勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ: ロシア経済ニュース

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    ロシアは、ウクライナ軍のドローンによりロシア国内の空軍基地を連続して攻撃される事態を招いている。改めて、ロシア軍の防空体制に抜け穴があるのでないかと指摘されている。一方、ウクライナ国防省情報総局トップのキリロ・ブダノフ氏は、ロシアが高精度のミサイルをほぼ使い果たしたのでないかとの見方を示している。ブダノフ氏は、ウクライナのテレビで、ロシアの高精度ミサイルの在庫は「すでに尽きつつある」と述べたもの。

     

    こうしてウクライナ軍の勢いは、冬季間も持続させることが、ウクライナ軍が最終的に勝利への道をたぐり寄せる機会になる、と米国シンクタンク「戦争研究所」が分析する。

     

    米『ニューズウィーク 日本語版』(12月6日付)は、「『ウクライナ軍の活路は冬にしかない』、米戦争研究所」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナがさらなる領土奪還に向けてロシア軍に反撃するいちばんのタイミングは春だ、という米政府関係者の分析は誤っていると、米ワシントンを拠点とするシンクタンク戦争研究所(ISW)は指摘する。

     

    (1)「アメリカの情報機関を統括する国家情報長官(DNI)を務めるアブリル・ヘインズは12月3日、カリフォルニア州シミバレーで開催されたレーガン国防フォーラムで、ウクライナでの戦争は冬になって戦闘の「テンポが落ちた」とし、両軍が来春の反抗に向けて準備に入ったと述べた。現に東部ドネツク州では戦闘が下火になっていると、ヘインズは述べた。「問題は、冬が終わったときにどんな反攻が繰り広げられるのか、だ」と、ヘインズは言った。「率直に言って、両軍とも、反攻のためには再装備や補給など再編成が必要な状態だろうと我々は考えている」と指摘する」

     

    ウクライナ軍のこれまでの反攻作戦は、ロシア軍の兵站線を叩いて補給させないことに重点を置き、ロシア軍を疲弊に追込んで勝利を掴んできた。こういうプロセスから見て、ウクライナ軍が手綱を緩めることは、ロシア軍に息を吹き返らせる意味で愚策である。

     

    (2)「ISWはその見方に反論する。12月4日に公表した報告書のなかで、ヘインズの情勢判断はいくつかの兆候を見落としていると指摘した。「冬のあいだは、(凍って硬い)地面が攻勢をかけるうえで有利に働くこと、そして、ウクライナ軍には作戦完了後に比較的すばやく次の攻撃に移る傾向があること」だ。ウクライナ軍は11月半ば、2月の侵攻開始直後からロシア軍に占拠されていた南部の都市ヘルソン(ヘルソン州の州都)を奪還した。同地域では、ほぼ同時に40を超える町をロシアから奪い返している。ロシア政府は、ヘルソン州に駐留していたおよそ3万人の軍隊に撤退を命じた」

     

    ウクライナ軍も、地面が凍ることで機動力が増すとしている。冬季は、攻撃する方が有利とされる。防衛側は、じっと敵の攻撃を待つ以外に方法がないのだ。ロシア軍は、耐寒装備面でも劣っている。ウクライナ軍が、はるかに有利な立場にいるのだ。

     

    (3)「ISWはこう述べている。「ウクライナ軍は、2022年8月に主導権を握って以来これを保持しており、次々と作戦を展開して成果をあげている。9月にはハルキウ州のほぼ全域を、11月にはヘルソンを、ロシア軍から奪還した。ウクライナ軍は現在、この冬にほかの場所でさらなる攻勢をかけるべく態勢を整えているところだ」。ISWは、ウクライナ戦争における冬という季節の重要性を過小評価しているわけではない。ISWは今冬について、以下のように述べている。「冬は、ウクライナ軍が機動戦を展開するさい、いかに休止期間を最小限に抑えて次々と成果を上げ続けられるかを決定づけるだろう。休止期間が長いと、ウクライナが主導権を失うリスクが高まる」としている」

