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ドイツ政府はこれまで、対ロシア経済関係を重視して、ウクライナ問題で逃げ腰姿勢を見せてきた。だが、2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナへの積極支援に変わっている。以前は、ウクライナの武器供与の要請を断わり、ヘルメット5000個を送り、嘲笑されるほど危機に鈍感であった。

 

『ロイター』(2月27付)は、ドイツのベーアボック外相が、中国の王毅外相との電話会談で、ウクライナに関する中国の「特別な責任」を強調した。ドイツ外務省が26日にツイッターで明らかにしたもの。

 

ドイツ政府が、中国に対して間接的に中国政府の責任を問う姿勢にまでなっている。プーチン氏が、ウクライナを「ヒトラー」呼ばわりしていることへの反発も手伝い、中国へ間接的な異議を伝えたのであろう。

 


ドイツはこれだけでない。ドイツ運輸省は、自国の空域からロシアの航空会社を締め出す準備を進めていることを明らかにした。ARDが複数の関係者を引用して報じたところによれば、EU全体でこれに追随する可能性がある。『ブルームバーグ』(2月27日付)が報じた。ロシア航空機をドイツ空域から締め出すとは、思い切った行為である。EU全体が、このドイツの措置に追随すれば、ロシア航空機はEUへの乗り入れが困難になる。

 

『ブルームバーグ』(2月27日付)は、ドイツは紛争地帯に兵器を送らないという従来の方針を転換し、ウクライナに携行式地対空ミサイル「スティンガー」などを送ると発表した。外国への兵器供給は長年維持してきたドイツの方針を転換するもので、ロシアのプーチン大統領が指示したウクライナ侵攻に対する憤りを浮き彫りにした。ドイツ政府の26日声明によれば、ドイツ製ロケット推進手りゅう弾(RPG)400本と装甲兵員輸送車14台がオランダ経由で、1万トンの燃料がポーランド経由でウクライナに供給される。追加供給も検討中だという。

 


ドイツ政府は、ウクライナへドイツ製ロケット推進手りゅう弾や装甲兵員輸送車装甲兵員輸送車を供給する。さらに追加供給も検討中という。ロシアの野望粉砕に全力投球である。

 

『ブルームバーグ』(2月27日付)は、「ドイツ首相、国防費の大幅増額を表明ーウクライナ危機で歴史的転換」と題する記事を掲載した。

 

ドイツのショルツ首相は27日、国防費を大幅に引き上げる計画を発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、歴史的な政策転換に踏み込む。

 


(1)「同首相は連邦議会(下院)で演説し、軍の強化に向けた基金に今年1000億ユーロ(約13兆円)を振り向ける方針を示すとともに、政府は2024年までにGDPの少なくとも2%相当を国防費に毎年充てると表明した。北大西洋条約機構(NATO)は国防予算についてGDPの2%相当を目標としているが、ドイツは未達に終わることが多かった」

 

ドイツは、これまで防衛費のGDPの2%目標を達成せず、米軍駐留に依存してきた。今回のロシアによるウクライナ侵攻で、目が覚めた感じである。ウクライナへの積極支援が、ロシアの野望を阻止する試金石と見ているに違いない。

 


(2)「ポーランドのドゥダ大統領は同日、ショルツ氏の演説について、ウクライナ支援と国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークからのロシアの一部銀行排除とともに「ロシアによる侵攻の阻止に向けた重要な一歩」だとツイート。「共に行動することだけが、ロシアのプーチン大統領の帝国的野心と戦争を止めることができる」とコメントした」

 

ポーランドは、これまでロシアの暴政を経験しているだけに、対ロ姿勢では厳しい姿勢だ。ドイツも旧東ドイツは、旧ソ連の占領地であった。だが、ロシアに対して経済的利益優先で妥協しすぎたと言える。その「反省」が今、ドイツを襲っているのであろう。

 


(3)「ポーランドのヤブウォンスキ外務次官はワルシャワでの記者会見で、プーチン大統領を孤立化させることが侵略を止める唯一の手段であるため、ロシアへの圧力を続ける必要があると指摘。「われわれにはまだなすべき多くのことがあるが、その一つがベラルーシを制裁対象とすることだ。ベラルーシはロシアの同盟国だ」と述べた」

 

ポーランドはベラルーシをロシア衛星国と見ている。このベラルーシを、制裁対象に加えるように主張している。

 


(4)「ポーランド政府のムラー報道官は同じ記者会見で、同国のモラウィエツキ首相がショルツ独首相と26日にベルリンで会談し、ロシアからの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の「2」に続き「1」も停止するよう主張したことを明らかにした。ポーランドは「ロシアのプロパガンダ」拡散が疑われるウェブサイトを閉鎖する方針。ポーランド首相府トップのドボルチク氏は、人道支援でウクライナに1日当たり2本の列車を向かわせ、帰還する列車に難民を乗り込ませることを明らかにした

 

ポーランドは、ウクライナ避難民を積極的に受入れる方針だ。ウクライナへ、1日当たり2本の列車を向かわせ受入れる。国連では、40万人程度の避難民が出ると予想している。ポーランドが、ベラルーシ制裁を主張するのも当然であろう。