勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: イラン経済ニュース

    a0005_000022_m
       

    街頭デモや経済低迷でイラン政府が圧力にさらされる中、友好国である中国が支援の手を差し伸べる兆候はほとんど見られない。欧米や中東地域の政府はイランと中国の結びつきを警戒していたものの、困難に直面するイランを支援する様子はなく、両国関係の限界と脆弱性が浮き彫りになっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月14日付)は、「孤立するイラン、中国の支援に限界 脆弱な関係浮き彫り」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は12日、イランと取引を行う全ての国に25%の追加関税を課すと宣言し、同国と中国への圧力を強めた。トランプ氏は追加関税がどのように課されるか、詳細は明かしていない。昨年10月には中国の習近平国家主席と韓国で会談して貿易休戦に合意していたものの、これが崩壊する可能性がある。

     

    (1)「中国は追加関税を批判。在米中国大使館の劉鵬宇報道官は「中国は違法で一方的な制裁や域外適用に断固反対し、正当な権利と利益を守るために必要な措置を講じる」とXに投稿した。中国外務省の毛寧報道官は12日、イラン政府による抗議活動の取り締まりで多くの人が殺害されたことについて質問された際、「イラン政府と国民が現在の困難を克服し、国家の安定を維持することを望む」と述べた」

     

    中国外務省は、イラン政府による抗議活動の取り締まりで多くの人が殺害されたことについて質問された際、当たり障りのない回答をした。中国は、戸惑っているのだろう。

     

    (2)「中国政府はイランをより強く支持することに消極的な姿勢を示している。米国がベネズエラのマドゥロ大統領を標的に急襲する前も、中国はベネズエラに本格的な支援を行わなかった。中国は米国の制裁下で、ベネズエラ産原油の最大の買い手だった。同様に、中国はイランの最大の貿易相手国であり、イランの原油輸出の約90%を購入している。イラン産原油は制裁を回避するため、しばしば瀬取りを使って輸送され、従来の銀行システムを避けてインフラ融資で支払いが行われている。昨年は輸入全体に占めるイラン産原油の割合が約12%だったと推計されている」

     

    中国は、ダンピング輸出するくらい過剰生産物を抱えている。その一部でもベネズエラやイランへ支援すれば良いのだが、中国自身が「換金輸出」で苦境に立っている。他国支援の余裕がないのだ。それにもかかわらず、「大言壮語」を続けている。

     

    (3)「中国との取引は、孤立するイラン政府にとって生命線となっている。シンガポール国立大学の政治学者、ジャ・イアン・チョン(莊嘉穎)准教授は、「中国政府にとって、イランはエネルギー資源を得て中東地域にアクセスするための手段であり、それ以上のものではない」と指摘。だが「イランにとって、中国は制裁下でのわずかな命綱のような存在だ」と述べた。イランの経済低迷が抗議デモを引き起こし、47年間の統治に対する最大の危機が生じていることは、この命綱には限界があることを示している。チョン氏は「中国の支援は重要だが、それだけでイランが完全に救われるわけではない」とした」

     

    イランにとって、中国が唯一の頼りである。その中国が、素っ気ない態度である。イランを支援する経済余力を失っているのだ。張り子の虎と化している。

     

    (4)「中国とイランに加え、ロシアと北朝鮮は、欧米当局者の一部が「CRINK(クリンク)」と非公式に呼ぶ枢軸を形成しており、これらの国は米国に対抗する共通の願望で結びついている。中国は、ロシアを支援して孤立した経済を支え、軍を構築するために民間と軍事の両分野で使える物資を提供。イランは、ロシアに弾薬を供給しウクライナ戦争で使用するためのドローンの開発を支援。北朝鮮は、数千人の兵士をロシアに派遣している。だが昨年、イスラエルと米国がイランを攻撃すると、CRINK諸国はイランをほとんど支援しなかった。中国は欧米各国の制裁が、自国の銀行や主要企業に及ぶことをなお懸念している」

     

    中国・ロシア・イラン・北朝鮮(CRINK=クリンク)の実態は、口先だけで吠え立てるバラバラの組み合わせである。イラン救済の動きが全くないからだ。

     

