勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 台湾経済

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    中国は、台湾侵攻が軍事的にいかに危険かを悟っているとの指摘が出てきた。一方、軍事力を高めて台湾へ威圧を加えることで、「自然統一」を目指しているとしている。だが、GDP成長率を上回る国防費の増加は、中国経済を破綻に追い込む危険性を高める。こうした中国の脆弱性を掴んでいる台湾は、独立発言を絶対にせずに自重して、中国の軍事費圧力による「自壊」を待っている戦略を取っている。台湾の方が一枚、上手のようだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月26日付)は、「中国は台湾侵攻を急がず、ゆっくり締め付け」と題する記事を掲載した。

     

    欧米諸国は「デービッドソンの窓」にずっと注目してきた。これは、フィリップ・デービッドソン海軍大将(当時)が2021年に発した、中国が27年までに台湾に対して行動を起こすという警告だ。しかし先週、米情報機関は実質的に、皆に落ち着くよう促した。最新の評価では、習近平氏の机上に「決められた時間軸」は存在しないことが示唆されている。

     

    (1)「期限がないことを、計画がないことと取り違えてはならない。アイク・フレイマン氏は新著「Defending Taiwan: A Strategy to Prevent War with China(台湾防衛:中国との戦争を防ぐための戦略)」の中で、中国政府は武力攻撃を準備しているのではなく、むしろ真綿で首を絞めるような「消耗作戦」を目指していると論じている。それは、台湾空域への絶え間ない侵入や、電力網や病院へのサイバー攻撃、そして、新たな常態と感じられるほど台湾に接近して展開される軍事プレゼンスで構成されている」

     

    これは、台湾の抵抗心を著しく強化することになった。台湾の人々は、戦前の日本教育を懐かしんでいる。自らを「台湾人」とする意識が6割を上回り年々、「中国人」とする意識が減っているのだ。中国の威嚇には屈しないであろう。

     

    (2)「私は本コラムで、昨年公開された注目のスパイドラマについて書いた。このドラマは統一を正義として、またいかなる犠牲をも払う価値があり、歴史的に不可避なものとして描いている。その目的は(台湾の)意志をくじくことだ。中国政府は、抵抗はあまりに代償が大きく、あまりに疲弊するものだと痛感させ、最終的に台湾政府と米国政府がただ諦めるように仕向けたいのだ」

     

    台湾人は、民主主義の重要さを知っている。不動産バブル崩壊後遺症に苦しむ大陸(中国)を冷静に見つめている。

     

    (3)「スタンフォード大学フーバー研究所のフェローであるフレイマン氏は、アジア太平洋地域における米国の歴史的な戦略が効力を失いつつあると主張している。何十年もの間、米軍の圧倒的な力がこの地域を安定させてきた。中国が、急速に軍備を増強し、米国の優位性を低下させる中、台湾海峡の現状――すなわち、中国が侵攻せず、台湾政府が独立を宣言しない状態――を維持するために、米国はもはや大規模な反撃の脅威だけに頼ることはできないと同氏は指摘する」

     

    米国は、中国と違って今後も人口が増える唯一の先進国である。移民という「プール」を持っているからだ。中国は、高齢社会の重圧で食い潰されるリスクを抱えている。この厳しい現実を忘れてはならない。中国はすでに、「日没する国」である。間違えてはいけないのだ。

     

    (4)「中国の多次元的な戦略に対抗するため、米国の抑止力も同様に多分野を統合したものである必要があるとフレイマン氏は主張する。米国政府が「軍事力、経済的影響力、技術分野におけるリーダーシップ、外交的影響力を、戦争を防ぐための一つの一貫した計画に統合」しなければならないと提唱している。それには、同氏が「avalanche decoupling(雪崩のようなデカップリング)」と表現するメカニズムの構築が含まれる。これは基本的に、戦争が中国経済にとって単に高くつくだけでなく、自殺行為となるような完全な経済的孤立を意味する。また、米国と同盟国が、現代における力の源泉となる半導体や人工知能(AI)といった新興技術において決定的なリードを維持することも必要となる」

     