     

    下線のように、ともかくロシア軍に休息期間を与えずに、着実に攻めまくることである。

     

    (4)「ISWは一方で、冬はウクライナに有利に働くと考えている。逆に気温が上がれば、地面がぬかるみ、軍用車両の進行が容易でなくなる。「ウクライナにおいては通常、冬は戦車などを中心にした機甲戦に最適な季節だ。それに対して、春は戦闘にとって悪夢の季節だ」とISWは述べる。ウクライナを支持する国々は、「ウクライナ軍がこの冬、大規模かつ決定的な反攻作戦を繰り広げられる」よう支援すべきだ、とISWは述べている」

     

    ウクライナ軍は現在、東部と南部で攻撃を続けている。ロシア軍は、南部の防衛隊を東部に移動させるなど、南部に防衛の空白地域をつくれば、ここを一気に攻めまくる体制にあると軍事専門家は見ている。

     

    (5)「そうしなければ、ウクライナ軍は勢いを失い、2023年3月の後まで身動きが取れなくなる。「そうなれば、疲弊したロシア軍に対して、貴重な猶予期間を34カ月も与えることになり、彼らは態勢を立て直すだろう」とISWは結論している」

     

    ロシア軍は最近、しばしば停戦を話題にしている。これは、ロシアの計略であって、この間に部隊を再編成して再び戦いを挑む方針と見られている。ロシア軍に誠実な面を期待できないのが現状である。


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    ロシアのウクライナ侵攻後9ヶ月を経て、ロシア国内でも世論の変化が起こっている。ロシア軍劣勢という情報が、次第に知れ渡ってきたからだ。最近、ロシア連邦警護庁が極秘に行った世論調査結果によれば、「和平交渉支持55%、戦争継続支持25%」という結果が出た。 

    一方、ウクライナ軍はロシア国内の空軍基地をドローン攻撃したことがロシア側の発表で明らかになった。ウクライナ軍が、ロシア国内基地も攻撃対象にしていることを示しており、ロシアへの反攻作戦本格化の前兆とも言えよう。 

    『朝鮮日報』(12月6日付)は、「ロシア世論、『ウクライナ戦争継続支持』25%に低下」と題する記事を掲載した。 

    「ロシア国内でウクライナ戦争への支持が一気に低下している」との分析結果が公表された。英紙『ガーディアン』が4日に報じた内容によると、英国防省は情報関連の報告書で「最近の世論調査によると、ロシア国内での戦争への支持率はわずか25%」と明らかにした。 

    (1)「ラトビアでロシア関連の情報を伝える独立系メディアのメドゥーザは、ロシア連邦警護庁が先日極秘に行った世論調査結果を入手したという。ロシア連邦警護庁は、クレムリン宮の警護や政府高官の警備を担当している。ロシア連邦警護庁の調査によると、回答者の55%は「ウクライナとの平和交渉」を支持しているが、一方で「戦争継続を望む」との回答は25%にとどまった。ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターが先日行った世論調査の結果も同じようなものだった。回答者の53%が平和交渉を、41%が戦争継続を支持した。今年4月にはウクライナ戦争の支持率は80%に達していたが、これと比較すると戦争終結を望む意見が大幅に増加したようだ」

     

    ロシア連邦警護庁の調査では、回答者の55%は「平和交渉」支持。一方では、「戦争継続」は25%にとどまった。独立系世論調査機関レバダ・センターの世論調査では、53%が和平交渉、41%が戦争継続であった。戦争継続派は、4月の80%から41%へ、さらに今回の25%へと急速に低下している。 

    先の動員令30万人によって、ウクライナ戦争が「自国の戦い」という認識に変ってきた結果であろう。来年になれば、第二次動員令として、50万~70万人の招集が噂に上がるようになっている。これが現実化すれば、「戦争支持率」はさらに低下するであろう。 

