勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: ウクライナ経済ニュース時評

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    ウクライナ政府は、外国人義勇兵の募集を行なっているが、すでに約2万人に達した。ウクライナのクレバ外相が6日、米CNNテレビに語った。ほとんどが欧州からの若者という。日本からも参加するとの報道がされた。

     

    『ロイター』(3月9日付)は、「大義と連帯と目的と 外国人義勇兵がウクライナに求めるもの」と題する記事を掲載した。

     

    イケル・ファーコルさん(29)は、かつて米陸軍の工兵だった。そして、ローマで考古学を学んでいた時にウクライナ大統領による外国人部隊への志願の呼びかけを耳にした。ファーコルさんはその数日後には、ウクライナ西部の都市リビウに設けられた新兵採用オフィスに出向き、前線でパラメディック(救急救助隊員)として働く希望を伝えていたという。「負傷者のトリアージを担当したいと伝えた」と、ファーコルさん。戦闘経験は無い。「フィンランドから来た奴もいた。『とにかくロシア人をやっつけたい』と言っていた」

     


    (1)「ウクライナは、外国からの志願者による「国際」外国人部隊を設立した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナへの支持を示すために、「ウクライナ人と肩を並べてロシアの戦争犯罪者と戦う」ことを世界各国の人々に公式に呼びかけている。大統領は先週、1万6000人以上が志願してきたと述べたが、到着済みの人数については明らかにしなかった。ウクライナに到着した外国人志願者の一部は、「大義」に惹かれたと話す。数十年に一度しか起きないような民主主義と独裁体制による決戦で、ロシアの侵攻を止めるという大義だ。他方、ウクライナでの戦争は、自国政府から評価されなくなった戦闘スキルを活用する機会を与えてくれる場だと感じて志願した人々もいる。こう考える志願者の多くは、イラクやアフガニスタンでの従軍経験者だ」

     

    従軍経験者が、多く義勇兵に応募している。ロシア打倒という「大義」だけでは、戦争未体験者には余りにも危険だ。日本政府は止めているが、自衛隊経験者の応募もある。

     


    (2)「戦闘で鍛えられた従軍経験者と並んで、ほとんど、あるいはまったく戦闘経験のない人々も参加しようとしている。ロシア軍による苛烈な砲撃がたえまなく続く戦闘地域では、こうした人々にできることは限られている。英軍での戦闘経験があると称する男性は、こうした志願者は「弾除けにしかならない」と揶揄する。リビウで新たに到着する外国人志願者の対応に当たるウクライナ当局幹部のロマン・シェペリャク氏は、外国人戦闘員を受け入れ、訓練して配備するための体制はまだ発足したばかりであり、今後流れがもっとスムーズになるだろうと語った。ウクライナ国防省はコメントを控えた」

     

    外国人戦闘員は訓練してから配属するが、そのシステムはまだ上手く動いていない様子だ。

     

    (3)「英陸軍の精鋭であるパラシュート連隊出身というある元兵士によれば、ウクライナで戦うために到着した外国人志願者の中には同連隊の出身者が数十人含まれている。さらに数百人が後に続くだろう、とこの元兵士は話した。ロイターではこの数字の裏付けを取ることができなかった。単に「パラ」と呼ばれることも多いパラシュート連隊は近年、アフガニスタンとイラクで参戦している。この元兵士は「全員きわめて練度が高く、多くの機会で実際の戦闘を経験している」と話す。ウクライナ危機は彼らに目的と連帯感、そして「彼らが得意とすること、つまり戦闘の機会」を与えてくれるという」

     

    英陸軍のパラシュート連隊出身者が、数百人は応募するだろうと語っている。アフガニスタンとイラクで参戦した経験を持つので、すぐに戦場へ駆けつけられる。

     


    (4)「前出のファーコルさんによれば、彼の出身地である米シカゴには、ウクライナ系の人々がたくさん住んでいたという。彼がキエフ行を決めたのは、「力になりたい」と考えたからだ。ファーコルさんは5日、前線に向かう列車に乗ろうとリビウ駅にやって来た。あふれる避難民をかき分けつつ、「正直なところ、少しナーバスになっている。しかし一方では、自分のためではない、とも思う。いま苦しんでいる人々のためだ」と語った」

