ウクライナ侵攻は、すでに4ヶ月を過ぎた。原油や穀物の価格高騰で国民生活が圧迫されている。フランスでは、総選挙で極右政党が第二党に踊り出るなど波乱含みである。これを受けて、6月26~28日にドイツで開催されるG7首脳会談では、ウクライナ支援で結束を固める方針を打ち出している。
『中央日報』(6月24日付)は、「マクロンが真っ先に打撃、底なしのウクライナ支援で経済的圧迫を受ける欧州」と題する記事を掲載した。
ロシアのウクライナ侵攻によって勃発した戦争が4カ月目を迎えながら欧州が揺れている。これまでロシア報復を目標に単一隊列を誇っていたが、戦争発インフレで経済沈滞が深刻化し、戦争終息と休戦を要求する声が力を増している。
(1)「イタリアでは、ウクライナ支援問題をめぐり連立内閣が崩壊する兆しまで見えている。政府与党である五つ星運動(M5S)の党首であり元首相であるジュゼッペ・コンテ氏は「武器支援は戦争を延長してむやみに犠牲を増やすだけ」としながら「対話・交渉を通した早急な終戦」を主張する。ウクライナ支援を主張するマリオ・ドラギ首相との衝突が続き、コンテ氏に反発した議員が離党して新党を結成すると21日(現地時間)、明らかにした。最近、欧州のシンクタンク「欧州外交問題評議会(ECFR)」の調査によると、フランス・ドイツ・ルーマニアなどで「戦争を最大限早期に終わらせなければならない」という回答(35%)が「ロシアを懲らしめなければならない」という回答(22%)を上回った」
物価上昇が、市民によるウクライナ侵攻へのスタンスに影響を与え始めた。イタリアでは、連立政権に亀裂が入った。フランス・ドイツ・ルーマニアなどの世論調査では、戦争の早期解決派が増えている。
(2)「何よりロシアに対するエネルギー制裁が西側にブーメランとして返ってきている。ドイツは23日、ロシアのガス供給が減少しながらガス非常供給計画を第2段階である「警報(Alarm)」に引き上げた。欧州連合(EU)は身を削る苦痛に耐えてロシア産の石炭・石油禁輸措置に出たが、かえってこれはガス・原油価格を暴騰させてロシアの残高を増やしている。さらにロシアが制裁の応戦として欧州に向かう天然ガスのパイプラインを閉めて黒海を通した食糧輸出を統制すると、各国の物価不安に広がっている」
ドイツのハベック経済相は、天然ガス供給が増えない限り、12月までにガス不足に陥るとの予測を示した。一方、ショルツ首相は22日の議会演説で、G7首脳会談において「プーチン(ロシア大統領)の帝国主義との戦いだけでなく、飢餓、貧困、健康危機、気候変動との戦いでも世界の民主主義国が共にある」ことを示さなければならないと強調。西側が、南半球の途上国との連帯を示さなければ、ロシアや中国が恩恵を受けることになると警告した。
(3)「経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国の今年4月の消費者物価は9.2%上昇した。通貨危機時期だった1998年(9.3%)以降、最高値だ。食料品(11.5%)価格が最も大きく跳ね上がった。ユーロ圏の先月の消費者物価は8.1%、米国は8.6%高騰してすべて40年ぶりの最高値を記録した。いわゆる「プーチンフレーション(プーチン+インフレーション)」の襲撃だ」
OECD38ヶ国の今年4月の消費者物価は、9.2%も上昇した。1998年以来の高騰である。台所への影響は深刻である。
(4)「物価急騰の中で賃金引き上げを要求するデモにも火がついた。英国では鉄道労組が33年ぶりに最大規模のストライキに突入したことに続き、法曹・医療・教育分野の労働者までストライキに参加する兆しをみせている。フランス・スペイン・イタリア・ポルトガルでは航空関連労働者が来月ストライキを予告したほか、ベルギーは20日にブリュッセル空港保安要員のストライキですべての出発航空便が欠航となった。英国の鉄道ストに参加しているある男性は「闘わなければ家賃も暖房費も出すことができない」とし、切迫した心情を吐露した」
物価高騰を背景にして、賃上げ要求も激しくなっている。英国では鉄道労組が、フランス・スペイン・イタリア・ポルトガルでは航空関連労働者が来月ストライキを予告している。
(5)「これによる民心離反にフランス政府が真っ先にダメージを受けた。19日に開かれた総選挙で与党は過半議席の確保に失敗した。フランスの政府与党が過半を獲得できなかったのはこの20年で初めてだ。エマニュエル・マクロン大統領がガス・電気料金の上限ラインの設定などで支持層をつなぎとめようとしたが失敗した。選挙を控えた他の国々も神経を尖らせている。ドイツは10月、民心のマイルストーンと呼ばれるニーダーザクセンで州議会選挙を行う。イタリアは翌年6月の総選挙日程が決まった。米国は11月に中間選挙を控えている」
フランスの総選挙では、極右政党が第二党の議席を占めた。イタリアは来年6月の総選挙日程が決まった。米国は11月に中間選挙を控えている。与党にとっては、物価高の影響が危惧されるところだ。
(6)「ウクライナは切なくSOSを叫んでいる。19日、ドミトロ・クレバ外相は「米国と欧州同盟国はウクライナに迅速に適正な数字の高性能重火器を供給しなければならない」と強調した。また「西側は既存のロシア制裁はそのまま維持しつつも新たな制裁を賦課せよ」と要求した。西側が、大義名分と現実の間で選択の瞬間を迎えたと、海外報道は伝えている。侵略戦争、民間人虐殺など数多くの戦争の罪を犯した「ロシア報復」という名分は明らかだが、自国民の苦痛を無視したまま無制限にウクライナを支援できないためだ。西側はEU首脳会議と主要7カ国(G7)およびNATO(北大西洋条約機構)首脳会議などを相次いで開催しながら内部引き締めとあわせて代案探しに出た」
ウクライナは、さらなる武器の供与を求める切実な声を上げている。西側は、これに応え民主主義の価値である大義を守らなければならない。一方、現実では物価高が襲っている。国民はその不満を我慢できない段階だ。難しい選択の局面にある。