勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 世界経済ニュース

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    原油とバーター取引可能

    世界の4大危機を解決へ

    農地の砂漠化進行で苦境

    UAE最初のターゲット

    初期投資は5年間で回収

     

    米国NASA(航空宇宙局)が、月探査衛星を打ち上げ順調に飛行している。科学者は将来、人間の移住する有力先が月であると指摘するほど、月への関心が高まっている。地球が、急激な温暖化で住みにくい状況へ追い込まれている反映であろう。

     

    ドイツのポツダム気候影響研究所などの研究グループは、地球温暖化が過去10年間で加速したとの分析を発表した。太陽活動などの自然変動の影響を除いたところ、2015年以降に気温上昇のペースが1970~2015年と比べて約2倍に速まっていた。現状のペースで温暖化が進めば、30年までに気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」で設定した1.5度目標(産業革命以前と比較)を超える。危機の到来である。

     

    こうして、人間の生存環境が次第に困難な状況へ向い、砂漠化に伴う農産物減収や、海水温上昇による風水害事故の多発が予想されるのだ。現状は、これに立ち向かう決定的な技術や手段が皆無であり、ただ怯えているのが現実であろう。

     

    こういう緊急事態下で、日本が開発した「曲がる太陽電池=フィルム型」ペロブスカイトの存在が急浮上している。ペロブスカイトが、太陽光発電と同時にフィルムの遮光によって、炎熱化で収量の落ちる農作物栽培に最適であるとの研究成果が明らかになっているからだ。曲がる太陽電池は、世界で「発電+営農」の二役をこなす貴重な存在として認識され始めている。主要原料であるヨウ素は、後述の通り日本が世界2位の生産量だ。ペロブスカイトは、日本発技術と自前資源によって、「地球改造」へ立ち向かう有力手段を提供するであろう。

     

    ペロブスカイトと一口に言っても、実は3種類ある。

    1)フィルム型 「軽量で柔軟」(曲がる)であるので、あらゆる場所へ設置可能である。

    2)ガラス型  建材として組込まれ利用される。

    3)タンデム型 シリコン系太陽光パネルと組み合わせるので、従来の利用と同じである。

     

    これら3種類の中では、フィルム型が「アグリソーラー」(農業+発電)としての二役を演じるので、地球温暖化対策の有力手段になる条件を揃えている。ペロブスカイトは桐蔭横浜大学宮坂力教授の発明だ。日本は、フィルム型の有望性から周辺基本特許の全てを取得しており、他国が追随できない絶対的な強みを持っている。主要原料のヨウ素は、日本が世界埋蔵量(推定)の78%で1位。ただ、生産量の世界シェアは29%で2位である。資源は、豊富で全く問題がない。

     

    原油とバーター取引可能

    日本は、積水化学の系列企業が今年からフィルム型ペロブスカイトの量産化に着手した。日本国内での需要を賄いつつ量産化体制のさらなる拡充が整えば、まず、中東地域やアフリカなどの砂漠化進行の激しい地域への普及が可能になる。国内については、すでにこのメルマガで取り挙げたので視点を海外へ移したい。

     

    日本にとっての副次的効果は、中東地域での普及が原油との「バーター取引」を実現させるものとして極めて有望であることだ。日本が、フィルム型ペロブスカイトを輸出することで、中東での「電力・食糧・淡水化・砂漠緑化」事業へ一大貢献が可能になる。ペロブスカイトによる太陽光発電の利用で、大量の造水も低コストで実現する。

     

    同時にペロブスカイトの遮光性を生かして食糧生産(野菜や牧草の栽培による家畜の飼育促進)を行う。必要な水は、太陽光発電の淡水化でいくらでも造水が可能だ。この淡水が、砂漠緑化を可能にさせる。大規模な「循環型農業」の誕生を実現させるのである。

     

    中東産油国は、日本のペロブスカイトによる大きな経済的メリットを認識することで、日本との原油バーター取引に応じるであろう。中東で、ペロブスカイトを敷設した場合のコスト計算は後で行う。概略だけ言えば、ペロブスカイトの耐用年数を砂漠地帯の特性から10年(日本では20年目標)と仮定しても、5年で設備費を回収できるのだ。とすれば、残りは「タダ」で施設が運用できる計算になる。日本にとっては、安定した原油輸入が可能になる「ウイン・ウイン」の関係が成立するであろう。

