勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: カナダ経済ニュース

    あじさいのたまご
       

    「セブン-イレブン」を展開しているセブン&アイ・ホールディングスに対し、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが仕掛けた約6兆7700億円での買収提案は、ク社の提案撤回で突然の幕切れになった。真相は、セブンがク社へ逆出資を求める提案したことにある。ク社は、セブンに乗っ取られることに警戒したのであろう。セブンの逆襲が成功した形だ。

     

    『ブルームバーグ』(7月17日付)は、「世界のコンビニ好きに朗報、セブンは攻勢の時」と題するコラムを掲載した。

     

    コンビニファンが懸念していたのは、外国企業が株主価値の向上を追求するあまり、日本のコンビニ文化という世界的に高く評価されている顧客体験を壊してしまうのではないかということだった。

     

    (1)「クシュタールは日本時間17日朝、「誠実で建設的な協議」ができなかったため買収案を撤回したとする異例なほど手厳しい詳細な書簡を発表。その文面からは、当初から感じられた特権意識がにじみ出ている。あたかも棚から商品を手に取るように日本のライバル企業を買収できるとでも考えていたかのようだ。もっと準備が必要だったはずだ。セブン-イレブンは米国発祥だが、日本で最も愛されているブランドの一つであり、災害時のインフラとしても重要な役割を担っている」

     

    クシュタールの買収案撤回は、セブンを一方的に批判するものだった。ク社は、日本についての理解が浅かった。

     

    (2)「クシュタールが日本の大企業を買収するには準備不足だったことは、以下のようなコメントからも明らかだ。会議は、貴社のアドバイザーが表現したように、準備されたものを「読み上げた」だけのものでした。セブンイレブンチームの一部のメンバーの方には建設的に対応いただき、感謝いたしましたが、最終的に、この会議においては新たな情報をほとんど得ることはできませんでした。東京での会議も同様でした。会議は予定されていた時間の約半分の時間で閉会となり、台本を読み上げただけのものでした」

     

    セブンは、最初から乗り気でない合併話である。余計な情報を与えるはずがない。

     

    (3)「日本に多少なりともなじみがあれば、「読み上げ」に終始し、新たな情報が得られにくい、形式ばったミーティングがこの国では決して珍しくないと知っているはずだ。良くも悪くも、それが日本だ。そうしたことを理解せず、最初からつまずいたクシュタールが、セブン&アイが利益の半分以上を今なお国内で稼ぐ中で、セブン-イレブンの良き運営会社となれたとは思えない」

     

    合併に消極的である以上、セブンが形式ばったミーティングをするのは当然である。ク社が、そのガードを崩して質問すべきだったのだ。ク社の準備不足である。

     

    (4)「今回の買収頓挫について、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革が後退したとか、失望を招くとか、過去への逆戻りといった論調が数多く出てくるだろう。だが、それらは無視して問題ない。改革は着実に進んでおり、日本の企業社会はこれまで以上に開かれている。政府の介入や「系列」による囲い込みがあったわけではない。ただ単に、良くない買収案だったというだけで、セブン&アイが断ったのではなく、クシュタールが一方的に手を引いたのだ」

     

    報道では、次にク社が強制的買収へ踏み切るのではないかという憶測も流れている。今回、一方的に話合いを打ち切ったのはク社だ。理屈が合わない話である。

     

    (5)「興味深いことに、セブン&アイが北米事業運営会社への出資を受け入れる代わりに、クシュタールへの出資を求めたことも明らかになった。クシュタールはこの対案を「統合事業の運営の見通しを損なう」として退けた。つまり、われわれはあなたを買えるが、あなたはわれわれを買えないというロジックだ。果たして、囲い込みをしていたのはどちらなのか」

     

    セブンは、クシュタールへの出資を求めたことがク社撤退の理由だ。ク社が、セブンに買われるリスクを察知したのだ。

     

