勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 北朝鮮経済ニュース

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    韓国労組は、左派勢力の中心である。「反日米・親中朝」を鮮明にしているのだ。このアドバルーン通に、全国民主労働組合総連盟(民主労総)幹部が、数年間にわたり北朝鮮スパイを働いていた容疑で捜査を受けている。民主労総は、110万人以上の労働組合員を擁し、韓国二大労組の一角を占める。暴力的な賃上げ闘争を行うことでも有名な存在だ。

     

    労組幹部が公然と、北朝鮮のスパイを働いていたことには驚くほかない。戦時中の日本でも、新聞記者がソ連スパイを働き刑死したゾルゲ事件がある。韓国には、北朝鮮からの侵略で辛酸をなめさせられた経緯がある。それにも関わらず、スパイという利敵行為を行う労組幹部はどういう認識なんか。左派は、厳しく自問自答すべきだろう。

    『中央日報』(3月30日付)は、「北朝鮮の『目と耳』の役割を果たしていたという韓国民主労働組合総連盟の前現職幹部」と題する社説を掲載した。

     

    公安当局が明らかにした全国民主労働組合総連盟(民主労総)の前現職幹部らのスパイ疑惑が想像を絶する。衝撃的だ。水原(スウォン)地裁は一昨日、民主労総組織局長、保健医療労組組織室長、元金属労組副委員長と組織部長の4人に対し、国家保安法違反の疑いで検察が請求した拘束令状を発行した。国家情報院と国家捜査本部が1月、彼らの住居地と事務室などを家宅捜索した後に確保した証拠により、国家保安法上の目的遂行などスパイ疑惑が認められると裁判所が判断した。

     

    (1)「昨日、一部公開された彼らの具体的な容疑をみると驚くばかりだ。彼らは「支社」と命名した地下組織を作り、数年間にわたっておよそ100回の北朝鮮指令文を受け取り、約30件の報告文を作成して北朝鮮に送ったことが分かった。北朝鮮の指令文には、青瓦台(チョンワデ、当時大統領府)など韓国の主要国家基幹施設の送電網設備を把握し、麻ひさせる準備を指示した内容が盛り込まれていた。日の丸火刑式など反日感情を刺激し、進歩党(旧統合進歩党)の掌握と院内正当化の推進、民主労総の梁慶洙(ヤン・ギョンス)委員長への支持など韓国の政治と外交に介入したこともある」

     

    北朝鮮からは、ベトナムなど海外で指令を受けていた。謝金も得ており、動機は極めて不純である。古くさい言葉だが、まさに「売国奴」にふさわしい行動を取っていたのだ。この集団が、先頭に立って「反日運動」を行っていた。

     

    (2)「特に、民主労総核心幹部A氏は2021年2月ごろ、京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)と烏山(オサン)の米軍基地内に入り主要施設と装備を撮影し、北朝鮮の韓国向け工作機構(文化交流局)に渡した疑いが持たれている。部隊の滑走路・格納庫はもちろん、パトリオットミサイル砲台などを近接撮影した写真もあった」

     

    米軍基地にも入り込み写真を撮っていた。滑走路、格納庫、パトリオットミサイル砲台など主要装備まで近接撮影したとみている。

     

    (3)「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は先月24日に国情院を、22日には国軍防諜司令部を訪問した。異例的な大統領の行動は、公式的には激励のレベルだったが、スパイ事件に対する深刻な政府の憂慮が反映されたという見方もある。民主労総の前現職幹部らのスパイ行為が一回限りではなく、北朝鮮が国内外で全方位的な情報収集に乗り出したということから今回の事件を決して軽く見過ごすことではない。さらにスパイ事件が発生する可能性もある」

     

    労組幹部が、北朝鮮スパイになったのは、朝鮮戦争を民族解放戦争という位置づけにしているからだ。文・前大統領が、北朝鮮へ大きく傾斜した理由も、本心では民族解放戦争という認識に外ならない。朝鮮戦争が、南北統一を実現できなかったのは、米軍が介入したという理解であり、「反日米」という強い信念を持っている。

     

