EV(電気自動車)は、走行距離10万キロ以上で初めて製造時に出した二酸化炭素を吸収できるとされている。太陽光パネルはどうか。2~3年の使用でパネル製造時の二酸化炭素を吸収できるという。技術的耐用年数は、30年とされている。それだけに、家庭では耐用年数一杯の使用が、本当の意味での「脱炭素」になりそうだ。だが、太陽光パネルを途中で交換する事例も増えている。「もったいない」例だが、この中古パネルはアフリカへ輸出されて再利用されるという。
『日本経済新聞 電子版』(4月23日付)は、「新電力Looop、ケニアで太陽光発電 英企業と提携し廃棄パネル再利用」と題する記事を掲載した。
新電力のLooop(ループ、東京・台東)がケニアで使用済み太陽光パネルを使う発電事業を始める。英国発企業と提携する。
(1)「パネルは30年以上使えるが、効率が落ち、国内では約10年で交換することが多い。廃棄パネルを新興国で再利用する。アフリカで太陽光パネルや蓄電池などの分散型電源開発を手掛ける英国発Bboxx(ビーボックス)と組む。まず2026年度中に中古パネル500枚、300キロワット分を日本から輸出して現地に設置する。運用の課題など検証する。27年度にも本格的な電力供給サービスを始める。病院や学校などの公共施設の利用を見込む。パネルの調達や輸出はループが担当。現地での設置と運用をビーボックスが担う。ケニア以外への展開も検討する」
太陽光パネルの劣化率は、年間0.5〜0.7%
とされている。30年後の残存性能(推計)は、おおむね80~88%だ。要するに、30年経っても9割弱の性能を維持している。となれば、途中で取り替えるのはカネを捨てるような状況と言えよう。喩えれば、中古住宅をタダで捨てるような「もったいない」話になろう。
それでも、太陽光パネルが中古として出てくる理由は何か。日本や欧州などは、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)の
経済性などの理由で、15〜20年程度で更新 されるためだ。これに対して、日本発の曲がる電池ペロブスカイトは、性能が落ちれば、上に新品を貼り合わせれば済むという。この方が、はるかに効率的である。
(2)「ループは、中古パネルの品質を検査し輸出する。国による再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の期間が切れる発電所から1カ所あたり数十枚の中古パネルを回収する。ループの自社発電所のほか、他社の発電所からも集める。ループは「パネルの再利用は社会貢献活動の要素が強くなりがちだが、持続するためにも収益性を追求する」とする。将来は現地で使えなくなったパネル部材のリサイクル処理も視野に入れる。
中古パネルの価格はどの程度か。使用済み10年前後は、新品の 40〜70% 程度。使用済み20年前後は、 新品の20〜40%
程度とされる。ケニアのような熱帯地域では、強い太陽光線で十分に機能発揮する。要するに、先進国側から見ると、「制度・採算上は“廃棄”だが、技術的にはまだ使える資産の処分」である結果、受け入れ国から見ると、「新品の半額以下で、出力9割のパネルを導入できる」計算になる。
(3)「世界の太陽光パネルのリサイクルに詳しい宮崎大学の河本桂一特別教授は、「パネルの再利用と未電化地域の電化促進を両立できる意義がある」とする。「廃棄物処理も課題になる」と指摘する。国内では30年代後半にも年間最大50万トンの廃棄パネルが発生すると予想されている。政府も、太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法案の成立を目指す。詳細は決まっていないが、太陽光発電事業者は中古パネルへの対応が求められる」
問題は、最終的に太陽光パネルの廃棄を発展途上国へ押しつけることになる。これは、道義上も問題であることは間違いない。太陽光パネルのリサイクル法の中で取り上げるべき項目であろう。