    (5)「中国とイランは2021年、25年間の経済協力協定を締結。中国がイラン経済全体に4000億ドルを投資する代わりに、割引価格で安定した原油供給を受けることで合意した。イラン当局は中国に対し、この協定の履行を拡大するよう求めているが、制裁圧力が続く中でその成果は限られている」

     

    中国は、イランへ25年間に4000億ドルという巨額投資を約束したが、外貨不足で実現は不可能であろう。中国自体が、外貨準備高維持で四苦八苦しているからだ。

     

    (6)「イスラエルの国家安全保障研究所の中国研究者、トゥビア・ゲリング氏は12日、自身のニュースレターで、イラン当局が中国にさらなる支援を求めることについて、中国のソーシャルメディア上では厳しい批判の声が上がっていると指摘した。ゲリング氏は、「微信(ウィーチャット)」上で人気のアカウント「Zhanhao」の投稿に言及。ナショナリスト(民族主義)的な傾向で知られる同アカウントは、「イランは引き続き中国が自らのために犠牲を払うことを期待している」とした上で、「それは純粋な幻想だ!」と指摘していた」

     

    中国国内経済が、疲弊しきっている中ではイラン支援などとんでもない。中国国内は、そういう雰囲気なのだろう。貧すれば鈍するのだ。

    a0960_008532_m
       

    イラン政権は、危機に立たされている。 抗議デモが3週目に突入し、イランは変革の瀬戸際に立たされている。本質的な変化を求める反対運動の勢いが増す中、長期政権の権力掌握はかつてないほど脆弱になっている。抗議活動は当初、経済的不満を中心として展開していたが、やがて、数十年にわたりイランを支配してきた政権に対するより広範な動きへと発展している。長期化する経済制裁が、中流階級に打撃を与えており、これらの人々が改革運動の基盤となっていると指摘されている。米国トランプ大統領の「支援発言」も、

    後押ししているのであろう。

     

    『ブルームバーグ』(1月12日付)は、「イランに迫る革命、勃発なら世界情勢は一変-権力空白を懸念する声も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中央情報局(CIA)で中東担当上級分析官を務めたウィリアム・アッシャー氏は、イラン革命が起こった「1979年以降でこれはイランにとって最も重大な局面だ」と語った。同氏は同革命が、地域の勢力バランスを覆し、イランと米国およびその同盟国との数十年にわたる対立を招いたと指摘。「今、体制は極めて厳しい状況にある。その最大の要因は経済だ。政権が統制を取り戻せる時間は限られつつあり、それを実現するための手段も乏しくなっていると思う」と述べた」

     

    現状は、イラン革命が起こった1979年以降で最大の危機とみられる。経済不振が、国民生活へ深い傷を残しているからだ。

     

    (2)「イスラエルは6月に米国の支援を受けて、12日間の空爆でイランを攻撃したこともあり、イラン情勢について欧州諸国と密に連絡を取っている。匿名を条件に欧州高官が明らかにした。同高官はイランの体制が崩壊すれば、ロシアのプーチン大統領にとっても打撃になると付け加えた。1年余り前のシリアのアサド大統領に続き、今月はマドゥロ氏が失脚。それに続く形となるためだ」

     

    イラン体制が崩壊すれば、ロシアのプーチン大統領にも大きな打撃になる。むろん,中国の影響力も削がれる

     

    (3)「トランプ氏はあらゆるリスクを承知の上で、米国とイスラエルにとって45年以上の宿敵であるイラン政府の転覆という誘惑に駆られる可能性がある。新興市場のベテラン投資家マーク・モビアス氏はイラン政府が崩壊すれば「勢力均衡は劇的に変わるだろう」と語った。「最良の結果は政府が完全に変わることだ。最悪の結果は、国内の闘争が続き、現体制がそのまま支配を続けることだろう」と指摘した。トランプ氏は時に、中東地域での米国の無謀な行動に反対してきた。(米国は)長年の敵であったフセイン大統領のイラク政府打倒で、混乱とテロの時代を生み、数十万人の命と数兆ドルを失わせた」

     

    米国が、安易にイラン問題へ介入すると、「第二のイラク」になりかねない。イランは、完全に政権が代り自律できればよいが、そうでなければ混乱を増すだけである。

     