    (4)「たとえ一部でも、民主労総の核心幹部たちが、北朝鮮の目と耳、腕と脚の役割を果たしたとは、世間に衝撃を与えている。軍事情報を漏えいすることや国内で混乱を引き起こす北朝鮮の指令に従うことは利敵行為に過ぎない。民主労総指導部は、彼らをかばってはならず、反国家的行動に必ず国民の前で謝罪しなければならない。さらにスパイが横行する状況で、国情院の対共捜査権を廃止したことが適切だったのか、国会は見直してほしい」

     

    韓国左派には、リベラリズムという自由な空気が存在しない。単純な民族主義の集団である。それが、「進歩派」を名乗るから実態との乖離が大きくなるのだ。韓国左派は、決して進歩派に値せず、既得権益を貪る集団である。

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    ロシアのウクライナ侵攻という欧州の戦争が、韓国と北朝鮮から米国とロシアへ軍需品提供という異例の展開を招いている。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版』(11月10日付)は、韓国がウクライナ支援のための砲弾を米国に初めて売却すると報じた。米韓両政府の秘密協定を通じた措置という。韓国は、米国を経由させることで、尹錫悦政権が殺傷能力のある武器をウクライナへ供与しないとする公約を維持できるという。

     

    WSJによると、米国は155ミリ砲弾10万発を購入する。ウクライナ軍が少なくとも数週間の激しい戦闘を続けるのに十分な量だという。オースティン国防長官と李鐘燮国防相が今月3日のワシントン近郊での会談で基本合意していた。米国にとっては急速に減っている米軍の砲弾を温存できる利点がある、としている。

     

    韓国は、これまでに防弾ベスト、ヘルメット、医療用品をウクライナに供与している。韓国国防省は11日、米国で不足している弾薬の在庫を補充するための輸出協議が進行中だとし、「米国をエンドユーザーとする前提だ。ウクライナに殺傷兵器を提供しないという政府方針に変わりはない」と説明した。ロシアは先に、韓国に対してウクライナへの弾薬提供を批判する発言をしていたが、米国へ売却する形式によって、ロシアの批判を回避する姿勢だ。

     

    北朝鮮は、ロシアから軍服や防寒具の製造を依頼されていると報じられた。弾薬提供はすでに報じられた通りだ。

     

    韓国紙『WOWKOREA』(11月11日付)は、「米国『ロシアは北朝鮮に軍事的支援を要請』、冬用軍服・防寒靴 輸出の可能性も?」と題する記事を掲載した。

     

    米国政府は「北朝鮮がロシア軍人たちのための冬用軍服を製作し輸出している」という疑惑について、具体的な見解を拒否した。しかし「ロシアが北朝鮮の軍事的支援を要請している」ことに関しては、あらためて明らかにした。

     

    (1)「米国務省のネッド・プライス報道官は10日(現地時間)のメディア会見で、北朝鮮によるロシア軍人用軍服および防寒靴の輸出疑惑に関する質問に「北朝鮮の軍服輸出の可能性について、特にお話しすることはない」としながらも「しかしわれわれは『ロシアが北朝鮮に軍事的支援を要請している』とお伝えしてきた」と答えた。米国務省のこのような言及は、北朝鮮によるロシア軍服製作・輸出の可能性を完全に排除していないことを示唆したものとみられる」

     

    ロシア軍は、軍服が不足していると報じられている。ましてや、防寒具となれば不足していると見るほかない。こういう状況下で、ロシア軍の軍服供給が始まったのであろう。

     


    (2)「プライス報道官は、「彼らはかなりの量の武器提供について話し合い、北朝鮮は数百万個の武器(弾薬)を第3国行きの物品とみせかけ、ロシアに提供しようとしている」とし「これは明白な制裁違反だ」と付け加えた。これに先がけて米国ラジオ放送局『自由アジア放送(RFA)』は、関係者からの話を引用し「北朝鮮は外貨稼ぎのため1か月前からロシアに冬用軍服と防寒靴を作っていて、これはウクライナ戦争に配置された軍人たちに支給される予定だ」と報道した」

     

