勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: インドネシア経済ニュース

    a0960_008564_m
       

    世界は今、環境保護が大きな流れだ。異常気象を食止めるためにも、「環境保護」がキーワードである。この流れを上手く利用して、中国の国有企業がインドネシアで希少なオランウータン生息地に、必要でもない「電力発電所」計画を秘かに進めていたことが発覚した。この国有企業は、ロンドン証券取引所上場していたので、さらに驚きの声が広がっている。

     

    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(6月19日付)は、「中国企業、希少オランウータン生息地に発電所計画」と題する記事を掲載した。

     

    ロンドン証券取引所(LSE)に上場する際、環境保護に取り組んでいると宣伝していた中国国有企業が、世界で最も希少な類人猿を絶滅させる恐れがあると科学者が警告しているインドネシアでの開発事業の権益を人知れず取得していたことがわかった。国投電力控股(SDICパワー・ホールディングス)は、欧米の金融大手の支援を受けLSEも強く支持した2020年の上場から2カ月も経たないうちに、2億7700万ドル(約375億円)規模のバタントル水力発電所に投資する計画に署名していた。

     


    (1)「環境活動家は、発電所の必要がなく、この事業が中国の広域経済圏構想「一帯一路」を支持するという政治的理由から推し進められたのではないかと疑っている。また極めて希少なタパヌリ・オランウータンが絶滅する恐れがあると主張している。国投電力控股が発電所の権益の70%を取得したことは、これまで同社の情報開示以外では明らかになっていなかった。今回の件は責任投資関連の市場が拡大するなか、企業が環境保護への貢献を誇張しているとの懸念も高めている」

     

    いかにも、中国的な「噓八百」を並び立てて、水力発電所の開発権益を狙った事業計画が暴露された。環境保護を売り物にして、ロンドン証券取引所へ上場までした企業の「社会的責任」を100%裏切る行為である。最後まで、誤魔化し通せると考えていたとすれば、余りにも短慮というほかない。この幼稚さも中国的と言えるのだ。

     


    (2)「(環境)活動家は、22年に国連生物多様性条約締約国会議の開催国となる中国に、インドネシア西部スマトラ島の事業から撤退するよう求めている。「中国が世界規模で責任ある資金の拠出者になると大きな期待を抱いていた」と環境保護団体マイティ・アースのディレクター、アマンダ・フロウィッツ氏は話した。しかし、今では「中国の国有企業が一つの種を絶滅させかねない事業に参加していることを、深く悲しんでいる」という」

     

    中国は22年、国連生物多様性条約締約国会議の開催国となる。この国際的な役割に泥を塗るのが、今回の国投電力控股のウソである。

     


    (3)「中国国家開発投資公司(SDIC)傘下の国投電力控股は、19年にロンドンと上海の金融面での関係強化を目指して設立された証券の相互取引(ストックコネクト)制度を通じ、20年10月に英国で上場した。欧米金融大手HSBC、ゴールドマン・サックスとUBSが事務幹事となった。当時のLSEのデンジル・ジェンキンス最高経営責任者(CEO)代行は上場を「(国投電力控股の)事業にとって画期的な出来事となる」と称賛した。同社は上場で調達する資金の約70%を海外での再生可能エネルギー事業に使うと話していた」

     

    国投電力控股は、中国国家開発投資公司の系列である。欧米金融大手によってロンドン証券取引所へ上場したほどだ。国投電力控股の水力発電所建設計画は、中国政府の「密命」を帯びていたといえる。ここで発電した電力を、中国本土へ送電する計画もあったはずだ。

     


    (4)「中国の「一帯一路」は、インフラ建設を通じて世界各地で中国の政治的影響力向上を目指す習近平国家主席肝煎りの外交政策で、バタントル発電所もその一環と考えられている。建設反対派は事業の効果に懐疑的だ。マイティ・アースが委託し米スタンフォード大学の研究者が共同執筆者となった20年の報告書によると、同発電所が電力を供給する予定のスマトラ島北部ではエネルギーは不足していないが、今後10年間で80の発電所の建設が予定されている」