    中国は、戦争を行えばたちどころに経済封鎖されて「終わり」だ。原油も食糧も輸入に頼っている中国が、戦争を始めればどうなるか。西側が封鎖するであろう。

     

    (5)「極めて重大な局面を迎えている。フレイマン氏の分析によれば、台湾海峡で中国を抑止することに失敗すれば、システム全体に影響が及び、「世界経済を混乱に陥れ、米国の同盟関係を粉砕し、中国が地域を支配して世界秩序を再編することを許す」可能性がある。情報機関による最新の予測は、警戒を解く合図としてではなく、行動を強化するための「狭き窓」として捉えるべきだと、ワシントン内外の多くの人が言う。米国とそのパートナーはこの猶予期間を利用して、軍事衝突に対してと同じくらい効果的に、非軍事的な威圧にも対処できる包括的な抑止戦略を構築すべきだと彼らは指摘している。「Defending Taiwan」が示唆するように、目標は起こり得る中台紛争を単に生き延びることではない。紛争を始めることの代償を未来永劫(えいごう)、確実に想像を絶するものにし続けることだ」

     

    中国を支援する國はない。中国が、ベネズエラやイランも支援しなかった以上、逆に支援する国はない。ロシアも北朝鮮も逃げるであろう。同盟関係がないからだ。中国は、大言壮語するが孤立している。

     

     

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    バルト三国の一つリトアニアは、中国と犬猿の仲である。リトアニアが、外交関係のない台湾と積極的交流をしており、これを阻止すべく圧力を掛けているからだ。ロシアへも立ち向かうリトアニアである。自由と民主主義の戦いでは中ロに屈しない姿勢を見せている。

     

    リトアニアは、今年6月に台湾へ代表団を送ったが、8月にも代表団を送る。台湾の外交部(外務省)は6日、バルト3国のリトアニアの政府高官が率いる代表団が、8月7日から台湾を訪問すると発表した。代表団は、運輸通信省の副大臣や電動バス会社の幹部らで構成され、5日間滞在する。台湾の交通当局や企業の訪問を予定する。

     


    リトアニアは、6月12日からの4日間、政府高官が率いる代表団が訪問した。代表団は、リトアニア経済革新省の副大臣や、企業経営者など計10人で構成された。リトアニアは、工業水準が高く台湾から半導体技術の導入を目指している。

     

    中国は、「一つの中国論」でリトアニアの台湾訪問に反対してきた。これまでに、数々の圧力を加えドイツの自動車部品メーカーには、リトアニア製部品を採用した部品の中国輸入を認めないとまで騒ぎを広げたが、EU(欧州連合)の厳しい反対に遭遇した。だが、リトアニアはこれら圧力に屈せず、意気軒昂である。韓国政府に見習わせたいほどだ。

     

    台湾政府も、リトアニアの誠意に答えるべく投資ファンドをつくって支援姿勢を強めている。互いに、「持ちつ持たれつ」の関係性を樹立している。

     

    『大紀元』(1月12日付)は、「台湾、リトアニアへの投資強化 10億ドル規模融資ファンドを創設へ」と題する記事を掲載した。

     

    台湾は、中国当局から経済報復を受けているリトアニアに対して支援する姿勢を打ち出した。経済政策を担う国家発展委員会(NDC)は1月11日、台湾・リトアニアの共同プロジェクトに対して10億ドル規模の与信制度を創設すると発表した。NDCは5日、リトアニアの産業を支援するために2億ドル規模の「中東欧投資基金」を設立すると発表したばかりだ。

     

    (1)「NDCトップの龔明鑫(クン ミンシン)主任委員(閣僚に相当)は11日、リトアニアのアウシュリネ・アルモナイテ経済イノベーション相とオンライン会談で、リトアニアとの協力を深化すると約束した。「ともに強力な民主主義的サプライチェーンを構築し、世界の民主主義陣営の結束と強さを高める。同時に、中国共産党の経済的な圧力に対処するリトアニアを引き続き全力で支援する」と述べた。

     

    台湾とリトアニアは、協力深化を約束しあっている。具体的には、台湾の資金で台湾技術をリトアニアへ供与するものだ。

     