    北朝鮮は、数百万個の武器(弾薬)を第3国行き物品とみせかけ、ロシアに提供しようとしているという。北朝鮮は、この情報を否定している。

     

    (3)「RFAは、「そのためロシアから服の生地が国境を越え北朝鮮に送られ、注文量は大規模であることが把握されている」と、関係者からの話を引用し伝えた。しかし、RFAは「2017年9月に採択された国連安保理決議2375によると、北朝鮮からのいかなる繊維の輸出も禁止されている」と指摘した」

     

    北朝鮮は、国連決議でいかなる繊維の輸出も禁止されている。弾薬もそうだが、軍服も輸出を禁じられている。国連決議違反である。

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    北朝鮮は、相次いでミサイル発射実験を行い、日韓を威嚇している。だが、北朝鮮の防空システムは時代遅れの代物という。日本は、ここを突いて「反撃能力」を高めれば十分に対応可能と専門家が指摘する。まさに、日米韓三ヶ国の軍事協力が生かされる局面だ。

     

    韓国最大野党代表の李在明氏は、こういう三ヶ国軍事協力に反対している。北朝鮮のミサイルが日本へ撃ち込まれれば「良い気持ち」というのであろう。韓国には、幼稚な反対論があるものの、日本として一段と防衛能力を高めざるを得ない事態になっている。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月6日付)は、「北朝鮮の『弱み』に照準、日本は抑止強化に傾く」と題する記事を掲載した。

     

    日本はミサイル防衛で守りに徹するだけでは不十分だとの考えに傾きつつある。ここにきて攻めの姿勢も視野に入れ始めた。北朝鮮は日本上空にミサイルを飛ばすことで、隣国を脅かしうる存在であることを改めて浮き彫りにした。だが、軍事専門家は北朝鮮のミサイル迎撃能力は限られると指摘する。このぜい弱さこそが、日本政府が12月に公表を予定している新たな防衛戦略で方針転換を促す重要なテーマになっている。

     

    (1)「自民党の佐藤正久外交部会長は「北朝鮮はミサイル防衛に限界があるので、(日本が)反撃能力を持ったほうが抑止力になる」と話す。北朝鮮が4日発射した弾道ミサイルは、日本北部の上空を通過し、太平洋沖に落下した。日本列島の上空を通過するのは2017年以来だ。松野博一官房長官はこれを受けて、いわゆる「反撃能力」を含め、「あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と述べた」

     

    日本が、「反撃能力」を持つことに否定的意見もある一方、北朝鮮のように防空システムが弱体な国には、事前に攻撃を察知して「叩く」方がはるかに効率的とする見解が出て来た。

     

    (2)「故・安倍晋三元首相は、日本が反撃能力を保有することを提唱していた。最近では、北朝鮮と中国双方に対する抑止戦略として、反撃能力に関する議論が熱を帯びている。4月には、自民党の安全保障調査会で、日本はミサイル基地など軍事施設のみならず、敵の指揮統制能力を破壊することも正当化されうるとの見解が示された。岸田文雄首相は9月30日、防衛費増額を議論する有識者会議の初会合に出席した。有識者による提言は新たな国家安全保障戦略や向こう5年の防衛予算の大綱に反映される見通しで、いずれも年内に公表を予定している」

     

    日本では、「反撃能力」を装備する予算措置を講じる段階にまできた。北朝鮮は、自国の防空システムの脆弱性を熟知しているので、ミサイル攻撃への抑止力となろう。

     


    (3)「日本は、海上のイージス艦と地上の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の二段構えにより、一定のミサイル防衛能力を持つ。また、イージス艦の保有をさらに増やす計画だ。とはいえ、大規模なミサイル戦力の増強を進める北朝鮮に対して、この「拒否的抑止」が有効である保証はない。ミサイルの集中砲火を浴びれば、日本の迎撃態勢が圧倒される恐れがあり、北朝鮮はそのような攻撃演習も行っている。もう一つの抑止戦略は反撃能力を備える「懲罰的抑止」と呼ばれるものだ。戦後の日米安全保障条約に基づ
    き、日本は長らく、この懲罰的抑止を米国による報復の脅威に頼ってきた。ところが、米国の指導者らは、日本も独自に防衛能力を向上させるよう促すようになっている」

