勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: ウクライナ経済ニュース時評

    あじさいのたまご
       

    トランプ米大統領は2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、記者団の前でロシアへの対応などを巡り激しい言葉の応酬が相次いだため、ゼレンスキー氏は合意文書に署名せず、トランプ氏の指示でホワイトハウスを後にした。この事態に、ロシアは大喜びという奇妙な構図をみせた。

    『ブルームバーグ』(3月1日付)は、「米ウクライナ首脳会談は決裂、資源取引で署名至らずー激しい口論の末」と題する記事を掲載した。

    ロシアとの合意を目指すトランプ氏の取り組みに、ゼレンスキー氏が疑問を呈したことで、会談は冒頭から激しい応酬となった。今回の会談は両首脳の結束を示す場となるはずだったが、ゼレンスキー氏はテレビカメラの前で米国側と衝突する格好となり、ホワイトハウスを後にした。


    (1)「ロシアのプーチン大統領とのディールを目指すトランプ氏は資源取引について、米国の対ウクライナ支援への見返りとして必要な一歩だと位置づけていた。トランプ氏は、ゼレンスキー氏がホワイトハウスを去る直前、自身のソーシャルメディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルに投稿。「彼はこの大切な大統領執務室で米国を侮辱した。平和を受け入れる準備ができたら戻ってくればいい」と突き放した」

    両首脳の会談に、バンス米副大統領までが口を挟む「大混戦」になった。ゼレンスキー氏の本音は、ロシア寄りではなくウクライナの痛みを知ってくれという切なる願いが込められていた。今回の会談決裂について、欧州側はウクライナ支持の声が強い。

    (2)「ゼレンスキー氏は、計画されている取引がロシアのさらなる侵略を抑止するのに十分だとは思わないと発言。「プーチンがやめることは決してなく、さらに先へと進むだろう」とし、「ウクライナ人を憎んでおり」、ウクライナを破壊したいと考えていると述べた。資源合意については「それは可能だが、それだけでは十分ではない」と語った。この発言が、トランプ、バンス正副大統領の怒りを招いた。自らの考えを主張しようとするゼレンスキー氏を両氏は厳しく非難。大統領執務室でのこうした態度は失礼であり、3年にわたる流血の惨事を終結させることを阻んでいると断じた」

    今回の会談決裂は、米国側が資源開発協定についてその意図と、ウクライナの安全保障について説明していないことが理由であろう。米国は、「言わなくても分っているだろう」という暗黙の理解を求めていた。ウクライナは、「暗黙知」でなく「形式知」にしてくれと言うすれ違いだ。強者と弱者の立場の相異でもある。


    (3)「トランプ氏は、「このようにビジネスを行うのは非常に難しいだろう」とゼレンスキー氏に述べ、同氏が取引を実現できるか分からないと発言。「もっと感謝すべきだ。言わせてもらうが、あなたにはカードがないからだ。われわれがいればカードがあるが、われわれがいなければあなたにカードは一切ない」と語った。また「あなたは第3次世界大戦のリスクを冒しているようなもので、あなたがやっていることは、この国に対して非常に失礼なことだ」と指摘。「あなたが取引に応じるか、それともわれわれが取引から抜けるかだ。もしわれわれが取引しなければ、あなたは徹底的に戦うことになる」として、厳しい状況に追い込まれるとの考えを示唆した」

    トランプ氏は、怒り心頭に発する表情をみせた。この怒りが収まるには、フランスか英国が仲介しなければ難しいであろう。

    (4)「トランプ氏は、ゼレンスキー氏がプーチン氏に対して「非常に強い憎悪」を抱いていると述べ、その怒りが合意を妨げているとの考えを示唆。「私は誰よりもタフな人間になることができるが、そのようなやり方では決して物事を成し遂げられないだろう」と述べた。またゼレンスキー氏が、米国は領土を海に囲まれているためロシアからの差し迫った脅威に直面しておらず、トランプ氏は問題を理解していないとの見方を示唆すると、両首脳のやり取りはさらに激しさを増した」

    ゼレンスキー氏が、プーチン氏に対して「非常に強い憎悪」を抱いているとの指摘は事実だ。ゼレンスキー氏が、この感情を抑えてロシアとどこまで冷静に交渉するか。米国のような強者でなければ、和平交渉が困難であることを浮き彫りにした。