     

    こういう記述をすると、日本の利益獲得視点だけを浮上させるが、真意は別のところにある。中東産油国が、競ってフィルム型ペロブスカイトを導入することで、世界中へ普及するという効果が期待できるのだ。その意味で、中東産油国にはペロブスカイトの「ショーウインド」の役割を担って貰うのである。

     

    国連諸機関のUNEP(国連環境計画)・FAO(国際連合食糧農業機関)やUNCCD(国連砂漠化対処条約)は、次の問題を世界の「4大危機」として捉えている。

    1)気候変動(CO2削減)

    2)食料安全保障(農業の崩壊)

    3)水不足(淡水化の電力問題)

    4)砂漠化(世界の土地劣化)

    この4大危機は、これまで取り上げてきたフィルム型ペロブスカイトで一挙に解決へ向うだろう。ペロブスカイトの複合技術が、解決するのである。日本が、世界の抱える難題を解決に向わせる技術開発国になったことは、同時に世界の基幹産業を樹立したことにもなる。これによって、日本経済は揺るぎない地位を固めるはずである。

     

    将来、世界中でフィルム型ペロブスカイトの生産が始まるであろう。日本は、これによる莫大な特許料やノウハウ収入のほかに、機材の輸出も行われる。当然、世界標準技術になるはずである。警戒すべきは、模倣上手でダンピング輸出の得意な国への特許使用を認めないことである。過去の苦い経験を繰り返してはならないのだ。(つづく)

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    https://www.mag2.com/m/0001684526

     

     

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    世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は7月27日、7月の世界の平均気温が観測史上で最高となる見通しだと発表した。国連のグテレス事務総長は、これを受け「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代がきた」と強調した。熱波や洪水、山火事などにつながる「異常気象がニューノーマル(新常態)になってしまっている」と警告したもの。 

    この記事は、先に本欄で取り上げた次の記事と関連している。

    2023-07-28

    世界、「異常に暑い!」一過性と思ってませんか、大西洋水温5度も上昇 異常気象定着「前

     

    この異常気象事態を分析した研究論文が、科学誌『ネイチャー』で発表される。北大西洋からの海流が、早ければ2025年以降に止まるという衝撃的内容である。人類の生存に関わる重大な問題が起ることになった。
     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月26日付)は、「北大西洋の海流『想定より早く停止』 研究者が論文」と題する記事を掲載した。 

    気候変動の結果、北大西洋における海水の循環が従来予想より早く崩壊し、地球全体の気象パターンが乱れる可能性が高まっている。査読済みの新たな科学論文で明らかになった。この研究によると、熱帯から暖かい海水を北方へと運ぶ「ベルトコンベヤー」のような役割をしている海流「大西洋子午面循環(AMOC)」が、2025年から95年のどこかのタイミングで止まる見通しで、最も確率が高いのは50年代という。気候変動の結果、北大西洋における海水の循環が従来予想より早く崩壊し、地球全体の気象パターンが乱れる可能性が高まっている。査読済みの科学論文で明らかになった。 

    (1)「デンマークのコペンハーゲン大学のピーター・ディトレフセン教授とスサンネ・ディトレフセン教授は最も高い確率で起る予測としており、英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。一方、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、AMOCが今世紀中に停止する公算は小さいとの見方を表明している。IPCCの予測から逸脱することに引き続き慎重な科学者もいる。米南部フロリダ州沖から欧州北西部沖に向かうメキシコ湾流を含むAMOCが失われれば、北半球の気温が著しく低下する。これに伴い、欧州は冬の嵐に見舞われやすくなり、夏の降雨量が減る。逆に南方では、大気の熱が温帯や寒帯へと運ばれないために気温がさらに上昇し、熱帯降雨やモンスーン(雨期)に大きな変化をもたらす

     