     

    日本は、ミサイルの集中砲火を浴びれば、迎撃態勢で圧倒される恐れがあるという。となれば、「懲罰的抑止」能力を持っていることを北朝鮮へ知らせることだ。

     


    (4)「日本の議員や専門家の間では、懲罰的抑止の戦略が北朝鮮に対してとりわけ有効だと指摘する声が上がっている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が2011年終盤に実権を握って以降、北朝鮮は急ピッチでミサイル開発を進めているが、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃にはなおぜい弱だという。北朝鮮は昨年、ロシアの防空システム「S400」と類似の設計とみられる高射砲の発射実験を行っている。北朝鮮の防空システムはほとんどが時代後れだ。トロイ大学で国際関係学を教え、北朝鮮軍について研究するダニエル・ピンクストン氏はこう指摘する。北朝鮮がミサイルを迎撃できるとは思わない。同時多発的に発射された場合は特にそうだ」と指摘する」

     

    北朝鮮は、時代遅れの防空システムという。ステルス戦闘機にはお手上げである。

     


    (5)「日本の防衛省は、反撃能力に関する選択肢の一つとして、国産巡航ミサイル「12式地対艦誘導弾(SSM)」の射程を延ばすことを目指しており、2023年度予算概算要求にも盛り込んだ。同省当局者によると、2026年春までの完成を目指している。前出の佐藤氏は、北朝鮮が他国を脅かすミサイル開発に注力していることは、日本や同盟国に機会を与えたと話す。日本が北朝鮮のミサイル拠点を攻撃したら、「彼らは防ぎようがない」という」

     

    下線部分のように、日本が北朝鮮へミサイル攻撃すれば、防ぎようがないという。北朝鮮は、こういう脆弱な防空システムでも、威嚇だけは「一人前」以上に振舞うのだ。

     

     

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    儒教社会に人権はない

    北朝鮮がナンバーワン

    国連も乗り出す事件へ

    根深い女性蔑視の社会

     

    立つ鳥跡を濁さず、という。韓国前大統領の文在寅氏は退任後、世間から忘れられたいと言っていたが、どうも希望通りになりそうもない雲行きだ。在任中に、韓国公務員が北朝鮮軍により射殺された事件が蒸し返され、責任を追及されているからだ。射殺された遺族は、文氏を訴えると発言しており、事件の行方が注目されるにいたった。

     

    この問題は、文政権が北朝鮮とのいざこざを恐れて「不問」に付した疑惑が持たれている。韓国公務員は、北朝鮮領海を漂流して生存していることを確認されながら、韓国政府が直ぐに救助の要請をせず3時間後に北朝鮮軍により射殺・焼却されたという衝撃的事件である。この事件の顛末が、韓国新政権で明らかになった。政権交代がなければ、隠蔽されたままで葬り去られたであろう。

     


    儒教社会に人権はない

    事件の詳細は後で触れるが、文氏は「人権派弁護士」として名前を売ってきた人物だ。これを足がかりにして大統領まで上り詰めた。文氏は、果たして人権派であったか。そういう疑問の声が最近、米議会からも上がっている。文氏が、北朝鮮外交重視の結果、最も大事な人権問題を棚上げするご都合主義者になったと批判されているのだ。韓国にとっても、極めて由々しい批判である。

     

    この人権問題と関係あるのが、大統領夫人への嫌悪感である。大統領夫人は、「私人」であって批判対象になるべき存在でない。ところが、韓国では大統領夫人を「公人」扱いし、批判対象にしているのだ。「出しゃばり」とか、「目立ちたがり屋」とまで批判される始末だ。極めつけは、尹大統領が愛妻家で食事の支度をしていたことを、進歩派メディアまで批判していることだ。これは、夫人が「良妻賢母」という儒教社会のイメージとかけ離れていることを指摘しているのであろう。

     