    (6)「正式提案に至らなかった1株当たり2600円という買収提示額は、買収交渉の報道が最初に出た数カ月前の株価に対してわずか17%の上乗せに過ぎなかった。買収規模はクシュタールの時価総額に匹敵する水準で、膨大な借り入れが必要となる案件だった。また、日本の独占禁止法当局もしくは米国の反トラスト法当局によって却下される可能性も常にあった」

     

    今回の合併協議は、外為法の基準に抵触する恐れが十分あった。セブンが、金融機能や自治体業務の一端を担っていることだ。ク社は、この方面の調査もしていなかった。

     

    (7)「セブン&アイのより冷静な対応からは、同社がすでに次のステップを見据えていることがうかがえる。今年5月に社長に就任したスティーブン・デイカス氏は、日本人の母を持つ。父親が米セブン-レブン加盟店のオーナーで、10代の頃に父のコンビニを手伝っていたという経歴の持ち主だ。業界への理解は深い。デイカス氏は今、一息ついている場合ではない。フランチャイズ店のオーナーのように攻勢に出るべき時だ。セブン&アイは、クシュタールが買収に動いた背景にある株価低迷や資本効率の悪さという課題に真正面から取り組まなければならない」

     

    セブンは、ク社が買収提案を放棄したものの、課題は未解決である。高収益企業への体質転換が急がれる。

     

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    トランプ米大統領は4日夜(日本時間5日午前)、上下両院合同会議で施政方針の演説を行った。トランプ氏は、「関税は米国を再び豊かにし、再び偉大にするためのものだ。そして、それは実現しつつあり、すぐに実現するだろう」と発言した。一方では、「多少の混乱はあるだろうが、われわれはそれでOKだ。大したことではない」と語った。「何兆ドル」もの歳入をもたらし、自身が不公平と見なす貿易関係の是正につながるとしたのだ。

    トランプ氏は、施政方針で演説「大見得」を切ったが、現実の米国経済は逆方向へ動き始めている。トランプ関税が、「何兆ドルもの歳入」どころか、トランプ支持者である労働者や農民の頭上へ負担増になって襲いかかるのだ。近隣国カナダとメキシコへの関税25%が、米国民のエネルギー値上がりに跳ね返る。農民も肥料高と中国の農産物15%関税に悩まされる。

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月5日付)は、「トランプ関税 支持者を直撃」と題する社説を掲載した。

    ドナルド・トランプ氏は労働者階級の有権者に実質所得の引き上げを約束し、大統領に返り咲いた。それを踏まえると、同じ有権者層に打撃となる関税の導入にトランプ氏が熱心であることは一層不可解だ。


    (1)「関税は税金であり、トランプ氏の最新の関税は年約1500億ドル(約22兆5000億円)規模の増税に相当すると推定される。税金は成長を害する。これは、トランプ氏がカナダとメキシコからの輸入品に対する25%の追加関税を発動させたのを受けて、投資家が今週発しているメッセージだ。トランプ氏はまた、中国に対する追加関税率を10%上乗せし20%とした。カナダと中国は報復措置を打ち出し、メキシコは対抗措置を9日に公表する予定だ」

    トランプ氏は、関税を税収と間違えている。関税は、輸入価格が関税分高くなるので税金になる。この辺りを誤解しているのだ。シカゴやメキシコへの25%関税は、米国市民の生活必需品を直撃する。

    (2)「米小売り大手ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は4日、CNBCの取材に対し、メキシコ産品に関税が課されることで、同社の果物や野菜の価格を上げざるを得なくなる可能性があると語った。米国で販売されている野菜および生鮮果物の約30%はメキシコから輸入されている。メキシコ産の「モデロ・エスペシアル」は米国で最も売れているビールだ」