    ヨーロッパが、あれだけ北に位置するにもかかわらず、暖かい海流によって漁業などが盛んなのは、AMOCと呼ばれる海流循環の結果である。その流れが、止まるというショッキングな内容だ。AMOCは、大西洋循環システムの一つである。大西洋循環システムは、世界で最も強力な海流のひとつである。南極海からグリーンランドまで往復し、アフリカの南西海岸、米国南東部、欧州西部の間を行き来して、何万キロもの距離を流れている。その大西洋循環システムの一部が、今世紀中に停止するとなれが人類の生存に関わる。想像もできない事態になる。 

    (2)「こうした事態は、温暖化の脅威にさらされている地球にとって「決定的な転換点」の一つとなり、ひとたび起これば取り返しがつかないと懸念されている。ピーター・ディトレフセン氏は「決定的な転換点がこれほど早く訪れると見込まれ、そのタイミングが来ないように抑制していけるのが向こう70年間であるということに驚いた」と述べた。同氏はIPCCのモデルについて「保守的すぎる」との認識を示し、足元で不安定な状況が増えているという早期警告サインを看過していると指摘した」 

    科学者は、AMOCがいずれ起りかねないことを認めている。その発生する時期が、いつかという問題だけである。となれば、二酸化炭素削除は緊急不可避の課題となる。 

    (3)「欧州の主要な気候科学者の一人である独ポツダム大学のシュテファン・ラームシュトルフ教授(海洋物理学)は、海流パターンの顕著な変化を示す研究が世界各地で相次いでいると話す。「今回の分析結果は、AMOCの決定的な転換点が従来の想定よりずっと早く訪れる可能性を示す近年のいくつかの研究とも一致する。証拠が積み上がりつつあり、警鐘を発しているように思われる」と指摘する。この問題を世界の第一線で研究する一人である英エクセター大学のティム・レントン教授(気候科学)は、ディトレフセン氏らの研究が「データに直接基づいて気候の決定的な転換点を早期に警告する方法に重要な改善をもたらした」とみる。「転換点を越えた時点で、AMOCを取り戻すことはできなくなる」とレントン氏は語り、「(AMOCの)崩壊とその影響の広がりには時間がかかるが、どれだけ長くかかるかは不透明だ」と続けた」 

    AMOCをいかに防ぐか。世界は、緊急会議を開くべきテーマである。

     

    (4)「地質学的には、最終氷期(最盛期は約2万年前)に大西洋の海流が10〜20年間で劇的に変化した証拠が示されている。しかし一部の気候モデルでは、21世紀の環境においてAMOCが完全に停止するまでに1世紀ほどかかるだろうと予測されている。ただし、AMOCが部分的に機能しなくなるだけでも、地球温暖化による打撃は深刻化する公算が大きい。他にも海洋に見られる地球温暖化の兆候として、北半球の温帯における海面水温の異常な高さが挙げられる。カナダ東海岸沖では平均水温が最大でセ氏5度上回った。同時に、南極では冬季の海氷面積が観測史上最も小さくなっている。これらの現象はAMOCの変化と直接の関連はない」 

    下線部は、AMOCの変化と直接の関連はないという。米南部フロリダ州沖から、欧州北西部沖に向かうメキシコ湾流へ集中的に現れる現象と理解すべきなのだろう。

     

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    エヌビディアの時価総額が、半導体メーカーとして世界で初めて1兆ドル(約140兆円)に達すれば、一握りの限られた企業の仲間入りを果たす。5月25日の米市場で24%余りも急騰し、史上最高値を更新した。AIブームが追い風となり、コンピューティングの新時代が想定よりも速いペースで到来していることが好感されたものだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(5月27日付)は、「エヌビディア、生成AIの勃興見抜いた先見性」と題する記事を掲載した。

     

    米半導体大手エヌビディアは2022年、最先端の画像処理半導体(GPU)「H100」を発表した。同社史上最も有力な製品の一つで、単価も約4万ドル(約560万

    円)と最高水準だった。インフレが進行するなか、企業が支出を削減しようとしていた矢先の発表は、タイミングを見誤ったように思われた。そして同じ年の11月、対話型AI(人工知能)「チャットGPT」が発表された。

     