    (5)「トランプ氏は、「われわれがどう感じるかをあなたが指図できる立場にはない」と述べ、「あなたは今、良い状況にはない。とても悪い立場に自らを追い込んでいる」と続けた。バンス氏は、「一度でも感謝の気持ちを伝えたことがあるのか」と問いかけ、「米国、そしてあなたの国を救おうとしているトランプ大統領に感謝の気持ちを表すべきだ」とゼレンスキー氏に詰め寄る場面もあった」

    バンス発言が、トランプ氏の怒りに油を注ぐ形になった。おべんちゃらを言ったのだ。

    (6)「公の場でゼレンスキー氏が受けたトランプ氏とバンス氏からの屈辱は、ロシアが予想していた以上のものだった。欧州高官の1人は、ここで笑っているのはロシアのプーチン大統領だけだと述べた。ロシア安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ前大統領は、トランプ氏がゼレンスキー氏に対し「面と向かって真実を語った」とし、「しかし、それだけでは十分ではない。軍事援助は停止されるべきだ」と主張した」

    ロシアの喜びは、自ら戦争終結能力がなく米国へ頼っている実状をさらけ出している。米国の言うままになりそうな雰囲気でもある。本来なら、ロシアは沈黙している立場だ。それを忘れている点に、ロシアの苦境ぶりが浮き上がっている。




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    米国トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼ぶなど、両国関係は険悪化したが、ウクライナの鉱物資源開発問題は最終合意が成立。28日、ゼレンスキー氏が訪米して正式調印の運びとなった。「雨降って地固まる」感じだ。

    『フィナンシャル・タイムズ』(2月26日付)は、「ウクライナ、鉱物資源巡り米と合意」と題する記事を掲載した。

    ウクライナは、鉱物資源を巡る協定の条件について米国と合意した。ウクライナ当局者らは、これによりトランプ米政権との関係が改善し、米国による長期的な安全保障への関与に道筋が立つことを期待している。

    (1)「ウクライナ当局者らは、石油・天然ガスを含む鉱物資源の共同開発に関する協定に署名する用意が整ったと明らかにした。資源採掘などで得られる収入から5000億ドル(約75兆円)の支払いを受ける権利を求めていた米国が要求を取り下げたという。最終草案に安全の保証は明記されていないが、当局者らは交渉ではるかに有利な条件が得られたと主張している。また、戦争開始から3年が経過するなかで、協定はウクライナの将来のために米国との関係を拡大させるものだと当局者らは捉えている」

    鉱物資源の共同開発に関する協定が、ウクライナの将来のために米国との関係を拡大させるものだとしている。米国の支援が、約束されたのだろう。


    (2)「交渉を率いたウクライナのステファニシナ副首相兼司法相は25日、「鉱物に関する協定は全体の構図の一部分にすぎない。私たちは米政権から何度も、これはより大きな構図の一部だと聞かされている」とフィナンシャル・タイムズ(FT)に語った。この問題について知るウクライナ当局者は同国のゼレンスキー大統領が28日に米首都ワシントンを訪れてトランプ大統領と会談し、協定を正式に締結する計画だと明らかにした」

    鉱物に関する協定は、全体の和平構図の一部分にすぎないという。文書にされていない部分で、ウクライナは米国から「保証」を得たのだろう。米国は、ウクライナ和平が正式調印するまで全貌を明かさないのかも知れない。「口約束」で終ると、ウクライナは大損になる。

    (3)「トランプ氏も25日、「(ゼレンスキー氏が)28日に来ると聞いている。彼が望むならもちろん私は構わない」と述べた。ゼレンスキー氏の訪米を確認したとみられる。2022年のロシアによる全面侵略開始以降に米国から受けた軍事・財政支援を、ウクライナが返す方法として、トランプ氏が提示した当初案には非常に厳しい条件が盛り込まれ、ウクライナや欧州諸国の強い怒りを呼んだ。トランプ氏は19日、当初案を拒否したゼレンスキー氏を「独裁者」と呼び、ウクライナが戦争を始めたかのように非難していた」

