勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: ロシア経済ニュース

    a0960_006628_m
       

    ロシアのウクライナ侵攻は、すでに6ヶ月近くになるが、ウクライナ南部戦線でロシア軍に大きな打撃が目立ってきた。英国防省は12日、クリミア半島のロシア空軍基地で今週起きた爆発によりロシアの戦闘機8機が失われ、黒海での海軍の航空能力が低下したとの見解を明らかにした。

    損害を受けた戦闘機は航空部隊全体のごく一部だが、同基地は主要な作戦基地として使用されているため、黒海の能力に影響が及ぶと指摘している。基地の飛行場自体はおそらく運用可能な状態だが、周りのエリアは深刻な被害を受けたと分析した。またロシア軍は爆発を受けてこの地域の脅威に関する認識を改めるだろうとした。『ロイター』(8月13日付)が報じた。

     

    『ハンギョレ新聞』(8月13日付)は、「英国防相『ロシアは負けはじめた』」と題する記事を掲載した。

     

    西側から精密兵器の支援を受けたウクライナが南部戦線で攻勢を強める中、英国の国防相は、今回の戦争でロシアが「負けはじめた」と評価した。

     

    (1)「英国のベン・ウォレス国防相は11日、デンマークのコペハーゲンで行われたウクライナ支援国の会議「#コペンハーゲン・ウクライナ2022」で、ロシアの侵攻は「動揺しており」、ロシアが「負けはじめた」と評価した。ロイターなどが報じた。この会議において、主催国の英国とデンマークなどの26カ国はウクライナに対して15億ユーロ(15億5000万ドル)の軍事的、経済的な追加支援を行うことで合意した」

     

    英国防相は、ウクライナ南部戦線でロシア軍が進軍を阻まれ、逆に後退を余儀なくされていると明らかにした。これは、ウクライナ軍も同時に発表している。ウクライナ軍の広報担当者は12日、南部にあるロシア軍の補給経路ほぼ全てを砲撃できる状態にあるとの見解を語った。ロイター通信が伝えた。

     

    同担当者は「我が軍は南部で主導権を握っている」と語った。同日新たに南部のロシア軍弾薬庫1カ所を破壊したとも発表した。ウクライナ軍は米国提供の高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを使い、南部主要都市ヘルソンを占領するロシア軍の補給経路を相次いで攻撃している。

     


    (2)「ウォレス国防相は、戦闘と人命の損失が依然として続いているが、ロシアは「多くの地域で負けはじめている」ということを理解することが重要だと強調した。そして「ロシアの侵攻は相次いで修正され、南部および東部のみに焦点を合わせるようになっている」とし「これは、彼らが当初言っていたいわゆる(開戦当初の)3日間の特別作戦から大きく逸脱しているもの」と指摘した。また「ロシアのプーチン大統領は、8月になれば、あるいは数カ月以内に、我々がみな紛争に疲れ、国際社会はそれぞれ異なる方向へと向かうだろうというギャンブルをしてきたが、現状はその逆だ」と述べた」

     

    ロシア軍は、ウクライナの「多くの地域で負けはじめている」と指摘している。米軍提供の高機動ロケット砲システム「ハイマース」(射程距離77キロ)が、威力を発揮しているのだろう。ロシア軍には、これだけの長距離砲が存在しないので「負け戦」が予想されていた。

     


    (3)「ウォレス国防相は、今回の会議で合意された支援は「いずれもウクライナの勝利を助け、ウクライナの主権を守り、ウクライナでプーチンの野望を挫折させるためのものだ」と述べた。デンマークのモルテン・ボドスコフ国防相は、今回の会議で合意された支援金は兵器の生産と購入、ウクライナ軍の訓練、地雷の撤去に使われるとしつつ、西側はウクライナに対する兵器支援を強化すると約束した。同氏は、9月にも支援国会議を開催し、追加支援を議論すると明らかにした」

     

    26ヶ国が、ウクライナを支援している。戦況が有利になれば、一段と支援に力が入るので、ロシアには「敗色濃厚」という事態を招くであろう。

     


