トランプ米大統領の度重なる「欧州軽視」発言が、欧州の米国評価を下げている。最近の調査では、米国を同盟国と見る向きは1割に下がっている。米欧関係は、もともと切っても切れない「血縁関係」にある。一時的な感情で対米関係が悪化しても、それは「瞬間風速」であろう。「血は水よりも濃し」である。万一の事態が起れば、風向きは一変する。第二次世界大戦がそれを証明している。米国が参戦しているからだ。欧州が権威主義政治に蹂躙されるリスクが高まれば、米国の世界覇権も崩れる。大局観から欧米関係は読むべきだろう。
『日本経済新聞 電子版』(6月11日付)は、「『米国は同盟国と思える』1割 欧州15カ国対象の世論調査」と題する記事を掲載した。
欧州外交問題評議会(ECFR)は10日、欧州15カ国を対象とした世論調査の結果を発表した。米国を同盟国だと思っている人の割合は11%と2025年11月の前回調査から5ポイント下がった。欧州のシンクタンクであるECFRは5月に英国やフランス、ドイツなど欧州15カ国で調査を実施した。
(1)「米国が、欧州連合(EU)や自国にとってどういう存在だと考えているかを聞いたところ、「利益や価値観を共有している同盟国だ」と回答した割合は全体で11%だった。前回調査の16%から下がった。24年11月の22%より11ポイント低かった。最も多かった回答は、「戦略的に協力する必要があるパートナー」で、全15カ国全てでほぼ半数の割合だった。同盟国だと思えない人が増えている背景には、防衛政策や地政学問題を巡るトランプ米大統領の言動があるとみられる」
欧米は、同じキリスト教という価値観で結ばれている。信仰が同じと言うことは、最後に分かり合えるという土俵があることだ。現在は、そういう緊急時でないので、互いに「言い合っている」だけであろう。
(2)「トランプ氏は、デンマーク領グリーンランドについて併合への意欲を見せたほか、北大西洋条約機構(NATO)への関与を削減する方針を示している。イランとの軍事衝突では欧州の対応に反発し、在独米軍の一部削減を表明した。米への信頼感の低下が顕著なのが安全保障面だ。NATOでは加盟国が攻撃を受ければ、全加盟国への攻撃とみなして共同防衛にあたる。今回の調査では「自国が攻撃を受けた際、米国が支援すると思うか」の問いに対しては、15カ国全てで「思わない」が最多の回答だった。調査をまとめたECFRのヤナ・コブソバ氏らは「多くの欧州人は米への安全保障依存を減らしたいと考えている。防衛費の増加を支持する方向にシフトしている」と指摘した」
トランプ氏は、自分の名前を米国史に永遠に輝いた者として残したいと焦っている。紙幣に自分の顔写真を入れるとか、公共建造物の名称を変えさせ、「トランプ」名を入れさせる(判決で否定)とか枚挙に暇がない。これは、教養度の高くない人間が選択する行動で様式ある。そういう人物であると思えば、別に腹立たしくもないであろう。トランプ氏が、深く考えて「欧州発言」をしているとは考えられない。米国の世界覇権は、西側諸国の協力があって初めて成立するものだ。土壇場で損得を計算する場合、誰もが冷静になるであろう。