    米国で販売されている野菜や生鮮果物の約30%は、メキシコ産である。これに、25%関税だ。即、値上がりになる。

    (3)「米家電量販店大手ベストバイのコリー・バリーCEOは4日、トランプ氏の関税によって「米国の消費者向け価格が上がる可能性が高い」と述べた。電子機器メーカーは北米自由貿易協定(NAFTA)と、それに取って代わった米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を活用するため、中国ではなくメキシコに工場を開設してきた。スマートテレビを買う予定がある人は要注意だ。価格が25%上昇する可能性がある」

    家電製品もメキシコ産に依存している。25%の値上がりになる。


    (4)「エネルギー価格も上昇するだろう。トランプ氏は暗にこのことを認めており、カナダから輸入するエネルギーについては関税を10%に下げた。米国ではシェールガス生産が盛んだが、パイプラインの輸送能力には限界があるため、中西部と北東部で使われる天然ガスはカナダに大きく依存している。つまり、トランプ氏の支持基盤の地で暖房費が上昇するということだ。電気料金も上がるだろう」

    エネルギーは、カナダからの輸入に依存している。これも、25%の値上がりになる。

    (5)「米国は毎月、カナダから平均で約3315ギガワット時の電力を輸入している。これは約370万世帯の電気を賄える量であり、北東部と中西部で電力網を安定させ、電力価格を下げるのに役立っている。エネルギーは、一次アルミニウム生産会社の費用の40%を占める。中西部では近年、エネルギー価格が上昇する中で、幾つかの鋳造所が閉鎖した。トランプ氏の関税はほかでもなく、彼が助けようとしていると主張する労働者たちを苦しめるだろう」

    カナダからの電気が25%値上がりすれば、一次アルミニウム生産会社はコスト高で倒産必至である。トランプ支持者の労働者が、不運にも解雇される運命だ。


    (6)「ガソリンスタンドでも痛みを感じることになる。米国は石油の純輸出国だが、依然として日量約650万バレルの原油を主にカナダとメキシコから輸入している。メキシコ湾岸と中西部の製油所では重質油を処理しているからだ。製油所を改良して米国のシェール層から採掘される軽質油を処理できるようにするためには、何十億ドルもの費用がかかる。(製油所がカナダ産原油に依存している)中西部のピックアップトラックの運転者が、最も大きな痛みを感じることになりそうだ」

    米国は、カナダとメキシコから日量約650万バレルの原油を輸入している。これも25%も値上がりになる。中西部のピックアップトラック運転者が、最も大きな痛みを感じるという。こうなると、トランプを支持して「大損」になる。

    (7)「米国の農家は既に、農作物価格の低迷とインフレに苦しめられている。米農業連合会(AFBF)によれば、農家は3年連続で赤字を強いられている。関税は農家の痛みを増幅させる。米国で肥料に使われるカリウムの85%はカナダから輸入されている。中国は米国から輸入する農産物に15%の関税を課すとしており、それによってブラジルとオーストラリアの農家がシェアを拡大することになる。AFBFのジッピー・デュバル会長は4日、「さらなるコスト増と米国産農産物のシェア縮小は、一部の農家に耐えられないほどの経済的負担を強いる恐れがある」と語った。トランプ氏の関税乱発は常識よりイデオロギーに基づいている。大統領が早く正気に戻ることを期待しよう」

    米国の農家は、肥料の原料カリウムの85%がカナダ依存である。中国は、米国産農産物へ15%関税を課す。米国の農家は、「最悪」事態へ陥る。トランプ支持で大損だ。




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    セブン&アイ・ホールディングス(HD)買収をめぐって、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)の創業者アレイン・ブシャード氏(同社会長)とセブンイレブン創業家(伊藤家)が、対抗する構図になっている。一見、買収価格を巡る「競い合い」にみえるがそうではない。日本は、セブンイレブンが地域社会のインフラになっていることから、「共同社会を守れ」という意識になっている。これが、クシュタール側には理解されていない。ACTは、金銭で儲かれば良いという経済感覚で臨んでいる。

