ロシア大統領プーチン氏は、イスラエル・イランの紛争解決で米国へ仲介を申し入れ断られる醜態を演じた。トランプ氏が、「ウクライナ問題を解決せよ」と撥ねつけたのだ。自分の頭のハエも追えない状況で、他国紛争へ介入しようとは不思議な感覚である。ロシアは、イラン盟友国として少しでも動かねばならない「義務感」を持ったのだ。
ロシアは、ウクライナ侵略が長引いて戦時経済の減速が鮮明であり、アジアや新興・途上国のグローバルサウスとの連携を強めようとしている。この最中に、イスラエルのイラン急襲が始まった。核開発阻止という大義名分である。
これまでロシアは、ウクライナ侵略が続くなか、兵器生産など軍需が主導し経済成長を牽引してきた。最近は、経済の減速基調が鮮明になっている。ロシア政府に近い経済調査機関は17日公表の報告書で、ロシア経済について「製造業で停滞が続いている」などとし、特に民間部門の減速を指摘した。こういう状況下で、イラン支援余力がないのだ。
『日本経済新聞 電子版』(6月20日付)は、「ロシアはイラン支援困難か 仲介関与見通せず、中東で影響力低下」と題する記事を掲載した。
ロシアがイスラエルからの攻撃を受けるイランの支援に動けずにいる。ウクライナ侵略でイランから兵器を供与されたにもかかわらず、イスラエルへの非難にとどまる。ウクライナとの戦争に力をそがれ、中東情勢への影響力低下が露呈した。
(1)「ロシアのプーチン大統領が、仲介役に意欲を示すもトランプ米大統領は否定的な考えを示した。戦闘停止に向けた調整に関与する道筋もみえない。プーチン氏は19日、イランへの軍事支援の用意があるかを問われ「頼まれていない」と述べた。両国が1月に結んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に有事の軍事支援は含まず、防空ミサイルなどを供与する予定はないとの認識を示した」
ロシアは、条約がない以上イラン支援をしない。当然と言えば当然だが、盟友国へ冷たい態度だ。
(2)「ロシアとイランは、反米姿勢で結束を強めてきた。イランは侵略を続けるロシアに攻撃用のドローン(無人機)や弾道ミサイルを供与し、無人機の量産体制の確立も後押しした。英国防省は中東情勢がロシアへの兵器供給に影響を与える可能性を指摘する。ロシアは、イスラエルとイランの衝突が長引くことでイランの体制が崩壊しかねないと警戒する」
ロシアは、イランの政治体制崩壊を警戒している。ロシアにとっては、イランが数少ない親近国である。
(3)「中東では、ロシアとイランが支えたシリアのアサド政権が2024年に崩壊した。ロシアは、15年にシリアに軍事介入して中東で影響力を強めた。イランまで失えば中東でのロシアの力はさらに弱まる。プーチン氏は19日、イランの最高指導者ハメネイ師殺害の可能性について「話したくもない」と不快感をあらわにした。とはいえ、イスラエルとイランの戦闘停止に向けた仲介役として関与する試みも実現の見通しはない」
イランに政治異変が起れば、ロシアはアラブでの足場を失うことになる。それだけに、心中は複雑な思いであろう。
(4)「プーチン氏は19日の中国の習近平国家主席との電話協議で仲介の用意があると伝えた。ロシア大統領府は、習氏が賛同したと発表したが、具体的な措置を示せずにいる。仲介はかねてプーチン氏が米国に提案してきた。イランとの関係をテコに情勢に関わり、トランプ氏を懐柔する余地を探った。ウクライナから注意をそらす狙いもあったとみられるが、思惑通りにはいかなかった。トランプ氏は「まずは自分のところを仲裁しろ」とウクライナとの停戦を主張し、プーチン氏の提案を断ったという」
中ロは、口先だけのイラン支援にとどまっている。米国との全面対決を避けたいからだ。
(5)「侵略を続けるロシアが、イランの支援に使える選択肢は限られる。一方で「イランを見捨てた」との印象が広がれば、ロシアと協力してきた体制維持を優先する強権的な国が対ロ関係を再考することも考えられる」
イランが、イスラエル・米国へ屈する事態になると、ロシアの仲間である権威主義国家には無力感が強まろう。ロシア支持勢力が減る事態となる。