     

    バタントル発電所計画は今後10年間に、同地域で80もの発電所計画がされている。それゆえ、オランウータン生息地で発電所を建設する必要性はゼロ。中国は、ここへ割込んで権益を狙ったのだろう。

     


    (5)「ある活動家は、この権益獲得が「地政学的」な理由である可能性を指摘する。「国投電力控股が事業に関与しているのは中国政府の希望ではないかと疑問に思っている」。建設に批判的な人々は、15年に事業が始まった当初から謎が多いと話す。中国の支援を受けた地元企業「ノース・スマトラ・ハイドロ・エナジー」が事業を行うが、21年10月に国投電力控股が同社の株式の過半数を取得した。17年にスマトラ島北部で最大800頭のタパヌリ・オランウータンが確認されたことを受け、活動家は発電所建設に反対するようになっていた。19年に建設に反対していた環境派弁護士が「非常に疑わしい」状況で死亡したことから緊張が高まった。活動家によると、ゴルフリッド・シレガール氏は、暴行を受けた状態で発見され3日後に死亡した」

     

    血なまぐさい犠牲者まで出している。この裏には、中国の陰謀が働いていたと見るのが妥当だ。新疆ウイグル族に対して、あれだけ残酷な弾圧をする中国政府である。利益のためには、手段を選ばずで人間の生命など吹けば飛ぶような存在なのだ。 

     

    a0960_008527_m
       

    ASEAN(東南アジア諸国連合)は、中国と貿易関係が密接であるため、これまで中国の横暴に我慢させられてきた。ところが、IPEF(インド太平洋経済枠組)効果で、フィリピンとインドネシアは堂々と自国の国益を主張するようになっている。米国が、後ろ盾になっていることで、勇気を持ち始めたのだろう。横暴な中国へ対抗するには、米国を後ろ盾にして「団結」することだ。その見本のような話が、持ち上がっている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月30日付)は、「フィリピン次期大統領『南シナ海重視の姿勢』中国けん制」と題する記事を掲載した。

     

    フィリピンのフェルディナンド・マルコス次期大統領が、南シナ海の領有権問題で中国に譲歩しない姿勢をアピールし始めた。経済関係を重視してきたドゥテルテ現政権の対中融和路線を修正する可能性がある。海軍も南シナ海に面する新たな基地の利用を始め、中国へのけん制を強めている。

     


    (1)「6月末に大統領に就くマルコス氏は、26日にフェイスブックで公開したメディア取材の映像の中で、海洋権益について「中国に対して断固として(立場を)伝えていく」と明言した。5月上旬に投開票した大統領選後に外交や安全保障の方針に言及したのは初めてだ。マルコス氏は国家の主権や領有権に「交渉の余地はない」と強調し、中国による一方的な領有権の主張に厳しい姿勢で臨む構えを示した。中国は南シナ海の実効支配を強めている。2021年にはフィリピンが排他的経済水域(EEZ)と主張する海域に自国船を停泊し続けたほか、中国海警局の船がフィリピン船に放水銃を撃つ事案も発生した」

     

    フィリピンは、たびたび中国と摩擦を引き起している。中国からの軍事的圧力が原因だ。米国の同盟国でもあり、今後は密着化の傾向をみせている。日本との関係も強化しており、先に外務・防衛の「2プラス2」会合を持った。自衛隊とフィリピン軍の関連強化も検討課題に挙がっている。フィリピンが、日本に対して積極姿勢である。

     


