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南アフリカの国立伝染病研究所などは11月25日、同国で新型コロナウイルスの新たな変異ウイルスを確認したと発表した。ウイルス表面の突起状のたんぱく質「スパイク」に多数の変異が生じており、感染力が強くワクチンが効きにくい可能性がある。英国などが相次ぎ南アや周辺国との直行便を禁止するなど、各国は警戒を強めている。『日本経済新聞 電子版』(11月26日付)が報じた。

 

南アの保健当局は新たな変異型が22件確認され、検出される割合は増加傾向にあると明らかにした。首都プレトリアや最大都市ヨハネスブルクなどで新たな変異型の感染者が増えている。南アで同日に確認された新型コロナの全感染者数は2400人超で、500人を切っていた今月中旬から急増しているという。わずか10日余りで5倍弱の増加である。これだけでも、感染力の強さが分かる。

 


『中央日報』(11月26日付)は、「『歴代最悪の変異株』…デルタより強力な『ニュー』型、すでに南アを襲っていた」と題する記事を掲載した。

 

今月11日、アフリカ南部ボツワナで初めて見つかった新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の新型変異株ウイルス(B.1.1.529)の急速な拡大で、世界保健機関(WHO)が緊急対策会議を招集した。「歴代最悪の変異株」の可能性に対する警告が出ている中、英国やイスラエルなどはこれら拡大国からの入国禁止を宣言した。

 

(1)「25日(現地時間)、英紙『フィナンシャル・タイムズ』(FT)などによると、WHOは26日、新型ウイルスB.1.1.529にギリシャのアルファベットを名付けた新しいコード名「ニュー(N)」を付与してこれに対する対策を議論する予定だ。WHOは新型ウイルスの感染力などの特性を考慮して「懸念される変異株(VOC)」や「注目すべき変異株(VOI)」などに指定して管理している

 

WHOは、最初から「危険変異株」として管理している。コロナに感染したエイズ患者で新型株が発生したとみられることから、一層、危険視されているようである。

 


(2)「この日、FTはある関係者の言葉を引用して「WHOはまず新ウイルスをVOIに入れて監視する予定」と説明した。WHOのVOIリストには今年1月にコロンビアで初めて報告されたもっとも最近の「ミュー株」を含めてラムダ、イータ、イオタ、カッパ株などが含まれている。WHO指定のVOCには現在アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ4種がリストインしている。WHOが11月11日に初めて報告されたB.1.1.529変異株をVOIとして登録する場合、これは現在の優勢種であるデルタ事例より数カ月以上早い。デルタ株の場合、昨年10月にインドで初めて報告されてから今年4月4日のVOI指定、その後1カ月過ぎた5月11日にVOCに格上げされた」

 

現在のデルタ株が、今年4月4日にVOI指定された経緯に比べ、今回のB.1.1.529変異株がVOIとして登録されれば、いかに「猛威」であるかをうかがわせている。危険な変種と言える。

 


(3)「WHOが、このように素早い対応に出た理由は、今回の新型変異株が防疫専門家の間でも「最悪の変異株」という評価を受けているためだ。この変異株はウイルスが宿主細胞に浸透する過程で使われるスパイクタンパク質だけで32の遺伝子変異がある。強い伝播力が特徴のデルタよりも2倍多い。英国保健安全庁は、「新型の変異株が現在新型コロナワクチンの基盤としている従来のコロナとは劇的に異なるスパイクタンパク質を持っている」とし「以前の感染で獲得した自然免疫とすでに発売されているワクチン接種で生成された免疫反応をすべて回避する可能性がある」と発表した」

 

デルタ変異株の伝播力は、2.8と言われている。今回の変種株がデルタ変異株の2倍とすれば、何と5.6にも達する。想像しただけでも卒倒しそうな伝染力である。

 

(4)「これに先立ち、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの遺伝学者、フランソワ・バロー教授は、該当の変異株に対して「コロナに感染したエイズ患者で新型株が発生したとみられる」とし「免疫力が低下した体内でウイルスが長く留まりながら抗体を避ける方向で進化した可能性がある」と分析した。すでに南アフリカ東北部ハウテン州などでは新型株の感染者が続出している。

 

発生源は、エイズ患者であることが、「免疫力が低下した体内でウイルスが長く留まりながら抗体を避ける方向で進化した可能性」をもたらしているという。

 

(5)「BBCによると現在までに確認された新規感染者は南アフリカ77人、ボツワナ4人、香港1人など82人となっている。ただし南アフリカ伝染病対応および革新センター(CERI)のオリベイラ所長は「ハウテン地方で新たに報告された新型コロナ感染者1100人中90%ほどは新しい変異株に感染したとみられる」とし「この変異株は南アフリカで2週も経っておらず、デルタ株を圧倒している」と評価した

 

この変異株は、南アフリカで2週も経っていないが、デルタ株を圧倒する感染力を見せている。日本は、水際で食止めなければならない。

 

日本も、一難去ってまた一難ということになりかねないが、最近、コロナ感染者で重症化する人とそうでない人との間に、ある特色が見られるという。

 


『ニューズウィーク 日本語版』(2020年12月3日付)は、「
新型コロナが重症化してしまう人に不足していた『ビタミン』の正体」と題する記事を掲載した。

 

満尾正医師の研究成果という。「この研究からは、「重症者は明らかに血中ビタミンD濃度が低い」ことがわかりますが、軽症者でも血中ビタミンD濃度が低いということは、重症度にかかわらず新型コロナに罹患する人は血中ビタミンD濃度が低い傾向があるのかもしれません。ただし、血中ビタミンD濃度が低い人と高い人で罹患しやすいかどうかを比較したわけではありませんので、現時点では、血中ビタミンD濃度が低いと新型コロナに罹患しやすいと断言することはできません」としている。

 

ワクチン接種のほかに、マスク励行、手洗い励行、換気励行という生活習慣を守るほか、食べ物による免疫力向上も不可欠のようだ。ビタミンDは、いわし丸干し、サケ、さんま、しらす、きのこ、キクラゲなど、日本人の食卓に馴染みあるものばかりだ。日本人のコロナ犠牲者が少ないとされる理由は、こういう食品群の摂取にあるのかも知れない。