    (4)「米国とともにウクライナに対する兵器支援を主導する英国はこの日、多連装ロケットシステム(MLRS)および射程距離80キロのM31A1精密誘導ミサイルなどを含む3億ユーロの支援を約束した。ウクライナは最近、米国から支援を受けて実戦配備した高機動ロケット砲システム(HIMARS)などの精密移動兵器を用いて、南部戦線などでロシア軍の重要施設を攻撃している。これによってウクライナ軍は、ロシア軍に対して攻勢を続けているという評価を受けている」

     

    ウクライナ南部戦線では9日、前述の通り前線から200キロメートル以上離れたクリミア半島のロシア軍航空基地で爆発が起きた。これは、ウクライナ軍がさらに遠距離を砲撃する能力を手に入れたとの推測もあるほど。米国は、一気に戦況を変えたいという思惑もあるに違いない。

     

    a0960_005041_m
       

    11年前のドイツでは、17カ所の原発が国内の電力の約4分の1を供給していた。しかし2011年に福島の原発事故を受けて、アンゲラ・メルケル前首相は原発の段階的廃止を決めた。現在残っている原発は3カ所だが、年内に操業を停止する。経済、気候変動問題、地政学の観点から見て、原発ゼロは極めて難しい状況になった。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月8日付)は、「原発を支持し始めたドイツ人」と題する社説を掲載した。

     

    ドイツのエネルギー政策は欧州経済が直面する最大の脅威の一つだが、希望の兆しがあるとすれば、それはドイツの有権者がそれに気付き始めていることだ。最近の世論調査では、これまで原子力発電に懐疑的だった同国で、原子力を支持するコンセンサスが固まりつつあることが示唆されている。ベルリンの政治家たちも理解が追いついてくれるといいのだが。

     


    (1)「現在の主な論点は、残り3基の原子炉の運転期間を延長するかどうかだ。これらの原子炉は、ドイツ国内の電力需要の約6%をまかなっているが、年末に運転を停止する予定となっている。独誌シュピーゲルが週末に公表した調査によると、回答者の約78%が少なくとも2023年夏までの稼働延長を支持し、67%は5年間の延長を支持している。世論調査会社インフラテスト・ディマップがドイツ公共放送連盟(ARD)の委託で行い、先週発表された世論調査でも、同程度の支持があった。およそ82%の回答者は原子力発電所の稼働延長に賛成し、うち半数は「数カ月間」、残りの半数はより長期間の延長に賛成した。これは同社の6月の調査で原発の稼働延長に賛成した61%を上回った」

     

    ドイツが、「反原発政策」を貫いてきた裏には、ロシア産天然ガスへの依存があった。ドイツは、同盟諸国の反対にもかかわらず、ロシアからのガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」計画を断固として支持してきた。プーチン・ロシア大統領による欧米諸国への対抗姿勢を敢えて無視したのだ。今や、ロシアのウクライナ侵攻で、ドイツのロシア観は根本から修正を迫られ、原発政策へ回帰せざるを得なくさせている。ドイツ国民も、いち早く原発賛成に変わったのだ。

     


    (2)「反原発の緑の党の党員でさえ、態度を変えている。緑の党への支持を自認している有権者のうち68%は最新の調査で原発の稼働延長を支持した。これは6月時点の38%を上回った。ドイツ人の心変わりになぜこれほどの時間がかかったのかと尋ねる人がいるかもしれない。アンゲラ・メルケル前首相は、福島の原発事故を受けて、2011年に原発の段階的廃止に動き出した。ドイツの有権者は選挙で少しも不満の意を示すことなく、これが進むのを容認した。彼らは、再生可能エネルギーでは工業中心の経済に十分な電力を供給できないことや、天然ガスへの依存によってドイツがロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して脆弱(ぜいじゃく)になることを気にかけなかった」

     

    原発に反対するドイツ「緑の党」の党員でさえ、態度を変えて原発を受入れるとしている。韓国の文政権(当時)も、今年2月に「反原発」の旗を引っ込めたほど。EU(欧州連合)では、クリーンエネルギーとして、自然エネルギーと一緒に原発を認めることになった。ウクライナ侵攻を受けて、原発は息を吹き返しているのだ。これは、ロシアにとって市場を失うことを意味するだけに、重大な変化である。

     