    (4)「この種の潜在的な権力の空白を湾岸協力会議(GCC)のアラブ指導者は憂慮していると、ある中東の高官は語った。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールなどを含むGCCはこれまで、イランを敵と見なすことが多かったものの、近年は関係改善を模索してきた。イスラエルや米国がイランに軍事行動を起こしても、イラン政府がGCC加盟国を報復の標的にしないようにするためだ。イランは攻撃を受けた場合、地域にある米国の拠点やイスラエルは「正当な標的になる」と警告している」

     

    イランは、米国の攻撃を受ければ報復するとしている。ベネズエラとは、状況が全く異なる相手だ。このイランも防空網は、ベネズエラと同じ中ロ製である。一瞬の隙間を付かれれば敵う相手ではない。

     

    (5)「イランは、この2年で大きく弱体化してきた。 経済の停滞や激しいインフレ、イスラエルによるイランおよびその代理勢力への攻撃が要因だ。それでも、イランは中東全域の軍事基地や油田を射程に捉える大規模かつ高性能の弾道ミサイルを多数保有している。とりわけ重要な存在であるイラン革命防衛隊など、多岐にわたる治安部隊の支持を政権は受けている」

     

    米国が、イランへ軍事介入するにはベネズエラよりも数倍の態勢を整えなければなるまい。すぐに、介入できるような状況にはないようだ。

     

    (6)「シンクタンク、欧州外交問題評議会の中東・北アフリカ部門の副責任者、エリー・ゲランメア氏は、GCCやトルコ、パキスタンのような国にとって最悪の結果はイランの混乱だと述べた。この可能性が高まっているのは、イランの抗議者が都市の世俗エリートから宗教的保守派まで多様で、統一した指導者を欠いているためだという。同氏は「GCCがここ数年、イラン政府と和解してきたのは、完全な混乱や未知の権力構造よりも、知っている悪魔の方がましという感覚がある」と語った」

     

    イランの抗議者は、都市の世俗エリート(中流階級)から宗教的保守派まで多様で、統一した指導者を欠いているという。リーダーなき反抗が起こっていることは、広範囲な抵抗という意味であろう。これを弱いとみるのか、逆に根強い抵抗とみるのか。判断は分かれるが、イランは新しい政治を模索している証とみるべきだ。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    イラン全土に広がった反政府デモで、人権団体によると500人以上が死亡した。イランは、 トランプ米大統領がデモ参加者のために介入するという脅しを実行した場合、米軍基地を標的にすると警告した。トランプ氏は、デモ参加者に武力が行使された場合、介入すると繰り返し脅している。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月12日付)は、「米、イラン介入計画を本格化 軍事攻撃も選択肢」と題する記事を掲載した。

     

    米政府当局者によると、ドナルド・トランプ米大統領は13日、イランでの反政府抗議活動への対応に関する具体的な選択肢について説明を受ける予定だ。これはトランプ氏が、これまで繰り返し警告してきたように、イラン政権によるデモ弾圧への対抗策を検討している兆候だ。大統領と政権高官との会議では次のステップについて協議される予定で、その中にはオンラインでの反政府勢力の支援強化、イランの軍事・民間施設に対する秘密サイバー兵器の展開、政権への追加制裁、軍事攻撃などが含まれる可能性があると、当局者らは述べた。

     

    (1)「トランプ氏は11日、大統領専用機「エアフォースワン」の機内で記者団に対し、イラン政権がデモ参加者を殺害してはならないという自身のレッドラインを「越え始めている」ことを受け、イランを攻撃する軍事的選択肢を検討していると述べた。「われわれは非常に強力な選択肢を検討している」とした上で、イランが米国の攻撃に対し中東の米軍部隊を標的にして報復した場合、「われわれはこれまでにない水準で攻撃する」と述べた」

     

    イランデモは、500人以上の犠牲者を出している。トランプ米大統領は、デモ犠牲者が出た場合は、イランで軍事力を行使すると予告してきただけに、その危機が迫っている。

     

