中国は、台湾侵攻が軍事的にいかに危険かを悟っているとの指摘が出てきた。一方、軍事力を高めて台湾へ威圧を加えることで、「自然統一」を目指しているとしている。だが、GDP成長率を上回る国防費の増加は、中国経済を破綻に追い込む危険性を高める。こうした中国の脆弱性を掴んでいる台湾は、独立発言を絶対にせずに自重して、中国の軍事費圧力による「自壊」を待っている戦略を取っている。台湾の方が一枚、上手のようだ。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月26日付)は、「中国は台湾侵攻を急がず、ゆっくり締め付け」と題する記事を掲載した。
欧米諸国は「デービッドソンの窓」にずっと注目してきた。これは、フィリップ・デービッドソン海軍大将(当時)が2021年に発した、中国が27年までに台湾に対して行動を起こすという警告だ。しかし先週、米情報機関は実質的に、皆に落ち着くよう促した。最新の評価では、習近平氏の机上に「決められた時間軸」は存在しないことが示唆されている。
(1)「期限がないことを、計画がないことと取り違えてはならない。アイク・フレイマン氏は新著「Defending Taiwan: A Strategy to Prevent War with China(台湾防衛:中国との戦争を防ぐための戦略)」の中で、中国政府は武力攻撃を準備しているのではなく、むしろ真綿で首を絞めるような「消耗作戦」を目指していると論じている。それは、台湾空域への絶え間ない侵入や、電力網や病院へのサイバー攻撃、そして、新たな常態と感じられるほど台湾に接近して展開される軍事プレゼンスで構成されている」
これは、台湾の抵抗心を著しく強化することになった。台湾の人々は、戦前の日本教育を懐かしんでいる。自らを「台湾人」とする意識が6割を上回り年々、「中国人」とする意識が減っているのだ。中国の威嚇には屈しないであろう。
(2)「私は本コラムで、昨年公開された注目のスパイドラマについて書いた。このドラマは統一を正義として、またいかなる犠牲をも払う価値があり、歴史的に不可避なものとして描いている。その目的は(台湾の)意志をくじくことだ。中国政府は、抵抗はあまりに代償が大きく、あまりに疲弊するものだと痛感させ、最終的に台湾政府と米国政府がただ諦めるように仕向けたいのだ」
台湾人は、民主主義の重要さを知っている。不動産バブル崩壊後遺症に苦しむ大陸(中国)を冷静に見つめている。
(3)「スタンフォード大学フーバー研究所のフェローであるフレイマン氏は、アジア太平洋地域における米国の歴史的な戦略が効力を失いつつあると主張している。何十年もの間、米軍の圧倒的な力がこの地域を安定させてきた。中国が、急速に軍備を増強し、米国の優位性を低下させる中、台湾海峡の現状――すなわち、中国が侵攻せず、台湾政府が独立を宣言しない状態――を維持するために、米国はもはや大規模な反撃の脅威だけに頼ることはできないと同氏は指摘する」
米国は、中国と違って今後も人口が増える唯一の先進国である。移民という「プール」を持っているからだ。中国は、高齢社会の重圧で食い潰されるリスクを抱えている。この厳しい現実を忘れてはならない。中国はすでに、「日没する国」である。間違えてはいけないのだ。
(4)「中国の多次元的な戦略に対抗するため、米国の抑止力も同様に多分野を統合したものである必要があるとフレイマン氏は主張する。米国政府が「軍事力、経済的影響力、技術分野におけるリーダーシップ、外交的影響力を、戦争を防ぐための一つの一貫した計画に統合」しなければならないと提唱している。それには、同氏が「avalanche decoupling(雪崩のようなデカップリング)」と表現するメカニズムの構築が含まれる。これは基本的に、戦争が中国経済にとって単に高くつくだけでなく、自殺行為となるような完全な経済的孤立を意味する。また、米国と同盟国が、現代における力の源泉となる半導体や人工知能(AI)といった新興技術において決定的なリードを維持することも必要となる」
中国は、戦争を行えばたちどころに経済封鎖されて「終わり」だ。原油も食糧も輸入に頼っている中国が、戦争を始めればどうなるか。西側が封鎖するであろう。
(5)「極めて重大な局面を迎えている。フレイマン氏の分析によれば、台湾海峡で中国を抑止することに失敗すれば、システム全体に影響が及び、「世界経済を混乱に陥れ、米国の同盟関係を粉砕し、中国が地域を支配して世界秩序を再編することを許す」可能性がある。情報機関による最新の予測は、警戒を解く合図としてではなく、行動を強化するための「狭き窓」として捉えるべきだと、ワシントン内外の多くの人が言う。米国とそのパートナーはこの猶予期間を利用して、軍事衝突に対してと同じくらい効果的に、非軍事的な威圧にも対処できる包括的な抑止戦略を構築すべきだと彼らは指摘している。「Defending Taiwan」が示唆するように、目標は起こり得る中台紛争を単に生き延びることではない。紛争を始めることの代償を未来永劫(えいごう)、確実に想像を絶するものにし続けることだ」
中国を支援する國はない。中国が、ベネズエラやイランも支援しなかった以上、逆に支援する国はない。ロシアも北朝鮮も逃げるであろう。同盟関係がないからだ。中国は、大言壮語するが孤立している。