    (2)「2016年に国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の領有権主張を否定する判決を下した。マルコス氏は「領有権を主張し続けるために(判決結果を)使用する」と語った。ドゥテルテ大統領は同判決を巡り「本当の意味で仲裁というものはない」と話し、融和的な対中姿勢を維持してきた。マルコス氏は、ドゥテルテ氏の方針を踏襲するとみられてきたが、今回の映像を通じて、現政権より領有権問題を重視する姿勢を打ち出した格好だ」

     

    フィリピンは、中国の南シナ海の不法占拠を常設仲裁裁判所へ訴え勝訴した。ドゥテルテ大統領は、この判決を理由にして中国へ撤退を迫ることはなかった。引き替えに、中国からの経済支援を要請したが、すべて空手形に終っている。中国に騙された格好だ。次期マルコス政権は、「勝訴」を理由に中国へ強気姿勢で臨むのであろう。

     


    (3)「フィリピン海軍も、マルコス政権の発足をまたずに動き始めた。海軍は25日、北部ルソン島サンバレス州のスービック湾で新たな基地の運用を始めたと発表した。同湾は南シナ海に面し、1992年まで域内で最大規模の米軍基地があったことで知られる。新たな基地は約100万平方メートルを有し、中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)に近い。南シナ海に自国艦船を出航しやすい新基地で、「海軍の海洋業務を拡大する」としており、中国の軍事活動をけん制する狙いだ」

     

    フィリピン海軍も、スービック湾で新たな基地の運用を始めた。米海軍基地が、1992年まで置かれた場所だ。フィリピン海軍は、ここを起点にして中国の軍事活動をけん制する。

     


    『日本経済新聞』(5月30日付)は、「南シナ海離島を経済特区に、インドネシア政府検討 漁業・観光の投資呼び込み 安保強化 中国反発も」と題する記事を掲載した。

     

    インドネシア政府が南シナ海の自国領であるナトゥナ諸島の経済特区化を検討していることがわかった。漁業や観光関連の投資を呼び込むのと同時に、安全保障態勢を強化する。周辺海域は中国が南シナ海での独自の境界線として主張する「九段線」と重複するだけに、中国が今後反発する可能性がある。

     

    (4)「政府関係者によると、島を所管するナトゥナ県の要請を受け、今年初めに政府内に作業部会を設け、経済特区化に向けた水面下の検討を始めた。ジョコ大統領の任期が終わる2024年10月までの実現をめざす。政府と県はナトゥナ諸島に主に外国企業の投資を呼び込み、漁船や港、物流拠点など基礎インフラを整備し、観光地としての魅力も高める青写真を描く。現時点で、インドネシア政府は18の地域を経済特区に指定し、財政・税制面で優遇している」

     

    ナトゥナ諸島は、漁場や観光地に適した場所のようだ。それだけに、欲深い中国がどのように難癖をつけてくるかである。インドネシア政府は、18の地域を経済特区に指定するほど,開発に力を入れている。

     


    (5)「経済特区化にあわせ、周辺海域の安全保障態勢を強める。ナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)は、中国が主張する「九段線」と重複し、中国漁船が海警局の公船を伴い活発に動く。ベトナムの漁船も周辺海域で活動している。ジョコ氏は3月、ナトゥナ諸島の経済活性化に向け、周辺海域を活動の用途に応じて複数の区画に分ける大統領令に署名した。基地などの拠点も整備する方針だ。大統領府高官は取材に対し、大統領令について「インドネシアが領土の一体性と権利を守る決意の表れだ」と強調した」

     

    中国が主張する「九段線」は、何ら法的な根拠がないと常設仲裁裁判所によって敗訴になった。一説では、酒に酔った台湾軍将校の書いた区画線が、「九段線」の元とされるほど、出鱈目な話である。中国が、この悪ふざけを利用して「自国領海」と決めただけである。

     

    (6)「米軍との連携も強める。インドネシア陸軍は毎年、自国で開催する米軍との合同演習「ガルーダ・シールド」を22年は過去最大規模とする方針で、ナトゥナ諸島での訓練も検討する。3月には米国のソン・キム駐インドネシア大使が同諸島を訪れ、経済と安保両面の協力強化を打ち出した」

