EU(欧州連合)は、環境主義の砦としてEV(電気自動車)普及の旗を振ってきたが、最近のEU議会で極右や右派の議員増加で雰囲気が変わってきた。EVへの熱が冷め始めたからだ。現在のEVは、宣伝されているほど二酸化炭素排出を削減せず、10万キロ以上の走行で初めて「脱炭素」を実現するという科学データが提出された。現実は、10万キロ未満の走行でガソリン車よりも二酸化炭素を増やすという結果になっている。
『日本経済新聞 電子版』(6月21日付)は、「欧州EV『補助金頼み』鮮明、打ち切りの独は5月も販売減」と題する記事を掲載した。
欧州で電気自動車(EV)販売が政府補助金に依存している構図が鮮明になっている。購入補助金を打ち切った最大市場のドイツでは販売が急減速する。英国とフランスはなお販売が増えているが、支援の縮小の影響が出ている。EV事業にブレーキをかけるメーカーが今後も増えそうだ。
(1)「20日までに欧州自動車工業会(ACEA)がまとめた欧州主要国の5月の電気自動車(EV)販売では、前年同月と比べ16%減とドイツの落ち込みが目立った。23年12月に補助金を打ち切った影響は大きく、5月まで前年割れが4ヶ月続く。今後の販売にも厳しい見通しが多い。独調査会社センターオートモーティブリサーチのディルク・ヴォルシュレーガー氏は「24年のEV販売台数は前年より5万台程度減少する」と予測する。同国の23年のEV販売は約52万台だった」
欧州主要国の5月のEV売行きは芳しくない。24年は、昨年よりも5万台程度の減少が予測される事態となった。これでは、中国EVの輸出に大きなブレーキがかかる。
(2)「英国とフランスのEV販売は増えている。英国は1月から5ヶ月連続で前年越えが続いており、5月の販売台数も6%増えた。フランスも5%増だった。これらの国では政府補助金が継続しているのがドイツとの違いだ。ただし、補助金政策の内容がEV販売を左右している状態は同じだ」
ドイツは、EV補助金を打ち切った。英仏はEV補助金を継続している。これが、EV販売の明暗を分けている。
(3)「英国の場合、消費者の需要に力強さはない。販売増加の詳細をみると、レンタカーなど税制上優遇されている法人向けの「フリート」販売に支えられている。法人向けの支援が充実しているからだ。企業が福利厚生の一環として、従業員にEVを現物支給する場合にかかる税率は車両価格の2%とガソリン車の10分の1だ。電動の商用バンの場合は、購入時の補助金も支給される。個人向け補助金は22年に打ち切られており、個人向けはドイツと同様に販売が落ち込んでいる」
英国のEV販売は増加しているが、税制上優遇されている法人向けが支えている。個人向け補助金は打ち切られているので、売上減になっている。全て補助金しだいの状況である。
(4)「フランスも販売の増加率をみると、4月までは2桁増だったのが、5月は5%増に低下している。仏政府は2月まで低所得者向けに月額100ユーロ(約1万7000円)台でEVをリースできる制度を展開していたが、これを打ち切った。政府支援の効果が薄れ、ブレーキがかかりつつある」
フランスもEV販売は、補助金頼みの状況である。4月と5月ではEV販売の増加率に大きな差が出てきた。
(5)「普及が先行した欧州でも、なおEVは補助金なしではガソリン車との価格差が大きい。米コンサルティング会社アリックスパートナーズのアンドリュー・ベルクバウ氏は「(各国政府は)補助金を投入し続ける必要がある。そうでなければ市場は非常に脆い状態が続く」と指摘する。欧州の自動車メーカーは市場の状況にあわせ、EV事業の拡大ペースを調整する構えだ」
EVとガソリン車の価格差が大きい以上、EVは補助金なしでは太刀打ちできない状態である。その補助金が、打ち切られているのでEV販売は低下して当然である。トヨタ自動車は、こういうEV脆弱性を見抜いて距離を置いてきた。経営センスは抜群である。
(6)「足元の政治を巡る動向もEVの逆風になりかねない。6〜9日に投開票された欧州議会選では、欧州連合(EU)の環境政策に対して批判的な極右や右派の勢力が伸長した。従来政策を修正する圧力が強まり、EV推進の機運がさらに後退する可能性がある」
EU議会の新議員では、反環境主義の極右や右派が増えている。これが、EUのEV販売へ影響を与える可能性も出てきた。EVは、正念場を迎えている。




