台湾の国防部(国防省)は9月5日、中国の戦闘機など19機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。10機以上の大量侵入は8月17日以来となる。雨天に弱いとされる中国軍機がADIZへ侵入したのは、台湾海峡の天候が良かった証拠だろう。
台湾には5日、ポーランド政府から無償提供された新型コロナウイルスのワクチンが到着した。ワクチン不足の台湾に対し、世界で支援の動きが広がっており、中国がこれに反発した可能性があるという。
『日本経済新聞 電子版』(9月5日付)は、「中国、台湾防空圏に19機 各国のワクチン支援に反発か」と題する記事を掲載した。
(1)「台湾のADIZに5日侵入したのは、中国軍の戦闘機「殲16」10機、爆撃機「轟6」4機、対潜哨戒機「運8」1機など合計19機。台湾の南西空域で侵入を繰り返し、威嚇行為を続けたという」
威嚇飛行は、中国の十八番である。ところ構わずに威嚇するのだが、中国の未熟さを示している。米国相手では、絶対にやらない行為である。不注意な行為をやって「大事」になるのを避けるためだ。
(2)「台湾には同日、ポーランドから英アストラゼネカ製のワクチン約40万回分が到着した。これを受け、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、自らのフェイスブックに「民主主義のパートナーに感謝する」と投稿した。さらに「ポーランドは、リトアニア、スロバキア、チェコに続き、欧州連合(EU)加盟国で4番目に、台湾にワクチン提供を発表してくれた。これらの欧州諸国は、台湾と同じ普遍的な価値観を共有しており、重要なパートナーだ」とも語り、欧州との連帯感を強調した」
欧州連合(EU)ではすでにリトアニア、スロバキア、チェコが台湾へワクチンを提供している。ポーランドは、前記3ヶ国に次いでのワクチン提供国である。リトアニアは、今秋に台湾へ大使館を設置すると発表した。中国とも国交を結ぶが、敢えて「一つの中国論」を無視して、台湾との国交回復に踏み切る意向だ。中国は何としても阻止したいが、具体的な手段がない。それだけに、憎さが台湾へ集中するという仕組みである。
(3)「台湾ではワクチンが依然、不足しており、接種率はいまだ4割強にとどまる。台湾を支援しようと、6月には米国が250万回分を提供したほか、日本もこれまで334万回分のワクチン提供をし、さらに3日には4度目の追加提供も発表した。日米で始まった台湾への支援の輪が、欧州など世界にも広がっていることに、中国はいら立ち、強い反発姿勢をみせたものとみられる」
茂木外相は9月3日の記者会見で、台湾とタイ、ベトナムに英アストラゼネカ製のコロナワクチン計44万回分を提供すると発表。今回の提供については、現地の感染状況や医療体制、接種状況に加え、「在留邦人の接種ニーズや要望等を踏まえ、総合的に判断した」と説明した。
日本が台湾にワクチンを提供するのは4度目。6月から7月中旬までに約334万回分を台湾に届けた。
総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官は3日、日本政府に対して、改めて心から感謝の意を表明した。日本が再び台湾に支援の手を差し伸べたことは台日間の揺るぎない真の友情を示すものであり、台湾の人々も深く感動していることだろうと述べた。以上は、『フォーカス台湾』(9月3日付)が報じた。
台湾は、ワクチン不足に悩んでいる。そこで、台湾独自の開発によるワクチンが、まだ治験最終段階を経ていないが、当局の使用許可を得て蔡総統は自らワクチンを接種した。
英国『BBC』(8月23日付)は、「台湾、自主開発ワクチンの接種開始、批判の声も」と題する記事を掲載した。
台湾で8月23日、自主開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。このワクチンをめぐっては、認可手続きが簡略化されたとして批判も集まっている。
(4)「保健当局は7月、臨床試験がまだ終わっていないにもかかわらず、医薬品メーカー「メディジェン(高端疫苗生物製剤)」が開発したワクチンの緊急使用を承認した。台湾では供給の遅れや市民の忌避感情から、ワクチン接種事業が滞っている。蔡英文総統はこの日、メディジェンのワクチンを接種し、市民にも接種を呼びかけた」
台湾保健当局は、まだ最終治験の終わっていないメディジェン・ワクチンの緊急使用を認めた。こういうケースは米国でもあり、当局が承認すれば可能である。日本では、この緊急使用制度を利用すれば、2ヶ月早くワクチン接種が始まり、現在のような事態を招くことはなかった。
台湾のメディジェンも、米国製ワクチンと同じ製法である。台湾当局の責任で行うのであれば、問題はないであろう。台湾野党は、裁判所へ不法性を訴えている。
メディジェン製ワクチンは、米ノヴァヴァックス製と同じ組み換えたんぱく質ワクチン。ノヴァヴァックスのワクチンは、免疫系を刺激するため、ウイルスのスパイクたんぱく質の一部を再生成するという、より伝統的な手法で作られている。
(5)「台湾では米モデルナ製と英アストラゼネカ製のワクチンが承認されているが、蔡総統はメディジェン製が完成するまで接種を待っていた。蔡総統の接種の様子はフェイスブックで配信された。不安かと聞かれた総統は「いいえ」と答えた。同ワクチンは28日の間隔を空けて2回の接種が必要。これまでに70万人が接種を予約している。
メディジェン製ワクチンは、すでに70万人が接種を予約しているという。最大野党・中国国民党は、このワクチンは安全ではなく、流通が急がれたと非難している。同党の議員2人は、試験結果不足を理由に、緊急使用の認可を取り消すよう裁判所に要請。うち1人は、台湾市民を「研究所のマウス」のように扱う必要はないと訴えた。政争が絡んだ話である。