     

    インドネシア軍も米軍との連携を深めている。ナトゥナ諸島での訓練も検討するという。中国が、恥知らずにも横車を押してくるかどうかだ。

    a1320_000159_m
       

    日本が建設を請け負う予定で進んでいたインドネシア高速鉄道(ジャカルタ・バンドン区間142キロメートル)は、契約寸前に中国へ横取りされたプロジェクトである。中国側は、事前調査もしないで日本の作成した建設計画書に基づく「盲建設」であったことから工事は大幅に遅れている。

     

    それでも、同プロジェクトは昨年末時点で工事の進捗率は79.9%までこぎつけ、2022年末までに一部区間の試運転を行った後、2023年に全線完工を目指している。だが、ここで新たな経営問題がでてきた。インドネシア政府の首都移転(24年から首都をジャカルタからカリマンタン島[ボルネオ島]へ)の影響もあり、採算が取れるのは40年後という気の遠くなるような話に変わったのだ。中国には、泣かされるプロジェクトとなった。日本から横取りした「報い」を受けているようだ。

     


    『大紀元』(2月9日付)は、「中国受注の『インドネシア高速鉄道計画』、利益出るまで40年かかる見通し」と題する記事を掲載した。

     

    中国受注の「インドネシア高速鉄道計画」は、20億ドルのコスト超過に直面している。投資を回収し、利益が出るまでに40年はかかる見通しだという。高速鉄道を建設する企業連合の「インドネシア中国高速鉄道社(KCIC)」のドウィヤナ・スラメット・リヤディ社長が2月7日の議会公聴会で明かした。

     

    (1)「現在、KCICが建設中の首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンを結ぶ高速鉄道(総延長142キロメートル)プロジェクトは、中国の「一帯一路」構想のもと、中国国家開発銀行が資金を提供して、2018年から着工した。土地の所有権をめぐる紛争や環境問題、パンデミックによる人員不足などにより相次ぐ工期延長の影響で、完工時期が何度も延期された。現在、遅れながらも工事は続いている。当初は完成後20年以内に投資を回収し、利益を上げ始める計画だった。

     

    KCICは、インドネシアの国営企業であるウィジャヤ・カルヤやKAIなどが60%を、残りを中国企業が保有する。 中国の国家開発銀行が資金を提供するこのプロジェクトは、2015年にKCICに発注され、18年に着工された。だが、十分な事前調査をしないことや、建設中に沿線住民へ被害を与えるなどの問題を引き起した。中国と同じ感覚で強行したことが反感を招いたもの。日本流の話合い路線によるソフトな対応であれば、ここまでこじれることもなかったであろう。

     


    (2)「リヤディ社長によると、政府の首都移転(24年から首都をジャカルタからカリマンタン島(ボルネオ島)へ)の影響もあり、同鉄道の乗客数は当初見積もりの1日あたり6万1157人から3万1215人に激減する可能性がある。そのため、投資を回収できるのは完成してから40年はかかるという。用地買収の遅れや労働者の賃金上昇、高騰が続く原材料などで、プロジェクトは約20億ドルのコスト超過に直面しているという。プロジェクト終了時の総事業費は113兆ルピア(約78.5億ドル)に上ると試算される。ロイター通信がKCICのデータを引用して報じたところによると、同プロジェクトは昨年末時点で工事の進捗率は79.9%で、2022年末までに一部区間の試運転を行った後、2023年に全線完工を目指している」

     

    インドネシア政府も無責任である。高速鉄道を建設しながら首都移転とは驚く。需要予測が、完全に狂うからだ。乗客予測では、1日あたり6万1157人が、3万1215人へと実に49%も激減する可能性があるという。これでは、高速鉄道を建設する意味が薄れてしまうだろう。なにか、中国への当てつけのようにも見えるのだ。

