習近平氏が国家主席に就任以来、中国の行動は世界の価値観と逆行している。ゼロコロナ政策も、その一つである。欧米の有効なワクチンを導入せず、国産の効かないワクチンに固執した結果が、前代未聞の完全な都市封鎖である。こういう非常識国家で、これ以上のビジネス継続は困難。こういう在中の欧州企業は、23%が撤退を検討し始めている。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』(5月5日付)は、「中国の欧州企業、厳しいコロナ規制に23%が撤退検討」と題する記事を掲載した。
中国に進出する欧州企業トップらは、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込める中国政府の「ゼロコロナ」政策が対中投資のネックになっていると警鐘を鳴らした。実際、厳しいロックダウン(都市封鎖)により、国内のサービス業の業況は2年ぶりの水準に落ち込んでいる。
(1)「在中国欧州連合(EU)商工会議所が5日発表した緊急調査によると、中国から別の地域に投資を振り向けることを検討している欧州企業は4月下旬時点で年初の2倍に増えた。同会議所のイエルク・ブトケ会頭の説明では、中国からの撤退を検討している企業は回答した372社の約23%と過去10年で最も高い割合だ。約78%は厳しいコロナ対策のせいで中国の投資先としての魅力が薄れていると答えた。ブトケ氏は「世界はコロナとの共生を学んでおり、ゼロ・トレランス(不寛容)はうまくいかない。中国は戦略を変えるべきだ。変えないなら我々は行動で示す、と中国政府に伝えようとしている」と語った」
中国のゼロコロナは、西欧的な価値観に従えば理解不能な「人権無視」である。欧州では、中国がロシアのウクライナ侵攻に声援を送るのを理解できずにいる。それと同様に、ゼロコロナも理解不能である。欧州企業は、こういう中国でビジネスを継続することが不可能と考えるのであろう。「郷に入れば郷に従え」にも限界があるのだ。
(2)「調査が発表される直前には、米アップルや独フォルクスワーゲンをはじめ数十社が中国のロックダウンにより、部品などの供給に支障が出る恐れがあると相次ぎ警告を発した。企業はゼロコロナ政策の脱却に向けた工程表を求めているとブトケ氏は言う。「中国市場は予測可能性を失った。それが中国の強みであり、政策は常に合理的だった。今はまるでもぐらたたきのようだ」
中国が、世界のサプライチェーンを担っている以上、ゼロコロナは実施不可能な筈である。中国には、そういうグローバルという認識が存在しない独り善がりな国である。
(3)「同氏によると、ロシアのウクライナ侵攻に対し中国が「高みの見物」を決めているのも企業心理を悪化させている。調査では回答企業の7%が戦争を理由に中国からの投資の引き揚げを検討していると答えた」
中国による、ロシアのウクライナ侵攻支持を理由にして、調査企業の7%が中国からの投資撤退を検討している。中国が、地政学的リスクを抱えているからだ。ウクライナ侵攻が、欧州企業から見て、それだけ深刻な事態を意味する。中国株が、外資に売られている理由も同じである。
(4)「ロックダウンの経済活動への影響は、5日に発表された中国の4月の財新非製造業購買担当者景気指数(PMI)にも表れている。新規受注や生産などの前月比の増減を企業に尋ねて算出するものだ。4月は36.2と、3月の42から急低下した。約2年ぶりの低水準で、2005年の調査開始以来、2番目に大きい落ち込み幅だった。財新智庫のシニアエコノミスト、王喆氏は「現在の感染拡大はサービス業界に大きな打撃を与えている」と話す。需要も供給も「激減した」という」
ロックダウンが、中国の非製造業の景況感(PMI)を悪化させている。4月は36.2と、3月の42から急低下している。5月も同様の状況が続くのであろう。
(5)「習近平政権のゼロコロナ政策で数百万人が数週間にわたり自宅隔離を強いられ、国内移動を制限されている。米国のスターバックスやエスティ・ローダー、アップル、コカ・コーラなど多国籍企業数社は中国の厳しい行動制限により、世界最大の消費市場である中国で売り上げが立たなくなると訴えた。400社を対象にした財新の調査では、都市間移動の規制で輸送・原材料コストがかさむ中、企業は需要動向が見通せず値下げを余儀なくされている。コロナ感染者の流入を恐れ、地方当局は通常なら商品が自由に流通する都市間の交通網に厳しい規制をかけている。調査対象企業の中には、需要の急減やコスト上昇を理由に従業員を解雇したと答えたところもある」
下線部の多国籍企業は悲鳴を上げている。中国市場は、規模も大きいのでロックダウンによる影響が大きい。サービス業には、製造業と違って撤退という選択肢はない。
(6)「エコノミストらは、今回のロックダウンはIT(情報技術)企業や自動車メーカーが集中する上海市内やその周辺に集中しているため、2年前に湖北省武漢市から広がった第1波よりもさらに大きな混乱をもたらすと警告している。上海の感染者数はこの2週間で減少し、米テスラなど操業を再開したメーカーもある。中国の金融ハブである上海の感染状況は多少改善したものの、国内各地の企業は絶え間なく変わる当局の感染対策に対応しなければならない状況が続いている。(浙江省)杭州市や武漢などでは、住民は公共交通機関や公共施設を利用したり外食したりするために48時間ごとにPCR検査を受けなければならない」
48時間ごとのPCR検査を受けさせられるのは苦痛そのものだ。有効なワクチンがあれば、こういう無駄な検査をしなくても済む筈である。