     

    『ブルームバーグ』(11月25日付)は、「セブンMBO助言役に創業家がSMBC日興 伊藤忠は大和証-関係者」と題する記事を掲載した。

     

    セブン&アイ・ホールディングス(HD)の創業家による同社への買収提案を巡り、財務アドバイザー(FA)として創業家側がSMBC日興証券、買収資金の出資を検討している伊藤忠商事が大和証券をそれぞれ選定したことが分かった。セブン&アイのFAは三菱UFJモルガン・スタンレー証券、買収提案の中身を検討するセブン&アイの特別委員会は野村証券をつけているという。

     

    (1)「別の関係者らによると、創業家と伊藤忠、大手3メガバンクは出資と銀行融資合わせて総額9兆円規模に上るMBO(経営者が参加する買収)の具体策に向けた検討に入っている。一方、セブンに買収提案を行っているカナダのアリマンタシォン・クシュタールはFAに米ゴールドマン・サックスを起用しており、ビッグディールを成功に導こうと日米の有力投資銀行がしのぎを削るかたちとなっている」

     

    ACTは、470億ドル(約7兆2400億円)の買収価格を提案している。伊藤家のMBOでは9兆円を提示している。この巨額提案の裏には、日米の名だたる投資銀行が参加している。それだけに、投資銀行間の力の振るいどころでもある。

     

    (2)「創業家による買収提案の課題は、巨額の買収資金が集まるかどうかだ。三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクが最大6兆円規模の融資を検討している。関係者によると、そのほかに出資金の確保を目指して創業家や伊藤忠のFAを務めるSMBC日興や大和証が、一部投資ファンドに優先株などの資本性資金の拠出を打診している。巨額すぎる融資は、銀行のリスクにもなり得るため、出資を募って資本を厚くすることが重要となるためだ」

     

    日本は、3メガバンクが最大6兆円規模の融資を検討しているという。これに、伊藤忠商事も出資先候補として名が上がっている。伊藤忠は、絶好のビジネスチャンス到来である。日本を代表する総合商社の一角として、メンツにかけても負けられる一戦であろう。日本側は、総力戦になった。

     

    (3)「セブン&アイには現在、法的拘束力のない2つの買収提案が提示されたことになる。創業家からとクシュタールからだ。今後の焦点は、どちらがセブン&アイの魅力的な成長戦略を提示できるかに移る。クシュタールのアレックス・ミラー社長最高経営責任者(CEO)は10月のインタビューで、「当社が掲げるビジョンは、モビリティと利便性の提供という分野で世界のトップランナーになることだ」と述べた。2社の統合が、その実現に向けた大きな一歩となるとしているが、具体的な道筋や手法は未知数だ。一方、創業家の成長戦略もまだ明らかになっていない。

     

    ACTの歴史は、M&Aで事業を拡大してきた。「他人の褌で相撲を取る」タイプだ。今度はセブンを「栄養剤」にする計画である。まさに、乗っ取りを目指している。セブン側が対抗するのは当然であろう。

     

    (4)「2つの買収提案は、セブン&アイの特別委員会が内容を精査している。13日に創業家によるMBO案に関する報道を受けてセブン&アイが開示した発表文で、特別委のスティーブン・デイカス委員長は「価値最大化に向けて各関係者との対話を継続する」とコメントした」

     

    ACTは、敵対的買収を行わないと言明している。これに失敗すれば、セブンとの関係は永遠に厳しくなるからだ。それだけに慎重である。M&Aの目的は、一般に株主利益の最大化にあるとされている。だが、日本ではそういう金銭価値が最上位におかれていない。セブンが、外為法で指定された「コア業種」になっていることで理解できる。インフラになっているからだ。ACTが、この壁を乗り越えることはむずかしいであろう。

     

     

     

     

     