    韓国は朝鮮李朝以来、儒教が国教になったことから、無意識のうちに儒教倫理で社会を規制している。儒教の基盤である宗族社会では、個人の認識はなく集団の認識が先行している。「私」という概念は邪悪なものとされており、「私たち」が優先概念である。ここには、個人の「人権重視」という概念は、口先では存在しても、心の奥まで響かない曖昧な概念になっているのだ。この事実に注目すべきであろう。

     

    儒教倫理では、男女平等という認識もない。女性蔑視を意味する、「男女七歳にして席を同じうせず」という言葉通りに男尊女卑社会が形成された。韓国で、大統領夫人への批判が絶えないのは、伝統的に根付いている儒教の男尊女卑の認識が無意識に働いている結果だ。韓国が、真に近代社会へ脱皮するには、こういう儒教倫理の残滓を一掃することであろう。

     


    北朝鮮がナンバーワン

    冒頭から、儒教倫理などと「小難しい」ことを持出したのは、理由あってのことである。それは、前記二つの「人権」と「女性蔑視」の問題を何の脈絡もなく取り上げると、「三文記事」に堕する危険性があるからだ。韓国社会が、いかに儒教に毒されているかを検証するには、まずその検証ツールを明らかにしておかなければならない。こういう私の流儀をご理解いただきたい。

     

    まず、「人権問題」に該当する事件からとり上げたい。

     

    2020年9月22日、北朝鮮軍の銃撃を受け遺体を燃やされて死亡した韓国海洋水産部の公務員、故イ・デジュンさんの事件に関する事件だ。韓国政府は、故イさんが多額の債務を抱えており、勤務中の水産部調査船から姿をくらました、という説明をした。自分の意思で北朝鮮領海へ泳いで行き、北朝鮮軍から「不審者」として射殺された、という説明で事件の幕引きとした。

     


    政権が代わって大逆転が起こった。海洋警察庁の丁奉勳(チョン・ボンフン)庁長が6月22日、「多くの誤解をもたらした」として、国民と遺族に向け謝罪したのだ。

     

    海洋警察は同事件を巡って、男性が行方不明になった8日後に中間捜査結果を発表。軍当局と情報当局が傍受した北朝鮮の通信内容や本人の債務などを根拠に、「男性が自ら北朝鮮に渡ろうとした」との判断を示した。国防部と海洋警察庁が今年6月16日、「自ら北に向かったという証拠はない」とし、文在寅政権当時の立場を覆したことから、海洋警察庁トップが謝罪会見に追い込まれたものだ。

     

    文前大統領は、事件の報告を受けてから3時間後に、公務員は北朝鮮軍による銃撃で死亡した。その3時間に文氏がどのような対応したかが問われている。遺族側の弁護士は、文氏が何ら救命指示を出さなかったならば、職務放棄罪で告発。事態を放置するよう指示したのであれば、職権乱用罪で文氏を告発すると強い姿勢である。(つづく) 

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    あじさいのたまご
       

    韓国文大統領は、東京五輪を舞台に南北会談構想を練ってきたが、北朝鮮の不参加決定で水の泡になった。韓国与党では、来年2月の北京冬季五輪に期待を繋ぐ向きもある。ただ、来年5月退任の文大統領と会談しても、実効は期待できない。となれば、東京五輪での南北接触が不可能になったことで、文大統領の4度目の南北首脳会談は事実上、消えたと言える。

     

    『朝鮮日報』(4月7日付)は、「北朝鮮『東京オリンピックに参加しない』、文大統領の南北構想に狂い」と題する記事を掲載した。

     

    北朝鮮が6日、東京オリンピック・パラリンピックへの不参加を宣言した。これによって北朝鮮をオリンピックに参加させ、「南北関係の改善」から「米朝対話の再稼働」へとつなげたかった文在寅(ムン・ジェイン)大統領のいわゆる「平昌アゲイン構想」も水の泡になった。外信(ロイター)は「北朝鮮が韓国の希望を打ち砕いた」と報じた。

     

