ロシアのウクライナ侵攻は、すでに6ヶ月近くになるが、ウクライナ南部戦線でロシア軍に大きな打撃が目立ってきた。英国防省は12日、クリミア半島のロシア空軍基地で今週起きた爆発によりロシアの戦闘機8機が失われ、黒海での海軍の航空能力が低下したとの見解を明らかにした。
損害を受けた戦闘機は航空部隊全体のごく一部だが、同基地は主要な作戦基地として使用されているため、黒海の能力に影響が及ぶと指摘している。基地の飛行場自体はおそらく運用可能な状態だが、周りのエリアは深刻な被害を受けたと分析した。またロシア軍は爆発を受けてこの地域の脅威に関する認識を改めるだろうとした。『ロイター』(8月13日付)が報じた。
『ハンギョレ新聞』(8月13日付)は、「英国防相『ロシアは負けはじめた』」と題する記事を掲載した。
西側から精密兵器の支援を受けたウクライナが南部戦線で攻勢を強める中、英国の国防相は、今回の戦争でロシアが「負けはじめた」と評価した。
(1)「英国のベン・ウォレス国防相は11日、デンマークのコペハーゲンで行われたウクライナ支援国の会議「#コペンハーゲン・ウクライナ2022」で、ロシアの侵攻は「動揺しており」、ロシアが「負けはじめた」と評価した。ロイターなどが報じた。この会議において、主催国の英国とデンマークなどの26カ国はウクライナに対して15億ユーロ(15億5000万ドル)の軍事的、経済的な追加支援を行うことで合意した」
英国防相は、ウクライナ南部戦線でロシア軍が進軍を阻まれ、逆に後退を余儀なくされていると明らかにした。これは、ウクライナ軍も同時に発表している。ウクライナ軍の広報担当者は12日、南部にあるロシア軍の補給経路ほぼ全てを砲撃できる状態にあるとの見解を語った。ロイター通信が伝えた。
同担当者は「我が軍は南部で主導権を握っている」と語った。同日新たに南部のロシア軍弾薬庫1カ所を破壊したとも発表した。ウクライナ軍は米国提供の高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを使い、南部主要都市ヘルソンを占領するロシア軍の補給経路を相次いで攻撃している。
(2)「ウォレス国防相は、戦闘と人命の損失が依然として続いているが、ロシアは「多くの地域で負けはじめている」ということを理解することが重要だと強調した。そして「ロシアの侵攻は相次いで修正され、南部および東部のみに焦点を合わせるようになっている」とし「これは、彼らが当初言っていたいわゆる(開戦当初の)3日間の特別作戦から大きく逸脱しているもの」と指摘した。また「ロシアのプーチン大統領は、8月になれば、あるいは数カ月以内に、我々がみな紛争に疲れ、国際社会はそれぞれ異なる方向へと向かうだろうというギャンブルをしてきたが、現状はその逆だ」と述べた」
ロシア軍は、ウクライナの「多くの地域で負けはじめている」と指摘している。米軍提供の高機動ロケット砲システム「ハイマース」(射程距離77キロ)が、威力を発揮しているのだろう。ロシア軍には、これだけの長距離砲が存在しないので「負け戦」が予想されていた。
(3)「ウォレス国防相は、今回の会議で合意された支援は「いずれもウクライナの勝利を助け、ウクライナの主権を守り、ウクライナでプーチンの野望を挫折させるためのものだ」と述べた。デンマークのモルテン・ボドスコフ国防相は、今回の会議で合意された支援金は兵器の生産と購入、ウクライナ軍の訓練、地雷の撤去に使われるとしつつ、西側はウクライナに対する兵器支援を強化すると約束した。同氏は、9月にも支援国会議を開催し、追加支援を議論すると明らかにした」
26ヶ国が、ウクライナを支援している。戦況が有利になれば、一段と支援に力が入るので、ロシアには「敗色濃厚」という事態を招くであろう。
(4)「米国とともにウクライナに対する兵器支援を主導する英国はこの日、多連装ロケットシステム(MLRS)および射程距離80キロのM31A1精密誘導ミサイルなどを含む3億ユーロの支援を約束した。ウクライナは最近、米国から支援を受けて実戦配備した高機動ロケット砲システム(HIMARS)などの精密移動兵器を用いて、南部戦線などでロシア軍の重要施設を攻撃している。これによってウクライナ軍は、ロシア軍に対して攻勢を続けているという評価を受けている」
ウクライナ南部戦線では9日、前述の通り前線から200キロメートル以上離れたクリミア半島のロシア軍航空基地で爆発が起きた。これは、ウクライナ軍がさらに遠距離を砲撃する能力を手に入れたとの推測もあるほど。米国は、一気に戦況を変えたいという思惑もあるに違いない。