    (2)「龔主任委員は、両国の協力が見込まれるリトアニアの産業のために「10億ドル規模の
    融資ファンド」を創設するとした。半導体開発、バイオテクノロジー、衛星技術、ファイナンス、科学研究の6分野が対象。両閣僚はその後の記者会見で、台湾とリトアニアは「今後、様々な分野での交流と協力がより緊密に、より頻繁に行われる」と示した。特に、半導体分野での協力が最も著しくなるという。台湾のNDC、経済省などの政府官庁は近く共同で「台湾・欧州半導体産業協力専門チーム」を立ち上げる予定」

     

    台湾は、リトアニアに対して10億ドル規模の投資ファンドを作る。半導体開発、バイオテクノロジー、衛星技術、ファイナンス、科学研究の6分野で事業の立上げを目標にするという。

     

    (3)「中国は昨年以降、「台湾」の名前を冠した出先機関の開設を認めたリトアニアに対して、経済的、外交的な圧力を強めている。アルモナイテ氏は台湾側の支援に感謝し、今春に駐台湾代表処を正式に開設すると明らかにした」

     

    欧州では、台湾の半導体技術に関心を集めている。すでに、ドイツが台湾のTSMCと半導体進出で話をまとめようとしている。リトアニアが、TSMC誘致に成功すれば大きな成果となろう。

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    中国は、台湾と国交を結んでいる国に対して、「物量作戦」で断交を迫る醜い外交戦術を行なっている。台湾を外交的に孤立させる目的だ。これに引っかかり、台湾と断交する国が確実に増えている。

     

    米国はこれを憂慮しており、台湾と断交した国は米国が経済援助しないと締め付けを厳しくしているほど。このほど、台湾シンクタンクが調査したところによれば、台湾との断交後に経済発展した国はないという。完全に、中国の口車に乗せられたことが分る。

     


    『大紀元』(7月21日付)は、「台湾と断交した国『長期的な経済成長は見られない』、台湾研究機関」と題する記事を掲載した。

     

    中国の圧力で台湾と国交を断絶した国は近年、増えている。台湾の最高学術研究機関である中央研究院の欧米研究所は5月、「台湾から中国に鞍替えした国々では長期的な経済成長が見られない」と指摘する研究報告書を発表した。米政府系放送局『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)20日付が報じた。

     

    (1)「中国が台湾と国交を有する国を説得する方法は、主に「経済的脅迫」「外交支援」「貿易投資」などであると同報告書は指摘した。現在、台湾と国交を有し、台湾を国と認めているのは、バチカン市国を含め14カ国となっている。調査ではアフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海、中東欧、オセアニアの4地域の国について、中国や台湾との関係が経済に与える影響を比較した。台湾と断行後、中国へシフトした国、あるいは中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に参加した国は、期待していた長期的な経済成長を得られなかったと結論づけた」

     

    中国は、台湾と断交させるために露骨な「札ビラ」戦術を取っている。この誘惑作戦に負けたところが、台湾と断交している。中国は、「一つの中国」を盾にして、台湾との同時国交を認めず、必ず台湾と断交させる。

     


    EU(欧州連合)も、この「一つの中国」で台湾と断交しているが、台湾と復交しないまでも関係復活に乗り出している。台湾の半導体企業誘致がお目当てだ。最近、EUからの台湾訪問国が急増している。

     

    (2)「報告書は、アフリカのマラウイの事例を挙げた。同国は、2007年に台湾と断交後、中国と国交を樹立したが、2005~12年の間に中国からの直接投資で創出された雇用機会はわずか1万3000人で、中国が当初約束した30万人を大きく下回る結果となった。中国と国交を結んだ時、当時のマラウイ大統領は「我が国は貧困から脱却できる」と喜んだが、10年以上経った今も、地元住民はマラウイを「貧しい国だ」と考えているという」

     

    中国は国交結ぶ場合、大風呂敷を広げている。アフリカのマラウイも、この大風呂敷に騙された国である。30万人も雇用が増えるとやくそくしたのに、わずか1万3000人。約束の4%である。

     


    (3)「ラテンアメリカやカリブ海地域では、中国に乗り換えたことが、現地の経済発展を助けたと示す証拠はない。コスタリカ、ドミニカ、グレナダなどは中国と国交を結んだ後、台湾と国交を有する国々と比べて、経済成長が緩やかになっているという」

