英国は昨年、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟申請を出しており審査は順調に進んでいる。TPP加盟条件は、全てクリアした。関税率の引下げ問題が残っているだけだ。これが済めば、英国の加盟が決まる。
これに続くのが、中国と台湾である。中国は、国有企業や強制労働でTPP条項抵触が確実である。それが分っていて、なぜ加盟申請したのか。台湾申請の実現を妨害する目的と見られている。台湾の「有力保証人」は日本と豪州である。とりわけ、日本の後押しが力を発揮すると見られる。中国の保証人は、メキシコ・シンガポールだ。
『大紀元』(2月22日付)は、「中国と台湾のTPP加盟、『日本はキーマン 中国は妨害工作の可能性』=米VOA」と題する記事を掲載した。
米『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)によると、通商専門家は、加盟を申請した台湾と中国をめぐって、日本の後押しを受けている台湾に対して、中国当局は友好関係にあるTPP加盟国を味方につけ、台湾の失敗を目論んでいると指摘した。中国当局は昨年9月16日に、台湾政府はその6日後の22日にそれぞれTPP加盟を申請すると発表した。専門家は、TPP協定の拡大で主導権を発揮し、台湾に友好的な姿勢を示している日本は、台湾が加盟を成功させるキーマンであると指摘した。
(1)「台湾政府系シンクタンク、中華経済研究院WTO・RTAセンターの李淳・副執行長は、台湾だけでなく「すべての申請国は『主要保証人』となるTPP加盟国の支持を得なければならない」と指摘した。「台湾の加盟を歓迎したのは日本だ。日本の立場は非常に重要である。台湾にとって、われわれの主要保証人が躊躇するのであれば、これからの手続きは難しくなるだろう」。李氏は、日本とオーストラリアは、すでに一部の加入手続きを終えた英国の主要保証人であるとの見方を示した」
台湾の主要保証人は、日本・豪州である。中国の主要保証人は、メキシコ・シンガポールと見られる。
(2)「日本政府は18日、加盟国の首席交渉官は同日のオンライン会合で、英国の加盟について、ルール順守に関する英国の取り組みを確認する協議を終えたと公表した。手続きは次の段階である市場アクセスの協議に進むという。台湾が昨年9月22日にTPPへの加盟申請を発表した翌日、茂木敏充外相(当時)は台湾の加盟について「歓迎したい」と述べ、「台湾は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、密接な経済関係を有する極めて重要なパートナーだ」と語った。また、岸田文雄首相は昨年12月10日の参院本会議の代表質問で、台湾のTPP加盟について「歓迎している」と述べ、中国をめぐって「貿易慣行に関して様々な意見があり、しっかり見極める必要がある」とした」
日本では、首相や外相が「台湾歓迎」と発言している。中国については、「お手並み拝見」と他人事である。
(3)「台湾政府は21日、2011年の東京電力福島第一原発事故以降に実施した福島県を含む5県で生産された食品に対する輸入禁止措置を解除したと公表した。台湾のNPO団体、当代日本研究学会の陳文甲・第一副会長は米VOAの取材に対して、日本側が過去10年にわたり台湾政府の輸入禁止措置を自由貿易に反していると批判してきたことを挙げ、台湾政府の措置撤廃で、日本は台湾のTPP加盟をより支援しやすくなると述べた。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の佐藤幸人・上席主任調査研究員は、台湾政府の輸入禁止解除で、日本は疑いなく台湾を支持していくと指摘した」
台湾は、TPP加盟を前提にして福島県産外の食品に対する輸入禁止措置を解除した。日本の「歓迎」に応える意味だ。
(4)「TPP委員会では、申請国の加盟や交渉入りに関して、すべての参加国の承認が必要になる。陳文甲氏は、中国と台湾のTPP加盟をめぐって今後、3つの可能性を指摘した。「1つ目は、中国当局が加盟を拒否された後、TPP協定に参加している友好国に、台湾加盟に反対するよう働きかけていく。2つ目は、ハイテク分野で中国本土が台湾に強く依存していることを考え、WTO(世界貿易機関)加盟時と同じように、中国も台湾もTPP協定に加盟する。3つ目は、中国が台湾より早くTPP加盟を実現した後、TPP参加国として台湾の加盟に反対していく」
中国は、最初からTPP加盟条件を満たしていないことを承知で申請している。台湾が極秘で加盟申請準備をしていたが、中国に漏れて申請で先行された。中国は、台湾申請を潰す目的である。TPPはWTOと条件我違う。TPPが「選抜試合」なら、WTOは「一般試合」であり、加盟資格が完全に異なる。
(5)「VOAの取材を受けた専門家の大半は、日本政府が最後まで台湾を支持していくと認識している。ただ、専門家は、国際社会が対中陣営と親中陣営に分かれているなか、中国当局がTPP参加国のなかから、どれほどの支持国を獲得できるかに注目している。李淳氏は、「少なくともシンガポール、マレーシア、メキシコとチリは中国の加盟を支持すると中国側は見ている」とした。しかし、マレーシア政府とチリ議会はTPP加盟を批准していないため、両国はTPP協定の未締結国である。李氏は、メキシコとシンガポールは中国の「主要保証人」になると推測した」
中国の主要保証人では、マレーシアとチリがTPPの未批准国でその資格がない。
(6)「佐藤幸人氏は、中国がシンガポールやペルーなどの友好国にどのように働きかけていくのか、日本は注視していると指摘する。同氏は、中国当局がTPP協定の高い加基準をクリアできないとし、中国側が友好国を通じて台湾の加盟を妨害する可能性が高いと指摘した。同氏はまた、「加盟国に混乱をもたらして対立させるためなのか、それとも加盟国に『1つの中国』原則を押し付けるためなのか」と中国がTPP加盟を申請した目的に疑問を呈した」
通商専門家は、中国加盟は「玄関払い」になると見られる。中には、TPP加盟を中国経済の近代化を進めるテコに使えという「善人」もいる。WTO加盟時の約束も全て反古にしている中国だ。約束など守ったことがない国である。TPPもしかり。騙されてはいけないのだ。