    (2)「トランプ氏はまた、「イランの指導者らが(交渉を求めて)電話をかけてきた」と述べた。「会談の前に行動しなければならないかもしれない。(中略)会談が設定されつつある。イランが電話をかけてきた。彼らは交渉を望んでいる」。検討はまだ初期段階にあるため、トランプ氏が13日の会議で最終決定を下すことはないとみられる。イランの国会議長は11日、米国が先に行動を起こせば中東の米軍基地を攻撃すると述べた」

     

    イランの指導者らが、トランプ氏へ交渉の電話を掛けてきたという。イランも軍事力行使を恐れているのであろう。

     

    (3)「米国防総省は、軍事攻撃を想定した部隊の展開を実施していない。米軍は、攻撃を開始するためだけでなく、地域の米軍部隊を保護するためにも軍事資産を配置する必要がある。最近、原子力空母ジェラルド・フォードを中核とする空母打撃群を地中海から中南米に移動させており、中東にも欧州にも空母がいない状態となっている。トランプ氏と政府高官の会議に先立ち、イラン情勢への具体的な対応(潜在的な軍事目標や経済的選択肢を含む)について各政府機関に見解を求めるメモが送られていると、一部の当局者は述べた。

     

    米軍は、まだイランを軍事攻撃できる態勢になっていない。原子力空母を中核とする空母打撃群は、地中海から中南米に移動しており、中東にも欧州にも空母がいない状態だ。

     

    (4)「13日の会議は、トランプ大統領がイランに対する選択肢について高官らと正式に協議する初めての機会となる。ただトランプ氏は、非公式な場でも対イラン政策を含む重要な問題について側近に意見を求めることが多く、取るべき対応についてすでに幾つかの案を聞いている。トランプ氏はイランでの抗議活動が2週間前に始まって以来、強硬な言葉をエスカレートさせている。2日にはソーシャルメディアで、イラン政権に平和的なデモ参加者を殺害しないよう警告しつつ、米国は「臨戦態勢にある」と述べた。9日には、当局がデモ参加者に発砲すれば米国は「射撃を開始する」と述べた」

     

    トランプ氏は、デモ参加者の犠牲者数がふえるとともに、発言のレベルをあげている。

     

    (5)「トランプ氏は、民衆蜂起への支持を表明し続けてきた。10日には「イランは自由を見つめている、恐らくかつてないほどだ」「米国は支援する準備ができている!!!」とソーシャルメディアに投稿した。さらに、ロンドンのイラン大使館からイランの国旗を取り外し、反政権の旗に置き換えた男性について報じる記事のリンクを張った。米国務省はソーシャルメディアのXで、トランプ氏が何度も警告した後にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を排除した米軍の作戦に言及し、「トランプ大統領と駆け引きをしてはいけない。彼が何かをすると言ったら、本気だ」と投稿した。トランプ氏は、マドゥロ氏拘束作戦の成功や、ナイジェリア、ソマリア、シリア、イエメンでの爆撃作戦が米国の利益を確保したと信じ、自信を深めていると当局者らは述べている」

     

    トランプ氏は、マドゥロ氏拘束作戦の成功で自信を深めているという。イランの防空網は、ベネズエラと同じ中ロ製という。それだけに、今回のベネズエラでの奇襲攻撃の経験を生かせるのだろう。

     

    (6)「イラン政府は、今のところ米国の行動を恐れる兆候を示していない。米軍基地への脅威に加えて、最高指導者アリ・ハメネイ師と側近らは、デモ参加者に対するより幅広い弾圧を示唆している。同国のモハンマド・モバヘディ・アザド検事総長は10日、抗議活動に参加する人々は「神の敵」だと述べた。これは死刑につながる罪になる。同国軍は10日、「国益、戦略的インフラ、公共財産を断固として守る」と述べ、イスラエルと「テロリスト集団」を騒乱の原因として非難し、「敵の陰謀を阻止する」と言明した」

     

    イラン当局は、米国の攻撃に怯む様子は見せていない。だが、裏では米国へ電話をするなど硬軟両様の構えである。「政権危機」に備えた行動とみるべきであろう。

     

    a0960_008417_m
       

    ロシア大統領プーチン氏は、イスラエル・イランの紛争解決で米国へ仲介を申し入れ断られる醜態を演じた。トランプ氏が、「ウクライナ問題を解決せよ」と撥ねつけたのだ。自分の頭のハエも追えない状況で、他国紛争へ介入しようとは不思議な感覚である。ロシアは、イラン盟友国として少しでも動かねばならない「義務感」を持ったのだ。