     

    コスタリカ、ドミニカ、グレナダなどは、中国と国交を結んだ後、台湾と国交を有する国々と比べて、経済成長が緩やかという。台湾と支援を結んでいる国は、米国からの支援が増えている可能性がある。中国は、台湾と断交させることが目的であるから、「釣った魚にはエサを上げない」のだ。中国という国は狡猾である。

     


    (4)「報告書はまた、そうした国々は、中国の経済援助や投資により短期的な経済成長を経験するが、長期的には巨額債務や貿易不均衡などによって成長が止まる可能性があると指摘した。いっぽう、台湾と国交を再樹立する国もある。太平洋南西部に位置するナウルは2002年に台湾との国交を断絶し、北京に切り替えたが、経済状況が改善しないため05年に再び台湾との国交を復活させた」

     

    太平洋南西部のナウルは、2002年に台湾と国交断絶したが、05には復交するというケースもある。中国と国交を結んでも良いことがなかったのだ。台湾も、一度は断交になった国と復交するというシーソーゲームを展開している。

     


    (5)「南太平洋のサモアは長年中国の同盟国であり、中国の資金援助もあって2000年以降経済が著しく成長したが、06年をピークに経済発展は減速し、ここ10年は停滞気味だった。中国が投資を続けているにもかかわらず、サモアの新首相は昨年、中国が出資する港湾プロジェクトを中止した。同国の対中債務はすでに高く、このプロジェクトを支援することは不可能だったからだという」

     

    南太平洋のサモアは、台湾と断交後に経済成長した。それも6年ほどで終り、その後は「鳴かず飛ばず」の状態だ。中国が、経済支援しないからだ。中国は、露骨な振る舞いをしている。

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    最先端半導体(3~4ナノ)生産が遅れている。原因は製造設備の供給遅延だが、従来型半導体不足の影響とされている。従来型半導体の供給遅延が、最先端半導体の製造設備供給を遅らせるという悪循環だ。

     

    1ナノメートルとは、10億分の1つまり、0.000 000 001メートルという気の遠くなるような超超微細の単位である。ここまで「極細」にした半導体がなければ、高性能コンピューティング、人工知能(AI)、自動運転車といった最新テクノロジー分野の開発ペースが鈍りかねないと懸念される。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月10日付)は、「先端半導体に広がる供給不足、製造装置納入に遅れ」と題する記事を掲載した。

     

    2年にわたる世界的な半導体不足が、次世代スマートフォンやアプリを支えるデータセンターに欠かせない先端半導体の分野にも広がってきた。先端半導体はこれまで、自動車や電子製品を直撃した世界的な半導体不足の影響を概ね免れてきた。ところが、ここにきて生産障害や製造装置の不足といった問題に直面しており、世界のトップ2社が顧客への納期を確実に守れるのか懸念が生じている。

     

    (1)「こうした影響は来年にも電子製品のサプライチェーン(供給網)に波及する可能性があり、あるアナリストは2024年以降に先端半導体が最大で20%不足する恐れがあると警告している。先端半導体の供給が脅かされれば、高性能コンピューティング、人工知能(AI)、自動運転車といった最新テクノロジー分野の開発ペースが鈍りかねないとの指摘が出ている。世界で最先端半導体の製造能力を備えているのが、台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子の2社に限られることも、問題の一因となっている。コストの高さや技術的な障害が2強集中の構図を生んだ背景にある。両社とも向こう数カ月にわたる野心的な計画を掲げている」

     


    最先端半導体の生産シェアは、TSMCが92%、サムスンが8%であり、TSMCが圧倒的な強みを発揮している。最先端半導体が、2024年以降に最大で20%不足する恐れがあるという。これによって、最新テクノロジー分野の開発ペースが鈍る恐れが出てきた。

     

     

    (2)「半導体ファウンドリー(受託生産)で世界最大手であるTSMCは、製造装置の入手に手間取っており、2023~24年に期待しているほど生産ペースを引き上げることができないかもしれないと顧客の一部に通知した。内情に詳しい関係筋が明らかにした。製造装置の納入は足元で想定以上に遅れている。新規受注のリードタイム(発注から納品までの期間)は、従来型半導体の不足が主因となって23年に延びているケースもある」

