勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: WHO

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    『日本経済新聞 電子版』(12月13日付)は、「WHO『オミクロン型、デルタと置き換わる』」と題する記事を掲載した。

     

    世界保健機関(WHO)は12日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が、世界で広がる別の変異型「デルタ型」と置き換わるとの見方を示した。オミクロン型へのワクチンの効果については情報が限定的であるとしながらも「効果が下がっていることを示唆する」とした。

     

     

    (1)「英国などデルタ型が多い国でもオミクロン型が急速に広がっているとみられるため、「市中感染が起きているところでは、デルタ型と置き換わるだろう」とした。「免疫を回避しているのか、感染力がそもそも高いのか、あるいはその両方なのかは不明だ」と付け加えた」

     

    オミクロン型の市中感染が起こっているところでは、デルタ型と置き換わるだろうという。日本では、まだ市中感染は起こっていない。水際で阻止しなければならない。

     


    (2)「ワクチンの効果が下がっている可能性があるとの見方は初期的な報告や、ウイルス表面の「スパイクたんぱく質」に多数の変異が入っていることを基に判断した。毒性は、南アフリカからの報告や欧州で見つかった感染のすべてが軽症・無症状であることから弱くなっているとの見方がある。WHOは「どの程度オミクロン型の毒性が下がっているかはまだわからない。さらにデータが必要だ」とした」

     

    オミクロン型は約50カ所の変異があり、感染力が強くワクチンが効きにくい可能性があると指摘されている。米ファイザーと独ビオンテックは調査を始め、2週間以内にオミクロン型に対するワクチンの効果についてデータを取得できるとみている。仮にワクチンの調整が必要だった場合、6週間以内に適用し、100日以内に出荷できるという。米モデルナは、オミクロン型に対応する追加接種用のワクチンの開発や既存ワクチンの投与量を増やした場合の効果の検証に取り組んでいると発表した。ワクチン面では心配なさそうだ。

     


    『ブルームバーグ』(12月12日付)は、「米国で感染者増加、EUはオミクロン株死者なし」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「米ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの10日までの集計データによると、米国の今週の新型コロナウイルス感染者は平均で1日当たり約12万人に増加し、9月以降で最多となった。オミクロン変異株の感染者が25州余りで報告されるとともに、デルタ株が引き続き感染を押し上げている」

     

    米国では、コロナ感染者はデルタ株が主流である。

     

    (4)「欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、11日時点において欧州22カ国でオミクロン株感染者が合計732人確認された。大半は自国内での感染だという。また、すべて無症状か軽症で、オミクロン株に関連した死者は報告されていない。ECDCは確認された症例が少なすぎるため、こうした数字は慎重に評価すべきだとしている」

     

    12月11日時点において欧州22カ国でオミクロン株感染者が、合計732人確認されている。すべて無症状か軽症で、死者は報告されていないという。「風邪」に似たような症状とも言われている。WHOでは、「市中感染が起きているところでは、デルタ型と置き換わるだろう」としている。オミクロン株が、すべて無症状か軽症とすれば、デルタ株に置き換わり終息へ向かう可能性を示唆しているようにも見える。

    あじさいのたまご
       

    CNNテレビは8月5日、米情報機関が中国・武漢のウイルス研究所から、遺伝子情報を含む大量のデータを入手したと報じた。データの解析結果によっては、新型コロナウイルスの起源究明が大きく前進する可能性もあるという。情報の入手時期や手法は明らかでないが、関係者はCNNに、ハッキングを通じて入手した可能性を示唆した。

     

    米下院外交委員会の共和党スタッフが5日、「新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所から誤って流出した」と断定する報告書を発表した。この結論を導いたのは、衛星画像をはじめとする「圧倒的な量の証拠」だったという。今回の報告書は、これまで世界で断片的に報じられたり、収集された多くの客観的な証拠や証言を丹念につなぎ合わせて「武漢ウイルス研究所からの流出」という結論に導いた。その手法は、ほとんど「第1級の調査報道」と言ってもいいという。