    プーチン氏は、自己の開戦責任を問われないように、長期戦を意図していることは間違いない。だが、戦いが長引いて犠牲者が増えるほど、プーチン氏にとって状況は悪くなるのだ。

     

    かつて、ソビエト崩壊を予見したことで知られる、ロシア研究の大家でフランスのエレーヌ・カレールダンコース氏は、今回のウクライナ侵攻作戦について「プーチン政権の終わりの始まりだ」と指摘する。『NHK』(11月14日付)が伝えた。 

    (2)「これまでプーチン大統領がウクライナに動員してきたのは、主にモスクワから離れた周辺の地域の戦闘員たちです。いま、ロシアの母親たちは自分の子どもが動員されることを聞かされ、不満に思い始めています。私が想像もしなかったこの軍事作戦が始まった瞬間から、これはプーチン氏にとって「終わりの始まりになる」と思いました」 

    (3)「本当の問題は、ロシア国内でどんな変化が起きるのかです。ロシアでは、国民が目覚め始めているのは明らかです。私は、ジョージアやフィンランドに向かったロシア人たちのことを忘れてはいません。この人たちはみな家族がいて、家族とコミュニケーションをとっています。それは、国に対する圧力になるでしょう。このような状況で統治を続けることは非常に難しいのです。この国で目を覚ました人たちは、これからも出てくると思います。ロシアでは、変革は底辺の騒乱から始まるということを、歴史は語っています」 

    下線部分の指摘は、いかにも歴史学者の見識を示している。一時は、プロパガンダに騙されていても、真実を知れば人間は変わるもの。現在は、その変化の過程にあるのだ。

     

    (4)「英国防省は、「広範囲にわたる情報統制を行うロシア当局の努力にもかかわらず、今年9月の部分動員令後は多くのロシア人にとって戦争が現実のものとなった」「ここ数カ月、ロシアは主な戦場で成功できていない様子のため、クレムリン宮は戦争に対する暗黙的な支持を維持することが徐々に難しくなるだろう」と指摘した」 

    英国防省の見方が正しいであろう。プーチン氏の企む西側諸国の「戦争疲れ」の前に、ロシア国民の覚醒する期待の方が強い。

     


    米『ニューズウィーク 日本語版』(12月6日付)は、「ロシア空軍基地に閃光と轟音 ウクライナのドローン攻撃?」と題する記事を掲載した。 

    ロシア空軍基地がドローン攻撃を受けた様子とみられる動画が、インターネット上に出回っている。この攻撃により、核爆弾を搭載可能なロシアの軍用機2機が破壊されたと報じられており、問題の動画はその破壊の瞬間を撮影したものとされる。 

    (5)「ロシア国内の2つの空軍基地――モスクワの南東に位置するリャザン市の空軍基地と中部サラトフ州にある空軍基地――で爆発が報告されたのは12月5日。米政府系ラジオの自由欧州放送によれば、爆発があったサラトフ州のエンゲリス空軍基地はウクライナから約600キロメートルのところに位置しており、ベラルーシの報道機関「ネクスタ」が5日にツイッター上で共有した動画は、その爆発の瞬間を捉えたものとされている。「ネクスタ」は、この閃光はドローン攻撃によって引き起こされたもので、この攻撃で2機の戦略爆撃機TU―95が破壊されたと報じた。「ベア(熊)」の異名を持つTU-95は、核兵器などの爆発物を搭載して長距離を飛行することができる戦略爆撃機だ」 

    2機の戦略爆撃機TU―95が破壊されたとすれば、ウクライナ軍の大胆な攻撃と言える。ウクライナ軍は、ここまで強気になって反攻作戦を展開しているシグナルであろう。

     

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    プーチン大統領は、ウクライナ戦争解決の条件として、米国がロシアの支配地域を「新ロシア領」と認めず、妥協の可能性を妨げているとの立場を示した。ロシアのぺスコフ大統領府報道官が、明らかにしたものである。 