    (1)「エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は「22年はかなり厳しい年だったが、一夜にして好転した」と振り返る。米新興企業オープンAIが大ヒットさせたチャットGPTは「ひらめきの瞬間」をもたらし、「即座に需要を生み出した」という。チャットGPTの人気が急激に高まったことを受け、世界のテクノロジー大手や新興企業の間でH100の争奪戦が繰り広げられている。ファン氏によると、H100は「生成AI(自然なテキストや画像を即座に作成できるAI)向けに設計された世界初のコンピューターチップ」だ」

     

    最先端の画像処理半導体(GPU)「H100」は発売当初、荷動きは低調であった。それが、チャットGPTの発表でで一気に人気商品となった。

     

    ‘(2)「エヌビディアは、爆発的な広がりを見せる生成AIの黎明(れいめい)期に成功をつかんだ。この技術は産業を作り替え、生産性の大幅な向上をもたらし、数百万人の雇用を奪う可能性がある。この技術的飛躍はH100によって加速するとみられる。H100は米プログラミング界の先駆者であるグレース・ホッパー氏にちなんで「ホッパー」と名付けられたエヌビディアの新しい半導体設計思想に基づいており、米シリコンバレーでにわかに注目を集めている。「ホッパーに基づいた生産に乗り出すタイミングで全てが動き出した」とファン氏は述べ、大規模な製造が始まったのは、チャットGPTが発表されるわずか数週間前だったと明らかにした」

     

    H100が、生成AIの流れを作った。インターネット登場以来、最大の技術革新とも言われ始めている。生成AIは今や、世界の流れを変えようとしている。

     

    (3)「ファン氏は、利益の継続的な確保に自信をにじませる。その理由の一つは、米マイクロソフトや同アマゾン・ドット・コム、同グーグルといったクラウド事業者や同メタ(旧フェイスブック)などのインターネット企業、法人顧客からの爆発的な需要を満たすうえで、半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC)と協力してH100の生産規模を拡大できることにある。AIに特化したクラウドインフラを手がける米スタートアップ「コアウィーブ」のブラニン・マクビー創業者兼最高戦略責任者は「(H100は)地球上で最も希少な技術資源の一つだ」と語る。同社には23年初めにいち早くH100が納入された。膨大なデータモデルの訓練に必要なH100を数千単位で手に入れるのに、最長6ヶ月待たされる顧客企業もある。新興AI企業は、需要が本格化した途端に供給が不足するのではないかと懸念を表明している」

     

    エヌビディアCEOのファン氏は、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、グーグルといったクラウド事業者やメタ(旧フェイスブック)などのインターネット企業からの受注に自信をのぞかせている。世界は、生成AI時代へ突入する。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月30日付)は、「エヌビディアとTSMC 生成AIに専用半導体 年内投入へ」と題する記事を掲載した。

     

    半導体設計大手の米エヌピディアと半導体受託生産首位の台湾積体電路製造(TSMC)が、生成AI向けの専用半導体を年内に投入する。AIが回答を導き出す過程の速度を前世代品に比べて最大12倍にする。半導体は「新型コロナウイルス特需」の反動で市況が悪化するなか、米台の2強が次の成長分野でリードを固める。

     

    (4)「エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は5月30日、台北市内で記者会見し、「(AI向け半導体の)需要は非常に強い。サプライチェーン(供給網)のパートナーとともに増産を急いでいる」と生成AI向け市場の成長性を強調した。台湾出身のファン氏は同日開幕したIT(情報技術)見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス台北)に合わせて訪台した」

     

    ファンCEOは、台湾出身である。生産や、TSMCが担当する。

     

    (5)「エヌビディアは、AI分野で広く使われる画像処理半導体(GPU)を手掛け、AI向け半導体で世界シェア8割を握る。「Chat(チャット)GPT」に代表される対話型の生成AIの急速な進化を受け、AIデータ処理に特化した専用半導体を年内に投入する。エヌビディアが設計した半導体をTSMCが量産する」

     

    AIデータ処理に特化した専用半導体を年内に投入する。エヌビディアが、設計した半導体をTSMCが量産する。期せずして台湾にゆかりのある企業が、生成AI時代を切り開くことになった。

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    新型コロナウイルスによるパンデミックは、半導体不足というかつてない事態をもたらした。だが、半導体リードタイム(発注から納品までにかかる時間)は、9月に4日間短くなり、数年ぶりの大幅な短縮となった。業界の供給不足が緩和されつつあることを示すものだ。