     

    最先端半導体製造装置の大手メーカーは、オランダのASMLホールディングである。日本メーカーは、技術競争力の面で最先端半導体設備から脱落した。最先端半導体設備の製造では、従来型半導体を使っている。これが供給不足に陥っており、2~3年納品が遅れている。

     


    (3)「技術的な問題も立ちはだかっている。サムスン電子のファウンドリー部門では、4ナノ工程の歩留まり(欠陥のない合格品の割合)改善ペースが想定を下回っており、生産能力に制約が生じているという。ただ、TSMCとサムスンは供給障害を回避するための取り組みで前進していると話している。TSMCの魏哲家最高経営責任者(CEO)は4月、アナリストとの電話会議で最新の3ナノチップの生産について聞かれ、製造機械の納入で問題が生じているが、問題に対処していると述べていた。サムスンのファウンドリー事業幹部、カン・ムンスー氏は先月、アナリストとの電話会議で、4ナノ工程の歩留まり改善が遅れたが、「想定される改善カーブに戻っている」と説明した」

     

    サムスンは、4ナノチップの歩留まりが良くないこと。TSMCは、製造機械の納入遅れで最新の3ナノチップ生産が軌道に乗らないことを明らかにした。

     


    (4)「先端半導体メーカーが増産に向けて見込んでいる設備投資額と、半導体製造装置業界の売上高見通しには隔たりがある。業界団体SEMIによると、半導体製造装置の世界売上高は今年およそ1070億ドル(約14兆3400億円)に達すると見込まれている。製造装置は半導体工場の新規建設コストの大半を占める。それに対し、コンサルティング会社インターナショナル・ビジネス・ストラテジーズ(IBS)では、半導体メーカーの設備投資予算は1800億ドルに達すると予想している」

     

    半導体製造装置の世界売上高は、今年およそ1070億ドルを見込む。半導体メーカーの設備投資予算は1800億ドルである。この差の730億ドルは、製造設備の供給遅延になる。実に、4割にも相当する製造設備納品の遅延が起こる計算だ。

     

    (5)「IBSのハンデル・ジョーンズCEOは、最も進んだ3ナノ、2ナノ半導体の生産について、旺盛な需要と設備不足による影響が非常に大きくなると指摘する。同分野では2024~25年に推定10~20%の供給不足が生じるリスクがあるという。米インテルはファウンドリー事業の構築を目指しているが、計画はなお初期段階にあり、またサムスンやTSMCの代役を務めるにはまだ道のりが遠そうだ」

     

    最も進んだ3ナノ、2ナノ半導体は、24~25年に10~20%の供給不足が起きる懸念もあるという。世界でTSMCとサムスンしか製造できない以上、穴埋めできるメーカーが存在しないのだ。

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    中国では、ウクライナ軍の頑強な抵抗ぶりに衝撃が走っているという。中国人民解放軍にとって、ロシア軍はまさに仰ぎ見る存在だった。それだけでない。ロシアは、中国にとって最大の武器供給国である。その最新鋭武器を擁するロシア軍が、ウクライナ侵攻で大きく躓いたのである。中国は、台湾侵攻を最大の政治案件にしている。失敗すれば、中国共産党の屋台が傾ぐ。慎重にならざるを得まい。

     

    ウクライナ軍の強靱な戦いは、コサック兵の歴史を受け継いでいることと、NATO(北大西洋条約機構)軍から、近代戦を学んだ成果が出ていることだ。単に,武器の量という問題ではない。兵士一人一人が、命令に従った一律の戦い方を超越した戦いを習得した結果である。ロシア陸軍は、冷戦時代と全く変わらない「旧式戦法」とされる。この差が、戦果に出ていると専門家は評価している。中国軍は、米軍に訓練されている台湾軍とどう向き合うのか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(4月19日付)は、「中国、台湾攻略のシナリオ練り直し ウクライナ長期化で」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が、台湾攻略のシナリオ練り直しを迫られている。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を受け、従来の想定よりも中心都市台北の制圧は困難との認識が広がっているためだ。当面は台湾の「独立派」を封じ込め、米軍の介入を抑止するための核戦力増強に注力することになりそうだ。