     

    ロシアは、ウクライナ侵略が長引いて戦時経済の減速が鮮明であり、アジアや新興・途上国のグローバルサウスとの連携を強めようとしている。この最中に、イスラエルのイラン急襲が始まった。核開発阻止という大義名分である。

     

    これまでロシアは、ウクライナ侵略が続くなか、兵器生産など軍需が主導し経済成長を牽引してきた。最近は、経済の減速基調が鮮明になっている。ロシア政府に近い経済調査機関は17日公表の報告書で、ロシア経済について「製造業で停滞が続いている」などとし、特に民間部門の減速を指摘した。こういう状況下で、イラン支援余力がないのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月20日付)は、「ロシアはイラン支援困難か 仲介関与見通せず、中東で影響力低下」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアがイスラエルからの攻撃を受けるイランの支援に動けずにいる。ウクライナ侵略でイランから兵器を供与されたにもかかわらず、イスラエルへの非難にとどまる。ウクライナとの戦争に力をそがれ、中東情勢への影響力低下が露呈した。

     

    (1)「ロシアのプーチン大統領が、仲介役に意欲を示すもトランプ米大統領は否定的な考えを示した。戦闘停止に向けた調整に関与する道筋もみえない。プーチン氏は19日、イランへの軍事支援の用意があるかを問われ「頼まれていない」と述べた。両国が1月に結んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に有事の軍事支援は含まず、防空ミサイルなどを供与する予定はないとの認識を示した」

     

    ロシアは、条約がない以上イラン支援をしない。当然と言えば当然だが、盟友国へ冷たい態度だ。

     

    (2)「ロシアとイランは、反米姿勢で結束を強めてきた。イランは侵略を続けるロシアに攻撃用のドローン(無人機)や弾道ミサイルを供与し、無人機の量産体制の確立も後押しした。英国防省は中東情勢がロシアへの兵器供給に影響を与える可能性を指摘する。ロシアは、イスラエルとイランの衝突が長引くことでイランの体制が崩壊しかねないと警戒する」

     

    ロシアは、イランの政治体制崩壊を警戒している。ロシアにとっては、イランが数少ない親近国である。

     

    (3)「中東では、ロシアとイランが支えたシリアのアサド政権が2024年に崩壊した。ロシアは、15年にシリアに軍事介入して中東で影響力を強めた。イランまで失えば中東でのロシアの力はさらに弱まる。プーチン氏は19日、イランの最高指導者ハメネイ師殺害の可能性について「話したくもない」と不快感をあらわにした。とはいえ、イスラエルとイランの戦闘停止に向けた仲介役として関与する試みも実現の見通しはない」

     

    イランに政治異変が起れば、ロシアはアラブでの足場を失うことになる。それだけに、心中は複雑な思いであろう。

     

    (4)「プーチン氏は19日の中国の習近平国家主席との電話協議で仲介の用意があると伝えた。ロシア大統領府は、習氏が賛同したと発表したが、具体的な措置を示せずにいる。仲介はかねてプーチン氏が米国に提案してきた。イランとの関係をテコに情勢に関わり、トランプ氏を懐柔する余地を探った。ウクライナから注意をそらす狙いもあったとみられるが、思惑通りにはいかなかった。トランプ氏は「まずは自分のところを仲裁しろ」とウクライナとの停戦を主張し、プーチン氏の提案を断ったという」

     

    中ロは、口先だけのイラン支援にとどまっている。米国との全面対決を避けたいからだ。

     

    (5)「侵略を続けるロシアが、イランの支援に使える選択肢は限られる。一方で「イランを見捨てた」との印象が広がれば、ロシアと協力してきた体制維持を優先する強権的な国が対ロ関係を再考することも考えられる」

     

    イランが、イスラエル・米国へ屈する事態になると、ロシアの仲間である権威主義国家には無力感が強まろう。ロシア支持勢力が減る事態となる。

     