    トランプ氏は当初、「ディール」の常套手段で厳しい内容でウクライナへ迫ったのであろう。ウクライナの反応をみて条件を緩めたに違いない。


    (4)「FTが確認した24日付の協定の最終草案によると、ウクライナ国内のプロジェクトに投資する基金が設置される。ウクライナは、石油・ガスを含む国有の鉱物資源および関連インフラの「将来的な収益化」に伴い得られる収益のうち、50%を基金に拠出する。すでにウクライナ政府の財源となっている鉱物資源は対象外となる。石油・ガス生産で同国最大手のナフトガスやウクルナフタの既存事業は含まれないことを意味する。一方、最終草案は、ウクライナ側が当初、取引に応じる見返りとして求めていた米国による安全の保証には全く言及していない」

    肝心の米国による安全の保証に全く言及がないという。米国が、文書化を避けているのはなぜか。文書にして漏洩するのを恐れている面もあろう。それほど、「機微な内容」になっているのか。ウクライナを安心させるものがなければ、あえて鉱物開発協定を結ぶ必要がないからだ。

    (5)「基金に対する米国の持ち分や、「共同所有」の条件といった重要な問題も積み残され、後続の協定の交渉で詰められることになる。米国はこの3年、対ウクライナ軍事支援の主柱となってきたが、トランプ氏は欧州の同盟国やウクライナを交えないロシアとの2国間協議を開始し、米国の政策を転換させている。ウクライナ当局者らによると、合意は司法相や経済相、外相の承認を得ているという」

    合意は、司法相や経済相、外相の承認を得ているという。ゼレンスキー大統領の「独断」でないことが明らかにされている。


    (6)「トランプ政権の当初案は、米側が「100%の金銭的利益を維持する」復興投資基金の設置を求めていた。ウクライナ側は5000億ドルを上限として、石油・ガスと関連インフラを含む鉱物資源の採掘で得られる基金収入の50%を拠出するという条件だった。ウクライナ当局者らがとても受け入れられないとしていたこれらの条件は、最終草案から削除された。ウクライナ国内への投資を基金に義務付けることも、ウクライナ側が求めた変更だ。文書には、ウクライナの将来に向けた経済開発を米国が支援すると記された」

    合意文書には、米国がウクライナの将来に向けた経済開発を支援すると記されているという。この文言が、一つのヒントを与えているのかも知れない。経済開発支援の前提として、安全保障もするという示唆だ。

    (6)「ウクライナ当局者らは、今回の取引は「枠組み合意」であり、基金が設置されるまで収入が移転されることはなく、何らかの見解の相違が生じた場合に解決への時間的余裕があると説明した。懸案の一つは協定の管轄権に関する合意だ。ゼレンスキー政権は、ウクライナ議会の承認を得る必要もある。野党議員らは少なくとも、こうした協定の批准前に白熱した議論を交わす構えだ。レビット米大統領報道官は25日、交渉の進展については触れずに、「この協定が署名されることが極めて重要だ」と語った」

    米大統領報道官は、「この協定が署名されることが極めて重要だ」としている。和平条約後、米国がこれをテコにしてロシアを抑制するのか。切り札だけに、今はすがた形を見せないという隠密主義というのか。即断はできない。




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    米国は、紆余曲折を経てウクライナの鉱物資源の利権50%を獲得する。この鉱物資源譲渡案は最初、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国側へ提案したものだ。それが、米国による安全保障条項がないことで暗礁に乗り上げていた。この最も重要な安全保障問題で、折り合いがついたのであろう。

    『日本経済新聞 電子版』(2月23日付)は、「トランプ氏、資源権益巡り『ウクライナと合意かなり近い』」と題する記事を掲載した。

    トランプ米大統領は22日、ウクライナへの安全保障支援の見返りとして求めている同国の資源権益を譲渡する協定案について「かなり合意に近づいている」との認識を示した。資源権益の獲得でウクライナに拠出した資金を「取り戻す」と主張した。


    (1)「トランプ氏は、ワシントン近郊で開かれた保守政治活動会議(CPAC)で70分あまり演説した。トランプ氏は紛争終結後の安全保障支援を確約する条件として、レアアース(希土類)などの権益譲渡をウクライナのゼレンスキー大統領に迫ってきた。トランプ氏は「米国が負担した分の見返りとして、何かを与えてほしい。戦争を終わらせ、すべての死を終わらせたい」と主張。「レアアースや石油など手に入るものは何でも要求している。公平ではないからだ」と自説を唱えた。米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)によると、ロシアが侵略を始めた2022年2月から24年9月までで米国の支援は軍事費だけで約700億ドル(10兆円)に達する」