     

    (1)「ベテラン共産党員は、「仰ぎ見てきたロシア軍が苦戦している現状は党内にも大きな衝撃を与えている」と打ち明ける。ロシア軍は2月24日、隣国ウクライナに北部、南部、東部の3方面から侵攻した。ロシアのプーチン大統領は情報機関の楽観シナリオを信じ、数日間で首都キーウ(キエフ)を制圧、ゼレンスキー政権を転覆させる短期決着を思い描いていたとされる。実際にはウクライナ側は各地で激しく抵抗し、北部ではキーウへの進軍を図ったロシア軍を押し戻すことに成功した。ロシア軍は東部・南部の制圧へと作戦の切り替えを余儀なくされている」

     


    中国軍が、ロシア軍を先生役にしてきたという。この一言で、中国軍もロシア軍と同様に、伝統的な戦術に従っているのだろう。これでは、米軍仕込みの台湾軍に差を付けられて当然だ。

     

    (2)「中国の軍事関係筋の話や日本の安全保障の専門家の分析をまとめると、中国の台湾侵攻計画もまた短期決着を想定して練り上げられてきた。まずサイバー攻撃で通信インフラなどを機能不全にし、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルで防空システムや空軍基地を破壊し無力化を狙う。制空権を確保したうえで海と空から兵員や戦略物資を大量に送り込むというものだ。台湾から約600キロメートル離れた沖縄本島には、在日米軍が駐留する。中国の軍事関係筋は、侵攻時に米国が国内手続きを終えて軍を台湾に送るまでに必要な期間を「7日間程度」と見積もる。米軍到着前に台北を落とすことが作戦の成否を握る」

     

    この台湾侵攻作戦計画を読んで、台湾軍に支援国がつくという想定がゼロであることに驚く。台湾海峡や南シナ海、東シナ海には、日米海軍の潜水艦部隊が常時、警戒体制を敷いていることを忘れているのだ。この程度の荒い作戦計画では、ロシア軍のウクライナ侵攻失敗の二の舞いは不可避である。

     

    (3)「中国人民解放軍OBによると、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で、このシナリオに「黄信号」がともっているという。軍内の認識が特に新たになったのが、台北攻略の難しさだ。台北市の人口は約260万人とキーウ(約290万人)とほぼ同規模だ。しかし、台北市の人口密度はキーウの3倍近い。そのうえ台北市をドーナツ状に取り囲む新北市には約400万人が暮らす。上陸作戦がうまくいったとしても、台北市内への進軍で相当数の民間人が巻き添えとなるのは避けられない」

     

    インド太平洋戦略「クアッド」(日米豪印)や、「AUKUS」(米英豪:軍事同盟)が、中国の台湾侵攻の前に立ちはだかることは当然のこと。中国は、これを全く想定せず、中台の単独戦争を想定している。こんなことはあり得ないのだ。先ず、中国軍の台湾上陸作戦自体が,大損害を招くことになろう。前述の潜水艦部隊の活躍により、中国艦船は大被害を受けるからだ。

     


    (4)「民間人の犠牲を抑えようと、慎重に攻撃を進めれば米軍の到着を許してしまう。台湾軍や市民の抵抗を排除しながら蔡英文(ツァイ・インウェン)総統を捕らえる「斬首作戦」の実行はさらに難しい。台湾海峡は幅にして百数十キロメートルもあるうえに、潮流が速い。海峡を渡って上陸する作戦に適した時期は4、10月などの2、3ヵ月しかない。台湾軍も巡航ミサイルや地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)などの配備を急ピッチで進めている。ウクライナ危機を契機に、「海峡を越える難しさが改めて認識されるようになった」(解放軍OB)」

     

     

    下線部は、これまで自衛隊経験者が口を酸っぱくして指摘してきところだ。中国は,今になってこれに気付いたとは「ツー・レート」(遅すぎる)である。この程度の知識で、台湾侵攻作戦を練って来たとすれば、特攻隊と同じ「自殺行為」を意味する。

     

     

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