     


    プロジェクトは計画よりも約20億ドル増えて、約78.5億ドルへと膨らむという。計画の34%増にもなる。これほど杜撰なプロジェクト計画もないだろう。最初から、計画はあってもない同然のものだったのだろう。中国における高速鉄道建設もこの調子で行なっているにちがいない。他国では、恐ろしくて中国からの高速鉄道導入話を敬遠して当然だ。ASEAN(東南アジア諸国連合)では最近、高速鉄道建設の計画がパタッと止まっているのは、この結果であろう。

     

    (3)「このプロジェクトをめぐって、日本と中国は当時、激しい受注合戦を展開した。最終的にインドネシアは、財政負担を伴わない中国案の採用を決定した。中国は現在、世界で最も早く高速鉄道を開発・建設している国である。「インドネシア高速鉄道計画」は中国以外の国で、完全に中国規格で建てる初の鉄道となる。そのため、将来に向けた成功事例を作るためにも重要な存在とされている」

     

    完全に中国の敗北である。竣工期間は狂う。建設予算は大幅に増える。こういう当てにならない中国へ、高速鉄道建設を委託する国は現れるはずがない。中国は、自分で自分の首を締めてしまったのだ。

    a0960_008567_m
       

    中国は、あらゆる分野で背伸びしている。端から見ていると、「痛々しい」ほどの自己主張である。これが、「中華再興」というものとしたら、侘しい限りである。

     

    中国国有旅客機メーカーである中国商用飛機(COMAC)が、航空機リースの中国飛機租賃集団(CALC)と組み、海外進出を果たそうとしている。CALCが出資するインドネシアの地域航空会社が、中国初の国産ジェット旅客機の運航をインドネシア運輸省に申請したのだ。

     

    商用機は、世界標準となっている欧米で、安全性確保で求める機体や部品の「型式証明」を取得する決まりになっている。中国は、その取得に失敗したにもかかわらず、強引に海外で飛行させるようと挑戦をしているもの。習近平氏並の度胸の良さだ。

     


    『日本経済新聞 電子版』(1月11日付)は、「
    中国国産機、苦肉の海外進出『型式証明』なお未取得」と題する記事を掲載した。

     

    2021年12月、上海浦東国際空港からCOMACが開発したリージョナルジェット機「ARJ21」(座席数は78~90席程度)が試験飛行に飛び立った。機体には、白地に紺色と黄色のインドネシアのトランスヌサ航空仕様の鮮やかな塗装が施されていた。トランスヌサは、11年に商業飛行の許可を得たインドネシアの地域航空会社だ。現在は運航を休止しているが、以前は東ヌサトゥンガラ州クパンのエルタリ空港を拠点に複数の都市を結んでいた。近く、運航を再開する見通しで、ARJ21の導入を計画しているのはトランスヌサがCALC(中国飛機租賃集団)の傘下にあるためだ。

     

    (1)「2016年に商用飛行が始まったARJ21は、海外進出はいまだ実現していない。航空機の世界標準となっている欧米で、安全性確保で求める機体や部品の「型式証明」を取得できなかったためだ。中国の政治・経済的な影響力の強いアフリカや広域経済圏構想「一帯一路」関連の航空会社を海外受注のターゲットとせざるを得なかった。中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は14年、アフリカ各国を歴訪し、ARJ21を売り込んだ。その結果、アフリカのコンゴ共和国が3機の購入を決めた。16年にはコンゴ政府が型式証明を付与し、18年には同国からパイロット研修生を受け入れるなどした。ただその後、新型コロナ禍で世界の航空機需要が急減しており、COMACはコンゴにARJ21を納入したかどうかは明らかにしていない」

     