    こういう「虫のいい」条件に対して、西側諸国は一斉に非難を浴びせている。だが、プーチン氏にとっては、前述のような条件が受入れられるまで、粘りに粘って戦争を継続することで、西側諸国の「戦争疲れ」を誘い出そうとする意図は明白である。 

    ウクライナ東部バムフトの最前線では、ロシア軍兵士の奇妙な動きが頻繁に見られる。「ロシア軍が無計画に攻撃しているように見える。『装備や見た目、行動や動作から判断すると、ロシア兵は単にウクライナ軍の陣地近くへ忍び込み、走り、歩いているだけ。訓練された軍人が近くにいるわけでもなく、(ウクライナ軍への攻撃的)戦術もない』」という。 

    こうしたロシア兵の行動は、ウクライナ軍の標的になることで、ウクライナ軍の所在場所を探る目的と見られる。連日、これが繰返されており犠牲者を増やしているのだ。『ロイター』(12月5日付)が伝えた。

     

    『ロイター』(12月5日付)は、「プーチン大統領『和平協議に真剣でない』米国務次官」と題する記事を掲載した。 

    ヌーランド米国務次官は3日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ市民への電力供給を断つことで戦争の野蛮さの度合いを増しており、和平協議について誠実でないとの見方を示した。 

    (1)「同次官は、ウクライナへの支持を示すためキーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領らと面会。「誰もが当然、外交を目標としているが、前向きな相手が必要だ」と記者団に述べ、「エネルギー(インフラへの)攻撃であれ、ロシア大統領府の発言や態度全般であれ、プーチン大統領が(外交について)誠実でなく、用意ができていないのは非常に明白だ」とした」 

    プーチン氏は、和平について語るようになったが、真に和平を求めるという真剣なものではない。ただ、口先だけの「おしゃべり」に過ぎない。それは、和平交渉に値する内容でないからだ。

     

    (2)「バイデン米大統領は12月1日、プーチン大統領がウクライナ戦争の終結に関心を示せば協議する用意があると述べたが、ロシア大統領府は同国が宣言したウクライナ4地域の併合を西側が承認する必要があるとの立場を示した。ヌーランド次官はこれについて、ロシアが和平協議に「いかに真剣でないか」を示していると述べた」 

    ロシアは、あたかも「戦勝国のような振る舞い」で和平を口にしている。米国が、ロシアの占領した4州をロシア領と認めれば、和平交渉に応じるという、非現実的な空論を述べているに過ぎないのだ。 

    プーチン氏が、このように時間稼ぎの発言をしている裏には、プーチン氏がロシア国内のメディアを支配する数十年来の旧友を持っていることだ。これによって、ロシア国内の言論を抑えられるという自信に裏づけられていると思われる。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月5日付)は、「プーチン氏の最強兵器? 陰で支えるメディア王」と題する記事を掲載した。 

    ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻の決定を後押ししてきた陰の実力者がいる。戦争でロシアの国力を証明できると訴えた富豪ユーリ・コバルチュク氏(71)だ。同氏はプーチン氏とは数十年来の旧友だ。強力な軍事大国であり、米国に対する文化的な対抗軸としてロシアをとらえる点でプーチン氏と共通する。コバルチュク氏を知る複数の関係者が明かした。2月の侵攻開始以降、コバルチュク、プーチン両氏は頻繁に会っているほか、電話やビデオを通じても連絡を取っている。コバルチュク家の友人や元ロシア情報当局者が語った。


    (3)「プーチン氏はかねて、信頼する側近らにロシアの重要産業の運営を任せてきた。だが、コバルチュク氏はプーチン氏との個人的な関係の深さや世論誘導で果たす役割という点において、突出した存在だ。財務情報や裁判所文書、元情報当局者や友人らへの取材で分かった。米財務省はコバルチュク氏を制裁対象に指定した2014年、プーチン氏の「お抱え銀行家」と呼んだ。また同氏はロシア屈指のメディア王で、プーチン政権のプロパガンダを拡散することの多いテレビ局や新聞、ソーシャルメディアを多数抱える」 