    (3)「ドイツ国民が、原子力への支持を新たに強めていることは、政治が主導しない中での傾向だけに一層注目に値する。現首相のオラフ・ショルツ氏は優柔不断な姿勢であり、緑の党から入閣したロベルト・ハーベック経済・気候保護相も、原発の運転期間延長が安全なのか、必要なのかについて、判断をちゅうちょしている。ドイツの有権者らは、プーチン氏が始めたウクライナ侵略戦争がもたらした打撃や、ドイツ政府が20年かけて進めてきたグリーンエネルギーへの移行計画の失敗によるコストが分かるようになり、現実に目覚めつつある。ドイツと欧州の経済の行方は、市民が示したこうした流れを政治指導者らも理解するかどうかにかかっている」

     

    ドイツはこれまで、EUの「環境的に持続可能な経済活動」のリストに原子力を入れないよう圧力を掛けてきた。だが、上述のようにドイツの主張は、EU全体の意思とはならず敗北した。ロシアのウクライナ侵攻が、原発を復活させた主因である。

     

    a0001_000088_m
       


    ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアの物価は二桁の急騰が続いている。経済発展省が発表の統計では、7月1日時点のインフレ率は前年比16.19%で、前週の16.22%から伸びは若干の鈍化になった。だが相変わらず、市民生活は大きく圧迫されている。

     

    ロシアは、過去の戦争時に経験した自給自足の生活に戻っており、庭で小動物を飼える法律も施行されている。ロシア市民は、ウクライナ市民と被害のレベルは桁違いだが、窮屈な生活を強いられている。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月26日付)は、「ロシア人は菜園で自給、制裁下のインフレ対策」と題する記事を掲載した。

     

    クセニヤ・アブラモワさん(43)と母親は毎週末、白いふわふわの毛に覆われた大型犬のサモエドと6匹の猫を車に乗せ、サンクトペテルブルクから5時間かけて家族の庭をいじりにやってくる。そこで年内分の果物や野菜、ナッツを栽培するつもりだ。

     


    (1)「多くのロシア人同様、アブラモワさんも、ウクライナ侵攻後の制裁措置による高インフレや食料供給途絶の可能性に対応しようとしている。「何もかもがばかばかしいほど高い。大惨事だ。だから夜明けから夕暮れまで庭を耕している」と話す。ロシア人の家庭では、夏は緑豊かな田舎の別荘で過ごすのが恒例だ。今年は、食料価格の高騰を相殺するために庭いじりをする人が増えている。6月の食料価格は前年同月比19.1%上昇した。同48%上昇した砂糖や28%上昇したパスタなど、一部の商品の価格はさらに上昇している」

     

    スーパーの棚からは、輸入品がほとんど消え、その後を国産品が占めている。質は落ちても、棚が空になることはないようだ。最低限の生活は営まれている。その裏には、ロシア市民の大半が持っている田舎の家で、野菜作りで自給自足体制を取っているので、少しは生活の足しになっているという。

     


    (2)「米ウィリアムズ大学の社会学者オルガ・シェフチェンコ氏は、「ロシア市民、特に古い世代の人たちは、長年さまざまな激動の連続を生き抜いてきており、自らのリソースを頼りに苦難を乗り切れることに、一定のプライドを持っている」と話す。「人々は生存が懸かったときには個人的な努力という、自己防衛のための『繭』に引きこもるものだ」とシェフチェンコ氏は話す。今それが再び起こっているのだとすれば、「政権が内外の観測者に印象付けようとしている力強い愛国心」とは対照的だ」

     

    ロシア市民は、自己防衛で日々の生活に必要な野菜づくりで保存食を蓄えている。

     


    (3)「ロシア世論・市場調査センターが今年行った調査によると、ロシア人の半数近くが別荘か庭地を所有している。また、夏休みに別荘や庭地で過ごす予定だと答えた人は39%と、昨年より5%増えた。ほとんどの人が、その土地で食料を育てるのに使用していると答えた。写真家のアブラモワさんは、今年に入って収入が半減したと話す。そこで、エストニアとの国境に近いプスコフ近郊の人里離れた場所にある2.5エーカー(約1万200平方メートル)の家族の土地で、母親と一緒に農作業をしている」

     