    航空機の安全運航は、絶対条件である。中国の商用機
    ARJ21は、航空機の世界標準となっている欧米で、安全性確保で求める機体や部品の「型式証明」を取得できなかった。だが、中国政府は2016年から「強引に」飛行させている。この間に、事故は起こっていないが、危ないフライトである。これまでは、中国の影響力の強いアフリカで売り込みを図ってきたが、実績は不明である。

     

    (2)「停滞する海外進出の課題を解決するために打ち出したのが、生産・リース・運航を三位一体で運用する「垂直統合戦略」だ。CALCは16年にCOMACと提携関係を結んだ時点で、インドネシアの航空会社に投資する計画を公表していた。インドネシア運輸省によると、トランスヌサは現在、運航再開に向けた許可手続きを申請中だ。22年1~3月期に再び営業を始める構えで、機材はエアバスの「A320neo」と「ARJ21」を使う予定だ。ジャカルタデンパサール(バリ島)、ジャカルタジョクジャカルタなど「ドル箱」路線を開設したい方針で、運輸省に提出した再開計画では「ARJ21を26年までに最大30機、取得する」としている」

     

    中国は、インドネシアをターゲットにして、生産・リース・運航を三位一体で運用する「垂直統合戦略」を立て「ARJ21」の売り込みをしている。インドネシアでは、エアバスの「A320neo」とライバル関係になるという。確立しているエアバスの「名声」に対抗できるか不明である。

     


    (3)「ただ、その先行きは不透明な側面もある。インドネシアには型式証明のような飛行機ごとの運航許可制度がある。「A320neo」は、すでに許可を得ている一方、「ARJ21は未取得」という。現在は運航を停止している小規模な地域航空会社が、ARJ21を最大30機、このほかエアバス機も導入する計画は「現実的ではない」(関係者)との声も聞かれる。機種を増やせば、乗務員のライセンス取得や保守部品などのコストもかさむ。さらに、インドネシアと中国は南シナ海問題での対立も浮き彫りになっている。インドネシアにとって中国は最大の貿易相手国だ。経済面の依存は強いものの、中国が海外進出を熱望しているARJ21の運航をインドネシア政府が認めるかどうかは定かではない」

     

    形式証明で落第した中国商用機が、エアバスと互角の競争ができるのか。最終的には、インドネシア政府が中国機に運航許可を出すかどうかだ。現状では、疑問視されている。

    caedf955
       

    インドネシアは、自らのEEZ(排他的経済水域)で石油掘削している。これに対して、中国が南シナ海全体の領有権を主張し、インドネシアへ抗議するという「盗賊行為」を行なった。習近平氏が、直々で指示を与えている結果とされている。諸悪の根源は、「習近平にあり」という印象が一層強まる。

     

    『日本経済新聞』(12月28日付)は、「インドネシアの南シナ海EEZ資源開発、中国が中止要求」と題する記事を掲載した。

     

    インドネシアが南シナ海の排他的経済水域(EEZ)で進める資源開発について、同海域の主権を主張する中国が中止を求めていることがわかった。インドネシアは中国との間に南シナ海の領有権の問題は存在しないとの立場だが、中国が揺さぶりをかけている。

     

    (1)「インドネシアは南シナ海の南にある自国領ナトゥナ諸島の周辺のEEZにある「トゥナ・ブロック」と呼ばれる海域で、7月から海底の石油と天然ガスの状況を調査する掘削作業を進めている。インドネシア政府関係者は日本経済新聞の取材に、中国政府から「インドネシアの掘削作業が中国の主権を侵す」として複数回、抗議と掘削中止要求を受けたと明らかにした」

     

    中国は、戦前の日本陸軍と同じ振る舞いをしている。日本軍は、満州へ進駐して「自国領」としたが、中国は南シナ海へ進出して「中国領」と宣言する。この「遅れてきた帝国」中国は、周辺国から大きな警戒心を持たれ、米国への軍事的依存度を高める皮肉な結果を招いている。愚かな振る舞いと言うほかない。

     

