ロシアのウクライナ侵攻という欧州の戦争が、韓国と北朝鮮から米国とロシアへ軍需品提供という異例の展開を招いている。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版』(11月10日付)は、韓国がウクライナ支援のための砲弾を米国に初めて売却すると報じた。米韓両政府の秘密協定を通じた措置という。韓国は、米国を経由させることで、尹錫悦政権が殺傷能力のある武器をウクライナへ供与しないとする公約を維持できるという。
WSJによると、米国は155ミリ砲弾10万発を購入する。ウクライナ軍が少なくとも数週間の激しい戦闘を続けるのに十分な量だという。オースティン国防長官と李鐘燮国防相が今月3日のワシントン近郊での会談で基本合意していた。米国にとっては急速に減っている米軍の砲弾を温存できる利点がある、としている。
韓国は、これまでに防弾ベスト、ヘルメット、医療用品をウクライナに供与している。韓国国防省は11日、米国で不足している弾薬の在庫を補充するための輸出協議が進行中だとし、「米国をエンドユーザーとする前提だ。ウクライナに殺傷兵器を提供しないという政府方針に変わりはない」と説明した。ロシアは先に、韓国に対してウクライナへの弾薬提供を批判する発言をしていたが、米国へ売却する形式によって、ロシアの批判を回避する姿勢だ。
北朝鮮は、ロシアから軍服や防寒具の製造を依頼されていると報じられた。弾薬提供はすでに報じられた通りだ。
韓国紙『WOWKOREA』(11月11日付)は、「米国『ロシアは北朝鮮に軍事的支援を要請』、冬用軍服・防寒靴 輸出の可能性も?」と題する記事を掲載した。
米国政府は「北朝鮮がロシア軍人たちのための冬用軍服を製作し輸出している」という疑惑について、具体的な見解を拒否した。しかし「ロシアが北朝鮮の軍事的支援を要請している」ことに関しては、あらためて明らかにした。
(1)「米国務省のネッド・プライス報道官は10日(現地時間)のメディア会見で、北朝鮮によるロシア軍人用軍服および防寒靴の輸出疑惑に関する質問に「北朝鮮の軍服輸出の可能性について、特にお話しすることはない」としながらも「しかしわれわれは『ロシアが北朝鮮に軍事的支援を要請している』とお伝えしてきた」と答えた。米国務省のこのような言及は、北朝鮮によるロシア軍服製作・輸出の可能性を完全に排除していないことを示唆したものとみられる」
ロシア軍は、軍服が不足していると報じられている。ましてや、防寒具となれば不足していると見るほかない。こういう状況下で、ロシア軍の軍服供給が始まったのであろう。
(2)「プライス報道官は、「彼らはかなりの量の武器提供について話し合い、北朝鮮は数百万個の武器(弾薬)を第3国行きの物品とみせかけ、ロシアに提供しようとしている」とし「これは明白な制裁違反だ」と付け加えた。これに先がけて米国ラジオ放送局『自由アジア放送(RFA)』は、関係者からの話を引用し「北朝鮮は外貨稼ぎのため1か月前からロシアに冬用軍服と防寒靴を作っていて、これはウクライナ戦争に配置された軍人たちに支給される予定だ」と報道した」
北朝鮮は、数百万個の武器(弾薬)を第3国行き物品とみせかけ、ロシアに提供しようとしているという。北朝鮮は、この情報を否定している。
(3)「RFAは、「そのためロシアから服の生地が国境を越え北朝鮮に送られ、注文量は大規模であることが把握されている」と、関係者からの話を引用し伝えた。しかし、RFAは「2017年9月に採択された国連安保理決議2375によると、北朝鮮からのいかなる繊維の輸出も禁止されている」と指摘した」
北朝鮮は、国連決議でいかなる繊維の輸出も禁止されている。弾薬もそうだが、軍服も輸出を禁じられている。国連決議違反である。