     

    何か、戦時中の特攻隊員の心情と重なってくる。大義とは、滅私奉公の精神なのだろう。

     

    (5)「ウクライナでは男性国民の大規模な動員が進み、志願兵は数多く集まっている。不足しているのは、「ジャベリン」や「NLAW」といった対戦車ミサイルの操作方法を知るスペシャリストだ。きちんと使うには、正規兵でも数ヶ月の訓練が必要となる。クルーガーと名乗る元英軍兵士は、たとえ戦闘経験があってもウクライナの戦場では苦労するかも知れない、と警告する。アフガニスタンでの従軍経験があり、他の兵士の訓練にも当たったというクルーガーは、「戦争見物のつもりでここに来たなら、帰った方がいい。前線に向かったら、戦争の現実に酷く打ちのめされるだろう」と話した」

     

    戦争未体験者が、大義だけで戦場へ立つ危険性を指摘している。命を捨てるリスクと隣合せであるからだ。

     


    (6)「リビウに到着した外国人志願者は、シェペリャク氏による書類審査を受ける。シェペリャク氏は、この地域の国際技術支援・協力局のトップを務める。同氏は、戦闘参加を志願する外国人に対応する体制がまだ十分に整っていないことを認める。シェペリャク氏はロイターに対し、到着する外国人はますます増えていると語った。「彼らが外国のために尽くしたいという願いと信念をこれほどまでに抱いているのだとすれば、ただごとではない。彼らは重要な存在だ」。シェペリャク氏は、自分がやっているのは書類審査だけで、戦闘経験については判断していない、と語る。その部分は書類審査後に志願者が送られるリビウ郊外の軍事基地で評価される。採用されてウクライナ軍に編入された志願者は、他の正規兵と同等の給与を与えられるという

     

    ウクライナ政府は、「ボランティア」名義で募集している。だが、採用されてウクライナ軍に編入されれば、同等の給与が支給される。 

     

     

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    ロシアのプーチン氏は、ウクライナを軽く見て開戦した。短期間に、ウクライナを屈服させられと見ていたのだ。その証拠は、ウクライナ側へ突付けた「休戦条件」に現れている。

    1)ウクライナの非武装

    2)ウクライナの中立

    3)ウクライナ現政権の更迭

     

    前記3条件は、ウクライナがロシアへ戦争を仕掛けた場合に、成立する内容である。実態は逆である。「プーチン戦争」と言われるごとく、ロシアが始めた戦争だ。それを棚に上げて、一方的に譲歩を迫る。典型的な侵略戦争である。ウクライナ国民が、全力を挙げてロシア軍に抗戦している理由である。こうして、ロシア軍の進軍スピードは予定よりも大幅に遅れているのである。

     


    韓国紙『中央日報』(3月1日付)は、「『3日間で戦闘部隊30%失った』…ウクライナを軽視したプーチン露大統領」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアのウクライナ全面侵攻5日目、ロシアがウクライナを容易にねじ伏せるという予想とは違う戦況に向かっている。ロシアは主要目標とするウクライナの首都キエフ、第2の都市ハリコフ、黒海沿岸の拠点マリウポリをまだ占領していない。


    (1)「戦争の序盤、ロシアの損失はかなり大きい。(韓国)21世紀軍事研究所のリュ・ソンヨプ研究委員は、「ウクライナ国防省の26日の発表によると、ロシアの戦車146台と装甲車706台が破壊された」とし、「普通、全体戦力の30~50%ほど被害を受けた部隊を戦闘不能とみる。25~30個大隊戦術団を失ったということ」と述べた。大隊戦術団とは戦車(10台)・装甲車(40台)を中心に砲兵・防空・工兵・通信・医務を集めた大隊規模のロシア軍臨時部隊編成だ」

     


    ロシアは開戦3日目で、全体戦力の30~50%ほどに被害を被ったという。米国が、ウクライナへ提供した、ジャベリン対戦車ミサイル、スティンガー地対空ミサイルなどが、簡単な操作で威力を発揮したものだ。ロシア軍は、思いもよらぬ負け方をした。

     