    ロシア文学では、大地が大きなテーマだ。ロシア人の半数近くが、別荘か庭地を所有しており、黙々と野菜づくりしているという。あの広大なロシア領であるからできる芸当だろう。

     


    (4)「アブラモワさんは、春に温室の換気・かんがいシステムに投資し、果樹園のチェリー、リンゴ、プラム、ナシの木を保護するために殺虫剤を散布した。自慢は40本の木が植えられたナッツ園だ。今季の収穫物で既に漬物やイチゴジャムを作っている。スグリの実やサワーチェリーが熟したら、ウオッカで漬け込むつもりだ。アブラモワさんは重労働が好きなわけではないが、庭いじりは生活の他の部分で増すストレスに対処するのに役立っていると話す。「植物は育つし、植物にとっては世間で起こっていることなど関係ない」という」

     

    庭いじりでストレスを解消しているという。漬物やイチゴジャムを作っている光景は、戦争の影を感じさせないものだが、一方ではウクライナ市民が犠牲になっている。ロシアの田園的風景とウクライナの地獄絵は、この世のものとは思えないチグハグな光景である。

     


    (5)「ソ連時代、政府は都市住民に庭地や「ダーチャ」と呼ばれる夏の別荘を割り当てた。米アリゾナ大学のジェーン・ザビスカ准教授(社会学)によると、国家経済では十分な果物や野菜を生産できなかったため、政府は国民に庭でそれらを栽培するよう奨励した。「経済的な自給自足のためだけでなく、コントロール感や安心感を得るためでもあった」とザビスカ氏は述べた。政府当局は庭造りや農業を奨励している。ウラジーミル・プーチン大統領は最近、農場に関する行政規則を緩和し、庭地で個人が使用するニワトリやウサギの飼育を認める法律に署名した

     

    プーチン氏は、個人が庭地でニワトリやウサギの飼育を認める法律を施行させた。肉まで自給自足体制である。

    a0960_008527_m
       


    ロシアのウクライナ侵攻は、今日(24日)で開戦5ヶ月を迎えた。戦線には重大な変化が起こっている。重砲戦に移っている現在、ロシア軍の大砲は射程約16~24キロメートルしか届かないのだ。一方ウクライナ軍は、米軍提供の高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射程77キロメートルによって、ロシア軍を圧倒する威力を見せている。

     

    ロシア軍とウクライナ軍の間に、戦力で決定的な違いが現れて来た以上、ロシアは終息の道を選択せざるを得ない局面へ向かい始めたようだ。その兆候は、ロシアがウクライナの出す条件をすべて飲んで、ウクライナ産小麦の輸出を認めたことに現れている。ロシアが、ウクライナとの話し合いの機会を求めているのだ。この小麦輸送では、トルコや国連も話合いに加わっている。和平仲介へのお膳立てをする可能性もあろう。プーチン氏は、外交交渉で打開する動きを見せ始めた。ただ、ロシア軍は23日、ウクライナの港湾をロケット攻撃し、波乱含みである。

     

    米『CNN』(7月23日付)は、「ウクライナのロシア軍作戦、『失速寸前』―英MI6長官」と題する記事を掲載した。

     

    対外情報部(MI6)のムーア長官は23日までに、ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍の作戦に触れ、「失速する寸前にある」との見方を表明した。

     

    (1)「米コロラド州アスペンで、先に開かれた安全保障関連会合でCNNの取材に述べた。「ロシア軍は今後数週間で人的資源の補充で困難に一層直面するだろうと分析している」と指摘。「何らかの形で作戦遂行の停止を強いられ、ウクライナ軍に反撃の機会を与えることになるだろう」とも予測した。ウクライナ軍などの士気は依然高いともし、送り届けられている良質な兵器の量も増え始めていると説明。半面、ロシアは首都キーウ(キエフ)を押さえ、ウクライナの政権を崩壊させる最初の目的にはっきりと失敗したと指摘。「東部の戦線での攻撃では兵士を使い捨てるような状況が多く出ている」とも語った

     


    M16と言えば、
    映画『007』でおなじみになった、英国秘密情報部(SIS)を指す。世界の極秘情報をトコトン追いかける組織だ。そのM16長官が、ロシア軍の弱点をつまびらかにした。ロシア軍は、ここまでその弱点を明らかにされると戦意も一層の低下が必至となろう。ロシア軍は、「東部の戦線での攻撃では兵士を使い捨てるような状況が多く出ている」と指摘する。こうなると、戦争継続が困難になろう。

