イランの最高指導者のハメネイ氏は、ハマスを支援しない旨を通告したと英紙などが報じている。イランは。事前に通告もしないで始めたイスラエルへの急襲を非難したとされる。この裏には、いち早く米海軍が空母2隻を急行させて、イランの介入を牽制していることも影響しているであろう。
米国のオースティン国防長官は10日14日、米海軍の空母「ドワイト・アイゼンハワー」をイスラエル沖の東地中海に派遣するよう指示した。米軍は既に、イスラエル沖に空母「ジェラルド・フォード」を展開している。中東情勢が緊迫化する中、空母を追加で派遣することで、イスラエルに対する攻撃を抑止する狙いがある。
『東亜日報』(11月17日付)は、「イラン最高指導者、ハマスに『介入しない』 紛争拡大のリスク減少」と題する記事を掲載した。
神政国家であるイランの最高指導者ハメネイ師が、最近イランを訪問したパレスチナ武装組織ハマスの政治部門最高幹部のイスマイル・ハニエ氏に、「イスラエルとハマスの紛争に介入しない」考えを明らかにしたと、英紙『テレグラフ』などが15日、報じた。これまでハマスを直接・間接的に支援してきたイランが、10月7日の紛争勃発後、初めて「介入不可」の考えを公式化したもので、大きな注目を集めている。
(1)「イランが介入しなければ、イスラエルとハマスの紛争が中東全体の紛争に広がる危険性も減るとみられる。すでにハマスは、拠点であるパレスチナ・ガザ地区に対するイスラエル地上軍の波状攻撃で大きな打撃を受けており、さらに勢力が弱体化する可能性も高い。15日午前2時頃、ガザ地区のアルシファ病院を急襲したイスラエル軍は、病院内でハマスの作戦本部の存在を確認したとし、病院攻撃の正当性を繰り返し主張した。バイデン米大統領も「病院にハマスの施設がある」とイスラエルを擁護した。ハマスは、「イスラエルの虚偽の扇動」と反発した」
イスラエルのハマス反撃が、イランの介入することで紛争拡大を招き、中東全体を混乱に陥れるリスクを浮上させている。米海軍は、イランの介入を警戒して空母2隻を配置して牽制しているほどだ。米国は、イランが事前にハマスの急襲を知っていたかどうかに注意してきた。調査の結果、すでに全く知らされていないことを知り安堵していたのも事実だ。
(2)「テレグラフによると、ハメネイ師は最近イランを訪れたハニエ氏に会った席で、10月イスラエルを奇襲攻撃した際、イランに事前通知しなかったことを追及した。また、イランが介入する考えもないことを明らかにした。ロイター通信も、ハメネイ師がイランはもとより、イランの支援を受けるレバノンのシーア派武装組織ヒズボラがハマスを支援して全面的に介入すべきという声がハマス内部から出ないようハニエ氏を牽制したと報じた。ハニエ氏は今月初め、秘密裏にテヘランを訪れ、ハメネイ師などイラン首脳に支援を求めたという」
イランは、ハマスの「尻拭い」を断った。これは、イランがサウジアラビアと外交関係を復活したばかりであり、ハマスへ介入すればせっかく得た外交成果を台無しにする。総じて、アラブ諸国は今回の紛争に対して中立的立場を取っている。理由は、イスラエルのハイテク技術が必要になっている背景がある。
(3)「ヒズボラも、奇襲攻撃を全く認識していなかったことが分かった。あるヒズボラの指揮官はテレグラフに、「寝て起きたら紛争が起きていた」と述べ、ハマス側がヒズボラにも事前に通知しなかったことを明らかにした。ただ、ハメネイ師は、イランが何らかの形でハマスを支援し続ける意向は示したという。ヒズボラなどを通じて中東内の米国およびイスラエル関連の主要施設をロケット、無人機(ドローン)などで攻撃することも含まれる。ハマスに連帯感を示すが、イスラエルや米国との直接対決には巻き込まれないようにする動きとみられる」
ハマスへ連帯感を示す國は多いが、その限りに止まっている。紛争に加担することで、損害を被る現実を計算するようになったのだ。ハマスが、イスラエルを急襲したことに引け目を感じているのであろう。