     

    すでに、半導体市況は崩落が始まっている。これから、リードタイムの緩和化が顕著になれば、どれだけ市況は下落するのか想像するのも怖いほどの事態が訪れそうである。

     


    サスケハナ・ファイナンシャル・グループ
    の調査によると、2017~20年までの半導体リードタイムは、次のようなものであった。ピークは、15.3週(2018年8月1日)。ボトムは、12.7週(2020年1月1日)。これ以降は増加に点じるが、15週を上回ったのは21年1月1日である。

     

    ここを起点にして、次のようにリードタイムは増加の一途を辿っている。

    20.4週 21年 5月1日

    25.0週 21年11月1日

    27.1週 22年 5月1日(ピーク)

    26.3週 22年 9月1日

    出所:『ブルームバーグ』(10月18日付)

     

    前記のデータを見ると、2017~20年までの半導体リードタイムと「別世界」という感じがする。今後のリードタイムの緩和のメドが、15週以下に短縮されるとすれば、急激な需要減(発注減)が予測できるであろう。

     


    『ブルームバーグ』(10月18日付)は、「半導体リードタイム 数年ぶりの大幅短縮ー供給不足緩和の兆し」と題する記事を掲載した。

     

    サスケハナ・ファイナンシャル・グループの調査によると、9月のリードタイム平均は26.3週。8月は約27週だった。

     

    (1)「同社のアナリスト、クリス・ローランド氏は調査リポートで、全主要製品分野でリードタイムが縮小したとし、電源管理とアナログ半導体が最も短縮されたと指摘した。自動車などのメーカーが十分な半導体確保に苦労するなど、この1年間は世界的な半導体不足がさまざまな業界を悩ませてきた。だが、供給制約は一部で残っているものの、今では多くの半導体メーカーがこれまでとは逆の過剰在庫の問題を懸念している。半導体株の指標であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今年に入って44%下げている」

     


    非メモリー型半導体では、一部で供給制約がまだ残っている。だが、多くの半導体メーカーは過剰在庫の懸念を始めている。久しぶりの現象が始まったのだ。

     

    前記のリードタイムの推移を見れば、これからどこまで半導体の需給緩和が進み、メーカーは過剰在庫を抱えて圧迫されるか、という受け身に変わった。半導体産業は結局、「循環産業」であることの宿命から逃れられないのだ。ここ1年半ほど、それを忘れさせたに過ぎないようだ。コロナ特需という恩恵に与ったのである。

     


    『ブルームバーグ』(10月12日付)は、「半導体に嵐の予報、アナリストは08年以来の急ピッチで見通し下方修正」と題する記事を掲載した。

     

    半導体需要に関してマイクロン・テクノロジーサムスン電子などが発した一連の警告を受け、アナリストらは2008年以来の急ピッチで利益見通しを下方修正している。

     

    (2)「わずか1年足らずで活況から不況に転じた半導体業界は、メモリーチップから半導体製造装置、コンピュータープロセッサーに至る全ての分野に嵐が吹き荒れると身構えている。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今年に入り42%下落。需要の急低下を伴い、年間ベースで14年ぶりの悪い成績となりそうだ」

     

    半導体メーカーは、短期間に「天国」から「地獄」へと突き落とされる感じであろう。長期的な需要増は確実である。ただ、恩恵を受けるのは非メモリー型半導体になりそうだ。メモリー型半導体は、インドまで「参戦」意向を見せ始めており今後、乱戦必至である。

     


    (3)「ブルームバーグがまとめたデータによれば、半導体企業の利益見通しはこの3カ月に16%引き下げられた。シティグループのアナリストらは苦しいのはまだこれからだと予想、危機が深まるにつれSOXは一段と下げるとみている」

     

    半導体メーカーの業績悪化は、これからが本番を迎える。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、さらに下落傾向をまぬがれまい。

     

    (4)「シティのアナリストであるクリストファー・デーンリー氏は、「ヘルメットが必要だ。もっと荒れる可能性は高い」と警告する。NXPセミコンダクターズとテキサス・インスツルメンツから、受注の弱さが示されると同氏はみている。「低迷はまだ始まったばかりだ。あらゆる企業、あらゆるエンドマーケットがいずれ実感するだろう」と述べた」