     

    『CNN』(7月23日付)は、「ウクライナ、ロシアの『高価値目標』100カ所超を破壊 米分析」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナで続く戦争をめぐり、米国はウクライナがロシアの「高価値目標」100カ所あまりを破壊したと分析していることが分かった。米国防総省高官が明らかにした。目標の大半はウクライナ東部でここ数週間のうちに破壊された。米国から供与された火砲の使用により、ウクライナの目標選定能力が向上していることが背景にある。

     


    (2)「米軍のミリー統合参謀本部議長は20日、記者団に「これらの攻撃はロシアの補給能力や指揮統制能力、違法な侵略戦争を遂行する能力を着実にそいでいる」と指摘した。冒頭の高官によると、ウクライナ軍の攻撃対象となっているのはロシアの指揮所や弾薬集積所、防空施設、レーダー、通信拠点、長距離砲の陣地。ただし米国の分析では、ロシアは依然として1日あたり「数万発」の砲弾を発射しているという」

     

    米軍提供の「ハイマース」は、射程距離77キロを生かしてロシア軍の後方基地を誘導弾によってピンポイント攻撃している。無誘導弾の「盲攻撃」ではないから、正確な攻撃が可能である。ロシア軍と全く状況が異なる。

     


    (3)「同高官は、「永遠にこれを続けることはできない」と述べ、ロシアは誘導弾を大量に消耗している状況だと指摘。
    今のところロシアは高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を1基も破壊できていないものの、いつかは「運よく」破壊することがありうるとの見方も示した。ウクライナ東部ドネツク州の戦闘については、「夏の終わりまで続く可能性が高い」と説明した。ロシアは大きな損失を出しながら少しずつ前進している状況だという。また、ロシア軍の戦死者には「数千人」の尉官、「数百人」の佐官、「多数」の将官が含まれるとも述べ、「指揮系統の乱れはまだ続いている」との見方を示した」

     

    ハイマースは発射直後に移動できるので、ロシア軍から位置を把握されない隠密性を持っている。ロシア軍には、このような長距離砲が存在しないので、ウクライナ軍への対抗手段がないのだ。ロシア軍は、このままウクライナに留まれば「蜂の巣」にされかねない事態へ逆転している。下線のように、ウクライナ東部ドネツク州の戦闘は、「夏の終わりまで続く」、つまり、ウクライナ軍の奪回を示唆しているのだ。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月23日付)は、「
    ゼレンスキー氏『失地回復なしの停戦応じず』WSJに語る」と題する記事を掲載した。

     

    クライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は22日、ロシアが2月の侵攻後に占領したウクライナ領土を支配し続ける形での停戦はさらなる紛争拡大を招き、ロシアに次の作戦に向けて軍の立て直しを図る絶好の機会を与えることになると危機感を示した。首都キーウの大統領府でウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じた。

     

    (4)「ゼレンスキー氏は、「ロシアとの戦闘を止めることは、ロシアに一息つくための休止を与えるということだ」と述べた。「ロシアが自らの地政学(戦略)を変更したり、旧ソ連構成共和国に対する要求を放棄したりするためにこの小休止を利用することはないだろう」と指摘」

     

    ゼレンスキー・ウクライナ大統領は現状で、ロシアと休戦する意思のないことを明らかにしている。

     


    (5)「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今週、ゼレンスキー氏が戦闘停止につながる外交的解決を望んでいないとして非難した。ゼレンスキー氏は、ロシアを世界最大のクジラにたとえ「2つの地域を飲み込んだマッコウクジラが、今になって戦闘をやめろと言っている」と反論。「クジラは一休みして、2年後か3年後にさらに2つの地域を占領し、またこう言う、戦闘をやめろと。それが何度も何度も繰り返されることになる」と述べた」

     

    プーチン氏は、休戦を望んでいる。「利あらず」と読んでいるのだ。ゼレンスキー氏は、対抗する武器がないロシア軍へ追撃の手を緩めず、奪われた国土の奪還を宣言している。プーチン氏は、主客転倒の事態へ追込まれた。

