中国は、米国との関税戦争に直面して、欧州へ秋波を送っている。だが、EUは中国とのハイレベル経済・貿易対話に背を向けており、両者間にある深い溝を浮き彫りにしている。EU高官は、首脳会議で実行に移せる合意ができない限り、EU側が経済対話を開くことはない、と語っているほど。
一方の中国は、18日のG7首脳会議の議長総括で、中国による「市場歪曲、過剰生産能力の抑制」求めるとの談話に反発している。議長総括によると、G7首脳は、貿易・産業政策に関する懸念に加え、「中国による東シナ海・南シナ海を不安定化させる活動に対する、進行中の深刻な懸念や、台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」について議論した。中国にはアゲインストの風が吹いている。
『フィナンシャル・タイムズ」(6月17日付)は、「EU、中国との経済対話見送りか 貿易分野で成果見込めず」と題する記事を掲載した。
欧州連合(EU)が7月の首脳会議を前に、中国との重要な経済会議の開催を拒否している。事情に詳しい4人の関係者によると、両者間の多くの貿易交渉に進展がないことが理由という。
(1)「経済対話はEU・中国首脳会議への布石となる場合が多い。関係者によると、2025年の首脳会議は7月24〜25日に中国・北京で開催される見通しで、今回は両者の外交関係樹立から50周年の節目にあたるだけに外交上特別な意味を持つ。関係者の一人は「中国は(経済対話を)望んでいるが、すべての分野の交渉において進展が見られていない」と明かす。匿名を条件に取材に応じたあるEU高官は、首脳会議で実行に移せる合意ができない限りEU側が経済対話を開くことはない、と語った」
今年は、EU・中国の外交関係樹立50周年にあたる。EU側は、すっかり熱が冷めている。中国が約束したことを守らないからだ。米中間のいざこざの原因も、中国の不履行にある。
(2)「EUと中国は、通商面でますます多くの摩擦を抱えている。EUは24年、中国の電気自動車(EV)業界が多額の政府補助金を受けているとして、同国製EVに追加関税を導入した。これを受け、中国側はEU産ブランデーに反ダンピング(不当廉売)関税を課し、豚肉と一部の乳製品についても反補助金調査に乗り出した。これにより関税がさらに引き上げられる可能性もある。EUはここ数週間で、中国製の医療機器をほとんどの公共調達契約から排除し、建築用の中国産硬質合板に対する反ダンピング関税を導入した」
中国は、米国やEUとの貿易面で約束しても守らないというゴタゴタを起こしている。日本は、中国とこういう問題が起らず助かっている。貿易構造が違うからだ。
(3)「関係者によると、米国が4月に打ち出した関税政策への報復として中国が導入したレアアース(希土類)の輸出規制が、緊張を一段と高めている。中国は、電子機器やEVのモーター、風力タービン、防衛用途に使われるさまざまなレアアースの生産・加工をほぼ独占している。中国当局の輸出許可手続きが遅れているため、欧州の一部の生産業者は操業停止に追い込まれる懸念を表明している」
中国は、レアアースの輸出規制を武器にしている。EUは、こういう「小賢しい」中国のやり方を嫌っているのだ。27年から、日本がレアアース輸出国に名を連ねる。南鳥島の深海から、中国内陸部のレアアースよりも20倍もの高品位「レアアース泥」の採掘が始まるからだ。中国の「天下」はそれまでだ。
(4)「経済対話が見送られれば、首脳会議で具体的な成果が得られるとの期待は薄れるだろう。ただ、経済対話の開催は不定期であり、必ずしも首脳会議に先行するわけではないと、別のEU高官が匿名を条件に指摘した。首脳会議は50周年の節目に北京で開催されるにもかかわらず、中国側からは習近平(シー・ジンピン)国家主席ではなく、ナンバー2の李強(リー・チャン)首相が出席するとみられている。EU側はこれを冷遇と受け止めている」
中国の欠陥は、すぐに「威張り散らす」ことだ。劣等感の裏返しである。EUとは、肌が合わないであろう。中国は、20年前の自国の姿を思い起こして、謙虚に振る舞うべきである。さすが、日本に対してはそういう態度を取らないようである。日本が、ODA(政府間援助)で中国を支援した関係であるからだ。
(5)「23年12月に開催された前回のEU・中国首脳会議の前には、EUの執行機関である欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)と中国の何立峰(ハァ・リーファン)副首相との協議が開かれた。ドムブロフスキス氏は協議の場で、特に農産物輸出や医療機器、化粧品、乳児用粉ミルクについて、欧州企業の中国市場へのアクセスに問題があると指摘した」
中国は、自国の欠陥をすぐに認めないという悪弊がある。EUには、腹立たしいであろう。
(6)「欧州委の通商・経済安全保障総局で副局長を務め、中国問題を担当するマリア・マーティンプラット氏によると、これらの問題のほとんどは未解決だ。同氏は5日にベルギー・ブリュッセルで開いた会議で「今から首脳会議までの間にやるべき作業が山積している」と語った。また、作業の大部分を占めるのは「(中国側と)長らく議論を重ねてきた問題」だと付け加えた。「我々が議論しているのは、(中国が)横断的な法規制の一部を海外勢に不利な形で運用するやり方についてだ。データ安全法しかり、反スパイ法もまたしかりだ」と指摘」
EUと中国では、価値観が180度ことなる。民主主義国と権威主義国とでは、スムースな交渉が進まないのであろう。日本は、中国とはこういういざこざが起らず助かっている。余り関係を深めたくないケースの国家なのだろう。





