ロシア経済は、ウクライナへ侵攻した2022年以降、軍需生産と政府支出が牽引してきた。軍事支出は、インフレを押し上げ、金利を高止まりさせ、民間投資を圧迫している。こうして、戦時経済が自動的にロシア経済を押下げる段階になった。25年のGDPが、1%増になった理由はこれである。ロシアは、間もなくウクライナ侵攻で満4年になる。これ以上、戦争を継続できない状況に追い込まれている。
『日本経済新聞 電子版』(2月7日付)は、「ロシア、25年GDP成長率3年ぶり鈍化 高金利が消費や企業活動直撃」と題する記事を掲載した。
ロシア連邦統計局が6日発表した2025年の実質国内総生産(GDP、速報値)は、24年に比べて1%増加した。ウクライナ侵略が続く中で3年連続のプラス成長を維持したものの、インフレ抑制のために引き上げた金利が高水準で推移し内需を中心に成長鈍化が鮮明になっている。
(1)「ロシア経済発展省が同日発表した報告書によると、25年は製造業で3.6%増(24年は9.1%増)だった。化学や冶金などがプラスを維持したのに対して、自動車など一部でマイナスに転じ成長は鈍化した。非製造業では小売りが2.6%増(同7.7%増)にとどまるなど、全体として減速基調が鮮明になっている」
製造業が、戦時経済の影響を受けて伸び率が鈍化している。非製造業も同様に鈍化している。戦時経済の限界が鮮明になった形だ。
(2)「GDPはプラス成長を維持したものの3年ぶりの低水準だった。ロシアは22年2月にウクライナ侵略を開始し、同年のGDPは米欧諸国の経済制裁の影響で2年ぶりのマイナス成長となった。23、24年は戦時経済下で軍需がけん引するかたちで4%超のプラス成長を維持していた」
戦時経済は、短期的にGDPを押し上げるが、生産性向上につながらないこと。民間部門を圧迫するので、インフレを悪化させるという構造的な弱点を抱えている。25年ロシア経済には、これが現れたものだ。
(3)「プーチン大統領は、3日の経済問題に関する政府会合で、25年のGDP成長率の鈍化に言及し「インフレ抑制に向けた対応」が影響したと説明した。ロシア中央銀行は、戦時下の人手不足などで物価上昇圧力が高まったことを受け、23〜24年にかけて政策金利を段階的に引き上げ、24年10月には年21%とした。中銀はインフレが落ち着いてきたとして25年6月の会合では22年9月以来となる利下げに踏み切った。金利は低下基調ではあるものの、足元の政策金利は16%と高水準が続く。政権幹部や産業界からは中銀の引き締め姿勢を批判する声が相次ぐ」
足元の政策金利は、16%と高水準が続いている。これでは、民間経済が窒息させられる事態になって当然だ。継戦能力は、確実に低下している。
(4)「金利負担が重荷となり消費や企業活動に影響を及ぼしている。ロシア産業貿易省によると、25年の新車販売台数は約132万台で24年比で15%減少した。購入者の多くは高額な自動車の購入にローンを利用しており高水準な金利は負担が大きい。ロシアメディアによると、販売ディーラーの約3分の1が深刻な財政難に陥っているか、事業停止の危機にひんしているという」
新車販売台数が、高金利によって減少している。販売ディーラーの約3分の1が、深刻な事態を迎えている。
(5)「ロシアは、26年1月から付加価値税(VAT)を2%増税し、従来の20%から22%に引き上げた。財務省は増税理由について、国防や安全保障への資金拠出のためと説明する。増税が、鈍化傾向にあったインフレを再燃させる可能性もある。シルアノフ財務相は付加価値税率引き上げによるインフレへの影響について「1%と評価している」と指摘した」
1月から付加価値税(消費税)が、2%増税して22%になる。戦費調達の一環である。こうして、物価上昇へ跳ね返り消費を圧迫する。戦時経済の典型的パターンである。