    プーチン氏の盟友コバルチュク氏は、プーチン政権のプロパガンダを拡散することの多いテレビ局や新聞、ソーシャルメディアを多数抱えている。プーチン氏は、この「御用メディア」に援護されて、負け戦も「勝利」のように報道され守られているのだ。

     

    (4)「ウクライナでの戦況が悪化すると、コバルチュク氏のメディア帝国は侵攻を絶賛するプロパガンダを大量に投下し、反政府派を弾圧。懸念を強める国民の注意をそらすなど、プーチン政権にとって一段と強力な武器になっている。シンクタンク「ストックホルム自由世界フォーラム」のシニアフェローでエコノミストのアンダース・アスルンド氏は、コバルチュク氏について「プーチン(氏)にとって二つの重要な役割を果たす」と解説する。「彼はカネとメディアを操る人物だ」と指摘する」 

    プーチン氏が、ウクライナ侵攻で時間稼ぎできるのは、盟友による「御用メディア」で守られているという自信によるものだろう。ウソ情報にダマされて真実を知らされないロシア国民は、いつ真相を知ることになるのか。

     

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    ロシアは、30万人の動員令募集を終了したが、いつ再び動員令が出るか分からないことからジョージアへ出国した人たちは帰国しないという。ロシア国内の殺伐とした雰囲気を伝えている話だ。

     

    『ロイター』(12月4日付)は、「ジョージア避難のロシア人、動員完了後も帰国急がず」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアがウクライナ侵攻部隊の増強策として実施した部分動員の完了を発表してから1カ月が経過した。だが、招集から逃れようと隣国ジョージアへと脱出した多くのロシア人男性は、全く帰国を急いでいないという。

     

    (1)「ロシアのプーチン大統領は9月21日、ウクライナの一部でのロシア軍撤退を受けて部分動員令を発表。前線へ送られる懸念から、対象年齢にある数万人の男性がジョージアやアルメニア、カザフスタンなどの国へ向かった。ジョージア政府が発表した統計によれば、2022年に11万人以上のロシア人がジョージアへ避難した。こうした動きはジョージアに好景気をもたらす一方、反ロシア感情の強い同国内での反発も招いている」

     

    人口370万人のジョージアへ、ロシア人が11万人以上も緊急避難してきた。お陰で、ジョウージア経済は潤っている。ただ、ジョージアでは反ロシア感情が強いので、必ずしも「安住の地」とは言えないが、兵隊に取られる心配はないので、その点で天国である。

     

    (2)「ロシアのプーチン大統領やショイグ国防相が招集完了を発表して1カ月が経ったが、避難したロシア人の多くは、すぐに国へ戻ることはないと口をそろえる。「何よりもまず、紛争を終わらせなければならない」と、ゲーム開発者のエミールさん(26)。ロシアから出国するために国境の行列に並び、2日を費やしたという。トビリシで行われた取材に対し、こう訴えた。「男性をはじめ、誰もがリスクに直面している状況だ。私は自分自身の安全を第一に考えている。警察の前を歩いて通り過ぎただけで逮捕される可能性がある国には、もちろん戻りたくない。自由と安心が欲しい」。ロシア政府は動員令そのものは撤回しておらず、事前通告なく追加動員が発令されるのではないかとの憶測も広がっている」

     

    ジョージアへ移ってきたロシア人は、職業を持っているので生活に困らない。ロシアへ戻れば、いつ動員令が掛かるかも知れないのだ。先の動員令では、勤務先でそのまま徴兵され、家族が後から探しに来たという例も珍しくない。こういう非人道的な徴兵だけに、「逃げるが勝ち」である。祖国愛とはかけ離れた暴力的な徴兵だ。

     

    (3)「モバイルゲーム業界で働くスラバさん(28)は、「何がどうなればロシアに戻りたいと思うか、漠然と考えてはいる。ただ、今は、トビリシにあるアパートを6カ月借りて、営業登録もしている。あと6カ月はここにいるだろう」と語る。「ロシアで何が起きているか、注視するつもりだ。一部のことを除けば、進んで帰国したいとは思っている。ロシアで暮らすことは気に入っているし、ロシアが大好きだから」という」

