米国が新たに課した制裁は、ロシアの低迷する戦争経済の柱を直撃し、トランプ政権発足以来初めてロシアへの圧力で欧州と足並みをそろえた。米国は、ロシア最大の石油生産会社ロスネフチとルクオイルを制裁対象に加えた。これが今後、どう影響するか三つの要因にかかっている。1)制裁がどれだけ順守されるか、2)インドと中国の主要市場の反応、3)ロシア政府が制裁を回避できるかどうかだ。
米財務省は、「同盟国にも制裁への参加を求める」と明言しており、これは第三国の企業や金融機関が対象企業と取引すれば制裁対象になる可能性を示唆するとしている。米政府元高官も「問題は、ロスネフチやルクオイルと取引する企業に制裁を科すかどうかだ」と述べており、二次制裁の布石と見る専門家もいる。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月24日付)は、「トランプ氏の石油制裁、ロシア経済の生命線を直撃」と題する記事を掲載した。
米国が新たに課した制裁は、ロシアの低迷する戦争経済の柱を直撃し、トランプ政権発足以来初めてロシアへの圧力で欧州と足並みをそろえた。アナリストによると、米国がロシア最大の石油生産会社であるロスネフチとルクオイルを制裁対象に加えたことがどう影響するかは、三つの要因にかかっている。制裁がどれだけ順守されるか、インドと中国の主要市場の反応、ロシア政府が制裁を回避できるかどうかだ。
(1)「RBCキャピタルマーケッツのグローバル商品戦略責任者ヘリマ・クロフト氏は顧客向けのメモで、米国による新たな制裁は「ロシアの戦費調達を断つための米国の動きとしては、これまでで最も重要なものだ」と指摘。「トランプ政権が今の言葉を実行に移せば、米資本市場へのアクセスを維持したい製油業者はロシア産原油を断念するだろう」と述べた。欧州連合(EU)は23日に新たな対ロ制裁を承認した。ロシア産の液化天然ガス(LNG)の購入を段階的に停止するほか、軍事物資に対する制裁の回避や石油貿易でロシア政府を支援している外国企業37社を制裁対象にする内容だ。香港と中国の企業15社に対する貿易禁止や資産凍結も盛り込んだ」
「米資本市場へのアクセスを維持したい製油業者はロシア産原油を断念するだろう」というのは、二次制裁を恐れている結果だ。この動きが広がれば、効果は出るであろう。EUも23日から制裁を拡大した。香港と中国の企業15社に対する貿易禁止や資産凍結も盛り込んだ。
(2)「トランプ氏が制裁導入を決めたのは、米政府が求める現在の前線でのウクライナ即時停戦と和平交渉をロシア政府が拒否した後だった。トランプ氏はかねて、ロシア経済への支援を続ける中国に経済的打撃を与えるよう欧州に求めてきた。EUが2024年に購入したロシア産LNGは70億ユーロ(約1兆2400億円)相当と過去最高だった。制裁発表を受けて原油価格は23日に上昇。トレーダーは制裁措置が世界の供給を混乱させる可能性を懸念している」
中国も二次制裁を警戒して、ロシア産原油購入をストップした。二次制裁は、米銀との取引を禁止されるだけに痛手になる。ドルが、基軸通貨である結果だ。
(3)「中国外務省は、中国企業に対するEUの制裁は違法だと述べ、大半の国はロシア政府との貿易を続けるとの見方を示した。石油輸出の減少は、ロシア政府の戦争資金源を直撃する。エネルギー収入は、同国の歳入の最大3分の1を占めるためだ。制裁で物流と決済にも支障が出て、ロシア産石油の利益率は縮小するとみられる。ロシア経済は現在、不安定な状態にある。3年以上にわたって西側諸国から制裁を受け、労働力不足や高金利、戦時下の緊縮財政が重荷となり、成長はここ数カ月鈍化している。政府は拡大する財政赤字を増税や特別基金で穴埋めしている」
中国は、EU制裁を甘くみている。米国が二次制裁の手を伸せば、そんな「暢気」なことを言っていられまい。
(4)「ロシア経済に耐性があるのは、世界的な価格高騰が起きないよう石油が部分的にしか制裁対象になっていないことが一因だ。これまでの制裁はもっぱらロシア石油産業の長期的な持続性を損なうことを目的としたもので、同国の目先のキャッシュフローへの影響は限定的だった。バイデン前米政権はロシア石油会社3位と4位のガスプロムネフチとスルグトネフテガスを制裁対象にしたが、ロスネフチとルクオイルは対象外だった。この2社は合わせてロシアの石油の約半分を生産している。トランプ政権による今回の措置を受け、ロシアの主要石油会社4社が全て米国の制裁対象となった」
今回の措置を受け、ロシアの主要石油会社4社が全て米国の制裁対象となった。これまでは、トップ1位と2位を制裁対象から除外していた。これで、ロシアは逃げ道がなくなった。
(5)「EUも7月、ロスネフチの主要顧客だったインドの製油所を制裁対象に加え、同社との取引禁止を強化した。英国も先週、ルクオイルとロスネフチに対する制裁を発表した。 ロシアに対する西側の圧力は、ウクライナにとって歓迎すべき救いの手になるだろう。ウクライナには、戦闘を継続できるかどうかは欧州の資金や軍事物資購入、制裁にかかっているとの懸念があった。戦争を終結させる方法についても、米国と欧州の認識の隔たりは狭まりつつある」
EU、英国、米国が揃って対ロ制裁強化に動いている。米国と欧州は、戦争を終結させる方法についても、その認識の隔たりは狭まりつつある。早期停戦が求められている。




