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ロシアが、ウクライナへ戦争を仕掛けて3月10で2週間になる。ロシアは、短期で戦争を終わらせる計画だったが、大きな狂いが生じている。それだけ、ロシア軍兵士が犠牲が多いいことを物語る。

 

ウクライナ政府が運営するホットラインへ、ロシア軍兵士の家族が生死の問合せをしている。なんとも痛ましい話だ。戦争の悲劇を物語る一断面である。

 

米『CNN』(3月9日付)は、「『彼はキエフに向かうと・・・』 不明兵士を探すロシア人、電話する先はウクライナ当局」と題する記事を掲載した。

 

ウクライナ・キエフ(CNN)「お騒がせして申し訳ありません。兄弟のことで電話しております」「私の夫について何か情報はありませんか」「もしもし、安否確認にはこちらのホットラインに電話すればよろしいでしょうか」ウクライナ政府が運営するホットラインに寄せられた電話の音声の一部だ。

 


(1)「ロシアとウクライナの戦争に終わりが見えない中、父母や妻、きょうだいなどは必死の思いで愛する人を探している。だが、電話の向こうの震える声が探しているのはウクライナ人ではなく、ロシア人兵士の情報だ。音声記録はホットラインを運営するウクライナ当局者がCNNに独占提供した。相談者の声ににじむ絶望と不安からは、ロシア政府が戦争に関する通信をいかに厳しく統制しているかが浮かび上がる。

 

ウクライナ政府は、ロシア兵に関するホットラインを開設している。「敵兵」の生死を調べるという、ちょっと考えつかないアイデアだ。

 


(2)「一連の録音では、多くのロシア兵が自分たちの予定や派遣理由を知らない様子であることがうかがえる。ロシア兵が家族との通信を禁じられているとの報道を裏付ける内容でもある。ある妻は涙ながらに、悲痛な声で夫のことを尋ねている。オペレーター ご主人から最後に連絡があったのはいつですか。 発信者 国境を越えた2月23日です。オペレーター どこへ行くか言っていましたか。発信者 彼はキエフに向かうと言っていました。 オペレーター 理由については何か言っていましたか。 発信者 いえ、他には何も言っていませんでした。インターネット上では2月24日の侵攻開始以降、ウクライナの民間人や軍人がロシア兵に自宅への電話や、両親との通話を許可する動画が出回っている」

 

多くのロシア兵が、自分の任地や目的も知らせられないままにウクライナへ連れてこられたケースが多い。

 


(3)「『生きてウクライナから戻る』と名付けられたホットラインは、ウクライナ内務省が設置した。同省はこの取り組みについて、人道目的とプロパガンダの道具としての両面があることを認めている。ホットラインの運営を担うクリスティナ氏(仮名)はCNNに対し、安全上の理由から身元を報じないよう求めた。同氏は心理学者として訓練を受けた経歴を持つ。クリスティナ氏はウクライナ首都キエフの非公開の場所から、ホットラインの目的について説明した。「第1に、我々の目的は、だまされて行く先も理由も分からず我が国に来たロシア兵が親族を見つけるのを助けることにある。第2は、この戦争全体を止める手助けをすることだ」

 

戦争の残酷さが実に良く現れている。このホットラインは、人道目的とプロパガンダの道具としての両面があることを認めている。ロシア国内で「反戦ムード」を高めて、早く戦争を終わらせるという目的である。

 


(4)「開戦当初に設置されて以降、ホットラインが鳴りやんだことはなく、2月24日以降に6000件以上の電話があったという。電話の発信地はロシア極東のウラジオストクからウクライナ国境に近いロストフ・ナ・ドヌまで多岐にわたる。履歴からは一部の電話がロシア国外からかけられたことも判明。欧州全域のほか、バージニア、ニューヨーク、フロリダ各州を含む米国内からも電話があった」

 

下線部の6000件以上というのは、行方不明者の件数でもある。電話は、米国からも掛かっている。これは、ロシアから問合せ電話して、後から当局に弾圧されることを恐れて友人・知人を介してのホットラインになった。

 

(5)「CNNは、米国から電話をかけた3人に話を聞き、実際にホットラインを利用したか、またウクライナ内務省から肉親に関する情報が得られたかを確認した。取材に応じたバージニア州のマラットさんは、ウクライナ政府とつながりのあるテレグラムの安否確認用チャンネル上で、いとこの身分証の写真を目にしたと明かした。このチャンネルはウクライナでの戦闘中に拘束されるか死傷したロシア人の情報に特化したもので、パスポートの写真や氏名、認識票、部隊の情報を掲載している。マラットさんはいとこの運命について率直な認識を語った。「彼が戦死した可能性が高いことは分かっているが、遺体が見つかるとすればどこなのか情報を探している。それにもしかしたら、彼は生きているかもしれない」と言った」

 

ウクライナ政府は、ロシア兵の死亡者について身分証明書を示している。ロシア軍がひた隠ししているウクライナ軍に拘束されるか、死傷した兵士を公表して、プロパガンダに利用している。ロシア国内での反戦運動を高めて戦争を止めさせる一助にしたい考えだ。

 


(6)「ロシアのウファに住む家族はマラットさんに対し、息子を探せばロシア当局に報復される恐れがあるため、ホットラインに電話してほしいと依頼した。「ロシアでは誰もがおびえているので、家族は誰からも連絡を受けないようにしている。法執行当局による追跡を恐れ、皆話すのを怖がっている状況だ」(マラットさん)ますます明らかになりつつあるのは、ロシアのプーチン大統領が戦争に関する国内の情報を統制していることだ。死傷者数に関する発表はこれまで、498人が死亡したとするロシア国防省の無味乾燥な声明のみだ」

 

ロシアの権威主義的な政治の一端が現れている。国内情報を統制している点は、戦時中の日本と酷似している。息が詰まるような社会なのだろう。

 


(7)「フロリダ州でCNNの取材を受けたもう1人の相談者、マリーナさんは、自分の叔母はロシア国防省から何も情報を提供されていないと語る。 「家族は、彼のことを探そうとしたが、誰からも回答がない」とマリーナさん。そこで、ウクライナのホットラインに電話することに唯一の望みを託したが、現時点でいとこに関する情報は得られていない。ホットラインを担当する当局者らによると、電話をかけてきた人の大半は、息子や夫から予備役の訓練や軍事演習に派遣されると伝えられていた。侵攻開始直前の2月22日か23日に連絡が途絶えたケースが多いという

 

プーチン戦争緒戦に、ロシア兵の犠牲者が多いことを物語る。兵士は、事前に戦争に知識を知らされないままに戦場へ引き出された結果であろう。

 

(8)「キエフでホットラインの責任者を務めるクリスティナ氏は、受けた電話のことが頭から離れないと話す。「ある父親から電話があった。彼の話では『子どもたちは消耗品、肉の盾として使われている。政治家や有力者がゲームに興じて自分たちの問題解決を図る一方で、子どもたちは死んでいく。誰かがそれで金もうけをしたいから、あるいは自身の野心を満たして世界の王になりたいからだ』と

 

このウクライナ侵攻は、文字通り「プーチン戦争」である。プーチンの野心を満たすための戦争であるからだ。