     

    下線のように、これから半導体不況が到来するとしている。「ヘルメットが必要」と言われほどの大嵐が予想されるというのだ。 

     

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    半導体は、短期間で好不況を繰り返すことで知られる業界である。世界の半導体メーカー各社は、今後数カ月で深刻な需要後退期を迎えると予想している。過去に例を見ない好況から一転して、十数年ぶりの大幅な売り上げ減少に陥る恐れがあるというのだ。『ブルームバーグ』が報じた。

     

    米国株価は、こうした半導体不況の到来について全く関心を持たずに「ダンス」に興じている格好である。この数十年間、半導体売上高の3カ月移動平均は世界経済のパフォーマンスと高い相関関係を示してきた。現在は世界的なリセッション(景気後退)懸念により半導体メーカーは投資計画の縮小を検討しているほどだ。これまで、半導体好況がなお数年続くと期待する向きもあったが、現在はいつものパターンである在庫増と需要後退に直面している。夢は、ながく続かなかった。

     


    世界経済は、乗用車やスマートフォン、コンピューターなどの製造に欠かせない半導体に依存している。世界経済の先行きを予測する上で、この半導体の需要動向は重要な鍵となる。この動きから眼を逸らしてはならないのだ。

     

    『ブルームバーグ』(8月23日付)は、「半導体市場の成長見通し下方修正、世界的な景気後退懸念でー業界団体」と題する記事を掲載した。

     

    今年の半導体の売り上げは従来予想よりも減速する見通しだ。急速な利上げや地政学的リスクの高まりが国際経済の重石となり、世界的なリセッション(景気後退)懸念が強まっている。

     




    (1)「非営利の業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)は、今年の半導体市場の成長率見通しを13.9%と、従来予想の16.3%から引き下げた。2023年の成長率予測は4.6%にとどまり、19年以降で最も低い伸びにとどまる見通しだ。WSTSによると、半導体市場の規模は今年も6000億ドル(82兆3900億円)を上回ると依然として予想されている。来年の成長率は、米中貿易戦争のさなかの19年(マイナス12%)以降で最も低い水準になる見通しだ」

     

    米カリフォルニア州を拠点とするWSTSは、テキサス・インスツルメンツ(TI)、サムスン電子、ソニーセミコンダクタソリューションズなど、世界主要半導体企業によって運営されている。それだけに、世界の半導体情報は最も早く正確に集まる機構だ。そこがまとめる半導体情報ゆえに、無視できない重みを持っている。

     

    世界の半導体売上高は、4カ月連続で伸びが鈍化した。利上げと地政学的リスク増大で、世界経済が圧迫されていることを示す新たな証拠となった。米半導体工業会(SIA)のデータによると、6月の半導体売上高は前年同月比13.3%増と、5月の18%増から鈍化した。4カ月連続の鈍化は、米中貿易摩擦が激化した2018年以来最長となった。

     


    こうした需要鈍化によって、今年の半導体市場の成長率見通しは13.9%と、従来予想の16.3%から下方修正されている。2023年の成長率予測は、さらに低下して4.6%にとどまり、19年以降で最も低い伸びにとどまる。来年は、今年の3分の1程度に世界市場の成長率が鈍化するのだ。

     

    (2)「WSTSによれば、来年の売り上げの伸びは日本が5%と地域別で最高となる見通しで、米州が4.8%、アジア太平洋が4.7%と続くと予想されている。ロシアのウクライナ侵攻が大陸全体の経済に波及している欧州の伸びは3.2%にとどまる見通しという。

     

    世界の地域的な半導体の伸び率は、日本が5%で世界トップという。日本は、システム半導体の需要増加が見込めるのであろう。これは、世界主要半導体企業の提供するデータであるから、単なる「計算式」から弾き出した抽象的な予測と質が異なる。中身が濃いのだ。欧州は、ウクライナ侵攻が障害になっている。対ロシア経済制裁が、欧州のエネルギー価格を押上げるなどの影響を受けるのであろう。

     

     

     

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