    (2)「ロシアは、今回の戦争に160個大隊戦術団を動員し、100個を戦闘に投入した。3日間(26日基準)の戦闘で30%を失ったという数値だ。ウクライナが善戦しているということだ。その理由について韓国国防研究院のバン・ジョングァン研究員(予備役陸軍少将)に話を聞いた。ロシアは、速戦即決で戦争を終える考えだった。ロシア軍が3方面から大規模に侵攻すれば、ゼレンスキー大統領を含むウクライナ政府の指揮体系は瓦解すると仮定した可能性がある。その通りに戦争が進行すれば、5日目に無条件降伏に近い状況で終わった2008年のジョージア戦争と同じ様相になったはずだ」

     

    プーチン氏の目論見では、開戦5日目で「終戦」に持込む腹だった。現実は異なり、ウクライナがロシアへ牙を剥いたのである。ロシア軍の慌てふためきぶりが想像できて愉快である。

     


    (3)「ロシアが、今回の戦争のために動員した15万人の兵力は、ウクライナの領土と人口を考慮すると十分でない。それでウクライナの首都キエフを含む大都市を核心目標に選定したとみられる。ゼレンスキー大統領を中心に、ウクライナ国民は老若男女を問わず銃を握っている。ウクライナ国民の強い戦意は、ロシアが開戦を決定した時に考慮した「仮定」とは違っていたのだろう。プーチン露大統領の仮定は外れ、速戦即決の成功の可能性は遠ざかっている」

     

    主婦までが、自主的に火炎瓶づくりに参加している。この草の根レベルの対抗心が、ロシア軍の進軍を抑えているのであろう。

     

    (4)「開戦の2、3日後、ロシアは包囲した大都市に進入するかどうかを悩んだ可能性がある。「都市は兵力をのみ込む」という言葉がある。市街戦は攻撃側に非常に不利だ。都心の建物は進撃を妨害し、敵軍には最適な待ち伏せ場所となる。このためロシアは1994~95年の第1次チェチェン戦争当時、チェチェンの首都グロズヌイで大きな被害を受けた。キエフを含む市街戦でロシア軍に多くの死傷者が発生すれば、プーチン大統領は政治的に厳しい。ロシアは独裁国家だが、選挙を行う。次の大統領選挙でプーチン大統領は決して有利ではないはずだ」

     

    ロシア大統領選は、2024年である。市街戦で、ロシア側に多くの犠牲者を出れば、雰囲気はがらっと変わる。プーチン氏が不利な立場に立たされることは必至である。

     

    (5)「昨年11月、ロシア軍が大規模な兵力を集結すると、米国はこれをメディアに積極的に公開し始めた。前例のないことだ。米国は2014年のクリミア半島、2021年のアフガニスタン撤収作戦の情報失敗を挽回するため切歯腐心したとみられる。米国が最初の侵攻予定日として公開した2月16日は、実際にロシアが最初に計画した日程だった。奇襲効果が消えて遅らせたという主張が説得力を持つ」

     

    改めて、米国による情報収集能力の高さを見せつけた。米国の事前情報開示で、西側は開戦までの時間を稼ぎ、各国で経済制裁などの情報摺り合わせができたという。

     


    (6)「米国とNATO(北大西洋条約機構)は、ウクライナへの派兵を検討していない。しかし軍事支援は続けている。米国だけでも2014年のロシアのクリミア半島強制合併以降、ウクライナに54億ドル(約6兆5000億ウォン、約6240億円)の軍事援助をした。バイデン米大統領は3億5000万ドル規模を承認し、議会に64億ドルの予算を要請した。米国はウクライナにジャベリン対戦車ミサイル、スティンガー地対空ミサイルなどを提供し、都心地域を中心に防御するよう助言したとみられる。携帯と操作が容易で、自発的に戦闘に参加する民兵も運用できるというのが、これら武器の長所だ。実際、ウクライナがロシアの戦車と装甲車、ヘリコプターを防ぐのに決定的に寄与している」

     

    ドイツも武器を供与する。これまでは殺傷を伴う武器の供与は御法度であった。ドイツは、この規制を乗り越えて、ロシア軍への対抗を明らかにした。これも、プーチン戦争がもたらした西側の結束力強化の証である。ロシアは、西側に「塩」を送ったことになる。 

     

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