリットは何も見当たらない」

 

豪州へ「一帯一路」の恩典があるはずもない。中国政府の甘い勧誘に乗せられたに違いない。一帯一路では、インフラ工事が主体になる。州政府が、中国と組んでインフラ工事をする必要がないのだ。

 


(2)「オーストラリア統計局が発表した最新のデータによると、ビクトリア州が一帯一路に署名して以来、同州の対中貿易赤字は約25%も増加し、対中貿易の輸入額が輸出額より420億豪ドル上回っている。また2014年から統計すれば、同州の対中貿易赤字は2倍近くに上っていることがわかった。ビクトリア州の野党は、「一帯一路」は中国共産党に奉仕するためのものであり、同州の利益を考慮していないと批判している」。

 

ビクトリア州の対中貿易赤字が膨らんだ理由は不明である。州政府が、意図的に対中輸入を増やしたのだろう。こうなれば、一帯一路のメリットは一つもないはずだ。

 

(3)「モリソン首相は去年からビクトリア州政府に同協定の廃棄を求めているが、同州のアンドリュース首相は要請を無視した。モリソン首相は、「連邦政府の政策だけが対外関係を決定することができる」とし、これは「非常に重要な原則」であり、オーストラリアの外交政策に一貫性がなければならないと繰り返して表明した。「外交関係法」が施行された後、ジョシュ・フライデンバーグ財務大臣は、「連邦政府は最初から一帯一路への署名には同意しなかった。それは今も同じだ」と述べた」

 

外交と防衛は、国家の専権事項である。豪州の場合、州政府に外交権限を与えていたこと自体が間違いである。国家が、一元化するのは当然である。

 

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