    トランプ氏は、実利主義者である。「友情」は成立しない人物だ。ギブ・アンド・テイクが基本である。ウクライナが、鉱物資源の利権を50%与えて米国に守って貰うのは、悪い「ディール」でない。日米開戦の糸口は、旧満州を巡る日米の利権争いが導火線である。ウクライナが、米国へ利権を与えることで米国のウクライナ防衛の伏線になろう。


    (2)「協定案は、ベッセント米財務長官が12日のウクライナ訪問時にゼレンスキー氏に提示した。英紙『デーリー・テレグラフ』によると新設する共同投資ファンドを通じ、鉱物、石油、ガスを含む同国の天然資源の50%の権益や、港湾など重要なインフラの運営権を米側に与えるのが柱だった。ゼレンスキー氏は、見返りとなる安全保障供与の条項がなかったことを理由に署名を拒否した。米側は「長期的にはウクライナでの米国の利益がロシアの侵略への抑止力となる」(ベッセント氏)と主張する」

    ウクライナの港湾利権も要求している。これは、米国が黒海で足場を得ようとしている証拠だ。ロシア牽制上で大きな武器になる。

    (3)「米国のウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)は、資源協定を締結すれば「共同投資でウクライナの取り分も大きくなる」と唱えた。たとえば、ロシアの攻撃を受けたアルミニウム加工施設が復旧すれば「米国が輸入する1年分を賄える」と説く。ウクライナのレアアースの多くはロシアの実効支配する東部地域の周辺に埋蔵されている。米フォーブス誌(ウクライナ語版)は23年、同国の鉱物資源の確認埋蔵量の7割は東部のドネツク、ルガンスクなど3州にあると推定した」

    ウクライナが、米国と大きく結びつくことは間違いない。これは、安全保障上でも安定要因になる。


    (4)「ゼレンスキー氏は、米国が産業用に使うチタンの40年分を賄える埋蔵量がウクライナにあるとの見解を示す。「ウクライナのチタンを守れば、ロシアにも中国にも多額の金を支払う必要がなくなる」と話す。米紙ワシントン・ポストによると、資産価値の総額は数兆ドルに上るとの試算もある。ウクライナの主要なリチウム埋蔵地のひとつはロシアとの戦線から16キロメートルほどに位置する。協定を結んでも戦闘の前線に近い地域の資源開発にはリスクもある」

    米国が、ウクライナ鉱物資源の50%もの利権を得れば、ロシアが占領しているウクライナ東部の鉱物資源も対象になる。米国は、ロシア軍撤退要求の理屈づけに使えるはずだ。この鉱物資源問題はトランプ氏の実利主義に基づくが、意外な展開の契機になりうるであろう。


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    ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、トランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)とキーウで会談し、ロシアの侵攻が続くウクライナの戦争終結を巡り協議した。ゼレンスキー氏は会談後、「ウクライナは投資と安全保障に関し、(トランプ)米大統領と強力で効果的な合意を結ぶ用意がある」とX(旧ツイッター)に投稿した。

    『時事通信』(2月21日付)は、「トランプ氏と『合意の用意』ウクライナ大統領 米特使と会談」と題する記事を掲載した。

    (1)「会談は、ロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏が、ゼレンスキー氏に対する批判を強める中で行われた。ゼレンスキー氏は、これ以上亀裂が深まるのを回避しようとしたとみられ、「実り多い会談だった」と強調し、米国の支援に謝意を表明した。また、同氏はトランプ氏との合意に向けて「最も迅速で建設的なやり方を提案している」と説明。「強固なウクライナと米国の関係は全世界の利益になる」と訴えた」

    ゼレンスキー氏は、妥協する形で米国からのウクライナ鉱物資源の権利50%譲渡を認めた形だ。これに先立ち、米ホワイトハウスはウクライナが米国非難をやめて鉱物協定に署名するべきだと明らかにしていた。


    『中央日報』(2月21日付)は、「米ホワイトハウス『ウクライナは米国を非難せずレアアース供給協定にサインを』」と題する記事を掲載した。

    ウォルツ米大統領補佐官は20日(現地時間)、FOXニュースのインタビューで、ゼレンスキー大統領が米国の軍事支援の見返りに米国にレアアース(希土類)を供給するという協定に署名するのを避けている点を指摘し、「ここ(ワシントン)には多くの不満がある」と述べた。