    北朝鮮体育省は同日、「共和国オリンピック委員会は総会(3月25日)で、悪性ウイルス感染症(コロナ)による世界的な保健危機状況から選手たちを守るため、オリンピック競技大会に参加しないことを討議・決定した」と発表した。南北は東京オリンピック・パラリンピックで女子バスケットボール、男女のボート、男女の柔道、女子ホッケーで合同チームを組む方向ですでに合意していた。

     

    (1)「大統領府はいわゆる「ハノイ・ノーディール(米朝首脳会談決裂)」以降、完全に行き詰まり状態にある米朝関係を改善させるため、東京五輪を積極的に活用する計画を進めていたようだ。北朝鮮の平昌冬季五輪参加を通じて実現した南北の高官級による交流を通じ、その後南北首脳会談から米朝首脳会談まで一気に実現させた「2018平昌の春」をもう一度繰り返すという構想だった。そのために強行一辺倒だった対日政策も大きく見直した。文大統領は先日の三・一節における演説で「東京五輪は韓日間、南北間、朝日間、そして朝米間の対話のチャンスになり得る」として「韓国は東京五輪の成功に向け協力したい」との考えを示していた」

     

    南北首脳会談は、2018年4月、5月、9月と続けて行なわれた。雪解けムードが一気に高まった。文大統領の人気が最も高まった時期である。半年間に3度も南北首脳会談が行なわれたことは、韓国が北朝鮮へ相当に深い約束をしたと見られる。それが、ことごとく実施できなかったので、北朝鮮の受けたショックも大きいであろう。北朝鮮が、4度目の会談に応じる可能性は小さい。

     

    (2)「北朝鮮はオリンピック不参加の口実として「選手保護」を挙げたが、実際は「韓国への圧力」という側面が大きいとの分析もある。かつて国家安保戦略研究院長などを歴任した劉性玉(ユ・ソンオク)氏は、「韓米連合訓練の完全中断といった根本問題の解決なしには南側に会わないということだ」との見方を示した。北朝鮮が先月25日に下した不参加の決定を12日も過ぎてから公表したことも、このような見方を後押ししている。韓国政府の安保部処(省庁)関係者は「与党勢力にとって悪材料となる知らせがよりによって補欠選挙の前日に発表された。これは韓国に対する高度な心理戦だ」との見方を示した」

     

    北朝鮮は、米韓軍連合訓練の完全中断を要求している。これが実現しなければ、南北首脳会談に応じない姿勢と見られる。日本が、韓国の国際法違反判決を自国で解決せよ、と要求しているようなものである。北朝鮮と日本の主張は無関係だが、韓国は簡単に答えの見つからないだけに苦しい立場である。

     

    米韓軍連合訓練の完全中断は、北朝鮮が核開発を中止することと同等の重みを持っている。韓国は、なぜそのことを北朝鮮に伝えて核開発中止と核放棄を迫らないのか。ただ、南北が会談しても解決の糸口は見つかるはずがない。

     


    (3)「それでも韓国政府は文大統領の任期中に南北関係改善のモメンタム(勢い)を取り戻すことを諦めていない。韓国統一部の関係者は「韓半島の平和、そして南北による対話と協力が可能となるきっかけを探し求める政府の立場に変わりはない」とした上で「今後もそのきっかけを見いだすための努力を続けていくだろう」と述べた。

     

    南北問題は、今や米中問題になっている。韓国は、「南北関係改善のモメンタム(勢い)を取り戻す」と言っているが無駄なことだ。国際情勢の急変を見落としている。

     

    (4)「与党などからは、「現実的に考えて北京冬季五輪が南北関係改善の最後のチャンスだ」との見方も出ている。平昌、東京、北京での五輪については文大統領も昨年8月15日の演説で「史上初めて迎える東アジアでのリレー・オリンピックだ」として「東アジアが友好と協力の土台を固め、共同で繁栄する道へと進む絶好の機会だ」と呼び掛けていた」

     

    北朝鮮は、来年2月の北京冬季五輪で南北首脳会談に応じるだろうか。その可能性はゼロであろう。残り任期2~3ヶ月しかない文大統領を相手に、会談する意味がないのだ。韓国の外交センスはずれていると言うほかない。

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