    (2)「作業現場周辺で中国海警局とみられる船の目撃情報も確認したという。ただ、インドネシア政府は中国による抗議と中止要求を公表していない。中国との間に南シナ海に関する領有権の争いはないとの立場で、抗議を公にして反応すれば、領有権問題の存在を国際社会に認めることにつながる可能性があるためだ。同国海上保安機構のアアン長官は22日、当面の掘削作業を11月下旬に完了したと明らかにした」

     

    インドネシアは、中国の抗議を完全無視している。国際的にEEZとして認められているからだ。

     


    (3)「中国は南シナ海のほぼすべての沿岸国・地域と領有権を争っている。これまでにフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張している。ナトゥナ諸島周辺のインドネシアのEEZをめぐっては、南シナ海で主権が及ぶ範囲として中国が独自に主張する「九段線」と一部が重複する。2019年末ごろから周辺海域で中国船の動きが活発化し、インドネシアとの対立が目立ち始めた。20年5月下旬、インドネシアは九段線や中国が域内で主張する歴史的権利を否定する書簡を国連に送った。中国も南シナ海での主権を訴えつつ、交渉による解決を求める書簡を国連に送り返した。インドネシアは交渉を拒否した」

     

    インドネシアは、東南アジアで最大の人口を抱える国家である。経済的にも発展可能性を秘めた国家として脚光を浴びている。中国が、このインドネシアと事を構えるのは、極めて無思慮な行為である。インドネシアが、軍事的に米国と手を結ぶリスクを見落としているのだ。

     


    (4)「中国が、一方的に領有権の問題を訴えて力を背景に実効支配をうかがう構図は、日本の沖縄県尖閣諸島をめぐる日中の対立と似る。海上保安庁によると21年1月から12月26日までで、尖閣諸島周辺の領海に中国の海警局の船が計40日間、侵入した。日本政府は、尖閣諸島が固有の領土で領有権の問題は存在しないとの立場だ。中国側が、領海侵入するたびに抗議をせざるを得ない。中国には日本に反応させることで、日中に領有権の問題があると国際社会に印象づけようとする狙いがある」

     

    中国が、日本に次いでインドネシアと軍事的に対立するのは、決して好ましいことであるはずがない。その無益な道へ突き進んでいる。

     

    (5)「中国国営の新華社は11月8日、「習氏は自ら戦略と戦術の配置をして、さらには自ら参与した」と明らかにした。中国海警局の尖閣諸島周辺の領海侵入を巡る指示や、南シナ海の仲裁裁判所の判決などへの対処方針について、習近平(シー・ジンピン)国家主席が深く関与していると明かしている」

     

    習近平氏が、中国の飽くなき領土拡大を指示している張本人である。領土拡大が、権力維持の支えになるとは、中国の後進性を遺憾なく示している。

     


    (6)「インドネシアは、中国がナトゥナ諸島周辺の実効支配の機会を探ろうとしているとみて、周辺の防衛・警備体制の強化を急いでいる。国軍は同諸島にある基地の滑走路を拡張し、戦闘機の配備を増やすほか、潜水艦の基地も建設する。地元漁民による中国船の早期通報システムも整備している。米国との安全保障協力も進めており、周辺の海域では共同で沿岸警備の訓練施設を建設している。8月には離島防衛を念頭に、国内の3カ所で両国の陸軍が過去最大規模の軍事演習を実施した」

     

    下線部は、中国がまんまと落し穴に落込む前兆を示して興味深い。インドネシアが、自国防衛で軍事基地強化を図れば、その後ろに米軍が座ることを予見できるはずだ。インドネシアは、潜水艦基地を建設する。それは、「第二のAUKUS」になる可能性を秘めているのだ。米国潜水艦が、インドネシア潜水艦基地を利用するようになれば、中国は自ら包囲網をつくらせるような愚策である。習近平氏は、目先の利益で目が眩んでいるようだ。

     

     

     

    このページのトップヘ