     

     

     

     

     

    a1320_000159_m
       

    英国情報機関は、5月初め時点でウクライナに投入されたロシア戦術部隊の25%が、大きな損害を受けており戦闘に適合しない状態と分析した。この結果、ロシアの最精鋭部隊が再び戦争に出るためには、数年かかるだろうと伝えた。英紙『タイムズ』(5月3日付)が報じた。

     

    こうした報道が出るように、ロシア軍の兵士不足は深刻になっている。この状況を打破すべく、ロシア刑務所に収容されている囚人に志願を呼びかけていることが判明した。

     


    『産経新聞 電子版』(7月11日付)は、「露『東部で550人殺害』主張 囚人投入も計画か」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナ軍諜報当局は7月10日、露軍が囚人を兵士に採用し、最前線に投入しようとしているとの諜報結果を発表。露軍が志願兵の減少と損害の拡大に苦しんでいる証拠だとした。

     

    (1)「露軍は、東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)全域の制圧を主目標としているが、ドネツク州はウクライナがなお4割超を保持。諜報内容が事実であれば、同州制圧に向けた部隊増強の一環とみられる。 同諜報当局によると、囚人の採用にはプーチン露大統領に近い民間軍事会社(PMC)の「ワグナー」が関与。採用された囚人は殺人などの凶悪犯でも半年間生存すれば恩赦で釈放される。約1万人の採用が予定されているという」

     

    民間軍事会社の名前で、志願兵募集がされているという。いわば「民兵」であるので、形式的にはロシア政府とは無関係であり、国内的にも問題を回避できるメリットがある。アフリカへも、この「民兵」が派遣されており、現地で残虐行為を働いていると報じられている。ウクライナ侵攻では、約1万人を募集している。半年間生存すれば、恩赦で釈放されという。

     


    この情報を裏づける関連報道を紹介したい。

     

    韓国紙『WOWKOREA』(7月6日付)は、「『兵力不足』のロシア、刑務所で志願兵を募集 6か月の生存時無罪釈放」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「ウクライナ戦争で予想外の大規模兵力の損失を被ったロシアは、不足した兵力を補充するため刑務所の囚人たちを対象に参戦志願兵を募集している」という報道が伝えられた。また、囚人部隊員たちにはウクライナ戦争で6か月以上生き残った場合、残りの刑期に関係なく即刻釈放され、3000ポンド(約49万円)相当の謝礼金まで支給されるという条件が出されていることが伝えられた」

     

    ロシアは、ウクライナへ「宣戦布告」していないので、徴兵など強制的に兵士を募集できない弱みを抱えている。国内では、ウクライナ侵攻の現実を忘れたような状況で、夜の繁華街は若者で賑わっているという。政府の「勝利宣伝」が効き過ぎている結果だ。危機感がないので兵士は集まらず、囚人を目当てにした志願兵募集という異常事態である。

     


    (3)「7月5日(現地時間)英国の日刊紙『デイリーメール』は、ロシアの独立系メディアが「ロシア軍は、第2の都市サンクトペテルブルク刑務所の囚人を対象に先のような条件を掲げ、ウクライナ戦争に参戦する兵士を募集している」と伝えたと報道した。この独立系メディアは、「囚人の部隊員たちはウクライナ戦争で、最前線に配置されるだろう」とし、「事実上、『使い捨て兵』として投入されるという意味だ」と説明した」

     

    囚人の部隊員たちは、ウクライナ戦争で最前線に配置されると見られる。本格的な訓練も受けずに最前線へ送られれば、「鉄砲玉の盾」にされるだけだ。しかも、「民兵」の形式であれば、ロシア政府に責任はかかってこない。

     

    (4)「『デイリーメール』は、「このような内容が事実である場合、ロシアが予想さえできなかった分野にまで兵の募集範囲が拡大しているということが明らかになったことになる」とし、「一般の民間人を対象とした募集作業に支障が出ているということを如実に表したものだ」と伝えた」

     

    ロシア軍は、正規兵の募集も行なっている。こちらは、月40万円程度の高い給与を支払う好条件である。それでも、正規兵の募集が困難になっているのであろう。

     

    このページのトップヘ