    118
       

    イランの最高指導者のハメネイ氏は、ハマスを支援しない旨を通告したと英紙などが報じている。イランは。事前に通告もしないで始めたイスラエルへの急襲を非難したとされる。この裏には、いち早く米海軍が空母2隻を急行させて、イランの介入を牽制していることも影響しているであろう。

     

    米国のオースティン国防長官は10日14日、米海軍の空母「ドワイト・アイゼンハワー」をイスラエル沖の東地中海に派遣するよう指示した。米軍は既に、イスラエル沖に空母「ジェラルド・フォード」を展開している。中東情勢が緊迫化する中、空母を追加で派遣することで、イスラエルに対する攻撃を抑止する狙いがある。

     

    『東亜日報』(11月17日付)は、「イラン最高指導者、ハマスに『介入しない』 紛争拡大のリスク減少」と題する記事を掲載した。

     

    神政国家であるイランの最高指導者ハメネイ師が、最近イランを訪問したパレスチナ武装組織ハマスの政治部門最高幹部のイスマイル・ハニエ氏に、「イスラエルとハマスの紛争に介入しない」考えを明らかにしたと、英紙『テレグラフ』などが15日、報じた。これまでハマスを直接・間接的に支援してきたイランが、10月7日の紛争勃発後、初めて「介入不可」の考えを公式化したもので、大きな注目を集めている。

    (1)「イランが介入しなければ、イスラエルとハマスの紛争が中東全体の紛争に広がる危険性も減るとみられる。すでにハマスは、拠点であるパレスチナ・ガザ地区に対するイスラエル地上軍の波状攻撃で大きな打撃を受けており、さらに勢力が弱体化する可能性も高い。15日午前2時頃、ガザ地区のアルシファ病院を急襲したイスラエル軍は、病院内でハマスの作戦本部の存在を確認したとし、病院攻撃の正当性を繰り返し主張した。バイデン米大統領も「病院にハマスの施設がある」とイスラエルを擁護した。ハマスは、「イスラエルの虚偽の扇動」と反発した」

     

    イスラエルのハマス反撃が、イランの介入することで紛争拡大を招き、中東全体を混乱に陥れるリスクを浮上させている。米海軍は、イランの介入を警戒して空母2隻を配置して牽制しているほどだ。米国は、イランが事前にハマスの急襲を知っていたかどうかに注意してきた。調査の結果、すでに全く知らされていないことを知り安堵していたのも事実だ。

     

    (2)「テレグラフによると、ハメネイ師は最近イランを訪れたハニエ氏に会った席で、10月イスラエルを奇襲攻撃した際、イランに事前通知しなかったことを追及した。また、イランが介入する考えもないことを明らかにした。ロイター通信も、ハメネイ師がイランはもとより、イランの支援を受けるレバノンのシーア派武装組織ヒズボラがハマスを支援して全面的に介入すべきという声がハマス内部から出ないようハニエ氏を牽制したと報じた。ハニエ氏は今月初め、秘密裏にテヘランを訪れ、ハメネイ師などイラン首脳に支援を求めたという」

     

    イランは、ハマスの「尻拭い」を断った。これは、イランがサウジアラビアと外交関係を復活したばかりであり、ハマスへ介入すればせっかく得た外交成果を台無しにする。総じて、アラブ諸国は今回の紛争に対して中立的立場を取っている。理由は、イスラエルのハイテク技術が必要になっている背景がある。

     

    (3)「ヒズボラも、奇襲攻撃を全く認識していなかったことが分かった。あるヒズボラの指揮官はテレグラフに、「寝て起きたら紛争が起きていた」と述べ、ハマス側がヒズボラにも事前に通知しなかったことを明らかにした。ただ、ハメネイ師は、イランが何らかの形でハマスを支援し続ける意向は示したという。ヒズボラなどを通じて中東内の米国およびイスラエル関連の主要施設をロケット、無人機(ドローン)などで攻撃することも含まれる。ハマスに連帯感を示すが、イスラエルや米国との直接対決には巻き込まれないようにする動きとみられる」

     

    ハマスへ連帯感を示す國は多いが、その限りに止まっている。紛争に加担することで、損害を被る現実を計算するようになったのだ。ハマスが、イスラエルを急襲したことに引け目を感じているのであろう。



     

    このページのトップヘ