    (2)「ウォルツ補佐官は、トランプ大統領だけでなくJ・D・バンス副大統領、ベッセント財務長官も先週、ゼレンスキー大統領との会談後「失望する」と話した。ウォルツ補佐官は、「米国はウクライナにこれ以上は望めない最高の安保保障を提供できる驚くほどの歴史的機会を提供した」とし「なぜ我々がこのような反発を受けているのか、米国がウクライナのためにしたすべてのことに対してメディアで『誹謗』を浴びせるのは容認できない」と話した。続いて「彼らは非難の声を低めて綿密に検討した後、取引に署名しなければいけない」と主張した。トランプ大統領は、ロシアが2022年2月にウクライナを侵攻して以降ワシントンが提供した経済的、軍事的支援に対する見返りの一環として、キーウが米国に約5000億ドル相当のレアアースを提供することを望むと述べた」

    今週初めにサウジアラビアで開かれた米ロ高官協議で、ウクライナが除外されたことで、米国とウクライナの間で葛藤が深まった。トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領について「選挙をしない独裁者」とし「ぞっとする」と非難しエスカレートした。


    『フィナンシャル・タイムズ』(2月18日付)は、「トランプ米大統領が狙うウクライナの鉱物資源」と題する記事を掲載した。

    トランプ米大統領が12日、ウクライナに「援助の見返りに鉱物資源」を提案したことで、同国に大量に眠る希少な鉱物資源にスポットライトが当たった。米政府は過去の軍事支援への見返りとして、こうした資源の提供を求めている。

    (3)「ウクライナには最大で11兆5000億ドル(約1750兆円)相当の重要鉱物が眠る大きな地下鉱床がある。リチウムや黒鉛、コバルト、チタン、そしてスカンジウムといったレアアース(希土類)など、防衛から電気自動車(EV)まで様々な産業にとって不可欠な資源を持つ。欧州では珍しいこうした鉱床の確認は、安定した政府の司法管轄下でさえ何年もの時間がかかる。にもかかわらず、ウクライナではそうした大規模な探査や開発はされていない。埋蔵資源の質に関するデータも不足している。これは何百万ドルもの資金を新たな鉱山につぎ込む前に投資家が必要とする情報だ」

    ウクライナは、米国が不可欠とする鉱物資源が豊富である。これまで、ウクライナでは大規模な探査や開発もされていないのだ。約1750兆円とされる鉱物資源は、ソ連時代の探査結果に基づく評価である。


    (4)「ウクライナ政府の数字によると、ウクライナの地中には電池生産に使われるリチウムの世界埋蔵量の推定10%が眠っている。鉱床は約820平方キロメートルの範囲に及ぶようだが、これまでに採掘されたものは一つもない。まだ採掘されていないスカンジウム、そしてジェットエンジンに使われるジルコニウムの確認埋蔵量も大きい。半導体に使われるタンタルと超電導の特性を持つニオブ、航空宇宙産業で使われる金属ベリリウムについては一部の鉱床で小規模な採掘がされているが、こうした資源の可能性は膨大だとウクライナ政府関係者は話している」

    半導体に使われるタンタル、超電導の特性を持つニオブ、航空宇宙産業で使われる金属ベリリウムまで、垂涎の的になる資源ばかりだ。

    (5)「ウクライナ政府関係者によると、ミサイルや航空機、船舶に使われるチタンの埋蔵量でもウクライナは世界上位10位に入る。しかし、確認埋蔵量の約10%しか開発されていない。ウクライナのシュミハリ首相は2月初旬、同国は欧州のロシア産チタンの輸入を代替できると主張した。だが、ウクライナ地質調査所(UGS)のトップを務めたロマン・オピマク氏は2月中旬、ウクライナの埋蔵レアアースに関する「新しい分析評価はない」と述べ、推定埋蔵量は古い旧ソ連時代の研究に基づいていると指摘した」

    米戦略国際問題研究所(CSIS)ディレクターのグレースリン・バスカラン氏は、鉱物資源に関する言動は「大げさな政治的ポーズで(中略)データは最新ではなく、何がそこにあるかについての情報がほとんどない」と語っている。最新データはないのだ。



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    中国は、これまでロシア経済を裏から支援し輸出で稼いできた。だが、ウクライナ和平が急進展する気配から、今度はウクライナへ接近して復興需要を狙う動きをみせている。なかなかの「商売人」である。ウクライナをできれば、「一帯一路」へ組入れたいとしている。ウクライナが、こういう誘いに乗るとも思えないだが、中国は「ビジネス第一」を掲げ始めた。

