ロシアのプーチン大統領が12月22日、国家評議会の会合に出席後、モスクワで記者団の取材に「我々の目標は軍事紛争を拡大させることではなく、逆に戦争を終結させることにある」と発言した。プーチン氏が、ウクライナでの紛争を「戦争」と表現したことに対し、波紋が広がっている。プーチン氏は、ウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と位置づける情報発信を行なっており、こうした方針から公の場で逸脱するのは侵攻開始後10カ月で初となる。
『中央日報』(12月24日付)は、「プーチン露大統領、ウクライナ戦争を初めて『戦争』と規定」と題する記事を掲載した。
ロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争を初めて「戦争」と規定した。ロシアはプーチン大統領の主導で開戦以降ウクライナ戦争を「特別軍事作戦」と表現し、「戦争」と呼ぶ人たちを処罰してきた。ところがプーチン大統領本人が公式的に「戦争」という言葉を使用し、ロシア内で「ダブルスタンダード」という非難が続いていると、『ワシントンポスト』(WP)が22日(現地時間)報じた。
(1)「プーチン大統領は22日の記者会見で「我々の目標は軍事的衝突を続けることでなく、できるだけ早期に『戦争』を終わらせることだ」と述べた。プーチン大統領は2月24日、「ウクライナ内に特別軍事作戦を遂行する」として開戦を知らせて以降、ウクライナ戦争を「特別軍事作戦」と表現してきたが、この日初めて「戦争」という言葉を使用したのだ。
WPは、プーチン大統領をはじめとするロシア政府が「特別軍事作戦」という用語を使用したのは今回の戦争が少数の専門軍人に限られた「作戦」という点を強調しようとしたためだ、と分析した。ここには戦争に対するロシア市民の懸念を緩和しようという目的がある」
ロシアが、ウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と呼んでいるのは、短期に終了することとウクライナを懲罰するという意味が込められている。現在は、目算外れに陥り「国難」に遭遇している。
(2)「さらに、政府の表現方針に反対する人たちを処罰し、口をふさいだ。ロシア議会は3月、ロシア軍運用に関する虚偽情報を流布する場合は最大15年の懲役刑とする刑法改正案を通過させた。プーチン大統領がこの改正案に署名して発効した改正案を通じて、ロシアでウクライナ戦争を「戦争」と呼ぶことは事実上不法になった。WPによると、刑法改正案が採択された後、「戦争」だと反論した多くのロシア人と独立メディアなどが処罰を受けた」。
ロシアは、ウクライナ侵攻を「戦争」と呼ぶことを法律で禁じている。違反すれば、懲役刑という厳しい処罰だ。プーチン氏は、自らこの法律に違反したことになる。
(3)「10月までウクライナ戦争に関連してロシア政府を批判したり「戦争」に言及して虚偽情報流布などの容疑で起訴されたケースは5000件を超える。うち、最高15年の懲役刑を言い渡された人も100人以上だ。実際、ロシア野党圏のイリヤ・ヤシン氏は9日、ウクライナでのロシア軍による民間人虐殺を批判した容疑で懲役8年6月を言い渡された。7月にはモスクワ中部クラスノセルスキー区の議員アレクセイ・コリノフ氏が、議員会議で戦争犠牲者を追悼するために黙祷したという理由などで懲役7年刑となった」
「戦争」と発言して起訴されたケースは、5000件を超える。最高15年の懲役刑を言い渡された人が、100人以上もいるのだ。こういう厳しい法律がある以上、プーチン氏を「無罪放免」とは行くまい。さて、どうなるか。
(4)「ロシア内部でもプーチン大統領の発言をめぐり「ダブルスタンダード」という声が高まっている。ロシア野党圏の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の同僚ゲオルギー・アルブロフ氏はこの日、ツイッターで「コリノフ氏はロシアのウクライナ侵攻を戦争と表現して懲役7年刑を言い渡された」とし、「コリノフ氏を釈放するか、プーチンを7年間監獄に閉じ込めるべきだ」と批判した。サンクトペテルブルクの市会議員ニキータ・ユペレフ氏もツイッターで「数千人が戦争だと表現し、フェイクニュースを広めた容疑で起訴された。同じ理由でロシア検察総長にプーチン大統領を起訴するよう要請する訴状を送った」と伝えた」
プーチン氏の「戦争」発言は結局、最高権力者ゆえにウヤムヤになるであろうが、後から問題になる一件である。プーチン氏が落ち目になったとき、この法律が適用されることになりかねないのだ。歴史とは、こういうことが後に大問題になる例があるから要注意である。