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ロシアのプーチン大統領は、短期戦闘でウクライナを降伏させられると高を括っていた。だが、ウクライナ軍と国民による手強い抵抗にあっている。大きな誤算をしたのだ。ウクライナで捕虜になったロシア将校ら10名は記者会見に臨んで、ウクライナ侵攻まで開戦を知らされていなかったと明らかにした。これでは、兵士の士気が上がるはずもなく、ウクライナの反撃で狼狽えるはずだ。

 

ウクライナの予想外の抵抗で、ロシアの戦費はうなぎ登りである。すでに1日200億ドル以上に達しているという。ロシアは、西側諸国による強烈な経済制裁に直面しており、「物理的に1年が限界」という見方まで出ている。

 


『WOW!KOREA』(3月7日付)は、「ロシア、ウクライナ戦で一日に「200億ドル以上の軍備」を消耗」と題する記事を掲載した。

 

「ウクライナに全面侵攻しているロシアは、一日に約200億ドル以上の戦費を消耗している」という研究結果が公開された。

(1)「6日(現地時間)コンサルティングのオンライン・プラットフォーム“コンサルタンシー・ヨーロッパ”によると、英国経済回復センターとコンサルティング企業との共同研究の結果「ロシアはウクライナへの全面侵攻の最初の4日間に一日あたり70億ドルほどの戦費を使ったが、それ以降は一日200億~250億ドル規模の戦費を使っている」と推定した。コンサルタンシー・ヨーロッパは、「予想とは異なりウクライナの抗戦が強く、長期化の様相をみせたことで、弾薬と補給品の消耗量が大きく増加し、戦死者が続出すると同時にミサイル発射の回数が増加したことで、費用が急速にふくらんだ」と説明した」

 


ロシア政府は、開戦数日で勝利を収める計画であった。と言うのも、国営放送で、「予定稿」が誤って流出した結果、判明した。予定外の犠牲者が出ており、それだけロシアの経済負担は重くのしかかっている。

最初の4日間以降は、一日200億~250億ドル規模の戦費を使っていると計算されている。西側諸国は、経済封鎖とロシア中央銀行の外貨準備高を凍結した。これにより、外貨準備高のうち約3000億ドル程度が取崩不可能な事態へ追い込まれている。

 

戦費調達で国債を発行すれば、インフレに拍車を掛ける。すでに、経済封鎖で貿易が抑制されており、物資不足が始まっている。そこへ通貨増発が加われば、現状の8%台インフレが、たちまちに二桁になって悪性化する。

 


(2)「この研究陣は、「開戦後の4日間、戦死者により発生した損失額だけでも27億ドルに達し、これは長期的にロシアのGDP(国内総生産)に悪影響を及ぼすだろう」と推測した。コンサルタンシー・ヨーロッパは、「西側諸国の制裁が本格化し長期化する場合、ロシア経済に大きな打撃を与えるものとみられる」とし、「インフレが固着化し、これにより数百万人のロシア人たちが貧困状態に陥るなど、ロシア経済全体が深い不況に直面する可能性もある」と伝えた」

 

経済制裁が始まった当初、今年の経済成長率はマイナス二桁という予測が出た。そこまで落込まないにしても、マイナス5~6%になるという見方も出ている。米国は、ロシア産原油の輸入禁止を検討している。同盟国へ呼びかける可能性もある。米国は、ロシア経済を徹底的に追詰めて、ウクライナ戦争継続が不可能な事態を狙っている。

 


『ブルームバーグ』(3月7日付)は、「プーチン氏は『物理的制約』無視、失脚につながる恐れーパピック氏」と題する記事を掲載した。

 

ヘッジファンドに投資するオルタナティブ資産運用会社クロックタワー・グループのチーフストラテジスト、マルコ・パピック氏は、政治指導者がしようとしていることを評価する場合、その人物の願望を重視しない。むしろ「物理的制約」、望むものを手に入れようとする指導者の能力がどんな要因で制限されるかに着目する。

 

(3)「パピック氏は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で物理的制約を無視しており、最終的に失脚につながる恐れがあると主張した。パピック氏は、これまでの制裁がプーチン大統領の行動に影響を及ぼしたり、打倒したりするために十分と考えられるかとの質問に対し、「プーチン氏に私が与える時間は12カ月未満だ。政策担当者が物理的制約を無視するという並外れの悪い決定を下せば、罰を受ける」と指摘した」

 

プーチン戦争は、物理的制約を無視して行なわれており、12ヶ月未満で失敗するだろうという。パピック氏は軍事専門家でないが、ロシア軍の稚拙な戦術をみて、いずれ行き詰まるという予測である。パピック氏は、『地政学的アルファ:将来予測のための投資フレームワーク』(原題)という著作を著わしている。地政学的にみたプーチン戦争は、「敗北」という結果が見えるのであろう。