    『日本経済新聞 電子版』(2月17日付)は、「中国、ウクライナ巡る米ロ接近警戒 復興需要に期待も」と題する記事を掲載した。

    中国の習近平指導部は、ウクライナの戦争終結に向けた交渉開始で合意した米国とロシアの接近を警戒する。貿易やエネルギーで蜜月状態にある中ロ関係に影響しかねないからだ。トランプ米大統領が、意欲を見せる核軍縮の協議にロシアが応じれば、中国の軍拡路線に支障が出る可能性もある。


    (1)「中国の王毅共産党政治局員兼外相は14日、「平和に向けたあらゆる努力を歓迎する」と訪問先のドイツ・ミュンヘンで述べた。13日には英ロンドンでラミー英外相に「欧州を含む関係者と協力し、建設的役割を果たす」と伝えた。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』電子版は12日、中国政府関係者がこの数週間、停戦に向けてトランプ米政権に米ロ首脳会談を提案していたと報じた。停戦後の平和維持活動への支援にも意欲を示したという」

    中国は、ロシアへ非武器製品を輸出して儲けたが、今度はウクライナの復興需要を狙っている。「二股ビジネス」である。

    (2)「中国は、ロシアによるウクライナ侵略は地域情勢を緊迫させかねないと訴え、政治的な解決を求めてきた。双方に対話を促すため両国や周辺国へたびたび特別代表を派遣した。中立的な立場を唱える一方、ロシアから石油やガスの購入を増やして同国の戦費を事実上支えた。兵器の製造に欠かせない電子部品や半導体、工作機械も供給した。安価なエネルギー調達と対ロ輸出の拡大は中国の利益に沿う。対立する米国が、ウクライナ危機と中東問題という二正面の対応に追われ、対中抑止に割く余力が弱まるとの算段もあった」

    中国は内心、米国がウクライナ支援で手間取っていることを願っていた。だが、トランプ政権へ代わって、ウクライナ和平は電光石火で動いている。米国の手の内が読めないので、ウクライナへ接近しているのだ。


    (3)「ウクライナ戦争が、終結すれば米欧が対ロ制裁の緩和に動き、ロシアの対中依存度が下がる可能性がある。中ロ関係筋は「戦争状態が続くことを中国は内心、望んでいる」と話す。中国がより警戒するのが米ロの接近だ。習指導部は米国との戦力差を埋めるため、核戦力を急ピッチで増強している。トランプ大統領が打ち出した核軍縮の協議にロシアが応じれば、中国の軍拡継続に影響が及びかねない」

    米国は、ウクライナ和平を利用して「中ロ関係」へ割って入る意向をみせている。中国からロシアを引離す戦略だ。ロシアを「G8」へ復帰させるなどと「エサ」を撒き始めている。米国の狙いは、中国の孤立にある。

    (4)「ロシアは、中国の対米戦略の要だ。中ロは新興国の枠組みであるBRICSや上海協力機構(SCO)の加盟国拡大を主導してきた。経済協力をテコに友好国を結集し、米国に対抗できる勢力をつくる「多極化」戦略の一環だ。ウクライナの停戦交渉が、米ロ主導にならないよう欧州などの関与を唱える。王毅氏は15日、ミュンヘンでウクライナのシビハ外相と会い「公正で全ての当事者が受け入れられる和平協議を望む」と述べた」


    中国が、自らの国力衰退リスクを忘れて、大国意識で振る舞っている。BRICSの「頭目」を目指しているが、一枚岩でない。インドというライバルが控えているのだ。

    (5)「中国にとって停戦は、好機でもある。ウクライナの復旧や復興に伴うインフラ整備の需要を広域経済圏構想「一帯一路」で取り込めるとみるからだ。農業国ウクライナとの関係強化は食料安保の観点からも理にかなう。北京の外交筋は「中国が『建設的役割』を果たそうとしているのは停戦後の再建事業においてだろう」とみる」

    ウクライナが、中国の「一帯一路」へ参加することなどまずあり得ない。ロシアのウクライナ侵略では、一方的にロシアの肩を持ってきたからだ。こういう不条理なことをしながら、今度はウクライナを味方へ引き寄せようしている。余りにも「非常識」な振る舞いだ。



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