     

    このように事態は大きく動く気配だ。WHO(世界保健機関)のマドロス事務局長が、「武漢研究所排除は現実的でない」と微妙な発言をしている背景として注目される。

     


    『大紀元』(8月8日付)は、「
    テドロスWHO事務局長」研究所漏えい説を排除するのは時期尚早』と発言」と題する記事を掲載した。

     

    WHOのテドロス事務局長は、中国科学院武漢ウイルス研究所(WIV)からの漏洩が新型コロナウイルス感染症パンデミックの原因である可能性を排除するのは、時期尚早であると表明した。それだけでなく、コロナ変異株により症例件数が急増している一部のインド太平洋諸国が中国製ワクチンを中止する、または他国製ワクチンに切り替える対策を講じていると述べた。

     

    (1)「AP通信が報じたところでは、テドロス事務局長は2021年7月、湖北省武漢市で最初のヒト感染例が確認された新型コロナウイルス感染症の起源解明を目的として第一次現地調査を実施した調査団がほぼ生データを取得できない状況であったことが実証されたと話している。同事務局長はまた、ウイルスが中国科学院武漢ウイルス研究所から漏洩したという仮説を排除するのは「時期尚早」であると述べている。2021年3月に世界保健機関が発表した調査報告には、同研究所からウイルスが漏洩した可能性は「極めて低い」と記されていた」

     

    WHOテドロス事務局長は、この3月のWHO現地調査団の報告と違う意見を表明している。武漢研究所をウイルス原因調査から排除することが現実的でないというのだ。

     

    (2)「AP通信によると同事務局長は、「検査技師かつ免疫学者である自分自身が研究所で作業した経験を踏まえ、研究室では事故が発生し得ることを理解している。珍しいことではない」と発言した。AP通信が報じたところでは、中国以外の世界諸国の幹部や保健当局からはウイルス起源が同研究所であるという仮説だけでなく、人工的にウイルスが生成された可能性に対する疑惑の声が上がっている」

     

    テドロス氏以外にも世界中の幹部や保健当局は、ウイルス起源が武漢研究所であるという仮説に現実性を認めている。

     

    (3)「オンライン雑誌の『ザ・ディプロマット』が伝えたところでは、テドロス事務局長が世界保健機関による前回調査の報告書に反する意見を発したのは、これまで中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンに頼っていたマレーシア保健省がいずれ同ワクチンの接種を中止するという方針を表明した直後であった。同誌によると、マレーシア保健省がこの決断に達したのは、伝染性の高いデルタ株に対して科興控股生物技術製ワクチンの有効性が低いことを示唆する裏付けがあるためである。マレーシアは人口の70%に投与するのに十分な4500万回分のファイザー/ビオンテック製ワクチンを確保したと、同誌は報じている」

     

    テドロス氏は、中国の反発を恐れているようだ。マレーシア保健省が、中国製ワクチンは伝染性の高いデルタ株に対して有効性が低いことを理由に、ファイザー/ビオンテック製ワクチンに切り変えると発表した直後に、先の「問題発言」をしているのだ。

     


    (4)「ザ・ディプロマットの記事には、「潜在的な科興控股生物技術製ワクチンの低有効性により東南アジア諸国に問題が発生しており、こうした諸国はmRNA(伝令RNAとして知られる分子)技術で開発された有効性の高いワクチンを確保することに苦心して取り組んでいる」、「これにより、戦略的利益を目的としてワクチン外交を続けてきた中国の企みが浮き彫りになり、中国に対する信頼性がすでに低下傾向にある国々で中国の評判が地に落ちる可能性がある」と記されている」

     

    中国製ワクチンの低有効性によって、東南アジア諸国に大きな問題が発生している。中国は、ワクチン外交で米国に先手を打つ積もりでいたが、逆の結果を生んでいる。中国の評判が、地に落ちる可能性があるのだ。基礎科学の弱い中国が、取り組むべき仕事でなかったと言える。身のほど知らずという非難を浴びよう。

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