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    ロシアのウクライナ侵略は、西側諸国の国民に大きな衝撃を与えた。同時に、現地でロシア兵と戦いたいという義勇兵が現地入りしている。カナダ人は纏まって550名も応募したので、「カナダ人」だけの大隊を編成している。

     

    『ニューズウィーク 日本語版』(3月16日付)は、「ウクライナ義勇兵『世界から2万人志願』カナダだけで1個大隊が現地入り」と題する記事を掲載した。

     

    いわれのない侵略を受けるウクライナに加勢しようと、世界から義勇兵が集まっている。ウクライナ当局によると、52ヶ国から計約2万人が部隊への加勢を志願した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる侵攻からわずか2日後の2月26日、外国人部隊の創設を発表し志願者を募っている。その2日後には、外国人義勇兵のビザを免除した。これに反応し、世界各地から志願者たちが名乗りを挙げている。

     


    (1)「カタールの『アルジャジーラ』によると、義勇兵の最も多いのはアメリカとなっており、およそ3割を占める。これに約2割のイギリスと、各1割未満のドイツ、カナダ、インドが続く。ほかにも少数ながら、クロアチ、イスラエル、ラトビア、デンマーク、オランダ、ポーランド、そして日本など、各地から希望者が集まっている。実際の志願者数はウクライナ側でないと把握できないことから、水増しを指摘する冷ややかな見方もあった。オスロ大学過激派研究所のカツペル・レカウェク研究員は『アルジャジーラ』に対し、実際に数万人規模の外交人義勇兵が動く事態には至らないとの見方を示している」

     

    義勇兵2万人のうち、米国人が3割、英国2割の比率だ。アングロサクソンは、血の気が沸き立つのだろう。日本は、太平洋戦争でこういう負けじ魂の国々の兵士と戦った。

     


    (3)「レカウェク研究員は、「広報活動でしょう。ウクライナが『どうだ、我々には世界中の人々がついているぞ』と示すためのものです......問題を国際化させようとしているのです」。だが予想に反し、キエフおよびその郊外では、外国人による支援部隊が続々と活動を開始している。カナダの『ナショナル・ポスト紙』は、カナダから550人の志願兵がすでにキエフ入りしたと報じた。あまりの人数に、カナダからの志願兵だけで1個大隊が編成された模様だ」

     

    カナダ人の550人もの応募者は、一括して「大隊編成」にしたという。同じ国の出身であれば、コミュニケーションも取りやすくその分、安全面でも有利になれる。

     


    (4)「同紙は現地からの情報をもとに、「あまりに多くのカナダ人兵士がウクライナにいるため、彼らは独自の大隊を構成している」と述べている。大隊は通常500〜600名から成るが、まさにこれに匹敵する規模だ。メイプルリーフを配した独自の袖章には、「カナダ・ウクライナ部隊」の文字が刻まれている。記事は「このニュースは、他国の軍隊に加わり、命を危険にさらしてロシアの侵略者たちとの戦闘に臨むという、この国の人々による歴史的なムーブメントの新たな証左である」とし、志願兵の勇気を称えた」

     

    カナダ人大隊では、メイプルリーフを配した独自の袖章を付けて「カナダ・ウクライナ部隊」と称するという。こういう正規兵と同じ働きをする部隊は、ウクライナ兵並の給与が払われることになっている。

     


    (5)「ウクライナの『キエフ・インディペンデント』紙もツイートを通じ、外国人兵士たちが実戦に臨んでいると報じた。「すでに海外からの第1陣がウクライナ義勇軍の国際部隊に合流し、キエフ郊外で戦闘を行なっています」。参加兵は、すべてが実戦経験をもつわけではない。ドイツ国営放送の『ドイチェ。ヴェレ』は、義勇兵のなかには戦闘未経験者も混在していると報じている。大型車両の運転免許をもっていれば物資と人員の輸送を担うなど、経験に応じた役割をこなしているという。ウクライナ側は軍隊経験者を優先するものの、そうでない人々も歓迎する意向を示している。ことばの障壁が問題となるため、国ごとにチームを編成し、後方支援にあたることが多いようだ」