     

    ロシアが大好きなロシア人でも、動員令を逃れてきたケースもある。巷間伝えられる、徴集兵の待遇の悪さを考えれば、逃げ出すのも致し方ない。

     

    (4)「人口わずか370万人、ロシアに比べて経済力の弱い国に比較的裕福なロシア人が大勢流入したことで、緊張も生まれている。ジョージアで野党議員を務めるサロメ・サマダシビリ氏は、自身のオフィスにあるウクライナ国旗の前で「事態は収拾できない状態にあるという見方もある」と指摘する」

     

    ジョージアへ突然、人口の3%に当るロシア人が移住してきたので摩擦があるのは当然だ。いざこざを起せば、ロシア介入の良いきっかけを与えることになる。それだけに、ジョージア人は、我慢している面もあるのだろう。

     

    (5)「ジョージアのアブハジア地方、南オセチア地方は、ロシアを後ろ盾とした分離独立主義者が実効支配している。2008年、ロシアは、両地方がジョージア政府の脅威にさらされているとして、ジョージアの他の地域へも短期間の軍事介入を行った。サマダシビリ氏は、プーチン氏がウクライナ侵攻時と同様、ジョージア国内のロシア人を「保護するため」との口実をジョージアへの侵攻拡大に利用しかねないと懸念を示す。ジョージア人の多くは、国の5分の1がロシアの占領下にあると考えており、抗議活動の際などにはそうした訴えの声も上がる」

     

    ジョージア人の反ロシア感情が強いのは、国土の5分の1がロシアに支配されている結果である。ロシアは、他国領でも「ロシア人保護」という名目で侵略するどう猛性を見せている。ウクライナ侵攻と全く同じケースだ。

     

    (6)「戦争やロシア国内でのプーチン氏による強権政治に反発してやって来た大勢のロシア人は、こうしたメッセージに共感している。中にはジョージアに定住を決めた人もいる。3月にトビリシに引っ越した起業家のデニス・シェベンコフさんは、「移住を決意したのは、もっと自由を感じるためだ」と話す。シェベンコフさんは6月、トビリシでコーヒーの事業を開始。先月にはロシアのサンクトペテルブルクで元々開いていたコーヒー店を畳んだ。「サンクトペテルブルクにいた警察の態度や、自治体政府や当局がしていたことを思い返すと、全く戻りたいと思わない」と指摘」

     

    ジョージアで永住を決めたロシア人もいる。ロシア当局の強圧的姿勢を思い出すだけで、怒りが込み上げるのであろう。日本人には理解できないことかも知れない。

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    ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)は、次第に冷え込みが厳しくなり、秋雨でぬかるんでいた路面が凍結し始めてきた。ルハンスク州知事は2日、「天候が変化し、ウクライナ軍が反攻を展開しやすくなった」としており、東部での攻防も激しさを増しそうだという。 

    ウクライナ軍南部方面部隊の報道官は4日、公共放送で「ドニプロ川東岸も解放しなければならない。地元住民はウクライナ軍が近くにいることを知っている」と述べ、反攻を計画していることを示唆した。ウクライナ軍の特殊部隊は3日、東岸でウクライナ国旗を掲げ、橋頭堡を確保したとの動画をSNSに投稿した。

     

    一方、ウクライナ軍は4日までに、中南部ザポリージャ州でロシア軍の一部が撤退していると主張した。ウクライナ軍は、クリミア半島奪回を目指す反攻作戦の一環としてザポリージャ州を南下し、ロシア軍の兵站線を攻撃する戦術が始まる気配が強くなってきた。 

