街頭デモや経済低迷でイラン政府が圧力にさらされる中、友好国である中国が支援の手を差し伸べる兆候はほとんど見られない。欧米や中東地域の政府はイランと中国の結びつきを警戒していたものの、困難に直面するイランを支援する様子はなく、両国関係の限界と脆弱性が浮き彫りになっている。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月14日付)は、「孤立するイラン、中国の支援に限界 脆弱な関係浮き彫り」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領は12日、イランと取引を行う全ての国に25%の追加関税を課すと宣言し、同国と中国への圧力を強めた。トランプ氏は追加関税がどのように課されるか、詳細は明かしていない。昨年10月には中国の習近平国家主席と韓国で会談して貿易休戦に合意していたものの、これが崩壊する可能性がある。
(1)「中国は追加関税を批判。在米中国大使館の劉鵬宇報道官は「中国は違法で一方的な制裁や域外適用に断固反対し、正当な権利と利益を守るために必要な措置を講じる」とXに投稿した。中国外務省の毛寧報道官は12日、イラン政府による抗議活動の取り締まりで多くの人が殺害されたことについて質問された際、「イラン政府と国民が現在の困難を克服し、国家の安定を維持することを望む」と述べた」
中国外務省は、イラン政府による抗議活動の取り締まりで多くの人が殺害されたことについて質問された際、当たり障りのない回答をした。中国は、戸惑っているのだろう。
(2)「中国政府はイランをより強く支持することに消極的な姿勢を示している。米国がベネズエラのマドゥロ大統領を標的に急襲する前も、中国はベネズエラに本格的な支援を行わなかった。中国は米国の制裁下で、ベネズエラ産原油の最大の買い手だった。同様に、中国はイランの最大の貿易相手国であり、イランの原油輸出の約90%を購入している。イラン産原油は制裁を回避するため、しばしば瀬取りを使って輸送され、従来の銀行システムを避けてインフラ融資で支払いが行われている。昨年は輸入全体に占めるイラン産原油の割合が約12%だったと推計されている」
中国は、ダンピング輸出するくらい過剰生産物を抱えている。その一部でもベネズエラやイランへ支援すれば良いのだが、中国自身が「換金輸出」で苦境に立っている。他国支援の余裕がないのだ。それにもかかわらず、「大言壮語」を続けている。
(3)「中国との取引は、孤立するイラン政府にとって生命線となっている。シンガポール国立大学の政治学者、ジャ・イアン・チョン(莊嘉穎)准教授は、「中国政府にとって、イランはエネルギー資源を得て中東地域にアクセスするための手段であり、それ以上のものではない」と指摘。だが「イランにとって、中国は制裁下でのわずかな命綱のような存在だ」と述べた。イランの経済低迷が抗議デモを引き起こし、47年間の統治に対する最大の危機が生じていることは、この命綱には限界があることを示している。チョン氏は「中国の支援は重要だが、それだけでイランが完全に救われるわけではない」とした」
イランにとって、中国が唯一の頼りである。その中国が、素っ気ない態度である。イランを支援する経済余力を失っているのだ。張り子の虎と化している。
(4)「中国とイランに加え、ロシアと北朝鮮は、欧米当局者の一部が「CRINK(クリンク)」と非公式に呼ぶ枢軸を形成しており、これらの国は米国に対抗する共通の願望で結びついている。中国は、ロシアを支援して孤立した経済を支え、軍を構築するために民間と軍事の両分野で使える物資を提供。イランは、ロシアに弾薬を供給しウクライナ戦争で使用するためのドローンの開発を支援。北朝鮮は、数千人の兵士をロシアに派遣している。だが昨年、イスラエルと米国がイランを攻撃すると、CRINK諸国はイランをほとんど支援しなかった。中国は欧米各国の制裁が、自国の銀行や主要企業に及ぶことをなお懸念している」
中国・ロシア・イラン・北朝鮮(CRINK=クリンク)の実態は、口先だけで吠え立てるバラバラの組み合わせである。イラン救済の動きが全くないからだ。
(5)「中国とイランは2021年、25年間の経済協力協定を締結。中国がイラン経済全体に4000億ドルを投資する代わりに、割引価格で安定した原油供給を受けることで合意した。イラン当局は中国に対し、この協定の履行を拡大するよう求めているが、制裁圧力が続く中でその成果は限られている」
中国は、イランへ25年間に4000億ドルという巨額投資を約束したが、外貨不足で実現は不可能であろう。中国自体が、外貨準備高維持で四苦八苦しているからだ。
(6)「イスラエルの国家安全保障研究所の中国研究者、トゥビア・ゲリング氏は12日、自身のニュースレターで、イラン当局が中国にさらなる支援を求めることについて、中国のソーシャルメディア上では厳しい批判の声が上がっていると指摘した。ゲリング氏は、「微信(ウィーチャット)」上で人気のアカウント「Zhanhao」の投稿に言及。ナショナリスト(民族主義)的な傾向で知られる同アカウントは、「イランは引き続き中国が自らのために犠牲を払うことを期待している」とした上で、「それは純粋な幻想だ!」と指摘していた」
中国国内経済が、疲弊しきっている中ではイラン支援などとんでもない。中国国内は、そういう雰囲気なのだろう。貧すれば鈍するのだ。





