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キューバで7月11日、異例の反政府デモが起きた。これを受け、当事国キューバをはじめ各国が12日、さまざまな反応を示した。デモを支持する米国に対し、キューバのディアスカネル大統領は、テレビ演説し米国を「キューバの社会不安を引き起こすため経済的に窒息させる政策」を追求していると非難した。

 

この4月、ラウル・カストロ氏が89歳で共産党トップの座を退き、兄の故フィデル氏が率いた1959年の革命から続いたカストロ兄弟による統治が終わりを迎えた。慎重に準備された権力移行の数カ月前、キューバでは表現の自由を求めるアーティスト集団の間で、自由の制限に抗議する運動が起きていた。

 


このキューバでの反政府デモは、中国でも将来、起こり得ることを示唆している。中国が経済危機と無縁でないことだ。自由を奪っている点では、中国とキューバは同じ条件にある。現在の中国の軍備偏重政策は、超高齢社会における社会福祉負担急増と両立させることが困難になろう。そのとき、中国共産党政権は多分、軍備偏重政策を継続させるであろう。こうして、中国経済はにっちもさっちもいかなくなる。キューバの問題は、明日の中国の姿でもあろう。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(7月13日付)は、「バイデン氏、『キューバは抗議デモの要求に対応を』」と題する記事を掲載した。

 

バイデン米大統領はキューバの共産党政権に対し、人々が「自由を求めて声を上げた」と訴え、過去数十年で最大の規模となった反政府デモの要求に対応を取るよう求めた。キューバでは11日、国内各地の諸都市で数千人の市民が街頭に繰り出し、食料や医薬品の不足に対する怒りを表すとともにコロナ禍対策の行動規制に抗議した。1959年の革命以来、一党支配下にあるキューバでは異例の抗議行動だ。

 

(1)「バイデン氏は12日に発表した声明で、キューバ政府は「私腹を肥やす」ことより国民のニーズを満たすことを優先すべきだとした。同氏は「我々はキューバの人々を支持する」とし、「自由と悲劇的なコロナ禍からの救済、専制主義体制下での数十年来の抑圧や経済的苦難からの脱却を求める彼らの声」に対する賛同を表明した」

 

米国バイデン大統領は早速、キューバの民衆抗議デモへ支援メッセージを送った。

 

(2)「この声明の直前、キューバのディアスカネル大統領は2日間で2度目の緊急テレビ演説を行い、キューバを苦しめている食糧とエネルギー不足の原因は米国の制裁にあると非難し、米国へ譲歩しない姿勢を示していた。ディアスカネル氏は12日午前、一部で略奪が発生、警察車両が1台ひっくり返されたと述べた。外国勢力が、ソーシャルメディアで騒乱を扇動していると非難し、政府は国民を助けようと手を尽くしていると主張した。「国がコロナ禍で最悪の事態になった頃合いを(騒乱の扇動に)見計らうとは残酷で残虐、非人間的だ」と同氏は述べた。「彼ら(米国とその同盟国)は、新型コロナウイルスの感染を封じ込めようとしている数千人のキューバ人の命と努力を危険に陥れた」

 

キューバ大統領は、自らの失政を米国の責任へ擦り付けている。独裁政権の常套手段である。

 


(3)「メキシコの左派ポピュリスト、ロペスオブラドール大統領は米国の出方について、助けたいというのなら数十年来の対キューバ禁輸措置を終わらせるべきだと述べた。同時にキューバ国民との連帯も表明し、必要なら食料や医療用品を提供する用意があるとした。11日のデモは首都ハバナ近郊のサンアントニオデロスバニョスから始まったとみられる。住民が反政府のスローガンを叫び、コロナ規制の停止と停電の解消を求めた。ディアスカネル氏は現地入りした後、デモはソーシャルメディアを通じた米国主導の情報操作で引き起こされたと述べた

 

住民が、自由を求めていることは切実である。中国も同様に自由を奪っている。今後のキューバの動きがどうなるか、目が離せなくなってきた。

 


(4)「抗議デモは東部サンティアゴデクーバに近いパルマソリアーノでも発生し、ハバナ南郊のサンアントニオデロスバニョスでは、群衆が「独裁を倒せ!」と叫んだと報じられた。ソーシャルメディアで拡散した動画は、北西部マタンサスでデモ参加者が車をひっくり返す場面を捉えている。ハバナではマスクを着けたデモ参加者たちが、共産党の支配、不足するモノを高値で売るドルショップ、医薬品の不足にうんざりしていると訴えた。ソーシャルメディアはデモの動画であふれかえっている」

 

デモ隊は、共産党支配への不満を訴えている。パンデミック下での医薬品不足も忍耐の限界を超えさせているのであろう。

 


(5)「米議会でもキューバ系のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ選出、共和党)など、複数の議員がキューバのデモ隊への支持を表明した。ホワイトハウスのサキ報道官は抗議デモを「注目に値する」と評した。「キューバ国民は専制主義体制からの自由を求めている。このような抗議は実に長い間、目にしなかったことだと思う。率直に言って、過去にあったかどうかもはっきりしない」と同報道官は12日の記者会見で述べた」

 

キューバ民衆の抵抗運動は、散発的なもので終わるのか。あるいは、組織化されるのか、現状では判断できぬが、専制主義体制が必ず受ける抵抗運動である。