    米『CNN』(ロイター)12月4日付)は、「ロシア軍、中南部ザポリージャ州で一部撤退か ウクライナの攻撃受け」と題する記事を掲載した。 

    ウクライナ軍は4日までに、中南部ザポリージャ州でロシア軍の一部が撤退していると主張した。同州の占領行政当局の関係者が退避の準備をしているとも述べた。ウクライナ軍によるロシア軍の弾薬庫や兵員の集積地点への攻撃を受けた戦果とも受け止めている。

     

    (1)「ウクライナ軍の参謀本部は1日時点の戦況分析で、ロシア軍部隊はザポリージャ市の南部にあるミハイリウカやポロヒなどの都市や町から撤収したと説明。州内の前線地帯は長さ200キロにわたり起伏している農地の中に広がっているとした。参謀本部は、ブルチャクの集落では占領当局が住民の自発的な逃避のための人口調査を実施しているとも述べた」

    ウクライナ軍は、ドニプロ川渡河作戦のほかにザポリージャ市の南部で攻撃をかけるという陽動作戦を展開している感じだ。これまでの反攻作戦と同様に、ロシア軍の兵站線を綿密に潰しており、ロシア軍最前線での弾薬などの補給を止めている。ロシア軍部隊の撤収が始まっても不思議はない。勝ち戦パターンになっている。

     

    (2)「ウクライナ軍は、ドニプロ川西部地域を奪還した南部ヘルソン州と同様の戦術を進めているともみられる。ロシア軍の戦陣の背後にある橋梁、補給拠点や兵員の集合地点に攻撃を加え、退路を断つ戦法となっている。参謀本部によると、約6カ所の地点を狙ったここ数日間の攻撃では230人以上のロシア兵を負傷させ、弾薬庫や装備品を破壊したとも述べた。CNNは参謀本部のこれらの主張の正当性を確認できていない。ロシアが任命した、ザポリージャ州の占領地当局の責任者は、ロシア軍がミハイリウカなどから撤退したとするウクライナ参謀本部の主張を否定」 

    下線部分は、これまでのウクライナ軍反攻作戦と同じプロセスを踏んでいる。ウクライナ軍の犠牲が、ロシア軍の8分の1に収まっているのは、こうした合理的な戦い方にある。

     

    (3)「ザポリージャ州の今後の戦況について軍事専門家は、ウクライナ軍による次の攻勢はロシア軍が占領するメリトポリ市へ向かっての南進になる可能性があるともみている。また、ウクライナ軍は2日、同州のロシア軍陣地の背後で特殊部隊が作戦を遂行していることを明らかにした。SNS上で、占領地にある電子戦の拠点を突き止めてその座標を味方の砲兵部隊に知らせ、破壊させたとも明かした。この拠点はポロヒ市にあり、ウクライナ軍の通信系統のかく乱や同市の携帯通信網の封じ込めを図っていたと述べた。特殊作戦部隊はさらに、S300型ミサイルが備えられているロシア軍の施設を破壊したとも報告」 

    下線のメリトポリ市への進軍は、陸上でのクリミア半島への物資補給路を断つ狙いがある。これは、元NATO軍司令官が示唆した反攻ルートだ。ウクライナ軍は、極めてオーソドックスなルートを通ってロシア軍の喉元に迫る戦術であろう。ウクライナ軍の特殊部隊が、ザポリージャ州ロシア軍陣地の背後で作戦を遂行しているのは、ロシア軍の防衛線にかなり隙間ができていることを証明している。スカスカ状態になっているのだ。

     

    (4)「米シンクタンク「戦争研究所」は、ザポリージャ州の最近の戦況について、ウクライナ軍による兵員の集積地点や後方支援の拠点に対する攻撃の強化で、ロシア軍が重要な地域を防御できない局面に陥っていることを示唆しているかもしれないと分析した」 

    ウクライナ軍の兵站線攻撃が、非常に効果を上げていることを示している。米軍が、太平洋戦争で日本軍の兵站線を綿密に潰したと同じ戦術が使われている。ロシア軍が、旧日本軍と同様の運命へ追込まれていることは間違いない。

     

     

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