     

    言葉の壁があるので、国ごとにチームが編成されている。実戦経験のない人は、後方支援に回っている。

     


    (6)「
    アメリカからも、退役軍人を中心に数千人が志願している。元海兵隊員のバーガート氏は米『ワシントン・ポスト紙』に対し、ウクライナ侵攻への苛立ちを吐露している。「個人的には、正当な理由がないように感じられます」「とても正気の沙汰とは思えません。異常な者たちがこの世界で狂った行いができるようであってほしくないのです」。氏は、イラク戦争で精鋭偵察部隊に所属した経験を生かしたいと考え、ウクライナ支援者のリストに登録した。直接的な戦闘には加わらないが、軍事訓練を施したり人道支援物資を輸送したりするなど、後方支援をこなしたいという」

     

    危険な戦闘に身を置きたいという人は、正気の沙汰でないと非難されている。確かに、避難民がいる一方で、他国から義勇兵になりたいと申し出る人の心情は理解し難いものがあろう。ただ、我が身を顧みずに戦場へ身を投じる人に対して、「正気の沙汰でない」と批判するのもどうかと思うのだ。人それぞれである。勧めはしないが、批判も慎まなければなるまい。

     

    (7)「日本からの戦闘への参加は、刑法93条に規定する「私戦予備及び陰謀罪」に問われる可能性がある。条文は「外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する」と定めている。同法が実際に適用された例は極めてめずらしいが、2014年にはイスラム国の戦闘員となる目的でシリアへの渡航を企てたとして、国内の30代学生など5名が書類送検された」

     

    日本でも、義勇兵は刑法で禁じられている。「私的に戦闘行為」という定義である。

     


    (8)「過去にはヨーロッパの複数の国でも、国民が実際に起訴されている。イギリスやカナダなどでも、母国と交戦状態にない国への軍事行動に加わることは違法とみなされる。弱きに与したいとの意思を称える声がある一方、かえって戦闘が拡大する懸念もあることから、 自国からの志願者に多くの国の政府が難色を示しているのが実情だ」

    義勇兵の多くは、元兵士である。戦闘経験があるから,再び「悪と戦いたい」という情熱に結びついたのであろう。

     

     

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    中国が、欧米の大学と密接な関係を築き、技術窃取している疑いが持たれている。米国は、すでにFBIが、全米の大学や研究所に技術窃取の具体例を示して警戒を呼びかけているほど。カナダでは、アルバータ州が地方政府として初めて、大学に対して中国との協力関係の一時停止を通達した。

     

    日本でも孔子学院が全国の私立大学に設けられている。米国では、この孔子学院が隠れ蓑になって、学生のスパイ活動を支援するなど行なっていることから、廃止の傾向が強まっている。米国の孔子学院が、こうした不埒な行動を行なって、日本の孔子学院では行なわないという保証はどこにもない。全国の警察も目を光らせているだろうが、警戒対象であることは間違いない。

     


    『大紀元』(5月29日付)は、「カナダ・アルバータ州政府、大学に中国との協力停止を要求 安保上などの懸念で」と題する記事を掲載した。

     

    カナダのアルバータ州政府は、州内の主要大学が中国と関わりのある研究協力を一時停止すると発表した。国家安全保障上の理由および人権侵害への加担を避けるためだとしている。

     

    (1)「カナダの大学と中国の間には多くの共同研究プロジェクトが展開している。「中国はカナダの大学と協力を通じてカナダの重要な戦略的技術を盗み出し、国家に深刻な脅威をもたらす」とカナダの情報セキュリティ専門家は以前から警告してきた。アルバータ州は協力関係の一時停止を打ち出した同国初の州政府となった。同州の教育担当大臣は州内で学術研究を主とするアルバータ大学、カルガリー大学、レスブリッジ大学、アサバスカ大学の4校に対し、当面、中国との協力プロジェクトの停止を命じた。また、大学理事会は90日以内に、中国政府および中国共産党と関わりのある協定、研究およびその他の協力に関する報告書、大学と中国企業や政府機関との連絡資料の提出を求められた

     

    アルバータ州では、主要4大学に対して中国との協力プロジェクトの停止を命じた。同時に、90日以内に、中国との関連資料の提出を求めた。ここまで、強力な措置が取られた裏には、中国からの危険な動きが見られるのであろう。

     


    (2)「同州のデメトリオス・ニコライデス高等教育大臣は声明の中で、「カナダの知的財産権が盗まれている可能性や、中国との研究提携が中国の軍事・諜報機関に悪用される可能性」に対して懸念を示した。「州の大学研究は主に納税者からの資金によって賄われている。もし、それが中国に悪用され、カナダとカナダの同盟国に損害を与えたり、あるいは中国政府による自国民への人権侵害のために利用されたりすれば、これは全く容認できないことだ」とした。同氏は「今回の措置はあくまでも中国政府に対する予防的措置であり、中国人民を標的にするものではない」と強調した」

     

    下線部は、中国がカナダの知的財産を盗み出している危険性に警鐘を鳴らしている。これまでに、いくつかの被害が出ているのであろう。

     


    (3)「これに先立ち、カナダ紙「グローブ・アンド・メール」は、アルバータの大学と中国は、ナノ、生化学、人工知能などの戦略的プロジェクトに関わる多くの研究を共同で行っていると報じた。その多くはカナダで開発された技術の商業化に関する研究だが、主導権は中国にあると指摘した。オタワ大学のマーガレット・ジョンストン教授は、アルバータ州政府の行動を称賛した。「カナダの技術が悪用されるのを防ぐために、他の州でも追随することを検討すべき」と述べた。

     

    下線部は、実に危ないことをやっているものだと思う。「猫に鰹節」である。これまでの中国の行動から真面目なことをやるはずがない。そういう疑惑を持たずに来たこと自体、罰せられるほどの話であろう。

     

    (4)「同教授はまた、「ウイグル人を追跡したり、彼らの個人情報を収集し監視したりする技術の背後にはカナダの研究開発の成果がある。中国は常に『自分たちは技術を盗んだり、プライバシー情報を漏らしたりしない』と主張している。しかし、その主張は信頼できないと示す記録があまりにも多い」と指摘した。ブリティッシュコロンビア大学の教授は、中国だけでなく、外国と協力するすべての機密技術プロジェクトの再審査を要求すべきとの見解を示した

     


    (5)「今年3月、カナダのイノベーション・科学経済開発省は、各大学や研究機関に知的財産権の保護を求め、国家安全保障を研究パートナーシップの評価に組み込むためのリスク・ガイドラインを策定していると発表した」

     

    企業も自主技術開発より、M&A(合併・買収)の時代である。研究の生産性が極度に落ちてきた現在、技術窃取の可能性が高まっている。警戒することは常識の時代である。

     

    豪州政府は5月に、同国大学に設置されている孔子学院の審査を開始した。同国政府は、「国益に反した」地方政府や研究機関の協定を破棄できる法律を導入した。今回の動きは同法に基づくものとみられる。孔子学院を設置している13の大学は、中国の大学との協定書を審査のため政府に提出している。豪外務省は、協定を廃止するかどうかは個々の状況に基づいて判断するとしている。『大紀元』(5月10日付)が伝えた。

     

    日本では17私立大学が孔子学院を設置している。国公立大学は設置していない。文科省が設置にブレーキを掛けているのであろう。日本でも、いずれ孔子学院について問題が持ち上がると見られる。全国の警察署は監視体制にあると思うが、未然に問題を防がなければならない。

     

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